JP3912967B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式によって画像形成を行う複写機,プリンタ,ファクシミリ等の画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の電子写真方式を利用した画像形成装置では、一般に、静電潜像上にトナー保持する像担持体として、電荷発生層および電荷輸送層で構成された感光層を有した金属ドラムあるいは金属ベルト等で構成される感光体を用いている。
【0003】
そして、プリント開始の信号により、像担持体は一定方向に駆動されるようになっている。
【0004】
その後、帯電装置(コロナ帯電器、帯電ローラ、磁性粒子などを担持した剤担持体)などにバイアスを印加することにより、像担持体表面を一定の電位まで帯電あるいは電荷注入を行う。このときの感光体の表面電位(帯電電位)をVD電位(又はVd電位)と呼ぶ。
【0005】
さらに、コントローラからの信号に基づいて、ON/OFF制御されたLED光を像担持体に照射する(露光)。光が照射された位置は電位が低下するため、像担持体表面に静電潜像が形成される。この露光された部分の電位をVL電位(又はVl電位)と呼ぶ。
【0006】
そして、像担持体に対向配列し、トナーが充填された現像装置に一定の現像バイアス(以下、現像電位とも称す)を印加して、所定の電荷を付与されたトナーを像担持体上の静電潜像に移すことにより、静電潜像を可視化する(現像)。現像時の像担持体上のトナー乗り量は、VL電位と現像バイアスの関係で決まる。
【0007】
そして、像担持体に隣接して配置され、像担持体と略同速度で順方向に移動する転写ローラや転写ベルトなどの転写体上に像担持体上のトナーと逆極性のバイアスを印加し、その状態で像担持体と転写体との間に転写材を通過させることにより、像担持体上に担持されたトナー像を転写材上に転写させる。
【0008】
上述した画像形成装置において像担持体の感光層は少なからず照射光による露光メモリの影響を受ける。たとえば、トナー像を転写し終えた像担持体は再び上述した画像形成プロセスを繰り返すが、その際に前のプロセスの露光メモリが影響してゴースト(残像)が発生する場合がある。すなわち、像担持体の使用状態(露光履歴)により露光後のVL電位が変動してしまい、これが像担持体上のトナー乗り量の変化につながり、プリント画像濃度が定まらなくなってしまう。
【0009】
このため従来では、露光メモリを抑制するために、像担持体を帯電する前に適当な光源(前露光光源)によって像担持体を均一露光する、いわゆる前露光を行うことが一般的であった。
【0010】
ところで、最近では装置を小型化するために、前露光光源を設けないタイプの画像形成装置も登場している。
【0011】
このような小型の画像形成装置においては、上記課題を解決するために、最大潜像コントラスト電位差の60%〜90%となる露光量領域で露光を行うとともに、その露光量にあわせて現像電位等の画像形成条件を変更する方法が提案されている。この条件の露光領域は前述の露光履歴の影響が少ないため、前露光を行うことなくゴーストを低減することができる。
【0012】
ここで最大潜像コントラスト電位差とは、任意の表面電位に帯電した像担持体を露光量を変化させて露光したときに、露光量0.1μJ/cm2の変化量に対する露光部電位減衰が50V以下となる電位変化の収束領域で得られる潜像コントラスト電位差(露光部と非露光部との電位差)をいう。なお、最大潜像コントラスト電位差は、感光体(感光層)の種類や表面電位(帯電電位)等によって異なる。
【0013】
ところで、像担持体に露光を行う露光手段としては、複数個の発光素子が集積された発光素子アレイチップを複数個直線状に配列すると共に、複数のロッドレンズを光軸を平行に配列し固着したロッドレンズアレイを複数個直線状に配列し、両者を同一基板に一体化して実装した光プリントヘッドを用いて、像担持体の長手方向(主走査方向)に露光を行い、像担持体の回転により2次元画像を形成する方法が提案されている。
【0014】
かかる露光手段を用いた場合、前記複数の発光素子アレイチップを配列した時に発生する僅かな隙間の影響及び発光素子アレイチップの両端に流れた発光熱による影響などで前記発光素子アレイチップ両端部の露光量が低下し、画像不具合が発生することが報告されている。
【0015】
