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JP3931131B2 - Mtf測定装置およびレンズ品質検査システム - Google Patents
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Mtf測定装置およびレンズ品質検査システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビデオカメラ等の光学製品に用いられるレンズの品質を示すMTFを測定するためのMTF測定装置、およびそのMTF測定装置を含むレンズ品質検査システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ビデオカメラ等に使用されているレンズの品質の目安となるMTF(Modulation Transfer Function)を測定するため、MTF測定システムが使用されている。従来のMTF測定システムは、被写体の位置に、背面から照明をあてたスリットを設け、被検レンズ上に結像したスリット像の出力を検出し、これをフーリエ変換することによって、MTFを算出している。MTFは、被検レンズの結像性能を評価するパラメータとなる。
【0003】
MTF測定システムは、大別して、光源を裏側に配置した必要空間周波数のチャート素子と、チャート素子の結像箇所に被検レンズを配置し、結像の出力を得るMTF測定装置と、結像の出力に基づいてMTFを算出する情報処理装置とに分けられる。MTFを正確に測定するためには、チャート素子の裏側に配置される光源の照度ムラ、チャート素子における白と黒の縞模様から成る領域の位置ムラ、CCDカメラの画素の感度ムラを、できるだけ低減する必要がある。上記の各種ムラを低減することを目的とした発明として、例えば、特許文献1記載の発明が挙げられる。また、結像出力の検出時の分解能を高め、高精度のMTF測定を目的とした発明として、例えば、特許文献2記載の発明が挙げられる。
【0004】
一方、被検レンズの中心部では歪曲収差がほとんど無いが、被検レンズの周辺部では歪曲収差が大きい。このため、レンズの周辺部を通して得た結像の出力が不正確になりやすい。かかる問題を解決すべく、レンズの歪曲収差を補正したMTF測定用のチャートを採用した発明も、知られている(特許文献3を参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平4−062448号公報
【特許文献2】
特開平10−068674号公報
【特許文献3】
特開平11−142292号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の従来のレンズ品質検査システムには、次のような問題がある。その1つは、特許文献1、2および3に記載される発明に代表される従来技術では、被検レンズ上にチャート紙の結像の焦点を正確に合わせることが難しいということである。被検レンズを光軸方向に移動自在にしていても、焦点調整は、人の目にゆだねられる。このため、MTF測定が煩雑となると共に、人の目による焦点調整のために、チャート紙の像がぼけてしまい、MTFの値が不正確になりがちとなる。
【0007】
本発明は、以上の問題に鑑みてなされたものであり、MTF測定を容易かつ高精度に実現することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、品質検査の対象となる被検レンズと、チャートおよびその背面に配置される光源を有するチャート装置から被検レンズ上に結像したチャートの像を拡大する顕微鏡と、その顕微鏡によって拡大される像を出力可能なカメラとを有し、MTFを算出する情報処理装置に向けて、そのMTFの算出に必要なカメラからの出力データを送るMTF測定装置であって、被検レンズおよび顕微鏡の少なくともいずれか一つを、被検レンズを貫く光軸方向に移動自在とし、被検レンズと顕微鏡の対物レンズとの距離に基づいて、その距離を一定に制御可能な変位センサを備えるMTF測定装置としている。
【0013】
このように、被検レンズと対物レンズとの距離に基づいて、一定の距離に制御する機構を採用しているので、常に、被検レンズ上のチャート像の焦点がぼけない状態で、CCDカメラへと出力することができる。
【0014】
また、別の発明は、さらに、変位センサを渦電流式のセンサとしたMTF測定装置としている。このため、ミクロンオーダあるいはサブミクロンオーダという微細距離の測定および制御が可能となる。
【0015】
また、別の発明は、さらに、変位センサを、顕微鏡と一体的に光軸方向に移動自在としたMTF測定装置としている。このため、変位センサのセンサ端面とフランジの裏面との距離が狂っている場合に、センサ端面とフランジ裏面との距離を合わせることにより、顕微鏡の対物レンズと被検レンズとの距離があう。
【0020】
また、別の発明は、チャートおよびその背面に配置される光源を有するチャート装置と、品質検査対象となる被検レンズを取り付け可能であって、チャート装置から被検レンズ上に結像したチャートの像を拡大する顕微鏡およびその顕微鏡によって拡大される像を出力可能なカメラを有すると共に、チャート装置の前方に設置されるMTF測定装置と、カメラからの出力データに基づいてMTFを算出する情報処理装置とを備え、被検レンズと顕微鏡の対物レンズとの距離に基づいて、その距離を一定に制御可能な変位センサを、MTF測定装置に備えたレンズ品質検査システムとしている。
【0021】
このように、被検レンズと対物レンズとの距離に基づいて、一定の距離に制御する機構を採用しているので、常に、被検レンズ上のチャート像の焦点がぼけない状態で、CCDカメラへと出力することができる。
【0022】
また、別の発明は、さらに、変位センサを渦電流式のセンサとしたレンズ品質検査システムとしている。このため、ミクロンオーダあるいはサブミクロンオーダという微細距離の測定および制御が可能となる。
【0023】
また、別の発明は、さらに、変位センサを顕微鏡と一体的に光軸方向に移動自在としたレンズ品質検査システムとしている。このため、変位センサのセンサ端面とフランジの裏面との距離がくるっている場合に、センサ端面とフランジ裏面との距離を合わせることにより、顕微鏡の対物レンズと被検レンズとの距離があう。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るレンズ品質検査システムの実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0029】
図1は、本発明のレンズ品質検査システムの外観を示す図である。このレンズ品質検査システムは、MTF測定用チャート装置1(以後、単に、「チャート装置1」という)と、ビデオカメラ等のレンズの品質の目安となるMTF(Modulation Transfer Function)を演算するために必要なデータを測定するためのMTF測定装置2と、MTFを演算する処理を行う情報処理装置3と、鏡筒駆動装置4と、モニタ5と、入力装置6とを備えている。なお、チャート装置1の構成部には40番台までの符号を、MTF測定装置2の構成部には50番台から90番台までの符号を、情報処理装置3の構成部には100番台120番台までの符号を、それぞれ付している。
