JP3923726B2 - 紙葉類の特性を検知する特性検知装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、紙葉類の厚さや紙葉類に印刷されたインクの磁性体などの紙葉類の特性を検知する特性検知装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、紙葉類の厚さを検知する特性検知装置として、例えば、紙葉類の搬送面の下側に固定的に配置した固定ローラと搬送面の上側で固定ローラに対向し固定ローラに対して離接可能に設けられた可動ローラとの間を通して紙葉類を搬送し、ローラ対間を紙葉類が通過するときの可動ローラの変位量を検知し、この可動ローラの変位量から紙葉類の厚さを検知する装置が知られている。また、この種の装置では、搬送方向と直交する方向に複数対のローラを並設し、紙葉類の幅方向に沿った厚さの分布を測定するようにしている。
【0003】
このようにして可動ローラの変位量をみて紙葉類の厚さを検知する方式では、可動ローラ自体がある程度の重量を持つため、可動ローラの自重により紙葉類の紙詰り(ジャム)が発生する場合がある。また、走行する紙葉類の先端突入や後端の抜け或いは紙葉類にテープを貼付したような急激な変化に対する可動ローラの追従性が悪く、紙葉類の搬送速度に限界がある。また、ローラ対を複数個並べて幅方向の厚さ分布を検知する場合には、各可動ローラの回転軸を支持する支持部材のためのスペースを各ローラ間に確保する必要があり、複数の可動ローラを幅方向に密着して設置することができず幅方向の分解能をあげることが難しかった。さらに、紙葉類が走行中に何等かの原因により厚さ方向に振動すると、この紙葉類の振動を可動ローラの変位量として検知するため、検知精度が悪くなるなどの問題があった。また、製造上からは可動ローラや可動ローラの支持部材の加工精度をあげて可動ローラの回転時のがたつきを小さく押さえて検知精度を確保する必要があるため、製造価格が高価となる問題があった。
【0004】
また、紙葉類の厚さを検知する他の特性検知装置として、光学式距離計を紙葉類の搬送面を挟む位置関係で上下に対向して設置し、紙葉類の上面および下面に光りを当ててその反射光を検出し、紙葉類の上面までの距離、および下面までの距離をそれぞれ測定して、両方の測定結果の差を厚さとして検知するものがある。
【0005】
このように、光学式距離計を用いて厚さを検知する方式では、紙葉類の色彩によって光の反射光量が異なるため、検知結果に誤差を生じ、厚さを正確に検知できない場合があった。また、色彩による影響のない光学式距離計は高価で外形寸法が大きいため設置場所が限られるなどの問題があった。
【0006】
また、紙葉類に印刷されたインクの磁性体を検知して紙葉類を識別する特性検知装置として、例えば、S字型のコアの中央部に1次コイルを設け、微少な間隙に設定した2個所の開口部側のそれぞれに2次コイルを設け、一方の開口部上に近接して紙葉類を通過させ、2つの2次コイルの誘導電圧の差を検知する差動巻線型トランス型方式が知られている。
【0007】
また、磁性体を検知する他の特性検知装置として、コイルを設けた環状のコアの一部に微少な間隙を設け、この間隙上を紙葉類が通過する際のコイルのインピーダンスの変化を検知し、磁性体量を検知する環状コアインピーダンス方式が知られている。
【0008】
しかし、これら差動巻線型トランス型方式や環状コアインピーダンス方式では、コアの間隙上を紙葉類が接触しながら通過する際の検知信号が最大となり、コアの間隙から紙葉類が離れるにつれて、検知信号が急激に減少してしまう。このため、紙葉類が何等かの原因により振動してしまうと検知信号が減少し、特にコアの間隙以上に紙葉類が離れてしまうと、検知信号が殆どゼロになってしまう。つまり、紙葉類を高速に搬送する場合、紙葉類が振動し易くなるので、検知信号が不安定となることが考えられる。
【0009】
さらに、紙葉類に非接触で磁性体を検知する特性検知装置として、例えば特開昭59−141058号公報に開示された装置が知られている。この装置では、2つのコの字型のコアを間隙を介して対向させ、それぞれのコアに巻いたコイルを直列に接続し、間隙を紙葉類が通過する際のインピーダンスの変化を検知して磁性体量を検知している。
【0010】
しかし、この非接触型の検知方式では、2つのコアにそれぞれ対向した紙葉類の両面にある磁性体を検知するため、紙葉類の各面の磁性体量が同じ場合、両方のコイルによって検知する検知信号が片方のコイルによって検知する検知信号の倍になる。このため、磁性体量を特定することが困難であった。また、磁性体が紙葉類のどちらの面にあっても検知信号が出力されるため、磁性体のある場所を特定できなかった。さらに、周辺温度の変化によってコアの透磁率が変化するため、検知信号が変動し易かった。
【0011】
また、特開平9−236642号公報には、2つのJ字型のコアを対向させた特性検知装置が開示されている。この装置は、各コアの長い方の端部同士を対向させ、短い端部同士を対向させ、各コアの端部にコイルを巻き、長い方の端部に巻いたコイル同士を直列に接続し、短い方の端部に巻いたコイル同士を直列に接続して構成されている。そして、長い方の端部が対向した比較的狭い隙間と短い方の端部が対向した比較的広い隙間に紙葉類を通過させ、それぞれ直列に接続したコイルのインピーダンスの差を検出して磁性体を検出する。
【0012】
しかし、この検出方式では、J字型コアの制作工程が複雑でJ字型コアの固定に特殊な加工を必要とするため、制作費用が嵩む問題があった。また、短い方の端部を対向させた隙間を通過する紙葉類と端部との間の距離が大きく離れるため、上述した差動巻線型トランス方式や環状コアインピーダンス方式と比べて紙葉類の移動方向に沿った検出分解能が劣る問題があった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来の特性検知装置では、いずれの装置においても、高速で搬送される検知対象物としての紙葉類と検知素子との間の距離を常に一定に保持することが困難であることから、満足のいく安定した検知結果を得ることはできなかった。
【0014】
この発明は、以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、高速で搬送される紙葉類と検知素子との間の距離を常に一定に保持でき、信頼性の高い安定した検知結果を得ることができる特性検知装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の特性検知装置は、紙葉類の搬送面を挟んで対向して設けられ、その先端部が上記搬送面において互いに押し付け合う状態で配置された一対のフィルム状の弾性体と、これら一対の弾性体の先端部の間に圧縮気体を送り込んで先端部間に一定の隙間を形成する送気手段と、上記一対の弾性体の少なくとも一方の上記先端部に設けられ、上記搬送面に沿って上記隙間を通過する紙葉類の特性を検知する検知素子と、を備えている。