この問題を解決するための対策としては、発光素子アレイチップ両端の所定数の発光素子の発光量を端部以外の発光素子の発光量と異なる関係に設定する方法が提案されており、前記発光素子アレイチップ間の露光量変化による、縦スジ状の画像濃度の低下や、ひどくなると画像縦白スジになる画像不具合を抑制している。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来技術の場合には、下記のような問題が生じていた。
【0017】
一般に、露光量と像担持体(感光体)のVL電位の関係(E−V特性)は図5のような特性を示す。図5は、500Vに帯電した感光体を露光量を変化させて露光したときのVL電位の変化を示しており、露光量を上げるにしたがってVL電位は減衰するが、ある一定の露光量になると減衰幅が小さくなり電位減衰が安定する。
【0018】
通常の画像形成においては、電位減衰がほぼ安定する露光量を通常の画像形成の露光設定値とし、二値画像形成を行っている。
【0019】
一方、ゴースト防止対策として、上述したように露光履歴の影響の少ない領域に露光量を低減し、さらにその露光量で潜像コントラスト電位差が通常の画像形成条件と同等になるように、感光体の帯電電位および現像電位を補正して画質補正を行う場合、露光量条件は、通常画像形成を行う場合よりも露光量の増加による電位減衰の傾きがかなり急峻な部分で画像形成を行うことになる。
【0020】
前記露光量低減条件で、通常条件と同様の発光量補正値に基づいて、発光素子アレイチップ端部の所定数の発光素子の発光量と、端部外の発光素子の発光量とを補正すると、発光量差による感光体上の電位減衰量の差が通常条件よりも大きくなるため、通常条件では発生していなかった新たな縦スジ画像となって不具合が発生する。
【0021】
本発明は上記の従来技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、ゴーストや縦スジなどの画像不良を抑制し高品質な画像形成を可能とする画像形成装置を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の画像形成装置にあっては、
潜像が形成される像担持体と、
前記像担持体を帯電する帯電手段と、
複数の発光手段により前記帯電手段により帯電された前記像担持体を露光し潜像を形成する露光手段と、
前記潜像をトナーにて現像する現像手段と、
該露光手段の露光量を切り替える露光量切替手段と、
前記露光手段の光量分布差が低減するように前記複数の発光手段の発光量を補正する発光量補正手段と、を有し、
前記像担持体に形成されたトナー像に基いてシート上に画像を形成する画像形成装置であって、
前記帯電手段により帯電された前記像担持体を前記露光手段にて露光したときの露光部電位の変化量が、露光量0.1μJ/cm2の変化量に対して50V以下となる第1の露光量にて潜像形成を行なう第1モードと、
前記帯電手段により帯電された前記像担持体を前記露光手段にて露光したときの非露光部と露光部との潜像コントラスト電位差が、前記第1モードの60〜90%となるような第2の露光量に変更するとともに、この露光量の変更に伴って前記第1モードと画像濃度が略同じとなるように帯電条件もしくは現像条件を変更して画像形成を行なう第2モードと、
を実行可能であって、前記像担持体への露光履歴による感度変化でゴースト画像が発生した場合に第1モードから第2モードに切替可能に構成されていることを特徴とする。
【0024】
前記複数の発光手段を備えた発光ユニットが複数配列して設けられ、
前記発光量補正手段は、前記発光ユニットの端部の発光手段の発光量を他の発光手段の発光量よりも設定値だけ大きくなるようにする補正を行い、前記第1モード時よりも前記第2モード時の方が前記設定値が小さくなるように補正するとよい。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0035】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の実施の形態に係る画像形成装置(カラー画像形成装置)の模式的断面図である。本実施の形態では、画像形成装置の一例として、LED露光装置を用いたカラー電子写真複写機を例にして説明する。
【0036】
この画像形成装置は、上部にデジタル画像リーダー部、下部にデジタルカラー画像プリンター部を有する。
【0037】
