JP3912838B2 - 洗濯方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、洗濯方法に関する。更に詳しくは、予め洗剤組成物を溶解させて得られる洗濯液と被洗濯物とを接触させることを特徴する、洗剤組成物の有する洗浄力を充分発揮させることができる洗濯方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に衣料用に使用される洗剤組成物は、繊維表面の界面張力を低下させ、汚れの洗濯液中への可溶化や分散を促進させる為の界面活性剤と、繊維を膨潤させ、加えて汚れの洗濯液中への分散性を助長するアルカリ剤、水道中のカルシウムイオンやマグネシウムイオン等の硬度成分による影響を無くすための金属イオン封鎖剤、並びにその他添加物より構成されている。
【0003】
一方、洗剤組成物の形態としては、液体、ぺースト、粉末ないし塊状等のあらゆる形態がこれまで提案されており、それぞれの形態に応じた組成、並びに製造方法が検討され、数多くの出願がなされてきた。
【0004】
しかしながら、その組成と形態との関係について検討されたものは少なく、溶解性や粉末物性の向上のために特定の成分を分けて配合する以外は、製造方法やそれに費やすコストを考慮した場合、通常、洗剤組成物を構成している洗剤成分は同一媒体中に存在させることが一般的である。例えば、液体洗剤組成物については言うまでもなく、粉末ないし塊状の洗剤組成物については、加熱により劣化する成分(例えば、香料、酵素又は漂白剤)を除いた成分のスラリーを乾燥、冷却、粉砕、造粒、打錠等の処理を行うことにより容易に得ることができる。
【0005】
このように、一般の洗剤組成物は、金属イオン封鎖剤とアルカリ剤が同一媒体内に存在しているため、かかる洗剤組成物を水に溶解及び/又は分散させた場合、アルカリ剤と水との反応よるアルカリ能の発現よりも、金属イオン封鎖剤と水中のカルシウムイオンやマグネシウムイオンとの反応の方が速度的に遅い。そのために、洗濯液の硬度の低下速度は遅く、一方で洗濯液がアルカリ性を呈する速度は極めて速いことが考えられる。
【0006】
ところで、人体由来の皮脂汚れはその大半において、脂肪酸を含有している。洗浄中において、洗濯液中のカルシウムイオン、マグネシウムイオンは界面活性剤の界面活性能を低下させる以外に汚れの水中への分散を防げる原因になる。これは、上記汚れ中の脂肪酸とカルシウムイオン、マグネシウムイオンとの反応により、溶解性の低いスカムが形成されることによる。
【0007】
特に我々は、脂肪酸とカルシウムイオン及びマグネシウムイオンとのスカム形成速度が洗濯液のアルカリ度(pH)の高い時ほど速くなることに気づいた。これは、汚れ中の脂肪酸とカルシウムイオンやマグネシウムイオンとの反応速度よりも、アルカリ剤によってイオン化した脂肪酸とこれらのイオンとの反応速度の方が大きいことによるものと考えられる。従って、通常の洗濯を行う上で、洗濯液のアルカリ性化が洗濯液の硬度の低下よりも速い状況では、汚れ表面でのスカムの形成が起こりやすく、それにより汚れの洗濯液への遊離・分散が阻害されることが考えられる。しかしながら、充分な洗浄力を得るためには、洗濯液がアルカリ性を呈することは極めて重要な条件である。つまり、従来の一般的な洗濯方法は、洗剤組成物のパフォーマンスを充分に生かしきれているとは必ずしも言えないことに我々は気づいた。
【0008】
現在市販されている洗濯機の中には洗濯槽に添加する前に洗剤組成物を溶解させるための溶解槽を有するものがある。しかしながら、これらの溶解槽の目的の大半は洗濯槽内での洗剤組成物の溶け残りを無くすことである。洗浄力の向上について言及する商品もいくつか存在するが、これらの技術はいずれも、洗濯槽内での洗剤組成物の溶解時間を短縮することによって洗浄力の向上を計るものであるのに過ぎず、調製された洗濯液の硬度が充分に下がらない状況で洗濯液と被洗濯物とが接触するおそれがある。その上、洗濯槽内に洗剤組成物のほとんどが添加された後でも、洗濯液の硬度を充分考慮していないために、洗濯槽内にカルシウムイオン、マグネシウムイオン等を含有する洗濯用水の添加が無配慮のまま行われ得る。