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JP3911104B2 - 光情報記録再生装置の光学系 - Google Patents
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JP3911104B2 - 光情報記録再生装置の光学系 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、保護層の厚さが異なる複数種類の光ディスクに対する記録/再生が可能な光情報記録再生装置の光学系に関する。
【0002】
【従来の技術】
光情報記録再生装置の光学系には、半導体レーザーから発する発散光をコリメートレンズにより平行光にして対物レンズで収束させる無限系と、半導体レーザーから発する発散光を直接対物レンズで収束させる有限系とがある。
【0003】
有限系は、部品点数を削減し、光学系の小型化を図ることができるため、従来から、CD(コンパクトディスク)専用の光学系としては有限系が多く利用されている。CD用の有限光学系では、対物レンズの結像倍率が−0.25倍〜−0.17倍に設定されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、有限系の場合には、対物レンズのフォーカシング、トラッキングにより発生する軸上、軸外の収差を、単一種類の光ディスクに特化して小さく抑えることはできるが、例えばCDとDVD(デジタルバーサタイルディスク)等の保護層の厚さが異なる複数種類の光ディスクに対して対物レンズを共用する場合には、全ての光ディスクに対して収差を良好に抑えることはできない。特に、従来のCD用に設計された対物レンズのような結像倍率では、例えばDVD利用時に収差が著しく劣化して記録、再生を妨げる原因となる。
【0005】
この発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、保護層の厚さが異なる複数の光ディスクに対物レンズを共用する有限系の構成において、いずれの光ディスクに対しても収差の発生を許容レベルに抑えることができる光情報記録再生装置の光学系を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明にかかる光情報記録再生装置の光学系は、上記の目的を達成させるため、異なる波長で発光する複数の発光点が近接して形成された発光部と、この発光部からの発散光を光ディスクの記録面に収束させる対物レンズと、記録面からの反射光を受光して信号を生成する受光部とを備え、保護層の厚い光ディスクに対して波長の長い発光点、保護層の薄い光ディスクに対して波長の短い発光点が用いられ、かつ、対物レンズの結像倍率Mが以下の条件(1)
−0.144<M<−0.099 …(1)
を満た満たし、さらに、前記対物レンズは、いずれかのレンズ面に、入射光の波長が長波長側に変化した際に、球面収差が補正不足となる方向に変化する球面収差特性を有する回折レンズ構造を備えることを特徴とする。
【0007】
上記の構成によれば、保護層の異なる複数種類の光ディスクの全てに対して、発生する収差を許容レベルに抑え、良好なスポットを各光ディスクの記録面に形成することができる。また、光ディスクの保護層により発生する球面収差は、保護層の厚さが厚くなるほど補正過剰となるため、回折レンズ構造に上記のような球面収差特性を持たせることにより、保護層の厚さの変化による球面収差の変化を、発光点の切り換えによる波長の変化によって打ち消し合わせることができる。
【0008】
また、保護層の厚い光ディスクに対しては波長の長い発光点から発する光束を用いて対物レンズを光ディスクに近づけ、保護層の薄い光ディスクに対しては波長の短い発光点から発する光束を用いて対物レンズを光ディスクから離すようフォーカシングすることができる。このとき、各発光点から記録面を保護する保護層までの距離が光ディスクの種類によらず一定であることが望ましい。
【0009】
ただし、保護層の厚さが変化すると球面収差が変化するため、対物レンズを光軸方向に移動させるのみではレーザー光の波面が乱れ、スポットを必要な径に収束させることができない。そこで、上記のように波長に依存して球面収差が変化する特性を対物レンズに持たせ、球面収差を打ち消し合わせている。
【0011】