【0030】
チャート装置1は、品質評価対象となるレンズ(以後、「被検レンズ」という)に対して、特定のエッジ抽出エリアにおける全ての周波数成分を含むインパルスを提供する装置である。チャート装置1は、互いにクロスさせた2本のアーム10と、これら2本のアーム10の交差位置、その交差位置から各アーム10の方向に所定距離だけ離れた第1位置、およびその第1位置よりさらに外側に離れた第2位置にそれぞれ配置されたチャートユニット11と、上述の交差位置を中心とし、2本のアーム10を固定した中継端子12と、中継端子12を支持するスタンド13とから、主に構成されている。
【0031】
チャート装置1に設けられているチャートユニット11は、全部で9個ある。2本のアーム10の交差位置には、不動に固定される1個のチャートユニット11aが設けられている。各アーム10の第1位置には、4個のチャートユニット11bが可動に固定されている。また、各アーム10の第2位置には、4個のチャートユニット11cが可動に固定されている。但し、以後、チャートユニット11a,11b,11cを総称して示すときには、「チャートユニット11」と称するものとする。
【0032】
各アーム10は、2本のポール10a,10bを備え、チャートユニット11b,11cを2本のポール10a,10b上を移動できるように固定している。ポール10bの近傍には、像高目盛り14が備えられている。像高目盛り14は、チャートユニット11b,11cを移動した際に、2本のアーム10の交差位置からどれくらい離れているかを正確に把握できるようにする目盛りである。
【0033】
また、チャートユニット11b,11cは、それぞれ、上部にチャートロックレバー15を備えている。チャートロックレバー15は、チャートユニット11b,11cをアーム10上に固定したりアーム10上を移動したりする際に操作するレバーである。チャートロックレバー15を90度だけ回すと、チャートユニット11b,11cがアーム10上を可動な状態となる。次に、チャートユニット11b,11cを所定の位置に動かし、チャートロックレバー15を先ほどと逆に90度だけ回す。この操作によって、チャートユニット11b,11cをアーム10上の任意の位置に固定できる。
【0034】
全てのチャートユニット11の上下方向の位置を変える場合には、中継端子12をスタンド13から引き上げあるいは下げることによって行われる。また、チャート装置1は、2本のアーム10の角度を変える機構を備えている。かかる機構については、後ほど詳述する。
【0035】
MTF測定装置2は、被検レンズを取り付け、チャート装置1からのインパルスを受け取って、被検レンズの品質を測定するための装置である。また、情報処理装置3は、MTF測定装置2からの出力情報を処理すると共に、入力装置6からの入力情報を処理する装置である。鏡筒駆動装置4は、MTF測定装置2に取り付けられた鏡筒を駆動する装置である。鏡筒は、被検レンズを備えている。
【0036】
このため、鏡筒を駆動することは、被検レンズをズーム動作させるということを意味する。具体的には、鏡筒を駆動すると、被検レンズを構成している変倍光学系(レンズ群)と合焦光学系(レンズ群)は、それぞれ光軸方向に沿って移動される。モニタ5は、MTF測定の条件、品質検査の結果等を表示する装置である。入力装置6は、MTF測定の条件等の入力および測定開始コマンドの入力等を行うための装置である。
【0037】
MTF測定装置2の背面には、DC24V出力端子台50と、チャート制御ポート51と、AC電源入力端子52と、カメラ出力ポート53と、コントロール54と、RS−232C55とが備えられている。また、情報処理装置3の背面には、AC電源入力端子100と、PCIスロット部101と、モニタ接続端子102と、キーボード入力端子103と、マウス入力端子104と、シリアルポート105とが備えられている。
【0038】
DC24V出力端子台50は、最大1アンペアまで利用可能なサービス電源であり、オプションとして使用可能な駆動工具等の電源として利用可能な出力端子である。チャート制御ポート51は、チャート装置1のチャート制御回路に接続するためのポートである。AC電源入力端子52は、AC100から240Vの電圧を入力するための端子である。
【0039】
カメラ出力ポート53は、内部のカメラからの画像データをIEEE−1394ポート101cを介して情報処理装置3に送る部分である。コントロール54は、本体制御全般を行うための接続部であり、64ピンコネクタ接続ポート101bと接続される。RS−232C55は、本体内のステージを制御するための接続部であり、情報処理装置3のシリアルポート105に接続される。
【0040】
AC電源入力端子100は、交流電源を入力するための端子である。PCIスロット部101は、50ピンコネクタ接続ポート101aと、64ピンコネクタ接続ポート101bと、IEEE−1394ポート101cとから構成されている。50ピンコネクタ接続ポート101aは、鏡筒駆動装置4と接続するためのポートである。64ピンコネクタ接続ポート101bは、コントロール54と接続するためのポートである。IEEE−1394ポート101cは、MTF測定装置2内部のカメラから画像データを受け取るためのポートである。
【0041】
モニタ接続端子102は、モニタ5に表示するデータを送るための接続端子である。キーボード入力端子103は、入力装置6から入力されたデータを受け取るための入力端子である。マウス入力端子104は、マウスから入力されたデータを受け取るための入力端子である。鏡筒駆動装置4とMTF測定装置2に取り付けられた鏡筒とは、ケーブル130で接続されている。また、鏡筒駆動装置4の背面にある端子131は、情報処理装置3の50ピンコネクタ接続ポート101aと接続されている。
【0042】
図2は、レンズ品質検査システムを用いた処理の概要を説明するための図である。
【0043】
チャートユニット11は、チャートユニット11の前面にスクウェアチャート16の一部を露出した状態で備えている。具体的には、チャートユニット11の前面には、四角い孔17があけられており、この四角い孔17の裏側から、光源からの光を透過できる光透過領域を露出したスクウェアチャート16が貼り付けられている。このため、チャートユニット11の裏から入射した光は、光透過領域を通して、被検レンズ60に届く。
【0044】
MTF測定装置2には、チャート装置1の方向から、被検レンズ60、顕微鏡61、カメラの一形態としてのCCDカメラ62が、順番に配置されている。被検レンズ60を通った光は、顕微鏡61を通して拡大されて、CCDカメラ62にて像を結ぶ。CCDカメラ62では、これをディジタル画像データとして情報処理装置3に送る。
【0045】
