JP3945221B2 - ブレーキ制御装置 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、ブレーキ制御装置に関するものであり、特に、主電源と副電源とを備えた電源装置を含むブレーキ制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特開平2000−261982号公報には、(a)ブレーキシリンダの液圧により摩擦係合部材をブレーキ回転体に押し付けることによって車輪の回転を抑制するブレーキと、(b)高圧ポンプおよび低圧ポンプと、これら高圧ポンプ、低圧ポンプをそれぞれ作動させる高圧ポンプ用、低圧ポンプ用の2つの電動モータとを含むポンプ装置と、(c)コイルを備えたソレノイドを含み、コイルへの供給電流の制御により、ブレーキシリンダの液圧を制御可能な液圧制御弁装置と、(d)主電源と副電源とを含む電源装置と、(e)主電源の出力電圧が低下した場合に、低圧ポンプを作動させないで、高圧ポンプを作動させることによって、副電源における消費電力の低減を図る消費電力低減部とを含むブレーキ制御装置が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題、課題解決手段および効果】
本発明の課題は、主電源と副電源とを含む電源装置を備えたブレーキ制御装置の改良である。例えば、副電源をブレーキ制御装置専用のものとしたり、副電源から電気エネルギが供給される状態において、複数のソレノイドのうちの一部のソレノイドに電流を供給しないことにより、副電源における電気エネルギ消費量を低減させ得るものとしたりすることである。上記課題は、ブレーキ制御装置を下記各態様の構成のものとすることによって解決される。各態様は、請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまで、本明細書に記載の技術の理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特徴およびそれらの組み合わせが以下の各項に限定されると解釈されるべきではない。また、1つの項に複数の事項が記載されている場合、常に、すべての事項を一緒に採用しなければならないものではなく、一部の事項のみを取り出して採用することも可能である。
【0005】
(1)車両の前後左右の各輪に対応してそれぞれ設けられ、駆動力としての液圧により摩擦係合部材をブレーキ回転体に押し付けることによって前記前後左右の各輪の回転をそれぞれ抑制する液圧ブレーキと、
それら前後左右の各輪の液圧ブレーキにそれぞれ対応して設けられ、電流が供給されることにより前記摩擦係合部材を前記ブレーキ回転体に押し付ける状態に作動させられる電磁液圧制御弁を含むとともに、前記電磁液圧制御弁への供給電流の制御により前記液圧ブレーキの液圧を制御可能な駆動力制御装置と
を含むブレーキ制御装置であって、
前記電磁液圧制御弁の各々に、互いに並列に接続された主電源とキャパシタとを含む電源装置と、
前記主電源の出力電圧が低下した場合に、前記前後左右の各輪の液圧ブレーキに対応する電磁液圧制御弁のうちの一部に電流を供給し、一部に電流を供給しないことによって前記キャパシタにおける消費電力を低減させる消費電力低減部であって、(a)前記右前輪および前記左後輪の液圧ブレーキに対応する電磁液圧制御弁に電流を供給して、前記左前輪および前記右後輪の液圧ブレーキに対応する電磁液圧制御弁に電流を供給しない第1のモードと、(b)前記右前輪および前記左後輪の液圧ブレーキに対応する電磁液圧制御弁に電流を供給しないで、前記左前輪および前記右後輪の液圧ブレーキに対応する電磁液圧制御弁に電流を供給する第2のモードと、(c)前記左前輪および前記右前輪の液圧ブレーキに対応する電磁液圧制御弁に電流を供給して、前記左後輪および前記右後輪の液圧ブレーキに対応する電磁液圧制御弁に電流を供給しない第3のモードとで選択的に作動するものとを含むことを特徴とするブレーキ制御装置(請求項1)。
本項に記載のブレーキ制御装置においては、電源装置がキャパシタを含む。キャパシタはバッテリと比較して、充放電時に化学反応を伴わないため、大電流による急速充放電が可能である。また、広い温度範囲で充放電を安定して行うことができる。鉛やカドミウムなどの重金属を含まないため、環境を悪化させない。短絡しても故障しない。寿命が長い等の利点がある。
また、主電源とキャパシタとが並列に設けられれば、一方に異常が生じても他方から駆動力制御装置に電流を供給することができる。主電源は、オルタネータとしても、バッテリとしてもよい。
さらに、キャパシタがブレーキ制御装置専用に設けられれば、駆動力制御装置における電気エネルギの消費量とキャパシタに残っている電気エネルギ量(残存電気量)との間に一定の関係が成立するため、駆動力制御装置への電流の供給状態(駆動力制御装置の作動状態)に基づいてキャパシタの残存電気量を推定することができる。逆に、キャパシタの残存電気量に基づいて駆動力制御装置への供給電流を制御することもできる。また、キャパシタは、ブレーキ制御装置専用のものでなくてもよい。