リーダー部においては、原稿9を原稿台ガラス10に載せ、露光CCD読み取りセンサーを露光走査することによって、原稿9からのカラー色分解画像信号を得る。
【0038】
このカラー色分解画像信号は、不図示の回路を経由して、同じく不図示のビデオ処理ユニットにて処理を施され、プリンター部に送出される。
【0039】
一方、プリンター部においては、図示矢印方向に回転する像担持体としての感光ドラム1Y,1M,1C,1K(以下省略して感光ドラム1とする)が回転自在に支持されており、感光ドラム1の周りには、帯電手段としての帯電器2Y,2M,2C,2K(以下省略して帯電器2とする)、現像手段としての現像装置4Y,4M,4C,4K(以下省略して現像装置4とする)、転写ベルト5等の画像形成手段が配置されている。
【0040】
感光ドラム1は、帯電器2により均一に帯電され、感光ドラム1上に、たとえばLED露光器からなる露光手段3Y,3M,3C,3K(以下、省略して露光手段3とする)により色分解された光像、またはこれに相当する光像が照射され、その外表面に潜像形成が行われる。
【0041】
ついで、感光ドラム1上の静電潜像は現像装置4にて現像剤(トナー)によって現像され、トナー像として顕像化される。
【0042】
原稿9の読み込み命令(通常、コピーキーが押された状態)、又は、プリンターとして画像形成装置が動作する場合、例えば、PCから印刷JOB命令が送信されると、画像形成装置内に設置された図示しない内部CPUの命令により、環境センサーCS1の温度/湿度情報を読み込み、この時の絶対水分量を計算する。
【0043】
この水分量の値を基に、CPUは画像形成装置から、この環境における必要現像Vcont電位(必要現像コントラスト電位)を算出する。現像Vcontの値が環境で変化するのは、現像装置4で用いるトナーの物性、たとえば帯電性能が周囲の雰囲気水分量で変化するためである。
【0044】
また、この現像Vcontの算出にあたっては、あらかじめ、図2(a)に示すような水分量と必要現像Vcont電位の関係を、図2(b)に示すようにテーブル化して記憶しておき、前記計算された水分量の結果に応じて線形補間により算出する。
【0045】
次に、潜像電位、現像装置の現像スリーブ電位の算出方法について、図3を用いて説明する。
【0046】
例えば、図1に示す環境センサーCS1により、23℃/5%と読み取られた場合、水分量は約1.0(g/kg)となる。
【0047】
この時、図2(b)のテーブルによれば、必要現像Vcont電位は、必要現像Vcont=280Vとして算出される。
【0048】
この必要現像Vcontに、地肌カブリ防止電位であるVback電位を加えると、感光ドラム1の表層に形成する必要潜像Vcont電位(必要潜像コントラスト電位)が求められる。これを式で表すと下記の様になる。
必要潜像Vcont電位=必要現像Vcont電位+Vback=280V+200V=480V
【0049】
次に、感光ドラム1の帯電電位、露光部電位を設定する手順を説明する。
【0050】
上述したように、必要現像Vcont電位が周囲環境の状態によって変化したのと同様に、感光ドラム1の露光部電位も、感光ドラム1の露光感度が周囲環境の相対湿度や水分量によって変化するため、環境に適した値を求める必要がある。
【0051】
図3に、本実施の形態に係る感光体において、帯電電位に対する露光部電位の周囲環境の水分量による変化を実験的に求めた結果を示す。
【0052】
図3の結果を、本実施の形態に係る画像形成装置は、テーブルデータとして記憶している。
【0053】
前述の環境センサーCS1の読みとり値から算出した水分量1.0(g/kg)で、前記算出した必要潜像Vcont電位=480Vを得るためには、図3の結果より、帯電電位VD=700Vと選択すると、露光部電位VL=220Vが得られ、必要とする潜像Vcont=480Vを満足させることができることがわかる。
【0054】
この結果、現像電位は、帯電電位VD=700Vから地肌カブリ防止電位Vback=200Vを差し引いた500Vに設定されることにより、前記算出された必要現像Vcont電位=280Vが正確に得られることになる。
【0055】
ここで、感光ドラム1の帯電電位VD、露光部電位VL、現像装置の現像電位を求める手順を整理すると、以下のようになる。
【0056】
(STEP1)環境センサーCS1より温度/湿度情報を読み込む。
【0057】
(STEP2)上記の情報から絶対水分量を算出する。
【0058】
