JP3924352B2 - 裏面照射型受光デバイス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、紫外線やγ線、あるいは、荷電粒子線などの吸収係数が大きなエネルギー線を検出する裏面照射型電荷結合デバイス(Charge Coupled Device;CCD)や裏面照射型アクティブピクセルセンサー(Active Pixel Sensor;APS)といった裏面照射型受光デバイス及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
照射された電磁波や荷電粒子を含む光のエネルギー分布を画像として検出する受光デバイスとしては、CCDが知られている。このCCDには、代表的な方式としてフレーム転送(FT)、フルフレーム転送(FFT)、インターライン転送(IT)の3方式があり、計測用としては主にFFT方式が用いられている。
【0003】
一般的なFFT方式のCCDは、蓄積部がないため個々の受光部を大きくでき、光の利用率が高く、微弱光の計測に適している。その一方、入射光が表面に形成されたポリシリコン電極や保護用のPSG膜に吸収されるので、吸収係数の大きな入力光、例えば波長400nm以下の光に対する感度は期待できない。
【0004】
この短波長の光検出のため、受光部の基板を10〜30μm程度に薄くして、電荷読み出しを行う電極形成面の裏側から光を入射させる裏面照射型CCDがある。この裏面照射型のCCDは200nm程度の短波長まで感度を有する。さらに、医療用のX線撮像への応用も可能である。
【0005】
このX線撮像においては、通常の可視光画像の撮像のように光学系により撮像する画像を縮小してCCDに投影することが困難なため、被写体と同程度の大きさの撮像面を有するCCDを用意する必要がある。したがって、胸部X線撮影等に用いるCCDは、大型のCCD若しくは複数のCCDを隙間なく並べて構成したCCD群である必要がある。しかし、裏面入射型CCDは受光部を薄型にしているため、強度が弱く大型化が困難である。CCD自体の強度を上げるには、受光部の周囲に厚みのある枠部分を有する形式があるが、この形式でも大型化は困難であるうえに、受光部の周囲に枠を有するため、CCDを隙間なく並べることはできないという問題がある。
【0006】
この問題の解決法として、特開昭53−114361号公報(以下、従来例1と呼ぶ)や特開平6−93448号公報(以下、従来例2と呼ぶ)、特開平6−268183号公報(以下、従来例3と呼ぶ)、特開平6−291291号公報(以下、従来例4と呼ぶ)にそれぞれ開示されている技術がある。
【0007】
従来例1は、CCDを、加熱処理により軟化させたホウ珪酸ガラス(BSG)やホウ燐珪酸ガラス(BPSG)を介して支持基板上に接着してその後受光部を薄型化するものであり、CCDと支持基板相互の接着面に予めV字溝を設けている。
【0008】
従来例2は、CCDあるいはCCDを有する基板の受光面と反対の面にホウ珪酸ガラスを厚く堆積し、それを焼成して補強材とするものである。
【0009】
従来例3は、CCDの受光面上にサファイア基板を陽極接合するものであり、従来例4は、CCDが形成されたデバイス面側に保護絶縁膜を形成した上で、これを平坦化してその上にガラス基板を陽極接合するものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの従来例には以下に述べるような欠点があった。
【0011】
従来例1では、接着時に接着剤によりV溝が外気と遮断されたような場合、V字溝内に閉じこめられた空気が膨張して、ボイドが発生し、これがシリコン基板を変形させて受光面の平坦性を損なうことがある。また、V溝が外気と通じている場合にも、処理過程で薬品等が溝に入り込みデバイスに悪影響を及ぼすことがある。このため、受光面の平坦性を保つことが困難である。
【0012】
一方、従来例2では、ガラスの反りが最小となる条件では、ガラスとCCDのシリコン基板の固着性を高めることができず、一方、固着強度が保たれる範囲では、ガラスに反りが発生するため、結果的にCCDに反りが生じて、撮影時の焦点がぼけてしまう問題があった。
