JP3939164B2 - 熱可塑性樹脂発泡体の成形方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂の発泡体を成形する成形方法及び成形装置に関し、特に、中空の発泡体の成形方法及び成形装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、筒状プラスチック成形品、即ちプラスチック中空成形品を成形する方法は一般的にブロー成形法が採用されている。この成形法は、例えば図4に示すように、押出機から押出されたパリソンPを、型開き状態の型47,47内に導入し、この型47,47を閉じた後、パリソンP内に圧力空気を吹き込み、パリソンPをキャビティに沿わせて成形し、例えば図5に示すような中空部分53,53を有する成形品を成形する方法である。プラスチックの材質としては殆どの材質のものをブロ−成形に用いることができる。また、通常、パリソンは熱軟化したソリッド状態として押出機から押出されるが、発泡材等の作用により発泡状態として押出され、発泡プラスチック中空成形品として成形されることもある。
【0003】
ブロー成形により発泡成形品を製造する方法としては、化学発泡剤を含む材料ペレットを加熱下でスクリューにより混練溶融して、化学発泡剤の熱分解によりガスを発生させ押出し機から押出される直前およびそれ以降の圧力低下に伴い発泡したパリソンをブロー成形する所謂化学発泡が一般的に行われる。
【0004】
前掲の成形方法においては、パリソンは押出される前後から発泡を始めており、しかも冷却前の高い樹脂温度によりその発泡も抵抗なく進み、型内において加圧空気により型内面に押し付けられる際はその圧力により発泡に大きな抵抗を受け、また型表面から熱を奪われ樹脂温度がさがることにより更に発泡が阻害される等々の現象により、発泡により形成される気泡の大きさ等の制御は難しく、特に均一な気泡を有する発泡プラスチック中空成形品を、従来のブロー成形法により得ることは至難の業だった。
また、例えば内面が発泡層であり外面がソリッド層の二層のブロー成形品を得ようとすれば、発泡状パリソンおよびソリッド状パリソンを同時押出しするなどして成形しなければならず、それなりの専用機が必要であり、かつ上記の問題も有していた。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、均一な気泡を有する発泡プラスチック中空成形品を得ることができ且つ発泡倍率がコントロールできる熱可塑性樹脂発泡体の成形方法及び装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、熱可塑性樹脂の発泡体を成形するときに、可塑化した前記熱可塑性樹脂にて形成されたパリソンを、ブロー成形可能な金型のキャビティに装着するとともにブローピンを装着して該金型を型閉めし、その後、前記パリソンを前記金型のキャビティ形状に沿わせる一次ブローを行った後、前記パリソン内に5.0Mpa以上の圧力で不活性ガスを吹き込む二次ブローを行うことにより、前記パリソン内側から前記熱可塑性樹脂内部へ不活性ガスを注入含浸させ、その後前記パリソン内の不活性ガスのガス圧を開放することにより、前記熱可塑性樹脂にて形成されたパリソンの樹脂内部に前記不活性ガスの気泡を形成させることを特徴とする。請求項1の発明によれば、従来のブロー成形機として汎用機を使用したブロー成形により極めて高品質な中空発泡体を容易に製造できる。特に、パリソン内を、5.0Mpa以上の高圧不活性ガスにて満たすことができるので、樹脂内部への不活性ガスの注入含浸を効果的にでき、発泡層とソリッド層からなる二層のブロー成形品を得るための従来技術の高価な二層押出し機を用いなくても、極めて容易に中空発泡体を製造することができる。
【0007】
請求項2の発明は、二次ブローによってパリソン内の炭酸ガスを超臨界状態とすることを特徴とする。
請求項2の発明によれば、パリソン内の炭酸ガスを、超臨界状態とするので、樹脂内部への不活性ガスの注入含浸を極めて効果的にできる。
【0008】
請求項3の発明は、パリソン内の不活性ガスのガス圧を開放するときに、その排気速度を制御することを特徴とする。