そのため、洗濯槽の洗濯液の硬度は暫く高いままのおそれもある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来の衣料用の洗剤組成物を使用して衣類等の被洗濯物を洗濯する際に、洗剤組成物の持つ洗浄能力を充分に引き出し、より優れた洗浄力を発揮させるための洗濯方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、先に洗剤組成物を洗濯用水に溶解及び/又は分散させ、洗濯液の硬度を予め低下させた後、被洗濯物と接触させることによって、洗浄力が従来よりも上昇することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明の要旨は、
〔1〕 洗濯用水に、金属イオン封鎖剤及びアルカリ剤を含有する洗剤組成物を溶解及び/又は分散させ、洗濯液の硬度が1.5°DH以下、かつ、pHが8.0以上になるまで熟成させて洗濯液を調製した後、該洗濯液と被洗濯物とを接触させ、硬度1.5°DH以下、かつ、pHが8.0以上の該洗濯液により洗浄することを特徴とする洗濯方法、並びに
〔2〕 洗濯用水に溶解及び/または分散させる洗剤組成物が、更にアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩及びポリオキシエチレンアルキルエーテルから選ばれる界面活性剤を含有することを特徴とする前記〔1〕記載の洗濯方法、に関するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
1.本発明の洗濯方法
本発明の洗濯方法は、洗濯用水に、洗剤組成物を溶解及び/又は分散させて洗濯液を調製した後、該洗濯液と被洗濯物とを接触させることを特徴とする。
【0013】
本発明において用いられる洗濯用水としては、通常洗濯に用いられるものであれば特に限定されるものではない。例えば、水道水が一般的であるが、地域によっては地下水や河川の水を使用している場合もある。
【0014】
洗濯液は、洗濯用水に洗剤組成物を溶解及び/又は分散させることにより調製される。金属イオン封鎖剤として用いられるゼオライト等の、水に不溶性の成分は、洗濯液に分散した状態で存在する。
洗剤組成物を洗濯用水に溶解及び/又は分散させるために、通常何らかの物理的な操作を行う。例えば、洗濯用水と洗剤組成物を攪拌羽根等で攪拌したり、またはループ状の管をつくり、ポンプにて管内を循環させることにより溶解及び/又は分散させる等の、洗濯用水と洗剤組成物とを強制的に混合させる態様が考えられるが、単に勢いよく、洗剤組成物に洗濯用水を添加する等の方法でも構わない。いずれに場合も、洗剤組成物を充分に洗濯液に溶解及び/又は分散させることが好ましく、そうすることによって硬度の低下速度も速くなる。
【0015】
一般に硬度低下剤として洗剤組成物に含まれている金属イオン封鎖剤の主成分であるゼオライトは水に不溶性であるため、かかる成分を洗濯用水に添加してから洗濯液の硬度が充分に低下し終えるまでに時間を要する。従って本発明では、洗濯用水に洗剤組成物を溶解及び/又は分散させた後、熟成させて洗浄液を調製することが好ましい。熟成操作としては、例えば洗濯用水に洗剤組成物を溶解及び/又は分散させた後、このものを放置したり、攪拌したり、温度を上げる等の、金属イオン封鎖剤の能力を発揮させて洗濯液の硬度を低下させる操作が挙げられる。かかる熟成操作に要する時間(熟成時間)は特に限定されるものではないが、10秒間以上が好ましく、30秒間以上がより好ましく、1分間以上が特に好ましい。
【0016】
上記のようにして調製される洗濯液の硬度は低い方が好ましい。具体的には、調製された洗濯液の硬度が1.5°DH以下が好ましく、0.8°DH以下がより好ましく、0.5°DH以下が特に好ましい。
【0017】
