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JP3924838B2 - ポリエステル系仮撚加工糸およびその製造法 - Google Patents
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JP3924838B2 - ポリエステル系仮撚加工糸およびその製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、中空断面のポリエステル系フィラメントからなる仮撚加工糸およびその製造法に関し、軽量で、嵩高性があり、しかもソフトで弾発性とスナッギング性に優れ、特に衣料用の編織物として好適なポリエステル系仮撚加工糸を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
衣料用編織物を軽量化し、かつ保温性を高めるために潜在巻縮性の高い糸を用いたり、繊維に巻縮加工を施したりすることが行われている。また、繊維自体を軽量化して上記編織物を更に軽量化するため、中空繊維を用いることも行われており、この中空繊維については中空率50%以下のものが知られている(特公昭42−2428号公報参照)。また、中空率の異なる2種以上の熱可塑性中空フィラメント糸を混合し、仮撚加工を施すことにより、風合いや外観に特徴を与えることも知られている(特開昭49−100358号公報参照)。
【0003】
しかしながら、従来は、中空率および熱水伸縮堅牢度の一方を高くすると、他方が低くなる等の問題があり、高い中空率と高い熱水伸縮堅牢度とを兼備し、ソフトで高い弾発性を有し、かつスナッギング性に優れ、衣料用編織物に好適なポリエステル系仮撚加工糸は得られていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、高い中空率と高い熱水伸縮堅牢度とを兼備し、軽量で嵩高性に優れ、かつソフトで高い弾発性を有し、スナッギング性が良好で、衣料用編織物として好適な高機能性のポリエステル系仮撚加工糸およびその製造法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明のポリエステル系仮撚加工糸は、中空断面のポリエステル系フィラメントからなる仮撚加工糸であって、上記フィラメントが4個の中空部を有し、上記フィラメントの平均中空率が10%以上、平均偏平異形度が1.20〜1.50、熱水伸縮堅牢度が3.0〜6.0%であることを特徴とする。
【0006】
上記ポリエステル系仮撚加工糸の製造法は、中空断面のポリエステル系フィラメントからなるポリエステル系マルチフィラメント糸に仮撚加工を施すに際し、上記のマルチフィラメント糸として4個の中空部を有するポリエステル系フィラメントからなるマルチフィラメント糸を用い、撚係数を14000〜25000に、加撚域張力を0.2〜0.7g/dに、解撚域張力を0.4〜1.2g/dに、熱固定温度を150〜200℃にそれぞれ設定することを特徴とする。
【0007】
図1は、この発明のポリエステル系仮撚加工糸10の一例を示す横断面図であり、この仮撚加工糸10は、多数本のポリエステル系中空フィラメント11からなるマルチフィラメント糸を仮撚加工して得られる。ここで、上記のフィラメント11を構成するポリエステル系樹脂は、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体を主たるジカルボン酸成分とし、エチレングリコールや1,4ブタンジオールから選ばれたグリコールまたはそのエステル形成性誘導体を主たるグリコール成分とするポリエステルである。
【0008】
上記のポリエステル系中空フィラメント11は、図示の例では4個の中空部11aを備えているが、その個数は1個でもよく、任意である。そして、この中空部を備えることにより、軽量化とソフトな触感が得られるが、その好ましい個数は2〜5個であり、最も好ましい個数は4個である。すなわち、中空部11aが2〜5個の場合は、仮撚加工の際の熱処理および加撚に伴う捩じり作用で中空部11aがつぶれ難くなり、熱水伸縮堅牢度および中空率の両者を高レベルに維持するのが容易になる。これに対して中空部11aが2個未満では、仮撚加工の際の熱処理および加撚に伴う捩じり作用で中空部11aがつぶれ易く、反対に6個以上では中空部11aを囲む壁の厚みが薄くなり、熱水伸縮堅牢度および中空率の両者を高レベルに維持するのが困難になる。
【0009】
