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JP3928019B2 - 摩擦増大用マット - Google Patents
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JP3928019B2 - 摩擦増大用マット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、海洋構造物等の滑動防止用マットに関し、特に、基礎の上面の均し精度を荒均しとした場合でも、構造物の支持を良好に行い得る摩擦増大用マットに関する。
【0002】
【従来の技術】
防波堤や岸壁、埋立地等の仕切り護岸等のような海洋構造物を構築するに際しては、一般に海底の地盤を均してから、その上に所定の高さの基礎マウンドを構築し、その基礎マウンドの上面にケーソン等のような構造物を設置して構築することが行われている。前記構造物は、一般にコンクリート製の箱型のもの、鋼製のものや、鋼製の構造物の表面に所定の厚さのコンクリートを被覆したハイブリッドケーソンと呼ばれるもの等が用いられる。また、前記ケーソンは陸上で構成されたものを、海上に浮かべて構築箇所まで搬送したり、台船に載せて搬送することや、クレーンなどにより吊り下げた状態で搬送され、構造物構築現場で海底に沈めて基礎マウンドの上に載置される。
【0003】
前記構造物はその底部がコンクリートまたは鋼板であるために、基礎マウンドを構成する石との間での摩擦係数が小さく、波浪の圧力等により、基礎マウンドの上で構造物が移動することが懸念される。そこで、前記構造物の滑動の問題を解消するために、構造物の底部にアスファルトマットやゴムマット等のマット部材を配置し、前記マット部材を構造物により押圧することにより、マット下面を基礎マウンドの石の表面の凹凸に応じて変形させる。そして、マット部材の上面に置かれる構造物と基礎マウンド表面との間で、マット部材を圧縮することにより摩擦係数を増大させ、構造物の安定性を向上させることが行われている。
【0004】
一般的な海洋構造物として例示する防波堤は、図18に示すように構成されるもので、海底地盤3の上に基礎マウンド5を構築し、その上面を平らに均してからケーソン1のような構造物を載置して、海洋構造物を構築している。また、前記基礎マウンド5の表面と海底地盤3に亘って洗掘防止用マット部材4を配置し、基礎マウンドと海底地盤とを、海流や波浪による洗掘から保護する手段を構成することも行われている。前記基礎マウンド5の上面とケーソン等の構造物1の底面2との間には、摩擦増大用のマット10を配置しているもので、前記マット10はケーソンを製作する際に、そのケーソンの底板2の下面に一体に取り付けて構成することが多い。
【0005】
また、前記ケーソンの下面に取り付けるマットとしては、アスファルトマットを用いることが多く、図19に示されるように、前記アスファルトマットは、厚さをT1=8cmとして設定したものを規格品として一般に使用している。そして、前記アスファルトマットの弾・塑性により、基礎マウンドの表面の凹凸に対して、マット下面11が容易に変形するが、残存厚さTa=3cmに設定してあるために、基礎マウンドの石の突部によりマットが突き破られてケーソン底面に石が接触し、ケーソンの滑動を防止するマットの機能が損なわれることなく、安定保持できるという特徴がある。また、前記アスファルトマットの厚さT1が8cmのものを用いる場合には、基礎マウンド5の表面の凹凸の均し精度Saを±5cm以内になるように、基礎レベル6に対する石の突出部7と凹部8の高さS2が、それぞれ5cm以内となるように基礎マウンドの表面の凹凸を均す作業を行い、その基礎マウンドの上にアスファルトマットを介して構造物を載置する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記アスファルトマットを用いて構造物の滑動防止を行う場合には、基礎マウンドの上面の均し精度を±5cmに設定し、一般に厚さが8cm程度のものを用いている。ところが、前記均し精度を±5cmに形成するためには、均し作業に要する費用が非常に高くなるという問題がある。そこで、港湾工事の費用を低減させるためには、前記均し精度を荒くすることが考えられており、例えば、均し精度を±10cmにすると、基礎マウンドの均し作業に要するコストが約60%となることが知られている。
