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JP3922686B2 - レーザ焼入れ制御方法及びレーザ焼入れ装置 - Google Patents
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JP3922686B2 - レーザ焼入れ制御方法及びレーザ焼入れ装置 - Google Patents

レーザ焼入れ制御方法及びレーザ焼入れ装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ光を送り方向と交差する方向に揺動させることにより所定幅の焼入れをワークに対して行うことの出来るレーザ焼入れに係わり、特に、焼入れ部位の温度を一定に制御することの出来るレーザ焼入れ制御方法及びレーザ焼入れ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、レーザ光を送り方向と交差する方向に揺動させることにより所定幅の焼入れをワークに対して行うことの出来るレーザ焼入れ方法が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この方法では、任意の幅でワークに対して焼入れを行うことが出来るが、焼入れを行うレーザ光のワークに対する移動速度は、常に変化することになる。従って、単に一定出力のレーザ光をワークに照射するだけでは、レーザ光のワーク対する相対速度が低下する位置では、ワークの焼入れ部位における単位面積当たりの照射エネルギが高くなりすぎて、ワークが溶融してしまい、逆に、レーザ光のワーク対する相対速度が上昇する位置では、単位面積当たりの照射エネルギが低くなりすぎて、ワークの温度が所定の焼入れ温度にまで上昇せず、焼きが入らない不都合が生じる。従って、レーザ光のワークに対する照射エネルギ量をレーザ光の振幅に合わせて適切に制御しなければ、適切な焼入れ動作を行うことは出来ない。
【0004】
本発明は上記事情に鑑み、レーザ光の振幅に合わせて、レーザ光のワークに対する照射エネルギ量を適切に制御し、適切な焼入れ動作を行うことの出来る、レーザ焼入れ制御方法及びレーザ焼入れ装置を提供とすることを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、ワークを送りながら該ワークの送り方向と交差する方向にレーザ光を所定の振幅で振動させる形でワークに照射することにより前記レーザ光の振動1周期の軌跡により焼入れサイクルを形成し、該焼入れサイクルを複数サイクル実行することにより、前記ワークに対する焼入れを行うレーザ焼入れにおいて、
前記焼入れサイクルを所定のサンプリング時間で分割し、各時点で、前記ワークの焼入れ部位の温度を検出して、当該検出された温度と所定の焼入れ温度との偏差に基づいて、前記焼入れ部位の温度を焼入れプログラムで予め指定された指定焼入れ温度にするようにするためのレーザ発振器の目標レーザ出力を求め、
前記レーザ発振器の制御に要する遅れ時間を考慮して、前記焼入れ部位の温度を検出した焼入れサイクルの、少なくとも1サイクル後のサイクルで、前記サンプリング位置と同一の位相位置において、前記レーザ発振器の出力が前記目標レーザ出力となるように調整し、
前記レーザ光の、前記焼入れサイクルにおけるワークに対するエネルギ投入密度を、該後の焼入れサイクル中で均一となるように制御することを特徴として構成される。
【0006】
請求項2の発明は、レーザ発振器を有し、該レーザ発振器から射出されたレーザ光を導く導光手段を設け、該導光手段に集光レンズを配置し、該集光レンズで前記レーザ光を集光して、ワークの焼入れ部位に照射することにより焼入れを行う、レーザ焼入れ装置において、
前記レーザ光を所定の振幅で振動させるビーム揺動手段を設け、
前記レーザ焼入れ装置は、