洗濯液の硬度の測定法としては、洗剤組成物に配合されている金属イオン封鎖剤がイオン交換体である時は、孔サイズ0.2μmのメンブランフィルター(アドバンテック社:ニトロセルロース製)を用いて洗濯液をろ過し、ろ液中に含有される硬度成分量をICP法(イオンプラズマカップリング法)もしくはEDTA滴定法を用いて容易に測定することができる。
また、洗剤組成物に配合されている金属イオン封鎖剤がキレート剤の場合は、キレート指示薬法を採用することで良好な結果を得ることができる。キレート指示薬法は、被験洗濯液に相当するpH及びイオン強度下で検量線を作成する必要性があるが、キレート剤等の金属イオン封鎖剤に捕捉されえなかった遊離の硬度成分量を、洗濯液そのものから定量することができる。具体的には、例えば 4th WORLD SURFACTANTS CONGRESS 要旨集第2巻 p.159に記載されている Chrome Violet(東京化成工業(株)より入手可能)による方法を用いることができる。
【0018】
さらに多くの洗剤組成物がそうであるように、洗剤組成物に、イオン交換体とキレート剤が金属イオン封鎖剤として併用されてる場合には、上記のメンブランフィルターを用いる方法とキレート指示薬法を組み合わせることで目的を達成することができる。即ち、被験洗濯液を速やかに孔サイズ0.2μmのメンブランフィルターを用いて洗濯液中のイオン交換体をろ過し、得られたろ液に Chrome Violet液を添加後、着色液の可視吸収波長を測定することで、キレート剤に捕捉されていない遊離の硬度成分量を定量するものである。
【0019】
次いで、調製された洗濯液と、衣類等の被洗濯物とを接触させて洗濯を行う。このときの洗濯方法としては、洗濯液と被洗濯物との接触が行われる場である洗濯槽に予め洗剤組成物を充分に溶解及び/又は分散させた後、被洗濯物を洗濯槽に投入する方法の他に、別途、別の槽で調製しておいた洗濯液を被洗濯物の入った洗濯槽に添加する方法等が挙げられる。具体的には、前者としては洗濯槽上部に被洗濯物を乗せるための網を設けてその上に被洗濯物を乗せておき、洗濯槽に洗濯液が調製されてから網を反転させたり割ること等により、被洗濯物を洗濯槽に投入する方法等が挙げられ、後者としては、洗濯液を調製したり貯蔵するための予備溶解槽を別途備えた洗濯装置を用いて、予備溶解槽から被洗濯物が投入された洗濯槽に適宜洗濯液を供給する方法等が挙げられる。
【0020】
また、本発明の洗濯方法においては、洗濯中に被洗浄物、洗濯液等を追加しても良い。具体的には、被洗濯物と接触後の洗濯液の硬度が2.0°DH以下であることが好ましく、1.5°DH以下であることがより好ましく、0.8°DH以下であることが特に好ましい。
【0021】
本発明に用いられる調製された洗濯液は、洗浄性の観点からアルカリ性を呈することが好ましい。具体的には、該洗濯液のpHが8.0以上が好ましく、pHが9〜12の範囲がより好ましい。ここで、洗濯液のpHは通常のガラス電極pH計等により25℃で測定される。
【0022】
2.本発明における洗濯装置
本発明における洗濯装置としては、本発明の洗濯方法を行い得るものであれば特に限定されないが、例えば以下に示す態様が示される。
(A)本発明の洗濯方法を行うための洗濯装置であって、
1)洗濯液と被洗濯物とを接触させるための接触機構、及び
2)洗濯液を調製し、該洗濯液を溜めると共に被洗濯物を収容し洗濯手段を有する洗濯槽、
を具備してなる洗濯装置。
(B)本発明の洗濯方法を行うための洗濯装置であって、
1)洗濯液を溜めると共に被洗濯物を収容し洗濯手段を有する洗濯槽、及び
2)洗濯液を調製し、該洗濯液を貯蔵する予備溶解槽、
を具備してなる洗濯装置。
【0023】
(A)の態様の洗濯装置
本態様の洗濯装置は、洗濯液を溜めると共に被洗濯物を収容し洗濯手段を有する洗濯槽で洗濯液を調製する。即ち、洗濯液と被洗濯物との接触が行われる場である洗濯槽に予め洗剤組成物を充分に溶解及び/又は分散させた後、被洗濯物を洗濯槽に投入する方法に好適に適用される。洗濯装置のタイプとしては、いわゆるパルセータ方式の洗濯装置が好ましいものとして挙げられる。
【0024】
