JP3915197B2 - 車輌のブレーキ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車輌のブレーキ装置に係り、更に詳細にはブレーキペダルの踏み込み量に応じて制動力を発生する制動力発生装置を有する車輌のブレーキ装置に係る。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車輌のブレーキ装置は、一般に、各輪毎に設けられた制動力発生装置であって、車輪と共に回転するブレーキロータやブレーキドラムの如き回転部材と、ブレーキペダルの踏み込み量(踏力又はペダルストローク)に応じて駆動されるブレーキパッドやブレーキシューの如き可動部材とを含む制動力発生装置を有し、制動力発生装置は回転部材に対し可動部材の摩擦材料が押し付けられることによって制動摩擦力を発生し、これにより対応する車輪を制動するようになっている。
【0003】
かかるブレーキ装置の一つとして、例えば本願出願人の出願にかかる特開平6−300062号公報に記載されている如く、制動力発生装置の可動部材が超音波モータにより駆動され、超音波モータがブレーキペダルの踏み込み量に応じて各輪毎に制御される電動式のブレーキ装置であって、制動力発生装置が制動力を発生する状態にて故障したときには制動力発生状態を解除するよう構成された電動式のブレーキ装置が既に知られている。
【0004】
この先の出願にかかる電動式のブレーキ装置によれば、超音波モータが各輪毎に制御されるので、各輪の制動力を相互に独立して制御することができ、また制動力発生装置が制動力を発生する状態にて故障しても制動力発生状態が解除されるので、ブレーキ装置の故障により不必要な制動力が発生した状態が継続することにより、車輌の走行に支障が生じることを回避することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上述の如き従来の電動式のブレーキ装置に於いては、各輪毎の制動力発生装置の故障に対するフェールセーフは考慮されているが、或る車輪の制動力発生装置が故障した状況に於ける車輌挙動の安定性、換言すれば車輌全体としての走行安定性については考慮されておらず、この点に関し改善の余地がある。
【0006】
即ち何れか一つの車輪の制動力発生装置が故障すると、車輌の制動時に制動力発生装置が故障している車輪の制動力はブレーキペダルの踏み込み量が変化しても全く変化しないのに対し、制動力発生装置が故障している車輪とは左右反対側の車輪の制動力がブレーキペダルの踏み込み量に応じて変動する事態(ブレーキの片効き状態)が発生し、車輌に不必要なヨーモーメントが作用して車輌の走行安定性が悪化する。この問題は、電動式のブレーキ装置に限らず、各輪毎に設けられた制動力発生装置により各輪の制動力を相互に独立して制御することが可能なあらゆる型式のブレーキ装置に存在する。
【0007】
特に制動力発生装置が制動力を発生しない状態にて故障したときには、運転者によりブレーキペダルの踏み込み操作が行われると車輌に不必要なヨーモーメントが作用し、これに起因して車輌の挙動が悪化し易く、逆に制動力発生装置が制動力を解除しない状態にて故障したときには、運転者によりブレーキペダルの踏み込み操作が行われると車輌に作用するヨーモーメントが変動し、これに起因して車輌の挙動が悪化し易いだけでなく、車輌の走行のために原動機により発生される運動エネルギが無駄に消費される。また一般に、制動力発生装置の故障が車輌の挙動の悪化に与える影響は、原動機により発生される運動エネルギが高く、車速、従って車輌の運動量が高い場合に顕著である。
【0008】
本発明は、電動式のブレーキ装置の如く各輪の制動力を相互に独立して制御可能な従来のブレーキ装置に於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主要な課題は、何れか一つの車輪の制動力発生装置が故障した場合に車輌に不必要で過大なヨーモーメントが作用することを防止し制動力発生装置の故障が車輌の悪化に与える影響を低減若しくは排除することにより、従来に比して車輌の走行安定性を向上させることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述の如き主要な課題は、本発明によれば、各輪に対応して設けられブレーキペダルの踏み込み量に応じて制動力を発生する制動力発生装置と、各輪の制動力発生装置を相互に独立して制御する制御装置とを有する車輌のブレーキ装置に於いて、前記制御装置は車輌の走行状態に基づき車輌の目標ヨーモーメントを演算する手段を有し、前記制御装置は何れかの車輪の制動力発生装置が作動不良であるときには、車輌のヨーモーメントが前記目標ヨーモーメントになるよう他の正常な制動力発生装置を制御し、その際前記制御装置は作動不良の車輪とは前後反対側の車輪の制動力発生装置により発生可能な制動力に余裕があるか否かを判別し、発生可能な制動力に余裕がないときには作動不良の車輪とは前後反対側の車輪の目標制動力を発生可能な制動力に設定し、その制動力を基準に他の車輪の目標制動力を設定することを特徴とする車輌のブレーキ装置(請求項1の構成)、又は各輪に対応して設けられブレーキペダルの踏み込み量に応じて制動力を発生する制動力発生装置と、各輪の制動力発生装置を相互に独立して制御する制御装置とを有する車輌のブレーキ装置に於いて、前記制御装置は車輌の走行状態に基づき車輌の目標ヨーモーメントを演算する手段を有し、前記制御装置は何れか一つの車輪の制動力発生装置が有効な制動力を発生しない作動不良であるときには、該一つの車輪とは前後反対側の車輪の制動力発生装置により発生される制動力と前記一つの車輪とは左右反対側に属する前後輪の制動力発生装置により発生される制動力の和とが互いに等しくなるよう、他の正常な制動力発生装置を制御し、その際前記制御装置は作動不良の車輪とは前後反対側の一つの車輪の目標制動力をブレーキペダルの踏み込み量に応じて演算し、作動不良の車輪とは左右反対側に属する前後二輪の目標制動力をそれらの和が前記一つの車輪の目標制動力と等しくなるよう演算し、作動不良の車輪以外の車輪の制動力をそれぞれ対応する目標制動力に制御することを特徴とする車輌のブレーキ装置(請求項2の構成)によって達成される。
【0010】
上記請求項1の構成によれば、何れか一つの車輪の制動力発生装置が実質的に制動力の発生を解除しない作動不良であるときには、該作動不良の車輪とは左右反対側に属する車輪の制動力発生装置により制動力が発生されることにより車輌に不必要なヨーモーメントが与えられることが防止されるので、車輌の挙動が急激に悪化することが確実に防止される。
【0017】
請求項2の構成によれば、何れかの車輪の制動力発生装置が作動不良であるときには、車輌のヨーモーメントが実質的に目標ヨーモーメントになるよう他の正常な制動力発生装置が制御されるので、車輌の良好な旋回性能を確保しつつ制動力発生装置の作動不良に起因する車輌の挙動の悪化を防止することが可能になる。
【0019】
請求項3の構成によれば、何れか一つの車輪の制動力発生装置が実質的に制動力を発生しない作動不良であるときには、該作動不良の車輪とは前後反対側の車輪の制動力発生装置により発生される制動力と作動不良の車輪とは左右反対側に属する前後輪の制動力発生装置により発生される制動力の和とが実質的に互いに等しくなるよう、他の正常な制動力発生装置が制御されるので、ブレーキペダルの踏み込み量に応じて発生される右前後輪の制動力の和と左前後輪の制動力の和との間に大きい差が生じる状態、即ちブレーキの片効き状態の発生が確実に防止される。
【0021】