(STEP3)上記水分量の値から、必要現像Vcont電位を算出する。
【0059】
(STEP4)必要現像Vcont電位と地肌カブリ防止電位Vbackから必要潜像Vcont電位を算出する。
必要潜像Vcont電位=必要現像Vcont電位+Vback
【0060】
(STEP5)上記水分量とVD−VLの関係テーブルから感光ドラム1の帯電電位VDと露光部電位VLを算出する。
【0061】
(STEP6)帯電電位VDと地肌カブリ防止電位Vbackから現像電位を算出する。
現像電位=帯電電位VD−Vback
【0062】
上述した処理によれば、環境センサーの検知結果とテーブルデータから帯電電位,現像電位等の画像形成条件を決定することができるので、感光ドラムの電位検知手段やトナー像濃度検知手段等を設ける必要ないという利点がある。
【0063】
本実施の形態で適用する帯電方式としては、磁気ブラシによる注入帯電方式を採用している。感光ドラム1の表面と一定距離(たとえば500〜600μm)の間隔を開けて、着磁されたマグローラスリーブを設ける。このマグローラスリーブに、粉砕又は重合法により作成した粉体磁性キャリア(抵抗値104〜107Ωcm(102〜105Ωm))を担持させて、この粉体磁性キャリアで磁気ブラシを形成し、感光ドラム1の表面と接触させた状態で、AC成分を重畳したDCバイアスを印可して注入帯電を行う。
【0064】
このような注入帯電方式を用いた場合には、感光ドラム1の帯電電位VDの値と、マグローラのDC成分バイアスVdcがほぼ等しくなるため、Vdc=VDとして求めることが可能となる。
【0065】
また、本実施の形態で使用される感光ドラム1は、図4に示されるようにアルミシリンダ1a上に感光層(電荷発生層1b,電荷輸送層1cおよび電荷注入層1d)を塗布して構成されている。感光層は通常絶縁体であり、特定の波長の光を照射することにより、導電となるという特徴を有している。それは、光照射により電荷発生層1b内に正孔−電子対を生成しそれらが電荷の流れの担い手となるからである。
【0066】
現像装置4は、イエロー現像剤,マゼンタ現像剤,シアン現像剤,ブラック現像剤の4色現像剤を各別に収納する4個の現像装置4Y,4M,4C,4Kを、感光ドラム1の外周面に対向して、ある一定距離、例えば300〜600μmの距離だけ離れた位置に設けられており、2成分現像剤を用いて感光ドラム1上の潜像の現像を行う。
【0067】
ここで、本発明の実施にあたっては、前記に記載した2成分現像剤を用いる現像装置ではなく、磁性一成分現像、接触一成分現像方式等の現像方式を用いても差し支えない。
【0068】
一方、給紙カセット13a(13b)内に収容されたシートPはレジストローラ14により適当なタイミングで給紙され、転写ベルト5に担持されて図示矢印方向に搬送される。シートPには、転写ベルト5の下方に配置されている転写印加部材6Y,6M,6C,6K(以下、省略して転写印加部材6とする)によって転写電圧が印加され、感光ドラム1上のトナー像がイエローからブラックまで順次転写される。
【0069】
転写ベルト5は誘電体シート等を張設して構成されており、この転写ベルト5には、吸着用の半導体帯電ローラ15と導体ローラによってシートPが吸着される。
【0070】
そして、トナー像が転写されたシートPは、転写ベルト5に担持されて、定着器7に搬送され、所定の熱量および圧力を加えられて、トナー像が定着された後に、搬送トレイ8へ搬送される。
【0071】
上述した本実施の形態の画像形成装置において、感光ドラム1Y,1M,1C,1Kのそれぞれに、露光手段3Y,3M,3C,3Kから露光することにより、感光ドラム1の電荷発生層1bで正孔−電子対が生成される。正孔は電荷輸送層1cを通り、電荷注入層1dに移動し負電荷と再結合する。これにより感光体表層(電荷注入層1d)の負電荷量が減少し、感光ドラム1の表面電位の絶対値が低下する。この状態での感光ドラム1上の表面電位が略VL電位となる。
【0072】
しかしながら、露光により減衰する感光ドラム1上のVL電位は、露光量によって変化し、かつ帯電電位VDの大きさによっても変化する。
【0073】
ここで、感光体Aの露光量E(μJ/cm2)と感光体上のVL電位(V)の関係(E−V特性)を図5に示す。図5に示されるように露光量が増加すると感光体上の電位は非線形に減衰する様子がわかる。
【0074】