発光部は、2つの発光点を1チップ上に備えるものを利用することができ、この場合、受光部も発光部と同一の基板上に設けられていることが小型化の上で望ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明にかかる光情報記録再生装置の光学系の実施形態を説明する。図1(A)は、実施形態にかかるDVD、CD、CD−R互換の光情報記録再生装置の光学系を示す説明図、図1(B)はこの装置に使用されるレーザーモジュールを拡大して示した平面図である。
【0013】
光情報記録再生装置の光学系は、発光部及び受光部の機能を併せ持つレーザーモジュール10と、このレーザーモジュール10から発する発散光であるレーザー光を光ディスク30、31の記録面に収束させる対物レンズ20とから構成される有限系である。
【0014】
レーザーモジュール10は、「日経エレクトロニクス1999.6.28 (no.746)」の29-30ページに記載されたものと同様であり、シリコン基板11上に1チップの半導体レーザー12と、プリズム13と、受光部を構成する2つの受光素子14a,14bとを搭載している。半導体レーザー12は、1チップ上に種類の異なる2つの活性層を形成して構成され、658nmのレーザー光を出力する第1の発光点12aと、787nmのレーザー光を出力する第2の発光点12bとを備えている。両発光点の間隔は約100μmである。
【0015】
第1の発光点12a、あるいは第2の発光点12bから発したレーザー光は、プリズム13に形成された45°の斜面で反射され、発散光として対物レンズ20に入射し、対物レンズ20により収束光とされて光ディスク30、31の記録面に収束される。対物レンズ20は、図示しない公知のフォーカシング機構によりその光軸方向に移動可能であり、かつ、トラッキング機構により光ディスクの半径方向にも移動可能である。
【0016】
以下、DVD等の保護層が薄く(0.6mm)記録密度が高い光ディスク30を「第1の光ディスク」として図中では実線で示し、CD,CD−R等の保護層が厚く(1.2mm)記録密度が低い光ディスク31を「第2の光ディスク」として図中では破線で示す。第1の光ディスク30を使用する際には、小さいビームスポットを作るために第1の発光点12aから発した波長658nmのレーザー光L1が用いられ、第2の光ディスク31を利用する際には、CD−Rの分光反射率を考慮して第2の発光点12bから発した波長787nmのレーザー光L2が用いられる。
【0017】
各光ディスク30、31は、対物レンズ20側の面を図示しないターンテーブルに接する状態でターンテーブルに載せられて回転駆動され、かつ、2つの発光点12a,12bは光の進行方向に関しては同一位置に配置されているため、発光点から保護層までの距離は光ディスクの種類によらず一定である。ただし、記録面の位置は保護層の厚さに応じて変化するため、この変化にレーザー光の集光位置を追随させるよう対物レンズ20がフォーカシングされる。
【0018】
すなわち、第1の光ディスク30の記録/再生時には、対物レンズ20は図1(A)中に実線で示した位置に配置され、第1の発光点12aから発した波長658nmのレーザー光L1(実線で示される)を第1の光ディスク30の記録面に収束させる。一方、第2の光ディスク31の再生時には、対物レンズ20は図中破線で示したように、相対的に光ディスク31に近づいた位置に配置され、第2の発光点12bから発した波長787nmのレーザー光L2(破線で示される)を第2の光ディスク31の記録面に収束させる。
【0019】
記録面からの反射光は、対物レンズ20を介し収束光となってレーザーモジュール10に戻り、その一部がプリズム13の斜面を透過してプリズム13内で2回裏面反射され、第1、第2の受光素子14a,14bのいずれかに入射する。第1の発光点12aから発したレーザー光は、第1の受光素子14aに入射し、第2の発光点12bから発したレーザー光は第2の受光素子14bに入射する。各受光素子14a,14bは、それぞれ複数の受光領域を有する公知の多分割素子であり、各領域の受光量が演算されることにより、光ディスク30,31に記録された情報の再生信号、フォーカシングエラー信号、トラッキングエラー信号等の信号が生成される。
【0020】
対物レンズ20の結像倍率Mは、以下の条件(1)
−0.144<M<−0.099 …(1)
を満たすように設定されている。図1に示すような有限系の光学系では、対物レンズ20の結像倍率Mがフォーカシング、トラッキング時に発生する諸収差に大きく影響する。
