JP3942810B2 - 静電型インクジェットヘッドおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、静電力を利用した静電型アクチュエータを有するインクジェットプリンタ用記録ヘッド(静電型インクジェットヘッド)に関し、より詳細には、プリンタ、複写機、ファクシミリ等に適用される静電型インクジェットヘッドの構成およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、静電力を利用してインク滴を吐出させる静電型インクジェットヘッドは、インク吐出ノズルと連通している液室の一部となる振動板を形成する基板と、該振動板に対向して前記液室の反対側にギャップを介して対向配置された個別電極が配設されている電極基板とから構成されており、前記振動板と前記個別電極との間に電圧を印加することにより、前記振動板を変形させて液室に圧力を発生させることにより、インクを前記ノズルから吐出させるように動作する。
【0003】
静電型インクジェットヘッドにおいて、インクの吐出性能を向上させ、印字品質のばらつきを抑え、かつ、低駆動電圧化を図るためには、前記振動板に加わる圧力が前記振動板と前記個別電極間のギャップの距離の二乗に反比例していることから、該ギャップ間隔寸法精度の向上、ギャップ間隔の狭小化やギャップ間隔の形状に対する工夫等、該ギャップの構造のあり方がますます重要になってきている。かかるギャップ構造の形成手段に関しては、従来から種々の対策が講じられてきた。
【0004】
たとえば、特開平6−071882号公報「インクジェットヘッド及びその製造方法」では、図7に示すように、振動板305を形成する基板301と個別電極321を有する電極基板302との接合面のいずれか一方または両方の面にそれぞれ振動室305,個別電極321を囲むようにSiO2膜341,342を形成させ、該SiO2膜341,342の膜厚を一定精度に保たせることにより、ギャップ寸法を0.05乃至2.0μmとする例が開示されている。すなわち、SiO2膜341,342をギャップスペーサとして形成するものであり、該SiO2膜を熱酸化法、蒸着法、スパッタリング法、CVD法等の各種の方法を用いて高精度に形成せんとしている。
【0005】
また、特開平9−039235号公報「インクジェットヘッドおよびその駆動方法」においては、図8に示すように、振動板451と個別電極410とのギャップ寸法Gが小さなギャップG1,中間のギャップG2および大きなギャップG3と階段状に形成されるように、電極基板404に階段状の段差を設け、該段差の上に個別電極410を形成させている。
同じ駆動電圧の印加時においても、より大きなギャップG2,G3に対応する振動板451の部位よりも小さなギャップG1に対応する振動板451の部位が先に個別電極410側に吸引されるので、該部位が起点となって、徐々に振動板451全体にわたって弾性変位が誘起されることになる。また、振動板451の撓み量に応じて個別電極410上に形成された絶縁膜415に振動板451を当接させる量を階段状に変化させることができるので、インクの振動系のコンプライアンスを階段状に変化させることにより、インク滴の吐出量、大きさ等の吐出特性を制御することができる。
かかる階段状の段差を形成する電極基板はホウ珪酸ガラスからなっており、該段差を寸法精度よく形成させることにすれば、すぐれたインク吐出性能を達成することができる。
【0006】
また、特開平9−193375号公報「記録ヘッド」においては、振動板を形成する基板と個別電極を有する電極基板とを非平行に配置することにより、両者の間に非平行のギャップを形成する場合が開示されている。かかる非平行の配置を採用することにより、最もギャップ幅が小さい部位に大きな静電力が働くので、該部位にある振動板の位置が撓みはじめ、ギャップ間隔が狭めはじめると、該部位が起点となって、順次周辺の振動板と個別電極との間隔が狭められていく。したがって、低い駆動電圧で大きな変位が得られるとともに、インクの吐出量、吐出速度のばらつきも抑えることができる。
かかる非平行ギャップの形成は、電極基板に非平行の形状に形成し、該非平行形状の電極基板上に個別電極を取り付けることにより実現している。
【0007】
あるいは、振動板を形成する基板と個別電極を有する電極基板との間のギャップを個別電極の中央部から周辺部に向かって徐々に小さくすることにより、低電圧駆動を実現させる方法も既に提示されている(特願平11−349783号)。周辺部に向かってギャップ間隔を徐々に小さくさせる非平行ギャップの形状の最適化を図れば、さらに、前記振動板が変位する駆動電圧を低電圧化させたり、あるいは、変位量を大きくさせたりすることも可能である。また、前記非平行ギャップの形成方法としては、まず、前記電極基板上に形成させたフォトレジスト層をフォトリソグラフィにより前記のギャップ形状に成形した後、該フォトレジスト層をマスクとして前記電極基板材に対して等方性及び/又は異方性エッチングを該フォトレジスト層と前記電極基板とに同時に施すことにより前記電極基板材に所望のギャップ形状を転写させる方法が提示されている。
【0008】