また、洗濯液と被洗濯物とを接触させるための接触機構としては、洗濯槽にて洗剤組成物が充分に溶解及び/又は分散した後に被洗濯物を洗濯槽に投入する手段が例示される。より具体的には、洗濯槽上部に設けられた、被洗濯物を乗せるための網であって、洗濯槽にて洗剤組成物が充分に溶解及び/又は分散した後に例えば反転したり割れること等により被洗濯物を洗濯槽に投入することができる網等が挙げられる。かかる接触機構を設けることにより、洗剤組成物が充分に溶解及び/又は分散する前に洗濯液と被洗濯物との接触が行われることが防がれる。
かかる接触機構には、洗濯槽内の洗濯液が所望の程度に溶解及び/又は分散した段階で被洗濯物を洗濯槽内に投入するための投入制御手段を設けても良い。かかる投入制御手段としては、例えば、所定の熟成時間の経過後に接触手段を操作して、被洗濯物を洗濯槽内に投入するタイマー等を備えたもの等が挙げられる。
【0025】
(B)の態様の洗濯装置
本態様の洗濯装置は、洗濯液を溜めると共に被洗濯物を収容し洗濯手段を有する洗濯槽と、洗濯液を調製し、該洗濯液を貯蔵する機構(予備溶解槽)とが別個に存在してなる装置である。本態様においては、予備溶解槽から被洗濯物が投入された洗濯槽に適宜洗濯液が供給される。また、洗濯槽には最初に洗濯液を供給する必要はなく、例えば、洗濯槽に、まず被洗濯物を投入し、次いで予備溶解槽からで洗濯液を供給しても良い。洗濯装置のタイプとしては、いわゆるドラム方式の洗濯装置が好ましいものとして挙げられる。これは、ドラム方式の洗濯装置の場合、洗濯する時の洗濯液は比較的少量であるため、予備溶解槽を備え付けやすいからである。
【0026】
また、本態様においては、予備溶解槽にて洗濯液の調製が行われる場合、被洗濯物と接触する洗濯液を洗剤組成物が充分に溶解及び/又は分散したものとすることができる。そのため、(A)の態様の洗濯装置のような、洗濯液と被洗濯物とを接触させるための接触機構を設けなくても良い。
また、洗濯槽における被洗濯物と洗濯液との接触の際の洗濯液が、洗剤組成物が充分に溶解及び/又は分散したものであれば、予備溶解槽における洗濯液は必ずしも洗剤組成物が充分に溶解及び/又は分散したものである必要はない。
また、ドラム方式の洗濯装置の場合、衣料の浴比が低いために本発明の洗濯方法の効果が顕著に現れやすい。従って本発明の洗濯方法は、ドラム方式の洗濯装置を用いた場合が特に好ましい。
【0027】
本発明において用いられる洗剤組成物としては、通常知られている衣料用の洗剤組成物を使用することができる。具体的には、例えば界面活性剤、金属イオン封鎖剤、アルカリ剤及びその他の洗浄成分から構成されるものが挙げられる。
【0028】
上記の成分としては、具体的には、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩及びポリオキシエチレンアルキルエーテル等の界面活性剤;ゼオライトである結晶性アルミノ珪酸塩、及び特開平7-89712 号公報、特開昭60-227895 公報に記載の結晶性珪酸塩、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びクエン酸塩等の金属イオン封鎖剤;ポリアクリル酸、アクリル酸とマレイン酸のコポリマー及びカルボキシメチルセルロース等のカルボン酸系ポリマー;ソーダ灰等のアルカリ金属炭酸塩及びJIS1、2もしくは3号珪酸ナトリウム等のアルカリ金属珪酸塩等のアルカリ剤;硫酸ナトリウム等の増量剤;ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)及びポリビニルアルコール(PVA)等の分散剤もしくは色移り防止剤;過炭酸ナトリウム等の漂白剤;テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)や、特開平6-316700号公報に記載の漂白活性化剤;プロテアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ及びリパーゼ等の酵素;ホウ素化合物及び亜硫酸ナトリウム等の酵素安定剤;ビフェニル型、スチルベン型の蛍光染料;シリコーン/シリカ系等の消泡剤;酸化防止剤;青味付剤並びに香料等の従来から公知の成分を挙げることができる。より詳細には特開平8-218093号公報に記載されているものを参考にすることができる。