【0016】
上記発明によると、送気手段によって一対の弾性体の先端部間に形成される圧縮気体の層による隙間を通して紙葉類を搬送し、弾性体の先端部に設けられた検知素子を介して紙葉類の特性を検知する。これにより、紙葉類を弾性体に対して非接触状態で搬送することができ、紙葉類が振動しても弾性体が追従するため検知素子と紙葉類との間の距離を一定に保つことができ、信頼性の高い安定した検知結果を得ることができる。
【0017】
また、上述した発明によると、上記検知素子を備えた上記一対の弾性体が紙葉類の搬送方向と直交する方向に沿って複数対並設され、上記送気手段が上記複数対の弾性体の先端部の間に圧縮気体を送り込むことを特徴とする。これにより、紙葉類の搬送方向と直交する幅方向に沿って紙葉類の特性を検知できる。
【0018】
また、上述した発明によると、上記検知素子は、紙葉類の通過による上記隙間の変化を検出して該紙葉類の厚さを検知する。
【0019】
また、上述した発明によると、上記検知素子は、上記弾性体にプリントされたプリントコイルを有する。
【0020】
また、上述した発明によると、上記検知素子は、上記隙間を通過する紙葉類に印刷されたインクの磁性体を検知する。
【0021】
また、上述した発明によると、上記検知素子は、磁気抵抗素子である。
【0022】
また、上述した発明によると、上記磁気抵抗素子は、上記搬送面から等距離の位置に複数個設けられている。
【0023】
また、本発明の特性検知装置は、紙葉類の搬送面を挟んで対向して設けられ、その先端部が上記搬送面において互いに押し付け合う状態で配置された一対のフィルム状の弾性体と、これら一対の弾性体の少なくとも一方の上記先端部に上記搬送面から距離を異ならせて複数個設けられ、上記搬送面を通過する紙葉類の磁気特性を検知する検知素子と、を備えている。
【0024】
また、上述した発明によると、上記送気手段は、上記一対の弾性体それぞれの先端部を貫通した孔、およびこれら孔を介して上記搬送面に向けて圧縮気体を送り込む送気路を有する。
【0025】
また、上述した発明によると、上記送気路は、上記一対の弾性体に沿って上記先端部から離れる方向に延設されている。
【0026】
さらに、本発明の特性検知装置は、紙葉類の搬送面を挟んで対向して設けられ、その対向面が紙葉類の搬送方向に沿って所定の長さを有し、互いに押し付け合う方向に付勢される一対の板状部材と、これら一対の板状部材の少なくとも一方に設けられ、上記搬送面に沿って搬送される紙葉類に印刷されたインクの磁性体を検知する検知素子と、この検知素子を上記搬送方向に沿って挟む位置関係で上記一対の板状部材を貫通して設けられた複数の孔と、これら複数の孔を介して、上記一対の板状部材の対向面の間に圧縮気体を送り込み、上記一対の対向面の間に一定の隙間を形成する送気手段と、を備えている。
【0027】
上記発明によると、紙葉類の搬送方向に沿って所定の長さを有する一対の板状部材を紙葉類の搬送面を挟んで対向して配置し、少なくとも一方の板状部材に設けられた検知素子を搬送方向に沿って挟む位置関係で各板状部材を貫通する複数の孔を介して一対の板状部材間に圧縮気体を送り込んで対向面間に一定の隙間を形成する。このように、搬送方向に沿って所定の長さを有する板状部材の対向面を対向させて検知素子を挟む孔を介して圧縮気体を送り込むことにより、一対の板状部材の一定の広さを有する対向面間に一定の隙間を安定して形成できる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながらこの発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0029】
図1には、この発明の第1の実施の形態に係る特性検知装置として、略水平方向に延びた搬送面を介して高速で搬送される紙葉類の厚さを検知する厚さ検知装置10(以下、単に検知装置10と称する)の概略構成を示してある。図2には、検知装置10を搬送面の上方から見た平面図を示してある。
【0030】
図1に示すように、検知対象物としての紙葉類1は、図示しない搬送ベルト等の搬送手段により挟持されながら所定の搬送面に沿って検知装置10内を通して図中矢印A方向に比較的高速で搬送される。
【0031】
弾性体2、3は、その先端部が搬送面に向けて互いに押し付け合う方向に付勢されるように、その基端部を支持部6a、6bにより固定し、紙葉類1を挟む位置関係で搬送面の両側に配置される。紙葉類1の各面に対向する弾性体2、3の先端部には、それぞれ検知素子としてのコイル4、5を取付けてある。コイル4、5の端子線7、8は、後述する回路に接続される。
【0032】
また、各弾性体2、3の先端部には、それぞれ継ぎ手11、12を介して弾性チューブ9a、9bが接続されている。弾性チューブ9a、9bは、搬送面から離れる方向に延設されている。さらに、各弾性体2、3の先端部には、弾性体の外側から搬送面に向けて貫通した孔13、14がそれぞれ形成されている。しかして、弾性チューブ9a、9bを介して所定の圧力に圧縮した空気などの圧縮気体を供給すると、各弾性体2、3の先端部の孔13、14を介して圧縮気体が搬送面に向けて送り込まれ、各弾性体2、3の先端部が互いに反発する方向に押し広げられて両者の間に一定の隙間が形成される。
【0033】
図2に示すように、搬送面の上方にある一方の弾性体2は、支持部6aに一端が支持されている細長い矩形帯状をなしており、その先端部には上述したようにコイル4、継ぎ手11、および弾性チューブ9aが取付けられている。一方、搬送面の下方にある他方の弾性体3は、上記弾性体2と略同一の構成を有する。各弾性体2、3は、弾性体2の先端部に設けられているコイル4と弾性体3の先端部に設けられているコイル5とが搬送面を介して対向し、且つ各弾性体2、3を貫通した孔13、14が搬送面を介して同心状に対向するように位置決めされている。
【0034】
図1および図2において、搬送面上に紙葉類1が無い場合は、弾性体2、3は互いに押し合う様に接触しようとするが、弾性チューブ9a、9b、および孔13、14を介して圧縮気体が両者の間に送り込まれているため、各弾性体2、3の先端部間に圧縮気体の層による僅かな隙間が形成されている。この隙間は、圧縮気体の流量に応じて変化するものであるが、本実施の形態では圧縮気体の流量を一定に保つことにより隙間を一定に保つようにしている。
【0035】
この状態で、搬送面を介して紙葉類1が矢印Aの方向に搬送されて弾性体2、3の先端部間に入ると、搬送面の上方に配置された弾性体2の先端部が図中矢印B方向(上方)に押し広げられるとともに、搬送面の下方に配置された弾性体3の先端部が図中矢印C方向(下方)に押し広げられ、各弾性体2、3間の隙間が広げられ、各弾性体2、3の先端部と紙葉類1との間にそれぞれ所定の隙間が形成される。つまり、紙葉類1は、搬送面の両側に配置された弾性体2、3に接触することなく、各弾性体2、3間を通して搬送される。尚、このときの紙葉類1の通過による弾性体2、3間の隙間の変化は、紙葉類1の厚さに起因したものであることから、隙間の変化量、すなわちコイル4、5間の距離の変化量を検知することにより紙葉類1の厚さを検知することができる。