ワークを送りながら該ワークの送り方向と交差する方向に前記レーザ光を前記ビーム揺動手段により所定の振幅で振動させる形でワークに照射することにより前記レーザ光の振動1周期の軌跡により焼入れサイクルを形成し、該焼入れサイクルを複数サイクル実行することにより、前記ワークに対する焼入れを行う前記レーザ焼入れ装置であって、
更に前記レーザ焼入れ装置において、
前記ワークの焼入れ部位の温度を検出する温度検出手段(22)を設け、
前記焼入れサイクルを所定のサンプリング時間で分割し、各時点で、前記ワークの焼入れ部位の温度を、前記温度検出手段を介して検出して、当該検出された温度と所定の焼入れ温度との偏差(DF)に基づいて、前記焼入れ部位の温度を焼入れプログラムで予め指定された指定焼入れ温度にするようにするためのレーザ発振器の目標レーザ出力(ROT)を求める目標レーザ出力演算手段(36)を設け、
前記焼入れ部位の温度を検出した焼入れサイクルの、少なくとも1サイクル後のサイクルで、前記サンプリング位置と同一の位相位置において、前記レーザ発振器の出力が前記目標レーザ出力となるように、前記レーザ発振器に接続されたレーザ発振器制御部に対して、前記同一の位相位置に到達する所定時間前に、前記レーザ発振器の出力を前記目標レーザ出力となるように指令するレーザ光出力制御手段を設けて構成される。
【0007】
【発明の効果】
請求項1及び2の発明は、焼入れサイクル中のある時点(例えば、図4の焼入れサイクルの Cycle 0の時点(1))で、前記ワークの焼入れ部位の温度を検出して、当該検出された温度と所定の焼入れ温度との偏差(DF)に基づいて、前記焼入れ部位の温度が検出された後の、焼入れサイクル(例えば、図4の焼入れサイクルの Cycle m)において前記レーザ光のレーザ出力を調整するように制御するので、極めて高速な焼入れサイクルを用いても、適切にレーザ出力の調整を行うことが出来、信頼性の高い焼入れ動作を行うことの出来る。
【0008】
なお、括弧内の番号等は、図面における対応する要素を示す便宜的なものであり、従って、本記述は図面上の記載に限定拘束されるものではない。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づき説明する。
【0010】
図1は本発明が適用されるレーザ焼入れ装置の要部を示す概略斜視図、図2はNC装置の要部を示すブロック図、図3はレーザ出力値メモリの内容を示す模式図、図4は、レーザ光の焼入れ軌跡を示す図、図5はレーザ出力値メモリ内の各データブロックの内容を示す模式図、図6(a)はレーザ光の軌跡(焼入れサイクル)を示すチャート、(b)は、(a)に対応するレーザ光のワークに対する速度示すチャートである。
【0011】
レーザ焼入れ装置1は、図1に示すように、レーザ発振器2を有しており、レーザ発振器2には、伸縮自在に設けられたダクト3を介して、サドル5が接続している。サドル5は、図示しないコラムなどのガイド手段を介して水平方向であるY軸方向に移動駆動自在に設けられており、サドル5には、焼入れヘッド7が設けられ、更に、焼入れヘッド7は、サドル5に固着された上部反射筒6を有している。
【0012】
上部反射筒6には、第1反射鏡9が設けられており、上部反射筒6には、ダクト10が、上下方向であるZ軸方向に伸縮位置決め自在、かつ該Z軸を中心にしてA軸方向に回転駆動位置決め自在に設けられている。ダクト10の、図中下方には、下部反射筒11が設けられており、下部反射筒11には、第2反射鏡12が設けられている。
【0013】
下部反射筒11には、ダクト13が水平方向に伸延する形で設けられており、ダクト13の先端には、側部反射筒15が設けられている。側部反射筒15には、第3反射鏡16が設けられており、第3反射鏡16にはミラー揺動装置17が、第3反射鏡16を、第2反射鏡12と第3反射鏡16の間のレーザ光路19に垂直な揺動軸VAを中心に矢印D、E方向に揺動自在に接続されている。第3反射鏡16と第2反射鏡12の間のダクト13のレーザ光路19中にはビームスプリッタ20が設けられており、更に、側部反射筒15の下部には、集光レンズ21が側部反射筒15の下部に装着されたトーチ24を介して設けられている。