さらには、前記フォトレジスト層を前記の非平行ギャップ形状に形成させる具体的な実施例として次の例も提示されている。すなわち、電極基板(または電極基板上の絶縁膜)上にフォトレジストを塗布後、透過光が散乱する特性を有するフォトマスクを用いて、前記フォトレジスト層の露光領域上で該フォトマスクの中央部では深く、フォトマスクの周辺部では浅く前記フォトレジスト層を露光させることにより、前記非平行ギャップ形状に形成させる。あるいは、非平行ギャップ形状形成の他の実施例として次の例も提示されている。すなわち、一旦、開口させたフォトレジスト上にさらにフォトレジストを段差形状に重ね塗りさせて開口部の周辺部のフォトレジストの形状が前記振動板側に向かって滑らかな凸形状のフォトレジスト層を形成させた後、熱処理を施して、該フォトレジスト層の形状を滑らかに形成させる。かかる形状のフォトレジスト層と電極基板とを同時にエッチングすることによりレジスト層の形状を電極基板に転写させることにより、自由度が高い形状を有する電極基板を作ることができる。
【0009】
あるいは、振動板に対して非平行なギャップ形状を形成させる電極基板の製造方法として、次のごとき方法を用いている場合もある。
電極基板(もしくは電極基板上に形成された単一の絶縁膜)上にフォトレジスト層を形成させた後、透過率が徐々に変化するフォトマスクを用いたフォトリソグラフィにより該フォトレジスト層に非平行の段差形状を形成させて、該フォトレジスト層と電極基板材(もしくは電極基板上の絶縁膜)とを同時にエッチングして、該フォトレジスト層に形成された非平行段差形状を電極基板材に転写させる。
【0010】
静電型インクジェットヘッドにおいて、前述したごとき、各種のギャップ構造を各種の製造方法を用いて形成させることによりインク吐出性能を向上させ、かつ、低電圧駆動を可能としている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の各種のインクジェットヘッドの構成やその製造方法においては振動板と個別電極との間に形成されるギャップの間隔寸法を精度よく、かつ、短時間に形成させることは困難である。
たとえば、前述の特開平6−071882号公報においては、前記ギャップを確保させるためのギャップスペーサとして単層のSiO2膜を用い、ギャップ間隔を0.05μm以上、2.0μm以下とすることが開示されているが、該ギャップ間隔寸法の形成方法やギャップ間隔に関する製造時の制御手段については開示されていない。また、ギャップスペーサの材料として、単層のSiO2膜を用いるため、該SiO2膜の形成には高温で長時間(たとえば、1100℃で約12時間)に及ぶ熱酸化処理が必要となる。
【0012】
また、特開平9−193375号公報などにおいては、非平行ギャップ形状の形成のために電極基板中または電極基板上に形成された単一のシリコン絶縁膜中に非平行の段差を形成させる構成となっており、多層・多結晶の膜に関しては対象としていない。さらには、非平行ギャップ形成のための該段差の深さ精度に関する制御が前記単一絶縁膜とフォトレジストのエッチングレート比もしくはエッチングレートとエッチング時間とにより行われるため、前記ギャップ間隔の寸法精度に関し、ばらつきが大きくなりやすい欠点が伴う。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであり、以下に掲げる4つの目的を有する。
本発明の第1の目的は、ギャップスペーサの材料および該ギャップスペーサの形成方法に関する。従来のギャップスペーサの材料は熱酸化膜を使用する場合が多く、2μm以上の厚さを有する熱酸化膜を形成するには高温長時間にわたる酸化プロセスが必要となり、製造コストが高くなる。かかる課題を解決するために本発明は、単一の熱酸化膜に比し、膜成長速度がより速いポリシリコンをギャップスペーサ材料として適用することにより、製造プロセス時間を短縮し、製造コストを低減せんとするものである。また、静電型インクジェットヘッドの今後の方向として、高速・高精細の印字品質を確保するために、インク滴量が一定の状態で吐出ノズル密度を向上させることが可能となるように、印字ビットセル面積すなわち印字ドットセル面積をできる限り小さくし、さらには、振動板を薄くして、ギャップ間隔を広目に調整する方向もあり、かかるギャップスペーサの形成材料、形成方法について、さらに重要性を増してきている。
【0014】
本発明の第2の目的は、前記ギャップ間隔の寸法精度を向上させる製造方法に関する。静電型インクジェットヘッドにおける駆動電圧やインク吐出量に大きな影響を持つ前記ギャップ間隔を形成する際に、ギャップスペーサ材にもなる酸化膜等のエッチングを途中で止めることによって、ギャップ間隔の寸法、または、非平行ギャップ形状を形成するための電極基板の形状を決定するごとき製造プロセスは寸法精度の点で技術的な困難さが伴う。本発明においては、かかるギャップ間隔の寸法を安定させかつ該間隔寸法のばらつきを低減させる製造方法を提供せんとするものである。
【0015】
本発明の第3の目的は、前記ギャップ形状に対する自由度が高いギャップの製造方法を提供せんとするものである。すなわち、低電圧駆動が可能であり、インク吐出量の多段階制御が可能であり、また、インク吐出量・吐出速度のばらつきを低減できる等の長所を有する、非平行ギャップを形成させる静電型インクジェットヘッドの製造を可能とし、さらには、かかる静電型インクジェットヘッドを低価格、高信頼、高性能、低ばらつきで製造できる製造方法も合わせて提供せんとするものである。
【0016】