【0036】
ここで、上述した検知装置10の要部の構成をさらに詳細に説明する。図3には弾性体2、3の先端部を拡大した詳細図を示してある。図4(a)には弾性体2に設けられたコイル4の平面図を示してあり、図4(b)にはコイル4の断面図を示してある。
【0037】
図3に示すように、搬送面の上方に配置された一方の弾性体2は、2枚の略矩形帯状の例えばポリイミドフィルム等の弾性フィルム2a、2bを例えば両面粘着テープなどの粘着体2cで張り合わせて形成されている。この粘着体2cは、紙葉類1の通過により弾性フィルム2a、2bの先端部に生じる不所望な振動を吸収するダンピング部材(緩衝体)として機能する。他方の弾性体3も上記弾性体2と同様に2枚の弾性フィルム3a、3bを粘着体3cで張り合わせて形成されている。
【0038】
コイル4(4a、4b)およびコイル5(5a、5b)は、各弾性体2、3の搬送面から離間した側(外側)の弾性フィルム2a、3aの両面上にそれぞれ設けられている。これらコイル4、5は、各弾性フィルム2a、3aの両面に形成したプリントコイル4a、4b、5a、5bにより構成されており、各弾性体2、3の先端部を貫通した孔13、14と同心状に形成されている。本実施の形態では、各コイル4、5を孔13、14と同心状に設けたが、コイル4、5と孔13、14は必ずしも同心状に設ける必要はない。
【0039】
図4(a)および図4(b)に示すように、例えば、一方のコイル4(4a、4b)は、外側の弾性フィルム2aの先端部において、フィルム2aの両面に導電性のプリントワイヤを渦巻き状にして形成される。各コイル4a、4bは、弾性フィルム2aの両面で同じ巻き方向に形成され、スルーホール導体4cにより表裏のコイル4a、4bが電気的に接続されている。これらコイル4a、4bの端部からは、それぞれ端子線7a、7bが導出されている。なお、他方のコイル5(5a、5b)もコイル4と同様な構成を有し、端子線8a、8bが導出されている。
【0040】
上記各弾性体2、3の先端部において、それぞれ、外側の弾性フィルム2a、3aの外面上には、弾性チューブ9a、9bを取付けるための継ぎ手11、12が取付けられている。各継ぎ手11、12は、弾性チューブ9a、9bを取付けるため貫通して延びた取付け孔11a、12aを有し、各取付け孔11a、12aに粘着性接着剤を介して弾性チューブ9a、9bがそれぞれ固設される。このように弾性チューブ9a、9bが固設された継ぎ手11、12は、それぞれの取付け孔11a、12a(即ち弾性チューブ9a、9b)が各弾性体2、3の先端部に形成された孔13、14と同心状となるように位置決めされて、外側の弾性フィルム2a、3a上に粘着性接着剤を介して固設される。
【0041】
図5には、上記のように構成された検知装置10を紙葉類1の搬送方向と直交する方向(幅方向)に沿って複数個並設した変形例としての特性検知装置100(以下、単に検知装置100と称する)の概略構成を平面図として示してある。この検知装置100は、上述した検知装置10と同様に構成されたn個の検知装置10a、10b、10c、10d、10e、…10nの各弾性体2、3の基端部を1つの支持部60で支持固定して構成されている。
【0042】
この検知装置100では、それぞれの弾性体2、3の対に設けられたコイル4、5を介して紙葉類1の厚さを検知し、紙葉類1の幅方向に沿った厚さ分布を検知する。また、この検知装置100では、各弾性体2、3の幅を検知精度に影響を及ぼすことのない程度に小さくし、且つ幅方向に隣接した弾性体2、3の間隔を狭くすることにより弾性体2、3の数を増やして紙葉類の幅方向に沿った厚さ分布の分解能を上げることができる。
【0043】
図6には、上述した検知装置10(100)を介して出力される紙葉類の厚さに関する検知信号を処理することにより、紙葉類の厚さを検出する厚さ検出回路20のブロック図を示してある。
【0044】
図6に示すように、ブリッジ回路22は、2個の固定抵抗器R1、R2と、上述した検知装置10のコイル4、5を上記端子線7、8を介して直列につないだ検出コイル22aと、コイル4、5と同様にプリントコイル2枚を一定の間隙を持たせて重ね合わせ各々のコイルD1、D2を直列につないで構成したダミーコイル22bと、から構成されている。検出コイル22aのインダクタンスLは、コイル4のインダクタンスをL1、コイル5のインダクタンスをL2、コイル4とコイル5間の相合インダクタンスをMとした場合、
L=L1+L2+2M
となる。相合インダクタンスMは、コイル4の発生する磁力線の向きがコイル5の発生する磁力線の向きと同じであるため、正の値となる。
【0045】
検出コイル22aとダミーコイル22bとはインピーダンス値の差を調整する図示しないバランス調整用抵抗器によりブリッジ回路22がバランス状態となるように接続される。なお、ダミーコイル22bは、温度などの環境変化によって検出コイル22aの出力が変動することにより生ずる誤差を少なくするために設けているものである。
【0046】
交流発振回路23はブリッジ回路22に交流電圧を供給して付勢するものである。交流発振回路23からの交流電圧は、抵抗器R1と検出コイル22aとにより分圧された値と、抵抗器R2とダミーコイル22bとにより分圧された値とが、差動増幅回路24に供給される。この差動増幅回路24のコイル4、5の変化に応じた厚さ信号の出力は、同期検波回路25に供給される。位相設定回路26は交流発振回路23から上記ブリッジ回路22への交流電圧と同じ交流電圧が供給され、その交流信号を所望の設定位相にして同期検波回路25に供給するものである。同期検波回路25は、差動増幅回路24からの紙葉類の厚さ信号に対して位相設定回路26からの感度の高い位相条件のもとで検波整流されてフィルタ・増幅回路27へ出力される。フィルタ・増幅回路27は同期検波回路25で検波整流された信号のリップルを低減し厚さ信号を直流電圧(平均値をとって直流化する)として出力する。
【0047】
次に、上記のように構成された検知装置10の作用について説明する。
【0048】
図1、2において、一対の弾性体2、3間に圧縮気体が送り込まれていない状態で且つ紙葉類1が搬送面を通過されていない場合、弾性体2、3は互いに所定圧力で押し合う様に接触している。この状態から一対の弾性体2、3間に圧縮気体を送り込んで薄い流体膜による一定の隙間を形成し、この隙間を通して搬送面に沿って紙葉類1を搬送する。
【0049】
所定の厚さの紙葉類1が一対の弾性体2、3間の流体層(エアギャップ)を通過すると、一方の弾性体2は図中矢印B方向に押し広げられ、他方の弾性体3は図中矢印C方向に押し広げられる。この状態で、隙間に送り込まれた圧縮気体は、図3に矢印D、Eで示すように流れ、一方の弾性体2と紙葉類1の上面との間、および他方の弾性体3と紙葉類1の下面との間にそれぞれ一定の厚さの薄い流体膜が形成される。このとき、ベルヌイーの定理により、圧縮気体の流速に応じた負圧が紙葉類1と各弾性体2、3との間に生じ、紙葉類1と各弾性体2、3との間の隙間がより安定する。