【0021】
ここで、倍率Mは、対物レンズ20から光ディスク30,31の記録面までの光学距離a(正の値)を光源(発光点12a,12b)から対物レンズ20までの光学距離b(負の値)で割った値a/bであり、負の符号をもつ。|a|<|b|であるため、「倍率が大きい」とは0に近いこと、すなわちが|b|大きいこと、「倍率が小さい」とは絶対値が大きいこと、すなわち|b|が小さいことをいう。
【0022】
有限系では、フォーカシングのために対物レンズ20を光軸方向に移動させると球面収差が変動する。利用される光ディスク30,31の保護層の厚さと、光ディスク30,31の切換に対応したフォーカシングによる対物レンズ20の移動量とが決まると、球面収差の発生量は倍率Mのみの関数となり、倍率Mが大きいほど球面収差の変化が小さくなるため、球面収差補正のためには倍率は大きい方が望ましい。
【0023】
また、対物レンズ20のみを光軸に垂直な方向に移動させてトラッキング制御すると、コマ収差や非点収差等の軸外の収差が発生する。軸外の収差の発生量は保護層の厚さにより変化するため、実施形態のように単一の対物レンズ20で保護層の厚さが異なる2種類の光ディスク30,31に対応する場合、両方の光ディスク30,31に対して軸外の収差を共に補正することはできない。軸外の収差も、倍率Mが小さいほど大きくなるため、2種類の光ディスクに対して軸外収差の発生量を抑えるためにも倍率Mは大きい方が望ましい。
【0024】
具体的には、CDはディスク面が1mm程度は光軸方向にぶれるため、1mm程度のフォーカシングで収差が許容レベルを超えてはならない。また、トラッキングの対物レンズの移動幅としては±0.4mm程度が必要である。条件(1)の下限は、フォーカシング時の球面収差による波面収差の許容レベル、トラッキング時のコマ収差、非点収差による波面収差の許容レベルをいずれも0.05λとし(RMS値、λ:波長)、1mmのフォーカシングで波面収差が0.05λとなる倍率、0.4mmのトラッキングで波面収差が0.05λとなる倍率として後述の実施例から導かれている。
【0025】
一方、対物レンズ20に有効にレーザー光を取り込ませるため、あるいは、光学系の小型化のためには、倍率Mは小さい方が望ましい。条件(1)の上限は、下限の倍率設定において対物レンズ20に取り込まれる光量を基準として、上限の倍率設定における光量が約1/2を下回らないように定められている。
【0026】
次に、対物レンズ20について説明する。図2は、対物レンズ20を示す説明図であり、(A)は正面図、(B)は側面から見た断面図、(C)は(B)の一部拡大図である。対物レンズ20は、非球面である2つのレンズ面21,22を有する両凸の樹脂製単レンズであり、一方のレンズ面21に図2(A)に示したように光軸を中心とした輪帯状のパターンとして回折レンズ構造21aが形成されている。回折レンズ構造21aは、フレネルレンズのように各輪帯の境界に光軸方向の段差を持つ。
【0027】
第1の光ディスク30と第2の光ディスク31とを切り換えると、保護層の厚さが変化するため、これによって球面収差が変化する。保護層の厚さの変化による球面収差の変化は、保護層が厚くなるほど補正過剰(オーバー)となる方向である。また、発散光中で対物レンズ20をフォーカシングのために光軸方向に移動させると、これによっても球面収差が変化する。対物レンズ20の移動による球面収差の変化は、対物レンズ20がレーザーモジュール10から遠ざかり光ディスク30、31側に近づくにしたがって(物体距離が長くなるにしたがって)補正過剰となる方向である。
【0028】
したがって、第1の光ディスク30を用いる場合を基準に対物レンズ20の球面収差が補正され、回折レンズ構造21aが形成されていないとすると、第2の光ディスク31を用いる際には、保護層が厚くなることと、対物レンズ20が光ディスク側に移動して物体距離が長くなることとにより、球面収差は補正過剰となる。このため、屈折型の対物レンズを光軸方向に移動させるのみではレーザー光の波面が乱れ、スポットを必要な径に収束させることができない。
【0029】
そこで、実施形態の対物レンズ20には、波長に依存して球面収差が変化する特性を持たせるよう、回折レンズ構造21aが形成されている。回折レンズ構造21aは、波長が長くなるにしたがって球面収差が補正不足(アンダー)となるような波長依存性を有し、これにより、第2の光ディスク31を用いる際にも良好な波面を形成することができる。