請求項4の構成によれば、何れか一つの車輪の制動力発生装置が実質的に制動力の発生を解除しない作動不良であるときには、該作動不良の車輪とは左右反対側に属する車輪の制動力発生装置により制動力が発生されることにより車輌に不必要なヨーモーメントが与えられることが防止されると共に、原動機による運動エネルギ発生量が抑制されることによって制動力発生装置の作動不良が車輌の挙動の悪化に与える影響が低減されるので、原動機による運動エネルギ発生量が抑制されない場合に比して車輌の挙動の悪化を効果的に防止し、また原動機により発生され制動によって無駄に消費される運動エネルギを節減することが可能になる。
【0022】
【課題解決手段の好ましい態様】
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至4の構成に於いて、制動力発生装置は電気モータをアクチュエータとする電気式の制動力発生装置であるよう構成される(好ましい態様1)。
【0026】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項7の構成に於いて、前記前後二輪の目標制動力は後輪よりも前輪の方が高い値に演算されるよう構成される(好ましい態様2)。
【0027】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項3の構成に於いて、車輌は走行のための運動エネルギを発生する原動機を有し、制御手段は一つの車輪の制動力発生装置が作動不良である状況にて他の一つの車輪の制動力発生装置が作動不良になると、原動機による運動エネルギ発生量を低減するよう構成される(好ましい態様3)。
【0028】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様3の構成に於いて、制御手段は前二輪又は後二輪の制動力発生装置が作動不良であるときには原動機による運動エネルギ発生量を制限し、右前後輪又は左前後輪の制動力発生装置が作動不良であるときには原動機による運動エネルギ発生量をスローダウンさせるよう構成される(好ましい態様4)。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を幾つかの好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0030】
図1は電気式のブレーキ装置として構成された本発明による車輌のブレーキ装置の第一の実施形態を示す概略構成図、図2は制動力発生装置の要部を総括的に示す解図的拡大断面図である。
【0031】
図1に於いて、10fl及び10frはそれぞれ車輌12の左右の前輪を示し、10rl及び10rrはそれぞれ車輌の左右の後輪を示している。これらの車輪にはそれぞれ電気式の制動力発生装置14fl、14fr、14rl、14rrが設けられている。図2に示されている如く、各制動力発生装置14は車輪10と共に回転するディスクロータ16と、ディスクロータの両側に配設されたブレーキパッド18a及び18bと、ブレーキパッドを支持するキャリパボディ20と、ブレーキパッドを駆動するアクチュエータ22とを有している。
【0032】
図示の実施形態に於いては、アクチュエータ22は超音波モータ24と、超音波モータのシャフトの回転運動をブレーキパッド18aに連結された図には示されていないピストンの往復運動に変換する運動変換機構26とを有し、ブレーキパッド18a及び18bを互いに近付く方向へ駆動してディスクロータ16に摩擦係合させ、これにより車輪10に対する制動摩擦力を発生させるようになっている。尚各制動力発生装置14は、前述の特開平6−300062号公報に記載されている如く、制動力を発生する状態にて故障したときには制動力発生状態を解除するよう構成されていることが好ましい。
【0033】
運動変換機構26のピストンとブレーキパッド18aとの間にはブレーキパッドによる加圧力Fp 、換言すればディスクロータ16とブレーキパッド18a及び18bとの間に発生する制動摩擦力に対応する状態量を検出する荷重センサ28が設けられている。また超音波モータ24に近接した位置には該超音波モータの回転位置を検出するエンコーダ30が設けられている。
【0034】
制動力発生装置14fl、14fr、14rl、14rrは運転者により操作されるブレーキペダル32の踏み込み量Ab に基づき、マイクロコンピュータ34と駆動回路36とを有する電気式制御装置38により制御される。尚図には詳細に示されていないが、マイクロコンピュータは例えばCPUとROMとRAMと入出力ポート装置とを有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続された一般的な構成のものであってよい。
【0035】
マイクロコンピュータ34には踏み込み量センサ40よりブレーキペダル32の踏み込み量Ab を示す信号、各輪の荷重センサ28fl〜28rrより対応する制動力発生装置に於けるブレーキパッドによる加圧力Fpi(i=fl、fr、rl、rr)を示す信号、エンコーダ30fl〜30rrより各超音波モータ24の回転位置を示す信号、ブレーキペダル32の踏み込みにより閉成されるブレーキランプスイッチ(BKSW)42よりブレーキランプスイッチがオン状態にあるか否かを示す信号が入力される。尚図1には示されていないが、踏み込み量センサ40及び各荷重センサ28fl〜28rrとマイクロコンピュータ34との間にはA/D変換器が設けられている。
【0036】
後述の如く、電気式制御装置38は通常時にはブレーキペダル32の踏み込み量Ab に基づき各輪のアクチュエータ22fl〜22rrを制御することにより、踏み込み量Ab に応じてブレーキパッドによる加圧力Fpiを制御する。また電気式制御装置38は各輪の制動力発生装置が故障しているか否かを判定し、何れかの車輪の制動力発生装置が故障しているときには警報装置44を作動させると共に、必要に応じてエンジン制御装置46へ制御信号を出力し、また故障している車輪とは左右反対側の車輪の制動力発生装置の作動を禁止することにより、ブレーキの片効きを防止する。
【0037】
次に図3に示されたフローチャートを参照して第一の実施形態に於ける制動力制御のメインルーチンについて説明する。尚図3に示されたフローチャートによる制御は図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。またフラグFはブレーキパッドがその初期位置に位置決めされているか否かに関するものであり、0はブレーキパッドがその初期位置に位置決めされていることを示している。
【0038】
まずステップ50に於いては、フラグFが0にリセットされ、ステップ100に於いては、各輪の制動力発生装置14fl〜14rrのプライマリ故障チェックが行われる。尚プライマリ故障チェックは例えば所定の加圧力パターンにて各制動力発生装置を作動させ、その際の加圧力Fpiが所定の加圧力パターンに応じて変化するか否かを判定することにより行われてよい。
【0039】
ステップ150に於いては、各信号の読み込みが行われ、ステップ200に於いては、ブレーキランプスイッチ42がオン状態にあるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ300へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ250に於いて図4に示されたフローチャートに従って各輪の制動力発生装置の加圧力Fpiが制御される。
【0040】
ステップ300に於いては、フラグFが0であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ450へ進み、否定判別が行われたときにはステップ350に於いて各輪の制動力発生装置のブレーキパッド18a、18bを初期位置に位置決めする初期位置制御が行われると共に、フラグFが0にリセットされる。
