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JP3907826B2 - 一液室温硬化型エポキシ樹脂組成物 - Google Patents
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JP3907826B2 - 一液室温硬化型エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

一液室温硬化型エポキシ樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、貯蔵安定性に優れ、硬化時間が短い一液室温硬化型エポキシ樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的なエポキシ樹脂組成物は通常使用時に硬化剤、硬化促進剤等と混合し硬化反応を行う二液型である。しかしながら、使用時に混合を行うのは煩雑であり、計量、混合ミスが生じやすい。したがって、一液硬化型のエポキシ樹脂組成物に対する要望は大きい。ジシアンジアミド、イミダゾール類等の潜在性硬化剤を用いる一液硬化型エポキシ樹脂組成物が知られているが、これらを硬化させるためには加熱することが必要である。加熱が不要な室温湿気硬化型潜在性硬化剤としてはケチミンが知られているが、貯蔵安定性が低く硬化反応に時間がかかるという問題がある。
一方、比較的貯蔵安定性、硬化性に優れた硬化剤としてオキサゾリジン化合物が知られている(特開平5−117252号公報)。しかしながら湿気のみによるオキサゾリジン化合物によるエポキシ樹脂組成物の硬化速度は実用には不十分である。オキサゾリジンの開環速度を速めるために酸が用いられることがあり、酸により硬化速度は改善されるが、一方、貯蔵安定性が損なわれる問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の一液硬化型エポキシ樹脂組成物は加熱が必要であったり、また、室温硬化型の組成物は硬化性、安定性に問題があった。したがって、本発明の目的は、貯蔵安定性と硬化性に優れた一液室温硬化型エポキシ樹脂組成物を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は下記(1)〜(10)を提供する。
(1) (a)1分子内に平均2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、
(b)オキサゾリジン化合物、および、
(c)加水分解性エステル化合物としてのチタン酸エステル
を含有し、前記(a)エポキシ樹脂100重量部に対して、前記(b)オキサゾリジン化合物が1〜50重量部、前記チタン酸エステルが1〜25重量部であるエポキシ樹脂組成物(以下、これを「本発明の第1の態様のエポキシ樹脂組成物」ということがある。)。
(2) さらに、(d)有機ビスマスカルボキシレート化合物を、前記(a)エポキシ樹脂100重量部に対して、0.01〜10重量部含有する上記(1)に記載のエポキシ樹脂組成物。
(3) 前記(d)有機ビスマスカルボキシレート化合物が、下記式(14)で表される化合物である上記(1)または(2)に記載のエポキシ樹脂組成物。
【化1】
Figure 0003907826
(式中、R 12 、R 13 、およびR 14 は水素原子、炭素原子数1個を有するアルキル基、アルコキシアルキル基、脂環基、アルコキシ基、アクリロキシアルキル基である。)
(4) さらに、(e)カルボジイミド化合物を、前記(a)エポキシ樹脂100重量部に対して、1〜25重量部含有する上記(1)〜(3)のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
(5) さらに、(c)加水分解性エステル化合物としてのオルトギ酸エステルを、前記(a)エポキシ樹脂100重量部に対して、1〜25重量部含有する(1)〜(4)のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
(6) (a)1分子内に平均2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂100重量部に対して、
(b)オキサゾリジン化合物1〜50重量部と、
(c)加水分解性エステル化合物としてのオルトギ酸エステル1〜25重量部と、
(e)カルボジイミド化合物1〜25重量部とを含有するエポキシ樹脂組成物(以下、これを「本発明の第2の態様のエポキシ樹脂組成物」ということがある。)。
(7) 前記(e)カルボジイミド化合物が、N,N′−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DDC)、1−シクロヘキシル−3−(2−モルフォリノエチル)カルボジイミド、N,N′−p−トルオイルカルボジイミドおよびN,N′−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種である上記(4)または(6)に記載のエポキシ樹脂組成物。