【0050】
このようにして、流体層からなる隙間を通して紙葉類1を通過させることにより、各弾性体2、3の先端部に取付けられたコイル4とコイル5の間隙が広げられる。このコイル4、5間の隙間の変化量は、搬送面を通過する紙葉類1の厚さに比例する。コイル4とコイル5は電気的に接続状態にあるため、両者間の距離が変化すると、コイルの結合インピーダンスが変化する。結合インピーダンスが変化すると、図6を用いて説明したブリッジ回路22のバランス状態が崩れ、差動増幅回路24の交流出力電圧が変化し、フィルタ・増幅回路27の直流出力信号が変化する。つまり、この直流出力信号の変化量を検出して紙葉類1の厚さを検知する。
【0051】
ところで、紙葉類1が弾性体2、3間に先端の突入や後端の抜けをする場合、弾性体2、3の先端は急激に変位すると共に振動する。この他に、紙葉類1にテープなどが貼り付けられているような場合に、弾性体2、3の先端部が不所望に振動することが考えられる。この弾性体2、3の不所望な振動を抑制するため、各弾性体2、3は、図3に示すように弾性フィルム2a、2b及び弾性フィルム3a、3bの間を緩衝体である両面粘着テープ2c、3cで貼り合わせて構成されており、この両面粘着テープ2c、3cの粘性により緩衝作用を持たせてある。つまり、各弾性フィルムを張り合わせた粘着テープ2c、3cによって弾性体2、3の不所望な振動を吸収し、各弾性体2、3の先端部に取付けられたコイル4、5の急激な変位を抑制している。従って、本実施の形態の検知装置10では、各弾性体2、3の緩衝作用により紙葉類1の不所望な振動を確実に吸収でき、紙葉類1の厚さを安定して検知できる。
【0052】
例えば、紙葉類1が不所望に振動して図1で矢印B方向に変位した場合、一方の弾性体2の先端部は紙葉類1により押し上げられて変形し、他方の弾性体3はその復元力により紙葉類1に追随して矢印B方向に変形する。このため、紙葉類1が矢印B方向に変位してもコイル4とコイル5の間隙は変化しない。また、紙葉類1が図中矢印C方向に変位した場合も同様に、弾性体2、3は紙葉類1の変位に追随して変形する。従って、紙葉類1が振動してもその振動によってコイル4、5の間隙が変化することがないため、厚さ検出回路20から出力される厚さ検知信号も変化しないので、紙葉類1の厚さを常に安定して検知できる。
【0053】
また、本実施の形態の検知装置10は、紙葉類1の搬送面を挟んで一対のフィルム状の弾性体2、3を設け、弾性体2、3の先端部にプリントコイル4、5を配置しただけの極めて簡単な構成であるため、検知装置10を小型且つ軽量に構成できる。このように装置構成を小型・軽量にしたため、紙葉類1の厚さの急激な変化に対するコイル4、5の追従性が極めて良く、高速で搬送される紙葉類1の厚さを安定して確実に検知できる。
【0054】
また、上記のように簡単な構成を有する検知装置10を紙葉類1の搬送方向を横切る幅方向に複数個並設し、図5で説明したような検知装置100を容易に構成することができ、検知素子としての複数のコイル4、5を紙葉類1の搬送方向を横切る幅方向に沿って極めて接近して設置することができ、幅方向に沿った紙葉類1の厚さ検知の分解能を高めることができる。
【0055】
特に、搬送面を挟んで固定ローラと可動ローラを配置した従来の検知装置と比較して、本実施の形態の検知装置10によると、可動ローラの両端を支持するための支持部材などを各ローラ間に配置する必要がなく装置構成を極めて簡略化でき、検知素子としてのコイル4、5を幅方向に多数配置でき、幅方向の分解能を高めることができる。また、本実施の形態の検知装置10によると、可動ローラを用いた従来の装置のように構成部材の位置精度を高める必要がなく、紙葉類の厚さを安定して確実且つ容易に検知でき、且つ装置を安価に製造できる。
【0056】
また、本実施の形態の検知装置10では、弾性体2、3の先端部の間に流体層による隙間を形成し、この隙間を通して紙葉類1を非接触状態で搬送するため、紙葉類1が弾性体2、3に接触することがなく、弾性体2、3が紙葉類1の摺接によって摩耗して隙間が変化することがなく、検知装置10の出力信号が変化することがない。よって、半永久的に安定した厚さ検知ができ、検知精度を高めることができるとともに信頼性を高めることができる。また、このように紙葉類1が非接触状態で搬送されるため、紙葉類1をなんの抵抗もなくスムーズに搬送できる。
【0057】
さらに、搬送面を挟んで2つの光学式の反射型センサを配置した従来の検知装置と比較して、本実施の形態の検知装置10では、コイル4、5の結合インピーダンスの変化を見て紙葉類1の厚さを検知するため、紙葉類1の色に起因した検知信号の変化がなく、紙葉類1の色の影響を受けることがなく、安定した厚さ検知が可能となる。
【0058】
図7には、上述した第1の実施の形態の検知装置10の別の変形例を示してある。尚、ここでは、上述した第1の実施の形態の検知装置10と同様に機能する構成要素には同じ参照符号を付して詳細な説明を省略する。また、ここでは図示省略してあるが、他方の弾性体3にも同様の構成部材が取付けられている。
【0059】
上述した第1の実施の形態の検知装置10では、例えば図1に示すように各弾性体2、3の先端部からそれぞれ継ぎ手11、12を介して弾性チューブ9a、9bが搬送面から互いに離間する方向(即ち、搬送面と直交する方向)に導出されている。このようにして弾性体2、3の先端部に取付けられた弾性チューブ9a、9bは、弾性体2、3の先端部の変位に応じて一緒に変位するため、弾性体2、3の追従性を損なう原因となることが考えられる。
【0060】
このため、図7に示す変形例では、弾性体2の先端部に形成された孔13に導通した略直角に折り曲げられた取付け孔30aを有する継ぎ手30を用いて弾性チューブ9aを弾性体2に接続し、弾性チューブ9aが弾性体2の外側の弾性フィルム2aに沿って延びるように構成した。これにより、上述した第1の実施の形態の検知装置10と比較して、弾性体2の先端部における隙間の変位に応じた追従性を高めることができた。
【0061】
図8には、第1の実施の形態の検知装置10のさらに別の変形例を示してある。ここでも搬送面の上側にある構成だけを代表して説明する。
【0062】
この変形例では、弾性体2の外側の弾性フィルム2a上に柔軟接着剤を介して弾性フィルム2aより柔らかい弾性フィルム32を張り合わせ、この弾性フィルム32のさらに外側に柔軟接着剤を介して別の弾性フィルム34を張り合わせてある。内側の弾性フィルム32の略中央には弾性体2を貫通した孔13に導通する長手方向に延びた溝32aを形成し、他方の弾性フィルム34には上記溝32aに導通するとともに弾性体2の孔から離間した位置に孔34aを形成した。さらに、弾性フィルム34の外側面上の孔34aに一致する位置に、上述した図7の変形例の継ぎ手30を介して弾性チューブ9aを接続した。