本発明の第4の目的は、振動板電位の安定性に関する。すなわち、ポリシリコンに対してリン或いはボロン等の不純物をドープさせて、導電性をもたせ、かかる導電性ポリシリコンをギャップスペーサとして使用する製造方法を提供することにより、全印字ビットすなわち全印字ドットに対して振動板電位のばらつきがない安定した電位を電極基板側から得ることを可能にせんとするものである。
【0017】
具体的には、以下に示す解決手段を提供する。すなわち、請求項1の発明は、インクを吐出させるノズルに連通する液室の一部を構成する振動板と、前記振動板に対してギャップを介して対向配置させた個別電極が配設されている電極基板とを有し、前記振動板を静電力により変形させることにより前記液室のインクを前記ノズルから吐出させて記録媒体に記録を行う静電型インクジェットヘッドにおいて、前記振動板と前記個別電極との間の前記ギャップを形成させるギャップスペーサの主たる材料がポリシリコン層で形成され、該ポリシリコン層にリンあるいは砒素あるいはボロンをドープさせていることを特徴としたものである。
【0018】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記ポリシリコン層と前記電極基板との間にシリコン酸化膜が形成されていることを特徴としたものである。
【0019】
請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記ポリシリコン層の上面と側面とにポリシリコン酸化膜が形成されていることを特徴としたものである。
【0020】
請求項4の発明は、請求項1または2の発明において、前記ポリシリコン層の上面と側面とに熱CVD酸化膜が形成されていることを特徴としたものである。
【0022】
請求項5の発明は、インクを吐出させるノズルに連通する液室の一部を構成する振動板と、前記振動板に対してギャップを介して対向配置させた個別電極が配設されている電極基板と、前記振動板と前記個別電極との間の前記ギャップを形成させるギャップスペーサとを有し、該ギャップスペーサ材料が主にポリシリコン層で形成されている請求項1に記載の静電型インクジェットヘッドの製造方法において、CVD法を用いて前記電極基板上に前記ポリシリコン層を形成させる工程と、該ポリシリコン層上に所望の前記個別電極パターンの形状に対応させた形状のフォトレジストパターンを形成させた後、該フォトレジストパターンにエッチングを施すことにより、前記フォトレジストパターンの形状を前記ポリシリコン層に転写させて、所望の形状の前記ポリシリコン層を形成させる工程と、前記ポリシリコン層を形成させた後に、リンあるいは砒素あるいはボロンを前記ポリシリコン層の上面に折出させて、前記リンあるいは砒素あるいはボロンを前記ポリシリコン層にドープさせる工程とを有することを特徴を有することを特徴としたものである。
【0023】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記電極基板上に前記ポリシリコン層を形成させる工程に先立って、前記電極基板に熱酸化処理を施して前記電極基板上に薄いシリコン酸化膜を形成させる工程と、該シリコン酸化膜上に前記ポリシリコン層をCVD法により形成させる工程と、該ポリシリコン層上に所望の前記個別電極パターンの形状に対応させた形状のフォトレジストパターンを形成させた後、該フォトレジストパターンのエッチングを施すことにより、前記フォトレジストパターンの形状を前記ポリシリコン層に転写させて、所望の形状の前記ポリシリコン層を形成させる工程とを有することを特徴としたものである。
【0024】
請求項7の発明は、請求項5または6発明において、所望の形状の前記ポリシリコン層を形成させた後、熱酸化処理を施すことにより、前記ポリシリコン層の上面および側面に薄いポリシリコン酸化膜を形成させる工程を有することを特徴としたものである。
【0025】
請求項8の発明は、請求項5または6の発明において、所望の形状の前記ポリシリコン層を形成させた後、CVD法により前記ポリシリコン層の上面および側面に薄い熱CVD酸化膜を形成させる工程を有することを特徴としたものである。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる静電型インクジェットヘッドの構成および該インクジェットヘッドの製造方法について、以下、図を用いて説明する。
なお、各図は説明を簡単にするために印字ビットセル(すなわち印字ドットセル)1個分のみを示しているが、実際には同一の基板上に複数個の印字ビットセル(印字ドットセル)を等しい間隔等で配置して静電型インクジェットヘッドを形成させている。
まず、本発明にかかる静電型インクジェットヘッドの第1の実施形態について、図1および図2を用いて説明する。
【0028】
図1は、本発明にかかる静電型インクジェットヘッドに関するアクチュエータ部の要部を示す断面図である。
図1において、210は個別電極250を配設させるための支持基板となる電極基板であり、微小な幅のギャップ300を介して、振動板120と対向する位置に絶縁膜260で被覆された対向電極すなわち個別電極250が配置されるように、振動板120を構成する基板100と直接接合等により貼着されている。ここに、振動板120と対向する位置に配置されている個別電極250(正確には、個別電極250上に形成された絶縁膜260)と振動板120との間には微小なギャップ300が形成されているので、個別電極250と振動板120との間に電圧が印加されると、静電力により振動板120が個別電極250側に変位される。印加電圧が元の0レベルに復旧された際、変位されていた振動板120が弾性力によって元の位置に戻ろうとする力により、インクが液室150から連通されているノズル10を介して記録面に向かって吐出される。