請求項3の発明によれば、ガス圧の排気速度をコントロールすることにより、発泡倍率を制御することができ、パリソンの内面からの炭酸ガス等の不活性ガスの含浸度を調節することができるので、発泡層の厚さを任意に設定することができる。したがって、成型品の内面の発泡層により断熱効果を得られ、成型品の外面のソリッド層によりブロー成形品の剛性を保つことができる。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1に記載の成形方法により成形する熱可塑性樹脂発泡体の成形装置において、ブロー成形可能な金型と、パリソンを前記金型に供給するパリソン供給部と、ブローピンを介して前記パリソン内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段とを有し、前記パリソンを前記金型のキャビティ形状に沿わせる一次ブローと、前記パリソン内に5.0Mpa以上の圧力で不活性ガスを吹き込む二次ブローとができるように構成されたことを特徴とする。請求項4の発明によれば、従来のブロー成形機として汎用機を使用したブロー成形により極めて高品質な中空発泡体を容易に製造できる。特に、発泡層とソリッド層からなる二層のブロー成形品を得るための従来技術の高価な二層押出し機を用いなくても、中空発泡体を極めて容易に製造できる。
【0010】
請求項5の発明は、パリソン内の不活性ガスのガス圧を開放するときの排気速度を制御可能とする制御手段を備えることを特徴とする。
請求項5の発明によれば、ガス圧の排気速度をコントロールすることができるので、発泡倍率を制御することができ、パリソンの内面からの炭酸ガス等の不活性ガスの含浸度を調節することができ、発泡層の厚さを任意に設定することができる。また、ガス圧の排気速度をコントロールすることができるので、パリソン内部における高圧不活性ガスの圧力低下を急激に行うことにより、樹脂内部に含浸している不活性ガスの膨張を一度に始めることができ、これにより樹脂の発泡が均一に現れ、さらに樹脂温度の調節により均一で小さな気泡を有する発泡体を製造可能である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、図1は、本実施形態の成形装置の概略図である。図2は、図1に示す成形装置におけるパリソンの加工工程を示す説明図である。図3は、パリソンの加工工程における金型温度、樹脂温度、金型内圧力を示すグラフである。
【0012】
図1に示した本実施形態の成形装置1は、熱可塑性樹脂の中空発泡体を成形できる成形装置1である。
成形装置1は、不活性ガス供給手段15と、従来公知の熱可塑性樹脂を可塑化押出しするパリソン供給部20と、キャビティ内に装着されたパリソンP(図2参照)内に、不活性ガス供給手段15から供給された不活性ガスを吹き込み可能に構成され従来公知の金型開閉機構に保持された金型2,2とを備えている。金型2、2内には例えば媒体として油を使用し金型を温調するための温調流路が設けられ、金型の加熱冷却が可能となっている。
【0013】
なお、金型開閉機構は、例えば、アクチュエータ5,ピストン4に保持されて金型2を保持する金型保持部3などを備えた構成とすることができる。
不活性ガス供給手段15は、ガス補給部10、中空のブローピン8、ブローピン8とガス補給部10とを繋げる配管7、ブローピン8からのガス流量の調節やガス流路の切り換えが可能なガス流制御部9等を備えている。本実施形態としては、不活性ガスとして炭酸ガスを用いる。
【0014】
以下、本実施形態の成形方法を、図2および図3を参照して詳細に説明する。本実施形態において、熱可塑性樹脂の中空の発泡体を成形するときに、まず、パリソン供給部20において、熱可塑性樹脂を加熱混練溶融し可塑化すると共に、押出しヘッドからシート状あるいはチューブ状の可塑化したパリソンPを型開状態の金型2、2間に垂下させる。本実施形態に用いるポリプロピレン樹脂のパリソンとして垂下中の樹脂温度は180℃程度(図3における二点鎖線にて示す型閉め前の温度)である。
【0015】
その後、パリソンPが所定の位置まで垂下した後、パリソン下部の開口部からブローピン8を挿入し、パリソンPを金型2,2のキャビティ2aに装着すべく、金型2,2を型閉めする(図2の(a)及び図3における最も左側の縦の点線Aにて示すタイミング)。このとき、後に述べるごとくパリソン内部を高圧に保つために、金型2が樹脂を介してブローピンを挟むことにより適宜のシールが成されるよう、締付代等を調整することが望ましい。
【0016】
また、金型2,2の型温度は、型開時は室温以下に冷却されることなく50℃前後に保持され、その後、後述するように高められるため、パリソンPの樹脂温度は、樹脂温度を急激に低下させることなく、所定時間において120℃〜165℃程度に保たれる。また、金型内圧力(キャビティの内圧)は、この時点では大気圧とほぼ同程度となっている。