【0030】
【実施例】
次に、上述した実施形態に基づく具体的な実施例を2例提示する。レーザーモジュール10は共通であるため、対物レンズ20部分の構成について説明する。いずれも保護層の厚さが0.6mmの第1の光ディスク30と、保護層の厚さが1.2mmの第2の光ディスク31とを利用する光情報記録再生装置の対物レンズである。なお、いずれの実施例でも、第1面21に回折レンズ構造が形成されている。
【0031】
【実施例1】
図3は、実施例1にかかる対物レンズ20と第1,第2の光ディスク30,31とを示す。実線で示される第1の光ディスク30を利用する際には、対物レンズ20は実線で示されるように光ディスク30から離れた位置に配置され、破線で示される第2の光ディスク31を利用する際には、対物レンズ20は破線で示されるように光ディスク31に近づいた位置に配置される。なお、図中の符号Gで示される平行平面板は、レーザーモジュール10に取り付けられるカバーガラスを示す。
【0032】
実施例1の対物レンズの具体的な数値構成は表1に示されている。面番号0が発光点、面番号1、2がカバーガラスG、面番号3,4が対物レンズ20、面番号5、6が媒体である光ディスクの保護層を示している。表中、λ1、NA1、M1、d1は、それぞれ第1の光ディスク30使用時の波長(単位:nm)、開口数、倍率、レンズ厚またはレンズ間隔(単位:mm)であり、λ2、NA2、M2、d2は、それぞれ第2の光ディスク31使用時の波長(単位:nm)、開口数、倍率、レンズ厚またはレンズ間隔(単位:mm)であり、rはレンズ各面の巨視的な近軸曲率半径(単位:mm)、nλは各レンズの波長λnmでの屈折率である。
【0033】
また、対物レンズ20の第1面21のベース面(回折レンズ構造を除く屈折レンズとしての形状)および第2面22は非球面であり、その形状は光軸からの高さがhとなる非球面上の座標点の非球面の光軸上での接平面からの距離(サグ量)をX(h)、非球面の光軸上での曲率(1/r)をC、円錐係数をK、4次、6次、8次、10次、12次の非球面係数をA4,A6,A8,A10,A12として、以下の式で表される。
X(h)=Ch2/(1+√(1-(1+K)C2h2))+A4h4+A6h6+A8h8+A10h10+A12h12
なお、表1における非球面の曲率半径は光軸上の曲率半径である。
【0034】
さらに、対物レンズ20の第1面21に形成された回折レンズ構造は、以下の光路差関数φ(h)により表される。
φ(h)=(P22+P44+P66+…)×λ
光路差関数φ(h)は、回折面上での光軸からの高さhの点において、回折レンズ構造により回折されなかった場合の仮想の光線と、回折レンズ構造により回折された光線との光路差を示す。P2、P4、P6、…はそれぞれ2次、4次、6次、…の係数である。非球面を規定する円錐係数と非球面係数、及び、回折レンズ構造を規定する光路差関数係数は、表2に示される。
【0035】
【表1】
Figure 0003911104
【0036】
【表2】
Figure 0003911104
【0037】
図4は実施例1の対物レンズ20を第1の光ディスク30に適応させた場合の波長658nmにおける基準状態(フォーカシング、トラッキングによる調整量が共に0の状態)での諸収差を示す。図4(A)は球面収差SAおよび正弦条件SC、(B)は非点収差(S:サジタル、M:メリディオナル)を示している。グラフ(A)の縦軸は開口数NA、(B)の縦軸は像高Yである。また、横軸は各収差の発生量を示し、単位はmmである。図5は、実施例1の対物レンズ20を第1の光ディスク30に適応させ、光ディスク30が光軸方向に移動し、これに合わせて対物レンズ20をフォーカシングした場合の球面収差及び正弦条件を示し、(A)は光ディスク30がレーザーモジュール10から離れる方向に1mm移動した場合(+1mm)、(B)は近づく方向に1mm移動した場合(-1mm)を示している。
【0038】
さらに、図6は実施例1の対物レンズ20を第2の光ディスク31に適応させた場合の波長787nmにおける基準状態における諸収差を示し、図7は実施例1の対物レンズ20を第2の光ディスク31に適応させ、光ディスク31が光軸方向に移動し、これに合わせて対物レンズ20をフォーカシングした場合の球面収差及び正弦条件を示す。
【0039】
各光ディスク30,31に対する基準状態、及び、光ディスク30,31が±1mm移動した場合の波面収差の値を以下の表3に示す。
【0040】
