JP3917640B2 - 核酸プローブ固定化基体を用いた標的核酸の存在を検出する方法 - Google Patents
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(1)電気化学的検出を行うことが可能な電極を具備し、前記電極に核酸プローブがスペーサを介して固定化されている核酸プローブ固定化基体であって、前記スペーサの長さをX、前記核酸プローブに相補的な塩基配列を含む全長が70塩基以上の標的核酸が前記核酸プローブにハイブリダイズした際の、当該ハイブリダイゼーション部位の基体側末端から前記標的核酸の基体側末端までの長さをYとした場合において、X≧Y、Y≧10Å、且つ200Å≧Xの関係が成立する核酸プローブ固定化基体を用い、試料核酸中の標的核酸の存在を検出する方法であって、
前記試料核酸における前記XとYの関係がX≧Y、Y≧10Å、且つ200Å≧Xを満たし、かつ全長が70塩基以上となるように、選択されたプライマーを使用して試料核酸を増幅する工程と、
適切なハイブリダイゼーションが得られる条件下で、前記増幅により得られた増幅産物を、前記核酸プローブ固定化基体に固定化された核酸プローブと反応させる工程と、
前記反応させる工程により生じたハイブリダイゼーションを電気化学的に検出することにより、試料核酸中に標的核酸が存在することを判定する工程と
を具備する標的核酸の存在を検出する方法。;および
(2)前記(1)に記載の核酸プローブ固定化基体を用いて、当該標的配列を含む全長が70塩基以上の標的核酸の存在を検出する方法であって、
(a)当該標的核酸が標的配列で前記核酸プローブとハイブリダイズしたときに、当該標的配列部位の基体側末端部から40塩基以内に、前記標的核酸の基体側末端が位置するように、当該標的核酸を増幅するためのプライマーを準備することと、
(b)前記(a)で準備されたプライマーを用いて試料核酸を増幅することと、
(c)前記(b)で得られた増幅産物を一本鎖にすることと、
(d)前記(c)で得られた一本鎖を前記核酸プローブと反応させることと、
(e)前記(d)で生じたハイブリダイゼーションを電気化学的に検出することによって、当該試料核酸中の標的核酸の存在を検出することと、
を具備する標的核酸の存在を検出する方法;
である。
本発明は、基本的には、基体と、前記基体にスペーサを介して固定された核酸プローブとを具備する核酸プローブ固定化基体である。本発明は、本発明者らが、スペーサの長さを特定することにより、より効率のよいハイブリダイゼーションが得られることを見出したことに基づく。
ここで使用される「核酸」の語は、リボ核酸(即ち、RNA)、デオキシリボ核酸(即ち、DNA)、ペプチド核酸(即ち、PNA)、メチルフォスホネート核酸、S−オリゴ、cDNAおよびcRNA等、並びに何れのオリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチド等、核酸及び核酸類似体を総括的に示す語である。また、そのような核酸は、天然に存在するものであっても、人工的に合成されたものであってもよい。
まず、本発明の基本的な構成の例を以下に説明する。
図1を用いて、本発明の第1の態様を説明する。本発明の第1の態様である核酸プローブ固定化基体1は、基体2に具備された電極3に、スペーサ4を介して固定化された核酸プローブ5を具備する(図1Aおよび図1B)。電極3は、電気的情報を取り出すためのパット6に接続されている。図1Bでは、便宜上、スペーサ4を太線で示し、核酸プローブ5を鎖状の線で示した。
図2に本発明の第2の態様を模式的に示した。本発明の第2の態様である核酸プローブ固定化基体11は、基体12に、スペーサ13を介して固定化された核酸プローブ14を具備する(図2)。図2においても、便宜上、スペーサ13を太線で示し、核酸プローブ14を鎖状の線で示した。