さらに、このE−V特性の測定を、ドラム2周分の全面露光を与えた場合に測定した結果を図6に示す。図6から、感光体の表層に与える露光量を大きくしていくと、露光量の値が小さい場合は、一度露光を受けた部分のVL電位(ドラム2周目のVL電位)は1周目よりも小さくなるが、ある一定の露光量を越えると、逆にドラム2周目の電位が1周目よりも大きくなっていることが分かる。このようなVL電位の変動が発生した場合は、濃度低下の画像不具合が発生する。
【0075】
さらに、感光層の特性(電荷発生層,電荷輸送層,電荷注入層)が異なる別の感光体Bについても同様の実験を行った結果を図6に示す。E−V特性は大きく異なるものの、1周目と2周目の電位比較に関しては感光体Aと同様の結果が得られていることがわかる。
【0076】
また、感光体上の表面電位VDを変化させた場合のE−V特性を図7に示す。
【0077】
この図より、いずれのVD電位においても、露光量が小さい場合には1周目のVL電位より2周目のVL電位が小さく、露光量が大きくなると2周目のVL電位のほうが大きくなるという特性を示すことがわかる。
【0078】
また、1周目のVL電位と2周目のVL電位の大小関係が入れ替わる露光量の値はVD電位の値により変化し、VD電位が大きくなるにしたがって、その入れ替わりの露光量の値も大きくなっていることがわかる。
【0079】
さらに、図7より、1周目のVL電位と2周目のVL電位とが略同一となる露光量領域(以下VL安定領域という)も存在していることがわかる。この領域においては、露光履歴、すなわち露光メモリによってVL電位は影響を受けない。図7より、VD電位が大きくなるにしたがって、この領域も大きくなっていることがわかる。
【0080】
以上の結果から、露光によるVL電位の変動は露光量と感光体の表面電位VDによって変わり、さらに、露光履歴によるVL変動が増加方向と減少方向の2種類存在することが明らかになった。また、感光体の種類によらず、露光履歴の影響によるVL変動が生じない露光量領域が必ず存在することも明らかになった。
【0081】
図8にE−V特性を模式的に示す。
【0082】
ここで、感光体の表面電位VDと露光部電位VLの差、すなわち非露光部と露光部との電位差を潜像コントラスト電位差といい、表面電位VDに帯電した感光体を露光量を変化させて露光したときに、露光量0.1μJ/cm2の変化量に対する露光部電位変化が50V以下となる電位変化の収束領域で得られる潜像コントラスト電位差を、VDにおける最大潜像コントラスト電位差という。
【0083】
上述した実験結果より、VL電位が露光履歴により変化しないVL安定領域の潜像コントラスト電位差は、最大潜像コントラスト電位差の約60〜90%程度の範囲に存在していることがわかった。また、VL安定領域を示す露光量は、最大潜像コントラスト電位差を得る露光量の約70%の露光量であることもわかった。
【0084】
以上の実験結果に基づき、通常条件では最大潜像コントラスト電位差と略同一の潜像コントラスト電位差を得る露光量で画像形成を行い、感光体に露光履歴によるゴースト画像が発生した場合は、潜像コントラスト電位差が最大潜像コントラスト電位差の約60〜90%になるように、通常モードの約70%に露光量の大きさを切り替えるとよいことがわかる。
【0085】
本実施の形態の画像形成装置では、装置の操作パネル上に配置された切り替えスイッチを操作して、露光量を通常モードとゴースト低減モードの2つのレベルに切り替えられるように設けた。
【0086】
ゴースト低減モードが選択されると、CPUとメモリ等からなる露光量切替手段(不図示)によって、露光量が通常モードの約70%に低減される。結果、潜像コントラスト電位差が最大潜像コントラスト電位差の約60〜90%となり、露光履歴の影響を受けないVL安定領域で画像形成を行うことが可能となる。
【0087】
しかしながら、このゴースト低減モードが操作パネル上で選択された場合、露光量を単純に低減させるのみでは、現像コントラストが小さくなり、画像濃度が小さくなってしまう。
【0088】
その問題を解決するため、図3に示すような各環境における表面電位とVL電位の関係テーブルを、ゴースト低減モードの露光量に対しても用意し、メモリに記憶している。
【0089】
ゴースト低減モードが選択されると、その露光量に応じたテーブルを用いて前述の処理を行い、通常モードの露光量と同じ画像濃度が得られるように、感光体の帯電電位VD、現像装置の現像電位等の画像形成条件を瞬時に決定する。これにより、ゴースト低減モード切り替え時でも、最大画像濃度を変化させず通常モードと同等の画像出力が可能となっている。