【0029】
なお、金属イオン封鎖剤の洗濯用水への添加量は、洗濯用水の硬度を0.5°DH以下にするのに充分な量であることが特に好ましい。
洗濯用水の硬度を所望の値にするのに必要な金属イオン封鎖剤の量は、用いる洗濯用水の硬度と用いる金属イオン封鎖剤のカルシウムイオン捕捉能(CEC)等から求めることができる。なお、用いる洗濯用水のDH硬度はイオンカップリングプラズマ法(ICP法)で測定される。
【0030】
金属イオン封鎖剤のイオン捕捉能の測定方法は、用いる金属イオン封鎖剤がイオン交換体であるかキレート剤であるかによって異なってくる。各物質についてその測定方法を述べると、次のようになる。
【0031】
イオン交換体の場合
イオン交換体0.1gを精秤し、塩化カルシウム水溶液(濃度はCaCO3 として500ppm)100mL中に加え、25℃で60分間攪拌した後、孔サイズ0.2μmのメンブランフィルター(アドバンテック社、ニトロセルロース製)を用いてろ過を行い、そのろ液10mL中に含まれるカルシウムイオンの量をEDTA滴定により測定する。その値より、測定の対象のイオン交換体のカルシウムイオン交換容量(カチオン交換容量)を求める。
たとえば本発明では、結晶性アルカリ金属ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩(ゼオライト他)などの無機物質をイオン交換体として測定している。
【0032】
キレート剤の場合
カルシウムイオン電極を用いて、Caイオン捕捉能を下記のようにして測定する。なお、溶液は全て以下の緩衝液を用いて調製する。
緩衝液;0.1M−NH4 Cl−NH4 OH buffer(pH10.0)
(i)検量線の作成
標準カルシウムイオン溶液を作成し、図1の如きカルシウムイオン濃度の対数と電位の関係を示す検量線を作成する。
【0033】
(ii)カルシウムイオンの捕捉能の測定
約0.1gのキレート剤を秤量し、100mLメスフラスコに入れて上記の緩衝液でメスアップする。このようにして調製されたキレート剤含有緩衝液に、カルシウムイオン濃度が20000ppm(CaCO3 換算)に相当するCaCl2 水溶液(pH10.0)をビュレットから滴下する。滴下はCaCl2 水溶液を0.1〜0.2mLずつ加えて行い、その時の電位を読み取る。また、キレート剤を含有しない緩衝液にも同様にCaCl2 水溶液滴下を行う。この溶液をブランク溶液と称する。図1の検量線よりカルシウムイオン濃度を求め、CaCl2 水溶液の滴下量とカルシウムイオン濃度の関係をグラフに示す(図2)。図2中、線Pはブランク溶液(キレート剤を使用しない緩衝液を用いた場合)のデータを示し、線Qはキレート剤含有緩衝液を用いた場合のデータを示す。線Qの延長線と、横軸との交点をAとし、Aにおけるブランク溶液のカルシウムイオン濃度から、キレート剤のカルシウムイオン捕捉能を求める。
たとえば本発明では、クエン酸塩などのポリカルボン酸塩並びにアクリル酸−マレイン酸コポリマー等のカルボキシレート重合体を、キレート剤として測定している。
【0034】
【実施例】
以下、実施例等により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等によりなんら限定されるものではない。
【0035】
製造例1
以下の方法で表1の配合例1の洗剤組成物を製造した。
表1に記載の各成分が配合された含水率50重量%の水性スラリーを調製した。ただし、ゼオライトはその使用量の18/23倍の量をスラリーに配合し、酵素、香料、及び結晶性シリケートはスラリーには配合しなかった。得られたスラリーを噴霧乾燥して噴霧乾燥粒子を得、次いでこの粒子をスクリュー押し出し造粒機により造粒して洗剤組成物を得た。洗剤組成物をロータリーキルンに入れ、酵素、結晶シリケート及び残りのゼオライトをブレンドし、同時に香料をスプレーして最終洗剤組成物を得た。