(8) 前記オルトギ酸エステルが、オルトギ酸メチルまたはオルトギ酸エチルである上記(5)または(6)に記載のエポキシ樹脂組成物。
(9) 前記オキサゾリジン化合物が、N−ヒドロキシアルキルオキサゾリジン、前記N−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンのポリイソシアネート付加物、オキサゾリジンシリルエーテル、カーボネートオキサゾリジン、エステルオキサゾリジンおよび下記式(8)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記(1)〜(8)のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
【化2】
Figure 0003907826
(式中、R 6 は炭素数1以上の直鎖状または分岐鎖を有する脂肪族炭化水素基であり、R 7 およびR 8 は、各々独立に水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を示す。)
(10) 前記式(8)で表される化合物が、下記式(9)〜下記式(11)からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記(9)に記載のエポキシ樹脂組成物。
【化3】
Figure 0003907826
【0005】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明に用いる(a)エポキシ樹脂は、1分子内に平均2個以上のエポキシ基を有する未硬化のエポキシプレポリマーである。ここで1分子内のエポキシ基の平均値とは、エポキシ樹脂の分子量の合計をエポキシ当量の合計で割った値を指す。
具体的には、アミン類を前駆体とするエポキシ樹脂として、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、トリグリシジル−m−アミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾールの各種異性体挙げられる。
また、フェノール類を前駆体とするエポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂等が挙げられる。
この中でも、好ましくはビスフェノールA型エポキシ樹脂が挙げられる。
【0006】
本発明に用いられる(b)オキサゾリジン化合物は、酸素と窒素を含む飽和5員環の複素環を有する化合物で、湿気(水)の存在下で開環するオキサゾリジン環を有する化合物である。具体的には、N−ヒドロキシアルキルオキサゾリジン、およびそのポリイソシアネート付加物、オキサゾリジンシリルエーテル、カーボネートオキサゾリジン,エステルオキサゾリジン、式(8)で表される化合物等が挙げられる。
【0007】
本発明の第1の態様のエポキシ樹脂組成物は、(a)エポキシ樹脂、(b)オキサゾリジン化合物、および、(c)加水分解性エステル化合物としてのチタン酸エステル、さらに必要に応じて(d)有機ビスマスカルボキシレート化合物、(e)カルボジイミド化合物、(c)加水分解性エステル化合物としてのオルトギ酸エステル、添加剤を常法により混合することにより製造され、密封容器に保存される。好ましくは、エポキシ樹脂を加熱減圧下脱水処理し、その後その他の成分を減圧下もしくはN2置換雰囲気下の条件で混練する。
使用時に空気中の湿気により硬化させる。
また、本発明の第2の態様のエポキシ樹脂組成物は、(a)エポキシ樹脂、(b)オキサゾリジン化合物、(c)加水分解性エステル化合物としてのオルトギ酸エステル、および(e)カルボジイミド化合物と、さらに必要に応じて使用することができる添加剤とを常法により混合することにより製造され、密封容器に保存される。好ましくは、エポキシ樹脂を加熱減圧下脱水処理し、その後その他の成分を減圧下もしくはN 2 置換雰囲気下の条件で混練する。
使用時に空気中の湿気により硬化させる。
【0008】
【化1】
Figure 0003907826
【0009】
オキサゾリジンシリルエーテルは、上述のN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンと、トリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、トリエトキシシラン、ジメトキシジメチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシランとの反応により得られる。