【0063】
弾性チューブ9aを介して送り込まれた圧縮気体は、継ぎ手30の取付け孔30a、弾性フィルム34の孔34a、弾性フィルム32の溝32a、および弾性体2の孔13を介して搬送面に向けて送り込まれる。このように、弾性体2の先端部から離間した位置に継ぎ手30を介して弾性チューブ9aを取付けたため、弾性体2の先端部近くから継ぎ手30および弾性チューブ9aを排除でき、先端部の追従性をより高めることができた。
【0064】
図9には、図5の検知装置100において、圧縮気体を搬送面に送り込むための構成を示してある。ここでも搬送面の上方に配置された構成だけを例示してあるが、搬送面の下方にも同様の構成が配置される。
【0065】
この構成では、複数の弾性体2をその基端部で一体に連結した櫛歯状の1つの弾性体2’を形成し、この弾性体2’の外面上に柔軟接着剤を介して略同じ形状の弾性フィルム36を張り合わせ、この弾性フィルム36のさらに外側に柔軟接着剤を介して別の弾性フィルム38を張り合わせてある。一方の弾性フィルム36には各弾性体2を貫通した孔13に導通する櫛歯状の溝36aを形成し、他方の弾性フィルム38には上記溝36aに導通する孔(図示せず)を形成した。さらに、弾性フィルム38の図示しない孔に一致する位置に、上述した図7の変形例の継ぎ手30を介して弾性チューブ9aを接続した。
【0066】
弾性チューブ9aを介して送り込まれた圧縮気体は、継ぎ手30、弾性フィルム38の図示しない孔、弾性フィルム36の溝36a、および各弾性体2の先端部の孔13を介して搬送面に向けて送り込まれる。
【0067】
尚、上述した図9の変形例では、櫛歯状の弾性体2’の上面に弾性フィルム36、38を張り合わせた例を説明したが、弾性体2’の上面に櫛歯状の溝(溝36aに相当)を直接形成するようにしても良い。また、同様にして、図8で説明した変形例においても、弾性体2の上面に溝を直接形成するようにしても良い。
【0068】
次に、この発明の第2の実施の形態に係る特性検知装置として、高速で搬送される紙葉類に印刷されたインクの磁性体を検知する磁性体検知装置40(以下、単に検知装置40と称する)について説明する。
【0069】
図10には、検知装置40の概略構成を示してある。また、図11には、この検知装置40を搬送面の上方から見た平面図を示してある。さらに、図12には、一対の弾性体2、3の先端部付近を拡大した詳細図を示してある。以下に説明する検知装置40は、例えば紙葉類を識別する目的で、紙葉類に印刷されたインクの磁性体を検知する。尚、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同様に機能する構成要素については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0070】
図10に示すように、検知装置40は、紙葉類1の搬送面を挟む位置関係で一対の弾性体2、3を有する。各弾性体2、3は、その先端部同士が押し付け合うようにして支持部6a、6bによって支持されている。搬送面の上方にある一方の弾性体2の先端部には、磁気抵抗素子42の上に永久磁石44を重ねた検知素子50が搭載されている。この検知素子50は、搬送面を通過する紙葉類1に印刷されたインクの磁性体を検知する。
【0071】
図12に詳細に示すように、検知素子50は、搬送面を通過する紙葉類1に磁気抵抗素子42をできるだけ近接させるように、一方の弾性体2の内側の弾性フィルム2b上に取付けられている。つまり、一方の弾性体2の先端部には、外側の弾性フィルム2aおよび粘着体2cをくり貫いた略矩形の取付け穴2dが形成され、この穴2dに粘着性接着剤を介して検知素子50が固着されている。
【0072】
また、磁気抵抗素子42は、紙葉類1の搬送方向に沿って並んだ2つの構成素子42a、42bを有する。本実施の形態では、2つの構成素子42a、42bが搬送面から等距離となり且つ搬送面に平行となるように配置した。この他に、紙葉類1の幅方向に2組の構成素子(4つの構成素子)を並設しても良い。このように構成素子を複数個設け後述するブリッジ回路によって接続することにより、周囲の温度が変化した場合であっても全ての構成素子が同じ温度になるため、周辺温度の変化に対する出力変化を防止できる。尚、永久磁石44は、磁気抵抗素子42の各構成素子42a、42bに磁気バイアスを与える。また、磁気抵抗素子42の端子線7a、7bは、後述する回路に接続される。
【0073】
各弾性体2、3の先端部から離間した位置であって各弾性体2、3の内側の弾性フィルム2b、3bと紙葉類1との間には、各弾性体2、3の先端部と紙葉類1との間に圧縮気体を送り込むための送気チューブ46、48が配設されている。送気チューブ46、48は、弾性チューブにより構成され、その先端が弾性体2、3の先端部の間に向けられ、搬送面を通して搬送される紙葉類1に接触することのないように搬送面から十分に離間した位置に配置されている。
【0074】
しかして、送気チューブ46、48を介して所定の圧力に圧縮した空気などの圧縮気体を送り込むと、各弾性体2、3の先端部が互いに反発する方向(矢印B、矢印C)に押し広げられて両者の間に一定の隙間が形成される。そして、この隙間を通して図中矢印A方向に紙葉類1が搬送されると、今度は各弾性体2、3の先端部と紙葉類1との間に一定の隙間が形成され、紙葉類1が弾性体2、3に対して非接触状態で搬送される。この状態で、紙葉類1の上面と磁気抵抗素子42の各構成素子42a、42bとの間の距離が一定に保持される。
【0075】
図13には、上記のように構成された第2の実施の形態の検知装置40を紙葉類1の搬送方向と直交する方向(幅方向)に沿って複数個並設した変形例としての特性検知装置200(以下、単に検知装置200と称する)の概略構成を平面図として示してある。この検知装置200は、上述した検知装置40と同様に構成されたn個の検知装置40a、40b、40c、40d、40e、…40nの各弾性体2、3の基端部を1つの支持部60で支持固定して構成されている。
【0076】
この検知装置200では、複数の弾性体2に搭載された各検知素子50を介して紙葉類1に印刷されたインクの磁性体量を検知し、紙葉類1の幅方向に沿った磁性体の分布を検知する。
【0077】
図14には、上述した検知装置40(200)を介して出力される紙葉類の磁性体量に関する検知信号を処理することにより、紙葉類の磁性体量を検出する磁性体検出回路70のブロック図を示してある。
【0078】
図14に示すように、ブリッジ回路72は、2個の固定抵抗器R1、R2と、上述した検知装置40の磁気抵抗素子42の2つの構成素子42a、42bと、抵抗値のバランスを調整するための可変抵抗器rと、を直列に繋いで構成されている。
【0079】
