JP3937465B2 - 回折音抑制スピーカシステム - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、遮音壁などの上端を回折して裏側へ伝搬する音波に対して、スピーカから逆位相、同音圧の音波を放射し、双方の音波を音波干渉させることによって、回折波の音波伝搬エネルギーを消耗させる回折音抑制スピーカシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、遮音壁などの上端近傍に、騒音源からの音波と逆位相、同音圧の音波を放射するスピーカを配し、遮音壁などを回折する騒音と、スピーカ音とを音波干渉させ、騒音の伝搬を抑制するスピーカシステムに用いられるスピーカとしては、
1.遮音壁上端近傍に設置され、スピーカ開口面が騒音の進行方向に向けられたスピーカ。
2.遮音壁上端近傍に設置され、スピーカ開口面が上向きのスピーカ。
3.遮音壁上端近傍騒音発生源側に設置され、スピーカ開口面が遮音壁上端に向けられたスピーカ。
などが上げられる。
【0003】
これらのスピーカは、いずれも騒音の音波と逆位相、同音圧の音波を放射するように工夫されたものであり、遮音壁裏側へ騒音が伝搬しないように動作させることを目的として設置されたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来の技術は、遮音壁などを回折する音波の波面の伝搬状態と、遮音壁などの近傍に設置されたスピーカによって放射される音波の波面の伝搬状態とが、必ずしも一致するような構成になっていないことが多いため、周波数帯域幅の広い騒音、あるいは、特に広いエリアの消音を目的とするような場合には、対応が難しい。
【0005】
また、複数個のスピーカを用いて広いエリアをコントロールしようとすると、隣り合うスピーカが互いに影響し合って、消音機能に支障が生ずる場合もある。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、上述の問題点に鑑み、遮音壁などを回折して伝搬される音波に対して、回折点近傍より、回折波の回折点における音波の波面の伝搬状態と、回折音抑制スピーカの音波放射口より放射される音波の波面の伝搬状態との違いが、逆相関係を有することを除いて、極力小さくなるような音波を放射することによって、双方の音波が互いに音波干渉し合う点において、位相誤差が少なく、干渉効率の高い伝搬特性を有する音波を放射する実用的な回折音抑制スピーカシステムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
遮音壁を回折して伝搬する音波と、スピーカより出力される音波との音波干渉によって、回折音の伝搬を抑制する回折音抑制スピーカシステムにおいて、複数個のスピーカを、それぞれの音波放射口の長径外側エッジが遮音壁上端エッジとなるように並べて遮音壁を構成し、前記スピーカの音波放射口の長径を前記スピーカによって放射される音波の最大周波数の1/2波長を超えない大きさとし、前記スピーカの音波放射口の短径を前記スピーカによって放射される音波の最大周波数の約1/20波長程度の大きさとし、前記スピーカの音波放射開口面を回折波の進行方向へ向けたものである。
【0008】
また、騒音などの音波発生源を遮蔽板で遮蔽し、前記遮蔽板外周に上記回折音抑制スピーカを設置して、騒音などの音波発生源からの音波が遮蔽板で影となる背後に到達しないエリアをつくるものである。
【0009】
また、スピーカエンクロージャー外周に、上記回折音抑制スピーカを設置することによって、スピーカの自由な拡散を制限するものである。
【0010】
【作用】
遮音壁の上端を回折して伝搬する音波に対して、遮音壁の上端に並べられた複数個のスピーカから逆位相、同音圧の音波を放射し、双方の音波を音波干渉させる回折音抑制スピーカにおいて、各スピーカの音波放射口の長径をスピーカによって放射される音波の最大周波数の1/2波長を超えない大きさとして、各スピーカに同一の信号を加えると、各スピーカの音波放射開口面を連ねた面と対向し、該開口面を連ねた面との距離が一定の距離にある任意の面内の各点では、それぞれ、位相回転のむらが少なく、同じ位相の点を連ねて構成されたような、位相と振幅の安定した波面が得られる。
【0011】
また、スピーカの音波放射口の長径外側エッジが、遮音壁上端の回折音の発生源となるように配置し、スピーカの音波放射口の短径を、スピーカによって放射される音波の最大周波数の約1/20波長程度の大きさとすると、回折音の素元波発生源となるエッジと、回折音の素元波発生源に対応する回折音抑制スピーカの音波の発生源となる音波放射口の短径の中心線との位置の違いを、音波干渉における許容範囲内に抑えることができるため、回折音とスピーカ音との音波干渉の位相誤差を低減できる。
【0012】
遮音壁の上端に設置されるスピーカの音波放射開口面の方向を、回折波の進行方向に向けて設置するとき、スピーカの音波放射開口面の方向と、遮音壁の上端近傍を直進する直進波の進行方向との成す角をθとするとき、θを小さくするにしたがって、回折音抑制スピーカによってコントロールされる範囲は、直進波側に広がり、θが大きくなるにしたがって、回折音抑制スピーカによってコントロールされる範囲は、回折音側に傾いて、コントロールされる範囲は狭くなる。