【0013】
また、従来例3では、受光面にサファイア基板を陽極接合しているため、このサファイア基板が短波長光、X線、電子線を吸収してしまうので、感度が低下しまう。
【0014】
これに対して、従来例4では、受光面と反対の面を補強しているので、補強板による光吸収といった問題は生じないが、誘電体であるガラス基板に部分的に静電チャージが発生して、この静電チャージによって受光画像にムラが生じることがある。また、接合を強固にするためには、接合材料中の一方の部材であるガラス基板中の酸素原子によって他方の材料である絶縁保護膜を酸化させることにより酸素原子を共有する共有結合を作る必要があるが、従来例4で用いている保護絶縁膜は一般に酸化されにくいので、強固な結合が得られないという問題があった。
【0015】
したがって、従来、受光面の平坦性を保つことができ、十分な強度を有する大型の短波長光用の裏面入射型受光デバイスを製作することは困難だった。
【0016】
本発明は、十分な強度を備え、受光面の反りや湾曲を低減して、画像ムラの発生を抑制して、短波長光に対して感度の高い裏面照射型受光デバイス及びその製造方法を提供することを課題とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の裏面照射型受光デバイスは、シリコンを主材とする半導体薄板の第1の面に1次元あるいは2次元に配列された電荷読み出し部を備えるとともに、この半導体薄板の第1の面の反対の第2の面にイオン注入後の活性化熱処理により形成されたアキュムレーション層を備えており、第2の面の表面から入射する電磁波あるいは荷電粒子のエネルギーを検出する裏面照射型受光デバイスであって、(1)第1の面の電荷読み出し部を覆う表面上に形成された表面が平坦な無機質あるいは有機質材料の絶縁膜と、(2)絶縁膜上に堆積された半導体もしくは金属製の均一厚さで表面が平坦な酸化可能な導電膜と、(3)導電膜の平坦な表面全体に陽極接合されたガラス基板と、を備え、(4)電荷読み出し部を外部に接続するための接続端子が形成された領域がガラス基板の半導体薄板より側方に突出した端部の電磁波あるいは荷電粒子の入射面側に露出して配置されていること、を特徴とする。
【0018】
これによれば、裏面入射型受光デバイスは、半導体薄板の電荷読み出し部上に表面が平坦な絶縁膜と、均一厚さの酸化可能な導電膜と、ガラス基板とが積層されている。絶縁膜は、導電膜と電荷読み出し部を電気絶縁している。導電膜は、ガラス基板に発生する静電チャージを均一化して画像ムラを抑制する。また、導電膜はガラス基板の酸素分子によって酸化され、共有結合を形成するので、ガラス基板と導電膜の結合が強固になる。さらに、導電膜とガラス基板の界面は平坦なので、両者が確実に密着する。また、受光面側に露出した接続端子領域を利用することで検出信号の取り出しが容易である。
【0019】
接続端子領域は、第2の面の一辺あるいは隣接する2辺に沿って配置されていることが好ましい。これにより、出力信号の外部への取り出しが容易であるほか、複数のデバイスを並べて配置する際に端子領域がデバイスの境界に配置されることがない。
【0020】
このデバイスの電荷読み出し部は、電荷結合デバイスであってもよい。これによれば、受光画像の画像信号への変換が容易である。
【0021】
絶縁膜は、無機ガラスあるいはポリイミド製であってもよい。これによれば、絶縁膜の絶縁性、耐熱性が高くなる。
【0022】
また、導電膜は、導電性不純物をドープしたポリシリコンあるいはアルミニウム製であってもよい。これによれば、電気伝導度が高く、耐熱性を有する導電膜が得られる。
【0023】
ガラス基板の熱膨張率は、前記半導体基板の熱膨張率と略等しいことが好ましい。これによれば、電荷読み出し部をはさむガラス基板と半導体基板の熱膨張率が整合する。
【0024】