【0041】
ステップ400に於いては、ステップ250に於ける加圧力制御又はステップ350に於ける初期位置制御について各輪の制動力発生装置が指令に従って動作しているか否かの判定により故障チェックが行われる。ステップ450に於いては、イグニッションスイッチがオフに切り換えられたか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ150へ戻り、肯定判別が行われたときにはこのルーチンによる制御を終了する。尚ステップ300に於いて肯定判別が行われる場合には、一定の時間毎にステップ400の故障チェックが実行されるよう構成されてもよい。
【0042】
次に図4に示されたフローチャートを参照して第一の実施形態に於ける加圧力制御のサブルーチンについて説明する。
【0043】
まずステップ251に於いては、何れかの車輪の制動力発生装置が故障しているか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ253へ進み、否定判別が行われたときにはステップ252に於いてブレーキペダル32の踏み込み量Ab に基づき図5に示されたグラフに対応するマップより左右前輪及び左右後輪の制動力発生装置の目標加圧力Fpaf 及びFpar が演算され、各制動力発生装置の加圧力がそれぞれ目標加圧力になるよう制御される。
【0044】
ステップ253に於いては、左右前一輪の制動力発生装置が故障しているか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ254に於いて警報装置44が点灯作動されることにより運転者に制動力発生装置が故障している旨の警報が発せられた後ステップ258へ進み、否定判別が行われたときにはステップ255に於いて左右前二輪の制動力発生装置が故障しているか否かの判別が行われる。
【0045】
ステップ255に於いて否定判別が行われたときにはステップ259へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ256に於いて警報装置44が点滅作動され、ステップ257に於いてエンジン制御装置46へ制御信号が出力されることによりエンジンの出力が制限され、更にステップ258に於いてブレーキペダル32の踏み込み量Ab に基づき図5に示されたグラフに対応するマップより左右後二輪の制動力発生装置の目標加圧力Fpar が演算され、それらの制動力発生装置の加圧力がそれぞれ目標加圧力になるよう制御される。
【0046】
ステップ259〜263に於いては、前輪と後輪とが逆であり、またステップ257に相当するエンジン出力の制限が行われない点を除き、それぞれ上述のステップ254〜258の場合と同様の要領にて警報出力及び左右前二輪の加圧力の制御が行われ、ステップ261に於いて否定判別が行われたときにはステップ264へ進む。
【0047】
尚ステップ257に於けるエンジン出力の制限は、ステップ258に於いて左右後二輪のみによりブレーキペダルの踏込量に応じた制動力が発生されるので、制動旋回時に於ける後輪横力の低下に起因するスピンの発生の虞れを低減するために行われる。またステップ262に於いてもエンジンの制限が行われてもよく、その場合ステップ262に於けるエンジン出力の制限度合はステップ257に於ける制限度合よりも低く設定されることが好ましい。またステップ257(及び262)に於けるエンジン出力の制限は、エンジン出力を所定値以下に制限することにより行われてもよく、またアクセルペダルの踏み込み量に対するエンジン出力の比を低減することにより行われてもよい。
【0048】
ステップ264に於いては、警報装置44が点滅作動され且つ警報音が発せられると共に、エンジン制御装置46へ制御信号が出力されることによりエンジンの出力がスローダウンされ、ステップ265に於いては、故障している二輪以外の車輪についてブレーキペダル32の踏み込み量Ab に基づき図5に示されたグラフに対応するマップより制動力発生装置の目標加圧力が演算され、それらの制動力発生装置の加圧力がそれぞれ目標加圧力になるよう制御され、これにより車輌が停止される。
【0049】
かくしてこの第一の実施形態によれば、何れか一つの車輪の制動力発生装置が故障した場合には、ステップ253又は259に於いて肯定判別が行われ、ステップ254、257、258又はステップ260、263が実行されることにより、その故障した車輪とは左右反対側の車輪の制動力発生装置の作動が禁止され、故障した車輪とは前後反対側の二つの車輪によりブレーキペダルの踏み込み量に応じた制動力が発生されるので、ブレーキの片効きによる車輌挙動の悪化を防止して通常の走行状態に近い走行状態を確保することができる。
【0050】
尚何れか一つの車輪の制動力発生装置が制動力発生状態にて故障しても、その制動力は一定であり、ブレーキペダルの踏み込み量が変化しても変動しないので、左右の制動力の差は一定であり、制動力の差に起因するヨーモーメントもブレーキペダルの踏み込み量が変化しても変動しない。
【0051】
また第一の実施形態によれば、左右前輪又は左右後輪の二つの車輪の制動力発生装置が故障した場合には、ステップ255又は261に於いて肯定判別が行われ、ステップ256〜258又はステップ262及び263が実行されるので、ブレーキの片効きによる車輌挙動の悪化を防止しつつ車輌を例えば修理工場まで自力走行させることができる。
【0052】
更に右前後輪又は左前後輪の二つの車輪の制動力発生装置が故障した場合には、ステップ261に於いて否定判別が行われ、ステップ264及び265が実行され、エンジンの出力がスローダウンされるので、車速を漸次低下させ、車輌を安全に停止させることができる。
【0053】
図6及び図7はそれぞれ本発明によるブレーキ装置の第二及び第三の実施形態に於ける加圧力制御のサブルーチンを示すフローチャートである。尚図6に於いて、図4に示されたステップに対応するステップには図4に於いて付された符号と同一のステップ番号が付されている。また図には示されていないが、これらの実施形態に於いてもブレーキ装置や電気式制御装置は第一の実施形態と同様に構成されており、制動力制御のメインルーチンは第一の実施形態(図3)と同一である。
【0054】
図6に示された第二の実施形態に於いては、ステップ253に於いて左右前輪の一方の制動力発生装置が故障している旨の判別が行われた場合、又はステップ259に於いて左右後輪の一方の制動力発生装置が故障している旨の判別が行われた場合には、ステップ254に於いて警報が発せられ、ステップ270に於いて故障している車輪以外の三輪の制動力発生装置が制御される。
【0055】
この場合左右前輪の一方の制動力発生装置が故障しているときには、その故障している車輪と左右同一の側の後輪の目標加圧力Fpar がブレーキペダル32の踏み込み量Ab に基づき図5に示されたグラフに対応するマップより演算され、C1 を0より大きく1より小さい正の定数として、故障している車輪とは左右反対側に属する前後輪の目標加圧力Fpaft、Fpartがそれぞれ下記の数1及び数2に従って演算され、それら三輪の制動力発生装置の加圧力がそれぞれ目標加圧力になるよう制御される。
【0056】
【数1】
Fpaft=Fpar (1+C1 )/2
【数2】
Fpart=Fpar (1−C1 )/2
【0057】