【0013】
上述のように構成された回折音抑制スピーカを、遮蔽板外周に設置して遮蔽板で音波発生源を遮蔽すると、音波発生源からの音波が遮蔽板で影となる背後に到達しにくいエリアをつくることができる。
【0014】
また、同様に、上述の回折音抑制スピーカをスピーカエンクロージャー外周に設置すると、指向性を有するスピーカが得られる。
【0015】
【実施例】
実施例1
本発明による、回折音抑制スピーカを、図1、図2(A)(B)によって説明する。図1は、本発明による複数個の回折音抑制スピーカを、半無限遮音壁上端に並べた実施例1を示す斜視図、図2(A)は、図1における複数個の回折音抑制スピーカによる波面の同相波面を示す平面図、図2(B)は、回折波の伝搬状態を示す立面図である。
11、12、13、・・・は、第1、第2、第3、・・・回折音抑制スピーカ、2は、半無限遮音壁、31、32、33、・・・は、第1、第2、第3、・・・音波放射口の長径外側エッジ、4は、第1、第2、第3、・・・回折音抑制スピーカ11、12、13、・・・の音波放射口の短径の中心を結ぶ中心線、5は、同相波面、Sは、騒音源、θは、音波放射開口面の方向と直進波の進行方向との成す角である。以下その動作について説明する。
【0016】
半無限遮音壁2上端に並べられた複数個の回折音抑制スピーカ11、12、13、・・・の中から隣り合う任意の2つの回折音抑制スピーカを第2、および、第3の回折音抑制スピーカ12、13として、これらに同一の信号が加えられたときの、それぞれの回折音抑制スピーカが他の回折音抑制スピーカによって与えられる影響について、図2(A)によって説明する。
第2、および、第3の回折音抑制スピーカ12、13から放射される音波の最大周波数をf0として、第2、および、第3の回折音抑制スピーカ12、13の音波放射口の長径を、放射される音波の最大周波数f0の1/2波長を超えない大きさとすることによって、第2、および、第3の回折音抑制スピーカ12、13の音波放射開口面を連ねた面と対向する任意の波面は、他の隣り合う回折音抑制スピーカから放射される音波との干渉によって位相回転が著しく乱されることのない、安定した同相波面5が得られる。
【0017】
第2、および、第3の回折音抑制スピーカ12、13から放射される音波の最大周波数がf0よりも小さい周波数の場合は、波長は最大周波数f0の波長よりも大きくなるから、2つの回折音抑制スピーカの音波放射開口面を連ねた面と対向する任意の波面内では、音波の最大周波数がf0のときよりも、それぞれ隣り合う他の回折音抑制スピーカの波面による影響は、受けにくくなるため、より安定した同相波面5が得られる。
【0018】
つぎに、半無限遮音壁2上端に並べられた複数個の回折音抑制スピーカ11、12、13、・・・の中から任意の1つ、第2の回折音抑制スピーカ12を取り出して、第2回折音抑制スピーカ12の音波放射口の長径外側エッジ32を回折する回折波と、第2回折音抑制スピーカ12の音波放射口から放射される音波との立面的な動作について、図2(B)によって説明する。
第2回折音抑制スピーカ12後方遠方より直進して伝搬してきた音波は、第2回折音抑制スピーカ12の音波放射口の長径外側エッジ32を回折して半無限遮音壁2で影となる裏側へ放射状に広がる。このとき、回折音は、第2回折音抑制スピーカ12の音波放射口の長径外側エッジ32を回折音の素元波発生源として伝搬していく。回折音を逆相の音波によって音波干渉させ、効率よく回折音を抑制するためには、回折音と逆相の音波との位相差を±10°以内としたい。
そこで、第2回折音抑制スピーカ12の音波放射口の短径を、第2回折音抑制スピーカ12によって放射される音波の最大周波数f0の約1/20波長程度の大きさとすることによって、回折音の素元波発生源となる第2回折音抑制スピーカ12の音波放射口の長径外側エッジ32と、第2回折音抑制スピーカ12の音波の発生源となる音波放射口の短径の中心線4の位置との違いから生ずる誤差を少なくするとともに、スピーカ開口面積を必要以上に小さくすることによって生ずるスピーカ出力のロスを低減することができる。
【0019】
第2回折音抑制スピーカ12の音波放射開口面の方向を、回折波の進行方向に向けて設置するとき、第2回折音抑制スピーカ12の音波放射開口面の方向と、遮音壁の上端近傍を直進する直進波の進行方向との成す角をθとするとき、θを小さくするにしたがって、第2回折音抑制スピーカ12によってコントロールされる範囲は、直進波側に広がり、θが大きくなるにしたがって、第2回折音抑制スピーカ12によってコントロールされる範囲は、回折音側に傾いて、コントロールされる範囲は狭くなる。
【0020】
実施例2
図3に基づいて実施例2を説明する。図1、図2、と共通の部分は、同一符号を付してある。
6は、遮蔽板である。