この反応はチタンアルコキシド、アルミニウムアルコキシドあるいは2価のSnを触媒として40℃〜160℃で、特に好ましくは80℃〜140℃で行なう。
【0010】
オキサゾリジンシリルエーテルの具体例を以下に示す。
【化2】
Figure 0003907826
【0011】
カーボネートオキサゾリジンは、例えば、特開平5−117252号公報の方法で得られるカーボネートオキサゾリジン等が挙げられる。カーボネートオキサゾリジンは、例えば上述のヒドロキシアルキルオキサゾリジン(1)等のヒドロキシアルキルオキサゾリジンとジアリルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジプロピレンカーボネート等のカーボネートとを、ジエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコールを用いて反応させることによって得ることができる。この反応は、例えばナトリウムメチラート等のエステル交換触媒の存在下で、60〜160℃、好ましくは100〜140℃の範囲の温度で行われる。触媒の添加量は、ヒドロキシアルキルオキサゾリジン、カーボネート、多価アルコールの合計量に対して50〜1000ppmであるのが好ましい。
【0012】
こうして調整されるカーボネートオキサゾリジンは、下記式(A)で表される。
【化3】
Figure 0003907826
(式中、nは、1〜10の整数で、Ra およびRb は各々独立に炭素数1〜8個の有機基である。Rc およびRd は各々独立に水素原子又は炭素数1〜8個の有機基である。)
式(a)で表される化合物の一具体例には、下記カーボネートオキサゾリジン(1)がある。
【0013】
【化4】
Figure 0003907826
【0014】
エステルオキサゾリジンとしては、例えば、米国特許第3661923号公報および米国特許第4138545号公報の方法で得られるエステルオキサゾリジン等の種々のエステルオキサゾリジンを用いることができ、例えば上述のヒドロキシアルキルオキサゾリジン(1)とジカルボン酸もしくはポリカルボン酸の低級アルキルエーテルとの反応によって得ることができる。具体的には、下記エステルオキサゾリジン(1)が挙げられる。さらに、下記式エステルオキサゾリジン(2)で示されるバイエル社製のハードナーOZ等の市販品を使用することもできる。
【0015】
【化5】
Figure 0003907826
【0016】
1分子中に3個以上のオキサゾリジン環を有するオキサゾリジン化合物を用いてもよく、この化合物は、下記(B)で表されるN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンとポリイソシアネート化合物とを反応することによって1分子中に3個以上のオキサゾリジン環を有する化合物として合成する。
【0017】
【化6】
Figure 0003907826
【0018】
ここでR1 は炭素数2〜3の直鎖状または分岐鎖を有する2価の脂肪族炭化水素基であり、例えば、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基を示す。また、R2 およびR3 は、各々独立に水素原子または炭素数1〜20の1価の炭化水素基を示す。
上記式(B)で表されるN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンは、相当するアルデヒドまたはケトンとN−ヒドロキシアルキルアミンより、公知の方法により合成される。
【0019】
アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、2−メチルブチルアルデヒド、3−メチルブチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、2−メチルペンチルアルデヒド、オクチルアルデヒド、3,5,5−トリメチルヘキシルアルデヒドなどの脂肪族アルデヒド;ベンズアルデヒド、メチルベンズアルデヒド、トリメチルベンズアルデヒド、エチルベンズアルデヒド、イソプロピルベンズアルデヒド、イソブチルベンズアルデヒド、メトキシベンズアルデヒド、ジメトキシベンズアルデヒド、トリメトキシベンズアルデヒドなどの芳香族アルデヒド;等が好適である。
ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−t−ブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等が好適である。
【0020】
N−ヒドロキシアルキルアミンとしては、ビス−N−(2−ヒドロキシエチル)アミン、ビス−N−(2−ヒドロキシプロピル)アミンおよびN−(2−ヒドロキシエチル)−N−(2−ヒドロキシプロピル)アミンが好適である。
【0021】