駆動力制御装置への供給電流は、例えば、車輪に加えられるブレーキ作動力によって車両全体に加えられる制動力が運転者が要求する要求制動力に対応する大きさとなるように制御されるようにすることができる。要求制動力は、運転者によるブレーキ操作部材の操作状態に基づいて取得することができる。また、前方車両との相対位置関係に基づいて制御されるようにしたり、上述のように、キャパシタの残存電気量に基づいて制御されるようにしたりすることができる。
また、主電源の出力電圧が低下した場合に、(a)右前輪および左後輪のブレーキに対応する電磁装置に電流を供給して、左前輪および右後輪のブレーキに対応する電磁装置に電流を供給しない第1のモードと、(b)右前輪および後輪のブレーキに対応する電磁装置に電流を供給しないで、左前輪および右後輪のブレーキに対応する電磁装置に電流を供給する第2のモードと、(c)左前輪および右前輪のブレーキに対応する電磁装置に電流を供給して、左後輪および右後輪のブレーキに対応する電磁装置に電流を供給しない第3のモードとで選択的に作動して、前後左右の各輪のブレーキに対応する電磁装置のうちの一部に電流を供給し、一部に電流を供給しないこととする。それによって、キャパシタにおける消費電力を低減させることができる。キャパシタの残存電気量の減少速度を小さくすることができ、キャパシタを長時間使用することができる。
電磁液圧制御弁は、ソレノイドへの供給電流のON・OFFにより開閉させられる電磁開閉弁であっても、前後の差圧をソレノイドへの供給電流の大きさに応じた大きさに制御可能なリニア液圧制御弁であってもよい。電磁開閉弁である場合に、供給電流のデューティ制御によって、ブレーキシリンダの液圧を連続的に制御することができる。ただし、デューティ制御が行われることは不可欠ではない。電磁開閉弁であっても、リニア液圧制御弁であってもよい。
電磁液圧制御弁の1つが、例えば、〔発明の実施の形態〕において記載された増圧リニアバルブ110、114のように、ポンプ装置とブレーキシリンダとの間に設けられ、ソレノイドに電流が供給されない場合に閉状態にある常閉弁である場合には、その増圧側常閉弁のソレノイドへの供給電流が大きい場合(デューティ制御比が大きく、開状態(ON状態)にある比率が大きい場合も含む)は小さい場合より、ブレーキシリンダの液圧が高くなる。それに対して、常開弁である場合には、その増圧側常開弁のソレノイドへの供給電流が大きい場合(デューティ制御比が大きく、閉状態(ON状態)にある比率が大きい場合も含む)は小さい場合よりブレーキシリンダの液圧が低くなる。
電磁液圧制御弁の1つが、〔発明の実施の形態〕における減圧リニアバルブ112のようにブレーキシリンダと低圧源との間に設けられた減圧側常閉弁である場合には、その供給電流が小さい場合に大きい場合よりブレーキシリンダの液圧が高くなり、〔発明の実施の形態〕の減圧リニアバルブ116のように減圧側常開弁である場合には、供給電流が大きい場合は小さい場合よりブレーキシリンダの液圧が高くなる。
(2)当該ブレーキ制御装置が、(a)前記右前輪の液圧ブレーキに対応する電磁液圧制御弁および前記左後輪の液圧ブレーキに対応する電磁液圧制御弁への供給電流をそれぞれ制御するコンピュータを主体とする第1の供給電流制御部と、(b)前記左前輪の液圧ブレーキに対応する電磁液圧制御弁および前記右後輪の液圧ブレーキに対応する電磁液圧制御弁への供給電流をそれぞれ制御するコンピュータを主体とする第2の供給電流制御部とを含み、前記消費電力低減部が、(i)前記第1の供給電流制御部と、それによって供給電流が制御される電磁液圧制御弁とを含む第1のブレーキ制御系統と、(ii)前記第2の供給電流制御部と、それによって供給電流が制御される電磁液圧制御弁とを含む第2のブレーキ制御系統との各々について、異常を検出する手段を含み、その異常を検出する手段によって、前記第1のブレーキ制御系統と前記第2のブレーキ制御系統とのいずれにも異常が検出されない場合に、前記第3のモードで電流を供給し、前記第1のブレーキ制御系統の異常が検出された場合に、前記第2のモードで電流を供給し、前記第2のブレーキ制御系統の異常が検出された場合に、前記第1のモードで電流を供給する(1)項に記載のブレーキ制御装置(請求項2)。
(3)当該ブレーキ制御装置が、(a)前記右前輪の液圧ブレーキに対応する電磁液圧制御弁および前記左後輪の液圧ブレーキに対応する電磁液圧制御弁と、それら電磁液圧制御弁への供給電流をそれぞれ制御するコンピュータを主体とする第1の供給電流制御部とを含む第1のブレーキ制御系統と、(b)前記左前輪の液圧ブレーキに対応する電磁液圧制御弁および前記右後輪の液圧ブレーキに対応する電磁液圧制御弁と、それら電磁液圧制御弁への供給電流をそれぞれ制御するコンピュータを主体とする第2の供給電流制御部とを含む第2のブレーキ制御系統とを含み、(i)前記第1の液圧ブレーキ制御系統に含まれる前記第1の供給電流制御部、前記右前輪および左後輪の液圧ブレーキに対応する電磁液圧制御弁と、(ii)前記第2のブレーキ制御系統に含まれる前記第2の供給電流制御部、前記左前輪および右後輪のブレーキに対応する電磁液圧制御弁とが、前記電源装置に、それぞれ、別個の電源線によって接続された(1)項または(2)項に記載のブレーキ制御装置(請求項3)。