一方、本発明の裏面照射型受光デバイスの製造方法は、(1)シリコンを主材とする半導体基板の第1の表面上に1次元あるいは2次元に配列された電荷読み出し部を形成する工程と、(2)電荷読み出し部を含む第1の表面全体に無機質もしくは有機質の絶縁性材料をコーティングして表面が平坦な絶縁膜を形成する工程と、(3)絶縁膜の平坦な表面全体に、半導体もしくは金属製の表面が平坦で酸化可能な導電膜を堆積する工程と、(4)導電膜の平坦な表面全体にガラス基板を陽極接合させる工程と、(5)半導体基板の電荷読み出し部の接続端子領域上に相当する部分を第1の表面の反対側の第2の表面からエッチングして接続端子領域を露出させる工程と、(6)半導体基板を第2の表面からメカニカル研磨あるいはケミカルエッチングもしくはその両方により研削して半導体基板を薄板化する工程と、(7)半導体基板の薄板化した第2の表面からイオンを注入して、活性化熱処理により第2の表面下にアキュムレーション層を形成する工程と、を備えることを特徴とする。
【0025】
これによれば、陽極接合されたガラス基板で受光面裏側から補強され、シリコン基板を薄型にした裏面入射型受光デバイスが得られる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
図1は、本発明の裏面入射型受光デバイスの一実施形態の断面構成図であり、図2は、その電荷読み取り部分を受光面の反対の面から見た構成図である。
【0028】
まず、図1、図2によりこの実施形態のデバイスの構成を説明する。
【0029】
図1に示されるように、光あるいは電磁波が入射する受光面側表面には、約0.1μm厚さの保護用のシリコン酸化膜9が形成されており、その内側に、入射面表面付近で光電変換された電荷を入射面と反対方向に送り込む厚さ約0.2μmで不純物濃度約5×1018cm-3のp+型のアキュムレーション層10が形成されている。その内側は、厚さ約10〜30μmで抵抗率10〜100Ω・cm程度の面方位(100)のP型シリコン基板1であり、シリコン基板1の受光面と反対の面(図1では下側に相当)には光を電気信号に変換して検出するCCD2が形成されている。
【0030】
このCCD2は以下のような構成をしている。シリコン基板1上に順に、n型埋め込みチャンネル3、シリコン酸化膜4、ポリシリコン製の転送電極5、層間絶縁用の燐珪酸ガラス(PSG)膜6が積層されており、PSG膜6上の一端には、転送電極5に電気的に接続された信号取り出し用のアルミニウム配線7が設けられており、このアルミニウム配線7部はシリコン基板1の一辺に沿ってその外側に突出して受光面側の表面を露出させており、その露出表面上に電極パッド14が形成されている。そして、PSG膜6及びアルミニウム配線7の受光面と反対の面を覆って保護用のシリコン窒化膜8が積層されている。
【0031】
CCD2の受光面と反対の面には、さらに、絶縁性で、受光面と反対の面を平坦化した厚さ約3μmのポリイミド膜11と約1μmの均一な厚さを有するアルミニウム膜12が積層されており、このアルミニウム膜12とパイレックス製の厚さ約1mmのガラス基板13とが陽極接合されている。そしてこのガラス基板13は、セラミック基板16上に固定されている。
【0032】
セラミック基板16は、受光面側に突出した部分を有し、その表面に信号取り出し用の配線パターン17が形成されている。そして、この配線パターン17と、電極パッド14は金ワイヤー15によりワイヤボンディングされている。
【0033】
次に、図2を参照して、CCD2の回路構成を説明する。本実施形態のCCD2はFFT方式のCCDであり、50μm×50μm程度の大きさの画素をシリコン基板1上に2次元的に多数個(例えば、水平方向512個、垂直方向1024個)配列して構成されている。垂直方向に並んだ1列の画素がそれぞれ垂直転送チャネル20を形成し、これに直交して垂直転送電極群21が接続されて、垂直シフトレジスタを形成している。一方、垂直転送チャネル20はそれぞれ水平転送チャネル22に接続されており、これに直交して水平転送電極群23が接続されて、水平シフトレジスタを形成している。
【0034】
これら水平シフトレジスタには、一定電位に保持されたアウトプットゲート(OG)24が接続されており、OG24には、リセットゲート(RG)25が、フローティングダイオード26を介して接続されている。また、フローティングダイオード26には、さらにチップ上にある電界効果トランジスタ(FET)27が接続されており、このFET27は、外部の負荷抵抗28を介して接地されてソースホロア回路を構成しており、このFET27から分岐した負荷抵抗28とは別の分岐先が出力端子29に接続されている。また、FET27はさらにリセットドレイン(RD)30に接続されている。