【0014】
ビームスプリッタ20には、ピックアップ22aを介して赤外線温度計22が接続されており、赤外線温度計22には、NC装置23が接続されている。NC装置23には、
前述の、ミラー揺動装置17に接続されたミラー制御装置25が接続されており、更に、NC装置23は、焼入れヘッド7を駆動するヘッド駆動装置26及びレーザ発振器2に接続されている。
【0015】
NC装置23は、図2に示すように、主制御部30を有しており、主制御部30にはバス線31を介してミラー制御装置25に接続された反射鏡位置演算部32、ヘッド駆動装置26に接続されたヘッド駆動制御部33、赤外線温度計22に接続された温度偏差演算部35、目標レーザ出力演算部36、レーザ出力値メモリ37、レーザ出力同期制御部39、レーザ発振器2に接続されたレーザ発振器制御部40が接続されている。
【0016】
レーザ焼入れ装置1は、以上のような構成を有するので、ワーク27に焼入れを行う場合には、図1に示すように、ワーク27をトーチ24の下方の、図示しないワークテーブル上に搭載し、その状態で、NC装置23を介して、焼入れすべきワーク27に対応して予め生成された焼入れプログラムに基づいて焼入れ動作を実行する。
【0017】
まず、NC装置23は図示しないテーブルを駆動して、ワーク27を、Y軸と直交する水平方向であるX軸方向に移動駆動させると共に、ヘッド駆動装置26を駆動して、トーチ24を含む焼入れヘッド7をY軸及びZ軸方向に移動駆動させ、下部反射筒11を側部反射筒15と共に矢印A方向に適宜回転駆動させ、更に側部反射筒15を矢印B方向に適宜回転駆動させて、トーチ24をワーク27の焼入れを行う部位と対向させる。
【0018】
次に、NC装置23は、レーザ発振器2に対して、所定の出力でのレーザ光29の発振を指令し、これを受けて、レーザ発振器2はレーザ光29を射出する。射出されたレーザ光29は、ダクト3から第1反射鏡9に入射して、該第1反射鏡9により図中下方に向けて反射され、第2反射鏡で水平方向に更に反射されてビームスプリッタ20を透過して、第3反射鏡16に入射する。
【0019】
第3反射鏡に入射したレーザ光29は、第3反射鏡で図中下方、即ちワーク27方向に反射され、集光レンズ21で集光されて、ワーク27に照射される。ワーク27は、該レーザ光29が照射されることにより急激に加熱されて焼入れが行われる。
【0020】
この際、ワーク27は、NC装置23により駆動される図示しない駆動機構により矢印X方向に所定の送り速度で送られると共に、NC装置23は焼入れプログラムで指示された焼入れ幅W1に基づいてミラー制御装置25を介してミラー揺動装置17を駆動して、第3反射鏡16を矢印D、E方向に振動させる。すると、第3反射鏡16に入射されたレーザ光29は、ワーク27の送り方向である矢印X軸方向に対して直交する方向(Y軸方向)に幅W1で振られ、ワーク27は揺動するレーザ光29により幅W1の範囲で所定温度にまで加熱されて焼入れが行われる。なお、ワーク27のトーチ24に対する相対移動方向は、説明を簡略化するために、X軸方向としたが、トーチ24のワーク27に対する位置決めに際した制御軸は、X、Y、Z軸の直交3制御軸に加えて、Z軸回りの回転軸であるA軸、及びY軸回りの回転軸であるB軸を制御軸としているので、ワーク27に対して任意の3次元位置決めが可能であり、ワーク27に対する焼入れ方向は3次元空間の、どのような方向でも良い。
【0021】
この際、ワーク27に対する焼入れ部位27aに対して適切に焼入れが行われるには、当該焼入れ部位27aの温度が正確に測定される必要があるが、焼入れ部位27aの温度は、赤外線温度計22により測定される。赤外線温度計22が測定する赤外線は、レーザ光29が現在レーザ光29を照射している照射部位27bからの反射光29aの赤外線成分であり、該反射光29aはワーク27の照射部位27bから集光レンズ21、第3反射鏡16を介してビームスプリッタ20に入射し、該ビームスプリッタ20で図中上方に反射されて赤外線温度計22のピックアップ22aに入射捕捉されたものである。