また左右後輪の一方の制動力発生装置が故障しているときには、その故障している車輪と左右同一の側の前輪の目標加圧力Fpaf がブレーキペダル32の踏み込み量Ab に基づき図5に示されたグラフに対応するマップより演算され、C2 を0より大きく1より小さい正の定数として、故障している車輪とは左右反対側の前後輪の目標加圧力Fpaft、Fpartがそれぞれ下記の数3及び数4に従って演算され、それら三輪の制動力発生装置の加圧力がそれぞれ目標加圧力になるよう制御される。
【0058】
【数3】
Fpaft=Fpaf (1+C2 )/2
【数4】
Fpart=Fpaf (1−C2 )/2
【0059】
またこの実施形態に於いては、二輪以上の制動力発生装置が故障しているときには、換言すればステップ259に於いて否定判別が行われたときには、ステップ264及び265が実行され、これにより車速が漸次低下され、車輌が安全に停止される。
【0060】
かくしてこの第二の実施形態によれば、何れか一つの車輪の制動力発生装置が故障し制動力を発生し得なくなった場合には、ブレーキペダルの踏み込み量に応じて発生される右前後輪の制動力の和と左前後輪の制動力の和とが等しくなるよう、故障している車輪以外の三輪により制動力が発生されるので、ブレーキの片効きによる車輌の挙動の悪化を防止して実質的に通常の走行状態と同様の走行状態を確保することができ、また故障している車輪とは前後反対側の二つの車輪のみにより制動力が発生される第一の実施形態の場合に比して、車輌の良好な制動性能を確保することができる。
【0061】
特にこの実施形態によれば、何れか一輪の制動力発生装置が故障しているときには、故障している車輪とは左右反対側に属する前後輪の目標加圧力が数1及び数2又は数3及び数4に従って演算され、後輪側よりも前輪側の目標加圧力が高く設定されるので、例えば車輌の制動旋回時に後輪の横力が低下することに起因して車輌がスピンし易くなる虞れを低減することができる。尚上記数1乃至数4に於ける定数C1 及びC2 が0に設定され、故障している車輪とは左右反対側に属する前後輪の目標加圧力が互いに等しい値に設定されてもよい。
【0062】
尚この実施形態に於いても、第一の実施形態に於けるステップ255〜258及びステップ261〜263が実行され、これにより左右前二輪又は左右後二輪の制動力発生装置が故障した場合に、車輌が修理工場まで自力走行し得るよう構成されてもよい。
【0063】
図7に示された第三の実施形態に於いては、ステップ281に於いて右前輪の制動力発生装置14frが故障しているか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ287へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ282へ進む。
【0064】
ステップ282に於いては、左前輪の制動力発生装置14flが故障しているか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ283に於いて警報装置44が点滅作動されると共にエンジン制御装置46へ制御信号が出力されることによりエンジンの出力が制限され、ステップ284に於いてブレーキペダル32の踏み込み量Ab に基づき図5に示されたグラフに対応するマップより左右後二輪の制動力発生装置の目標加圧力Fpar が演算され、それらの制動力発生装置の加圧力がそれぞれ目標加圧力になるよう制御される。
【0065】
尚第一の実施形態に於けるステップ257(及び262)の場合と同様、制動旋回時に於けるスピンの発生の虞れを低減すべく、ステップ283に於けるエンジン出力の制限度合は後述のステップ292に於けるエンジン出力の制限度合よりも高く設定されることが好ましい。
【0066】
またステップ282に於いて否定判別が行われたときには、ステップ285に於いて警報装置44が点灯作動され、ステップ286に於いて故障している車輪と左右同一の側の後輪の目標加圧力Fpar がブレーキペダル32の踏み込み量Ab に基づき図5に示されたグラフに対応するマップより演算され、故障している車輪とは左右反対側の前後輪の目標加圧力Fpaft、Fpartがそれぞれ上記の数1及び数2に従って演算され、それら三輪の制動力発生装置の加圧力がそれぞれ目標加圧力になるよう制御される。
【0067】
ステップ287に於いては、左前輪の制動力発生装置14flが故障しているか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ290へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ288に於いて警報装置44が点灯作動され、ステップ289に於いて故障している車輪と左右同一の側の前輪の目標加圧力Fpaf がブレーキペダル32の踏み込み量Ab に基づき図5に示されたグラフに対応するマップより演算され、故障している車輪とは左右反対側に属する前後輪の目標加圧力Fpaft、Fpartがそれぞれ上記の数3及び数4に従って演算され、それら三輪の制動力発生装置の加圧力がそれぞれ目標加圧力になるよう制御される。
【0068】
ステップ290に於いては、右後輪の制動力発生装置14rrが故障しているか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ294へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ291へ進む。
【0069】
ステップ291に於いては左後輪の制動力発生装置14rlが故障しているか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ295へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ292に於いて警報装置44が点滅作動されると共にエンジンの出力が制限され、ステップ293に於いて左右前二輪の目標加圧力がステップ284の場合と同一の要領にて演算され、それらの加圧力がそれぞれ目標加圧力になるよう制御される。
【0070】
ステップ294に於いては、左後輪の制動力発生装置14rlが故障しているか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ295に於いて警報装置44が点灯作動され、ステップ296に於いて左右前二輪の加圧力がステップ293の場合と同一の要領にて目標加圧力に制御され、否定判別が行われたときにはステップ297に於いてブレーキペダル32の踏み込み量Ab に基づき図5に示されたグラフに対応するマップより四輪の目標加圧力が演算され、各制動力発生装置の加圧力がそれぞれ目標加圧力に制御される。
【0071】
かくしてこの第三の実施形態によれば、左右後輪の一方の制動力発生装置が故障したときには、ステップ291に於いて否定判別が行われ又はステップ294に於いて肯定判別が行われ、上述の第一の実施形態の場合と同様、ステップ296に於いて左右前二輪によりブレーキペダルの踏み込み量に応じた制動力が発生されるが、左右前輪の一方の制動力発生装置が故障したときにはステップ282に於いて否定判別が行われ又はステップ287に於いて肯定判別が行われ、これにより上述の第二の実施形態の場合と同様、ステップ286又は289に於いてブレーキペダルの踏み込み量に応じて発生される右前後輪の制動力の和と左前後輪の制動力の和とが等しくなるよう故障した車輪以外の三輪によりブレーキペダルの踏み込み量に応じた制動力が発生される。
【0072】
従ってこの第三の実施形態によれば、左右後輪の一方の制動力発生装置が故障した場合に於ける車輌の制動旋回時のスピン発生の虞れを第二の実施形態の場合よりも低減することができ、また左右前輪の一方の制動力発生装置が故障した場合に於ける車輌の制動性能を第一の実施形態の場合よりも向上させることができる。