【0007】
そこで、均し作業の仕上がり精度を±30cmに緩和してマウンドを構築し、その上に構造物を設置することが、さらにコストが安価になるとの考えから、均し精度を±30cmに設定することが企画されている。前記均し精度を±30cmに設定するということは、石の突出部と石の間の谷の部分とでは60cmの差があり、一般の基礎マウンドの構築に際して使用する石の最大径が50〜60cm程度であることに比較して、非常に大きな値となる。そこで、前記均し精度を±30cmに設定する場合には、作業船から石を投下してマウンドを構築した後で、潜水作業員が特に突出している石を倒したりする程度の均し作業を行うのみで、容易に対応が可能なものとなる。
【0008】
しかしながら、基礎の表面に対する均し精度を大きい値に構築する場合には、表1に示されるように、その均し精度に対応させるマットの厚さが、次第に増大するという問題が発生する。つまり、前記表1に見られるように、均し精度が±10cmの場合には、マットの厚さを10cmに設定することにより容易に対応が可能であるが、均し精度を±30cmとする場合には、マットの厚さを20cm以上にしなければ対応できないことになる。
【0009】
【表1】
Figure 0003928019
【0010】
しかしながら、前記アスファルトマットの厚さを20cmに形成する場合には、そのマットの重量が1平方mあたり460kgf 程度となり、非常に重くなるという問題が発生する。そこで、例えば、大型のケーソン(10m×50m)の底面に、前記厚いマットを一体に設けようとする場合に、マットの全部の重量が230トンとなる。そして、従来のマットに比較して138トン以上も重いものを、クレーンにより吊り上げて荷役する必要が生じるため、ケーソン等を施工現場に設置するためにクレーン船を使用する場合にも、1ランク上の能力を有するクレーン船等の装置を使用することが求められる場合が発生する。
【0011】
そこで、前述したように、アスファルトマットの厚さを増加させることに代えて、マットの内部に鉄筋を縦横に多数本配置することや、太い針金で構成した金網を補強部材として用いることにより、石の突部がマットを突き抜けることを防止する手段を用いることも考えられる。しかしながら、鉄筋をマット内部に配置することは、その鉄筋の太さの2倍の厚さで、内部補強部材を配置することになるので、その補強部材の厚さだけさらにマットを厚くしないと、マットが上下から圧縮作用を付与された場合に対処できない。また、鉄筋を用いた場合には、その縦横の鉄筋等の接続部が石の突部により押圧されると、結束線による接続状態が不安定となり、石の突部が上層に突き抜けるという問題があり、結束せずに溶接で固定した場合でも、その溶接部が集中荷重により容易に離れてしまうという問題が懸念される。
【0012】
前記アスファルトマットと同様にゴムマットを使用する場合もあり、前記ゴムマットの厚さが3cmのものを使用し、ケーソン等の底面に取り付けている。前記ゴムマットにおいては、基礎マウンドの表面に突出している石が局部的に圧縮する作用を加えた場合でも、アスファルトマットのように石が大きく食い込むことは少なく、石がマットを突き抜けるという問題は生じることがないといわれる。しかしながら、例えば、基礎マウンドの均し精度を±30cmに設定した場合に、局部的に石の突部により大きな圧縮作用が付与されたとすると、ゴムマットのゴムのみでは十分な抵抗力があるか否かは非常に疑問とされる。また、ゴムマットに対する圧縮作用と、水平変位作用とが加えられた場合に、ゴムの強度のみによって突き抜けと剪断作用に対して十分な抵抗力を発揮可能であるかという問題にも回答は得られていない。さらに、前記ゴムマット内部に鉄筋や金網等の内部補強部材を挿入することは、従来は考えられてなく、そのような補強部材を挿入する場合に、従来のマットのように、厚さが3cmのものでは、太い鉄筋等を挿入することは無理がある。
