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JP3923966B2 - ソーワイヤ - Google Patents
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Description

本発明は、太陽電池、半導体等の硬質材料、磁石、水晶などをスライスするために使用されるソーマシン用のソーワイヤに関する。
従来、太陽電池、半導体等の硬質材料や磁石、水晶などをスライスする際には、平行に張設されたソーワイヤを一方向あるいは双方向に走行させ、このソーワイヤに砥粒を含む加工液を吹きかけながら円柱状の被加工材を押し付けることにより薄く輪切りに切り出すソーマシンが使用されている。このようなソーマシンは、例えば、特許文献1に半導体単結晶からウエハを切り出すワイヤ式切断加工装置として記載されている。
切り出された半導体ウエハは、スライス面精度が高いことが要求されており、特に、スライス面が平坦で、反りが少ないことが求められている。
ところで、特許文献2には、ワイヤの円周方向が90度づつ異なる4点にて測定した場合のワイヤ表面における長手方向の残留応力の最大値と最小値の差を、20kgf/mm2以下に規定することにより、スライス工程後に、フリーコイル径の減少やワイヤ表面における微小なうねりを起こさず、癖が付きにくいワイヤソー用ワイヤが記載されている。
また、特許文献3には、ワイヤ表面から15μmの深さまでの内部応力を0±40kg/mm2の範囲に規定することにより、負荷を大きくした状況下でワイヤを使用した際にも、フリーサークル径が極端に小さくなったり、ワイヤ表面が小波状となるようなことがないソーワイヤ用ワイヤが記載されている。
特許第3345018号公報 特開2001−259990号公報 特許第2957571号公報
しかしながら、特許文献2や特許文献3に記載されているソーワイヤは、スライス後のフリーサークル径の減少、あるいは、ワイヤ表面のうねりや小波の発生は抑えられるものの、これにより切り出された半導体ウエハはスライス面精度に優れるとは言えなかった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、スライス面精度に優れる切断加工品が得られるソーワイヤを提供することを目的とする。
本発明に係るソーワイヤは、亜鉛めっきまたは黄銅めっきのいずれか一方を有し、最終伸線時に6〜12mm径のならしロールで表面処理されることにより、最大外径をdmax(μm)とし、最小外径をdmin(μm)とし、周方向基準長さW(μm)に対する十点平均粗さRzを異なる方位の領域について測定した値の平均値をRzave(μm)としたときに、下記(1)式で定義される真円度fが0.8μm以下の範囲にあることを特徴とするものである。
f=1/2×[dmax−(dmin−2Rzave)]…(1)
上記ソーワイヤは、真円度fが0.6μm以下の範囲にあることが好ましい。
本発明に係るソーワイヤによれば、スライス面が平坦で、反りが少ない切断加工品が得られ、優れたスライス面精度を実現できる。
本発明者らは、切断加工品のスライス面の精度、特に、平坦度および反り量は、ソーワイヤの偏径差とその表面の粗さに関係することを見出した。すなわち、前記(1)式で定義される真円度fが0.8μm以下であるソーワイヤを用いて被加工材のスライスを行うと、スライス面が平坦で、反りが少ない切断加工品を得ることができる。本発明は、この知見に基づいてなされたものである。
以下、本発明に係るソーワイヤについて、図面を参照して説明する。
1)最大外径dmax、最小外径dmin
前記最大外径dmaxと最小外径dminは、それぞれ以下のように定義される。