【0035】
続いて、図3〜図9を参照して本実施形態の製造工程を説明する。図3〜図9は、本実施形態の製造工程を断面図により示したものである。図3に示されるように、厚さ約300μmのシリコン基板1の受光面と反対の表面上にCCD2を形成する。このCCD2は前述したようにn型埋め込みチャンネル3、シリコン酸化膜4、転送電極5、PSG膜6が積層され、PSG膜6上に転送電極5に接続されたアルミニウム配線7が設けられ、全体の表面にシリコン窒化膜8が形成されている。
【0036】
このCCD2のシリコン窒化膜8上に図4に示されるようにポリイミド膜11及びアルミニウム膜12を形成する。まず、CCD2を形成したシリコン基板1を積層方向を軸に回転させながらシリコン窒化膜8上にポリイミド樹脂を厚さ約3μm塗布する。回転させながら塗布することにより、ポリイミド樹脂表面に凹凸ができることなく、平坦な表面が得られる。その後、全体を約420℃で焼成することにより、樹脂を硬化させてシリコン窒化膜8に固着させてポリイミド膜11を得る。次に、ポリイミド膜11の表面にスパッタリング法によって厚さ約1μmのアルミニウム膜12を堆積させる。アルミニウム膜12の厚みはほぼ均一であり、下層のポリイミド膜11表面が平坦化されているため、アルミニウム膜12自体の露出表面も平坦になる。
【0037】
続いて、図5に示されるように、アルミニウム膜11と接合側の表面を平坦に加工したガラス基板13とを接合する。この接合は、アルミニウム膜11と厚さ約1mmのパイレックスガラス(コーニング#7740)製のガラス基板13に高電圧を印加しながら、約400℃で接合させるいわゆる陽極接合法が用いられる。この結果、アルミニウム膜11は、ガラス基板13中の酸素原子によって酸化され、ガラス基板13と酸素原子を共有する共有結合を形成するので、CCD2を有するシリコン基板1とガラス基板13はこのアルミニウム膜11を介して強固に接合される。また、前述したようにアルミニウム膜12及びガラス基板13のそれぞれの表面は平坦化されているので、接合面に空気が入り込むことによるボイド発生がなく、ボイド発生に伴う画像ムラを排除できる。また、このガラス基板13の熱膨張係数は3.4×10-6であり、シリコン基板1の熱膨張係数4×10-6とよく一致するので、シリコン基板1とガラス基板13の熱膨張係数の違いに伴い発生する反りや歪みを防ぐことができる。
【0038】
この後、図6に示されるように、シリコン基板1のCCD2の電極パッド14上に相当する位置をエッチングにより除去する。この工程は、シリコン基板1の表面上にシリコン窒化膜(図示していない)を堆積したうえで、いわゆるホトリソ工程により所望の形状にパターニングして、それをマスクとしてKOH等のアルカリ溶液によってエッチングすることにより、シリコン窒化膜で覆われた部分だけを厚く残したままシリコン部分を除去するものである。エッチングは、シリコンとシリコン酸化膜のエッチングレートの違いを利用して、シリコン酸化膜4が露出した時点で終了させる。
【0039】
続いて、図7に示されるように、シリコン基板1を所望の厚さ約10〜30μmまで薄板化する。この工程には、メカニカル研磨あるいはケミカルエッチングまたはその両方を用いることができる。薄板化されたシリコン基板1は、強固に貼り合わされたガラス基板13により裏面から補強されているので、全体として機械的強度が保たれる。また、この処理工程における取り扱いも容易になる。
【0040】
次に、図8に示されるように、シリコン基板1の受光面に保護用のシリコン酸化膜9を形成したうえで、その内側にアキュムレーション層10を形成する。まず、シリコン基板1の受光面上に厚さ約0.1μmの酸化膜9を真空蒸着する。そして、表面から約1×1014〜1×1015個/cm2のホウ素イオンを注入して約400℃に加熱してアニール処理を行うことにより、酸化膜9の直下に厚さ約0.2μmのp+型のアキュムレーション層10を形成する。前述したようにシリコン基板1は、ガラス基板13によって補強され機械的強度が保たれているので、これらの工程において破損することがなく、取り扱いが容易である。また、シリコン基板1とガラス基板13は、ポリイミド膜11とアルミニウム膜12という耐熱性の高い材料を介して貼り合わせているため、耐熱性の低いエポキシ樹脂で貼り合わせた場合と比較して高温での熱処理を行うことができ、高品質のアキュムレーション層10を安定して形成できる。