【0013】
本発明は、基礎マウンドの均し精度を荒くしようとする場合に、従来のマット部材を用いても容易に対応させることを目的とし、特に、マットの内部に強度の大きな孔開き鉄板部材のような内部補強部材を一体に設けた摩擦増大用マットを提供することを目的としている。
【0014】
(課題を解決するための手段)
本発明は、ケーソンのような海洋構造物の底面に一体に設けられ、基礎マウンドの上面の均し精度を粗均しとした上での、前記構造物の滑動防止用に用いられ、
前記基礎マウンドの上面の凹凸の大きい面に突出する石の局部的な圧力を受け、その上に設置した構造物の底面を保護するために用いる摩擦増大用マットに関する。
本発明において、前記マットがアスファルトマットであり、上下のアスファルト層の間に挟むように配置する補強部材を、打ち抜いた開口を所定の配置間隔で設けた孔開き鉄板とし、
前記孔開き鉄板の表面側には突条を一定の間隔で多数形成して設け、
前記孔開き鉄板の裏面側には、開口を形成した際に生じる突出部から、尖った部分を除いた状態で突部を設け、
前記孔開き鉄板に設けた開口を介して、前記上下に形成するアスファルト層を接続して一体化するとともに、
前記孔開き鉄板の表裏面には接着材成分を塗布して、アスファルト層との接着性を向上させる処理を施し、
前記孔開き鉄板に設けている開口を用いて、ケーソン本体と接続するための接続部材を設けたことを特徴とする。
【0017】
前述したように、マットの中間部に非常に強度が大きい板状の部材(鉄板)を介在させて、上下に配置するマットを鉄板に設けた開口を介して接続して一体化することにより、基礎マウンドの表面に突出する石の角のような大きな突出部が、マットの下面から局部的に集中荷重を加えた場合でも、その突出部がマットを突き抜けることを防止できる。
したがって、ケーソンのような構造物を載置する基礎マウンドでの、表面の均し精度を粗く構築した場合でも、そのマウンドの上での構造物の支持の作用を良好に行うことができる。また、マットの中間部に設ける孔開き鉄板等の部材は、その内部に大きな開口を有するものであるから、その板部材の上下の層を接着するので、マットを一体化でき、その取扱いを容易に行うことができる。そして、前記鉄板等の内部補強部材を設けるアスファルトマットを、ケーソン等の任意の海洋構造物に対する滑動防止のために取付けて、支持部材として用いることが可能である。
【0018】
(発明の実施の形態)
図示される例にしたがって、本発明の摩擦増大用マットを説明する。図1に示す例は、ケーソン等の下面に設けられ、凹凸が大きい基礎マウンド上面に突出する石の角等が、マットを突き抜けて、構造物の底面を傷付けたりすることがないように、突き抜け防止用の処理を施したアスファルトマット10を示している。前記アスファルトマット10は従来のマットと同様に、アスファルトマスチックの層を上下に設けているもので、任意の厚さに各々が形成された下層10aと上層10bの間に鉄板を配置し、前記鉄板15に設けた孔16を介して、上下のアスファルト層10a、10bを接着一体化している。さらに、前記鉄板15の孔16を介して番線13を接続して設けて、マットの荷役とケーソン底部への取り付けに用いるように構成している。なお、前記アスファルトマット10の内部に埋設する鉄板は、任意の孔開き鉄板を使用することが可能であり、その鉄板の厚さ等も、マットに加えられる荷重(または圧力)の大きさ等に応じて、任意の厚さのものを使用可能である。また、前記鉄板15に平行にネット状の繊維製の補強部材を追加して配置することができるもので、前記繊維製の補強部材としては、従来よりアスファルトマットの内部補強部材として用いられているように、ガラスクロスやその他の強度の大きな繊維製のものを用いて構成することができる。
【0019】