(4)当該ブレーキ制御装置が、前記駆動力を、ブレーキ操作部材の操作状態に基づいて決まる要求制動力が得られるように制御する手段を含む(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記載のブレーキ制御装置(請求項5)。
(5)前記電源装置が、前記主電源の出力電圧が設定値以下に低下した場合に、前記駆動力制御装置に前記主電源から電力が供給可能な主供給状態から前記キャパシタから電力が供給可能な副供給状態に切り換える電源制御部を含む(1)項ないし(4)項のいずれか1つに記載のブレーキ制御装置(請求項6)。
本項に記載のブレーキ制御装置においては、主電源の出力電圧が設定値より大きい場合には、主電源から駆動力制御装置に電力が供給可能な状態とされ、設定値以下に低下した場合に、キャパシタから供給可能な状態にされる。
( 6 )前記駆動力制御装置が、さらに、電動モータにより作動させられて、前記ブレーキシリンダに加圧された作動液を供給可能な動力式液圧源を含む(1) 項ないし (5) 項のいずれか1つに記載のブレーキ制御装置。
動力式液圧源は、電動モータにより作動させられるポンプを含むものであっても、電動モータの駆動力により作動させられる動力式液圧シリンダを含むものであってもよい。いずれにしても、電動モータへの供給電流の制御によって、動力式液圧源の出力液圧が制御される場合と、出力液圧の制御が予定されていない場合とがある。動力式液圧源の出力液圧が制御可能である場合には、電磁液圧制御弁がなくても、ブレーキシリンダの液圧を制御することができる。それに対して、出力液圧の制御が予定されていない場合には、電磁液圧制御弁と組み合わせて設けることが望ましい。
消費電力低減部は、さらに、電動モータへの供給電流を低減させる手段を含むものとすることができる。
(7)車両の前後左右の各輪に対応してそれぞれ設けられ、駆動力としての電動モータの押圧力により摩擦係合部材をブレーキ回転体に押し付けることによって前記前後左右の各輪の回転をそれぞれ抑制する電動ブレーキと、
前記電動モータを含むとともに、前記押圧力を、それぞれ、前記電動モータへの供給電流の制御により制御可能な駆動力制御装置と
を含むブレーキ制御装置であって、
前記電動モータの各々に、互いに並列に接続された主電源とキャパシタとを含む電源装置と、
前記主電源の出力電圧が低下した場合に、前記前後左右の各輪の電動ブレーキに対応する電動モータのうちの一部に電流を供給し、一部に電流を供給しないことによって前記キャパシタにおける消費電力を低減させる消費電力低減部であって、 (a) 前記右前輪および前記左後輪の電動ブレーキに対応する電動モータに電流を供給して、前記左前輪および前記右後輪の電動ブレーキに対応する電動モータに電流を供給しない第1のモードと、 (b) 前記右前輪および前記左後輪の電動ブレーキに対応する電動モータに電流を供給しないで、前記左前輪および前記右後輪の電動ブレーキに対応する電動モータに電流を供給する第2のモードと、 (c) 前記左前輪および前記右前輪の電動ブレーキに対応する電動モータに電流を供給して、前記左後輪および前記右後輪の電動ブレーキに対応する電動モータに電流を供給しない第3のモードとで選択的に作動するものとを含むことを特徴とするブレーキ制御装置(請求項4)。
電動モータへの供給電流が低減させられることにより、押圧力が小さくなり、ブレーキ作動力が小さくなる。
本項に記載のブレーキ制御装置には、 (2) 項ないし (6) 項のいずれかに記載の特徴を採用することができる。
( 8 )車両の前後左右の各輪に対応してそれぞれ設けられ、駆動力により摩擦係合部材をブレーキ回転体に押し付けることによって前記前後左右の各輪の回転をそれぞれ抑制するブレーキと、
それら前後左右の各輪のブレーキにそれぞれ対応して設けられ、電流が供給されることにより前記摩擦係合部材を前記ブレーキ回転体に押し付ける電磁装置を含むとともに、その駆動力を、それぞれ、供給電流の制御により制御可能な駆動力制御装置と、
前記電磁装置の各々に、互いに並列に接続された主電源とキャパシタとを含む電源装置と、
(a)前記複数のブレーキから一部のブレーキを選択するブレーキ選択部と、(b)そのブレーキ選択部によって選択されたブレーキに対応する電磁装置について供給電流の制御を行い、選択されないブレーキに対応する電磁装置については電流を供給しない一部電流供給部とを含む消費電力低減装置と
を含むブレーキ制御装置であって、
前記ブレーキ選択部が、前輪のブレーキを選択する前輪ブレーキ選択部を含むことを特徴とするブレーキ制御装置。
ブレーキ選択部は、車両の制動について重要な車輪のブレーキを選択したり、ブレーキ作動力(駆動力)を同じにした場合に供給電流が少なくて済む駆動力制御装置に対応するブレーキを選択したりするものとすることができる。また、ブレーキ選択部は、4つのブレーキから2つまたは3つのブレーキを選択するものであっても、1つを選択するものであってもよい。