上記の中空フィラメント11は、少なくとも1個の中空部11aを有しているため、仮撚加工によって偏平化され、仮撚加工前に比べて中空率が低下するが、10%以上の中空率を保有し、かつ平均偏平異形度が1.20〜1.50、熱水伸縮堅牢度が3.0〜6.0%であるため、図1に示すように、多数本の中空フィラメント11が中空部11aを維持した状態で種々の形に偏平化されて混在し、そのためソフトで、弾発性の高い独特の風合いの仮撚加工糸となる。なお、中空率とは、フィラメントの全横断面積に対する中空部の断面積の比を百分率で表したものであり、平均中空率は10個の測定値の平均値である。
【0010】
ただし、上記の平均偏平異形度が上記の範囲を外れると、発明の目的が達成されない。すなわち、平均偏平異形度が1.20未満ではソフト感が乏しくなり、かつフィラメント割れが起き易くなってスナッギング性が低下し、反対に1.50を超えると中空率が10%以下になり易く、軽量感と保温性に乏しくなり、弾発性のソフトな風合いが得られなくなる。また、熱水伸縮堅牢度が3.0%未満では、編織して得られる編織物の嵩高性が小さくなり、糸条(仮撚加工糸)の絡みが小さくなってばらけ易くなり、スナッキング性が悪くなり、6.0%を超えると、嵩高性が大きくなり過ぎて弾発性が失われ、独特の風合いが得られなくなる。
【0011】
なお、上記フィラメントの偏平異形度は、フィラメント断面の長軸の長さをA、短軸の長さをBとしたとき、B/Aで表される。そして、この発明の平均偏平異形度は、10個の測定値の平均をいう。
【0012】
また、熱水伸縮堅牢度は、以下のように定義される。すなわち、適当なテンション装置を備えたラップリール(周長1000mまたは1125m)を用いて8巻きのかせを作る。かせが乱れないように2か所を束ねて別の糸でくくり、8の字状にして折り重ねて輪にする操作を2回繰返す。これをフックにかけ5/1000×8×2×2×2×表示デニールのg数の荷重をかけた状態で、浸透剤を2g/lの濃度で溶解した沸騰水中に15分間浸漬する。この試料を沸騰水から取出し、もとの8巻きのかせの状態にもどし、フックにかけて湿潤状態のまま2/10×8×2×表示デニールのg数の荷重をかけ、1分後の長さ(a)を測定する。次いで、荷重を取り除き、無荷重の状態でフックにかけたまま、60±2℃の乾燥機中で30分間乾燥し、標準状態の試験室に1時間以上放置した後、2/1000×8×2×表示デニールのg数の荷重をかけ、1分後の長さ(b)を測定し、次式により熱水伸縮堅牢度(CD)を算出する。試験回数は2回以上とし、その平均値で表す(少数点以下1けたまで)。
熱水伸縮堅牢度(CD)(%)=(a−b)/a×100
【0013】
上記のポリエステル系仮撚加工糸は、次のようにして製造される。先ず、中空糸用ノズルを用いて前記のポリエステルを常法にしたがって溶融紡糸し、吐出された糸条を冷却固化し、オイリングして未延伸糸を得、この未延伸糸を所定の倍率で延伸し、多数の中空フィラメントからなるマルチフィラメント糸(延伸糸)とする。この場合、中空フィラメントの中空部の個数は、前記のとおり2〜5個に設定される。また、中空率は15%以上に設定される。この中空率が15%未満の場合は、次の仮撚加工の際に加熱下での加撚作用で中空部11aがつぶれ、中空率を10%以上に維持し、かつ高い熱水伸縮堅牢度を得るのが著しく困難になる。
【0014】
次の仮撚工程では、仮撚の撚係数が14000〜25000に、加撚域の張力が0.2〜0.7g/dに、解撚域の張力が0.4〜1.2g/dに、熱固定温度が150〜200℃にそれぞれ設定される。撚係数が14000未満であったり、加撚域の張力が0.2g/d未満であったり、また解撚域の張力が0.4g/d未満であったりした場合は、得られる仮撚加工糸の熱水伸縮堅牢度が3.0%に達しなくなり、嵩高性に富み、かつスナッギング性に優れた編織物が得られない。反対に、撚係数が25000超であったり、加撚域の張力が0.7g/d超であったり、また解撚域の張力が1.2g/d超であったりした場合は、仮撚工程で糸切れや毛羽が発生する。
【0015】
そして、仮撚工程における熱固定温度が150℃未満の場合は、仮撚加工糸の熱水伸縮堅牢度が3.0%未満となり、編織物の嵩高性が不足し、ソフトで弾発性のある風合いが得られない。反対に200℃を超えると、フィラメントの断面形状がつぶれて平均偏平異形度が1.6を超え、かつ中空率が10%未満となり、軽量性および保温性に乏しくなり、ソフトな弾発性の風合いが得られない。
【0016】
【発明の実施の形態】
図2に示すように、十字形の吐出口16aの回りに4個の円弧形吐出口16bを配置した中空糸用吐出口16の多数個を配置したノズルからポリエステルを溶融紡糸し、冷却固化して4個の中空部17a(図3参照)を有する中空フィラメント17の多数本からなるマルチフィラメント糸の未延伸糸を得る。次いで、上記の未延伸糸を延伸して中空率が15〜40%の中空フィラメント多数本からなるマルチフィラメント糸の延伸糸を製造する。
【0017】