【0041】
この工程は、前述のシリコン基板1の薄板化直後に行うことが好ましい。このようにすることで、薄板化で得られたきれいなシリコン基板1の表面を受光面とすることができ、界面準位を安定させて暗電流を抑えることができる。薄板化後に酸化膜9形成以外の他の処理を行うと、これらの処理によるシリコン基板1の不純物汚染や、処理中に基板1表面が荒れたりすることにより、界面準位が安定せず、暗電流が増大する。
【0042】
最後に、図9に示されるように、CCD2の出力信号を取り出すための信号線接続処理を行う。まず、電極パッド14上に残された酸化膜4とPSG膜6をエッチングにより除去して電極パッド14を露出させる。続いて露出させた電極パッド14部分の最外周部分でデバイス全体を積層方向に切断し、ついでこのデバイスを基板16(図1参照)に固定する。この後、電極パッド14と基板16上に形成された配線パターン17(図1参照)をボールボンディング法により金ワイヤー15を用いて接続する。電極パッド14は裏面からガラス基板13によって補強されているので、確実なボンディングを容易に行うことができる。また、デバイスの機械的強度が保たれるので、電極パッド14をデバイスのチップ4辺のうち1辺に沿って配置することができる。このようにすることで、他の3辺の受光部の端をデバイスの外周に近づけることができる。そして、他の同形状のデバイスと並べてそれぞれを接触させて配置することにより、受光部をほぼ隙間なく隣接させて配置することが可能になり、受光部の大面積化が容易になる。
【0043】
こうして形成されたデバイス50は、受光面と反対の面でガラス基板13により補強されているので、機械的な強度が保たれるとともに、ガラス基板13とCCD2のシリコン基板1との熱膨張係数を整合させているので、熱による反りや歪みもなく、品質が安定する。
【0044】
次に、本実施形態の動作について説明する。使用に際しては、本実施形態のデバイス50を図10に示されるように、複数個、例えば8個を4列×2列に並べて使用することで、受光面の大面積化を図ることができる。前述したように電極パッド14がデバイス50の一辺に沿って配置されているので、その他の3辺で他のデバイス50と接触させて並べることにより、受光部を隙間なく配置して大面積の受光部を形成している。
【0045】
このように配置されたデバイス50のそれぞれに図1に示されるようにX線などの短波長光が入射すると、受光面から入射した光は、保護膜9を透過してアキュムレーション層10から埋め込みチャネル3までの領域で光電変換される。生じた電荷は、CCD2に向かい拡散し、各画素のポテンシャル井戸に到達して蓄積される。アキュムレーション層10は受光面表面付近の電位を低下させるため、光電変換により発生した電荷が安定して各画素のポテンシャル井戸に蓄積されるので感度の高い安定した測定が可能となる。また、シリコン基板1を薄く加工しているので、入射面近傍で光電変換されて発生した電荷がポテンシャル井戸に到達するまでの再結合が少なく、また、隣接画素への拡散も減って解像度が低下するのを防止できる。
【0046】
この信号電荷は、図2に示される垂直転送電極群21と水平転送電極群23を操作することにより、個々の画素の検出信号がFET27と負荷抵抗28からなるソースホロア回路に転送され、信号電荷に応じた電圧信号が出力端子29から出力される一方、この信号電荷はリセットドレイン30から排出される。
【0047】