【0036】
製造例2
以下の方法で表1の配合例2の洗剤組成物を製造した。
AE、吸油担体、ソーダ灰、酵素、香料、及び結晶性シリケート以外の成分を配合して含水率50重量%の水性スラリーを調製した。得られたスラリーを噴霧乾燥し、噴霧乾燥粒子を得た。得られた噴霧乾燥粒子、ソーダ灰、吸油担体及び結晶性シリケートをレディゲミキサー(攪拌転動造粒機、松坂技研(株)製)に投入し攪拌を開始した。なお、ここでの吸油担体の配合量は、その使用量の8/13倍の量であった。そこにAEをスプレーして造粒を行った。次いでその使用量の3.5/13倍の量の吸油担体を投入し、表面改質を行った。得られた造粒粒子をロータリーキルンに入れ、残りの吸油担体、酵素をブレンドし、同時に香料をスプレーし最終洗剤組成物を得た。
【0037】
得られた最終洗剤組成物の粉末物性を下記に示した方法で測定した。その結果を表1に併せて示す。
(A)嵩密度はJIS:K−3362の方法に従って測定した。
(B)流動性はASTM:B213−48に従って測定した。
(C)平均粒径はJIS:K−3362の方法に従って測定した。
【0038】
【表1】
【0039】
以下に、表1中の各成分について詳述する。
LASは、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムで炭素数12〜13のものを用いた。
α−SFEは、α−オレフィンスルホン酸ナトリウムのことであり、炭素数16〜18のものを用いた。
AEは、ポリオキシエチレンアルキルエーテルで炭素数12〜16、平均エチレンオキサイド付加モル数が7.0のものを用いた。
石鹸は、牛脂脂肪酸ナトリウムを用いた。
ゼオライトは、4A型ゼオライト、平均粒子径3μm(東ソー(株)製)を用いた。Caイオン捕捉能(CEC)は280CaCO3 mg/gであった。
【0040】
吸油担体は下記合成例1により得られた非晶質アルミノケイ酸塩を用いた。
合成例1
イオン交換水に炭酸ソーダを溶解させ、6重量%濃度の水溶液を用意した。この水溶液132gとアルミン酸ソーダ水溶液(濃度50重量%)38.28gを容量1000mLの邪魔板付き反応槽に入れてこれらを混合した。得られた混合溶液に、強攪拌下、2倍の水で希釈した3号水ガラス水溶液201.4gを、40℃にて、20分間かけて滴下しつつ反応させた。この際、CO2 ガスを吹き込むことによって反応系のpHをほぼ10.5にコントロールし、反応速度を最適化した。続いて反応系を50℃まで加熱し、同温度で30分間攪拌した。
【0041】
その後、反応系にCO2 ガスを吹き込み、過剰アルカリを中和した(pH=9.0)。得られた中和スラリーを、ろ紙(東洋濾紙(株)製No.5C)を用いて、減圧下にろ過した。ろ過ケーキを1000倍の水で洗浄し、次いでろ過乾燥(105℃、300torr、10時間)し、さらに解砕を行い、非晶質アルミノ珪酸塩粉体(平均粒径10μm)を得た。なおアルミン酸ソーダ水溶液は、1000mLの4つ口フラスコにAl(OH)3 243gと48重量%NaOH水溶液298.7gを入れて混合し、攪拌下110℃で30分間加熱して溶解させることにより調製した。
【0042】
得られた非晶質アルミノ珪酸塩の組成は、原子吸光分析及びプラズマ発光分析の結果、Al2 O3 =29.6重量%、SiO2 =52.4重量%、Na2 O=18.0重量%であった(1.0Na2 O・Al2 O3 ・3.10SiO2 )。また、CECは185CaCO3 mg/g、吸油能は285mL/100g、0.1μm未満の細孔径を持つ細孔容積の比率は9.4%、0.1〜2.0μmの細孔径を持つ細孔容積の比率は76.3%、含有水分量は11.2重量%であった。
【0043】
非晶質ケイ酸塩は1号ケイ酸ナトリウム(東ソー(株)製)を用いた。
結晶性シリケートは粉末SKS−6(ヘキストトクヤマ(株)製)をハンマーミルで粉砕し、平均粒径50μmとしたものを用いた。なお、CECは224CaCO3 mg/gであった。
アクリル酸−マレイン酸共重合体はナトリウム塩(70モル%中和物)として配合され、モノマー比はアクリル酸/マレイン酸=3/7(モル比)である。なお、CECは380CaCO3 mg/gであった。