本発明に従う態様は、上述したような基本的な構成を有しているが、核酸プローブがスペーサを介して固定されているところに特徴がある。詳細には、本発明において使用されるスペーサは、スペーサの長さをXとし、前記核酸プローブに対して前記標的配列をその一部に含む標的核酸がハイブリダイズした際に、当該ハイブリダイゼーション部位の基体側末端から、前記標的核酸の基体側末端までの長さをYとした場合に、X≧Yの関係が成立するようなスペーサである。
本発明に従う核酸プローブ固定化基体は、前記基体に固定化された核酸プローブと標的核酸との間のハイブリダイゼーション反応の結果生じた二本鎖の存在を検知するための手段として、電気化学的方法および蛍光検出法を利用することが可能である。
電気化学的による二本鎖核酸の検出は、例えば、それ自身公知の二本鎖認識物質を用いて行えばよい。
蛍光標識物質を用いる方法の場合には、試料核酸が、FITC、Cy3、Cy5若しくはローダミンなどの蛍光色素、またはビオチン、ハプテン、オキシダーゼ若しくはホスファターゼ等の酵素、またはフェロセン若しくはキノン類等の電気化学的に活性な物質で標識される。或いは前述した物質で標識したセカンドプローブを用いることで検出を行う。複数の標識物質を同時に使用してもよい。
本実施例で使用した核酸プローブと標的核酸との関係を図4に示した。核酸プローブと標的核酸の詳しい配列は後述するが、最初にそれらの大まかな構成と相関について説明する。
核酸プローブに含まれる標的配列に相補的な配列は20塩基である。核酸プローブC−0、C−10、C−20、C−30は、前記20塩基の核酸プローブ配列の5’末端に、それぞれ、C(即ち、シトシン)を0塩基、10塩基、20塩基および30塩基でスペーサとして付加したプローブである。配列は以下のとおりである。
C−10:5’-SH-(C10)TGGACGAAGACTGACGCTC-3’(配列番号2)
C−20:5’-SH-(C20)TGGACGAAGACTGACGCTC-3’(配列番号3)
C−30:5’-SH-(C30)TGGACGAAGACTGACGCTC-3’(配列番号4)
上記4種類のプローブ、即ち、C−0、C−10、C−20およびC−30の5’末端にはチオール基が修飾されている。また、核酸プローブC−0、C−10、C−20、C−30のXは、夫々、0塩基、10塩基、20塩基および30塩基である。
一方、標的核酸のモデルとして、上記20塩基の配列に対して相補的な配列を含む、70塩基のオリゴヌクレオチドを用意した。このオリゴヌクレオチドは、プローブ結合部位の末端から、3’末端までの長さは、0塩基、20塩基、40塩基の3種類である。それぞれの配列は以下に示す通りである。
5’CTATAAACATGCTTTCCGTGGCAGTGAGAACAAATGGGACCGTGCATTGC(GAGCGTCAGTCTTCGTCCAG)
標的核酸70−20(配列番号6):
5’CTATAAACATGCTTTCCGTGGCAGTGAGAA(GAGCGTCAGTCTTCGTCCAG)CAAATGGGACCGTGCATTGC
標的核酸70−40(配列番号7)
5’CTATAAACAT(GAGCGTCAGTCTTCGTCCAG)GCTTTCCGTGGCAGTGAGAACAAATGGGACCGTGCATTGC
であり、括弧“()”で挟んだ配列がプローブ結合部位であるまた、5’末端には、蛍光色素が標識してある。これらの標的核酸である配列番号5、配列番号6および配列番号7のYは、夫々0塩基、20塩基および40塩基である。
本実施例では基体として金基板を用いた。金基板を、核酸プローブC−0、C−10、C−20およびC−30をそれぞれに含む緩衝液に浸し、室温で一時間静置した。その後、蒸留水で洗浄して乾燥させることによって核酸プローブ固定化金基板を作製した。
3種類の標的核酸をそれぞれに含む緩衝液を、95℃で5分間に亘り熱変性を行った。その後、氷中で急冷して標的核酸溶液とした。この標的核酸溶液に、各核酸プローブを固定化した核酸プローブ固定化金基板を浸した。これを35℃で1時間静置した。その後、前記の核酸プローブ固定化金基板を何れも核酸も含まない緩衝液に浸し、35℃で1時間静置することで洗浄を行った。