ガラス基板13に部分的に静電チャージが発生しても、導電性のアルミニウム膜12により、この静電チャージが均一化されるので、CCD2の出力の画像ムラを防止できる。また、アルミニウム膜12にはCCD2の裏面電位を安定させてCCD2の出力を安定させる効果もある。また、アルミニウム膜12により受光面側から入射して光電変換されることなく、CCD2を透過した光を反射して再びCCD2を透過させることにより、光電変換させて検出効率を増大させる効果もある。さらに、ガラス基板13側から入射した外乱光がCCD2に入射するのを防止して検出精度を向上させる効果もある。
【0048】
次に、図11を参照して、本発明の別の実施形態について説明する。図11は、第2の実施形態の断面構成図である。ここでは、図1に示す第1の実施形態と共通する部分についての説明は省略し、第1の実施形態と第2の実施形態で相違する部分について説明する。
【0049】
この第2の実施形態の受光デバイス51は、図1の実施形態におけるCCD2のアルミニウム配線7に代えてポリシリコン配線31を、ポリイミド膜11に代えて無機ガラス膜32を、アルミニウム膜12に代えてポリシリコン膜33がそれぞれ使用されている。
【0050】
この第2の実施形態の製造工程を図12〜図18を用いて説明する。図12〜図18は、本実施形態の製造工程を断面図により示したものである。図12に示されるように、厚さ約300μmのシリコン基板1の受光面と反対の表面上にCCD2を形成する。このCCD2は前述したようにn型埋め込みチャンネル3、シリコン酸化膜4、転送電極5が積層され、シリコン酸化膜4上に転送電極5に接続されたポリシリコン配線31が設けられ、全体の表面にPSG膜6、シリコン窒化膜8が形成されている。
【0051】
このCCD2のシリコン窒化膜8上に図13に示されるように、無機ガラス膜32とポリシリコン膜33を形成する。まず、CCD2を形成したシリコン基板1を積層方向を軸に回転させながらシリコン窒化膜8上にゲル状のシリコンアルコキシド溶液を塗布する。回転させながら塗布することにより、シリコンアルコキシド溶液の表面に凹凸ができることなく、平坦な表面が得られる。その後、全体を約1000℃で焼成することによって、シリコンアルコキシド溶液に含まれるアルコールや水分を除去してガラス化することによりシリコン窒化膜8に固着させて、シリカガラス製の無機ガラス膜32を得る。この方法によれば、比較的低温で均一な厚さのシリカガラスを容易に生成することができる。次に、このガラス膜32の表面にLP−CVD法あるいはスパッタリング法によって厚さ約0.5μmのポリシリコン膜33を堆積させ、その後にホウ素イオン等をイオン注入してアニールを施すことにより、導電性にする。このポリシリコン膜33の厚みはほぼ均一で、その表面は平坦に加工されている。
【0052】
続いて、図14に示されるように、ポリシリコン膜33の表面に、厚さ約0.5mm〜1mmのパイレックスガラス(コーニング#7740)を約400℃で陽極接合することにより、補強板となるガラス基板13を取り付ける。これにより、ポリシリコン膜33はガラス基板13内の酸素原子により酸化されて、共有結合するので、両者は強固に貼り合わされる。無機ガラス膜32により、ポリシリコン膜33の表面が平坦化されているので、接合時にボイドの発生が防止できる。
【0053】
この後、図15に示されるように、シリコン基板1のCCD2の電極パッド14に相当する位置をエッチングにより除去したうえで、図16に示されるように、シリコン基板1を所望の厚さ約10〜30μmまで薄板化する。これは、第1の実施形態の図6、図7に示される工程と同一である。
【0054】
続いて、図17に示されるように、シリコン基板1の受光面に保護用のシリコン酸化膜9を形成し、その内側にアキュムレーション層10を形成する。まず、シリコン基板1の受光面上に厚さ約0.1μmの酸化膜9を約900度の熱酸化処理により形成する。そして、表面から約1×1014〜1×1015個/cm2のホウ素イオンを注入して約900℃に加熱してアニール処理を行うことにより、酸化膜9の下にp+型のアキュムレーション層10を形成する。ガラス基板13は、無機ガラス膜32とポリシリコン33により張り合わせているため、耐熱性が極めて高く、高温での熱処理が可能となり、高品質のアキュムレーション層10を安定して形成できる。
【0055】