上述のアルデヒドまたはケトンと、ヒドロキシアルキルアミンとは、アルデヒドまたはケトンのモル数に対応する窒素の当モル量で反応するが、アルデヒドまたはケトンを1.01〜1.5の範囲で過剰に用いることが好ましい。特に好ましくは、1.01〜1.1の範囲である。この理由は、未反応のN−ヒドロキシアルキルアミンは生成物との分離が困難で、イソシアネートと反応するため、貯蔵安定性の低下の原因となるからである。
【0022】
反応温度は、トルエン、キシレン等の溶媒中で、還流条件下で行うことが望ましい。
反応時間は、6〜24時間とすることが望ましく、特に8〜12時間とすることが望ましい。反応時間をこの範囲とした理由は、6時間未満では反応が不完全だからであり、24時間を超えると反応混合物が着色するからである。また、反応は通常の雰囲気で行うことが好ましい。反応終了後に、過剰のアルデヒドまたはケトンを減圧下で留去して、上述の式(B)で表されるN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンを得る。
【0023】
ポリイソシアネート化合物は、有機基を有するポリイソシアネートであって、例えば、グリセリン、ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、あるいはポリプロピレングリコール等の多価アルコール類と、パラフェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、オクタデシルジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート及びこれらの変性品等との反応生成物、あるいはテトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等のジイソシアネート化合物を、触媒の存在下で三量化させてイソシアヌレート環を形成させることによって得ることができる。式(B)のN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンとの反応に際しては、これらのポリイソシアネート化合物を、単独で使用することができ、また、2種以上を併用してもよい。
【0024】
式(B)で表されるN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンとポリイソシアネート化合物を、反応温度50℃〜100℃程度で、常圧下で反応させることで、1分子に3個以上のオキサゾリジン環を有するオキサゾリジン化合物が合成される。合成の際に、粘度を下げる目的でトルエン、キシレン等の溶剤を使用してもよい。
【0025】
N−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンとポリイソシアネート化合物との量比は、N−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンのヒドロキシル基1モルあたりポリイソシアネート化合物が1モルで反応させるのがよい。
【0026】
このような1分子に3個以上のオキサゾリジン環を有する化合物の具体例としては、下記式で表される多官能オキサゾリジン化合物(1)、(2)等が挙げられる。
【0027】
【化7】
Figure 0003907826
【0028】
また、イソシアネートオキサゾリジン化合物の他の例としては、下記式(C)で表される化合物を示すことができる。
【0029】
【化8】
Figure 0003907826
【0030】
ここで、R1 は炭素数2〜6の、好ましくは炭素数2〜3の、より好ましくは炭素数2のアルキレン基である。
2 及びR3 は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上のアルキル基、炭素数5〜7の脂環式アルキル基、または炭素数6〜10のアリール基である。
4 は炭素数2〜6のアルキレン基、アリール基、またはウレタン結合を含む炭素数2〜6のアルキレン基またはウレタン結合を含むアリール基であり、ウレタン結合を有する炭素数1〜5のアルキル基またはアリール基であることが好ましい。
【0031】
5 はn個のポリイソシアネートからイソシアネート基を除去することによって得られる基で、イソシアネート化合物の骨格を形成するものであれば良い。ジイソシアネートまたはトリイソシアネート化合物の骨格となる化合物であることが好ましい。
nは、1〜4の整数であり、2または3であることが好ましい。特に、nが2または3であると、引張強度と引張伸び率のバランスがとれた硬化物が得られる。3を超えると堅くてもろくなり、又2未満だと硬化が不充分になる。
【0032】
イソシアネートオキサゾリジン化合物の具体例としては、
【化9】
Figure 0003907826
などのTDIベース、MDIベース、XDIベース、HDIベースなどの多官能オキサゾリジン等が挙げられ、バイエルン社製のハードナーOZなどの市販品を使用することができる。