前記鉄板15に設ける孔の形状や、孔の大きさは、鉄板が受ける荷重の大きさ等の条件と、上下のマット層の接着のために必要とされる比率に応じて設定されるが、一般的には50〜90%の開口率に設定すると良い。また、従来のアスファルトマットにおいては、荷役のためにマットの長さまたは巾方向に多数本のワイヤロープを配置し、そのワイヤロープを内部補強部材の下面に配置することが多くある。しかしながら、図1に示すように、番線13を用いて荷役とケーソン底面への取り付けに用いる場合には、ワイヤロープを配置する必要はない。これに対して、ケーソンの底面にアスファルトマットを一体に設けずに、基礎マウンドの上に大サイズのマットを配置し、その上にケーソンを載置する方式を用いる場合、またはケーソンの底面の両側部にマットの端部を固定して取り付ける方式を用いる場合には、当然、荷役用のワイヤを内部補強部材と一体に配置する必要がある。
【0020】
前記孔開き鉄板に代えて、本発明のマット10においては、図2に示すようなエキスパンドメタル17を用いることができる。前記エキスパンドメタル17としては、図3、4に示すように、鉄板に所定の間隔で横の切目を形成してから、長さ方向に引っ張り作用を付与して構成するもので、開口19に対して平行四辺形状にストランド18が形成され、大きな開口19が所定の間隔で配置された状態にあり、前記ストランド18はエキスパンドメタルの平面に対して、図4に見られるように傾斜した状態に形成されている。前記エキスパンドメタルにおいては、開口率が90%程度のものとして構成されているものであり、金網と同様に、任意の開口率を有するものとして構成できるが、各ストランドが一体のものとして接続されていることから、その強度は金網に比較して非常に大きなものである。
【0021】
前記孔開き鉄板またはエキスパンドメタルを内部に埋設したアスファルトマット10を、摩擦増大用マットとして用いる場合に、基礎マウンドの石の突部により局部的な集中荷重が付与される状態を想定する。その場合には、図5に示されるように、石の突部7がマット10の下層10aを突き抜くように突出するが、内部に埋設している鉄板15に石の突部7が達すると、前記鉄板の広い面積を介してマットの上層10bを押圧する状態となる。したがって、局部的な集中荷重によりマットの下層は大きく変形するが、鉄板の剛性により広い面積に分散された圧力が作用するので、下層10aに局部的に作用した圧力は上層10bに対しては均一に広い面積で作用するために、上層10bは石の突部による押圧作用により変形する度合いが小さく、最終的には、マットの残存厚さTaが一定の値で残ることになる。
【0022】
また、マット部材の水平変位を図6にしたがって検討するに、従来のアスファルトマットにおいては、ガラスクロスや金網のように比較的強度が小さい内部補強部材を用いていたので、石の突部がマットに食い込んだ状態で、ケーソンに横方向の圧力が付与される状態では、マットには矢印Fに示すような大きな水平変位の力が作用する。これに対して、本発明のアスファルトマット10の場合には、中間部に埋設している鉄板部材が上下のマット層を分割するようにして水平変位に対応するので、下層に対してはFaの力が作用し、上層に対してはFbの力が作用する状態となる。そして、前記FaとFbの力を総合しても、従来のマットが受ける水平変位の力Fよりも小さな値となり、ケーソン等の構造物が受けた水平変位の力に対して、基礎マウンドに伝達される力が非常に小さい値となる。したがって、ケーソン等に水平変位力が作用した場合でも、マットが変形する度合いが少ないことから、アスファルトマット10による構造物の支持作用を良好に行い得るものとなる。
【0023】
前記図5、6に示す例において、アスファルトマットの内部にエキスパンドメタル17を配置する場合には、マットの上下の層の間に、図4に示されるような厚さの大きなストランド18が介在されることになり、そのストランドの断面の強度が非常に大きなものとして設定される。そこで、マット下面から石の突部による集中荷重が付与された場合に、ストランドがその荷重を受けて変形し、そのようなストランドにより構成するエキスパンドメタル全体が集中荷重を上層に伝達することにより、上層が大きく変形圧縮されることが防止される。また、上下のマット層の間を、エキスパンドメタルを介して剪断するような力が作用した場合にも、ストランドに形成している広い面積の開口が上下層を一体に接着しているものであり、前記上下層の間で横に動こうとするストランドが、厚さの大きいものとされていることから、上下層の間を剪断しようとする力に対する抵抗値が非常に大きな値となる。したがって、エキスパンドメタルを内部に配置したアスファルトマットにおいては、前記鉄板の場合と同様に、もしくは、単純に孔を設けた鉄板に比較して、より大きな圧縮と水平変位に対する抵抗力を発揮できる。