【0029】
また、振動板120と個別電極250との間のギャップ間隔を確保するためのギャップスペーサとして、電極基板210上にポリシリコン層220が形成されるが、ポリシリコン酸化膜230とシリコン酸化膜240とともにポリシリコン層220の各膜厚の寸法精度を一定の寸法誤差内にとどめるように制御されて形成させている。該ポリシリコン層220、ポリシリコン酸化膜230の形成方法については後で詳述する。
【0030】
なお、本発明は、振動板120とギャップ300を挟んで対向する個別電極250との間のギャップ形成法に関するものであり、図1においては他部品の図示は省略しているが、従来の技術と同様に、図1に示す構成のアクチュエータ部にインク供給路、流体抵抗等の部品を組み付けることにより、静電型インクジェットヘッドが作製される。
【0031】
また、図1に示す静電型インクジェットヘッドでは、駆動電圧の低電圧化と吐出インク滴量の複数段階制御を目的として、個別電極250の一方の端部から該個別電極250の中心部に行くに従い、該個別電極250と対向する位置にある振動板120とのギャップ300の間隔が徐々に広がるように振動板120と非平行な形状に該個別電極250を形成するが、該個別電極250の残りの部分においては振動板120とのギャップ形状が平行となるように、該個別電極250が中心部で屈曲した形状を有している。また、個別電極250上の絶縁膜260は、振動板120の変位時における個別電極250と振動板120との短絡を防ぐためのものであるが、該絶縁膜260を振動板120側に形成しても、同様の効果を達成できる。また、振動板120と個別電極250とが直接接触しないような駆動方式で動作させる場合には絶縁膜260を省略することも可能である。
【0032】
なお、上述の屈曲形状の個別電極250を用いて形成したギャップ300の形状はあくまでも1例を示したものであり、目的に応じて他のギャップ形状にすることも可能である。
さらには、後述するが、ポリシリコン層220と電極基板210との間にシリコン酸化膜を形成させる構造とすることもできる。
【0033】
次に、本発明にかかる静電型インクジェットヘッドの製造方法について、図2に示す製造プロセス工程図に従って説明する。ここに、図2は、静電型インクジェットヘッドのアクチュエータ部の要部を製造する工程を示すものであるが、該工程で製造されたアクチュエータ部に従来と同様の製造方法により、インク供給路、流体抵抗、ノズルプレート等を組み付けることにより、静電型インクジェットヘッドが作製できることは前述した通りである。
【0034】
図2において、まず、リンまたはボロンを0.01乃至0.1Ω・cm含ませた結晶軸<100>のシリコンウエハからなる電極基板210上にギャップスペーサを構成させることになるポリシリコン層220をCVD法により1μmの厚さに成膜させる(図2(A))。
【0035】
次に、ポリシリコン層220上に所望の個別電極パターンの形成エリアの形状に対応した形状のフォトレジストパターンを形成した後、シリコンのエッチャント(すなわち、フッ酸:硝酸=1:100の溶液)を用いてウェットエッチングを施す。電極基板210に単結晶シリコンを用いている場合、ポリシリコン層220と単結晶シリコンとのエッチングレートの相違から、エッチングがポリシリコン層220と電極基板210との界面に到達した時点でエッチングレートは急激に遅くなるので、該時点でウェットエッチングを終了させ、フォトレジストを除去する(図2(B))。すなわち、本実施例においては、エッチング時間管理により所望のエッチングを施し、所望のギャップ間隔を確保できる位置でエッチングストップさせている。
【0036】
さらに、該ポリシリコン層220を有する電極基板210全体を酸化させて、電極基板210上には個別電極形成時に電極基板210との絶縁層となるシリコン酸化膜240を、また、ポリシリコン層220の上面と側面には絶縁膜となるポリシリコン酸化膜230を0.5μm膜厚で形成させる(図2(C))。
【0037】
次に、シリコン酸化膜240上に個別電極材料(TiN等)を折出させて形成した後、個別電極250形状にパターニングし、さらに、該個別電極250を保護するために、該個別電極250上に絶縁膜260を成膜させ、パターニングさせる。なお、個別電極材料がTiNであれば、アンモニア水(過酸化水素水添加)により、個別電極250形状のエッチングが可能である(図2(D))。
【0038】
個別電極250、絶縁膜260を形成させ、かつ、ポリシリコン層220、ポリシリコン酸化膜230を有する電極基板210に、振動板120を構成することになるシリコンウエハの基板100を直接接合等により貼り付けた後、基板100をエッチングして、インク液室150となる部分を形成する。ここで、液室150の底面を構成する振動板120の厚さが1〜3μmとなる時点でエッチングストップさせる(図2(E))。
【0039】
さらに、本発明は、振動板120とギャップ300を挟んで個別電極250との間におけるギャップ形成法に関するものであるので、他部品の組付けは図示していないが、インク供給路、流体抵抗等の構成要素を形成させた後、図1に示すごとく、基板100を構成している隔壁110にノズル10を有するノズルプレート50を従来と同様の製造方法を用いて接合させることにより、静電型インクジェットヘッドが形成される。