図2に示すように、顕微鏡61は、被検レンズ60とCCDカメラ62とを結ぶ光軸方向(=Z軸方向)、スクウェアチャート16の左右方向(=X軸方向)およびX軸方向とZ軸方向に直行する軸方向(=Y軸方向)の3方向に可動に構成されている。特に、顕微鏡61をZ軸方向に動かす機構は、被検レンズ60による結像を、顕微鏡61の対物レンズ63を介してCCDカメラ62に結像させるために重要な機構である。この機構については、後で詳述する。
【0046】
鏡筒駆動装置4は、被検レンズ60を備えた鏡筒(後で示す図9に図示される鏡筒72と同一の鏡筒)をZ軸方向に駆動する装置である。顕微鏡61と被検レンズ60との距離は、顕微鏡61および鏡筒のいずれをZ軸方向に駆動しても調整可能となっている。鏡筒駆動装置4によって鏡筒を駆動した場合は、駆動した距離のデータは、情報処理装置3によって管理される。また、鏡筒駆動装置4は、被検レンズ60に関する情報を内部メモリに格納している。情報処理装置3は、CCDカメラ62から送られた画素情報と、鏡筒駆動装置4からの種々のデータに基づきレンズの品質を評価する。情報処理装置3の内部にあるコンピュータ110の構成については、次に説明する。
【0047】
図3は、情報処理装置3の内部にあるコンピュータ110の構成を機能的表示によって示す図である。
【0048】
コンピュータ110は、制御部111と、プログラム記憶部112と、MTF演算処理部113と、画像表示処理部114と、音声出力処理部115と、外部インターフェイス116,117,118,119,120,121とを、それぞれ備えている。
【0049】
制御部111は、コンピュータ110の全体の処理動作を制御する構成部であり、主に、1つまたは複数の中央演算処理ユニット(CPU)によって構成される。プログラム記憶部112は、MTFを測定する測定条件のデータ、MTFを測定するためのプログラム、MTFの測定結果を画像あるいは音声によって出力するためのプログラム等を記憶したメモリであり、主に、ハードディスクによって構成される。ただし、プログラム記憶部112は、ハードディスクではなく、CD−ROM等の情報記録媒体を読み込み可能なCD−ROMドライブ等の構成部であっても良い。すなわち、プログラム記憶部112は、MTFの測定に必要なプログラムを記憶する手段を含んでいれば、その形態は限定されない。
【0050】
MTF演算処理部113は、外部のMTF測定装置2から送られてくる、所定領域(後で述べる「エッジ抽出エリア」をいう)の画素情報、プログラム記憶部112に記憶される情報およびプログラムに基づいて、MTFの演算処理を実行する構成部である。MTFの演算処理方法については、後で述べる。
【0051】
画像表示処理部114は、モニタ5に、MTFの測定条件の入力および表示、MTFの測定結果の表示等を行うと共に、画像情報を記憶しておく構成部であり、主に、CPUおよびVRAM等により構成される。音声出力処理部115は、MTFの測定あるいはMTFの測定結果の表示の際に、画像の表示と別個にあるいは画像の表示と併行して、アラーム、入力指示等の音声を出力させる構成部である。
【0052】
外部インターフェイス116は、画像表示処理部114からのデータをモニタ5に送るための接続部である。また、外部インターフェイス117は、音声出力処理部115からのデータを、モニタ5に併設されているスピーカ(図示省略)に送るための接続部である。
【0053】
外部インターフェイス118は、64ピンコネクタ接続ポート101bに接続している接続部であり、コンピュータ110からの指示に基づいて、MTF測定装置2の全体を制御するために必要な情報を、MTF測定装置2側と送受信する接続部である。外部インターフェイス119は、情報処理装置3のシリアルポート105に接続している接続部であり、顕微鏡61およびCCDカメラ62を、前述のX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向に駆動させるために必要な情報を、MTF測定装置2側と送受信する接続部である。
【0054】
外部インターフェイス120は、キーボード入力端子103に接続している接続部であり、入力装置6としてのキーボードから入力される情報を、コンピュータ110に送るための接続部である。また、外部インターフェイス121は、マウス入力端子104に接続している接続部であり、入力装置6としてのマウスから入力される情報を、コンピュータ110に送るための接続部である。
【0055】
次に、レンズの品質検査の方法について説明する。
【0056】
図4は、レンズ品質検査システムを用いたデータ処理の流れを説明するための図である。また、図5は、MTFの測定に必要な出力を得るためのスクウェアチャート16の領域を説明するための図である。レンズ品質検査システムは、MTF(Modulation Transfer Function)というパラメータを用いて、レンズの品質を評価するシステムである。MTFは、変調度伝達関数を意味し、振幅の周波数応答特性を示す。全ての周波数成分を含むインパルスを被検レンズ60に入力し、その出力であるインパルス応答の周波数成分を調べることによって、被検レンズ60の周波数応答特性、すなわちMTFを測定することができる。以下、その方法につき、簡潔に説明する。
【0057】
スクウェアチャート16は、四角い孔17よりも小さい四角形状の光透過領域16aと、その外側の光非透過領域16bとを有している。前述のチャートユニット11の後部に備えられた光源からの光が光透過領域16aから出射すると、その光は被検レンズ60に入射する。MTFの測定に必要なステップ応答は、図5(A)に示すように、エッジ抽出エリアX(光透過領域16aとその周囲の斜線で示す光非透過領域16bとにまたがる点線で囲まれた領域)からのエッジ像に基づく。被検レンズ60に入射前のステップ関数は、図4に示すステップ関数18aのように、エッジを境に0と1との不連続な関数となる。
【0058】
ステップ関数18aで示される光が被検レンズ60を通ると、被検レンズ60のレンズ面のうねり等の影響を受けて、エッジ像(ステップ応答)18bのような出力が得られる。次に、このステップ応答18bを微分すると、インパルス応答19が得られる。続いて、インパルス応答19を高速フーリエ変換すると、その周波数成分、すなわちMTF20を得ることが出来る。
【0059】
図4に示すように、MTF20には、実線で示すMTF20aと一点鎖線で示すMTF20bとがある。ここで、チャートユニット11cを例に、MTF20aとMTF20bの測定領域につき説明する。実線で示すMTF20aは、図5(B)に示すように、チャートユニット11cのエッジ抽出エリアX(M)から求めたMTFである。エッジ抽出エリアX(M)は、Meridional方向(以後、単に、「M方向」という)にスキャンして画素データを得るためのエッジ抽出エリアである。M方向は、被検レンズ60の径方向に相当する。
【0060】