【0090】
次に、本実施の形態の画像形成装置における、露光手段と発光量補正手段について詳細に説明する。
【0091】
本実施の形態における露光手段3としては、図9に示すように、複数個の発光素子31(発光手段)を集積した発光素子アレイチップ30(発光ユニット)を複数個直線状に配列すると共に、複数個のロッドレンズを光軸を平行にして配列、固着したロッドレンズユニット(不図示)を複数個直線状に配列し、両者を同じ基板上に実装してなる光プリントヘッドを用いている(図10)。
【0092】
本実施の形態では、波長780nmの発光素子31を128個備えた発光素子アレイチップ30を56個直線状に配列した構成をとっている。なお、発光素子31は、本画像形成装置の最小画素単位に対応している。
【0093】
しかしながら、上述した露光手段3の場合、基板上に実装する発光素子アレイチップ30を複数個、均等間隔で配列することは大変難しく、図9中に示すように少なからず隙間が発生する問題が存在する。このバラツキによる発光素子アレイチップ間の間隔が大きくなると、発光素子アレイチップ間における光量低下の原因となる。
【0094】
本実施の形態の画像形成装置の最高解像度は600dpiであり、そのときの画素の間隔は42.3μmである。
【0095】
発光素子アレイチップ30を配列したときに、端部間の距離が1画素よりも大きく離れてしまった場合などは、露光量の低下による部分的な濃度低下による縦スジ画像が発生する。発光素子アレイチップ30間がさらに離れた状況になると、画像上に現像が行われない部分が発生し、白スジ画像が発生する。
【0096】
また、発光素子アレイチップ30間の発光量の変動原因としては、発光素子31の発光による発生熱が原因と考えられる弊害も存在する。これは発生熱が発光素子アレイチップ30の両端部分に移動することが原因となって、発光素子アレイチップ30の端部光量が低下する現象である。
【0097】
上述した2つの発光素子アレイチップ30間の光量低下が発生すると、発光素子アレイチップ30端部において、図11のモデル図に示すような光量の変動が発生する。
【0098】
そこで、本実施の形態の画像形成装置は、装置本体内に、制御手段としてのCPUと記憶手段としてのメモリ等からなる発光量補正手段を有している。
【0099】
発光量補正手段は、所定個数の発光素子31の発光量の関係を画素単位の発光量補正データとしてメモリに記憶しており、その発光量補正データに基づいて、各発光素子31の発光時間を変調させて発光素子アレイチップ30間の光量を制御している。
【0100】
このとき、露光手段3の全体に渡って光量が均一となるように補正することで、上述した発光素子アレイチップ30を複数個配列した場合の端部光量低現象を抑制することができる。
【0101】
この方法で示されている発光素子アレイチップ30の端部と端部以外の発光素子31の発光量補正データは、図12中の通常条件のグラフで示されるような関係に設定されている。すなわち、発光素子アレイチップ30の両端部の発光素子の発光量が、端部以外の発光素子の発光量より大きくなるような関係に設定されている。
【0102】
このような発光量補正テーブルに従って発光量の補正を行うことにより、発光素子アレイチップ30間の光量変動を抑制し、スジ画像のない高品質な画像を得ることができる。
【0103】
ところで、前述したゴースト低減モードとして、通常条件よりも小さな露光量で画像形成を行う場合を考える。
【0104】
ゴースト低減モードでは、図8に示すようにE−V特性上露光量の変化に対して電位減衰の大きな領域で画像形成が行われる。
【0105】
したがって、発光素子アレイチップ30の端部と端部以外の発光素子の発光量を図12の通常条件と同様の設定で補正し、画像形成すると、発光素子アレイチップ30端部の光量補正量が大きくなりすぎ、露光量低減による濃度低下の対策として用いていた端部の光量補正が、今度は逆に濃度が濃くなる縦スジ画像不具合の発生原因となってしまう。
【0106】
さらに、ゴースト低減モードのような露光量低減条件では、発光素子の発光量が少なくなる為、発生熱による影響も通常条件の場合より多少すくなくなることも影響していると考えられる。
【0107】
以上より、E−V特性上の電位減衰量の変化が大きな領域では、通常条件ほどの露光量差を持たせて光量補正を行うと、適正な画像を得ることができないことが分かる。