標的核酸の5’末端に修飾した蛍光色素に由来する蛍光強度を検出することにより、当該固定化された核酸プローブに対してハイブリダイズした標的核酸の存在を検出した。
(i)標的核酸70−0を用いた場合
標的核酸70−0を用いた場合の結果を図6に示す。標的核酸70−0と核酸プローブC−0、C−10、C−20およびC−30の結合の様子を、図6Aに模式的に示す。何れの核酸プローブの場合もX≧Yである。また、このとき、図6Bに示すように、それぞれの核酸プローブC−0、核酸プローブC−10、核酸プローブC−20、核酸プローブC−30とハイブリダイズした標的核酸70−0の量はほぼ同程度であることが検出された蛍光強度より分かった。
標的核酸70−20を用いた場合の結果を図7に示す。標的核酸70−20と核酸プローブC−0、C−10、C−20およびC−30の結合の様子を図7Aに模式的に示す。核酸プローブC−0およびC−10では、X<Yであり、核酸プローブC−20ではX=Yであり、核酸プローブC−30ではX>Yである。
標的核酸として標的核酸70−40を用いた場合、標的核酸70−20と核酸プローブC−0、C−10、C−20およびC−30の結合の様子を図8Aに模式的に示す。何れの核酸プローブの場合でもX<Yである。このとき、各核酸プローブとハイブリダイズした標的核酸は、何れの場合もほぼ同程度であり、ハイブリ効率は低かった(図8B)。
以上の結果から、核酸プローブを固相担体に結合する際に用いるスペーサの長さ(X)と、前記核酸プローブに対して標的配列をその一部に含む標的核酸がハイブリダイズした際に、当該ハイブリダイゼーション部位の基体側末端から前記標的核酸の基体側末端までの長さ(Y)との間にX≧Yの関係が成り立つときにハイブリダイゼーション効率が向上することが確認された。ハイブリダイゼーション効率の向上により、より精度よく標的核酸の存在の検出を行うことが可能となる。
本発明の更なる態様に従うと、上述のような本発明の態様に従う、核酸プローブ固定化基体と試料核酸とを反応させる前に、好ましい標的核酸が得られるような核酸プローブを用いて試料核酸を増幅する工程を具備する方法が提供される。そのような核酸プローブは、標的核酸が標的配列で核酸プローブとハイブリダイズしたときに、当該標的配列部位の基体側末端部から約40塩基以内、好ましくは約26塩基〜約12塩基に、前記標的核酸の末端が位置するように、試料核酸を増幅するためのプライマーであればよい。
図11は、本発明の更なる態様に従う増幅断片とプローブとの関係を示す図である。図11では、ヒトゲノム中のMBL遺伝子の多型を決定するために増幅して得た増幅産物と核酸プローブの例の結果を示す。図11において配列番号13の塩基配列で示される核酸プローブと、三種類のPCR産物を示した。PCR産物C(以下「C」と記す)は、5’末端をリン酸化した配列番号14の塩基配列で示されるプライマーとcy5標識した配列番号15の塩基配列で示されるプライマーを用いて作製した。PCR産物D(以下「D」と記す)は5’末端をリン酸化した配列番号16の塩基配列で示されるプライマーと、cy5標識した配列番号15の塩基配列で示されるプライマーを用いて作製した。PCR産物E(以下「E」と記す)は5’末端をリン酸化した配列番号18の塩基配列で示されるプライマーとcy5標識した配列番号17の塩基配列で示されるプライマーを用いて作製した。更に、PCR産物の核酸プローブ結合部位の末端からの距離が40塩基となるようなプライマーも用いた。一本鎖の調製はλヌクレアーゼを用いて行った。図11に示すようにPCR産物は、それぞれ、Cはプローブ結合部位の末端からの距離が13塩基(図中、「13mer」と記す)、Dは33塩基(図中、「33mer」と記す)、Eは48塩基(図中、「48mer」と記す)である。図示はしないが、更に、プローブ結合部位の末端からの距離が40塩基となるPCR産物も得た。これらのターゲットを用いてハイブリダイゼーション反応を行い蛍光強度を測定した。その結果、CはDの約6倍、Eの約40倍の蛍光強度を示した(図12)。