【0022】
赤外線温度計22は、ピックアップ22aにより、現在レーザ光29が照射されて焼入れが実際に行われている焼入れ部位27aの温度をリアルタイムで測定することが出来る。即ち、ピックアップ22aに反射光29aを分光するビームスプリッタ20は、レーザ発振器2と、レーザ光29をワーク27の焼入れ部位27aに対して揺動させるビーム揺動反射鏡である第3反射鏡16との間の光路上に配置されており、レーザ光29が揺動する第3反射鏡16よりも下流の集光レンズ21側には配置されていないので、ワーク27からの反射光29aは必ず、ワーク27の焼入れ部位27aに対する入射経路と逆の経路を辿って集光レンズ21から第3反射鏡16に戻り、ビームスプリッタ20に入射する。これにより、特別の追随機構を持たなくても、ピックアップ22aは、常に焼入れ部位27aからの反射光29aを捕捉することが出来、正確に当該焼入れ部位27aの温度を測定することが出来る。なお、ビームスプリッタ20の位置は、反射光29aの減衰などを考えると、出来るだけビーム揺動反射鏡である第3反射鏡16側に配置することが望ましい。
【0023】
また、こうした構造は、トーチ24が前述の5軸制御により移動駆動されてワーク27に対して様々な姿勢をとる場合でも適用することが出来、トーチ24の姿勢がどのような場合でも、赤外線温度計22は、ビームスプリッタ20を介して焼入れ部位27aの温度を捕捉することが出来る。
【0024】
赤外線温度計22が、焼入れ部位27aの温度を測定したところで、当該温度が焼入れプログラムで設定された焼入れ温度に達しているか否かを、NC装置23が判定し、後述するように、適宜レーザ発振器2の出力を調整して、焼入れ部位27aが焼入れプログラムで指定された焼入れ温度になるように適切に制御する。
【0025】
なお、上述の実施例は、ビームスプリッタ20が、レーザ発振器2からのレーザ光はそのまま透過して、ワーク27の焼入れ部位27aからの反射光29aは反射する形のものを用いたが、ビームスプリッタ20の反射形式は、どのような反射形式のものを用いてもよい。
【0026】
また、焼入れ部位27aの温度測定手段としては、赤外線温度計22の他、反射光29aの波長から焼入れ部位27aの温度を測定することが出来る限り、どのような温度計を用いてもよい。
【0027】
ワーク27に対する、レーザ光29による焼入れ動作は、図4に示すように、幅W1で行われ、また、レーザ光29のワーク27上での軌跡TRは、レーザ光29が第3反射鏡16により、ワーク27の送り方向とは直角な矢印D、E方向に揺動駆動されることと、ワーク27がX軸方向に所定の送り速度で送られることから、振幅がW1/2の正弦波に近いものとなる。
【0028】
この際、レーザ光29の軌跡TRのワーク対する相対速度V(X軸方向の送り速度を考慮しない)を示すと、図6(b)に示すようになり、レーザ光29の速度Vは、軌跡TRがその振幅の頂点PKに達したところで、ゼロになり、振幅の中央値MP付近で最大となる。従って、レーザ発振器2の出力が一定のまま、レーザ光29が、ワーク27に照射されたとすると、相対速度Vが遅くなる振幅の頂点PK付近では、ワーク27に照射投入される単位面積当たりのレーザ光のエネルギ密度が高くなり、相対速度Vが早くなる振幅の中央値MP付近では、ワーク27に照射投入される単位面積当たりのレーザ光のエネルギ密度が低くなる。これの状態で、レーザ光29をワーク27に照射して焼入れ動作を行うと、エネルギ投入密度のばらつきにより、軌跡TRの全長に渡り、焼入れムラが生じる。
【0029】
そこで、NC装置23は、第3反射鏡16の矢印D、E方向の揺動サイクル、即ち、