【0033】
イソシアネートオキサゾリジン化合物の好ましい他の例は、下記式(D):
【化10】
Figure 0003907826
(式中、R1 は、炭素原子数5以上の脂肪族炭化水素基、R2 は、有機のポリイソシアネートからイソシアネート基を除いて得られる残基、mは1〜6の整数、nは0〜4の整数である。)
で示されるオキサゾリジン化合物である。
【0034】
上記式中、R1 は、炭素原子数5以上、好ましくは炭素原子数5〜15の脂肪族炭化水素基であって、例えば、n−ペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、3,5,5−トリメチルペンチル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デカニル、n−ウンデカニル、n−ドデカニル、n−トリデカニル、n−テトラデカニルなどが挙げられる。なかでも、炭素原子数5〜10の場合が好ましい。そして、R1 の位置の置換基が、2置換基とも脂肪族炭化水素では加水分解が速すぎて、貯蔵安定性が悪い。また、R1 が、芳香族基であると加水分解が遅く、硬化性が悪い。さらに、炭素原子数4以下では比較的加水分解が速くて、貯蔵安定性が悪い。また、従来、オキサゾリジン化合物としてR1 が炭素原子数1〜6のアルキル基である化合物等を開示するものがあるが、具体的にこの範囲内の炭素数の違いによって潜在性硬化剤としての効果の違いを認識している技術はない。
【0035】
2 は、有機のポリイソシアネートからイソシアネート基を除いて得られる残基であって、脂肪族、脂環式、芳香族のいずれでもよい。たとえば、トリレン、ジフェニルメタン、フェニレン、ポリメチレンポリフェニレンなどの芳香族基、ヘキサメチレンなどの脂肪族基、イソホロンなどの脂環式炭化水素基、キシレンなどの芳香族脂肪族基、さらに、これらのカルボジイミド変性基またはイソシアヌレート変性基などが挙げられ、これらの1種または2種以上の組み合わせとして使用される。
【0036】
mは、1〜6の整数、特に、2〜3であるのが、硬化性、硬化物の物性の点で好ましい。また、nは、0〜4の整数、特に、0〜2であるのが、硬化性の点で好ましい。
【0037】
式(c)で示されるイソシアネートオキサゾリジン化合物の製造方法は、
a.ジエタノールアミンと相当するアルデヒドより下記式(E)で示されるN−ヒドロキシエチルオキサゾリジンを合成し、
【化11】
Figure 0003907826
(式中、R1 は、炭素原子数5以上の脂肪族炭化水素である。)
【0038】
b.得られた式(E)で示されるN−ヒドロキシエチルオキサゾリジンと有機ポリイソシアネートとを反応させて合成することができる。予め、N−ヒドロキシエチルオキサゾリジンが入手できている場合は、上記の工程bのみで、所期のイソシアネートオキサゾリジン化合物を得ることができる。
a.の反応は、反応温度70〜150℃、溶媒として、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの有機溶媒の存在下で反応させる。反応終了後、油浴下で、反応混合物を5〜10時間還流させる。
また、b.の反応は、N−ヒドロキシエチルオキサゾリジンと有機ポリイソシアネートとを混合し、60〜90℃で、5〜10時間反応させる。また、必要に応じて、反応の途中で温度を変化させてもよい。
【0039】
使用されるアルデヒドとしては、n−ヘキサナール、2−メチルペンタナール、2−メチルヘプタナール、n−オクタナール、3,5,5−トリメチルヘキサナール、n−デカナール、n−ウンデカナール、n−ドデカナール、n−トリデカナール、n−テトラデカナール、n−ペンタデカナールなどが挙げられ、これらのアルデヒドは、市販品として入手可能である。
【0040】
また、イソシアネートオキサゾリジン化合物を合成するために使用される有機ポリイソシアネートとしては、脂肪族、脂環式、芳香族のいずれも使用可能である。
たとえば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネートなどの脂環式ポリイソシアネート;キシレンジイソシアネートなどの芳香族脂肪族ポリイソシアネート;およびこれらのカルボジイミド変性またはイソシアヌレート変性ポリイソシアネートなどが挙げられ、これらの1種または2種以上の組み合わせとして使用される。
【0041】
上述のようにして得られたイソシアネートオキサゾリジン化合物は、さまざまに物性を調整できる等の特性がある。
【0042】
成分(b)の好ましい他の例は、オキサゾリジンシリルエーテルであり、例えば、(i)水酸基を含有するオキサゾリジンとアルコキシシランとの反応により得られるか、あるいは(ii)水酸基を有するオキサゾリジンとハロゲン化シリル化合物との反応等によって合成することができる。