ソーワイヤの同一横断面上のm個の任意の点についてワイヤ外径を、投影測定法を用いたマイクロメータ、例えばレーザーマイクロメータによりそれぞれ測定する。得られたm個(mは2以上の整数)のワイヤ外径の測定値の中で最大のものを最大外径dmaxとし、最小のものを最小外径dminとする。
ワイヤ外径の各測定間隔は、以下のように規定することができる。以下、測定方位を変えたワイヤ外径の測定数が、1つの断面当たり4回(m=4)である場合について説明するが、ワイヤ外径の測定数は、1つの断面当たり2回もしくは3回であってもよいし、あるいは5回以上としてもよい。
図1に示すワイヤ横断面において、ワイヤ外径daを測定する際の照射光の光軸と、ワイヤ外径dbを測定する際の照射光の光軸とのなす角αを、本明細書中では測定ピッチ角αというものとする。測定ピッチ角αは下記(4)式で与えられる。同一断面上の異なる方位の4つの基準点A,B,C,Dごとにワイヤ外径da,db,dc,ddを測定する。
α=180°/m …(4)
すなわち、図1に示す場合はワイヤ外径の側定数mが4点であるので、測定ピッチ角αは45°になる。ワイヤ外径dbとワイヤ外径dcとの測定ピッチ間隔、ワイヤ外径dcとワイヤ外径ddとの測定ピッチ間隔についても同様にする。
2)平均十点平均粗さRzave
十点平均粗さRzは以下のように定義され、その測定はJIS−B7451(1997年発行)に規定されている方法に従う。
「十点平均粗さRz」とは、断面曲線から基準長さだけ抜きとった部分において、平均線に平行、かつ断面曲線を横切らない線から縦倍率の方向に測定した最高から5番目までの山頂の標高の平均値と最深から5番目までの谷底の標高の平均値との差の値をマイクロメータ(μm)で表わしたものをいう。
平均十点平均粗さRzaveは以下のように定義する。
ソーワイヤの同一横断面上のn箇所の任意の異なる領域について、周方向基準長さWにおける十点平均粗さRzをそれぞれ、白色光測定法を用いた表面粗さ測定機により測定する。得られたn個(nは2以上の整数)の十点平均粗さRzの測定値の平均値を、平均十点平均粗さRzaveとする。
ここで、本明細書において「周方向基準長さW」とは、図2に示す表面粗さ測定機によるビーム径WBの測定光が照射される領域の測定幅角θが10°になるときのワイヤ外表面の円弧の長さをいうものとする。周方向基準長さWは、下記(5)式で与えられる。
W=(θ/360°)×πd …(5)
但し、記号θは測定幅角を示し、記号d(μm)はワイヤの公称径(設計上の直径)を示す。測定幅角θは、図2で示すように、ビーム径WBをワイヤの中心点Oに対する角度で示したものに相当し、10°に規定する。ここで、中心点Oは、公称径を直径とする円の中心点に相当する。なお、前述の最大外径dmaxおよび最小外径dminは、d±1(μm)の交差範囲内に入っているものとする。
十点平均粗さRzの各測定間隔は、以下のように規定することができる。以下、異なる方位の領域についての十点平均粗さRzの測定数が、1つの断面当たり4回(n=4)である場合について説明するが、十点平均粗さRzの測定数は、1つの断面当たり2回もしくは3回であってもよいし、あるいは5回以上としてもよい。
図2に示すワイヤ横断面において、領域Eの十点平均粗さRzeを測定する際の照射光の光軸と、領域Fの十点平均粗さRzfを測定する際の照射光の光軸とのなす角βを、本明細書中では測定ピッチ角βというものとする。測定ピッチ角βは下記(6)式で与えられる。領域Fの十点平均粗さRzfと領域Gの十点平均粗さRzgとの測定ピッチ間隔、領域Gの十点平均粗さRzgと領域Hの十点平均粗さRzhとの測定ピッチ間隔についても同様にする。
β=360°/n …(6)
すなわち、図2に示す例では測定箇所数nが4つであるので、測定ピッチ角βは90°になる。
前述のように定義される最大外径dmax、最小外径dminおよび平均十点平均粗さRzaveを用いて下記(1)式により真円度fを求める。