【0073】
図8は電気式のブレーキ装置として構成された本発明による車輌のブレーキ装置の第四の実施形態を示す図1と同様の概略構成図である。尚図8に於いて、図1に示された部材と同一の部材には図1に於いて付された符号と同一の符号が付されている。
【0074】
上述の第一乃至第三の実施形態は、制動力発生装置が制動力を発生しない状態にて故障した場合や、制動力発生装置が制動力発生状態にて故障しても例えば前述の特開閉6−300062号公報に記載されている如く制動力発生状態が解除される場合に適しているが、この第四の実施形態は制動力発生装置が制動力を発生しない状態にて故障した場合及び制動力発生装置が制動力発生状態にて故障し制動力発生状態が解除されない場合にも対処可能である。
【0075】
例えば図示の各実施形態の如く、制動力発生装置の駆動手段が電源オフ時の保持トルクが高い超音波モータである場合や、駆動手段が他のモータであっても駆動力伝達経路にウォームギヤ等が使用され外力を受けてもモータが実質的に逆転しない構造の場合には、制動力発生装置が制動力を発生している状況に於いて断線の如き異常が発生すると、その制動力発生状態は解除されない。
【0076】
この実施形態に於いては、電気式制御装置38のマイクロコンピュータ34には、第一の実施形態の信号に加えて各輪の車輪速度センサ48fl〜48rrより対応する車輪の車輪速度Vwi(i=fl、fr、rl、rr)を示す信号、車速センサ50より車速Vを示す信号、操舵角センサ52より操舵角θを示す信号、ヨーレートセンサ54より車輌のヨーレートγを示す信号が入力される。尚操舵角θ及びヨーレートγは車輌の左旋回時を正として検出される。
【0077】
電気式制御装置38は通常時、即ち何れの車輪の制動力発生装置も正常であるときには、上述の第一乃至第三の実施形態の場合と同様、ブレーキペダル32の踏み込み量Ab に基づき各輪のアクチュエータ22fl〜22rrを制御することにより、踏み込み量Ab に応じて各輪のブレーキパッドによる加圧力Fpiを制御する。
【0078】
これに対し何れか一つの車輪の制動力発生装置が制動力を発生しない状態にて故障しているときには、電気式制御装置38は警報装置44を作動させ、車輌のヨーレートγが操舵角θ等により決定される目標ヨーレートγt になるよう正常な車輪の制動力を制御すると共に、エンジン制御装置46へ制御信号を出力してエンジンの出力を低減する。
【0079】
更に何れか一つの車輪の制動力発生装置が制動力を解除しない状態にて故障したときには、電気式制御装置38は警報装置44を作動させ、エンジンの出力を低減すると共に、故障した車輪とは左右反対側に属する前輪又は後輪に故障した車輪の制動力と実質的に同一の制動力を与え、これにより車輌の挙動がスピン状態やドリフトアウト状態の如き不安定な状態になることを防止する。
【0080】
次に図9に示されたフローチャートを参照して第四の実施形態に於ける制動力制御のメインルーチンについて説明する。尚図9に示されたフローチャートによる制御も図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。また図9に於いて、図2に示されたステップに対応するステップには図2に於いて付されたステップ番号と同一のステップ番号が付されている。
【0081】
まずステップ50〜150、850はそれぞれ第一の実施形態のステップ50〜150、450と同様に実行され、ステップ500に於いては、例えば第一の実施形態のステップ400の場合と同様の要領にて各輪の制動力発生装置について故障チェックが行われる。
【0082】
ステップ550に於いては、何れかの車輪の制動力発生装置が故障しているか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ650へ進み、否定判別が行われたときにはステップ600に於いて各輪の制動力が図10に示された通常時制御のサブルーチンに従って運転者によるブレーキペダル32の踏み込み量に応じて制御される。
【0083】
尚車輪速度センサ48fl〜48rrにより検出される各輪の車輪速度Vwiに基づき制動スリップが過剰であると判定されるときには制動力が低減されるアンチロックブレーキ制御が行われる車輌の場合には、ステップ550に於いて肯定判別が行われるとアンチロックブレーキ制御が中止される。同様に図8には示されていない前後加速度センサ及び横加速度センサにより検出される車輌の前後加速度Gx 及び横加速度Gy 等に基づき車輌の挙動悪化が判定されるときには所定の車輪に制動力を与えてスピンやドリフトアウトを抑制する挙動制御が行われる車輌の場合にも、ステップ550に於いて肯定判別が行われると挙動制御が中止される。
【0084】
ステップ650に於いては、故障した制動力発生装置が制動力を発生することができない状態にて故障しているか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ700に於いて故障した車輪以外の制動力発生装置が図11に示された制動力発生不可時の制御ルーチンに従って制御され、否定判別が行われたときにはステップ750に於いて車速Vが第一の所定値Vc1(例えば30km/h )以下になるようスロットル開度の制御若しくはフューエルカットによりエンジンの出力が制御され、ステップ800に於いて故障した車輪とは左右反対側に属する前輪又は後輪の制動力が図12に示された制動力解除不可時の制御ルーチンに従って制御される。
【0085】
尚ステップ750のエンジン出力の制御に於いては、ステップ650に於ける否定判別が最初に行われた時点の車速Vが第一の所定値Vc1を越えているときには、車速がVc1以下になるよう漸次低下される。またエンジン出力はエンジンの出力トルクTe 若しくはエンジンの回転数Ne がそれぞれ第一の所定値Tec1 、Nec1 以下になるよう制御されてもよい。
【0086】
図10に示された通常時制御ルーチンのステップ601に於いては、ブレーキランプスイッチ42がオン状態にあるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ604へ進み、否定判別が行われたときにはステップ602へ進む。ステップ602に於いては、フラグFが0であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはそのままステップ850へ進み、否定判別が行われたときにはステップ603に於いて第一の実施形態に於けるステップ350の場合と同様の要領にて各輪の制動力発生装置のブレーキパッドを初期位置に位置決めする初期位置制御が行われると共に、フラグFが0にリセットされる。
【0087】
ステップ604に於いては、ブレーキペダル32の踏み込み量Ab に基づき図5に示されたグラフに対応するマップより四輪の制動力発生装置の目標加圧力Fpaf 及びFpar が演算され、ステップ605に於いて各制動力発生装置の加圧力がそれぞれ目標加圧力になるよう制御される。
【0088】
図11に示された制動力発生不可時の制御ルーチンのステップ701に於いては、Kh をスタビリティファクタとし、Rsgをステアリングギヤ比とし、Hを車輌のホイールベースとして下記の数5に従って基準ヨーレートγc が演算されると共に、Tを時定数としsをラプラス演算子として下記の数6に従って目標ヨーレートγt が演算される。尚基準ヨーレートγc は動的なヨーレートを考慮すべく車輌の横加速度Gy を加味して演算されてもよい。
【0089】
【数5】
γc =(V・θ)/{(1+Kh ・V2 )・Rsg・H}
【数6】
γt =γc /(1+T・s)
【0090】