【0040】
今後の方向として、インク滴吐出性能を向上させるために前述のようにギャップ間隔300を広目に調整する方向もあり、該ギャップ300の間隔を広げることに対応してギャップスペーサの膜厚を厚くしなければならない。したがって、従来のごとく、ギャップスペーサの材料にシリコン酸化膜を用いている場合、該シリコン酸化膜の厚さを厚くしなければならないが、1.5μm厚さにシリコン酸化膜を形成するためには1100℃の高温酸化環境下において約12時間も酸化時間を必要とする。一方、ポリシリコンを用いる場合、同様のギャップ形状を得るためには、ポリシリコンの1.2μm厚の成膜に約6時間、さらに、絶縁膜となる酸化膜を0.3μm厚で形成するのに2時間の合計8時間で形成可能である。したがって、製造工期を短くでき、トータルの製造コストを安くすることができる。
【0041】
なお、ポリシリコン層220と電極基板210の単結晶シリコンとはウェットエッチングレートが前述のごとく大幅に異なるため、ほぼ選択的にポリシリコン層220のみのエッチングが可能となる。したがって、ギャップ300の間隔を規定するためのギャップスペーサの高さはポリシリコン層220の膜厚でほぼ決定され、次工程の酸化膜230,240形成後においても、ギャップスペーサの高さはほぼポリシリコン膜220の厚さ分のままとなる。すなわち、振動板120を構成する基板100を接合させて、ギャップ300を形成した場合、ギャップ300の間隔はポリシリコン層220の膜厚から個別電極250の膜厚と個別電極250の保護のための絶縁膜260の膜厚とを差し引いたものとなり、ギャップ300の間隔を精度良く、しかも、早く作り込むことができる。
【0042】
次に、本発明にかかる静電型インクジェットヘッドの第2の実施形態について、図3の製造プロセス工程図に基づいて説明する。本実施形態は前述の第1の実施形態と概ね同じであるが、電極基板210上にポリシリコン層220を形成させるに先立って、まず、シリコン酸化膜270を電極基板210上に薄く形成させている点が異なる。以下に、製造プロセス工程において、第1の実施形態と異なる特徴的な点について、図3を用いて説明する。
【0043】
まず、シリコンウエハからなる電極基板210を1000℃の酸素雰囲気中で熱酸化処理を行ない、電極基板210上に100Å程度の極く薄い膜厚のシリコン酸化膜270を形成させる。その後、CVD法により、シリコン酸化膜270上に1μmの膜厚のポリシリコン層220を成膜させる(図3(A))。
【0044】
次に、ポリシリコン層220に所望の個別電極パターンの形状に対応させた形状を形成させるために、ポリシリコン層220上にフォトレジスト層280を形成し、該フォトレジスト層280をフォトリソグラフィにより該所望の個別電極パターン形状に対応させた形状に形成する(図3(B))。
ここでは、個別電極パターンの形状が図1に示すごとき中心部で折れ曲がった形状の屈曲形状とする場合について示している。
【0045】
なお、かかる形状を形成させる他の方法として、形状に応じて開口率を変化させて光の透過率に変化を持たせたフォトマスクを利用することもできる。かかるフォトマスクを利用する場合、まず、前述のごとく、ポリシリコン層220上にフォトレジスト層をスピンコート法により塗布して形成させた後、前記フォトマスクを用いてフォトレジスト層を露光させて現像させることにより、所望の形状を有するフォトレジスト層を形成させることができる。
【0046】
次に、該フォトレジスト層280とポリシリコン層220とを深さ方向に同時に等方性および/または異方性ドライエッチング法により、エッチングを行うと、エッチングの進行に応じてフォトレジスト層280の屈曲形状がポリシリコン層220に転写されていく。本実施例においては、エッチングガスとしてCF4,O2の混合ガス系のプラズマを用いている。
【0047】
また、ドライエッチング中にプラズマ発光をモニタリングすることにより、正確なエッチング深度でエッチングストップさせることができる。すなわち、ポリシリコン層220の下面にあらかじめシリコン酸化膜270を形成させているので、エッチングが進み、ポリシリコン層220がなくなって、その下のシリコン酸化膜270が露出した時、プラズマ発光の波長強度が変化し、シリコン本来の発光波長の強度の光を検出すれば、ポリシリコン層220がなくなり、その下にあるシリコン酸化膜が露出していることになり、エッチングストップさせればよい。かかるエッチングストップを用いることにより、図1に示す個別電極250と対向配置される振動板120との間のギャップ300の間隔を、ポリシリコン層220の膜厚で正確に制御することが可能となり、強いては各印字ドットの印字特性を均一にすることができる。エッチングストップした時点で、フォトレジスト層280を除去することにより、屈曲形状のポリシリコン層を形成した電極基板210が得られる(図3(C))。
【0048】
なお、かかる個別電極パターンの形状に対応した屈曲形状を有するポリシリコン層220を形成した後は、第1の実施形態に示す図2(C)乃至図2(E)と同様の工程を行うことにより、インクジェットヘッドのアクチュエータ部を構成させることができる。すなわち、まず、屈曲形状のポリシリコン層220を形成した電極基板210全体を酸化処理を行うことにより、個別電極250の形成時に、電極基板210との絶縁膜層となるシリコン酸化膜240を電極基板210上に形成させ、また、ポリシリコン層220の上面と側面にも絶縁膜となるポリシリコン酸化膜230を形成させる(図3(D))。