f=1/2×[dmax−(dmin−2Rzave)] …(1)
前記(1)式で表される真円度fを0.8μm以下の範囲に規定するのは以下に説明する理由によるものである。
ソーワイヤ切断加工品のスライス面は、高い精度を有することが求められるが、その基準としてスライス面の平坦度と反り量がより小さな値であることが挙げられる。得られるスライス面の平坦度および反り量の値が小さければ小さいほど、高精度なスライス加工であると言える。ソーワイヤの真円度fを前記範囲内とすることにより、スライス面の平坦度および反り量の値が十分に小さい切断加工品が得られ、優れたスライス面精度を実現することができる。
特に、シリコン単結晶インゴットからシリコンウエハを切り出す加工にソーワイヤを使用する場合は、得られるシリコンウエハのスライス面の平坦度は20μm未満であることが要求され、また、反り量は10μm未満であることが要求される。図3および図4に示すように、ソーワイヤの真円度fを0.8μm以下の範囲とすれば、シリコンウエハのスライス面の平坦度および反り量を上記範囲内にすることができる。真円度fのより好ましい範囲は、0.6μm以下である。
ソーワイヤ外周面の一部をピックアップして十点平均粗さRzを測定する場合は、周方向基準長さWは下記(2)式を満足するものとする。但し、dはワイヤの公称径(μm)である。
πd/10≦W×n<πd/2 …(2)
ソーワイヤ外周面の大部分(最大全周長πd)について十点平均粗さRzを測定する場合は、周方向基準長さWは下記(3)式を満足するものとする。
πd/2≦W×n≦πd …(3)
これは、前記(2)式および(3)式を満足しないソーワイヤは、図5および図6に示すソーワイヤのように偏径差や表面粗さが大きくなり、ソーマシン内で真直ぐな姿勢を維持させることができず、切断加工品のスライス面が粗くなったり、厚さの寸法精度が低下する恐れがあるからである。
本発明に係るソーワイヤには、例えば、以下に説明する特性を有するスチールワイヤを挙げることができる。
(i)炭素量;0.7〜1.03重量%
炭素量を0.7重量%未満にすると、引張り強度が不足する恐れがあるからである。一方、炭素量が1.03重量%を超えると、ワイヤが脆くなって断線しやすくなるからである。なお、ワイヤには微量のクロムを含有させてもよい。
(ii)ワイヤ外径;0.06〜0.3mm
ワイヤ外径を0.06mm未満にすると、強度不足となって断線を生じる恐れがあるからである。一方、ワイヤ外径が0.3mmを超えると、スライス時における被加工材のロスが過大になるからである。
(iii)偏径差;10μm以下
偏径差が10μmを超えると、スライス面精度が劣化する恐れがあるからである。
(iv)めっき
めっきには、例えば黄銅めっき、亜鉛めっき、ニッケルめっき等を挙げることができる。中でも、不純物の付着量が少ない良好な表面状態を有する切断加工品が得られることから、黄銅めっきまたは亜鉛めっきのいずれか一方を有するソーワイヤを用いることが好ましい。めっき処理には、電気めっき法または溶融めっき法を使用することができる。
黄銅めっきは、銅および亜鉛を含み、その組成は、銅を50〜70質量%の範囲とし、亜鉛を50〜30質量%の範囲とすることが好ましい。これは、銅と亜鉛の割合を上記範囲とすることにより、ワイヤの表面状態を最も制御しやすくするためである。
黄銅めっき厚さは、0.1〜10μmの範囲とすることが好ましい。これは、めっき厚さを0.1μm未満とすると、めっきの剥離が生じやすくなる恐れがあるためである。一方、黄銅めっき厚さが10μmを超えると、裸ワイヤの線径が小さくなり、ワイヤの強度が低下することから断線する恐れがあるためである。
亜鉛めっきの場合、その厚さは、0.1〜10μmの範囲にあることが好ましい。これは、前述した黄銅めっきと同様な理由によるものである。
(v)引張り強さ;2800〜4800N/mm2
