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JP3933281B2 - ウレタン系塗料組成物 - Google Patents
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JP3933281B2 - ウレタン系塗料組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐水性、防食性、硬化性、作業性、低発泡性をはじめとする巾広い特性を備えたウレタン系の塗料組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
厚膜塗装が可能でかつ防食性にすぐれた塗料として、従来、コールタール、アスファルト、タールエポキシ塗料、タールウレタン塗料などのタール系塗料が、埋設管、タンク、橋梁、各種陸上構造物、船舶などの防食を目的として使用されていた。しかしながらタール系塗料は、発ガン性の懸念があるので使用可能な適用分野が制限されつつある。
【0003】
防食性、防水性を有する塗料としてノンタールのエポキシ樹脂塗料も普及している。ところが、エポキシ樹脂塗料は高硬度で光沢も良好であるものの、柔軟性に欠けること、耐熱水性や耐薬品性が必ずしも満足しえないこと、低温での硬化速度が遅いこと、硬化剤として用いるアミン系硬化剤による皮膚刺激性があることなどの問題が残っている。
【0004】
この解決策として、ノンタールのウレタン系樹脂塗料が使用されるようになり、殊に3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(MOCA)やこれとポリエーテルポリオール(殊にポリプロピレングリコール)とを使用した防水塗料の如きウレタン系樹脂塗料が多く使われるようになってきたが、この塗料は毒性(発ガン性)のおそれがあるという問題がある。そこで毒性が比較的小さいジエチルトルエンジアミンを使用したウレタン系樹脂塗料も開発されているが、根本的な問題点の解消には至っていない。
【0005】
そして、上述のようなアミン化合物を用いないウレタン系樹脂塗料として、ヒマシ油またはヒマシ油変性ポリオールを用いたウレタン樹脂塗料が使用されつつあり、またさらに改良を図るため、ヒマシ油系のポリオールをポリエーテルポリオール(殊にポリプロピレングリコール)と併用する系も実用化されている。
【0006】
特開昭57−92015号公報には、NCO成分がポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、活性水素成分がビスフェノール類のオキシアルキレンエーテル、高分子ポリオールおよび必要に応じ低分子ポリオールである硬質の床仕上用組成物が示されている。
ここで高分子ポリオールの例は、ヒマシ油系ポリオールやポリエンポリオールである。
【0007】
特開平7−165866号公報には、ヒマシ油誘導体と、末端カルボキシル基含有化合物とを反応または混合した活性水素含有化合物と、ポリイソシアネートとからなる無溶剤型ウレタン樹脂組成物が示されている。ここでヒマシ油誘導体の例は、ヒマシ油、そのアルキレンオキシド付加物、そのエポキシ化物、そのハロゲン化物、ヒマシ油と多価アルコールとのエステル交換物である。末端カルボキシル基含有化合物の例は、ロジン誘導体、多塩基酸、多塩基酸と多価アルコールとのエステル化によって得られるポリエステル、一塩基酸などである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ヒマシ油系ポリオールを用いたウレタン樹脂塗料は、時代の流れに沿うものではあるが、低硬度から高硬度の巾広い物性を付与することは容易でないこと、防食性が必ずしも充分ではないことなどの課題が残っている。ヒマシ油系ポリオールと共にポリエーテルポリオールを併用する系も、吸湿性が大きいため厚塗りでは発泡しやすく、また塗膜の吸湿性も大きくなって塗膜強度や防食性に問題を起こしやすい。
【0009】
特開昭57−92015号公報や特開平7−165866号公報に記載の塗料も、改良は図られているものの、上述のようなヒマシ油系ポリオールを用いるという点では共通しているため、おのずから到達レベルに限界があり、高度化する要求の前にはさらに品質を高めることが要請される。
【0010】
本発明は、このような背景下において、従来のヒマシ油系ポリオールを用いたウレタン系塗料の限界を越え、耐水性、防食性、硬化性、作業性、低発泡性をはじめとする巾広い特性を備えたウレタン系塗料組成物を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のウレタン系塗料組成物は、
ポリイソシアネート成分(X)とポリオール成分(Y)とを主たる樹脂成分とするウレタン系の塗料組成物であること、
前記のポリオール成分(Y)が、カルボン酸単位 (A) と多価アルコール単位 (B) とで構成されたポリエステルポリオール (Y1) と、他のポリオール (Y2) とからなること、