レーザ光の軌跡TRを、図4に示すように、所定のサンプリング時間SPで分割する。図4に示す例では、軌跡TRの1サイクル(第3反射鏡16の一往復に要する時間、例えば、10msにおけるレーザ光のワーク上における軌跡、以後、このサイクルを「焼入れサイクル」と称する)を10分割し、各時点(1)〜(10)、即ち1ms毎について、温度偏差演算部35に赤外線温度計22により測定されたワーク27の焼入れ部位27aの計測温度TPを取得するように指令する。
【0030】
なお、レーザ光による焼入れは、この焼入れサイクルが複数サイクル繰り返されると共に、ワーク27が焼入れサイクルの進行する所定の方向(図4の場合、X軸方向)に送られることにより、行われる。
【0031】
温度偏差演算部35は、赤外線温度計22から入力された焼入れ部位27aの計測温度TPと、焼入れプログラムで予め指定された指定焼入れ温度TDとの偏差DFを演算して、目標レーザ出力演算部36に出力する。目標レーザ出力演算部36は、該偏差DFに基づいて、焼入れ部位27aを指定焼入れ温度TDにするようにするには、レーザ発振器2の出力をどれくらいにすればよいかを演算して、目標レーザ出力ROTとして求める。
目標レーザ出力演算部36は、得られた目標レーザ出力ROTと、対応する計測温度TPを、温度計測時点を示すデータ(図中(1)〜(10))と共に、図5(a)に示すように、レーザ出力値メモリ37のデータブロックn0の対応するアドレスに格納する。
【0032】
即ち、時点(1)の計測温度TPとその際の目標レーザ出力ROTを、アドレスn01に、時点(2)の計測温度TPとその際の目標レーザ出力ROTを、アドレスn02に、時点(3)の計測温度TPとその際の目標レーザ出力ROTを、アドレスn03に格納し、以後同様に、時点(10)の計測温度TPとその際の目標レーザ出力ROTを、アドレスn00に格納して、1サイクル分の焼入れ部位27aの計測温度TPと、目標レーザ出力ROTを格納する。図5(a)の場合、各アドレスにおけるn0k(k:1〜9、0)の、「温度」と表示された部分に、計測温度TPが格納され、「温度」の右方の括弧数字がサンプリング時点を示す符号であり、更に右方に、目標レーザ出力ROTが、「600W」などと格納される。
【0033】
これにより、図4の「サイクル0」と表示された第3反射鏡16の揺動サイクルの一つについて、時点(1)〜(10)における、各焼入れ部位27aの温度と、当該焼入れ部位27aを焼入れプログラムで指定された所定の焼入れ温度にするためのレーザ出力が目標レーザ出力ROTとして演算され、格納される。
【0034】
NC装置23は、こうして格納された「サイクル0」についての各焼入れ部位27aの温度と、当該焼入れ部位27aを焼入れプログラムで指定された所定の焼入れ温度にするための目標レーザ出力ROTに基づいて、レーザ発振器2の出力を目標レーザ出力ROTに調整することにより、当該焼入れ部位27aを焼入れプログラムで指定された所定の焼入れ温度にすることができ、適正な焼入れ動作をワーク27に対して行うことが可能となるが、演算された目標レーザ出力ROTにレーザ発振器2を制御するには所定の遅れ時間を必要とし、更に、ある焼入れ部位27aでの計測温度TPと目標レーザ出力ROTが演算されるまでの間に、第3反射鏡16は矢印D,E方向に揺動駆動されてしまうので、
目標レーザ出力ROTが演算された後、直ちにレーザ発振器2の出力を調整しても、当該目標レーザ出力ROTに調整されたレーザ光29は、当該目標レーザ出力ROTが演算された焼入れ部位27aに照射されることはなく、ずれた位置に照射されることとなる。
【0035】
これでは、適正な焼入れ動作を行うことは不可能であることから、主制御部30は、
レーザ出力同期制御部39に対して、当該ある時点で採取された計測温度TPに対応する目標レーザ出力ROTを、第3反射鏡16の揺動サイクル、即ち焼入れサイクルの、少なくとも1サイクル後のサイクルにおいて、同一の位相位置、即ち、同一のサンプリング時点において実行するように制御する。