ステップ702に於いては、下記の数7に従って車輌の目標ヨーレートγt と実ヨーレートγとの偏差に比例する値として車輌の左前後輪の合計の制動力と右前後輪の合計の制動力との間に必要な制動力差ΔBが演算される。尚下記の数7に於けるKb は正の比例定数である。
【数7】
ΔB=Kb (γt −γ)
【0091】
ステップ703に於いては、ステップ601の場合と同様ブレーキランプスイッチ42がオン状態にあるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ704に於いて車速Vが第二の所定値Vc2(例えば40km/h の如くVc1よりも大きい正の定数)以下になるようスロットル開度の制御若しくはフューエルカットによりエンジンの出力が制御され、肯定判別が行われたときにはステップ705に於いてブレーキペダル32の踏み込み量Ab に基づき図13に示されたグラフに対応するマップより車輌の目標減速度Gvxを演算すると共に、目標減速度Gvxに基づき車輌全体としての目標制動力Fvbが演算される。
【0092】
尚ステップ704のエンジン出力の制御に於いても、ステップ703に於ける否定判別が最初に行われた時点の車速Vが第二の所定値Vc2を越えているときには、車速がVc2以下になるよう漸次低下される。またエンジン出力はエンジンの出力トルクTe 若しくはエンジンの回転数Ne がそれぞれ第二の所定値Tec2 、Nec2 以下になるよう制御されてもよい。
【0093】
ステップ706に於いては、操舵角θに基づき車輌が実質的に直進中であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはそのままステップ708へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ707に於いて必要な制動力差ΔBが0に設定された後ステップ708へ進む。
【0094】
ステップ708に於いては、Sign(γ)を車輌のヨーレートγの符号として、Sign(γ)と必要な制動力差ΔBとの積が正であるか否かの判別、即ち車輌のヨーレート偏差を低減するために右輪に比して左輪の制動力が高くなるよう制御すべき状況にあるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ710へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ709へ進む。
【0095】
ステップ709に於いては、制動力発生装置が故障している車輪が左輪(左前輪又は左後輪)であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ711へ進み、否定判別が行われたときにはステップ714へ進む。同様にステップ710に於いても制動力発生装置が故障している車輪が左輪であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ714へ進み、否定判別が行われたときにはステップ711へ進む。
【0096】
ステップ711に於いては、制動力発生装置が故障した車輪とは前後方向反対側の制動力発生装置により発生し得る最大の制動力Foxmax がFvb/2+ΔBを越えているか否かの判別、即ち故障した車輪とは前後方向反対側の車輪の制動力発生装置により発生可能な制動力に余裕があるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ712に於いて故障した車輪とは左右方向反対側の前輪及び後輪の目標制動力Foyf 、Foyr 及び故障した車輪とは前後方向反対側の車輪の目標制動力Foxがそれぞれ下記の数8に従って演算され、肯定判別が行われたときにはステップ713に於いて目標制動力Foyf 、Foyr 、Foxが下記の数9に従って演算される。
【0097】
尚下記の数8、9及び後述の数10、11に於ける係数m及びnは、それぞれ例えば0.6、0.4の如く、m+n=1の関係を満たし、好ましくは更にm>nの関係を満たす1未満の正の定数である。
【0098】
【数8】
Foyf =m(Foxmax −ΔB)
Foyr =n(Foxmax −ΔB)
Fox=Fomax
【数9】
Foyf =m・Fvb/2
Foyr =n・Fvb/2
Fox=Fvb/2+ΔB
【0099】
ステップ714に於いては、故障した車輪とは前後方向反対側の車輪の制動力発生装置が発生し得る最大の制動力Foxmax がFvb/2を越えているか否かの判別、即ち故障した車輪とは前後方向反対側の車輪の制動力発生装置により発生し得る制動力に余裕があるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ715に於いて目標制動力Foyf 、Foyr 、Foxが下記の数10に従って演算され、否定判別が行われたときにはステップ716に於いて各目標制動力が下記の数11に従って演算される。
【0100】
【数10】
Foyf =m(Fvb/2+ΔB)
Foyr =n(Fvb/2+ΔB)
Fox=Fvb/2
【数11】
Foyf =m・Foxmax
Foyr =n・Foxmax
Fox=Foxmax −ΔB
【0101】
ステップ717に於いては、故障した車輪以外の車輪の制動力がステップ712、713、715又は716に於いて演算された目標制動力Foyf 、Foyr 、Foxになるよう、故障した車輪以外の車輪の制動力発生装置の加圧力が制御される。
【0102】
尚故障した車輪とは前後方向反対側の車輪の制動力発生装置が発生し得る最大の制動力Foxmax は、例えばアンチロックブレーキ制御が開始される際の当該車輪の制動力であってよく、また予め実験的に求められた値であってもよく、特に後者の場合には車輌の前後加速度Gx 及び横加速度Gy に基づき推定される車体の荷重移動量に応じて増減されてもよい。
【0103】
図12に示された制動力解除不可時の制御ルーチンのステップ801に於いては、ステップ705の場合と同様の要領にて車輌全体としての目標制動力Fvbが演算され、ステップ802に於いては、故障した制動力発生装置により発生されている制動力Fb が荷重センサ28により検出された加圧力Fpiに基づき推定される。
【0104】
ステップ803に於いては、操舵角θに基づき車輌が実質的に直進中であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ804に於いて故障した車輪とは左右方向反対側の車輪の目標制動力Foyが故障した制動力発生装置により発生されている制動力Fb に設定され、否定判別が行われたときにはステップ805に於いて故障した車輪とは前後方向及び左右方向反対側の車輪の目標制動力Foxy が故障した制動力発生装置により発生されている制動力Fb に設定される。
【0105】
ステップ806に於いては、車輌全体としての目標制動力Fvbが2Fb を越えているか否かの判別、即ち他の車輪に制動力を与える必要があるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ807に於いて故障した車輪とは前後方向反対側の車輪の目標制動力Fox及び故障した車輪とは前後方向及び左右方向反対側の車輪の目標制動力Foxy が下記の数12に従って演算され、否定判別が行われたときにはステップ808に於いて目標制動力Fox及びFoxy が0に設定される。
【数12】
Fox=(Fvb−2Fb )/2
Foxy =(Fvb−2Fb )/2
【0106】