前記のポリエステルポリオール (Y1) が、ヒマシ油脂肪酸または水添ヒマシ油脂肪酸からなるOH基を有するカルボン酸同士またはそのOH基を有するカルボン酸とOH基を有しないカルボン酸とが縮合した2量体以上のオキシカルボン酸オリゴマー単位(a) を少なくとも一部含むカルボン酸単位(A) と、少なくとも一部がトリメチロールプロパンである多価アルコール単位(B) とで構成されたものであること、
前記の他のポリオール (Y2) の少なくとも一部が、ビスフェノール類オキシアルキレンエーテルまたはその誘導体、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピルアミン)アニリンおよび2−エチル−1,3−ヘキサンジオールから選ばれた少なくとも1種のポリオールであること、および、
前記のポリエステルポリオール (Y1) と前記の他のポリオール (Y2) との合計量を100重量%とするとき、 (Y1) の割合が99〜20重量%、 (Y2) の割合が1〜80重量%であること、
特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
【0013】
《ポリイソシアネート成分(X)》
ポリイソシアネート成分としては、ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメライズドジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタンジイソシアネートをはじめとする種々のポリイソシアネート、あるいはこれらのポリイソシアネートのウレタン変性体、二量体、三量体、カルボジイミド変性体、アロハネート変性体、ウレア変性体、ビウレット変性体、ブロック化物(フェノール類、オキシム類、イミド類、メルカプタン類、アルコール類、ε−カプロラクタム、エチレンイミン、α−ピロリドン、マロン酸ジエチル、亜硫酸水素ナトリウム、ホウ酸等でブロック化したもの)、通常のプレポリマーなどが用いられる。耐侯性が要求されるときは、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの無黄変ポリイソシアネートを選択使用することが望ましい。
【0014】
《ポリオール成分(Y)》
ポリオール成分(Y)は、以下に述べるポリエステルポリオール(Y1)を必須成分とし、
さらには後述のような他のポリオール(Y2)を必須成分として含むものである
【0015】
〈ポリエステルポリオール(Y1)〉
ポリエステルポリオール(Y1)は、カルボン酸単位(A) と多価アルコール単位(B) とで構成される。
【0016】
カルボン酸単位(A) は、OH基を有するカルボン酸同士またはそのOH基を有するカルボン酸とOH基を有しないカルボン酸とが縮合した2量体以上のオキシ脂肪酸オリゴマー単位(a) を少なくとも一部含む。
【0017】
そして本発明においては、上記のオキシ脂肪酸オリゴマー単位(a) におけるOH基を有するカルボン酸として、主成分が12−ヒドロキシステアリン酸である水添ヒマシ油脂肪酸または主成分がリシノール酸であるヒマシ油脂肪酸を用いる。これらは用途に応じ適宜の割合で併用することもできる。水添ヒマシ油脂肪酸は、実質的に不飽和基を有しないので、耐熱性の点で有利である。不飽和基を持つヒマシ油脂肪酸は、粘度を下げるのに有利である。
【0018】
オキシカルボン酸オリゴマー単位(a) におけるOH基を有するカルボン酸としては、上記のヒマシ油脂肪酸または水添ヒマシ油脂肪酸と共に、炭素数3の乳酸や炭素数4のリンゴ酸から炭素数24のテトラコサン酸またはテトラコセン酸に至るカルボン酸のうち、OH基を1ないし複数個有するヒドロキシカルボン酸、たとえば、11−または16−ヒドロキシヘキサデカン酸、16−ヒドロキシヘキサデセン酸、2−または18−ヒドロキシオクタデカン酸、22−ヒドロキシドコサン酸、2−ヒドロキシテトラコサン酸、ジヒドロキシミリスチン酸、ジヒドロキシパルミチン酸、ジヒドロキシステアリン酸、ジヒドロキシアラキン酸、トリヒドロキシパルミチン酸などを併用することもでき、またエポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ヒマシ油等のエポキシ化油を分解して脂肪酸としてから開環したヒドロキシル化脂肪酸や、トール油などの脂肪酸をエポキシ化してから開環したヒドロキシル化脂肪酸などを併用することもできる。
【0019】
オキシカルボン酸オリゴマー単位(a) におけるOH基を有しないカルボン酸としては、
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、モンタン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などがあげられ、これらの成分を含むヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、牛脂脂肪酸、水添牛脂脂肪酸などの脂肪酸や、これらの成分を含む合成脂肪酸も用いることができる。これらの脂肪酸のほか、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、カプリン酸などの低級ないし中級の脂肪酸や、アビエチン酸、安息香酸などを併用することもできる。