最後に図18に示されるように、CCD2の出力信号を取り出すための信号線接続処理を行う。まず、電極パッド14を形成する部分に残された酸化膜4をエッチングにより除去して電極パッド14を形成する部分のポリシリコン配線31を露出させる。続いて露出させたポリシリコン配線31上にアルミニウムの真空蒸着及びパターニングにより電極パッド14を形成する。この電極パッド14部分の最外周部分でデバイス全体を積層方向に切断し、ついでこのデバイスを基板16(図11参照)に固定する。この後、電極パッド14と基板16上に形成された配線パターン17(図11参照)をボールボンディング法により金ワイヤー15を用いて接続する。電極パッド14は裏面からガラス基板13によって補強されているので、確実なボンディングを容易に行うことができる。また、デバイスの機械的強度が保たれるので、電極パッド14をデバイスのチップ4辺のうち1辺に沿って配置することができる。このようにすることで、他の3辺の受光部の端をデバイスの外周に近づけることができる。そして、他の同形状のデバイスと並べてそれぞれを接触させて配置することにより、受光部をほぼ隙間なく隣接させて配置することが可能になり、受光部の大面積化が容易である。
【0056】
このようにして作成したデバイス51は、補強板との強固な接合を容易に得ることができ、反り、歪みも少なく、画像ムラの少ない安定した製品が得られる。また、酸化膜の熱処理、及びアキュムレーション層のアニール処理を第1の実施形態よりさらに高温で行うことができるので、安定したアキュムレーション層が得られて、さらに感度が向上する。
【0057】
ガラス基板との共有結合を有する導電膜としては各種の酸化可能な材料を用いることができる。例えば、共有結合によりガラス基板と強固に接合する材料としては、アルミニウム、チタン、鉄ニッケル合金などの金属や、不純物ドープされたポリシリコン、酸化シリコンなどが挙げられる。これらの材料はまた、導電性であるので、ガラス基板に部分的に発生した静電チャージを均一化しCCDの画像ムラを防ぐ効果がある。また、アルミニウム、チタン、鉄ニッケル合金などの短波長光に対して反射率の高い金属を用いると、光を反射する反射板として働くので、外乱光の入射防止やデバイスの透過光を反射して検出精度を向上させる効果を有する。
【0058】
以上の説明では、電荷読み出し部にCCDを用いた例について説明したが、電荷読み出し部はこれに限られるものではなく、APSを用いたものでもよい。
【0059】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、薄型の裏面入射型受光デバイスの電荷読み出し部側を絶縁膜、酸化可能な導電膜を介してガラス基板で補強しているので、導電膜とガラス基板が共有結合し、機械的強度が保たれる。また、ガラス基板に部分的に発生する静電チャージが導電膜により均一化されるので、画像ムラが抑制され、高感度、高解像度の測定が可能となる。
【0060】
さらに、接続端子領域を一辺あるいは隣接する2辺に沿って配置することにより、デバイスを複数個並べて配置した際に、受光部を隙間なく配置することができ、受光面積の大面積化を容易に実現することができる。
【0061】
また、電荷読み出し部にCCDを用いれば、受光した信号を画像として処理することが容易になる。
【0062】
絶縁膜を無機ガラスあるいはポリイミド製とすれば、耐熱性が向上するので、ガラス基板で補強後、アキュムレーション層の生成を高温熱処理で行うことができ、安定した性能のアキュムレーション層を得ることができ、デバイスの感度が向上する。
【0063】
導電膜を導電性不純物をドープしたポリシリコン製とすれば、より高温でのアキュムレーション層生成処理が行えるので、デバイスの感度が向上する。
【0064】
あるいは導電膜をアルミニウム製とすれば、受光面から入射し電荷読み取り部を透過した光を反射して再び光電変換部に戻すので、検出効率が向上するとともに、受光面裏面からの外乱光の入射を遮るので検出精度が向上する。
【0065】
また、ガラス基板の熱膨張率を半導体基板の熱膨張率と略等しくすれば、熱処理に伴うデバイスの反りや歪みが生じないので、安定した製品が得られる。
【0066】