【0049】
次いで、シリコン酸化膜240の上面およびポリシリコン酸化膜230の傾斜面に個別電極材料を折出形成させた後、屈曲形状を有する個別電極250の形状にパターニングを行ない、さらに、該個別電極250を保護するために、個別電極250上に絶縁膜260を成膜させて、パターニングを施す(図3(E))。
【0050】
個別電極250を形成した電極基板210に振動板120を構成することになるシリコンウエハの基板100を直接接合等により貼り付けた後、基板100をエッチングして液室150を形成させ、該液室の底面部の振動板120の厚さを1乃至3μmとする(図3(F))。
【0051】
電極基板210と基板100とを接合させることにより形成された個別電極250と振動板120とのギャップ300の間隔は、第1の実施形態の場合と同様に、ギャップスペーサを形成するポリシリコン層220の膜厚で主に制御される。したがって、前述のごとく、ドライエッチング深度をプラズマ発光のモニタリングによりエッチングストップさせれば、ポリシリコン層220の正確な膜厚を得ることができるので、所望のギャップ間隔を精度良く実現することが可能となる。
【0052】
次に、本発明にかかる静電型インクジェットヘッドの第3の実施形態について図4を用いて説明する。
図4は、該静電型インクジェットヘッドに関するアクチュエータ部の要部を示す断面図である。
すなわち、前述の第1および第2の実施形態においては、個別電極パターンの形状に応じた形状のポリシリコン層220を有する電極基板210上に熱酸化膜(正確に記述すると、ポリシリコン層220の上面と側面にはポリシリコン酸化膜230および電極基板210上にはシリコン酸化膜240)を形成しているが、本実施形態においては、かかる熱酸化膜の代わりに、0.5μm膜厚の高温酸化膜295を形成するものである。
ここで、高温酸化膜とは、LPCVD装置により、600℃以上の高温で形成される熱CVD酸化膜すなわちHTO(High-Temperature-Oxide)膜のことであり、CVD膜であるので、上記熱酸化膜に比して、折出レートが高く、短時間で所望の膜厚を得ることができる特徴を有している。
【0053】
なお、高温酸化膜295である熱CVD酸化膜の膜厚はポリシリコン層220上でも、電極基板210上でも同じ厚さ(0.5μm厚)に形成されるので、ギャップスペーサの高さは、第1および第2の実施形態の場合と同様に、ほぼポリシリコン層220の膜厚分となる。したがって、前述の第1および第2の実施形態と同様に、該ポリシリコン層220の膜厚を正確に制御して作製することにより、個別電極250と振動板120との間のギャップ300の間隔を精度良く形成することができる。
【0054】
また、高温酸化膜295の製造方法についても、第1の実施形態における製造工程を示す図2(C)の全体酸化工程の代わりに、CVD法によりポリシリコン層220を有する電極基板210を600℃以上の高温で酸化処理させ、0.5μmの膜厚の熱CVD酸化膜を折出形成させる工程とする以外は、第1の実施形態における製造工程と同様である。
【0055】
次に、本発明にかかる静電型インクジェットヘッドの第4の実施形態について図5を用いて説明する。
図5は、該静電型インクジェットヘッドに関するアクチュエータ部の要部を示す断面図である。
まず、電極基板210となる結晶軸<100>シリコンウエハにはリン、砒素あるいはボロンを0.01乃至0.1Ω・cm含有させているものを用いる。該電極基板210上に個別電極250のパターン形状に応じてパターニングされたポリシリコン層225が形成されているが、該ポリシリコン層225にはリン、砒素あるいはボロンがシート抵抗値5乃至40Ω/□程度になる濃度でドープされているので、導電性を有するポリシリコン層となっている。
また、振動板120を構成する基板100および電極基板210の双方ともポリシリコン層220に対する接触面積が全印字ドットにわたって同一の大きさに形成されている。
したがって、振動板120の電位を全印字ドットに対して同一の低抵抗値で電極基板側210側から得ることができ、振動板120の電位の安定化を図ることができる。また、振動板120を形成する基板100側に特別の電極端子を備えることが不要となるので、電気的配線の自由度が増し、設計や製造プロセスにも好ましい効果を提供することができる。
【0056】
かかる静電型インクジェットヘッドの製造方法について、以下に、図6を用いて説明する。
まず、結晶軸<100>で、リン、砒素あるいはボロンを0.01乃至0.1Ω・cm含有させたシリコンウエハである電極基板210上の全面にポリシリコン層220をCVD法により1μmの厚さに折出させて成膜させる(図6(A))。
【0057】
次いで、第2の実施形態の場合と同様に、フォトレジストパターンをポリシリコン層220上に形成した後、エッチングガスとしてCF4とO2との混合ガス系のプラズマを用いて等方性および/または異方性ドライエッチングを行ない、個別電極パターン形状に応じた形状にポリシリコン層220をパターニングする。ここで、第2の実施形態に示す如く、該ポリシリコン層220の形状を非平行ギャップ形状とさせることもできる。かかるパターニングが終了した後、フォトレジストを除去する(図6(B))。