なお、本項に記載のブレーキ制御装置においては、ブレーキが選択されるようにされていたが、車輪が選択されても、駆動力制御装置が選択されても実質的に同じである。これらは、互いに関係付けられているからである。
制動時には、前輪のブレーキの方が後輪のブレーキより重要であるため、前輪のブレーキを作動させて、後輪のブレーキを作動させないようにすることは妥当なことである。
なお、本項のブレーキ制御装置には、上記各項に記載の技術的特徴を採用することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態であるブレーキ制御装置を含むブレーキ装置について図面に基づいて詳細に説明する。本ブレーキ装置のブレーキ回路は、図2に示すように、ブレーキ操作部材としてのブレーキペダル20、動力式液圧源としてのポンプ装置22、マスタシリンダ24、左右前輪26,27に設けられたブレーキシリンダ28,29を含むブレーキ30,31、左右後輪34,35に設けられたブレーキシリンダ36,37を含むブレーキ38,39等を含む。
【0010】
ポンプ装置22は、ポンプ40と、そのポンプ40を駆動するポンプモータ42と、アキュムレータ44とを含む。ポンプ40は、リザーバ46の作動液を加圧して吐出するものであり、ポンプ40から吐出された高圧の作動液がアキュムレータ44に蓄えられる。アキュムレータ44の液圧はアキュムレータ圧センサ48によって検出されるが、ポンプモータ42は、アキュムレータ圧センサ48による検出液圧が予め定められた設定範囲内に保たれるように制御される。ポンプ40の吐出圧側には、ポンプ40への作動液の逆流を防止するための逆止弁49が設けられている。ポンプ40の高圧側と低圧側との間には、リリーフ弁50が設けられ、ポンプ圧が過大になることが回避される。
なお、ポンプ40は、プランジャポンプであっても、ギヤポンプであってもよい。
【0011】
マスタシリンダ24は、2つの加圧ピストン51,52を含むタンデム式のものであり、加圧ピストン51,52の前方がそれぞれ加圧室53,54とされる。加圧ピストン52とハウジングの底部との間、2つの加圧ピストン51,52の間にはそれぞれリターンスプリング55,56が設けられる。
ブレーキペダル20が踏み込まれると、2つの加圧室53,54には同じ高さの液圧が発生させられる。一方の加圧室54には液通路58を介して右前輪27のブレーキシリンダ29が接続され、他方の加圧室53には液通路59を介して左前輪26のブレーキシリンダ28が接続される。
本実施形態においては、マスタシリンダ24の加圧室53,54に左右前輪26,27のブレーキシリンダ28,29がそれぞれ接続されているのである。
【0012】
液通路58,59の途中には、それぞれマスタ遮断弁60,62が設けられる。マスタ遮断弁60,62は、コイルを含むソレノイドに電流が供給されない場合に開状態にある常開弁である。
液通路58のマスタ遮断弁60より上流側の部分にはシミュレーション装置76が設けられている。シミュレーション装置76は、ストロークシミュレータ77とシミュレータ制御弁78とを含むものであり、液通路58に、ストロークシミュレータ77がシミュレータ制御弁78を介して接続される。
シミュレータ制御弁78は、コイルを含むソレノイドに電流が供給されない場合に閉状態にある常閉弁である。
【0013】
前記ポンプ装置22は、液通路92を介してすべてのブレーキシリンダ28,29,36,37に接続される。また、ブレーキシリンダ28,29,36,37の各々には、それぞれ、個別液圧制御弁装置としてのリニアバルブ装置100〜106が設けられる。前輪側のリニアバルブ装置100、102は、常閉弁である増圧リニアバルブ110と減圧リニアバルブ112とを含むものであり、後輪側のリニアバルブ装置104,106は、常閉弁である増圧リニアバルブ114と常開弁である減圧リニアバルブ116とを含む。
増圧リニアバルブ110、114は上述の液通路92に設けられ、減圧リニアバルブ112、116はブレーキシリンダ28,29,36,37とリザーバ46とを接続する液通路118に設けられる。
【0014】
常閉弁である増圧リニアバルブ110,114,減圧リニアバルブ112は、図3(a)に示すように、弁座130と、その弁座130に対して接近・離間可能に設けられた弁子132とを含むシーティング弁134を含む。シーティング弁134においては、スプリング136が弁子132を弁座130に接近させる方向に付勢する状態で設けられる。また、コイル138aと可動部材138bとを含むソレノイド139を含む。コイル138aに電流が供給されると、ソレノイド139においては、可動部材138bを固定部材138cに接近させる方向の電磁駆動力(弁子132を弁座130から離間させる方向の力)が作用する。また、前後の差圧に応じた差圧作用力が弁子132を弁座130から離間させる方向に作用する。