【0024】
(実施例)
前記エキスパンドメタルを用いることに代えて、本発明においては、図7、8に示すように、多数の貫通孔を設けた表面に凹凸を一体に形成した縞鋼板30を補強部材として用いることができる。前記縞鋼板(以下孔開き鉄板と呼ぶ)30は表面に多数のリブ31、31a……を縦横に突出させて設けてすべり止め処理を施したものを用いることができ、その裏面は平滑なものとして構成される。本実施例においては、前記孔開き鉄板30に対して表面側から孔32……を打ち抜き処理して、孔開き鉄板として構成するもので、その孔の打ち抜きに際して裏面側にはバリとしての突起が形成される。なお、前記孔開き鉄板として用いる鉄板は、その表面に任意の形状の突条や突起を設けたものを使用することができるもので、必ずしも縞鋼板に限定するものではない。
【0025】
また、前記孔の打ち抜き処理に際して、プレス型の下部材を、特に突起が形成されるような形状のものとして構成する場合にも、意図した任意の形状の突起を所定の高さで形成することができる。例えば、前記プレスにより孔32……を形成する際に、バリとして突出する突起のうち、特に鋭利に突出している部分のみを削る等の処理を行って、下部突起33を形成することにより、孔開き鉄板の表面側にはリブ31、31a……が所定の模様にしたがって形成され、裏面側には下部突起33が孔の周囲に形成されたものとなる。また、前記鉄板に孔を設ける際に、プレスの下型にリブの形状を規定できるような部材を設けた場合には、打ち抜いた孔の周囲の下面に形成する、下部突起を任意の高さや形状のとして形成可能であるから、アスファルトマットを構成する場合には、その鉄板とアスファルト層との間の接着性を良くすることができる。
【0026】
前記孔開き鉄板30をアスファルトマットの内部補強部材として用いる場合には、前記エキスパンドメタルの場合と同様にマットの中間部に配置して、図9に示すように構成することができる。前記図9に示すアスファルトマットにおいては、前記図1の場合と同様に、マットの上下層10a、10bの間に孔開き鉄板30を挿入して、孔開き鉄板の表裏面に突出しているリブと下部突起33とが、各々の層の境界部に食い込む状態となり、前記上下のマット層は、孔32の部分を介して相互に接着されて一体化される。なお、前記孔開き鉄板において、アスファルトと鉄板の間での接着性をより良くすることが求められる場合には、鉄板の表裏面に多数の凹凸を形成する表面処理を行い、さらに、その表面にアスファルトとの接着性を向上させるためのプライマーを塗布すると、鉄板とアスファルトとの接着性を発揮させることができる。
【0027】
前記孔開き鉄板を用いたアスファルトマットをケーソンの下面に一体に設け、荒く均した基礎マウンドの上に載置する状態を図10に示しているが、例えば、基礎マウンドの表面に大きく突出している石の突部7に対しても、十分な対応性を発揮することができるものとなる。つまり、前記図10に示されるように、石の突部7により局部的に大きな押圧作用が加えられた場合には、石の突部7がマット10の下層10aを突き抜くように突出するが、内部に埋設している孔開き鉄板30に石の突部7が達すると、前記孔開き鉄板の広い面積を介してマットの上層10bを押圧する状態となる。したがって、局部的な集中荷重により下層のマット層は大きく変形するが、孔開き鉄板の剛性により広い面積に分散された圧力が作用するので、下層10aに局部的に作用した圧力は上層10bに対しては均一に広い面積で作用するために、上層10bは石の突部による押圧作用により変形する度合いが小さく、最終的には、マットの残存厚さTaが一定の値で残ることになる。
【0028】