Claims (7)
- 電気化学的検出を行うことが可能な電極を具備し、前記電極に核酸プローブがスペーサを介して固定化されている核酸プローブ固定化基体であって、前記スペーサの長さをX、前記核酸プローブに相補的な塩基配列を含む全長が70塩基以上の標的核酸が前記核酸プローブにハイブリダイズした際の、当該ハイブリダイゼーション部位の基体側末端から前記標的核酸の基体側末端までの長さをYとした場合において、X≧Y、Y≧10Å、且つ200Å≧Xの関係が成立する核酸プローブ固定化基体を用い、試料核酸中の標的核酸の存在を検出する方法であって、
前記試料核酸における前記XとYの関係がX≧Y、Y≧10Å、且つ200Å≧Xを満たし、かつ全長が70塩基以上となるように、選択されたプライマーを使用して試料核酸を増幅する工程と、
適切なハイブリダイゼーションが得られる条件下で、前記増幅により得られた増幅産物を、前記核酸プローブ固定化基体に固定化された核酸プローブと反応させる工程と、
前記反応させる工程により生じたハイブリダイゼーションを電気化学的に検出することにより、試料核酸中に標的核酸が存在することを判定する工程と
を具備する標的核酸の存在を検出する方法。 - 電気化学的検出を行うことが可能な電極を具備し、前記電極に核酸プローブがスペーサを介して固定化されている核酸プローブ固定化基体であって、前記スペーサの長さをX、前記核酸プローブに相補的な塩基配列を含む全長が70塩基以上の標的核酸が前記核酸プローブにハイブリダイズした際の、当該ハイブリダイゼーション部位の基体側末端から前記標的核酸の基体側末端までの長さをYとした場合において、X≧Y、Y≧10Å、且つ200Å≧Xの関係が成立する核酸プローブ固定化基体を用いて、当該標的配列を含む全長が70塩基以上の標的核酸の存在を検出する方法であって、
(a)当該標的核酸が標的配列で前記核酸プローブとハイブリダイズしたときに、当該標的配列部位の基体側末端部から40塩基以内に、前記標的核酸の基体側末端が位置するように、当該標的核酸を増幅するためのプライマーを準備することと、
(b)前記(a)で準備されたプライマーを用いて試料核酸を増幅することと、
(c)前記(b)で得られた増幅産物を一本鎖にすることと、
(d)前記(c)で得られた一本鎖を前記核酸プローブと反応させることと、
(e)前記(d)で生じたハイブリダイゼーションを電気化学的に検出することによって、当該試料核酸中の標的核酸の存在を検出することと
を具備する標的核酸の存在を検出する方法。 - 前記XとYの関係が、X≧Y、且つY≧10Å、且つX-10Å≧Yであることを特徴とする請求項1または2に記載の標的核酸の存在を検出する方法。
- 前記XとYの関係が、X≧Y、且つY≧10Å、且つX-10Å≧Y、且つ200Å≧X、且つX≧100Åであることを特徴とする請求項1または2に記載の標的核酸の存在を検出する方法。
- 前記XとYの関係が、X≧Y、且つY≧10Å、且つX-10Å≧Y、且つ100Å≧Xであることを特徴とする請求項1または2に記載の標的核酸の存在を検出する方法。
- 前記スペーサが、有機鎖状分子であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の標的核酸の存在を検出する方法。
- 前記スペーサが、核酸、エチレングリコールおよびアルカンからなる群より選択されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の標的核酸の存在を検出する方法。
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