【表3】
第1の光ディスク
基準状態 0.005λ
+1mm 0.027λ
−1mm 0.026λ
第2の光ディスク
基準状態 0.002λ
+1mm 0.009λ
−1mm 0.007λ
【0041】
表3に示される光ディスク30,31の面ぶれ1mmによる波面収差の劣化量は、波面収差の許容レベルを0.050λとすると、実施例1の倍率(約−0.1倍)では充分に許容範囲内にある。
【0042】
次に、実施例1の光学系のトラッキングによる収差の劣化について検討する。図8は、実施例1の光学系における像高(光ディスクの記録面上での光軸からの距離)yと、波面収差との関係を示すグラフであり、実線が第1の光ディスク30,一点鎖線が第2の光ディスク31に対する値を示す。
【0043】
このグラフによれば、波面収差の値が0.05λになる像高yは、第1の光ディスク30に対しては0.0571mm、第2の光ディスク31に対しては0.0899mmである。トラッキングによる波面収差の劣化が0.05λまで許容されるとすると、上記の各像高までは許容されることになる。対物レンズ20のトラッキング可能幅Xは、この像高yと倍率Mとに基づいて、
X=y(1−1/M)
により求められる。
【0044】
上の式によれば、倍率を考慮したトラッキング可能幅は、第1の光ディスク30に対して(倍率 -0.1002倍)は±0.627mm、第2の光ディスク31に対しては(倍率 -0.1009倍)は±0.981mmとなり、一般的に必要とされるトラッキング幅±0.4mmを充分に満たしている。
【0045】
【実施例2】
図9は、実施例2にかかる対物レンズ20と第1,第2の光ディスク30,31とを示す。対物レンズ20は第1の光ディスク30の使用時には実線の位置にあり、第2の光ディスク31の使用時には破線の位置に配置される。実施例2の具体的な数値構成は表4に示されている。第1面、第2面の円錐係数、非球面係数、第1面に形成された回折レンズ構造を表す光路差関数係数は表5に示される。
【0046】
【表4】
Figure 0003911104
【0047】
【表5】
Figure 0003911104
【0048】
図10は実施例2の対物レンズ20を第1の光ディスク30に適応させた場合の波長658nmにおける基準状態での諸収差を示し、(A)は球面収差SAおよび正弦条件SC、(B)は非点収差を示す。図11は、実施例2の対物レンズ20を第1の光ディスク30に適応させ、光ディスク30が光軸方向に移動し、これに合わせて対物レンズ20をフォーカシングした場合の球面収差及び正弦条件を示し、(A)は光ディスク30がレーザーモジュール10から離れる方向に1mm移動した場合(+1mm)、(B)は近づく方向に1mm移動した場合(-1mm)を示している。
【0049】
さらに、図12は実施例2の対物レンズ20を第2の光ディスク31に適応させた場合の波長787nmにおける基準状態における諸収差を示し、図13は実施例2の対物レンズ20を第2の光ディスク31に適応させ、光ディスク31が光軸方向に移動し、これに合わせて対物レンズ20をフォーカシングした場合の球面収差及び正弦条件を示す。
【0050】
各光ディスク30,31に対する基準状態、及び、光ディスク30,31が±1mm移動した場合の波面収差の値を以下の表6に示す。
【表6】
第1の光ディスク
基準状態 0.003λ
+1mm 0.049λ
−1mm 0.056λ
第2の光ディスク
基準状態 0.002λ
+1mm 0.014λ
−1mm 0.018λ
【0051】
表3に示される光ディスク30,31の面ぶれ1mmによる波面収差の劣化量は、波面収差の許容レベルを0.050λとすると、実施例2の倍率(約−0.14倍)では第1の光ディスク30については許容範囲の限界にある。
【0052】
次に、実施例2の光学系のトラッキングによる収差の劣化について検討する。図14は、像高yと波面収差との関係を示すグラフであり、実線が第1の光ディスク30,一点鎖線が第2の光ディスク31に対する値を示す。
【0053】