この内(i)の反応はチタンアルコキシド、アルミニウムアルコキシドあるいは2価の錫化合物(Sn2+)を触媒として40〜160℃で、特に好ましくは80〜140℃で行う。触媒は、そのまま添加しても、あるいはキシレン等の有機溶媒の溶液中に溶かして使用してもよい。このような触媒の使用量は、オキサゾリジン100重量部に対して、0.01〜5重量部、特に0.1〜2重量部であるのが、反応時間、生成物の純度の点で好ましい。
【0043】
このようなオキサゾリジンシリルエーテルは、下記式(F)で示される化合物であるのが好ましい。
【化12】
Figure 0003907826
式中、nは、0〜3の整数である。
【0044】
Rは、水素原子、炭素原子数1〜12個を有するアルキル基、アルコキシアルキル基、脂環基、アルコキシ基、アクリロキシアルキル基、アミノアルキル基またはメルカプトアルキル基、;ビニル基、フェニル基、アミノ基等が挙げられ、例えば、メチル基、エチル基、ビニル基、メタアクリロキシプロピル基、エポキシシクロヘキシル基、グリシドキシプロピル基、アミノエチル基、アミノプロピル基、フェニル基、アミノ基、メルカプトプロピル基が例示される。nが、2以上の場合、R基は、各々独立に別の基であっても、同一の基であってもよい。
【0045】
2 は炭素数2または3のアルキル基、特に、エチル基、イソプロピル基であるのが好ましい。
3 は水素原子またはメチル基であるのが好ましい。
4 ,R5 は、各々独立に、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基である。さらに、炭素原子数3〜12であるのが好ましく、具体的には、イソプロピル基、イソペンチル基、フェニル基、例えばメトキシフェニル基などのアルコキシフェニル基が挙げられ、中でもR4 、R5 の内の一方が、水素原子であるのが、貯蔵安定性、硬化性の点で好ましい。
【0046】
具体例は、下記式で示されるオキサゾリジンシリルエーテル化合物(1)〜(7)等が挙げられる。
【0047】
【化13】
Figure 0003907826
【0048】
さらに本発明の成分(b)として好適に用いられるオキサゾリジン化合物は、下記式(8)で示される化合物である。
【化14】
Figure 0003907826
【0049】
ここでR6 は炭素数1以上の直鎖状または分岐鎖を有する脂肪族炭化水素基であり、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキレン基を示す。
また、R7 およびR8 は、各々独立に水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を示す。
これらの好ましい具体例を以下に示す。
【0050】
【化15】
Figure 0003907826
【0051】
本発明の組成物に添加する(b)オキサゾリジン化合物の量は、(a)エポキシ樹脂100重量部に対して、1〜50重量部であり、好ましくは5重量部以上であり、特に10重量部以上であるのが好ましい。
オキサゾリジン化合物は湿気(水)の存在下で開環しイミノ基と水酸基を生成し、エポキシ基と反応して硬化反応を触媒する。さらに、酸を添加することにより開環反応が促進される。
【0052】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、(c)チタン酸エステルおよびオルトギ酸エステルから選ばれる少なくとも1つの加水分解性エステル化合物を使用する。
【0053】
チタン酸エステルは下記一般式(12)で表される化合物である。
Ti(OR)4 (12)
式(12)におけるRはアルキル基またはアリール基を表す。
【0054】
オルトギ酸エステルは下記一般式(13)で表される化合物である。
【化16】
Figure 0003907826
ここでR9 、R10、およびR11はアルキル基またはアリール基を表す。
オルトギ酸エステルとしては、オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル等が例示できる。
【0055】
本発明の組成物に添加する(c)加水分解性エステル化合物の量は、(a)エポキシ樹脂100重量部に対して、1〜25重量部であるが、好ましくは2〜20重量部であり、特に5〜15重量部であることが好ましい。
【0056】
加水分解性エステル化合物は、加水分解することにより酸を供給し、これによりオキサゾリジン環の開環反応の触媒として作用しうる。本発明の組成物に加水分解性エステル化合物を添加することにより、硬化時に酸を供給することができ、貯蔵安定性を損なわずに組成物の硬化を促進することができる。
【0057】
本発明に使用する(d)有機ビスマスカルボキシレート化合物は下記一般式(14)で表される。
【化17】
Figure 0003907826