ワイヤの断線を避けるために、引張り強さを上記範囲内とすることが好ましい。
上記したようなソーワイヤは、例えば、以下に説明するように製造することができるが、潤滑剤、ダイススケジュール、ダイスの種類および形状、表面処理方法はこれらに限定されるものではなく適宜変更することが可能である。
線材にめっき処理を施すことにより得られためっき材を、エマルジョンタイプの湿式潤滑剤中で、めっき材の初期径と仕上径に応じて1パス当りの減面率を12〜18%に設定したダイス約20枚に通過させることにより最終伸線材を得る。このとき、ダイスのベアリング長さはその径の20〜50%、リダクション角度は6〜12°とする。さらには、最終伸線材に適切な熱処理を施すこともでき、例えば、最終伸線材を温度500℃付近で保持することが可能である。
さらに、得られた最終伸線材に6〜12mmφのならしロール(矯正ロール(矯正ローラー)、整直ロール、矯正整直ロールなどとも呼ばれる)で表面処理することにより、真円度fが0.8μm以下のソーワイヤを得ることができる。
この他にも、ダブルダイススキンパスを用いて最終伸線材を得ることもできる。ダブルダイススキンパスとは、仕上げダイスの1パス当たりの減面率を、2枚のダイスのトータル減面率として実現するものであり、連続して巻き取ることなくダイスにめっき材を通過させて伸線する方法である。2枚目のダイス(最終ダイス)の減面率を小さくすることによりめっき材の表面およびその近傍のみを加工して、真円度fをコントロールすることができる。このようにして得られた最終伸線材についても、ならしロールで表面処理することができる。
また、真円度fは、線材へのめっき条件(例えば、めっき浴の組成、温度、pH、めっき浴へのワイヤ送給速度、めっき付着量、めっき直後の冷却条件、めっき厚さなど)や、最終伸線材への表面処理条件(例えば、ならしロールの個数、ロール配置間隔、ロールギャップ間隔、ロール面の表面処理状態など)を適宜変更することにより制御することができる。
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
[実施例]
以下、本発明に係る実施例を図面を参照して詳細に説明する。
(実施例1)
供試材として、所定の線径に伸線したピアノ線材(JIS規格番号;G3502、炭素量;0.82質量%)を用意した。この供試材に以下の条件の電気めっき法で、銅めっき後、亜鉛めっきを施し、その後ただちに合金化熱処理して冷却することにより黄銅めっき(以下、ブラスめっきと称する)を施した。
めっき浴の組成;銅めっき浴:ピロ燐酸銅、亜鉛めっき浴:硫酸亜鉛
めっき浴の温度;銅めっき浴:50℃、亜鉛めっき浴:40℃
ブラスめっき付着量;6.0g/kg(ワイヤ1kg当たりのめっき付着重量)
得られた所定の線径のめっき材をダブルダイススキンパス法を用いて伸線し、得られた最終伸線材にならしロールで表面処理することにより公称径dが0.16mmのソーワイヤを得た。偏径差は、2μmであり、引張り強さは、3200N/mm2であった。
得られたソーワイヤのめっき厚さの平均値を以下のようにして測定した。
得られたソーワイヤの任意の2箇所の横断面についてそれぞれ顕微鏡観察を行い、各視野において任意の4点でめっき厚さを測定し、これらの測定結果の平均値を表1に示す。
<真円度の算出>
上記ソーワイヤの真円度fを以下に説明するように算出した。
レーザーマイクロメーターとして、KEYENCE製レーザー寸法測定器のLS−3100(コントローラー部),LS−3034(測定部)を用いて、測定ピッチ角αを45°に設定し、4点(すなわち、m=4)のワイヤ外径da,db,dc,ddをそれぞれ測定し、この中から最大外径dmaxと最小外径dminを求めた。この結果を表1に示す。