【0036】
具体的には、主制御部30は、レーザ出力同期制御部39に、図4における「Cycle 0」おいて、取得された計測温度TP及び該計測温度TPに対応する目標レーザ出力ROTに基づくレーザ発振器2の出力制御を、mサイクル(m:1以上の整数)後の焼入れサイクル、即ち、図4における「Cycle m」において、実行する。この際、「Cycle 0」における各時点(1)〜(10)で得られた目標レーザ出力ROTは、対応する「Cycle m」における各時点(1‘)〜(10’)で発生するようにレーザ発振器2を、制御する。この際レーザ出力同期制御部39は、レーザ発振器2の制御に要する遅れ時間を考慮してレーザ発振器2を制御することが出来るので、正確にmサイクル後の、同位相の焼入れ部位で、レーザ発振器2の出力は、目標レーザ出力ROTに調整制御され、当該焼入れ部位27aは、焼入れプログラムで指定した焼入れ温度に近い温度にまで正確に加熱され、適正な焼入れ動作が行われる。
【0037】
なお、Cycle 0からCycle mまでの間の焼入れサイクルにおいては、主制御部30は、
続くCycle 1、Cycle 2、……Cycle m-1において、前述と同様に1msに10分割された時点(1)〜(10)において、当該時点の焼入れ部位27aの計測温度TPと目標レーザ出力ROTを演算して、レーザ出力値メモリ37の対応するデータブロックのアドレスに格納する。
【0038】
例えば、Cycle 0 に続くCycle 1における、各時点(1)〜(10)の、計測温度TPと目標レーザ出力ROTは、図5(b)に示すデータブロックn1のアドレスn1k(k:1〜9、0)にそれぞれ格納され、Cycle m の直前のCycle m-1における、各時点(1)〜(10)の、計測温度TPと目標レーザ出力ROTは、図5(c)に示すデータブロックn(m-1)のアドレスn(m-1)k(k:1〜9、0)にそれぞれ格納される。
【0039】
レーザ出力値メモリ37における、それらデータブロックの格納態様は、模式的に示すと、図3に示すように、データブロックn0からデータブロックn(m−1)までのm個のデータブロックが、環状に接続配置された態様となっており、それらm個のデータブロックに対する、計測温度TP及び目標レーザ出力ROTの格納が完了すると、レーザ出力同期制御部39は、次のm+1個目のデータブロック、即ち、Cycle 0のデータが格納されたデータブロックn0のデータを一括して読み出し、図5(d)に示すように、適宜なバッファメモリ中に格納する。
【0040】
レーザ出力同期制御部39は、Cycle mを実行するにあたり、焼入れサイクルが、各時点(1‘)〜(10’)に到達する所定時間前に、図5(d)に示すバッファメモリから、対応する時点の目標レーザ出力ROTを読み出し、レーザ発振器制御部40に対して、当該時点でレーザ出力が目標レーザ出力ROTとなるように指令する。これを受けてレーザ発振器制御部40は、レーザ発振器2のレーザ出力を、当該時点で目標レーザ出力ROTとなるように制御する。
【0041】
即ち、レーザ出力同期制御部39は、例えば、時点(1)で得られた目標レーザ出力ROTである、600Wを、焼入れサイクルがCycle mの、時点(1)と同位相の時点(1‘)に到達する所定時間前、例えば5ms前に、レーザ発振器制御部40に、レーザ発振器2の出力を600Wにするように指令し、レーザ発振器制御部40は、直ちにレーザ発振器2の出力を600Wにする指令をレーザ発振器2に対して行う。これにより、所定時間後の時点(1’)で、600Wのレーザ光がワーク27の焼入れ部位27aに照射され、当該部位は焼入れプログラムで指定された所定の焼入れ温度に、Cycle 0の時点よりも近づく形で加熱され、焼入れ動作が行われる。
【0042】