蛍光染料はチノパールCBS−X(チバガイギー社製)とホワイテックスSA(住友化学(株)製)を1:1の重量比で配合したものである。
酵素はセルラーゼK(特開昭63−264699号公報に記載のもの)、API−21H(昭和電工(株)製)、及びリポラーゼ100T(ノボ社製)を7:4:1の重量比で配合したものである。
なお、洗濯用水及び洗濯液の硬度は、上記に記載の方法で測定した。
【0044】
実施例1
パルセータ型全自動洗濯機(NA−F70VP1型、松下電器産業(株)製)に、先ず49リットルの水道水(3°DH、20℃)を洗濯槽に貯水し、製造例1により得られた洗剤組成物32.7gを投入し、1分間標準水流モードで攪拌し、洗剤組成物を溶解及び/又は分散させた洗濯液を調製した(この時、洗濯液の硬度は0.8°DH、pHは10.6であった。)。
ここに、調製例1に示した人工汚染布(5cm×5cm角)5枚を木綿金巾2003布(30cm×45cm角)の台布に固定した汚染布2組と、未着用木綿メリアス肌着(グンゼ(株)製)1.09kg、ポリエステル/綿=50/50混紡生地(CHOYA(株)製)0.54kgを洗濯槽に入れ、浴比約30に調整し、6分間洗濯を行った。続いて上記の水道水を用いて貯め濯ぎを2回行った後、6分間脱水した。洗濯後の人工汚染布の反射率を測定して洗浄率を算出した。本実施例における人工汚染布の洗浄率は65.3%であった。
【0045】
比較例1
実施例1と同じ洗濯機に、まず最初に実施例1で用いたものと同じ被洗濯物を投入した。即ち、汚染布2組、未着用木綿メリアス肌着1.09kg、及び混紡生地0.54kgを洗濯槽に投入した。次いで、49リットルの水道水(3°DH、20℃)を洗濯槽に注水し、製造例1で得られた洗剤組成物を32.7g投入した(浴比約30)。次いで、実施例1と同様の、6分間洗濯−すすぎ2回−脱水の洗濯操作を実施した。洗濯後の人工汚染布の洗浄率は56.1%であった。
【0046】
実施例1及び比較例1より、予め洗濯用水に洗剤組成物を溶解及び/又は分散させた洗濯液を調製した後に、該洗濯液と被洗濯物とを接触させる洗濯方法の方が洗浄率が高いことが分かった。
【0047】
実施例2
ドラム式洗濯機(ES−E61型、シャープ(株)製)に、先ず20リットルの水道水(3°DH、20℃)をその洗濯槽に貯水し、洗濯槽に製造例2で得られた洗剤組成物15gを投入した。具体的には、0.5リットルの水道水(3°DH、20℃)に分散させた洗剤組成物をディスペンサー(洗剤投入口)から洗濯槽へ注入した後、0.5リットルの水道水で予備溶解槽を洗浄しつつ洗濯槽に供給した。次いで、1分間標準水流モードで攪拌し、洗剤組成物を溶解及び/又は分散させた洗濯液を調製した(洗濯液の硬度は0.7°DH、pHは10.9であった。)。
【0048】
ここに、実施例1で用いたものと同じ被洗濯物を投入した。即ち、汚染布2組、未着用木綿メリアス肌着2.0kg、及び混紡生地1.0kgを洗濯槽に投入した(浴比は約7であった。)。次いで20分間の洗濯、10分間の脱水の後、21リットルの水道水(3°DH、20℃)により5分間の貯め濯ぎ工程及びそれに続く10分間の脱水工程からなるすすぎ工程を3回行った。洗濯後の人工汚染布の洗浄率は65.3%であった。
【0049】
比較例2
実施例2と同じ洗濯機に、まず最初に実施例2で用いたものと同じ被洗濯物を投入した。次いで、21リットルの水道水(3°DH、20℃)を洗濯槽に注水し、製造例2で得られた洗剤組成物を15gを実施例2と同様の方法で投入した(浴比約7)。実施例2と同様の洗濯工程、脱水工程、すすぎ工程を行い被洗濯物を洗濯した。洗濯後の人工汚染布の洗浄率は57.1%であった。
【0050】
実施例2及び比較例2より、予め洗濯用水に洗剤組成物を溶解及び/又は分散させた洗濯液を調製した後に、該洗濯液と被洗濯物とを接触させる洗濯方法の方が洗浄率が高いことが分かった。
【0051】
実施例3