一方、図4に示す一点鎖線で示すMTF20bは、図5(B)に示すように、チャートユニット11cのエッジ抽出エリアX(S)から求めたMTFである。エッジ抽出エリアX(S)は、Sagittal方向(以後、単に、「S方向」という)にスキャンして画素データを得るためのエッジ抽出エリアである。S方向は、被検レンズ60の周方向(径方向と直角の方向)に相当する。図4に示すMTFの軌跡から明らかなように、MTF20aの方が、MTF20bよりも、高い空間周波数領域で良好な品質を示している。
【0061】
CCDカメラ62は、被検レンズ60を通して得たエッジ抽出エリアXの画素情報を情報処理装置3に送る。情報処理装置3は、CCDカメラ62から送られた画素情報に基づいて、上述のステップ応答18b、インパルス応答19およびMTF20の算出を実行する。
【0062】
このように、本発明では、光透過領域16aと光非透過領域16bという2つの領域のエッジを作製しただけのスクウェアチャート16を使用している。このため、スクウェアチャート16を使用したMTFの測定は、従来の点像または線像を描いたチャートを使用するMTFの測定に比べて、チャートの作製が容易となる。また、スクウェアチャート16の中央部分には、スリット状の部分と異なり、透過する光を遮るものがない。このため、CCDカメラ62に入射する光量が多くなり、この結果、高速の測定が可能となる。
【0063】
また、円形の中継端子12の径方向および周方向に、スクウェアチャート16の互いに直角となる辺をそろえるようにチャートユニット11を固定すれば、自動的に、被検レンズ60の径方向(M方向)と周方向(S方向)の2方向のエッジ抽出エリアのMTFを測定することができる。異なる方向のMTFを測定できることは、レンズの品質検査の正確さにつながる。このように、スクウェアチャート16は、単純な形状でありながら、正確な品質検査ができるチャートである。
【0064】
レンズ品質検査システムは、原理的に、被検レンズ60、顕微鏡61、CCDカメラ62等の電気系およびデジタル処理における特性など、総合的な周波数特性を出力する。したがって、得られるMTFは、被検レンズ60の持つ絶対的な特性ではない。しかし、実際には、測定系の特性は、被検レンズ60のそれに対して十分に高く、被検レンズ60の特性を検査しているものとみなしても何ら問題はない。また、光源あるいはフィルターの特性、CCDカメラ62の分光感度等は、MTF測定装置2の固有値であるため、設計上のMTFとは基本的に比較できない。したがって、判定に用いる規格は、いくつかの被検レンズ60をサンプリングして、それらのデータに基づいて決定する必要がある。
【0065】
次に、レンズ品質検査システムを構成するチャート装置1について説明する。
【0066】
図6は、チャートユニット11を固定している2本のアーム10の部分をチャート装置1から抜き出して示す図である。図6に示すチャートユニット11aは、「X」状に交差するアーム10の交差位置に配置される固定のチャートユニット11である。チャートユニット11bは、チャートユニット11aを中心とする円周上に配置され、その円の径方向に可動のチャートユニット11である。また、チャートユニット11cは、チャートユニット11aを中心とする円周上にあって、チャートユニット11bよりもさらに外側の円周上に配置され、その円の径方向に可動のチャートユニット11である。
【0067】
このように、チャートユニット11b,11cは、光軸に対して同心円上に配置されているので、このレンズ品質検査システムを用いて、M方向およびS方向という2種類の方向で測定ができると共に、M、S各方向につき多数の測定ができる。さらに、チャートユニット11のスクウェアチャート16には、M方向およびS方向のエッジ抽出エリアが2個づつ存在する。このため、M、S方向の2方向のMTFを平均することにより、レンズの高品質な検査を行うことが可能となる。
【0068】
図7は、チャートユニット11の拡大正面図である。チャートユニット11の内部には、四角い孔17より大きいスクウェアチャート16が取り付けられている。前述のエッジ抽出エリアXは、光透過領域16aと非光透過領域16bとの境界を含む領域である。
【0069】
先の図6に示すように、チャートユニット11cの光透過領域16aは、チャートユニット11bの光透過領域16aよりも大きい。このようにした理由は、被検レンズ60がテレ状態にあるときとワイド状態にあるときとで、CCDカメラ62上に結像するチャート像の大きさを揃える必要からである。以下、この理由につき、詳述する。テレ状態およびワイド状態で被検レンズ60のMTFを検査するときには、その検査位置が被検レンズ60の概ね同じ位置となるようにしている。テレ状態のときには、被検レンズ60の画角は小さくなり、ワイド状態のときには、被検レンズ60の画角は大きくなる。
【0070】
このため、被検レンズ60がテレ状態に駆動されたときには、中央寄りに配置される2種類のチャートユニット、すなわち、チャートユニット11bとチャートユニット11aを使用してMTFを測定する。一方、被検レンズ60がワイド状態に駆動されたときには、チャートユニット11cとチャートユニット11aを使用してMTFを測定する。テレ状態およびワイド状態における結像倍率を比較すると、テレ状態における結像倍率の方が大きい。
【0071】
したがって、テレ状態での光透過領域16aを観察したときのチャート像の大きさと、ワイド状態での光透過領域16aを観察したときのチャート像の大きさとをできるだけ近づけるには、チャートユニット11bの光透過領域16aを、チャートユニット11cの光透過領域16aよりも小さくする必要がある。そうすれば、エッジ抽出エリアXに含まれるCCDの画素数も同数となり、MTFの測定は、テレ状態およびワイド状態に依存しない高精度なものとなる。なお、中央にあるチャートユニット11aの光透過領域16aについては、チャートユニット11bの光透過領域16aとチャートユニット11cの光透過領域16aの間の大きさとし、テレ状態でもワイド状態でも、MTFの測定精度に大きな影響を与えないようにしている。
【0072】
図8は、チャート装置1を、MTF測定装置2と反対側となる裏側から見た図である。
【0073】
中継端子12の裏側には、アームロックレバー21a,21b(以後、アームロックレバーを総称して説明するときには、「アームロックレバー21」と称するものとする)が各1個づつ設けられている。また、中継端子12の左右やや上方には、それぞれ角度目盛り22a,22bと、アーム10と接続された針23a,23bとが、それぞれ設けられている。アームロックレバー21は、アーム10を中継端子12に対して回転させるためのレバーである。アーム10の角度は、水平に対して45度を基準角度とし、プラスマイナス20度の範囲内で調整可能である。このように、アーム10の角度を可変としているので、レンズ品質検査システムは、被検レンズ60の多くの形態に対応可能である。また、同じ形態の被検レンズ60を使用する場合においても、このチャート装置1は、評価箇所の変更に対応容易である。
【0074】