【0020】
上記のOH基を有するカルボン酸同士またはそのOH基を有するカルボン酸とOH基を有しないカルボン酸とを、不活性ガス雰囲気下において180〜240℃程度の温度条件下(特に還流条件下)に加熱して縮合反応させれば、オキシカルボン酸オリゴマーが得られる。この場合、系にキシレン等を共存させ、副生する水を共沸により系外に除去することが好ましい。触媒は通常必要ではないが、パラトルエンスルホン酸、硫酸などの触媒を存在させても差し支えない。
【0021】
このオキシカルボン酸オリゴマーは、2量体から7量体まで(殊に3〜5量体)が適当であり、さらに多量体とすることもできる。なお1量体が混在していても差し支えないが、この場合でも全体を平均した場合には 1.5量体以上、殊に 1.8量体以上、さらには 2.0量体以上となるようにすることが好ましい。2量体以上のものの割合が余りに少ないときは、得られるポリエステルポリオール(Y1)をポリオール成分として用いたときの塗膜の耐熱性、耐加水分解性、耐侯性が不充分となる。
【0022】
カルボン酸単位(A) は、上述のオキシカルボン酸オリゴマー単位(a) と共に、オリゴマーでないカルボン酸単位を含んでいてもよい。このときのオリゴマーでないカルボン酸としては、先に述べたようなOH基を有しまたは有しないカルボン酸を用いることができる。カルボン酸単位(A) に占めるオキシカルボン酸オリゴマー単位(a) の割合は広く選びうるが、30重量%以上、40重量%以上、50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上というように、多いほど好ましい。
【0023】
多価アルコール単位(B) は、本発明においては、少なくとも一部がトリメチロールプロパンで構成されることが必要である。トリメチロールプロパン以外の3価以上の多価アルコールやジオールを併用することもできるが、多価アルコール単位 (B) 少なくとも一部(好ましくは20重量%以上、さらには40重量%以上、殊に50重量%以上)が3価以上の多価アルコール単位(トリメチロールプロパンが必須)からなることが好ましい。ジオールのみまたはジオールリッチでは、塗料として用いたときの性能バランスを欠くことがあり、得られるポリエステルポリオール(Y1)の官能基数(OH基の数)も過少になるからである。
【0024】
3価以上の多価アルコールの例は、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、グリセリン、ポリグリセリン、ソルビトール、これらのアルキレンオキサイド付加物などであるが、本発明においてはトリメチロールプロパンは必須である。ジオールとしては、後述の他のポリオール(Y2)の個所で例示されているような種々のジオールやそのアルキレンオキサイド付加物などがあげられる。多価アルコールとしては、含窒素ポリオールも用いることができる。耐加水分解性の点からは、ヒンダードアルコールを用いることが好ましい。
【0025】
上に述べたカルボン酸単位(A) と多価アルコール単位(B) とで構成されるポリエステルポリオール(Y1)は、典型的には、上述のオキシカルボン酸オリゴマー(またはこれとオリゴマーでないカルボン酸)と上述の多価アルコールとを、パラトルエンスルホン酸、硫酸、塩酸、リン酸、ナトリウムメチラート、塩化亜鉛などの触媒の存在下に、不活性ガス雰囲気中で温度170〜220℃程度の温度条件下に加熱反応させてエステル化させることにより得られる。
【0026】
このときのオキシカルボン酸オリゴマー(またはこれとオリゴマーでないカルボン酸)と多価アルコールとの使用割合は、得られるポリエステルポリオール(Y1)のOH基の数が平均で 1.5〜10(殊に 1.8〜10)、OH価が40〜500(好ましくは60〜400)となるように設定することが望ましい。
【0027】
ポリエステルポリオール(Y1)のヨウ素価については限定はないが、高度の耐熱性が要求されるときはヨウ素価はできるだけ小さい方がよい。
【0028】
〈他のポリオール (Y2)
他のポリオール(Y2)としては、本発明においては、芳香族系ポリオールに属するビスフェノール類オキシアルキレンエーテルまたはその誘導体、同じく芳香族系ポリオールに属するN,N−ビス(2−ヒドロキシプロピルアミン)アニリン、短中鎖ジオールに属する2−エチル−1,3−ヘキサンジオールから選ばれたポリオールが、少なくとも一部用いられる。なお、上記のビスフェノール類オキシアルキレンエーテルにおけるビスフェノール類とは、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールF、ビスフェノールSなどであり、またオキシアルキレンとは、オキシエチレン、オキシプロピレン、オキシブチレンなどであって、ビスフェノール類1モルに対するオキシアルキレンのトータル付加モル数は2〜30、好ましくは2〜10、さらに好ましくは2〜5である。