洗濯液の調製のための攪拌時間(熟成時間)を10秒間、30秒間とした以外、実施例1と同様の操作を行って被洗濯物を洗濯した。熟成時間が10秒間の場合は、調製された洗濯液の硬度は1.3°DH、pH10.7で、洗濯後の人工汚染布の洗浄率は60.1%であった。また、熟成時間が30秒間の場合は、調製された洗濯液の硬度は1.0°DH、pH10.8で、洗濯後の人工汚染布の洗浄率は63.6%であった。いずれの場合も、予め水に洗剤組成物を溶解及び/又は分散させていない態様で洗濯した場合(比較例1)の、人工汚染布の洗浄率である56.1%よりも高かった。
【0052】
実施例4
実施例2とほぼ同様の操作で洗濯を行った。事前に貯水した水量を10.5リットル、洗濯液の調製のための攪拌時間(熟成時間)を1分間とした。続いて被洗濯物を洗濯槽に入れ、3リットル/分の速度で10.5リットルの水道水を注水した後に洗濯を実施した。洗濯後の人工汚染布の洗浄率は61.3%であった。この場合も、予め洗濯用水に洗剤組成物を溶解及び/又は分散させていない態様で洗濯した場合(比較例2)の洗浄率である57.1%よりも高い洗浄率であった。
【0053】
なお、前記の洗浄率は次の人工汚染布を用いて、下記の方法で算出したものである
調製例1
下記組成の人工汚染液を布に付着して人工汚染布を調製した。人工汚染液の布への付着は、特願平6−63273号に示されているグラビアロールコーターを用いたグラビア式汚染機を使用した。人工汚染液を布にグラビア印刷させ人工汚染布を作製する工程は、グラビアロールのセル容量58cm3 /cm2 、塗布速度1.0m/min、乾燥温度100℃、乾燥時間1分で行った。布は木綿金巾2003布(谷頭商店製)を使用した。
【0054】
〔人工汚染液の組成〕
ラウリン酸 0.44重量%
ミリスチン酸 3.09重量%
ペンタデカン酸 2.31重量%
パルミチン酸 6.18重量%
ヘプタデカン酸 0.44重量%
ステアリン酸 1.57重量%
オレイン酸 7.75重量%
トリオレイン 13.06重量%
パルミチン酸n−ヘキサデシル 2.18重量%
スクアレン 6.53重量%
卵白レシチン液晶物 1.94重量%
鹿沼赤土 8.11重量%
カーボンブラック 0.01重量%
水道水 バランス
【0055】
(洗浄率の算出)
原布及び洗浄前後の550mμにおける反射率を自記色彩計(島津製作所製)にて測定し、次式によって洗浄率D(%)を算出した。
D=(L2 −L1 )/(L0 −L1 )×100(%)
L0 :原布の反射率
L1 :洗浄前汚染布の反射率
L2 :洗浄後汚染布の反射率
【0056】
【発明の効果】
本発明の洗濯方法により、洗剤組成物の持つ洗浄能力を充分に引き出すことができ、それにより、より優れた洗浄力を発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、カルシウムイオン濃度の対数と電位の関係を示す検量線を表した図である。
【図2】図2は、CaCl2 水溶液の滴下量とカルシウムイオン濃度の関係を示す図である。Aは線Qの延長線と横軸との交点であり、線Pはブランクの溶液(キレート剤を使用していない緩衝液を用いた場合)のデータであり、線Qはキレート剤含有緩衝液を用いた場合のデータである。
Claims (2)
- 洗濯用水に、金属イオン封鎖剤及びアルカリ剤を含有する洗剤組成物を溶解及び/又は分散させ、洗濯液の硬度が1.5°DH以下、かつ、pHが8.0以上になるまで熟成させて洗濯液を調製した後、該洗濯液と被洗濯物とを接触させ、硬度1.5°DH以下、かつ、pHが8.0以上の該洗濯液により洗浄することを特徴とする洗濯方法。
- 洗濯用水に溶解及び/または分散させる洗剤組成物が、更にアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩及びポリオキシエチレンアルキルエーテルから選ばれる界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1記載の洗濯方法。
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