ここでR12、R13、およびR14は水素原子、炭素原子数1個を有するアルキル基、アルコキシアルキル基、脂環基、アルコキシ基、アクリロキシアルキル基等が例示される。
【0058】
本発明の組成物に添加する(d)有機ビスマスカルボキシレート化合物の量は(a)エポキシ樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部であるが、好ましくは0.1〜5重量部であり、特に1〜5重量部であることが好ましい。
【0059】
有機ビスマスカルボキシレート化合物はエポキシ樹脂に対しはアミン系硬化剤に類似した作用を示し、オキサゾリジン化合物に対しては開環促進剤として作用する。このため本発明の組成物成分として有機ビスマスカルボキシレート化合物を使用することによって効果的に硬化反応を促進することができる。
【0060】
本発明に用いる(e)カルボジイミド化合物は、下記一般式(15)で表される化合物である。
【化18】
Figure 0003907826
【0061】
ここで、R15およびR16は、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基、アルキル基で置換されていてもよいアリール基、脂環式アルキル基、アルキル基で置換された脂環式アルキル基または複素環を含むアルキレン基である。複素環を含むアルキレン基は複素環中に窒素原子と酸素原子を含み、アルキレン基は炭素数1〜2であることが好ましい。シクロヘキシル基、トルイル基、モルフォリノアルキル基等であることが好ましく、さらに好ましくは、シクロヘキシル基、p−トルイル基、モルフォリノエチル基、2,4−または2,6−ジイソプロピルフェニル基である。
【0062】
こうした反応に使用されるカルボジイミド化合物としては、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DDC)、1−シクロヘキシル−3−(2−モルフォリノエチル)カルボジイミド、N,N’−p−トルオイルカルボジイミド、N,N’−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド(スタバクゾールI)、スタバクバールPCD等が挙げられる。
【0063】
本発明の組成物に使用する(e)カルボジイミド化合物の量は、(a)エポキシ樹脂100重量部に対して、1〜25重量部であるが、好ましくは1〜50重量部であり、特に1〜5重量部であることが好ましい。
【0064】
カルボジイミド化合物は水と遊離の酸を捕捉し、本組成物中では貯蔵安定化に寄与する。
カルボジイミド化合物は、反応性に富み、特にアミノ酸誘導体あるいはペプチド誘導体間のアミド結合形成やリン酸モノエステルあるいはジエステル間の脱水縮合、カルボン酸とヒドロキシ化合物間の脱水縮合を温和な条件下で促進する。
【0065】
本発明の組成物は(a)エポキシ樹脂、(b)オキサゾリジン化合物、および、(c)加水分解性エステル化合物からなり、さらに、(d)有機ビスマスカルボキシレート化合物を含有してもよく、(e)カルボジイミド化合物を含有してもよく、また、(d)と(e)を同時に含有してもよい。
【0066】
本発明の組成物は、以上の化合物のほかに、本発明の硬化を損なわない範囲で充填剤、老化防止剤、顔料、溶剤などを含有してもよい。
充填剤としては、カーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化チタン、シリカ、水酸化アルミニウムなどが例示される。老化防止剤としては、ヒンダードアミン系、ヒンダードフェノール系などが例示される。顔料としては、カーボンブラック、酸化亜鉛等が例示される。溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)等が例示される。
【0067】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、(a)エポキシ樹脂、(b)オキサゾリジン化合物、および、(c)加水分解性エステル化合物、さらに必要に応じて(d)有機ビスマスカルボキシレート化合物、(e)カルボジイミド化合物、およびその他の必要な添加剤を常法により混合することにより製造され、密封容器に保存される。好ましくは、エポキシ樹脂を加熱減圧下脱水処理し、その後その他の成分を減圧下もしくはN2 置換雰囲気下の条件で混練する。
使用時に空気中の湿気により硬化させる。
【0068】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0069】
(実施例1〜6、実施例1〜2)
(1)エポキシ樹脂
下記表1に示す割合で、原料成分を混合し、各種のエポキシ樹脂組成物を製造した。
【0070】
(2)評価
(1)で製造したエポキシ樹脂組成物それぞれについて、下記の評価を行い、結果を下記表1に示した。
(i)タックフリータイム(T.F.T.)