図3は、本発明による実施例2を示すものであり、複数個の第1、第2、第3、・・・回折音抑制スピーカ11、12、13、・・・を、遮蔽板6の外周に設置して、放射状に拡散される騒音源Sからの音波が、遮蔽板6で影となる背後に回り込みにくいエリアをつくるものである。
【0021】
実施例3
図4に基づいて実施例3を説明する。図1〜3と共通の部分は、同一符号を付してある。
7は、警報音発生源、8は、緊急自動車である。
図4は、本発明による実施例3を示すものであり、複数個の第1、第2、第3、・・・回折音抑制スピーカ11、12、13、・・・を、遮蔽板6の外周に、直進波と回折波との境界の音波の進行方向と、回折音抑制スピーカの音波放射開口面の方向との成す角θが、適度な大きさを有するような方向に向けて設置して、放射状に拡散される警報音発生源7からの音波が、遮蔽板6で影となる緊急自動車8の車室内に過大な音量で入り込まないようにするとともに、車外の広い範囲に拡散される警報音の音量が、低減してしまうことのないようにするものである。
【0022】
実施例4
図5に基づいて実施例4を説明する。図1〜4と共通の部分は、同一符号を付してある。
9は、スピーカ、10は、スピーカエンクロージャーである。
図5は、本発明による実施例4を示すものであり、複数個の第1、第2、第3、・・・回折音抑制スピーカ11、12、13、・・・を、スピーカエンクロージャー10の左右側面に、直進波と回折波との境界の音波の進行方向と、回折音抑制スピーカの音波放射開口面の方向との成す角θが、適度な大きさを有するような方向に向けて設置して、スピーカ9からの音波がスピーカエンクロージャー10左右側面エッジ31、32、33、・・・を回折して伝搬される回折波のエネルギーを、音波干渉によって減衰させ、スピーカ9の音波の自由な拡散を制限することによって、スピーカに指向性を与えるものである。
【0023】
【発明の効果】
本発明によれば、遮音壁によって音源が影となり、音源から放射された音波が回折して伝搬されるエリアをつくり、回折波の波面の伝搬状態が、遮音壁上端エッジを素元波発生源として放射状に拡散する一様な特性を有する波面となるようにコントロールし、回折点近傍の回折音抑制スピーカより、放射状に拡散する回折波に対して、回折波の波面の伝搬状態と逆位相、同音圧の音波を放射し、双方の音波を音波干渉させることによって、回折波の伝搬エネルギーを効率よく低減することができる。
【0024】
従って、本発明による回折音抑制スピーカシステムは、遮音壁を適宜に設定することによって、遮音壁で影となる裏側に回折する音波を効果的に低減できるため、遮音壁の裏側へ伝搬する騒音の低減、遮蔽板で遮蔽して影となるエリアに伝搬される騒音の低減、緊急自動車の警報音の車室内への侵入の抑制、指向性を有するスピーカなどに利用することができる。
また、本発明による回折音抑制スピーカシステムは、空中の音波ばかりでなく、水中などの音波についても、空中と同様に取り扱うことができることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1を示す斜視図である。
【図2】(A)同相波面を示す平面図である。
(B)回折波の伝搬状態を示す立面図である。
【図3】実施例2を示す斜視図である。
【図4】実施例3を示す斜視図である。
【図5】実施例4を示す斜視図である。
【符号の説明】
11、12、13、・・・ 第1、第2、第3、・・・回折音抑制スピーカ
2 半無限遮音壁
31、32、33、・・・ 第1、第2、第3、・・・音波放射口の長径外側エッジ
4 音波放射口の短径の中心線
5 同相波面
6 遮蔽板
7 警報音発生源
8 緊急自動車
9 スピーカ
10 スピーカエンクロージャー
S 音源
θ 音波放射開口面の方向と直進波進行方向との成す角
Claims (1)
- 遮音壁を回折して伝搬する音波と、スピーカより出力される音波との音波干渉によって、回折音の伝搬を抑制する回折音抑制スピーカシステムにおいて、それぞれ隣接して設置された複数個のスピーカユニットと、該スピーカユニットのスリット状のスピーカ音波放射口と、該音波放射口の長手方向外側エッジが騒音源と反対側の側面エッジとなる音波放射口エッジと、上記音波放射口の開口面を騒音源と反対側へ回折する騒音の伝搬方向へ向けた音波放射口面と、によってスピーカユニットのアレイを構成し、1つのスピーカユニットの上記音波放射口の長径をスピーカによって放射される音波の最大周波数の1/2波長を超えない大きさとし、かつ、上記音波放射口の短径をスピーカによって放射される音波の最大周波数の1/20波長程度の大きさとして、所定の長さを有する上記音波放射口エッジを騒音による回折音を巨視的にみた点、すなわち回折騒音の1つの素元波発生源とみなし、該1つの素元波発生源の近傍に設けられ位相特性と振幅特性の均質性を有する音波を放射する上記音波放射口から、回折騒音に対応する回折騒音と逆位相・同音圧かつ回折騒音の伝搬態様と等価となる音波を1素元波として放射することによって、双方の巨視的にみた素元波と素元波を波動干渉させて、騒音の回折音伝搬エネルギーを消散させることを特徴とする回折音抑制スピーカシステム。
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