ステップ809に於いては、ステップ806に於ける判別と同様の判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ810に於いて故障した車輪とは前後方向反対側の車輪の目標制動力Fox及び故障した車輪とは左右方向反対側の車輪の目標制動力Foyが下記の数13に従って演算され、否定判別が行われたときにはステップ811に於いて目標制動力Fox及びFoyが0に設定される。
【数13】
Fox=(Fvb−2Fb )/2
Foy=(Fvb−2Fb )/2
【0107】
ステップ812に於いては、ステップ717の場合と同様、故障した車輪以外の車輪の制動力がステップ807、808、810又は811に於いて設定された目標制動力Foy、Fox、Foxy になるよう各車輪の制動力発生装置の加圧力が制御される。
【0108】
かくしてこの第四の実施形態によれば、ステップ500に於いて各輪の制動力発生装置について故障チェックが行われ、ステップ550に於いて何れかの車輪の制動力発生装置が故障しているか否かの判別が行われる。何れの車輪の制動力発生装置も正常であるときには、ステップ550に於いて否定判別が行われ、これによりステップ600に於いて各輪の制動力が図10に示された通常時制御のサブルーチンに従って運転者によるブレーキペダル32の踏み込み量に応じて制御される。
【0109】
これに対し何れかの制動力発生装置が制動力を発生することができない状態にて故障したときには、ステップ650に於いて肯定判別が行われ、ステップ700に於いて故障した車輪以外の制動力発生装置が図11に示された制動力発生不可時の制御ルーチンに従って制御され、これにより車輌のヨーレートが目標ヨーレートになるよう正常な車輪の制動力が制御される。
【0110】
従って何れかの制動力発生装置が制動力を発生することができない状態にて故障しても、車輌の制動時にブレーキの片効き状態が発生して車輌の挙動が悪化することを防止することができ、また故障した車輪とは左右方向反対側の車輪の制動力発生装置の作動が禁止される第一の実施形態の場合に比して制動作用の低下を抑制することができ、更に左前後輪の制動力の合計と右前後輪の制動力の合計とが等しくなるよう正常な車輪の制動力発生装置が制御される第二及び第三の実施形態の場合に比して車輌の旋回性能を向上させることができる。
【0111】
特に図示の実施形態によれば、ステップ711及び714に於いて故障した車輪とは前後方向反対側の車輪の制動力発生装置により発生可能な制動力に余裕があるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ713又は715に於いて正常な車輪の目標制動力が必要な制動力差ΔBを確保しつつブレーキペダルの踏み込み量に応じた制動力に設定され、否定判別が行われたときにはステップ712又は716に於いて必要な制動力差ΔBを確保しつつできるだけブレーキペダルの踏み込み量に応じた制動力に設定されるので、ステップ711及び714の判別が行われることなく常にステップ713又は715により正常な車輪の目標制動力が設定される場合に比して、故障した車輪とは前後方向反対側の車輪が制動力の過剰に起因してロック状態になる虞れを低減することができる。
【0112】
更に何れかの制動力発生装置が制動力を解除することができない状態にて故障したときには、ステップ650に於いて否定判別が行われ、ステップ750に於いて車速Vが第一の所定値Vc1以下になるようエンジンの出力が制御され、またステップ800に於いて故障した車輪とは左右反対側に属する前輪又は後輪の制動力が図12に示された制動力解除不可時の制御ルーチンに従って制御され、これにより車輌に過剰なヨーモーメントが作用することが防止される。
【0113】
従って車輌の走行中に何れかの制動力発生装置が突然制動力を解除することができない状態にて故障しても、無駄に消費されるエンジンの出力を節減することができ、また車輌に不必要なヨーモーメントが作用することに起因して車輌が急激にスピン状態になったりドリフトアウト状態になったりすることを確実に防止することができ、これにより車輌を安全に停止させることができる。
【0114】
特に図示の実施形態によれば、ステップ803に於いて車輌が実質的に直進中であるか否かの判別が行われ、車輌が実質的に直進中であるときにはステップ804に於いて故障した車輪とは左右方向反対側の車輪の目標制動力Foyが故障した車輪の制動力発生装置により発生されている制動力Fb に設定され、車輌が旋回中であるときにはステップ805に於いて故障した車輪とは前後方向及び左右方向反対側の車輪の目標制動力Foxy が故障した制動力発生装置により発生されている制動力Fb に設定されるので、車輌が直進中の場合には車輌に不必要なヨーモーメントが作用することを効果的に低減することができ、車輌が旋回中の場合には制動力発生装置が故障している車輪を含む左右両輪の横力が不足することに起因して車輌がスピン状態やドリフトアウト状態になる虞れを効果的に低減することができる。
【0115】
以上に於ては本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【0116】
例えば上述の各実施形態に於いては、制動力発生装置は電気式の制動力発生装置であり、そのアクチュエータは超音波モータ式のものであるが、制動力発生装置はブレーキペダルの踏み込み量に応じてアクチュエータが駆動されることにより制動力を発生すると共に制御装置により各輪毎に相互に独立して制御可能なものである限り、当技術分野に於いて公知の任意の構造のものであってよい。
【0117】
また上述の第一乃至第三の各実施形態に於いては、何れか一つの車輪の電気ブレーキ装置が故障した場合にはエンジンの出力は制限されないようになっているが、何れか一つの車輪の制動力発生装置が故障した場合にもエンジンの出力が制限されるよう構成されてもよい。
【0118】
また上述の第二及び第三の実施形態に於いては、何れか一つの車輪の電気ブレーキ装置が故障した場合には、故障輪とは前後反対側の車輪の電気ブレーキ装置により発生される制動力と故障輪とは左右反対側に属する前後輪の電気ブレーキ装置により発生される制動力の和とが互いに等しくなるよう三輪の制動力が制御されるようになっているが、図示の各実施形態の如く各制動力発生装置の制動力に対応する状態量を検出するセンサが各輪に設けられている場合には、電気ブレーキ装置が制動力発生状態にて故障してもその電気ブレーキ装置が発生する制動力を知ることができるので、第二及び第三の実施形態に於いても右前後輪の制動力の和と左前後輪の制動力の和とが等しくなるよう、故障している車輪以外の三輪の制動力が制御されるよう構成されてもよい。
【0119】
また上述の第二及び第三の実施形態に於いては、左右前二輪又は左右後二輪の電気ブレーキ装置が故障した場合には故障輪とは左右反対側に属する前後輪の目標加圧力が上記数1、数2及び数3、数4により演算されるようになっているが、これらの車輪の加圧力は前輪配分比K1 及びK2 を例えば0.5以上であり且つ1よりも小さい正の定数としてそれぞれ下記の数14乃至数17に従って演算されてもよい。
【0120】
【数14】
Fpaft=Fpar ・K1
【数15】
Fpart=Fpar ・(1−K1 )
【数16】
Fpaft=Fpaf ・K2
【数17】
Fpart=Fpaf ・(1−K2 )
【0121】
また上述の第四の実施形態に於いては、ステップ706に於いて車輌が実質的に直進状態にある旨の判別が行われたときには、ステップ707に於いて必要な制動力差ΔBが0に設定されるようになっているが、例えばステップ702に於いて必要な制動力差ΔBが図14に示されたグラフに対応するマップより演算されることにより、ステップ706及び707が省略されてもよい。
【0122】