また、中継端子12とスタンド13との間には、両者12,13の距離を変えられるように、中継端子調整部24が設けられている。その中継端子調整部24には、高さ調整用ハンドル25が設けられている。高さ調整用ハンドル25は、ハンドル上に設けられたグリップ26と、下方に伸びてスタンド13に固設されたねじ管27に挿入されるねじ28とを有している。したがって、グリップ26を持って高さ調整用ハンドル25を回すことによって、中継端子12とスタンド13の距離を調整することができる。
【0075】
図9は、図6に示すチャートユニット11cのA−A線断面図であり、一部分解した状態を示す図である。
【0076】
チャートユニット11cは、スクウェアチャート16を四角い孔17の裏側に備えた前面パネル30と、前面パネル30の裏側に固着させた四角筒状の反射板31と、反射板31を矢印Yの方向に挿入して前面パネル30と合体させるチャートユニットベース32と、チャートユニットベース32の裏側に配置されるランプ33とから、主に構成されている。
【0077】
前面パネル30のスクウェアチャート16の裏側には、第2拡散板である拡散板34が貼り付けられている。この拡散板34は、ランプ33からの光をできるだけ均一に四角い孔17から出射させるための部材であり、片面をオパールコートしたガラスである。また、四角い孔17の反対側には、孔が開けられており、その孔の周囲に四角筒状の反射板31が固着されている。反射板31は、ランプ33からの光をチャートユニット11cの外に漏らさずに、前面パネル30へと送るための部材であり、内面を鏡面に研磨したアルミニウムからなる。ただし、反射板31の材質は、アルミニウムに限定されることなく、ステンレス鋼等の他の材質であっても良い。
【0078】
チャートユニットベース32は、前面パネル30側を反射板31が挿入可能な凹部とし、後部側にランプ33を取り付け可能な貫通孔(第1貫通孔35および第2貫通孔36)を設けた部材である。第1貫通孔35は、反射板31を取り付ける側に、反射板31の開口部よりも小さな孔として設けられている。また、第1貫通孔35の裏側には、第1拡散板である拡散板37が貼り付けられている。ランプ33からの光をできるだけ均一に反射板31へと出射するためである。第2貫通孔36は、ランプ33を取り付ける側に、ランプ33の開口部よりも小さな孔で設けられている。
【0079】
ランプ33の後部には、白色光を放つハロゲンランプ(光源)38と、光源38をランプ33に固定して、外部の電源からの電気を光源38に送る接続端子(図示省略)を有するランプソケット39とが設けられている。ランプ33は、光源38を中心として半球面状の反射板から構成されている。このため、光源38からの光は、半球面状の反射板で中央部分へと集光されて第2貫通孔36へと入射する。光源38に白色光を放つ光源を採用しているので、被検レンズ60の実際の使用環境下における評価が可能となる。しかも、単色光を放つ光源に比べて、安価な光源を採用できる。
【0080】
ランプ33は、チャートユニットベース32に接続するフランジ部分の一端を皿ビス40で挟み、同フランジ部分の他端をフリーとして、チャートユニットベース32に取り付けられている。ランプ33のフランジ部分の他端近傍には、その他端をチャートユニットベース32の方向に押しつけるように、押さえバネ41が設けられている。光源38の交換の際には、ランプソケット39を外して、ランプ33を押さえバネ41の方に寄せて、皿ビス40からランプ33のフランジ部分の一端を外すという方法が採られる。
【0081】
チャートユニット11cが上述のような構成であるため、光源38からの光は、第2貫通孔36を通って、拡散板37にて拡散されて、第1貫通孔35から反射板31内に入射する。反射板31を通った光は、前面パネル30内に入って、拡散板34で拡散され、スクウェアチャート16の光透過領域16aから外部に出射する。このチャートユニット11b,11cでは、拡散板37および拡散板34が採用されているため、光透過領域16aから出射する光は、同領域16a内でほぼ均一化される。
【0082】
また、チャートユニットベース32の内部に反射板31が設けられているので、光源38からの光が漏光する危険性が少ない。しかも、反射板31の孔の大きさは、反射板37よりも小さいので、反射板31の孔を通過する光の光度は、反射板31の孔の面積内において均一化されている。なお、図9は、チャートユニット11cの構成を示した図であるが、チャートユニット11a,11bの構成も、光透過領域16aの大きさが異なるだけで、図9に示すチャートユニット11cの構成と同一である。
【0083】
次に、レンズ品質検査システムを構成するMTF測定装置2について説明する。
【0084】
図10は、MTF測定装置2と鏡筒駆動装置4とを示す斜視図であり、MTF測定装置2の内部構成の一部を透過的に示した図である。また、図11は、MTF測定装置2の正面図である。MTF測定装置2の正面(チャート装置1の方向を向いた面)には、被検レンズ60を備える鏡筒72を固定するためのフランジである鏡筒取り付け治具台座80が設けられている。鏡筒72は、鏡筒駆動装置4とケーブル130で接続されており、被検レンズ60をズーム動作可能としている。また、MTF測定装置2の上面には、上蓋70が設けられている。上蓋70は、ディンプルノブ71を掴んで開閉可能である。
【0085】
また、MTF測定装置2の内部には、図10に点線で示すように、2つの略台形の保持板としての垂直保証台90が、鏡筒取り付け治具台座80を備えた面(正面パネル)と底面との間に設けられている。垂直保証台90は、鏡筒取り付け治具台座80を備えた面に、ボルト91によって固定されている。また、垂直保証台90は、鏡筒取り付け治具台座80を備えた面と底面とに挟まれた部分の角度を正確に90度となるように設計されている。加えて、垂直保証台90の厚みは、10ミリ以上の厚みである。このため、鏡筒内の被検レンズ60の光軸とMTF測定装置2の内部の顕微鏡61の光軸の平行度を確保できる。ただし、垂直保証台90の厚みは、10ミリ以上としなくても、7ミリ等の10ミリ以下の任意な厚みであっても良い。
【0086】
図11に示すように、鏡筒取り付け治具台座80には、被検レンズ60を備えた鏡筒72を挟持して固定するためのE形止め歯81が固定されている。また、鏡筒取り付け治具台座80は、4個のネジ82でMTF測定装置2の正面に取り付けられている。また、MTF測定装置2の正面には、鏡筒取り付け治具台座80の位置決め用のキー溝83が設けられている。したがって、鏡筒取り付け治具台座80をMTF測定装置2に取り付ける際には、キー溝83を基準に鏡筒取り付け治具台座80を位置決めしてから、4個のネジ82が締められる。
【0087】
一方、鏡筒取り付け治具台座80をMTF測定装置2から取り外す際には、4個のネジ82を外し、前方にまっすぐ引き出す。また、MTF測定装置2の底面には、その4つ角に各1個づつのアジャスタ92が設けられている。アジャスタ92の高さを調整することによって、チャート装置1との高さの調整、MTF測定装置2の平行を図ることが可能となる。
【0088】