定電圧回路74は、ブリッジ回路72に直流電圧を供給して付勢するものである。定電圧回路74からの直流電圧は、抵抗器R1と構成素子42aとにより分圧された値と、抵抗器R2と構成素子42bとにより分圧された値として、差動増幅回路76に供給される。この差動増幅回路76を介して検知した構成素子42a、42bの抵抗値の変化に応じた磁性体量に関する信号は、フィルタ・増幅回路78を介してさらに増幅され、必要周波数の帯域の磁性体量に関する検知信号として出力される。
【0080】
紙葉類1に印刷されたインクの磁性体を検知する場合、まず、図10および図12に示すように、送気チューブ46、48を介して一対の弾性体2、3間に圧縮気体を送り込んで両者の間に薄い流体膜による一定の隙間を形成し、この状態で隙間を通して搬送面に沿って矢印A方向に紙葉類1を搬送する。
【0081】
紙葉類1が一対の弾性体2、3間の流体層を通過すると、検知素子50を搭載した一方の弾性体2は図中矢印B方向に押し広げられ、他方の弾性体3は図中矢印C方向に押し広げられる。この状態で、一方の弾性体2と紙葉類1の上面との間、および他方の弾性体3と紙葉類1の下面との間にそれぞれ一定の厚さの薄い流体膜が形成される。特に、紙葉類1の上面と検知素子50を搭載した弾性体2との間に形成された流体膜により、磁気抵抗素子42の構成素子42a、42bと紙葉類1との間の距離が一定に保たれる。
【0082】
このようにして、搬送中の紙葉類1から一定の距離にフロート状態で配置された磁気抵抗素子42の構成素子42a、42bは、紙葉類1のインクの磁性体が通過する際、その抵抗値が変化される。各構成素子42a、42bの抵抗値は、磁性体の量に比例して変化する。このように各構成素子42a、42bの抵抗値が変化すると、図14を用いて説明したブリッジ回路72のバランス状態が崩れ、差動増幅回路76の出力が変化し、フィルタ・増幅回路78の出力信号が変化する。つまり、この出力信号の変化を検出して紙葉類1のインクの磁性体を検知する。
【0083】
紙葉類1の磁性体を検知する場合、紙葉類1の磁性体量の分布、或いは透磁率の分布が均一であれば、構成素子42a、42bの抵抗値が同一となり、上述した磁性体検出回路70の出力信号に変化を生じることはない。一方、磁性体量或いは透磁率の分布が不均一であれば、構成素子42a、43bの抵抗値に差を生じ磁性体検出回路70の出力信号に変化を生じる。つまり、本実施の形態の検知装置40では、紙葉類1の磁性体量或いは透磁率分布に偏差がある場合に検出信号を出力でき、空間差分出力を得ることができる。
【0084】
以上のように、本実施の形態によると、一対の弾性体2、3の先端部間に圧縮気体を送り込んで両者の間に流体膜による隙間を形成し、この隙間を通して紙葉類を非接触状態で搬送し、紙葉類に印刷されたインクの磁性体を検知する。従って、本実施の形態の検知装置40においても、上述した第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0085】
つまり、本実施の形態の検知装置40においても、一対の弾性体2、3の先端部間の隙間を通して紙葉類を非接触状態で搬送できるため、紙葉類が不所望に振動した場合に弾性体2、3を紙葉類の振動に高速に追従させて変位させ、検知素子50と紙葉類との間の距離を一定に保持でき、検知素子50による検知信号のレベルを常に安定させることができ、信頼性の高い安定した検知結果を得ることができる。
【0086】
また、本実施の形態の検知装置40によると、検知素子50が複数の構成素子42a、42bを有し且つブリッジ回路72によって接続しているため、周囲の温度変化に起因した出力変化を防止することができる。
【0087】
図15には、上述した第2の実施の形態の検知装置40の別の変形例を示してある。尚、ここでは、上述した第2の実施の形態の検知装置40と同様に機能する構成要素には同じ参照符号を付して詳細な説明を省略する。
【0088】
図15に示す変形例では、一方の弾性体2の先端部に検知素子80を搭載している。この検知素子80は、弾性体2の先端側にある一方の構成素子42aより弾性体2の後端側にある他方の構成素子42bの方が搬送面から離れた位置に配置されるように、他方の構成素子42bと内側の弾性フィルム2bとの間にスペーサ82を備えている。
【0089】
このように、他方の構成素子42bを一方の構成素子42aよりも搬送面から離間させることにより、他方の構成素子42bに対する紙葉類の磁性体或いは透磁率による影響が一方の構成素子42aに対するものより小さくなり、構成素子42bの抵抗値の変化も小さくなる。従って、磁性体検出回路70からの出力は、一方の構成素子42aの抵抗値の変化が支配的となり、概ね一方の構成素子42aによって紙葉類の磁性体量或いは透磁率を検知することとなり、紙葉類における磁性体或いは透磁率の分布を検知できる。
【0090】
また、図16に示すさらに別の変形例では、一方の構成素子42aより他方の構成素子42bを搬送面から離間させるため、上述した第2の実施の形態の検知素子50を所定の角度で傾斜させてある。
【0091】
このように、検知素子50を傾斜させることにより、各構成素子42a、42bの搬送面からの距離を異ならせることができ、紙葉類の磁性体或いは透磁率の分布を検知できる。
【0092】
次に、この発明の第3の実施の形態に係る特性検知装置として、高速で搬送される紙葉類に印刷されたインクの磁性体を検知する磁性体検知装置90(以下、単に検知装置90と称する)について説明する。図17には、検知装置90の概略構成を示してある。また、図18には、この検知装置90の上側部分を搬送面側(図中B−B側)から見た平面図を示してある。
【0093】
図17に示すように、検知装置90は、紙葉類1の搬送面を挟む位置関係で一対のガイドベース91、92(板状部材)を有する。各ガイドベース91、92は、それぞれ、板バネ93、94を介して支持部100に取付けられている。各板バネ93、94は、各ガイドベース91、92を互いに略平行な姿勢にして且つ搬送面を介して互いに押し付け合う方向に付勢する。
【0094】
一対のガイドベース91、92は、一定の厚さを有し略同じ構造に形成され、紙葉類1の搬送方向に沿って所定の長さを有する対向面91a、92aをそれぞれ有する。一対のガイドベース91、92は、それぞれの対向面91a、92aが搬送面を介して対向し且つ略平行になるように配置される。図18に例示したように、例えば、搬送面の上方に設けられた一方のガイドベース91は、紙葉類1の搬送方向に沿って十分に長く延び且つ搬送方向を横切る一定の幅を有する平らな矩形の対向面91aを有する。
【0095】
搬送面の上方に設けられたガイドベース91には、紙葉類1に印刷されたインクの磁性体を検知するための磁気センサ95(検知素子)、およびガイドベース91の後述する複数の孔を介して搬送面に向けて圧縮気体を送り込むための流体マニホールド96(送気手段)が取付けられている。一方、搬送面の下方に設けられたガイドベース92には、ガイドベース92の後述する複数の孔を介して搬送面に向けて圧縮気体を送り込むための流体マニホールド96’(送気手段)が取付けられている。
【0096】