【0017】
次いで図2の(b)に示すように、パリソンPを金型2,2のキャビティ形状2aに沿わせるために、大気圧よりも高い吹き込み圧によって一次ブローを行う(図3においては縦の点線Bと点線Cとの間で示すタイミング領域に相当する)。この一次ブローでは、吹き込み圧を、0.5Mpa程度未満の通常のブロー成形としてパリソンP内に炭酸ガスを吹き込み、パリソンPを金型のキャビティ内面に沿わせることで、その後の高圧二次ブローにおけるパリソンPのパンクの虞を回避する。
このとき、金型内の温調流路には高温の熱媒体である油が流され、金型温度は、少なくとも120℃程度に上昇する。後述する炭酸ガスの樹脂への含浸条件に関しては、金型温度を更に高め、本実施形態のポリプロピレン樹脂の場合、樹脂温度が160℃前後に所定時間保たれるように、金型温度を調節することが望ましい。ただし、成形後の成形品取り出し可能温度を考慮すれば、金型温度を高めることによる含浸時間の短縮が成形時間の延長という結果をもたらし、必ずしも望ましいとは言い切れない面もある。
【0018】
パリソンPがキャビティ面に沿いパリソンPのパンクの虞がなくなった後(一次ブロー)に二次ブロー(図3において、縦の点線Cと点線Dとの間で示す領域に相当する)を行う。すなわち、二次ブローでは、パリソンP内に高圧の炭酸ガスを吹き込むことにより、パリソンP内に炭酸ガスを充填しかつその圧力を高めパリソンPの内面から樹脂内に炭酸ガスを含浸させる。このとき、金型温度は、炭酸ガスの含浸速度を速めるため樹脂温度をなるべく下げたくないことから、120℃以上に高められている。また、この金型温度の維持に加えて、金型内圧力は、5.0Mpa以上で炭酸ガスの含浸が効果的にでき、より好ましくは7.0Mpa〜10.0Mpa程度で保持され、超臨界状態が維持される。
パリソンPの内表面に1〜2mmの発泡層を形成する場合、ガスの樹脂内への含浸時間は、樹脂温度が160℃前後に保たれ金型内圧力が5.0Mpa以上、好ましくは7Mpa以上に保たれるときの超臨界状態を、例えば1分程度維持すれば十分である。通常、金型内圧力を5.0Mpa以上に保持している間であり、かつ金型内面に熱を奪われることを少なくし樹脂温度が120℃前後にあれば、得るべき発泡層の厚さにもよるが、炭酸ガスの含浸時間は実用に際して許容できる範囲内で成される。当然、1分以上かかる(図2の(b))。
なお、超臨界状態が成り立つ条件は不活性ガスの種類により異なり、炭酸ガスの場合は、31.1℃、7.38Mpa以上であることが知られている
【0019】
その後、パリソンP内圧力を、略大気圧または大気圧以下に低下させる(図3において、縦の点線Dと点線Eとの間で示す内圧降下の領域に相当する)ことにより、樹脂内の不活性ガスが膨張して、図2の(c)に示すように、パリソンPの炭酸ガス含浸部が発泡して発泡層Hが形成される。このとき、パリソンPの発泡は、炭酸ガスが含浸した内面のみに進行し、適正な圧力と温度の条件下炭酸ガスが含浸する十分な時間を設けた場合を除き、炭酸ガスはキャビティ側の外面まで含浸することはなく、外面はソリッド状態が保持され、そのため製品寸法は正確に維持される。条件が整いキャビティに接しているパリソンの外面まで炭酸ガスが含浸し発泡した場合でも、成形品が十分な冷却後に脱型されれば、固化した発泡層の外表面はキャビティ面により形成され、寸法は正確に維持される。
【0020】
なお、パリソンP内部に高圧保持されている炭酸ガスの圧力を低下させる際、特に大気圧以下に低下させる際、必要に応じて金型キャビティ面等に負圧をかけ(いわゆる真空引きをし)、大気圧によりパリソンPの形状が外面から崩れることのないようにすることも一つの方法である。パリソンP内圧力の変化が急激な程、発泡セル径は細かくて良好な状態となる。排気に際しては、ガス流制御部9のバルブを操作して急速排気したり徐々に排気したりすればよい(図2の(c))。
【0021】
金型温度は炭酸ガスの排気開始時またはその後から低下するよう調節される(図3において、縦の点線Eと点線Fとの間で示す冷却の領域に相当する)。パリソンPの樹脂内に含浸している炭酸ガスの膨張をまたず金型温度を低下させることは、樹脂温度の急激な低下を招き炭酸ガスの膨張により樹脂が発泡することを妨げるので得策ではない。その後、金型温度が好ましくは50℃以下になり、樹脂温度が低下して樹脂の発泡状態が固化されたら成形品を金型から取り出す(図3において、最も右側の縦の点線F以降のタイミングで取り出しを実施する)。