図12は、鏡筒72を取り付けていない状態の鏡筒取り付け治具台座80の斜視図である。
【0089】
鏡筒取り付け治具台座80は、被検レンズ60の光軸が顕微鏡61の光軸と平行になるように固定すると共に、被検レンズ60と顕微鏡61との距離を調整し、正確な焦点調整を可能とするための部材である。鏡筒取り付け治具台座80に設けられたE形止め歯81は、2本の止め歯81a,81bから構成されている。鏡筒72は、これら2本の止め歯81a,81bに挟持された状態で鏡筒取り付け治具台座80に固定される。2本の止め歯81a,81bは、図12に示すように、2本の止め歯81a,81bの端部を通るボルト84を締めることによって、鏡筒72を固定可能な構造を有している。また、E形止め歯81は、止め歯固定部材85によって、鏡筒取り付け治具台座80に固定されている。
【0090】
また、鏡筒取り付け治具台座80の略中央には、表裏方向に貫通する角孔86が設けられている。角孔86は、被検レンズ60上に結像するスクウェアチャート16の像を、MTF測定装置2内部の顕微鏡61内に入射するための孔である。角孔86の左辺および右辺には、表方向に凸となる鏡筒支持プレート87が設けられている。鏡筒72の裏面は、鏡筒支持プレート87の表面に接触した状態で、鏡筒取り付け治具台座80に固定される。
【0091】
鏡筒支持プレート87の表面および鏡筒取り付け治具台座80のフランジ裏面88(以後、単に、「裏面88」という)は、互いに正確に平行であって、かつ双方とも光軸に対して正確に垂直となるように設けられている。このため、鏡筒72を鏡筒取り付け治具台座80に取り付けた状態において、被検レンズ60は、被検レンズ60の光軸が裏面88に対して垂直になるように配置されている。この結果、被検レンズ60上に結像したスクウェアチャート16の像は、被検レンズ60の光軸と対物レンズ63の光軸とが平行になるように位置している顕微鏡61に入射する。
【0092】
図13は、MTF測定装置2の内部構成を示す側面図である。また、図14は、MTF測定装置2の内部の一部分を透過的に示す正面図である。具体的には、図14中で実線で描かれた顕微鏡61、第1プレート64a、第2プレート64b、ドライバ67a、ドライバ67bおよびドライバ67cは、MTF測定装置2の内部に配置される構成部でありながら、図14において透過的に描かれている。
【0093】
図13に示すように、MTF測定装置2には、その前方から、被検レンズ60を有する鏡筒72と、鏡筒72の光軸と光軸を平行に配置されている対物レンズ63を有する顕微鏡61と、顕微鏡61の後部に配置されるCCDカメラ62とを備えている。なお、鏡筒72の光軸と対物レンズ63の光軸が平行という意味は、両方の光軸が一致している場合も含めた状態を意味するものとする。また、MTF測定装置2には、図13および図14に示すように、顕微鏡61の側面に沿う第1プレート64aと、その第1プレート64aから顕微鏡61の下面に沿って略直角に伸びる第2プレート64bとから構成されるステージ64が設けられている。
【0094】
第1プレート64aの上方であって、かつ対物レンズ63の近傍には、変位センサ65が設けられている。変位センサ65は、その先端と鏡筒取り付け治具台座80の裏面88との距離に基づいて、対物レンズ63と被検レンズ60との距離を調整し、対物レンズ63上において、スクウェアチャート16のチャート像の焦点を合わせるようにするためのセンサである。変位センサ65は、変位センサ取り付け板66aに固定されている。また、変位センサ取り付け板66aには、センサ位置調整ツマミ66bが設けられている。変位センサ65の位置は、情報処理装置3における設定に基づいて自動調整可能であると共に、手動で調整可能でもある。変位センサ65の機能については、後述する。
【0095】
図14に示すように、第1プレート64aを挟んで顕微鏡61の反対側には、Y軸方向(MTF測定装置2の高さ方向)に顕微鏡61を可動なドライバ67aが備えられている。また、第2プレート64bの下方には、X軸方向(図14に示すMTF測定装置2において、左右方向)に顕微鏡61を可動なドライバ67bが備えられている。さらに、MTF測定装置2内部の底面には、Z軸方向(図14を描いた紙面に対し表裏方向)に顕微鏡61を可動なドライバ67cが備えられている。
【0096】
ドライバ67a,67b,67cは、それぞれ、情報処理装置3における設定に基づいて移動可能である。なお、ドライバ67a,67bには、図13に示すように、それぞれボタン68a,68bが設けられている。ボタン68aまたはボタン68bを押すことによって、顕微鏡61をそれぞれY軸方向またはX軸方向に手動で移動させることができる。また、ドライバ67cは、変位センサ65と接続されており、変位センサ65の検出結果に基づいて、顕微鏡61をZ軸方向に移動させることができる。また、図13に示すように、MTF測定装置2内部の後部には、電力供給装置69が設けられており、外部からMTF測定装置2内の構成部に電力を供給可能となっている。
【0097】
ユーザは、情報処理装置3に接続されたモニタ5上において、From(開始点)、To(終了点)、Division(分割数)の3種のパラメータを指定することができる。開始点および終了点は、ミリ単位で指定可能である。スキャンは、開始点と終了点の間を分割数で割った間隔値で実行される。座標は、Z軸(光軸と平行の軸)の原点をゼロとし、被検レンズ60側をマイナスに、顕微鏡61側をプラスとして決められている。
【0098】
スキャン可能な範囲は、Z軸のオフセットがゼロの時に、プラスマイナス0.45mmとしている。オフセットがある場合には、スキャン可能な範囲も異なる。例えば、Z軸オフセットがプラス0.1mmであった場合には、スキャン可能な範囲は、マイナス0.55mmからプラス0.35mmとなる。
【0099】
ここで、レンズ品質検査システムのMTF測定装置2、情報処理装置3およびモニタ5をオンにして焦点調整を行う方法について説明する。
【0100】
図15は、このレンズ品質検査システムの電源をオンにして焦点調整を行う方法について説明するための図である。レンズ品質検査システムを起動すると、ステージ64の位置が初期化され、原点に復帰する。原点は、予め、情報処理装置3内のメモリに書き込まれている。図15に示すように、初期の像面位置Pは、鏡筒取り付け治具台座80の表方向の面(チャート装置1の方向の面)からチャート装置1の方向に光軸(図15中、1点鎖線で示す軸)上を9.7mmだけ移動した点(鏡筒取り付け治具台座80のフランジ面をゼロとすると、−9.7mmの位置)としている。
【0101】
ただし、情報処理装置3のメモリ内に格納されたコンピュータソフトウェアを利用して設定する項目「basis setup」の項目「Z servo control」におけるオフセット値がゼロでない場合には、初期の像面位置Pは、前記−9.7mmにオフセット値を加算した位置に復帰する。なお、初期の像面位置Pは、前記の−9.7mmに限定されるものではなく、−10.0mm、−8.5mm等の任意の値としても良い。