次に、白色光測定法を用いた表面粗さ測定機として、ZYGO(ザイゴ社)製三次元表面構造解析装置のNEW VIEW 100を用いて、測定ピッチ角βを90°に設定し、異なる4箇所(すなわち、n=4)の領域E,F,G,Hについて十点平均粗さRze,Rzf,Rzg,Rzhをそれぞれ測定した。各領域E〜Hでは、ワイヤ表面にビーム径WBのレーザビーム光を照射して、周方向基準長さWを[(10/360)×πd](μm)に、すなわち、測定幅角θを10°に設定し、前述したW×nの値を1/9×πd(μm)とした。
得られた十点平均粗さRze,Rzf,Rzg,Rzhの平均値を平均十点平均粗さRzaveとした。この結果を表1に示す。
得られた最大外径dmax、最小外径dmin、平均十点平均粗さRzaveより前記(1)式を用いて真円度fを算出した結果を表1に示す。
特許第3345018号公報(特許文献1)に記載のものと同種のソーマシンとして東綱機械製作所製マルチワイヤソー(型番:HWS−330)を用いて、得られたソーワイヤにより以下に説明するワーク1個を以下に説明するスライス条件でスライス加工することによりシリコンウエハを得た。
<ワーク>
材質;シリコン単結晶のインゴット
サイズ;直径200mm×長さ150mm
<スライス条件>
ワイヤ走行速度;900m/分
ワイヤ往復サイクル;1サイクル/分
スライス時間;6時間
加工液;粒子#1000のCMP用水溶性スラリー
ワイヤ張力;25N
(実施例2〜4)
最終伸線材の表面処理条件を変更したこと以外には実施例1と同条件でソーワイヤを製造した。得られたソーワイヤのめっき厚さの平均値、最大外径dmax、最小外径dmin、平均十点平均粗さRzaveおよび真円度fを実施例1と同条件で測定し、その結果を表1に示す。このソーワイヤを用いて実施例1と同条件でワークをスライスした。
(実施例5)
ワークサイズとそのスライス時間を表1に示す値に変更した以外には、実施例1と同条件で製造したソーワイヤを用いて、実施例1と同条件でワークをスライスした。
(実施例6)
ダイスの減面率と最終伸線材の表面処理条件を変更したこと以外には実施例1と同条件でソーワイヤを製造した。得られたソーワイヤの真円度fを以下に説明するようにして算出した。
まず、実施例1と同様にして最大外径dmaxと最小外径dminを求めた。この結果を表1に示す。
次に、白色光測定法を用いた表面粗さ測定機として、ZYGO(ザイゴ社)製三次元表面構造解析装置のNEW VIEW 100を用いて、測定ピッチ角角βを18°に設定し、異なる20箇所の領域について十点平均粗さをそれぞれ測定した。各領域では、ワイヤ表面にビーム径WBのレーザビーム光を照射して、周方向基準長さWを[(10/360)×πd](μm)に、すなわち、測定幅角θを10°に設定し、前述したW×nの値を5/9×πd(μm)とした。得られた十点平均粗さの測定結果の平均値を平均十点平均粗さRzaveとし、この結果を表1に示す。
得られた最大外径dmax、最小外径dmin、平均十点平均粗さRzaveより前記(1)式を用いて真円度fを算出した結果を表1に示す。また、得られたソーワイヤの公称径d及びめっき厚さの平均値についても表1に示す。このソーワイヤを用いて実施例1と同条件でワークをスライスした。このときのスライス時間を表1に併記する。
(実施例7)
電気ブラスめっきの替わりに、以下の条件で電気亜鉛めっきを施したこと以外には実施例1と同条件でソーワイヤを製造した。
めっき浴の組成;硫酸亜鉛
めっき浴の温度;40℃
めっき付着量;3.0g/kg(ワイヤ1kg当たりのめっき付着重量)
得られたソーワイヤの公称径d、めっき厚さの平均値、最大外径dmax、最小外径dmin、平均十点平均粗さRzaveおよび真円度fを実施例1と同条件で測定し、その結果を表1に示す。このソーワイヤを用いて実施例1と同条件でワークをスライスした。
(実施例8)
電気ブラスめっきの替わりに、以下の条件で電気亜鉛めっきを施したこと以外には実施例6と同条件でソーワイヤを製造した。