タックフリータイムは、得られた各組成物を、縦100mm×横100mm×厚さ5mmのシート状に成形し、シート状成形物を指で押さえても成形物が指に付かなくなるまでの時間(時)を測定した。
(ii)粘度
初期粘度はB型粘度計を用いて測定した。また、20℃×4週間の粘度は、20℃で4週間貯蔵した後、B型粘度計を用いて測定した。
【0071】
【表1】
Figure 0003907826
【0072】
注)表中、各成分の量は重量部を表す。
また、表中の組成物成分は以下のとおりである。
エピコ−ト828
油化シェル化学社製のビスフェノール型エポキシ樹脂(エポキシ当量184〜194)
フレップ60
東レチオコール社製のポリサルファイド変性エポキシ樹脂
オキサゾリンI
前記式(9)で表される化合物
オキサゾリンII
ANGUS社製,MS−PLUS
化学構造式は前記式(10)で表される。
オルトギ酸エステル
日宝化学社製のパーマフローOF
チタン酸エステル
日本曹達(株)社製のTPT−100
有機ビスマスカルボキシレート化合物
日東化成(株)社製のCOSCAT#83
カルボジイミド
バイエル社製のスタバクゾールI
ケチミン
油化シェルエポキシ(株)社製のH−3
【0073】
【発明の効果】
本発明の一液室温硬化型エポキシ樹脂組成物は優れた硬化性と貯蔵安定性を有する。

Claims (10)

  1. (a)1分子内に平均2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、
    (b)オキサゾリジン化合物、および、
    (c)加水分解性エステル化合物としてのチタン酸エステル
    を含有し、前記(a)エポキシ樹脂100重量部に対して、前記(b)オキサゾリジン化合物が1〜50重量部、前記チタン酸エステルが1〜25重量部であるエポキシ樹脂組成物。
  2. さらに、(d)有機ビスマスカルボキシレート化合物を、前記(a)エポキシ樹脂100重量部に対して、0.01〜10重量部含有する請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 前記(d)有機ビスマスカルボキシレート化合物が、下記式(14)で表される化合物である請求項1または2に記載のエポキシ樹脂組成物。
    Figure 0003907826
    (式中、R 12 、R 13 、およびR 14 は水素原子、炭素原子数1個を有するアルキル基、アルコキシアルキル基、脂環基、アルコキシ基、アクリロキシアルキル基である。)
  4. さらに、(e)カルボジイミド化合物を、前記(a)エポキシ樹脂100重量部に対して、1〜25重量部含有する請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. さらに、(c)加水分解性エステル化合物としてのオルトギ酸エステルを、前記(a)エポキシ樹脂100重量部に対して、1〜25重量部含有する請求項1〜4のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. (a)1分子内に平均2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂100重量部に対して、
    (b)オキサゾリジン化合物1〜50重量部と、
    (c)加水分解性エステル化合物としてのオルトギ酸エステル1〜25重量部と、
    (e)カルボジイミド化合物1〜25重量部とを含有するエポキシ樹脂組成物。
  7. 前記(e)カルボジイミド化合物が、N,N′−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DDC)、1−シクロヘキシル−3−(2−モルフォリノエチル)カルボジイミド、N,N′−p−トルオイルカルボジイミドおよびN,N′−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項4または6に記載のエポキシ樹脂組成物。
  8. 前記オルトギ酸エステルが、オルトギ酸メチルまたはオルトギ酸エチルである請求項5または6に記載のエポキシ樹脂組成物。
  9. 前記オキサゾリジン化合物が、N−ヒドロキシアルキルオキサゾリジン、前記N−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンのポリイソシアネート付加物、オキサゾリジンシリルエーテル、カーボネートオキサゾリジン、エステルオキサゾリジンおよび下記式(8)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜8のいずれかに記載 のエポキシ樹脂組成物。
    Figure 0003907826
    (式中、R 6 は炭素数1以上の直鎖状または分岐鎖を有する脂肪族炭化水素基であり、R 7 およびR 8 は、各々独立に水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を示す。)
  10. 前記式(8)で表される化合物が、下記式(9)〜下記式(11)からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項9に記載のエポキシ樹脂組成物。
    Figure 0003907826
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