このグラフによれば、波面収差の値が0.05λになる像高yは、第1の光ディスク30に対しては0.0534mm、第2の光ディスク31に対しては0.0937mmである。トラッキングによる波面収差の劣化が0.05λまで許容されるとすると、上記の各像高までは許容されることになる。倍率を考慮したトラッキング可能幅は、第1の光ディスク30に対して(倍率 -0.1432倍)は±0.434mm、第2の光ディスク31に対しては(倍率 -0.1418倍)は±0.754mmとなり、一般的に必要とされるトラッキング幅±0.4mmを満たしている。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、有限系で保護層の厚さが異なる複数種類の光ディスクに対して対物レンズを共用する構成において、対物レンズがフォーカシング、トラッキングのために移動した場合にも、全ての種類の光ディスクに対して発生する収差を許容レベルに抑え、情報の記録、再生が可能なスポットを記録面上に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態にかかる光情報記録再生装置の光学系を示し、(A)は全体の説明図、(B)はレーザーモジュールの平面図。
【図2】 実施形態にかかる対物レンズの外形を示す説明図であり、(A)は正面図、(B)は側面断面図、(C)は(B)の一部拡大図。
【図3】 実施例1の対物レンズと光ディスクとを示すレンズ図。
【図4】 実施例1の対物レンズを第1の光ディスクに適用した際の基準状態における諸収差図。
【図5】 実施例1の対物レンズを第1の光ディスクに適応させ、光ディスクが光軸方向に移動し、これに合わせて対物レンズをフォーカシングした場合の収差図。
【図6】 実施例1の対物レンズを第2の光ディスクに適用した際の基準状態における諸収差図。
【図7】 実施例1の対物レンズを第2の光ディスクに適応させ、光ディスクが光軸方向に移動し、これに合わせて対物レンズをフォーカシングした場合の収差図。
【図8】 実施例1の光学系における像高と、波面収差との関係を示すグラフ。
【図9】 実施例2の対物レンズと光ディスクとを示すレンズ図。
【図10】 実施例2の対物レンズを第1の光ディスクに適用した際の基準状態における諸収差図。
【図11】 実施例2の対物レンズを第1の光ディスクに適応させ、光ディスクが光軸方向に移動し、これに合わせて対物レンズをフォーカシングした場合の収差図。
【図12】 実施例2の対物レンズを第2の光ディスクに適用した際の基準状態における諸収差図。
【図13】 実施例2の対物レンズを第2の光ディスクに適応させ、光ディスクが光軸方向に移動し、これに合わせて対物レンズをフォーカシングした場合の収差図。
【図14】 実施例2の光学系における像高と、波面収差との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
10 レーザーモジュール
12 発光部
12a 第1の発光点
12b 第2の発光点
14a 第1の受光部
14b 第2の受光部
20 対物レンズ
21 第1面
22 第2面
30 第1の光ディスク
31 第2の光ディスク

Claims (5)

  1. 異なる波長で発光する複数の発光点が近接して形成された発光部と、該発光部からの発散光を光ディスクの記録面に収束させる対物レンズと、前記記録面からの反射光を受光して信号を生成する受光部とを備え、
    保護層の厚い光ディスクに対して波長の長い発光点、保護層の薄い光ディスクに対して波長の短い発光点が用いられ、かつ、前記対物レンズの結像倍率Mが以下の条件(1)
    −0.144<M<−0.099 …(1)
    を満たし、さらに、前記対物レンズは、いずれかのレンズ面に、入射光の波長が長波長側に変化した際に、球面収差が補正不足となる方向に変化する球面収差特性を有する回折レンズ構造を備えることを特徴とする光情報記録再生装置の光学系。
  2. 前記保護層の厚い光ディスクに対しては波長の長い発光点から発する光束を用いて前記対物レンズを前記光ディスクに近づけ、前記保護層の薄い光ディスクに対しては波長の短い発光点から発する光束を用いて前記対物レンズを前記光ディスクから離すようフォーカシングすることを特徴とする請求項1に記載の光情報記録再生装置の光学系。
  3. 前記各発光点から前記記録面を保護する保護層までの距離が光ディスクの種類によらず一定であることを特徴とする請求項1に記載の光情報記録再生装置の光学系。
  4. 前記発光部は、2つの発光点を1チップ上に備えることを特徴とする請求項1に記載の光情報記録再生装置の光学系。
  5. 前記受光部は、前記発光部と同一の基板上に設けられていることを特徴とする請求項に記載の光情報記録再生装置の光学系。
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