更に上述の第四の実施形態に於いては、何れか一つの車輪の制動力発生装置が制動力を解除しない状態にて故障したときには、故障した車輪とは左右反対側に属する前輪又は後輪に故障した車輪の制動力と実質的に同一の制動力を与え、これにより車輌の挙動がスピン状態やドリフトアウト状態の如き不安定な状態になることを防止するようになっているが、何れか一つの車輪の制動力発生装置が制動力を解除しない状態にて故障した場合と同様、車輌のヨーレートγが目標ヨーレートγt になるよう正常な車輪の制動力が制御されてもよい。
【0123】
この場合、Ka を制動力発生装置が故障した車輪が左輪であるときには正の係数であり、制動力発生装置が故障した車輪が右輪であるときには負の係数として、必要な制動力差ΔBは例えば下記の数18に従って演算され、ステップ707に於いてはΔBがKa ・Fb に設定される。
【数18】
ΔB=Kb (γt −γ)+Ka ・Fb
【0124】
【発明の効果】
以上の説明より明らかである如く、本発明の請求項1の構成によれば、何れか一つの車輪の制動力発生装置が実質的に制動力の発生を解除しない作動不良であるときには、該作動不良の車輪とは左右反対側に属する車輪の制動力発生装置により制動力が発生されることにより車輌に不必要なヨーモーメントが与えられることが防止されるので、車輌の挙動が急激に悪化することを確実に防止し、これにより車輌の走行安定性を向上させることができる。
【0127】
また本発明の請求項2の構成によれば、何れかの車輪の制動力発生装置が作動不良であるときには、車輌のヨーモーメントが実質的に目標ヨーモーメントになるよう他の正常な制動力発生装置が制御されるので、車輌の良好な旋回性能を確保しつつ制動力発生装置の作動不良に起因する車輌の挙動の悪化を防止することができる。
【0128】
また本発明の請求項3の構成によれば、何れか一つの車輪の制動力発生装置が実質的に制動力を発生しない作動不良であるときには、該作動不良の車輪とは前後反対側の車輪の制動力発生装置により発生される制動力と作動不良の車輪とは左右反対側に属する前後輪の制動力発生装置により発生される制動力の和とが実質的に互いに等しくなるよう、他の正常な制動力発生装置が制御されるので、ブレーキペダルの踏み込み量に応じて発生される右前後輪の制動力の和と左前後輪の制動力の和との間に大きい差が生じる状態、即ちブレーキの片効き状態の発生を確実に防止することができ、また車輌の減速を効果的に行うことができる。
【0129】
また本発明の請求項4の構成によれば、何れか一つの車輪の制動力発生装置が実質的に制動力の発生を解除しない作動不良であるときには、該作動不良の車輪とは左右反対側に属する車輪の制動力発生装置により制動力が発生されることにより車輌に不必要なヨーモーメントが与えられることが防止されると共に、原動機による運動エネルギ発生量が抑制されることによって制動力発生装置の作動不良が車輌の挙動の悪化に与える影響が低減されるので、原動機による運動エネルギ発生量が抑制されない場合に比して車輌の挙動の悪化を効果的に防止しつつ原動機により発生され制動によって無駄に消費される運動エネルギを節減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電気式のブレーキ装置として構成された本発明による車輌のブレーキ装置の第一の実施形態を示す概略構成図である。
【図2】電気ブレーキ装置の要部を総括的に示す解図的拡大断面図である。
【図3】第一の実施形態に於ける制動力制御のメインルーチンを示すフローチャートである。
【図4】第一の実施形態に於ける加圧力制御のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図5】ブレーキペダルの踏み込み量Ab と目標加圧力Fpaf 及びFpar との間の関係を示すグラフである。
【図6】本発明によるブレーキ装置の第二の実施形態に於ける加圧力制御のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図7】本発明によるブレーキ装置の第三の実施形態に於ける加圧力制御のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図8】電気式のブレーキ装置として構成された本発明による車輌のブレーキ装置の第四の実施形態を示す図1と同様の概略構成図である。
【図9】第四の実施形態に於ける制動力制御のメインルーチンを示すフローチャートである。
【図10】第四の実施形態に於ける通常時の制動力制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図11】第四の実施形態に於ける制動力発生不可時の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図12】第四の実施形態に於ける制動力解除不可時の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図13】ブレーキペダルの踏み込み量Ab と車輌の目標減速度Gvbと車輌全体の目標加制動力Fvbとの間の関係を示すグラフである。
【図14】ヨーレート偏差γt −γと必要な制動力差ΔBとの間の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
14fl〜14rr…電気ブレーキ装置
22…アクチュエータ
28…荷重センサ
30…エンコーダ
32…ブレーキペダル
38…電気式制御装置
40…踏み込み量センサ
42…ブレーキランプスイッチ(BKSW)
44…警報装置
46…エンジン制御装置
48…車輪速度センサ
50…車速センサ
52…操舵角センサ
54…ヨーレートセンサ
Claims (2)
- 各輪に対応して設けられブレーキペダルの踏み込み量に応じて制動力を発生する制動力発生装置と、各輪の制動力発生装置を相互に独立して制御する制御装置とを有する車輌のブレーキ装置に於いて、前記制御装置は車輌の走行状態に基づき車輌の目標ヨーモーメントを演算する手段を有し、前記制御装置は何れかの車輪の制動力発生装置が作動不良であるときには、車輌のヨーモーメントが前記目標ヨーモーメントになるよう他の正常な制動力発生装置を制御し、その際前記制御装置は作動不良の車輪とは前後反対側の車輪の制動力発生装置により発生可能な制動力に余裕があるか否かを判別し、発生可能な制動力に余裕がないときには作動不良の車輪とは前後反対側の車輪の目標制動力を発生可能な制動力に設定し、その制動力を基準に他の車輪の目標制動力を設定することを特徴とする車輌のブレーキ装置。
- 各輪に対応して設けられブレーキペダルの踏み込み量に応じて制動力を発生する制動力発生装置と、各輪の制動力発生装置を相互に独立して制御する制御装置とを有する車輌のブレーキ装置に於いて、前記制御装置は車輌の走行状態に基づき車輌の目標ヨーモーメントを演算する手段を有し、前記制御装置は何れか一つの車輪の制動力発生装置が有効な制動力を発生しない作動不良であるときには、該一つの車輪とは前後反対側の車輪の制動力発生装置により発生される制動力と前記一つの車輪とは左右反対側に属する前後輪の制動力発生装置により発生される制動力の和とが互いに等しくなるよう、他の正常な制動力発生装置を制御し、その際前記制御装置は作動不良の車輪とは前後反対側の一つの車輪の目標制動力をブレーキペダルの踏み込み量に応じて演算し、作動不良の車輪とは左右反対側に属する前後二輪の目標制動力をそれらの和が前記一つの車輪の目標制動力と等しくなるよう演算し、作動不良の車輪以外の車輪の制動力をそれぞれ対応する目標制動力に制御することを特徴とする車輌のブレーキ装置。
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