Cycle mでは、引き続き、時点(2‘)、(3’)、……(9‘)、(10’)にレーザ光29が到達する所定時間前に、Cycle 0の時点(2)、(3)、……(9)、(10)の対応する目標レーザ出力ROTが読み出され、レーザ出力ROTが目標レーザ出力ROTとなるように制御されるので、Cycle mは、そのすべてのサンプリング時点において、プログラムで指定された所定の焼入れ温度に、Cycle 0の時点よりも近づく形で加熱され、焼入れ動作が行われる。
【0043】
なお、Cycle mの焼入れサイクルの実行時には、前述のように、Cycle mについて、新たに、各サンプリング時点(2‘)、(3’)、……(9‘)、(10’)での、焼入れ部位27aの温度測定と目標レーザ出力ROTの演算が行われ、その結果は、レーザ出力値メモリ37の、Cycle mの焼入れサイクルの実行に際して一括して読み出されたデータブロックn0に、図5(a)に示すように、新たに格納される。
【0044】
こうして、以後実行される焼入れサイクルは、過去のmサイクル前の焼入れサイクルで得られた焼入れ部位27aの計測温度TPと当該計測温度TPに対応した目標レーザ出力ROTに基づいてそのレーザ出力が制御され、さらに、その制御された状態での焼入れサイクルも、温度計測されて、対応する目標レーザ出力ROTが演算されて、次のmサイクル後の焼入れサイクルに反映されるので、焼入れサイクルを繰り返す度に、各焼入れサイクルにおける焼入れ部位27aの焼入れ温度は、焼入れプログラムで指定された焼入れ温度に限りなく近づいて行く形で制御される。
【0045】
なお、各データブロックにける、各時点の目標レーザ出力ROTからも明らかであるが、図6(a)に示すように、焼入れサイクルのレーザ光の振幅の両端部は、同図(b)に示すように、レーザ光29の移動速度がゼロに近くなり、ワーク27の単位面積当たりのエネルギ投入密度が高くなるので、図5の各データブロックの時点(1)、(5)、(6)、(10)に示すように、レーザ出力を最も絞って、ワーク27の焼入れ部位27aに過度のエネルギが投入されてワーク27が溶融するような事態を防止する。
【0046】
また、焼入れサイクルのレーザ光の振幅の中央部は、図6(b)に示すように、レーザ光29の移動速度が徐々に高くなって、振幅が0の位置付近で最大となり、その後徐々に低下する。従って、そのワーク27の単位面積当たりのエネルギ投入密度は、徐々に低くなって振幅が0の位置で最小となり、その後徐々に上昇する。
【0047】
従って、図5の各データブロックの時点(2)、(3)、(4)、(7)、(8)、(9)に示すように、時点(1)、(6)から、振幅0の地点に近づくにつれてレーザ出力を上昇させ、振幅0をピークにして、時点(5)、(10)に向けて下降させるように、レーザ出力を調整することにより、ワーク27の焼入れ部位27aは、その全てのレーザ光の振幅、即ち焼入れサイクルに渡り、均一にエネルギが投入され、ワーク27に対する焼入れは焼入れプログラムで指定された焼入れ温度に、その焼入れサイクルの全てにおいて維持されるように制御される。
【0048】
なお、上述の実施例は、目標レーザ出力演算部36で、検出された焼入れ部位27aの計測温度TPに基づいて、焼入れプログラムなどで指示された所定の焼入れ温度となるように目標レーザ出力ROTを演算し、当該演算された目標レーザ出力ROTに基づいて、すくなくとも1サイクル後の焼入れサイクルの対応する焼入れ部位27aにおいて、レーザ発振器2のレーザ出力を目標レーザ出力ROTとなるように制御して、焼入れ部位27aの温度を所定の焼入れ温度となるように制御した場合について述べた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明が適用されるレーザ焼入れ装置の要部を示す概略斜視図である。
【図2】 図2はNC装置の要部を示すブロック図である。
【図3】 図3はレーザ出力値メモリの内容を示す模式図である。