【0029】
他のポリオール(Y2)は、上記のものと共に、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、炭化水素系ポリオール、ダイマーポリオール、芳香族系ポリオールの水添物、
ヒマシ油系ポリオール(ヒマシ油、ヒマシ油のアルキレンオキサイド付加物、ヒマシ油またはヒマシ油脂肪酸と低分子ポリオール・ポリエステルポリオール・ポリエーテルポリオールとのエステル交換物、ヒマシ油のジオール型の部分脱水化物や部分アシル化物、これらの水添物等)などを併用することもできる。
【0030】
〈ポリエステルポリオール(Y1)と他のポリオール(Y2)との割合〉
ポリエステルポリオール(Y1)と他のポリオール(Y2)との合計量を100重量%とするとき、 (Y1) の割合は99〜20重量%、(Y2) の割合は1〜80重量%に設定される。、より好ましい割合は、(Y1)が95〜30重量%、(Y2)が5〜70重量%、さらに好ましい割合は、(Y1)が90〜50重量%、(Y2)が10〜50重量%である。このような範囲において、バランスのとられた塗膜が得られる。
【0031】
《ウレタン系塗料組成物》
本発明のウレタン系塗料組成物は、上述のポリイソシアネート成分(X)とポリオール成分(Y)とからなる。なおこの分野において知られているように、両成分のうちの一部を予め反応させて末端NCO型または末端OH型のプレポリマーとしておき、使用に際し残部と混合するようにしてもよい。また、NCO末端の一液型塗料としてもよい。
【0032】
両成分の配合割合は、NCO/OHの当量比が 0.7〜 1.6、さらには 0.8〜 1.4となるようにするのが、充分な硬化が図られるので好ましい。
【0033】
塗料組成物の調製に際しては、鎖延長剤、フィラー、顔料、有機溶剤、可塑剤、触媒、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、難燃剤、架橋剤、カップリング剤、消泡剤、脱水剤、キシレン樹脂、石油樹脂などを適宜配合することができる。
【0034】
本発明のウレタン系塗料組成物は、防食塗料、屋内外の床用塗料、ハイソリッド塗料、無溶剤塗料として、特に有用である。
【0035】
【実施例】
次に実施例をあげて本発明をさらに説明する。以下「部」とあるのは重量部である。
【0036】
《ポリイソシアネート成分(X)》
ポリイソシアネート成分(X)として、クルードMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)(日本ポリウレタン工業株式会社製の「ミリオネートMR−200」)を準備した。
【0037】
《ポリオール成分(Y)》
〈ポリエステルポリオール(Y1)の合成〉
合成例1
撹拌機、温度計、窒素導入管、検水管付き還流コンデンサを備えた反応器に、OH基を有するカルボン酸の一例としての酸価178の水添ヒマシ油脂肪酸1220g(4モル)と還流補助のためのキシレン60mlとを仕込み、窒素気流下180〜220℃で6時間反応させた。この間、縮合反応により生成する水は共沸により系外に留去させた。これにより、酸価46のオキシカルボン酸オリゴマーが得られた。このオキシカルボン酸オリゴマーは、水添ヒマシ油脂肪酸の4量体に相当するものである。
【0038】
続いて反応器に、多価アルコールの一例としてのトリメチロールプロパン134g(1モル)および触媒としてのパラトルエンスルホン酸 1.0gを加えて180〜220℃で7時間反応させた。この間、縮合反応により生成する水は共沸により系外に留去させた。反応終了後、触媒およびキシレンを除去した。これにより、常温で液状で、酸価 3.3、OH価105、ヨウ素価 3.2、OH基の数(官能基数)2.5 のポリエステルポリオール(Y1)が得られた。
【0039】
合成例2
撹拌機、温度計、窒素導入管、検水管付き還流コンデンサを備えた反応器に、OH基を有するカルボン酸の一例としての酸価179のヒマシ油脂肪酸600g(2モル)と、還流補助のためのキシレン60mlとを仕込み、窒素気流下180〜220℃で1時間反応させた。この間、縮合反応により生成する水は共沸により系外に留去させた。これにより、酸価90のオキシカルボン酸オリゴマーが得られた。このオキシカルボン酸オリゴマーは、ヒマシ油脂肪酸の2量体に相当するものである。
【0040】
続いて反応器に、多価アルコールの一例としてのトリメチロールプロパン134g(1モル)および触媒としてのパラトルエンスルホン酸 1.0gを加えて180〜220℃で7時間反応させた。この間、縮合反応により生成する水は共沸により系外に留去させた。反応終了後、触媒およびキシレンを除去した。これにより、常温で液状で、酸価 2.2、OH価210、ヨウ素価82、OH基の数(官能基数)2.8 のポリエステルポリオール(Y1)が得られた。