【0108】
そこで、本実施の形態の画像形成装置の発光量補正手段では、通常モードとゴースト低減モードのそれぞれの露光量に対応した別々の発光量補正テーブルをメモリに記憶させておき、モードに応じて補正量を変化させている。
【0109】
図12に通常条件として示したグラフは通常モードの発光量補正テーブルに基づく発光素子光量を模式的に表し、露光量低減レベル1として示したグラフは本実施の形態のゴースト低減モード用の発光量補正テーブルに基づく発光素子光量を模式的に表している。
【0110】
すなわち、ゴースト低減モードのときには、発光素子アレイチップ30端部の発光素子31の補正量を小さく設定している。
【0111】
以上の構成により、本実施の形態の画像形成装置にあっては、露光量に応じて発光量補正テーブルを備えたので、ゴーストを低減させるために露光量を小さくして露光した場合でも、発光素子アレイチップを複数個配列したときに発生する光量差を確実に補正することができ、縦スジや白スジのない高品質な画像形成が可能となる。
【0112】
(第2の実施の形態)
上記第1の実施の形態では、通常モードとゴースト低減モードの2段階の露光レベルに切り替え可能な画像形成装置を示したが、本実施の形態では、複数の露光量低減モードを有し多段階に露光量レベルを切り替え可能な構成を示す。
【0113】
その他の構成および作用については第1の実施の形態と同一なので、同一の構成部分については、その説明は省略する。
【0114】
第1の実施の形態では、ゴースト画像が発生した場合に、露光量切替手段によって露光量を小さくし、さらに、発光量補正手段によって適切な発光量補正データに切り替え、該発光量補正データに基づき発光素子アレイチップ30の発光量補正を行うことで良好な画質補正を行った。
【0115】
本実施の形態に係る画像形成装置は複数の露光量低減モードを有し、露光量切替手段によって多段階にレベルを切り替えることができるため、ゴースト画像の低減効果が十分でない場合には、容易にレベル設定を変更できるような構成になっている。
【0116】
その場合、第1の実施の形態で示したゴースト低減モードの露光量よりも、さらにE−V特性上の電位減衰傾きが大きい領域で画像形成が行われる場合が発生する。
【0117】
したがって、本実施の形態の画像形成装置では、図12のモデル図に示すように、露光量設定値(低減レベル)のそれぞれに対応して複数の発光量補正データを備え、その露光量設定値に応じて自動的に発光量補正テーブルが切り替えられる構成にしている。
【0118】
このとき、露光量が小さくなるほど、発光素子光量の補正量も小さくなるように設定されている。
【0119】
以上の構成により、本実施の形態の画像形成装置にあっては、いずれの露光量レベルにおいても、設定された露光量に応じて最適な発光素子アレイチップの発光量補正が行われ、露光量低減レベルに関係なくスジ画像の発生しない画像出力が可能となった。
【0120】
(第3の実施の形態)
本実施の形態では、プリンタ,FAX,複写機などの複数の機能モードを有する画像形成装置について説明する。
【0121】
構成および作用については第1の実施の形態と略同一なので、同一の構成部分については、その説明は省略する。
【0122】
前述の第1および第2の実施の形態においては、ゴースト低減モード(露光量低減モード)が選択されると、画像形成装置は常に低減モードで画像形成を行う。
【0123】
しかしながら、画像形成装置で画像比率の少ない文字原稿等が出力される場合には、ゴースト画像が比較的目立たないため、特にゴースト低減モードに切り替える必要のない場合もある。たとえば、プリンタモードのときにPCから文字原稿を出力する場合やFAXとして使用される場合等は画像比率が少ない。
【0124】
したがって、ユーザーの画像形成装置の使用状況に応じて、プリンタ,FAX,複写機などの機能モード別に、露光レベルを選択できるような構成にしておくとよい。さらに、各々の機能モード毎に、文字や線画などの出力に好適な文字出力モード、階調画像の出力に好適な画像出力モード等、出力する画像の種類に応じた複数の画像出力モードを備え、各画像出力モード別にも露光レベルを選択できるような構成にするとよい。
【0125】
本実施の形態の画像形成装置では、各機能モードまたは各画像出力モードに応じて独立した露光レベルを備えており、本体の操作パネルや、プリンタモードの場合はPCのダイアログ画面などからユーザーが自由に選択可能な構成となっている。