【図4】 図4は、レーザ光の焼入れ軌跡を示す図である。
【図5】 図5はレーザ出力値メモリ内の各データブロックの内容を示す模式図である。
【図6】 図6(a)はレーザ光の軌跡(焼入れサイクル)を示すチャート、(b)は、(a)に対応するレーザ光のワークに対する速度示すチャートである。
【符号の説明】
1……レーザ焼入れ装置
2……レーザ発振器
3、10、13……導光手段(ダクト)
9……導光手段(第1反射鏡)
12……導光手段(第2反射鏡)
16……導光手段、ビーム揺動手段(第3反射鏡)
17……ビーム揺動手段(ミラー揺動装置)
21……集光レンズ
22……温度検出手段(赤外線温度計)
25……ビーム揺動手段(ミラー制御装置)
27……ワーク
27a……焼入れ部位
29……レーザ光
36……目標レーザ出力演算手段(目標レーザ出力演算部)
ROT……目標レーザ出力

Claims (2)

  1. ワークを送りながら該ワークの送り方向と交差する方向にレーザ光を所定の振幅で振動させる形でワークに照射することにより前記レーザ光の振動1周期の軌跡により焼入れサイクルを形成し、該焼入れサイクルを複数サイクル実行することにより、前記ワークに対する焼入れを行うレーザ焼入れにおいて、
    前記焼入れサイクルを所定のサンプリング時間で分割し、各時点で、前記ワークの焼入れ部位の温度を検出して、当該検出された温度と所定の焼入れ温度との偏差に基づいて、前記焼入れ部位の温度を焼入れプログラムで予め指定された指定焼入れ温度にするようにするためのレーザ発振器の目標レーザ出力を求め、
    前記レーザ発振器の制御に要する遅れ時間を考慮して、前記焼入れ部位の温度を検出した焼入れサイクルの、少なくとも1サイクル後のサイクルで、前記サンプリング位置と同一の位相位置において、前記レーザ発振器の出力が前記目標レーザ出力となるように前記レーザ発振器の出力を調整し、
    前記レーザ光の、前記焼入れサイクルにおけるワークに対するエネルギ投入密度を、該後の焼入れサイクル中で均一となるように制御することを特徴とする、レーザ焼入れ制御方法。
  2. レーザ発振器を有し、該レーザ発振器から射出されたレーザ光を導く導光手段を設け、該導光手段に集光レンズを配置し、該集光レンズで前記レーザ光を集光して、ワークの焼入れ部位に照射することにより焼入れを行う、レーザ焼入れ装置において、
    前記レーザ光を所定の振幅で振動させるビーム揺動手段を設け、
    前記レーザ焼入れ装置は、
    ワークを送りながら該ワークの送り方向と交差する方向に前記レーザ光を前記ビーム揺動手段により所定の振幅で振動させる形でワークに照射することにより前記レーザ光の振動1周期の軌跡により焼入れサイクルを形成し、該焼入れサイクルを複数サイクル実行することにより、前記ワークに対する焼入れを行う前記レーザ焼入れ装置であって、
    更に前記レーザ焼入れ装置において、
    前記ワークの焼入れ部位の温度を検出する温度検出手段を設け、
    前記焼入れサイクルを所定のサンプリング時間で分割し、各時点で、前記ワークの焼入れ部位の温度を、前記温度検出手段を介して検出して、当該検出された温度と所定の焼入れ温度との偏差に基づいて、前記焼入れ部位の温度を焼入れプログラムで予め指定された指定焼入れ温度にするようにするためのレーザ発振器の目標レーザ出力を求める目標レーザ出力演算手段を設け、
    前記焼入れ部位の温度を検出した焼入れサイクルの、少なくとも1サイクル後のサイクルで、前記サンプリング位置と同一の位相位置において、前記レーザ発振器の出力が前記目標レーザ出力となるように、前記レーザ発振器に接続されたレーザ発振器制御部に対して、前記同一の位相位置に到達する所定時間前に、前記レーザ発振器の出力を前記目標レーザ出力となるように指令するレーザ光出力制御手段を設けて構成した、レーザ焼入れ装置。
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