【0058】
次に、ポリシリコン層220の上面に対してリンを折出させた後、フッ酸を用いてリンガラスエッチングを行なう。ポリシリコン層220内にはリンがドープされ低抵抗の特性をもつ導電性ポリシリコン層225が形成される(図6(C))。単結晶シリコンモニタを用いてシート抵抗値を測定し、5乃至40Ω/□となるように、ドープされているリンの濃度を制御する。また、リンの代わりに、砒素をポリシリコン層220にドープさせても、同様に、ポリシリコン層220にオーミックな特性を与えることができる。なお、電極基板210がP型シリコンであり、振動板120を構成する基板100もP型シリコンである場合には、ボロンを折出させてポリシリコン層220にボロンをドープさせて、ポリシリコン層220を電気的に低抵抗のオーミック特性を有する導電性ポリシリコン層225とさせることもできる。
【0059】
その後、低抵抗オーミック特性を有する導電性ポリシリコン層225を形成した電極基板210全体を酸化処理し、導電性ポリシリコン層225の上面と側面にポリシリコン酸化膜235を電極基板210上には熱シリコン酸化膜245を膜厚0.5μmに形成させる(図6(D))。
なお、導電性ポリシリコン層225、電極基板210共にリンを含有するシリコンの酸化膜であるので、増速して酸化が進むが、導電性ポリシリコン層225と電極基板210とはほぼ同程度の濃度のリンがドープされているので、ポリシリコン酸化膜235の膜厚と熱シリコン酸化膜245の膜厚とはほぼ同じ厚さになる。
【0060】
次いで、電極材料(TiN等)をシリコン酸化膜245上に折出させた後、個別電極250の形状にパターニングを施し、さらに、個別電極250を保護するために、個別電極250上に絶縁膜260を成膜させた後、パターニングを行なう。
その後、導電性ポリシリコン層225の上面に形成されているポリシリコン酸化膜235をフォトレジストにより除去する(図6(E))。
【0061】
次に、振動板120を構成することになるシリコンの基板100を直接接合などにより導電性ポリシリコン層225に貼り付けた後、基板100をエッチングして、液室150となる部分を形成する。ここで、液室150の底面を構成する振動板120の厚さは1乃至3μmとなる時点でエッチングストップさせるように制御する(図6(F))。
なお、振動板120を構成するシリコンの基板100も、電極基板210と同様に、0.01乃至0.1Ω・cmの抵抗値のものを用いる。
【0062】
【発明の効果】
(請求項1)および(請求項6)における効果
ギャップスペーサの材料にポリシリコン層を用いているので、電極基板を形成する単結晶シリコンとのウェットエッチングレートが大幅に異なることを利用してギャップスペーサの高さを構成するポリシリコン層のエッチング深度を精度よく制御することが可能であり、強いては振動板と個別電極とのギャップの寸法精度も向上させることができ、静電型インクジェットヘッドの製造時の歩留りを高めることができる。また、静電型インクジェットヘッドの印字ドットの大きさや位置のばらつきも少ない高印刷品質を達成できる。
【0063】
(請求項2)および(請求項7)における効果
ポリシリコン層の下側にシリコン酸化膜を形成させるので、振動板と非平行な個別電極の形状に対応させて、傾斜形状を有するポリシリコン層を形成させるためにドライエッチングを施す場合に、前記ポリシリコン層の下側にあるシリコン酸化膜が露出した際に、シリコン本来の発光波長強度を有する光を検出することによりエッチングストップを行うことができる。したがって、前記ポリシリコン層のエッチング深度を精度よく制御することができるので、(請求項1)および(請求項6)と同様の効果が得られる。また、個別電極形状の自由度が増し、振動板との非平行ギャップの形成がより容易となるので、静電型インクジェットヘッドの低電圧駆動を実現できる。
【0064】
(請求項3),(請求項4),(請求項8)および(請求項9)における効果
ギャップスペーサであるポリシリコン層と個別電極との間の電気的絶縁性が得られるので、電気的に安定した高品質の振動板駆動が可能となる。また、個別電極の下にも前記ポリシリコン層上面に形成したポリシリコン酸化膜または熱CVD酸化膜と同一の膜厚の酸化膜を形成させることができるので、振動板と個別電極とのギャップ間隔を、主に、ポリシリコン層のギャップスペーサの高さで制御することが可能であり、(請求項1)および(請求項6)と同様の効果が得られる。
【0065】
(請求項5)および(請求項10)における効果
ポリシリコン層にリンあるいは砒素あるいはボロンをドープすることにより低抵抗の導電性ポリシリコン層とすることができるので、振動板と電極基板との電気的な導通を可能とし、振動板の電位を全印字ドットにわたり電極基板の裏面を利用して得ることができる。したがって、振動板を構成する基板上に特別の電極端子を備えさせることが不要であり、電気的配線の自由度が増し、設計や製造プロセスに好ましい効果が得られる。また、振動板の電位を全印字ドットに対して同一の低抵抗値を介して電極基板側から得ることができるので、振動板の電位の安定化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる静電型インクジェットヘッドに関するアクチュエータ部の要部の第1の実施形態を示す断面図である。