ガイドベース91に取付けられた磁気センサ95は、一次コイル101、二次コイル102、2つのダミーコイルD1、D2、およびこれら4つのコイルを巻設したコア103を有する。コア103は、ガイドベース91の対向面91aと面一になるように配置されたギャップG1および搬送面から離間したギャップG2を有する。磁気センサ95は、搬送面に近接した側のギャップG1の両側に一次コイル101および二次コイル102を巻設し、搬送面から離間した側のギャップG2の両側に2つのダミーコイルD1、D2を巻設して構成されている。この磁気センサ95は、搬送面を通過する紙葉類1の表面に一方のギャップG1をできるだけ近接させるように、ガイドベース91に埋設されている。尚、各コイルの図示しない端子線は、後述する回路に接続される。
【0097】
また、ガイドベース91に取付けられた流体マニホールド96は、磁気センサ95を覆うように設けられている。流体マニホールド96は、磁気センサ95を紙葉類1の搬送方向に沿って挟む位置関係でガイドベース91を貫通して設けられた2つの孔97、98(図18参照)を介して、搬送面に圧縮気体を送り込むための送気路104を有する。送気路104の基端部には、図示しない弾性チューブを接続するための継ぎ手105が設けられている。しかして、図示しない弾性チューブおよび継ぎ手105を介して流体マニホールド96へ送り込まれた圧縮気体は、送気路104を通って2つの孔97、98を介して搬送面へ送り込まれる。
【0098】
一方、ガイドベース92に取付けられた流体マニホールド96’も、上述した流体マニホールド96と略同じ構造を有するが、磁気センサを覆っていないためサイズが少し小さくなっている。ここでは、上述した流体マニホールド96と同様に機能する部分には同一符号に’を付して示してある。尚、搬送面に圧縮気体を送り込むためガイドベース92に形成された2つの孔97’、98’は、上述したガイドベース91の孔97、98と対向する位置に形成されている。また、流体マニホールドのサイズは、適宜変更可能である。
【0099】
しかして、図示しない弾性チューブ、継ぎ手105、105’、送気路104、104’、および孔97、98,97’,98’を介して所定の圧力に圧縮した空気などの圧縮気体を一対のガイドベース91、92間に送り込むと、各板バネ93、94によって付勢されている状態の一対のガイドベース91、92が互いに反発する方向に押し広げられる。これにより、一対のガイドベース91、92それぞれの対向面91a、92a間に一定の隙間が形成される。そして、この隙間を通して図中矢印A方向に紙葉類1が搬送されると、今度は各ガイドベース91、92の対向面91a、92aと紙葉類1との間に一定の隙間が形成され、圧縮気体が図17の矢印方向に流れる。これにより、紙葉類1がガイドベース91、92に対して非接触状態で搬送面に沿って搬送される。
【0100】
このとき、一対のガイドベース91、92と紙葉類1との間には、圧縮気体の流れに起因して圧縮気体の圧力より小さい負圧が作用し、流速効果の釣り合いによる隙間が形成される。つまり、比較的広い面積の対向面91a、92aと紙葉類1との間で極めて安定した負圧が生じ、広い面積に亘って隙間が安定される。しかして、この隙間によって、紙葉類1の上面とガイドベース91の対向面91aとの間の距離が一定に保持され、磁気センサ95のギャップG1と紙葉類1との間の距離が一定に保たれる。尚、この隙間は、圧縮気体の圧力、流速、大気圧、および一対のガイドベース91、92を支持する板バネ93,94のバネ定数などによって決まるものであり、本実施の形態ではこの隙間が数ミクロン乃至数十ミクロン程度になるように、各パラメータが設置されている。
【0101】
図19には、上述した検知装置90を介して出力される紙葉類の磁性体量に関する検知信号を処理することにより、紙葉類の磁性体量を検出する磁性体検出回路110(以下、単に検出回路110と称する)のブロック図を示してある。
【0102】
図19に示すように、検出回路110は、図17に示した一次コイル101と二次コイル102を直列に接続したコイル111、およびダミーコイルD1、D2を直列に接続したコイル112を構成要素に含むブリッジ回路113を有する。ブリッジ回路113は、この他に、辺抵抗としてのR1、R2、およびバランス調整用の可変抵抗器としてのVR1、VR2を構成要素として含んでいる。
【0103】
また、検出回路110は、ブリッジ回路113を付勢する発振回路114、差動アンプ115、位相同期検波回路116、位相設定回路117、およびフィルタ回路118を有する。
【0104】
ブリッジ回路113では、差動アンプ115の出力波形の振幅が出来るだけ小さくなるようにVR1、VR2を調整しておく、搬送面を通過する紙葉類1の磁性体を検出してコイル111のインピーダンスが変化すると、差動アンプ115の出力波形と振幅が変化する。位相同期検波回路116は位相設定回路117で設定された位相のもとで差動アンプ115からの信号を検波整流する。位相設定回路117は発振回路114からの入力波形に対して設定された位相だけずれた信号を位相同期検波回路116に送るもので、設定位相は、例えば検出装置90内を検出対象となる紙葉類1が通過したときにブリッジ回路113の出力が最大になるように設定する。また、この位相設定においては、検出信号に対し有害となる雑音成分が最小となるようにしてもよい。低域通過用のフィルタ回路118は位相同期検波回路116で検波された信号の高周波成分を除去する。また、フィルタ回路118には、出力信号の電圧レベルを変える機能を持たせてもよい。しかして、搬送面を通過する紙葉類1の磁性体に関する信号がフィルタ回路118を介して出力される。
【0105】
以上のように、本実施の形態によると、紙葉類1の搬送面を挟んで比較的広い対向面91a、92aを有する一対のガイドベース91、92を設け、磁気センサ95を紙葉類1の搬送方向に沿って挟む位置関係で各ガイドベース91、92を貫通したそれぞれ2つの孔97、98、97’、98’を形成し、これらの孔を介して磁気センサ95の両側から広い対向面91a、92a間に圧縮気体を送り込むようにした。これにより、上述した各実施の形態と同様の効果を奏することができるとともに、一対のガイドベース91、92間の隙間を数ミクロン乃至数十ミクロンのオーダでより安定させることができ、検知素子と紙葉類との間の距離をより安定させることができ、紙葉類1に印刷されたインクの磁性体をより高精度に検出できる。また、搬送面を通過する紙葉類1がその面方向に不所望に振動した場合であっても、板バネ93、94によって支持されているガイドベース91、92が紙葉類1の振動に追従して動くため、紙葉類と磁気センサ95との間の距離が変化することはない。
【0106】