【0102】
原点調整を行うには、それぞれの治具に合った原点調整具を作製するか、光軸と像面の保証された鏡筒を用意する必要がある。例えば、像面位置の中心にクロスタイプのレクチルの中心を一致させた基準治具を採用すると良い。かかる基準治具を取り付けた状態で、実際に顕微鏡61で観察しながら、原点調整が行われる。以下、原点調整方法について説明する。
【0103】
このレンズ品質検査システムの電源をオンにし、モニタ5上に表示されている「ADJUST」ボタンが押されると、X、YおよびZの3軸とCCDカメラ62のゲインがリアルタイムに制御できるウィウンドウが開く。この状態において、「HOME」ボタンを押すと、対物レンズ63は、原点、すなわちステージ64の可動範囲の中心である(X,Y=1000,1000)に復帰する。ユーザは、画像を見ながら、「JOG」ボタンでXおよびYの中心を調整することができる。
【0104】
また、ピントは、微小であれば、「Offset」ボタンにて調整可能である。「Offset」ボタンは、プラスマイナス0.45mmの範囲で調整可能である。ただし、オフセット値が大きいと、焦点をCCDモード(顕微鏡61を移動させるモード)で使用する際に、検索レンジが狭くなる。ピント調整のために顕微鏡61をZ軸上を大きく移動させる場合には、図13に示した上蓋70を開けて、変位センサ65のセンサ位置調整ツマミ66bを回して焦点調整し、調整できた位置をZ軸上の原点とする。
【0105】
このレンズ品質検査システムでは、通常の像面に対し撮像範囲が狭いため、像面を一度に撮像することが困難である。このため、顕微鏡61と組み合わせたCCDカメラ62を、ステージ64で目的の検査位置まで移動させて撮像する必要がある。この際、ステージ64の真直度、治具取り付け基準面とステージ64との平行度の誤差によって、顕微鏡61の焦点が検査像面に対して平行移動しないことがある。このような状況になると、MTFの値にも誤差が生じる危険性がある。このレンズ品質検査システムでは、かかるMTFの値の誤差を無くするため、顕微鏡61が上記の基準面との距離を一定に保つように、光軸の方向(=Z軸方向)の制御をしている。
【0106】
図16は、レンズ品質検査システムにおける像面補償制御を説明するための図で、MTF測定装置2内の変位センサ65の近傍を拡大して示す図である。
【0107】
先に図13に基づいて説明したように、変位センサ65(図16中、黒色で示された部分)は、顕微鏡61と一体的に移動可能なように、変位センサ取り付け板66aに固定されている。この変位センサ65は、約0.4ミクロンの分解能を持ち、測定誤差をプラスマイナス1ミクロン以内に低減可能な渦電流式センサである。センサ部のコイルと変換部のコンデンサによりLC共振回路を形成し、この回路を水晶発振器により共振状態にすると、センサ部と測定対象物との距離によって、測定対象物に生じる渦電流損が距離の対数に反比例する。センサ部のインダクタンスは、距離の対数に比例する。
【0108】
このような変位センサ65を用いているため、鏡筒取り付け治具台座80の裏面88とセンサ65の先端との距離Tが変化すると、共振回路の端子電圧が、上記裏面88とセンサ65の先端との間の基準距離(0.5mm)の時と異なる共振電圧となる。この共振電圧を基準距離時の電圧となるようにフィードバックして、変位センサ取り付け板66aを両矢印Yのように移動することによって、鏡筒取り付け治具台座80の裏面88と変位センサ65の先端との距離Tを、0.5mmに保持することができる。このMTF測定装置2は、上述の距離Tを0.5mmにした時に、対物レンズ72と被検レンズ60との光軸(図16中、一点鎖線で示す軸)上の距離が、被検レンズ60上のチャート像をピンぼけしない正確な像として拡大できる距離となるようにしている。
【0109】
また、変位センサ65を変位センサ取り付け板66aから外し、変位センサ取り付け板66aをその略中心を通る一点鎖線を中心軸として180度回転させることによって、変位センサ65の測定箇所を変えることができる。図16において、実線と点線の白抜きで示す変位センサは、黒色で塗りつぶした変位センサ65の位置(初期位置)を変更したときの状態を示したものである。このように、変位センサ65の測定箇所を変えることによって、鏡筒取り付け治具台座80の形状、あるいはその裏面88の状態に応じた計測が可能となる。
【0110】
なお、本発明は、上述の実施の形態に限定されず、次のような種々変更した実施の形態として実施可能である。
【0111】
上述の実施の形態では、カメラとしてCCDカメラ62を採用したが、CCDカメラ62以外のカメラを採用しても良い。
【0112】
被検レンズ60と顕微鏡61の内、いずれか一方のみをZ軸方向に移動するようにしても良い。また、顕微鏡61自体をZ軸方向に動かないように固定し、対物レンズ63をZ軸方向に移動できる機構を採用しても良い。また、被検レンズ60または顕微鏡61を、チャート装置1に近づけたり、あるいはチャート装置1から遠ざけたりできるように、Z軸の双方向に可動自在とせずに、いずれか一方向のみに可動自在にしても良い。
【0113】
また、変位センサ65は、被検レンズ60と対物レンズ63との距離を一定に制御するために、間接的に、鏡筒取り付け治具台座80の裏面88と変位センサ65の先端との距離Tを測定し、その距離Tを一定にする制御を行っている。しかし、被検レンズ60と対物レンズ63との距離を、直接計測して、制御するようにしても良い。また、変位センサ65は、渦電流式のセンサではなく、光センサ等の他の種類のセンサであっても良い。ただし、ミクロンオーダ、サブミクロンオーダの制御を、安価に実現するには、渦電流式のセンサを採用するのが好ましい。
【0114】
また、変位センサ65と顕微鏡61とはステージ64を介して一体的に移動可能であるが、変位センサ65と顕微鏡61とを別個に移動可能としても良い。その場合には、変位センサ65の計測に基づいて、その計測した距離だけ、顕微鏡61あるいは対物レンズ63が移動する機構を採用することができる。
【0115】
スクウェアチャート16は、上述の実施の形態では、四角い光透過領域16aの周囲を四角いリング形状の光非透過領域16bが囲った、四角い外形を有するチャートである。しかし、外形は、四角形状である必要はなく、丸でも三角形状でも良い。また、光非透過領域16bは、完全に、光透過領域16aを囲う形状ではなく、四角い光透過領域16aの3辺のみをコの字型で囲った領域であっても良い。さらに、光非透過領域16bは、四角い光透過領域16aの2辺のみを鍵型に囲った領域であっても良い。
【0116】
また、チャート装置1は、必ずしも、アーム10の交差位置にチャートユニット11を備えていなくても良い。光源38は、ハロゲンランプではなく、キセノンランプ等の他の光源であっても良い。さらに、光源38は、単色光を放つ光源(例えば、LED)でも良い。
【0117】