めっき浴の組成;硫酸亜鉛
めっき浴の温度;40℃
めっき付着量;6.0g/kg(ワイヤ1kg当たりのめっき付着重量)
得られたソーワイヤの公称径d、めっき厚さの平均値、最大外径dmax、最小外径dmin、平均十点平均粗さRzaveおよび真円度fを実施例6と同条件で測定し、その結果を表1に示す。このソーワイヤを用いて実施例1と同条件でワークをスライスした。このときのスライス時間を表1に併記する。
(実施例9)
電気ブラスめっきの替わりに、常法を用いて溶融亜鉛めっきを施したこと以外には実施例1と同条件でソーワイヤを製造した。
得られたソーワイヤの公称径d、めっき厚さの平均値、最大外径dmax、最小外径dmin、平均十点平均粗さRzaveおよび真円度fを実施例1と同条件で測定し、その結果を表1に示す。このソーワイヤを用いて実施例1と同条件でワークをスライスした。
(実施例10)
電気ブラスめっきの替わりに、常法を用いて溶融亜鉛めっきを施したこと以外には実施例6と同条件でソーワイヤを製造した。
得られたソーワイヤの公称径d、めっき厚さの平均値、最大外径dmax、最小外径dmin、平均十点平均粗さRzaveおよび真円度fを実施例6と同条件で測定し、その結果を表1に示す。このソーワイヤを用いて実施例1と同条件でワークをスライスした。このときのスライス時間を表1に併記する。
(比較例1)
ダイスの減面率と表面処理条件を変更した以外には実施例1と同条件でソーワイヤを製造した。得られたソーワイヤの公称径d、めっき厚さの平均値、最大外径dmax、最小外径dmin、平均十点平均粗さRzaveおよび真円度fを実施例1と同条件で測定し、その結果を表1に示す。このソーワイヤを用いて実施例1と同条件でワークをスライスした。
(比較例2)
ダイスの減面率と表面処理条件を変更した以外には実施例7と同条件でソーワイヤを製造した。得られたソーワイヤの公称径d、めっき厚さの平均値、最大外径dmax、最小外径dmin、平均十点平均粗さRzaveおよび真円度fを実施例1と同条件で測定し、その結果を表1に示す。このソーワイヤを用いて実施例1と同条件でワークをスライスした。
(比較例3)
ダイスの減面率と表面処理条件を変更した以外には実施例9と同条件でソーワイヤを製造した。得られたソーワイヤの公称径d、めっき厚さの平均値、最大外径dmax、最小外径dmin、平均十点平均粗さRzaveおよび真円度fを実施例1と同条件で測定し、その結果を表1に示す。このソーワイヤを用いて実施例1と同条件でワークをスライスした。
実施例1〜10および比較例1〜3で得られたシリコンウエハの中央部の板厚(中央板厚)の平均値を表1に示す。なお、シリコンウエハの中央板厚の平均値は、得られたシリコンウエハのうち両端5枚は除き、ADEコーポレーション製測定器により測定した。
<平坦度・反り量の測定>
実施例1〜10および比較例1〜3で得られたシリコンウエハについてそれぞれ以下に説明するように平坦度および反り量を測定した。
得られたシリコンウエハから任意に数枚を選出し、各ウエハについてスライス面のうち片面の合計数千箇所のサイトの平坦度(ローカルサイトフラットネス)をウエハ検査装置(ADEコーポレーション製測定器)を用いて測定し、これらの測定結果の平均値を求めた。この結果を表1に示す。反り量についても同様の方法で測定し、その平均値を表1に併記する。
Figure 0003923966
表1から明らかなように、真円度fが本発明範囲内にある実施例1〜10のソーワイヤを用いて得られたシリコンウエハは、平坦度が20μm未満であると共に、反り量が10μm未満であり、スライス面精度に優れていた。また、本発明に従うソーワイヤは、いかなる種類のめっきを有するものであっても、優れたスライス面精度を実現できることが確認できた。