図20には、上述した第3の実施の形態の検知装置90の変形例を示してある。この検知装置120は、上述した検知装置90と略同じ構成を有するが、搬送面の下方に設けられたガイドベース92にも磁気センサ95’を取付けてある点が異なる。つまり、本変形例の検知装置120は、搬送面の両側に磁気センサ95、95’を有する。この場合、搬送面の上側の磁気センサ95の一次コイル101、二次コイル102、および搬送面の下側の磁気センサ95’の一次コイル101’二次コイル102’を直列に接続してコイル111(図19)を構成し、磁気センサ95のダミーコイルD1、D2、および磁気センサ95’のダミーコイルD1’、D2’を直列に接続してコイル112(図19)を構成すれば良く、図19の検出回路110を用いて紙葉類1の磁性体を検知できる。
【0107】
尚、この発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変形可能である。例えば、上述した実施の形態では、弾性チューブや溝を用いて圧縮気体を一対の弾性体の先端部間に送り込む場合について説明したが、これに限らず、圧縮気体の送気手段および送気方法はいかなるものであっても良い。
【0108】
また、上述した第3の実施の形態では、磁気センサ95、95’として複数のコイルをコアに巻いたものを使用したが、従来の差動巻線型トランス方式、環状コアインピーダンス方式、または第2の実施の形態の磁気抵抗素子などを代りに用いても良い。
【0109】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の圧縮気体を用いた紙葉類の特性検知装置は、上記のような構成および作用を有しているので、高速で搬送される紙葉類と検知素子との間の距離を常に一定に保持でき、信頼性の高い安定した検知結果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態に係る厚さ検知装置を示す概略図。
【図2】図1の厚さ検知装置を搬送面の上方から見た平面図。
【図3】図1の厚さ検知装置の要部の構成を拡大して示す断面図。
【図4】図3の一方の弾性体の先端部にプリントされたプリントコイルを示す図。
【図5】図1の厚さ検知装置の変形例を示す平面図。
【図6】厚さ検知装置から出力される信号を処理して紙葉類の厚さを検出する厚さ検出回路のブロック図。
【図7】図1の厚さ検知装置の別の変形例を示す図。
【図8】図1の厚さ検知装置のさらに別の変形例を示す図。
【図9】図5の厚さ検知装置において搬送面に向けて圧縮気体を送り込むための構成を示す分解斜視図。
【図10】この発明の第2の実施の形態に係る磁性体検知装置を示す概略図。
【図11】図10の磁性体検知装置を搬送面の上方から見た平面図。
【図12】図10の磁性体検知装置の要部の構成を拡大して示す断面図。
【図13】図10の磁性体検知装置の変形例を示す平面図。
【図14】磁性体検知装置から出力される信号を処理して紙葉類に印刷されたインクの磁性体を検出する磁性体検出回路を示すブロック図。
【図15】図10の磁性体検知装置の別の変形例を示す図。
【図16】図10の磁性体検知装置のさらに別の変形例を示す図。
【図17】この発明の第3の実施の形態に係る磁性体検知装置を示す概略図。
【図18】図17の磁性体検知装置の上側部分を搬送面側から見た平面図。
【図19】図17の磁性体検知装置から出力される信号を処理して紙葉類に印刷されたインクの磁性体を検出する磁性体検出回路を示すブロック図。
【図20】図17の磁性体検知装置の変形例を示す概略図。
【符号の説明】
1…紙葉類、2、3…弾性体、2a、2b、3a、3b…弾性フィルム、2c、3c…粘着体、4、5…コイル、4a、4b、5a、5b…プリントコイル、4c、5c…スルーホール導体、6a、6b…支持部、7a、7b、8a、8b…端子線、9a、9b…弾性チューブ、10…厚さ検知装置、11、12…継ぎ手、13、14…孔、20…厚さ検出回路、22…ブリッジ回路、40…磁性体検知装置、42…磁気抵抗素子、42a、42b…構成素子、44…永久磁石、46、48…送気チューブ、50…検知素子、70…磁性体検出回路、72…ブリッジ回路、90…磁性体検知装置、91、92…ガイドベース、95…磁気センサ、96…流体マニホールド、97、98…孔、110…磁性体検出回路。
Claims (11)
- 紙葉類の搬送面を挟んで対向して設けられ、その先端部が上記搬送面において互いに押し付け合う状態で配置された一対のフィルム状の弾性体と、
これら一対の弾性体の先端部の間に圧縮気体を送り込んで先端部間に一定の隙間を形成する送気手段と、
上記一対の弾性体の少なくとも一方の上記先端部に設けられ、上記搬送面に沿って上記隙間を通過する紙葉類の特性を検知する検知素子と、
を備えていることを特徴とする紙葉類の特性検知装置。 - 上記検知素子を備えた上記一対の弾性体が紙葉類の搬送方向と直交する方向に沿って複数対並設され、上記送気手段が上記複数対の弾性体の先端部の間に圧縮気体を送り込むことを特徴とする請求項1に記載の特性検知装置。
- 上記検知素子は、紙葉類の通過による上記隙間の変化を検出して該紙葉類の厚さを検知することを特徴とする請求項1に記載の特性検知装置。
- 上記検知素子は、上記弾性体にプリントされたプリントコイルを有することを特徴とする請求項3に記載の特性検知装置。
- 上記検知素子は、上記隙間を通過する紙葉類に印刷されたインクの磁性体を検知することを特徴とする請求項1に記載の特性検知装置。
- 上記検知素子は、磁気抵抗素子であることを特徴とする請求項1に記載の特性検知装置。
- 上記磁気抵抗素子は、上記搬送面から等距離の位置に複数個設けられていることを特徴とする請求項6に記載の特性検知装置。
- 紙葉類の搬送面を挟んで対向して設けられ、その先端部が上記搬送面において互いに押し付け合う状態で配置された一対のフィルム状の弾性体と、
これら一対の弾性体の少なくとも一方の上記先端部に上記搬送面から距離を異ならせて複数個設けられ、上記搬送面を通過する紙葉類の磁気特性を検知する検知素子と、
を備えていることを特徴とする紙葉類の特性検知装置。 - 上記送気手段は、上記一対の弾性体それぞれの先端部を貫通した孔、およびこれら孔を介して上記搬送面に向けて圧縮気体を送り込む送気路を有することを特徴とする請求項1に記載の特性検知装置。
- 上記送気路は、上記一対の弾性体に沿って上記先端部から離れる方向に延設されていることを特徴とする請求項9に記載の特性検知装置。
- 紙葉類の搬送面を挟んで対向して設けられ、その対向面が紙葉類の搬送方向に沿って所定の長さを有し、互いに押し付け合う方向に付勢される一対の板状部材と、
これら一対の板状部材の少なくとも一方に設けられ、上記搬送面に沿って搬送される紙葉類に印刷されたインクの磁性体を検知する検知素子と、
この検知素子を上記搬送方向に沿って挟む位置関係で上記一対の板状部材を貫通して設けられた複数の孔と、
これら複数の孔を介して、上記一対の板状部材の対向面の間に圧縮気体を送り込み、上記一対の対向面の間に一定の隙間を形成する送気手段と、
を備えていることを特徴とする紙葉類の特性検知装置。
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