また、上述の実施の形態では、2枚の拡散板(拡散板34および拡散板37)を配置しているが、3枚以上あるいは1枚でも良い。また、反射板31を挟む両方向に、1枚づつの拡散板を配置するのではなく、反射板31の光源38側あるいはその反対側に、2枚以上の拡散板を配置するようにしても良い。また、上述の実施の形態で採用される拡散板34,37は、オパールコートされているが、曇り硝子の処理をされたものでも良い。
【0118】
また、反射板31の孔形状は、四角形状以外の形状でも良い。特に、光透過領域16aの形状が四角形状でない場合には、反射板31の孔形状も光透過領域16aの形状に合わせて、四角形状以外の形状にしても良い。さらに、反射板31の孔形状は、光透過領域16aの形状に必ずしも合わせなくても良い。特に、反射板31の孔の大きさが光透過領域16aの大きさよりも大きい場合には、光透過領域16a内の光度の均一化が可能である。また、反射板31の孔の大きさを、第1拡散板としての拡散板37よりも大きくしても良い。第2拡散板としても拡散板34によって、ある程度、光透過領域16a内の光度の均一化を図ることが可能だからである。ただし、反射板31の孔の面積内においてもできるだけ光度の均一化を図る方が好ましいので、反射板31の孔を拡散板37よりも小さくする方が、より好ましい。
【0119】
また、アーム10は、2本に限定されず、3本以上であっても良い。また、チャートユニット11は、アーム10の公差位置から端部までの間に2個ではなく、1個、あるいは3個以上設けても良い。また、像高目盛り14に代用して、チャートユニット11のアーム10の交差位置からの距離を表示するデジタルメータを採用しても良い。
【0120】
また、アーム10は、交差する2本を別個独立に、水平方向からの角度を変更できる機構を有するものであっても良いし、はさみのごとく、2本が連動して互いの角度を増減する機構を有するものでも良い。て説明する。
【0121】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、MTF測定を容易かつ高精度に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレンズ品質検査システムの好適な実施の形態の外観を示す図である。
【図2】図1に示すレンズ品質検査システムを用いた処理の概要を説明するための図である。
【図3】図2に示す情報処理装置の内部にあるコンピュータの構成を機能的表示によって示す図である。
【図4】図1に示すレンズ品質検査システムを用いたデータ処理の流れを説明するための図である。
【図5】図1に示すレンズ品質検査システムにおけるMTFの測定に必要な出力を得るためのスクウェアチャートの領域を説明するための図であり、図5(A)は、エッジ抽出エリアXを示す図であり、図5(B)は、チャートユニットのエッジ抽出エリアX(S)およびエッジ抽出エリアX(M)を示す図である。
【図6】図1に示すチャート装置から、チャートユニットを固定している2本のアームの部分を抜き出して示す図である。
【図7】図6に示すチャートユニットの拡大正面図である。
【図8】図1に示すチャート装置1、MTF測定装置と反対側となる裏側から見た図である。
【図9】図6に示すチャートユニットのAーA線断面図であり、一部分解した状態を示す図である。
【図10】図1に示すMTF測定装置と鏡筒駆動装置とを示す斜視図であり、MTF測定装置の内部構成の一部を透過的に示した図である。
【図11】図10に示すMTF測定装置の正面図である。
【図12】図12に示す鏡筒取り付け治具台座であって、鏡筒を取り付けていない状態の斜視図である。
【図13】図10に示すMTF測定装置の内部構成を示す側面図である。
【図14】図10に示すMTF測定装置の内部の一部分を透過的に示す正面図である。
【図15】図1に示すのレンズ品質検査システムの電源をオンにして焦点調整を行う方法について説明するための図である。
【図16】図1に示すレンズ品質検査システムにおける像面補償制御を説明するための図で、MTF測定装置内の変位センサの近傍を拡大して示す図である。
【符号の説明】
1 チャート装置(MTF測定用チャート装置)
2 MTF測定装置
3 情報処理装置
4 鏡筒駆動装置
5 モニタ
6 入力装置
10 アーム
11 チャートユニット(MTF測定用チャートユニット)
11a チャートユニット(MTF測定用チャートユニット)
11b チャートユニット(MTF測定用チャートユニット)
11c チャートユニット(MTF測定用チャートユニット)
14 像高目盛り
15 チャートロックレバー
16 チャート(スクウェアチャート)
16a 光透過領域
16b 光非透過領域
17 四角い孔
31 反射板
33 ランプ
34 拡散板(第2拡散板)
37 拡散板(第1拡散板)
38 ハロゲンランプ(光源)
60 被検レンズ
61 顕微鏡
62 CCDカメラ(カメラ)
63 対物レンズ
64 ステージ
65 変位センサ(渦電流式センサ)
72 鏡筒
80 鏡筒取り付け治具台座(フランジ)
87 取り付け面
88 裏面(フランジ裏面)
90 垂直保証台(保持板)

Claims (6)

  1. 品質検査の対象となる被検レンズと、チャートおよびその背面に配置される光源を有するチャート装置から上記被検レンズ上に結像した上記チャートの像を拡大する顕微鏡と、その顕微鏡によって拡大される像を出力可能なカメラとを有し、MTFを算出する情報処理装置に向けて、そのMTFの算出に必要な上記カメラからの出力データを送るMTF測定装置であって、
    上記被検レンズおよび上記顕微鏡の少なくともいずれか一つを、上記被検レンズを貫く光軸方向に移動自在とし、
    上記被検レンズと上記顕微鏡の対物レンズとの距離に基づいて、その距離を一定に制御可能な変位センサを備えることを特徴とするMTF測定装置。
  2. 前記変位センサは、渦電流式のセンサであることを特徴とする請求項記載のMTF測定装置。
  3. 前記変位センサは、前記顕微鏡と一体的に、前記光軸方向に移動自在とすることを特徴とする請求項または記載のMTF測定装置。
  4. チャートおよびその背面に配置される光源を有するチャート装置と、品質検査対象となる被検レンズを取り付け可能であって、上記チャート装置から上記被検レンズ上に結像した上記チャートの像を拡大する顕微鏡およびその顕微鏡によって拡大される像を出力可能なカメラを有すると共に、上記チャート装置の前方に設置されるMTF測定装置と、上記カメラからの出力データに基づいてMTFを算出する情報処理装置とを備え、
    上記被検レンズと上記顕微鏡の対物レンズとの距離に基づいて、その距離を一定に制御可能な変位センサを、上記MTF測定装置に備えることを特徴とするレンズ品質検査システム。
  5. 前記変位センサは、渦電流式のセンサであることを特徴とする請求項記載のレンズ品質検査システム。
  6. 前記変位センサは、前記顕微鏡と一体的に、前記光軸方向に双方向移動自在とすることを特徴とする請求項または記載のレンズ品質検査システム。
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