したがって、電磁駆動力、差圧作用力が弁子132を弁座130から離間させる方向に作用し、スプリング136の付勢力が弁子132を弁座130に着座させる方向に作用する。これらの力の関係に基づいて弁子132の弁座130に対する相対関係が決まるのであり、電磁駆動力を制御することによって前後の差圧を制御することができる。
【0015】
増圧リニアバルブ110、114は、それぞれ、ポンプ装置22とブレーキシリンダ28,29,36,37との間に設けられるため、前後の差圧は、ポンプ装置22の出力液圧とブレーキシリンダの液圧との差圧に対応する。減圧リニアバルブ112は、ブレーキシリンダ28,29とリザーバ46との間に設けられ、リザーバ46の液圧は大気圧であるため、前後の差圧はブレーキシリンダ28,29の液圧に対応する。
【0016】
常開弁としての減圧リニアバルブ116は、図3(b)に示すように、弁座140および弁子142を含むシーティング弁144において、スプリング146が弁子142を弁座140から離間させる方向に付勢する状態で設けられる。コイル148aに電流が供給されると、ソレノイド149においては、可動部材148bを固定部材149cに接近させる方向の電磁駆動力(弁子142を弁座140に着座させる方向)が作用する。また、減圧リニアバルブ116はブレーキシリンダ36,37とリザーバ46との間に設けられているため、ブレーキシリンダ36,37の液圧に応じた差圧作用力が、弁子142を弁座140から離間させる方向に作用する。シーティング弁144においては、弁子142の弁座140に対する相対位置が、スプリング146の付勢力、電磁駆動力、ブレーキシリンダ圧に応じた差圧作用力の関係によって決まる。
本実施形態においては、リニアバルブ装置100〜106の制御により、ブレーキシリンダ28,29,36,37の液圧が、ポンプ装置22の作動液を利用して別個に制御される。本実施形態においては、リニアバルブ装置100〜106およびポンプ装置22等によって駆動力制御装置としてのブレーキ制御アクチュエータ150が構成される。ブレーキ制御アクチュエータは液圧制御アクチュエータでもある。
【0017】
このように、本実施形態においては、前輪側においては、増圧リニアバルブ110,減圧リニアバルブ112がともに常閉弁とされ、後輪側においては、増圧リニアバルブ114が常閉弁とされ、減圧リニアバルブ116が常開弁とされる。
ブレーキの作動中においては、減圧リニアバルブは閉状態に保たれるのが普通であるため、減圧リニアバルブが常開弁である場合には、消費電力が大きくなる。また、ブレーキ作動時に直ちに閉状態に切り換える必要がある。さらに、ブレーキ作動解除後に引き摺りを回避するために、ブレーキシリンダの作動液をリザーバに確実に戻す必要があり、減圧リニアバルブが常閉弁である場合にはブレーキ操作解除から設定時間の間、電流を供給することにより開状態に保つ必要がある。
【0018】
それに対して、減圧リニアバルブが常開弁である場合には、ブレーキ解除時に電流を供給する必要がない。また、前輪については、マスタ遮断弁60,62が開状態にされれば、ブレーキシリンダ28,29の作動液がマスタシリンダ24に戻されるため、減圧リニアバルブ112を開状態にする必要はない。さらに、前輪側のブレーキシリンダ28,29にはマスタシリンダ24が接続され、電気系統の異常時には、マスタシリンダ24の作動液がブレーキシリンダ28,29に供給されることによってブレーキが作動させられる。この場合において、減圧リニアバルブ112が常閉弁であるため、ブレーキ30,31を早急に作動させることができる。それに対して、後輪側については、減圧リニアバルブ116が常開弁であるが、電気系統の異常時等に後輪側のブレーキシリンダ36,37にマスタシリンダ24が連通させられることはないため、効き遅れが問題となることは少ない。
以上の事情により、前輪側の減圧リニアバルブ112を常閉弁とし、後輪側の減圧リニアバルブ116を常開弁とすることにより、電気系統の異常時に早急に前輪ブレーキを作動させることができ、ブレーキ作動解除時のエネルギ消費量を低減させることができる。
【0019】
また、液通路92の増圧リニアバルブ110とポンプ装置22との間には、液圧センサ152が設けられている。液圧センサ152によって増圧リニアバルブ110、114の高圧側の作動液の液圧が検出される。増圧リニアバルブ110、114の高圧側の液圧として液圧センサ152による検出値が採用されれば、ポンプ装置22と増圧リニアバルブ110、114との間の圧力損失の影響を小さくすることができ、アキュムレータ圧センサ48による検出値を採用する場合に比較して、リニアバルブ装置100〜106の制御精度を向上させることができる。
【0020】
ブレーキ装置は図1に示す電源装置160を含み、電源装置160によってブレーキ制御アクチュエータ150等に電力が供給される。
電源装置160は、主電源装置162と副電源装置164とを含む。主電源装置162は、ブレーキ制御装置専用に設けられたものではなく、ブレーキ制御装置を含む複数の負荷装置、他のバッテリ等に電力を供給可能なものである。換言すれば、ブレーキ制御装置を含む複数の負荷装置やバッテリ等に共通に設けられたものなのである。それに対して、副電源装置164は、ブレーキ装置の一構成要素であり、ブレーキ制御装置専用に設けられたものである。