次いで、上記の延伸糸を仮撚機に導き、仮撚の撚係数を14000〜25000、加撚域の糸張力を0.2〜0.7g/d、解撚域の糸張力を0.4〜1.2g/d、また熱固定温度を150〜200℃にそれぞれ設定して仮撚を行い、フィラメントの平均中空率10%以上、平均偏平異形度1.20〜1.50、熱水伸縮堅牢度3.0〜6.0%のポリエステル系仮撚加工糸を得る。得られたポリエステル系仮撚加工糸は、織機、緯編機または経編機等を用いて任意の組織に編織され、スポーツ着、一般外衣、シャツ等の衣料用に供される。
【0018】
【実施例】
中空部の個数および中空率の異なる65デニール18フィラメントのポリエステルマルチフィラメント糸を紡糸し延伸し、更に種々の条件で仮撚加工を施して実施例1、2および比較例1〜の仮撚加工糸を製造した。そして、得られた仮撚加工糸の熱水伸縮堅牢度、平均偏平異形度および平均中空率をそれぞれ測定した。また、上記の仮撚加工糸を用い、26ゲージのスムース編地を編成し、常法によって染色加工を施し、仕上げセットを行い、編地の嵩高性(比容積)をJIS−L−1097により、またスナッギング性をJIS−L−1058(D−1法)により測定した。また、仕上げ編地の触感および弾発性を10名のパネラーの官能検査により評価した。
【0019】
なお、官能検査および総合評価は、良い(◎)、普通(○)、やや悪い(△)および悪い(×)の4段階に実施した。また、「実施例」を「実」と、「比較例」を「比」とそれぞれ略記した。また、「加撚域張力」を「T1 」、「解撚域張力」を「T2 」、「仮撚加工時の熱固定温度」を「温度」、「平均中空率」を「中空率」、「平均偏平異形度」を「異形度」、「熱水伸縮堅牢度」を「堅牢度」、「スナッギング性」を「snag」とそれぞれ略記した。
【0020】

Figure 0003924838
【0021】
上記の表に見られるように、実施例1、2は、総合評価が普通以上で、特に中空部の個数を4個としているため、中空部を1個とした比較例1に比べて嵩高性、スナッギング性、触感および弾発性が向上し、総合評価で優れていた。また、比較例は、仮撚加工時の撚係数が過大で、解撚域の張力が小さく、熱固定温度が高いため、中空部がつぶれて仮撚加工糸の中空率が不足し、平均偏平異形度および熱水伸縮堅牢度が過大となり、そのため編地の弾発性が悪く、総合評価がやや悪いになった。また、比較例は、仮撚加工時の撚係数が小さく、張力が過大で、熱固定温度が低いため、中空部のつぶれは小さいが、平均偏平異形度および熱水伸縮堅牢度が不足し、嵩高性に乏しく、ソフト感に欠けて触感が悪くなり、スナッギング性も悪くなった。また、比較例は、原糸の中空率が小さく、仮撚加工時の撚係数および解撚域張力が過大で、熱固定温度が高すぎるため、中空率が不足し、平均偏平異形度および熱水伸縮堅牢度が過大になり、そのため編地の嵩高性は良好であったが、弾発性に欠けていた。また、比較例は、原糸の中空率は比較例よりも大きいが、仮撚加工時の撚係数、解撚域張力および熱固定温度が比較例と同様であったため、比較例と同様に中空率が不足し、平均偏平異形度および熱水伸縮堅牢度が過大となり、弾発性に欠けていた。
【0022】
【発明の効果】
以上に説明したように、請求項1に記載された発明のポリエステル系仮撚加工糸は、高い中空率と高い熱水伸縮堅牢度とを兼備し、軽量で嵩高性に優れ、かつソフトで高い弾発性を有し、スナッギング性が良好で、衣料用編織物として好適である。そして、請求項2に記載した発明によれば、上記請求項1記載のポリエステル系仮撚加工糸を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の仮撚加工糸の断面図である。
【図2】紡糸ノズルの吐出口を示す断面図である。
【図3】延伸フィラメントの断面図である。
【符号の説明】
10:仮撚加工糸
11:中空フィラメント
11a:中空部
16:中空糸用吐出口
17:延伸後の中空フィラメント
17a:中空部

Claims (2)

  1. 中空断面のポリエステル系フィラメントからなる仮撚加工糸であって、上記フィラメントが4個の中空部を有し、上記フィラメントの平均中空率が10%以上、平均偏平異形度が1.20〜1.50、熱水伸縮堅牢度が3.0〜6.0%であることを特徴とするポリエステル系仮撚加工糸。
  2. 中空断面のポリエステル系フィラメントからなるポリエステル系マルチフィラメント糸に仮撚加工を施すに際し、上記のマルチフィラメント糸として4個の中空部を有するポリエステル系フィラメントからなるマルチフィラメント糸を用い、撚係数を14000〜25000に、加撚域張力を0.2〜0.7g/dに、解撚域張力を0.4〜1.2g/dに、熱固定温度を150〜200℃にそれぞれ設定することを特徴とするポリエステル系仮撚加工糸の製造法。
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