【図2】 本発明にかかる静電型インクジェットヘッドに関するアクチュエータ部の製造工程の第1の実施形態を示すための製造プロセス工程図である。
【図3】 本発明にかかる静電型インクジェットヘッドに関するアクチュエータ部の製造工程の第2の実施形態を示すための製造プロセス工程図である。
【図4】 本発明にかかる静電型インクジェットヘッドに関するアクチュエータ部の要部の第3の実施形態を示す断面図である。
【図5】 本発明にかかる静電型インクジェットヘッドに関するアクチュエータ部の要部の第4の実施形態を示す断面図である。
【図6】 本発明にかかる静電型インクジェットヘッドに関するアクチュエータ部の製造工程の第4の実施形態を示すための製造プロセス工程図である。
【図7】 従来の静電型インクジェットヘッドの構成を示す図である。
【図8】 従来の静電型インクジェットヘッドにおける別の構成を示す図である。
【符号の説明】
10…ノズル、50…ノズルプレート、100…基板、110…隔壁、120…振動板、150…液室、210…電極基板、220…ポリシリコン層、225…導電性ポリシリコン層、230,235…ポリシリコン酸化膜、240,245…シリコン酸化膜、250…個別電極、260…絶縁膜、270…シリコン酸化膜、280…フォトレジスト層、295…高温酸化膜(熱CVD酸化膜)、300…ギャップ、301…(第1の)基板、302…電極基板、304…ノズル孔、305…振動板、306…液室、321…個別電極、402…(第1の)基板、404…電極基板(ガラス基板)、405…液室、410…個別電極、411…ノズル孔、415…絶縁膜、451…振動板。
Claims (8)
- インクを吐出させるノズルに連通する液室の一部を構成する振動板と、前記振動板に対してギャップを介して対向配置させた個別電極が配設されている電極基板とを有し、前記振動板を静電力により変形させることにより前記液室のインクを前記ノズルから吐出させて記録媒体に記録を行う静電型インクジェットヘッドにおいて、前記振動板と前記個別電極との間の前記ギャップを形成させるギャップスペーサの主たる材料がポリシリコン層で形成され、該ポリシリコン層にリンあるいは砒素あるいはボロンをドープさせていることを特徴とする静電型インクジェットヘッド。
- 請求項1に記載の静電型インクジェットヘッドにおいて、前記ポリシリコン層と前記電極基板との間にシリコン酸化膜が形成されていることを特徴とする静電型インクジェットヘッド。
- 請求項1または2に記載の静電型インクジェットヘッドにおいて、前記ポリシリコン層の上面と側面とにポリシリコン酸化膜が形成されていることを特徴とする静電型インクジェットヘッド。
- 請求項1または2に記載の静電型インクジェットヘッドにおいて、前記ポリシリコン層の上面と側面とに熱CVD酸化膜が形成されていることを特徴とする静電型インクジェットヘッド。
- インクを吐出させるノズルに連通する液室の一部を構成する振動板と、前記振動板に対してギャップを介して対向配置させた個別電極が配設されている電極基板と、前記振動板と前記個別電極との間の前記ギャップを形成させるギャップスペーサとを有し、該ギャップスペーサ材料が主にポリシリコン層で形成されている請求項1に記載の静電型インクジェットヘッドの製造方法において、CVD法を用いて前記電極基板上に前記ポリシリコン層を形成させる工程と、該ポリシリコン層上に所望の前記個別電極パターンの形状に対応させた形状のフォトレジストパターンを形成させた後、該フォトレジストパターンにエッチングを施すことにより、前記フォトレジストパターンの形状を前記ポリシリコン層に転写させて、所望の形状の前記ポリシリコン層を形成させる工程と、前記ポリシリコン層を形成させた後に、リンあるいは砒素あるいはボロンを前記ポリシリコン層の上面に折出させて、前記リンあるいは砒素あるいはボロンを前記ポリシリコン層にドープさせる工程とを有することを特徴とする静電型インクジェットヘッドの製造方法。
- 請求項5に記載の静電型インクジェットヘッドの製造方法において、前記電極基板上に前記ポリシリコン層を形成させる工程に先立って、前記電極基板に熱酸化処理を施して前記電極基板上に薄いシリコン酸化膜を形成させる工程と、該シリコン酸化膜上に前記ポリシリコン層をCVD法により形成させる工程と、該ポリシリコン層上に所望の前記個別電極パターンの形状に対応させた形状のフォトレジストパターンを形成させた後、該フォトレジストパターンのエッチングを施すことにより、前記フォトレジストパターンの形状を前記ポリシリコン層に転写させて、所望の形状の前記ポリシリコン層を形成させる工程とを有することを特徴とする静電型インクジェットヘッドの製造方法。
- 請求項5または6に記載の静電型インクジェットヘッドの製造方法において、所望の形状の前記ポリシリコン層を形成させた後、熱酸化処理を施すことにより、前記ポリシリコン層の上面および側面に薄いポリシリコン酸化膜を形成させる工程を有することを特徴とする静電型インクジェットヘッドの製造方法。
- 請求項5または6に記載の静電型インクジェットヘッドの製造方法において、所望の形状の前記ポリシリコン層を形成させた後、CVD法により前記ポリシリコン層の上面および側面に薄い熱CVD酸化膜を形成させる工程を有することを特徴とする静電型インクジェットヘッドの製造方法。
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