【0021】
主電源装置162は、主電源としてのバッテリ166およびオルタネータ168と、図示しない制御回路等とを含み、副電源装置164は、副電源としてのキャバシタ170と、制御回路172等とを含む。副電源装置164は、主電源装置162から供給された電気エネルギを蓄え(充電し)、その電気エネルギをブレーキ制御アクチュエータ150に供給可能(放電可能)なものであり、制御回路172によって、キャパシタ170における充放電の状態が制御される。また、制御回路172によって、ブレーキ制御アクチュエータ150に主電源装置162の電力が供給可能な状態とキャパシタ170の電力が供給可能な状態とに切り換えられる。制御回路172は、キャパシタ170の充放電状態を制御するだけでなく、ブレーキ制御アクチュエータ150への電力の供給状態も制御するものである。
なお、主電源は、バッテリ166とオルタネータ168とのいずれか一方とすることもできる。
【0022】
キャパシタ170は、複数のセル180(個々のコンデンサを示す。コンデンサは、例えば、電気二重層コンデンサとすることができる)を含むものであり、セル180毎に充放電状態が制御される。制御回路172は、CPU182、セル180毎に設けられたパワートランジスタを含むスイッチ部184、電力消費部186、電圧降下部188等を含む。
副電源装置164は、端子B、端子OUTにおいてそれぞれ電源線192,194に接続される。電源線192によって主電源装置162に接続され、電源線194によってブレーキ制御アクチュエータ150等に接続される。
制御回路172において、定電流回路196,スイッチ部184が電源線198によって直列に接続され、スイッチ部184にセル180が並列に接続される。電源線198は端子Bに接続され、主電源装置162からの供給された電流が定電流回路196を経てキャパシタ170に供給される。キャパシタ170の低圧側は端子GRDを経てアースされる。
定電流回路196は、キャパシタ170に多量の電流が供給されないようにするものであり、キャパシタ170には、ほぼ一定の量の電流が供給される。なお、キャパシタ170に供給される電流は常に一定の大きさでなく、その時点の状態に応じた大きさとすることもできる。
【0023】
セル180の前後の電圧差が電圧差検出部199によってそれぞれ検出される。電圧差が設定電圧以下の場合は、トランジスタのベースに電流が供給されることはなく、スイッチ部184はOFF状態にある。セル180には電源線198を経て主電源装置162の電流が供給されて充電される。電圧差が設定電圧を越えると、パワートランジスタのベースにCPU182により電流が供給され、スイッチ部184がON状態にされる。電流はON状態にあるスイッチ部184を経て流れるためセル180に電流が供給されることがない。
【0024】
キャパシタ170に接続された電源線200には電力消費部186,電圧降下部188が接続される。また、電源線200と端子Bから延び出させられた電源線202とがそれぞれダイオード206,208を介して接続部204において接続されて、端子OUTに接続される。電源線202の電圧(具体的には接続部204の電圧)、すなわち、主電源装置162の出力電圧は主電源電圧検出部210によって検出される。
【0025】
電力消費部186は、抵抗とパワートランジスタを含むスイッチとを含む。スイッチは、イグニッションスイッチ211がON状態にある場合にOFF状態にされるが、イグニッションスイッチ211がOFF状態にある場合にON状態にされて、キャパシタ170が抵抗に接続される。キャパシタ170に充電された電気エネルギが抵抗において消費されて、放電される。充電状態が長く保持されるとキャパシタ170の耐久性の点で望ましくないからである。なお、キャパシタ170の放電は、イグニッションスイッチ211がOFFにされ、かつ、非ブレーキ制御状態である場合に行われるようにすることができる。イグニッションスイッチ211がOFFにされても、ブレーキ制御が行われる場合があり、その場合には、ブレーキ制御が終了した後に、放電されるようにする。
【0026】
電圧降下部188は、直列に設けられた複数のダイオード212と、これら複数のダイオード212の列に並列に設けられたパワートランジスタを含むスイッチ部214とを含む。スイッチ部214は、主電源電圧検出部210によって検出された主電源装置162の電圧が設定値以上の場合にはOFF状態にある。キャパシタ170の電圧は複数のダイオード212によって降下されるため、接続部204において、電源線202の電圧(主電源装置162の電圧)の方が高くなり、主電源装置162の電力がブレーキ制御アクチュエータ150に供給され得る状態となる。
主電源装置162の電圧が設定圧以下になると、パワートランジスタのベースに電流が供給されて、スイッチ214部がON状態にされる。キャパシタ170の電流がスイッチ214を経て流れるため、電圧の降下が小さくなる。接続部204において、電源線200の電圧が電源線202の電圧より高くなって、キャパシタ170の電力がブレーキ制御アクチュエータ150に供給され得る状態となる。