前記石の突部の突き抜け作用とは別に、水平変位の力が作用する場合には、下層のマット層では、孔開き鉄板の下面に対して滑りを生じさせるような力が作用すると考えられる。この孔開き鉄板から下層のマットを剥離させようとする力に対しては、孔開き鉄板の下面に突出している下部突起33が抵抗するので、孔開き鉄板に対するマットの一体性を確保することができる。また、前記孔開き鉄板の表裏両面にアスファルトとの付着性を強化する処理を施した場合には、孔開き鉄板をマット内部に保持する性能をより強く発揮させることができる。前記構成に加えて、孔開き鉄板に沿わせてネット状の繊維製の部材を配置する場合には、マット自体の突き抜けと水平変位に対する抵抗作用とを、より強力に発揮させることが可能になる。
【0029】
【実施例1】
前記アスファルトマットの他に、本発明の孔開き鉄板部材を使用するマットとしては、ゴムマットが考えられる。従来のゴムマットにおいては、内部に補強部材を挿入することはほとんど考慮されていないものである。しかしながら、前記アスファルトマットと同様に、基礎マウンドの均し精度が荒くされた場合に、そのマウンドの表面の大きな凹凸により、大きな圧縮荷重が付与された場合と水平変位の力が作用した場合に、それ等の力に対応可能なものとすることが求められている。
【0030】
前述したような要求に対処させるためのゴムマット20は、図11に示すようにして製造することができるもので、従来のゴムマットを製作する場合と同様に、金型部材27の中にマットの材料となるゴム粉末や接着剤成分を混合したものを挿入し、上から所定の圧力Pを付与しながら加熱して加硫し、板状のものとして構成する。また、前記ゴムマット20を製造する場合には、上層20bを構成する材料を敷き込んでから、ナット22を溶接等の手段で取り付けた鉄板部材21を配置し、その上に下層20aのゴム材料を所定の厚さで敷き込む。そして、前記金型部材27に対して所定の圧力と温度を付与しながら、ゴム材料を加硫成形することにより、任意の厚さのゴムマット20を作成することができる。
【0031】
前述したようにして製造したゴムマット20は、例えば、図12に示されるようにして、ケーソン1の底面に一体に取り付けることができるもので、図示する例では、ナット22にスタッド24を取り付けて、前記スタッド24の上部にケーソンの鉄筋25を結束する。そして、前記ゴムマット20の上にコンクリートを打設することにより、ゴムマットを下面に敷き詰めて一体化したコンクリートケーソンを製作することができる。また、前記ケーソンが鋼製のものである場合には、ナットの上部にケーソンの底板を溶接して取り付けることが可能であり、その他に、任意の固着手段を用いることが可能である。また、前記ゴムマットに配置する鉄板部材としては、前記アスファルトマットの場合と同様に、孔開き鉄板やエキスパンドメタルを使用することができるものであり、その他に任意の金属製のネット状の材料を用いることも可能である。
【0032】
前述したようにしてゴムマットをケーソンの底面に一体に設けた場合には、図13に示されるように、基礎マウンドの石の突部7が、ゴムマットの下層20aを圧縮して、鉄板部材21に圧縮力を伝達し、前記鉄板部材21が圧縮作用により変形して上層に向けて圧縮力を伝達する。その際に、鉄板部材21は石の突部から受ける力を広い面積に亘って上層に伝達するので、上層20bでは大きな圧縮力が作用することはなく、大きく変形することがなくなる。したがって、ゴムマットの内部に鉄板部材を配置することによって、マットの残存厚さTaはゼロになることはなく、ケーソンの底面を石の突部が直接押圧する状態が発生することはない。なお、前記ゴムマットにおいても、鉄板等のような補強部材に加えて、タイヤの内部に配置しているような強度の大きい布またはネット状の繊維製の部材を配置して、突き抜け作用等に対する抵抗力の大きな内部補強部材を一体に設けることができる。前記繊維製の部材は、前記鉄板部材に沿わせて配置可能であるが、その他に、鉄板との間にゴム層を介在させるようにして平行に配置すると、圧縮作用や水平変位の作用に対して、マット層の抵抗力を大きなものとすることが可能である。
【0033】