さらに、真円度fが0.6μm以下である実施例1,2,6,7のソーワイヤは、得られたシリコンウエハの平坦度が14.0μm以下で、反り量が7.2μm以下であり、同条件でスライスを行った実施例3,4,8〜10のソーワイヤに比較してさらに優れたスライス面精度を実現できた。
同条件でスライスを行った実施例1〜4,6〜10で得られたシリコンウエハのスライス面の平坦度と用いたソーワイヤの真円度fとの関係を示す特性線Pを図3に示す。図3において、縦軸はスライス面の平坦度(μm)を示し、横軸はソーワイヤの真円度f(μm)を示す。
図3から明らかなように、ソーワイヤの真円度fが小さいほど、シリコンウエハのスライス面の平坦度も小さくなるという傾向が得られた。
同条件でスライスを行った実施例1〜4,6〜10で得られたシリコンウエハのスライス面の反り量と用いたソーワイヤの真円度fとの関係を示す特性線Qを図4に示す。図4において、縦軸はスライス面の反り量(μm)を示し、横軸はソーワイヤの真円度f(μm)を示す。
図4から明らかなように、ソーワイヤの真円度fが小さいほど、得られるシリコンウエハのスライス面の反り量も小さくなるという傾向が得られた。
また、表1に示した実施例1および実施例5から、真円度fが0.8μm以下であるソーワイヤを用いれば、ワークサイズ、スライス時間といったソーマシンのスライス条件を変えても、平坦度が20μm未満で、反り量が10μm未満である優れたスライス面精度を有するシリコンウエハを得ることができた。
これに対して、真円度fが0.8μmを超える比較例1〜3のソーワイヤを用いて切り出されたシリコンウエハは、スライス面の平坦度が20μm以上であっただけでなく、反り量も10μm以上となり、実施例1〜10のソーワイヤで切り出したシリコンウエハよりもスライス面精度が劣化した。
なお、特許文献2のソーワイヤは、ワイヤの表面残留応力とワイヤのうねりとの関係からその性状が評価されているが、表面残留応力の測定は不確定要素が多く、測定装置が異なるとそれにより得られる結果にばらつきを生じるため、客観的に信頼性の高いワイヤ特性の評価がなされているとは言えない。
また、特許文献3のソーワイヤでは、ワイヤの片面を所定厚さにエッチングにより除去し、そのエッチング前後におけるワイヤの曲率変化を測定しなければならず、エッチングはその速度を高精度に制御する必要があるためワイヤ性状の確認作業に手間が掛かり、コスト高となる。
実施例1〜10から明らかなように、本発明に係るソーワイヤは所定の外表面状態を有するものであることから、特許文献2の従来品ソーワイヤに比較して信頼性が高く、また、特許文献3に記載されているような煩雑な特性評価を必要とすることなく、優れたスライス面精度を実現することができる。
本発明に係るソーワイヤの最大外径および最小外径を説明するためのソーワイヤの断面模式図。 本発明に係るソーワイヤの平均十点平均粗さを説明するためのソーワイヤの断面模式図。 ソーワイヤの真円度とスライス面の平坦度との関係を示す特性線図。 ソーワイヤの真円度とスライス面の反り量との関係を示す特性線図。 ソーワイヤの一例を示す断面模式図。 ソーワイヤの他の例を示す断面模式図。

Claims (2)

  1. 亜鉛めっきまたは黄銅めっきのいずれか一方を有し、最終伸線時に6〜12mm径のならしロールで表面処理されることにより、最大外径をdmax(μm)とし、最小外径をdmin(μm)とし、周方向基準長さW(μm)に対する十点平均粗さRzを異なる方位の領域について測定した値の平均値をRzave(μm)としたときに、下記(1)式で定義される真円度fが0.8μm以下の範囲にあることを特徴とするソーワイヤ。
    f=1/2×[dmax−(dmin−2Rzave)]…(1)
  2. 前記真円度fが0.6μm以下の範囲にあることを特徴とする請求項1記載のソーワイヤ。
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