ダイオード206,208は、接続部204を経てのキャパシタ170から主電源装置162への電流の流れ、主電源装置162からキャパシタ170への電流の流れを阻止するものである。
【0027】
本実施形態においては、ブレーキ制御アクチュエータ150が2つのグループ150a、150bに分類され、それぞれ、電源装置160に接続されている。ブレーキ制御アクチュエータ150aは、電源線194aによって電源装置160に接続され、ブレーキ制御アクチュエータ150bは、電源線194bによって電源装置160に接続される。電源線194a、194bには、それぞれ、メインリレー216a、216bが設けられる。
本実施形態においては、ブレーキ制御アクチュエータ150を制御するブレーキECUも2つ設けられる。一方のブレーキECU220はブレーキ制御アクチュエータ150aを制御し、他方のブレーキECU222はブレーキ制御アクチュエータ150bを制御する。ブレーキECU220,222には、それぞれ、電源線194a、194bによって電源装置160に接続される。さらに、図示は省略するが、各センサ等もそれぞれ、2つのグループに分類されて、それぞれ電源線194a、194bによって電源装置160に接続される。
なお、本実施形態においては、ブレーキ制御アクチュエータ150の各構成要素は、2つのグループ150a,150bの少なくとも一方に属する。すなわち、いずれか一方に属する構成要素と、両方に属する構成要素とがあるのである。
【0028】
ブレーキECU220,222は、それぞれ、図4に示すように、CPU252,ROM254,RAM256,入出力部258等を有するコンピュータを主体とするものである。
ブレーキECU220,222の入出力部258には、それぞれ、上述のアキュムレータ圧センサ48,液圧センサ152に加えて、液通路54,56の液圧をそれぞれ検出するマスタ圧センサ260,262、ブレーキペダル20の操作ストロークを検出するストロークセンサ263が接続される。ブレーキECU220の入出力部258には、ブレーキシリンダ29,36の液圧をそれぞれ検出するブレーキ液圧センサ265,266、車輪27,34の車輪速度をそれぞれ検出する車輪速センサ270,271等が接続され、ブレーキECU222の入出力部258には、ブレーキシリンダ28,37の液圧をそれぞれ検出するブレーキ液圧センサ264、267、車輪26,35の車輪速度をそれぞれ検出する車輪速センサ269、272等が接続される。
【0029】
また、ポンプモータ42、マスタ遮断弁60,62のソレノイド、シミュレータ制御弁78のソレノイドがそれぞれ図示しない駆動回路を介してブレーキECU220,222の両方の入出力部258に接続され、リニアバルブ装置102(増圧リニアバルブ110および減圧リニアバルブ112),104(増圧リニアバルブ114および減圧リニアバルブ116)のそれぞれのソレノイドがブレーキECU220の入出力部258に図示しない駆動回路を介して接続され、リニアバルブ装置100(増圧リニアバルブ110および減圧リニアバルブ112),106(増圧リニアバルブ114および減圧リニアバルブ116)のそれぞれのソレノイドがブレーキECU222の入出力部258に図示しない駆動回路を介して接続される。
ポンプモータ42,マスタ遮断弁60,62、シミュレータ制御弁78は、通常はブレーキECU220によって制御されるが、メインリレー216a、ブレーキECU220等に異常が生じた場合にはブレーキECU222によって制御される。また、ブレーキECU220,222間においては通信が行われる。
【0030】
このように、本実施形態においては、ブレーキ制御アクチュエータが2つに分類され、それぞれに対応してブレーキECU220,222が設けられ、ブレーキECU220,222に対応してそれぞれメインリレー216a,216bが設けられる。ブレーキ制御系統が2つに分けられるのであり、それぞれ、電源装置160に電源線194a,194bによって別個に接続される。ブレーキ制御系統を2つに分けることによって、一方の系統に異常が生じても他方の系統によってブレーキを制御することが可能となる。本実施形態においては、電源装置160に電源線194aによって接続される系統、すなわち、メインリレー216a、ブレーキECU220、ブレーキ制御アクチュエータ150a等によってブレーキ制御系統280が構成され、メインリレー216b、ブレーキECU222、ブレーキ制御アクチュエータ150b等によってブレーキ制御系統282が構成される。ブレーキ制御系統には、センサ等を含ませることも可能である。
【0031】
本液圧ブレーキ装置においては、ブレーキ制御アクチュエータ150が、運転者による要求制動力が得られるように制御される。ストロークセンサ263によって検出される操作ストロークに基づいて運転者の所望する要求制動力に対応する要求ブレーキ液圧が求められる。マスタ遮断弁60,62が閉状態にされ、ブレーキシリンダ28,29,36,37がマスタシリンダ24から遮断された状態で、ポンプ装置22の液圧を利用して、実際のブレーキ液圧が要求ブレーキ液圧に近づくようにリニアバルブ装置100〜106が制御される。