一般にゴムに対して圧縮作用を付与する場合には、荷重が増加するにしたがって、撓み量が増大する傾向にある。また、ゴムマットのように、粉末状のゴム材料を用いて成形したものにおいても、図14に示されるように、圧縮荷重が増大するにしたがって、撓み量が大きくなり、1平方メートルあたりの荷重が35トンを越すと、ゴムの厚さがほぼゼロとなることが試験により確認されていることが報告されている。つまり、ケーソンの底面に設けているゴムマットに対して、局部的に大きな荷重が付与された場合には、図13に示される例では、石の突部7がゴムマット全体の厚さをゼロにするような圧縮作用を付与することになると想定される。これに対して、図11に示すように、内部に鉄板部材を介在させて構成するゴムマット20においては、鉄板部材20aが石の突部による圧縮作用を受けて大きく変形しても、中間部に配置する鉄板部材21が大きく変形しないので、マットの上層20bでは大きな値の圧縮力が加えられなくなり、マットの残存厚さを所定の値に維持できるものとなる。
【0034】
【実施例2】
前述したように、基礎マウンドの表面の凹凸の均し精度を荒くしようとする場合でも、一般に基礎マウンドを構築する捨石と同様に、その石のサイズはφ35cm程度のものが使用されるケースが多い。そこで、その石が規則正しく並べられた状態を想定すると、図15に示されるようになり、1平方mの範囲には石の突部が9個存在する。これに対して、従来の均し精度が±5cmの場合には、その基礎の表面に小さいサイズの石を多数投棄して突部の隙間を埋める作業を行っていた。また、前記基礎マウンドにおいては、均し精度とケーソンの底面が当接する石の突部の数の関係は、図16のグラフのようになると計算されている。さらに、石の突部の当接数と集中荷重の大きさとは、図17のグラフに示されるようになると考えられる。
【0035】
前記図15〜17に示されるデータから考えると、マウンド上面の均し精度が荒くなると、ケーソンの底面に対する石の突部の接触数が減少することと、1つの石による集中荷重が非常に大きな値となることが分かる。そして、前記集中荷重の値が大きくなると、アスファルトマットでも、ゴムマットに対しても、石の突部が突き抜けるような大きな力が作用することは明かとなる。これに対して、本発明のマットにおいては、前記各実施例に開示したように、マットの厚さ方向の中間部に強度の大きな孔開き鉄板やそれに類似する強度を有する部材を介在させているために、マットの上層に対しては、石の突部が突き抜けるような集中荷重が作用することがないものとなる。そして、本発明の摩擦増大用マットにおいては、内部に孔開き鉄板やその他の開口の面積の大きな鉄板類を埋設して設けることによって、マット全体の厚さを大幅に大きくしなくても、石の突部から受ける集中荷重に対しても、マットの変形量を小さい値に維持させることが可能になる。
【0036】
そこで、本発明のマットにおいては、前記表1において説明したように、例えば、均し精度を±30cmに設定した場合には、アスファルトマットの厚さを20cmに形成することが必要とされていたものであった。これに対して、本発明の実施例に示されたように、厚さ方向の中間部に孔開き鉄板やエキスパンドメタル、その他の孔開き鉄板類を配置したことにより、上層の変形量を少なくすることができる。したがって、例えば、計算上では20cmの厚さのマットとして形成することが必要とされていた場合でも、均し精度が±15cmの場合と同様に、10cmの厚さのマットでも十分に対応させることができ、その厚さに余裕厚さを考慮しても、12cm程度の厚さのアスファルトマットを構成することにより、±30cmの均し精度に対処させることが可能となると推定される。
【0037】
また、ゴムマットの場合には、1平方メートルあたりの石の突部の接触個数が9個程度の場合には、従来のゴムマットのように、厚さが3cmのものでは十分な圧縮と水平変位に対処できないことが考えられる。そこで、前記ゴムマットにおいては、可能であれば5cm程度の全体の厚さを有するものとして構成し、その厚さ方向の中間部に孔開き鉄板等のような強度の大きな部材を介在させるように構成することにより、石の突部から受ける集中荷重に対する抵抗力を発揮させることが可能になる。