一方、本発明の裏面照射型受光デバイスの製造方法によれば、陽極接合が容易でかつ強固になり、さらに、補強後にアニール処理等を行うので、処理中のデバイスの取り扱いが容易になる。そして、機械的強度の保たれた高感度、高解像度の受光デバイスを容易かつ安定して製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の1実施形態の断面構成図である。
【図2】 図1の実施形態のCCDの構成図である。
【図3】 図1の実施形態の製造工程を示す断面構成図である。
【図4】 図3の製造工程の次の工程を示す断面構成図である。
【図5】 図4の製造工程の次の工程を示す断面構成図である。
【図6】 図5の製造工程の次の工程を示す断面構成図である。
【図7】 図6の製造工程の次の工程を示す断面構成図である。
【図8】 図7の製造工程の次の工程を示す断面構成図である。
【図9】 図8の製造工程の次の工程を示す断面構成図である。
【図10】 図1の実施形態の使用形態を示す斜視図である。
【図11】 本発明の第2の実施形態の断面構成図である。
【図12】 図11の実施形態の製造工程を示す断面構成図である。
【図13】 図12の製造工程の次の工程を示す断面構成図である。
【図14】 図13の製造工程の次の工程を示す断面構成図である。
【図15】 図14の製造工程の次の工程を示す断面構成図である。
【図16】 図15の製造工程の次の工程を示す断面構成図である。
【図17】 図16の製造工程の次の工程を示す断面構成図である。
【図18】 図17の製造工程の次の工程を示す断面構成図である。
【符号の説明】
1…シリコン基板、2…CCD、3…N型埋め込みチャネル、4…シリコン酸化膜、5…ポリシリコン転送電極、6…PSG膜、7…アルミニウム配線、8…シリコン窒化膜、9…シリコン酸化膜、10…アキュムレーション層、11…ポリイミド膜、12…アルミニウム膜、13…ガラス基板、14…電極パッド、15…金ワイヤー、16…基板、17…配線パターン、20…垂直転送チャネル、21…垂直転送電極群、22…水平転送チャネル、23…水平転送電極群、24…アウトプットゲート、25…リセットゲート、26…フローティングダイオード、27…FET、28…負荷抵抗、29…出力端子、30…リセットドレイン、31…ポリシリコン配線、32…無機ガラス膜、33…ポリシリコン膜、50…第1の実施形態の裏面入射型受光デバイス、51…第2の実施形態の裏面入射型受光デバイス。
Claims (6)
- シリコンを主材とする半導体薄板の第1の面に1次元あるいは2次元に配列された電荷読み出し部を備えるとともに、前記半導体薄板の前記第1の面の反対の第2の面にイオン注入後の活性化熱処理により形成されたアキュムレーション層を備えており、前記第2の面の表面から入射する電磁波あるいは荷電粒子のエネルギーを検出する裏面照射型受光デバイスにおいて、
前記第1の面の電荷読み出し部を覆う表面上に形成された表面が平坦な無機質あるいは有機質材料の絶縁膜と、
前記絶縁膜上に堆積された半導体もしくは金属製の均一厚さで表面が平坦な酸化可能な導電膜と、
前記導電膜の平坦な表面全体に陽極接合されたガラス基板と、
を備えており、前記電荷読み出し部を外部回路に接続するための接続端子が形成された領域が前記ガラス基板の前記半導体薄板より側方に突出した端部の前記電磁波あるいは荷電粒子の入射面側に露出して配置されている裏面照射型受光デバイス。 - 前記接続端子領域は、前記第2の面の一辺あるいは隣接する2辺に沿って配置されていることを特徴とする請求項1記載の裏面照射型受光デバイス。
- 前記電荷読み出し部は、電荷結合デバイスであることを特徴とする請求項1記載の裏面照射型受光デバイス。
- 前記絶縁膜は、無機ガラス製またはポリイミド製であることを特徴とする請求項1記載の裏面照射型受光デバイス。
- 前記導電膜は、導電性不純物をドープしたポリシリコン製またはアルミニウム製であることを特徴とする請求項1記載の裏面照射型受光デバイス。
- 前記ガラス基板の熱膨張率は、前記半導体基板の熱膨張率と略等しいことを特徴とする請求項1記載の裏面照射型受光デバイス。
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