【0041】
〈他のポリオール(Y2)の準備〉
他のポリオール(Y2)として、次のものを準備した。
・Y2-1: ヒマシ油とトリメチロールプロパンとのエステル交換反応物(OH価275)
・Y2-2: ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物とヒマシ油脂肪酸との反応物
・Y2-3: ヒマシ油(CO)
・Y2-4: ヒマシ油含有油脂混合物とトリメチロールプロパンとのエステル交換反応物(OH価160)
・Y2-5: ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物
・Y2-6: N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピルアミン)アニリン
・Y2-7: グリセリンのプロピレンオキサイド付加物
・Y2-8: ポリヒドロキシポリブタジエン(出光石油化学株式会社製の「Poly bd R-15HT」)
・Y2-9: トリメチロールプロパン(TMP)
・Y2-10:2−エチル−1,3−ヘキサンジオール
・Y2-11:OH基を有するキシレン樹脂
【0042】
《ウレタン系塗料組成物の調製と適用》
〈樹脂分組成〉
ポリイソシアネート成分(X)として上記のものを用い、一方ポリオール成分(Y)としては下記の表1のポリエステルポリオール(Y1)とポリオール(Y2)との組み合わせを選んだ。組成物の調製に際しては、樹脂分については、ポリイソシアネート成分(X)とポリオール成分(Y)とをNCO/OH当量比が1となるように配合した。
【0043】
【表1】

ポリオール成分 実 施 例 比較例
(Y) 1 2 3 4 5 6 1 2 3
(Y1): 合成例1 30 25 25 77 74
(Y1): 合成例2 50 25 60
(Y2): Y2-1 50
(Y2): Y2-2 30
(Y2): Y2-3 60 70
(Y2): Y2-4 60
(Y2): Y2-5 15 15 10 40 10
(Y2): Y2-6 5 15 16
(Y2): Y2-7 30
(Y2): Y2-8 25 25
(Y2): Y2-9 7
(Y2): Y2-10 5 7 19 5
(Y2): Y2-11 5 5 5
水酸基価 211 197 206 210 208 297 220 270 192
【0044】
〈防食塗料組成〉
・55.0部 ポリオール成分(Y)(このポリオール成分(Y)にプラスして、ポリイソシアネート成分(X)をNCO/OH当量比が1となるように配合する。)
・35.0部 タルク(フィラー、富士タルク株式会社製の「SC−25」)
・ 2.5部 酸化チタン(顔料兼フィラー、石原産業株式会社製の「タイペークR820」)
・ 2.5部 ベンガラ(森下弁柄工業株式会社製の「No.340」)
・ 5.0部 ゼオライト(脱水剤、東ソー株式会社製の「ゼオラム」)
【0045】
〈試験方法と評価方法〉
・試験片: NCO/OHの当量比=1で混合した上記の防食塗料を、脱脂処理した鋼板上に膜厚 0.5mmで塗布し、1週間養生した。
・硬度: ショアD。
・碁板目試験: JIS K5400 に準ずる。欠損部5%未満を○、5%以上を×と判定した。
・耐屈曲性: 心棒φ10mm。塗膜異常なしを○、異常ありを×と判定した。
・耐衝撃性: デュポン式φ 1/2inch×500g×50cm。塗膜異常なしを○、異常ありを×と判定した。
・耐水性: 水道水に30日浸漬し、異常なしを○、わずかに異常ありを△、異常ありを×と判定した。
・耐酸性: 5%硫酸水溶液に30日浸漬し、異常なしを○、わずかに異常ありを△、異常ありを×と判定した。
・耐アルカリ性: 5%水酸化ナトリウム水溶液に30日浸漬し、異常なしを○、異常ありを×と判定した。
・耐塩水性: 3%塩化ナトリウム水溶液に30日浸漬し、異常なしを○、異常ありを×と判定した。
・耐加水分解性: サンプル片を温度121℃、100%RH、2kg/cm2のスチーム圧の湿熱促進条件下に100時間置き、異常なしを○、異常ありを×と判定した。
【0046】
〈試験結果〉
試験結果を表2に示す。
【0047】
【表2】

実 施 例 比較例
1 2 3 4 5 6 1 2 3
硬度ショアD 72 71 71 68 66 67 81 79 60
碁板目試験 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
耐屈曲性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ × × ○
耐衝撃性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ × × ○
耐水性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ △ △ △
耐酸性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ △ △ △
耐アルカリ性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ × × ×
耐塩水性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
耐加水分解性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ × × ×
【0048】
床用塗料処方
・50.0部 ポリオール成分(Y)(このポリオール成分(Y)にプラスして、ポリイソシアネート成分(X)をNCO/OH当量比が1となるように配合する。)
・15.0部 炭酸カルシウム(フィラー、丸尾カルシウム株式会社製の「スーパー1500」)
・20.0部 硫酸バリウム(フィラー、堺化学株式会社製の沈降性硫酸バリウム100)
・10.0部 酸化チタン(顔料兼フィラー、石原産業株式会社製の「タイペークR820」)
・ 5.0部 ゼオライト(脱水剤、東ソー株式会社製の「ゼオラム」)
【0049】
〈試験方法と評価方法〉
・試験片: NCO/OHの当量比=1で混合した上記の防食塗料を、脱脂処理した鋼板上に膜厚1mmで塗布し、1週間養生した。
・硬度: ショアD。
・耐衝撃性: デュポン式φ 1/2inch×500g×50cm。塗膜異常なしを○、異常あり×と判定した。
・耐水性: 水道水に30日浸漬し、外観変化なしを○、わずかに変化ありを△、変化ありを×と判定した。
・耐酸性: 5%硫酸水溶液に3日浸漬し、外観変化なしを○、わずかに変化ありを△、変化ありを×と判定した。
・耐アルカリ性: 5%水酸化ナトリウム水溶液に3日浸漬し、外観変化なしを○、変化ありを×と判定した。
・耐油性: 重油に30日浸漬し、外観変化なしを○、変化ありを×と判定した。
【0050】
〈試験結果〉
試験結果を表3に示す。
【0051】
【表3】

実 施 例 比較例
1 2 3 4 5 6 1 2 3
硬度ショアD 73 73 74 69 66 71 80 77 63
耐衝撃性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ × × ○
耐水性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ × × △
耐酸性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ △ △ △
耐アルカリ性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ × × ×
耐油性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、従来のヒマシ油系ポリオールを用いたウレタン系塗料の限界を越え、耐水性、防食性、硬化性、作業性、低発泡性をはじめとする巾広い特性を備えたウレタン系塗料組成物を提供することができる。また、ポリエステルポリオール(Y1)のカルボン酸単位(A) の必須単位であるオキシカルボン酸オリゴマー単位(a) は、その縮合度を自在に調節できるので、ユーザーの目的としている用途に合った特性が得られるように設計することができる。

Claims (2)

  1. ポリイソシアネート成分(X)とポリオール成分(Y)とを主たる樹脂成分とするウレタン系の塗料組成物であること、
    前記のポリオール成分(Y)が、カルボン酸単位 (A) と多価アルコール単位 (B) とで構成されたポリエステルポリオール (Y1) と、他のポリオール (Y2) とからなること、
    前記のポリエステルポリオール (Y1) が、ヒマシ油脂肪酸または水添ヒマシ油脂肪酸からなるOH基を有するカルボン酸同士またはそのOH基を有するカルボン酸とOH基を有しないカルボン酸とが縮合した2量体以上のオキシカルボン酸オリゴマー単位(a) を少なくとも一部含むカルボン酸単位(A) と、少なくとも一部がトリメチロールプロパンである多価アルコール単位(B) とで構成されたものであること、
    前記の他のポリオール (Y2) の少なくとも一部が、ビスフェノール類オキシアルキレンエーテルまたはその誘導体、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピルアミン)アニリンおよび2−エチル−1,3−ヘキサンジオールから選ばれた少なくとも1種のポリオールであること、および、
    前記のポリエステルポリオール (Y1) と前記の他のポリオール (Y2) との合計量を100重量%とするとき、 (Y1) の割合が99〜20重量%、 (Y2) の割合が1〜80重量%であること、
    特徴とするウレタン系塗料組成物。
  2. 防食塗料、床用塗料、ハイソリッド塗料または無溶剤塗料としての塗料組成物である請求項1記載のウレタン系塗料組成物。
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