【0038】
【発明の効果】
本発明の摩擦増大用マットは、前述したように構成しているものであるから、マットの中間部に非常に強度が大きい板状等の部材を挿入して配置することにより、マットの下面から大きな石の突出部が局部的に大きな集中荷重を加えた場合でも、その突出部がマットを突き抜けることを防止できる。したがって、構造物を載置する基礎マウンドの均し精度を荒く形成した場合でも、そのマウンドの上での構造物の支持の作用を良好に行うことができる。また、マットの中間部に設ける孔開き鉄板等の部材は、その内部に大きな開口を有するものであるから、その板部材の上下の層を接着するので、マットを一体化でき、その取扱いを容易に行うことができる。そして、前記鉄板等の内部補強部材を設けるマットしては、アスファルトマットやゴムマット等を対象とすることができ、ケーソン等の任意の海洋構造物に対する滑動防止と支持部材として用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のアスファルトマットの断面図である。
【図2】 マットに挿入するエキスパンドメタルの説明図である。
【図3】 図2のメタルの拡大説明図である。
【図4】 図3のメタルの断面図である。
【図5】 本発明のマットにおける圧縮荷重に対する変形の状態を示す説明図である。
【図6】 本発明のマットにおける水平変位に対する変形の状態を示す説明図である。
【図7】 マットに挿入する孔開き鉄板の平面図である。
【図8】 図7の孔開き鉄板の断面図である。
【図9】 孔開き鉄板をアスファルトマットに挿入する例の説明図である。
【図10】 孔開き鉄板を設けたアスファルトマットの変形の状態の説明図である。
【図11】 本発明が適用可能なゴムマットの製造の説明図である。
【図12】 ゴムマットをケーソンに取り付ける状態の説明図である。
【図13】 ゴムマットに対する圧縮作用の説明図である。
【図14】 ゴムマットの圧縮と変形の状態を示すグラフである。
【図15】 基礎マウンドの石の突部の配置状態の説明図である。
【図16】 基礎マウンドの均し精度とマットが当接する石の関係を示すグラフである。
【図17】 石の突部の数とケーソン底面が受ける押圧力の関係を示すグラフである。
【図18】 一般的な海洋構造物の設置状態の説明図である。
【図19】 ケーソンの下部に配置するマットの変形状態の説明図である。
【符号の説明】
1 ケーソン、 3 海底地盤、 5 基礎マウンド、
7 石の突部、 10 摩擦増大用マット、 13 番線、
15 孔開き鉄板、 17 エキスパンドメタル、
20 ゴムマット、 21 孔開き鉄板、 25 ケーソン鉄筋、
27 金型部材、 30 縞鋼板(孔開き鉄板)、 31 リブ、
32 孔、 33 下部突起。

Claims (1)

  1. ケーソンのような海洋構造物の底面に一体に設けられ、基礎マウンドの上面の均し精度を粗均しとした上での、前記構造物の滑動防止用に用いられ、
    前記基礎マウンドの上面の凹凸の大きい面に突出する石の局部的な圧力を受け、その上に設置した構造物の底面を保護するために用いる摩擦増大用マットにおいて、
    前記マットがアスファルトマットであり、上下のアスファルト層の間に挟むように配置する補強部材を、打ち抜いた開口を所定の配置間隔で設けた孔開き鉄板とし、
    前記孔開き鉄板の表面側には突条を一定の間隔で多数形成して設け、
    前記孔開き鉄板の裏面側には、開口を形成した際に生じる突出部から、尖った部分を除いた状態で突部を設け、
    前記孔開き鉄板に設けた開口を介して、前記上下に形成するアスファルト層を接続して一体化するとともに、
    前記孔開き鉄板の表裏面には接着材成分を塗布して、アスファルト層との接着性を向上させる処理を施し、
    前記孔開き鉄板に設けている開口を用いて、ケーソン本体と接続するための接続部材を設けたことを特徴とする摩擦増大用マット。
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