【0126】
本実施の形態では、上述した機能モードまたは画像出力モード別に露光レベルを切り替えることができ、さらに選択された露光量低減レベルに応じて、発光素子アレイチップの個々の発光量補正データが切り替えられるので、いずれの機能モード、画像出力モードに対しても、スジ画像発生のない画像形成を行うことができる。
【0127】
また、ユーザーが選択したモードに基づいて、選択可能な露光レベルが自動的に切り替わるので、画像形成装置の用途に応じた露光レベルの設定を容易に行うことができる。
【0128】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の画像形成装置は、露光量に応じて発光手段の発光量の補正量を調整するので、いずれの露光量の場合も、縦スジ画像や白スジ画像のない高品質な画像形成を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の模式的断面図である。
【図2】周囲環境の水分量と必要現像コントラスト電位の関係を示す図であり、(a)はグラフ、(b)はテーブルである。
【図3】水分量が変化した場合のVDとVLの関係を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の感光ドラムの断面図である。
【図5】感光体Aの露光量と感光体上のVL電位の関係(E−V特性)を示す図である。
【図6】ドラム1周目と2周目のE−V特性を示す図である。
【図7】表面電位(VD)を変化させた場合の、感光体AのE−V特性を示す図である。
【図8】E−V特性を模式的に表した図である。
【図9】発光素子アレイチップ端部の発光素子間の距離のバラツキを示す模式図である。
【図10】光プリントヘッドの概略構成図である。
【図11】発光素子アレイチップの発光量の分布モデル図である。
【図12】発光量補正データに基づく発光素子光量を示すモデル図である。
【符号の説明】
1(1Y,1M,1C,1K) 感光ドラム
2(2Y,2M,2C,2K) 帯電器
3(3Y,3M,3C,3K) 露光手段
4(4Y,4M,4C,4K) 現像装置
5 転写ベルト
6(6Y,6M,6C,6K) 転写印加部材
7 定着器
8 搬送トレイ
9 原稿
10 原稿台ガラス
13a,13b 給紙カセット
14 レジストローラ
15 半導体帯電ローラ
30 発光素子アレイチップ
31 発光素子
32 ロッドレンズアレイユニット
Claims (2)
- 潜像が形成される像担持体と、
前記像担持体を帯電する帯電手段と、
複数の発光手段により前記帯電手段により帯電された前記像担持体を露光し潜像を形成する露光手段と、
前記潜像をトナーにて現像する現像手段と、
該露光手段の露光量を切り替える露光量切替手段と、
前記露光手段の光量分布差が低減するように前記複数の発光手段の発光量を補正する発光量補正手段と、を有し、
前記像担持体に形成されたトナー像に基いてシート上に画像を形成する画像形成装置であって、
前記帯電手段により帯電された前記像担持体を前記露光手段にて露光したときの露光部電位の変化量が、露光量0.1μJ/cm2の変化量に対して50V以下となる第1の露光量にて潜像形成を行なう第1モードと、
前記帯電手段により帯電された前記像担持体を前記露光手段にて露光したときの非露光部と露光部との潜像コントラスト電位差が、前記第1モードの60〜90%となるような第2の露光量に変更するとともに、この露光量の変更に伴って前記第1モードと画像濃度が略同じとなるように帯電条件もしくは現像条件を変更して画像形成を行なう第2モードと、
を実行可能であって、前記像担持体への露光履歴による感度変化でゴースト画像が発生した場合に第1モードから第2モードに切替可能に構成されていることを特徴とする画像形成装置。 - 前記複数の発光手段を備えた発光ユニットが複数配列して設けられ、
前記発光量補正手段は、前記発光ユニットの端部の発光手段の発光量を他の発光手段の発光量よりも設定値だけ大きくなるようにする補正を行い、前記第1モード時よりも前記第2モード時の方が前記設定値が小さくなるように補正することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
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