【0022】
なお、上記実施形態では、パリソン内の炭酸ガスのガス圧を開放するときの排気速度を制御したり自然排気に限るものではなく、吸引による強制排気を行ってもよい。
また、上記実施形態においては、不活性ガスとして炭酸ガスを用いたが、本発明はこれに限るものではなく、空気を用いることもできる。
【0023】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の成形方法及び装置においては、金型は、炭酸ガスや空気等の不活性ガスを5.0Mpa以上の高圧で供給可能であり、加熱冷却を効果的に行える温度調節が可能な装置である必要があるが、ブロー成形機は汎用機を使用することができ、専用機を設置しなくても良い点、経済的である。特に発泡層とソリッド層からなる二層のブロー成形品を得るための従来技術の高価な二層押出し機を用いなくても良い点が上げられる。
【0024】
また、本発明によれば、ブロー成形品の発泡層の厚さは、パリソンの内面からの炭酸ガスや空気等の不活性ガスの含浸度を調節することにより任意に設定することができる。そのため、内面の発泡層により断熱効果を得られ、外面のソリッド層によりブロー成形品の剛性を保つことも容易にできる。発泡層が独立気泡からなっているので、特に断熱効果の点で優れている。
【0025】
また、本発明によれば、パリソン内部における炭酸ガス等の高圧不活性ガスの圧力低下を急激に行えば、樹脂内部に含浸している不活性ガスの膨張が一度に始まり、そのため樹脂の発泡が均一に現れ、樹脂温度の調節により均一で小さな気泡を有する発泡体を得ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の成形装置の概略図である。
【図2】図1に示す成形装置におけるパリソンの加工工程を示す説明図である。
【図3】パリソンの加工工程における金型温度、樹脂温度、金型内圧力を示すグラフである。
【図4】従来のブロー成形方法の説明図である。
【図5】従来のブロー成形方法の説明図である。
【符号の説明】
1 成形装置
2 金型
3 金型保持部
4 ピストン
5 アクチュエータ
7 配管
8 ブローピン
9 ガス流制御部
10 ガス補給部
11 制御部
15 不活性ガス供給手段
20 パリソン供給部
P パリソン
Claims (5)
- 熱可塑性樹脂の発泡体を成形するときに、可塑化した前記熱可塑性樹脂にて形成されたパリソンを、ブロー成形可能な金型のキャビティに装着するとともにブローピンを装着して該金型を型閉めし、その後、前記パリソンを前記金型のキャビティ形状に沿わせる一次ブローを行った後、前記パリソン内に5.0Mpa以上の圧力で不活性ガスを吹き込む二次ブローを行うことにより、前記パリソン内側から前記熱可塑性樹脂内部へ不活性ガスを注入含浸させ、その後前記パリソン内の不活性ガスのガス圧を開放することにより、前記熱可塑性樹脂にて形成されたパリソンの樹脂内部に前記不活性ガスの気泡を形成させることを特徴とする熱可塑性樹脂発泡体の成形方法。
- 前記二次ブローによって前記パリソン内の炭酸ガスを超臨界状態とすることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂発泡体の成形方法。
- 前記パリソン内の不活性ガスのガス圧を開放するときに、その排気速度を制御することを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂発泡体の成形方法。
- 請求項1に記載の成形方法により成形する熱可塑性樹脂発泡体の成形装置において、ブロー成形可能な金型と、パリソンを前記金型に供給するパリソン供給部と、ブローピンを介して前記パリソン内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段とを有し、前記パリソンを前記金型のキャビティ形状に沿わせる一次ブローと、前記パリソン内に5.0Mpa以上の圧力で不活性ガスを吹き込む二次ブローとができるように構成されたことを特徴とする熱可塑性樹脂発泡体の成形装置。
- 前記パリソン内の不活性ガスのガス圧を開放するときの排気速度を制御可能とする制御手段を備えることを特徴とする請求項4に記載の熱可塑性樹脂発泡体の成形装置。
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