電源装置160においては、主電源装置162の出力電圧が設定電圧より高い間は、主電源装置162からブレーキ制御アクチュエータ150に電流が供給され得る状態とされ、出力電圧が設定電圧以下になった場合に、キャパシタ170から電流が供給され得る状態とされる。
【0032】
本実施形態においては、ブレーキ制御アクチュエータ150に主電源装置162の電力が供給され得る状態において、ブレーキ制御系統280,282の両方が正常である場合には、通常のブレーキ制御が行われる。すべてのブレーキ30,31,38,39が作動させられ、リニアバルブ装置100〜106の制御によりブレーキシリンダ28,29,36,37の液圧が制御される。
それに対して、キャパシタ170から電力が供給され得る状態においては、ブレーキ制御系統280,282の両方が正常であっても、前輪26,27のブレーキ30,31が作動させられ、後輪34,35のブレーキ38,39は非作動状態にされる。リニアバルブ装置100,102のソレノイドへの供給電流が制御され、リニアバルブ装置104,106のソレノイドに電流が供給されることはない。前輪26,27のブレーキシリンダ28,29の液圧が制御され、後輪34,35のブレーキシリンダ26,27には液圧が発生しない。
【0033】
この場合、後輪のリニアバルブ装置104,106においては、減圧リニアバルブ116が常開弁であるのに対して、前輪のリニアバルブ装置100,102においては、減圧リニアバルブ112が常閉弁であるため、前輪のブレーキシリンダ28,29と後輪のブレーキシリンダ36,37とでブレーキ液圧を同じにする場合には、前輪のリニアバルブ装置100,102の方が供給電流が少なくて済む。また、車両の制動においては、前輪の方が重要である。したがって、後輪のリニアバルブ装置100,102に電流が供給されないようにすれば、ブレーキ液圧が同じであっても、キャパシタ170の消費電気エネルギを少なくすることができる。また、キャパシタ170の残存電気量の減少速度を小さくすることができ、キャパシタ170を長時間使用することができる。このように、制動効果の意味においても前輪のブレーキを作動させて後輪のブレーキを作動させない方がよい。
また、主電源装置162の出力電圧が設定電圧以下の場合にも同様である。この場合には、主電源装置162の電気エネルギがブレーキ制御アクチュエータ150に供給され得る状態にあるが、主電源装置162の電気エネルギ消費量が過大になって、主電源装置162の電圧が急激に降下しないように、ブレーキ制御アクチュエータ150における消費量を低減させることが望ましいのである。主電源装置162の出力電圧はキャパシタ170の異常時等に設定電圧以下に低下することがある。
【0034】
また、ブレーキ制御系統280,282のいずれか一方が異常の場合には他方を利用してブレーキ制御が行われる。ブレーキ制御系統280(メインリレー216a、ブレーキECU220の少なくとも一方)が異常である場合には、ブレーキ系統282によってリニアバルブ装置100,106が制御される。具体的には、メインリレー216bがON状態にされて、ブレーキECU222によりリニアバルブ装置100,106のソレノイドについての供給電流の制御が行われ、左前輪26のブレーキ30と右後輪35のブレーキ39とが作動させられる。リニアバルブ装置102,104のソレノイドには電流は供給されないことになる。ブレーキ制御系統282(メインリレー194b、ブレーキECU222の少なくとも一方)が異常である場合には、メインリレー216aがON状態にされて、ブレーキECU220によりリニアバルブ装置102,104の制御が行われる。右前輪27のブレーキ31と左後輪34のブレーキ38とが作動させられる。
このように、本実施形態においては、互いに対角位置にある車輪のブレーキシリンダのリニアバルブ装置が、それぞれ1つの系統としてまとめられているため、一方に異常が生じても、左側のブレーキと右側のブレーキとをそれぞれ作動させることができ、制動安定性の低下を抑制することができる。
【0035】
図4のフローチャートで表されるブレーキ液圧制御プログラムがブレーキECU220において設定時間毎に繰り返し実行される。
ステップ1(以下、S1と略称する。他のステップについても同様とする)において、ブレーキ制御アクチュエータ150にキャパシタ170の電力が供給される状態にあるか、主電源装置182の出力電圧が設定電圧より低い状態にあるか否かが判定される。いずれも満たされない場合には、S2において通常制御が行われる。
それに対して、少なくとも一方が満たされた場合には、S3,4,5において、2つのブレーキ制御系統280,282(図5においてそれぞれ系統1、2と記載する)のそれぞれが正常であるか否かが判定される。2つのブレーキ制御系統280,282のいずれも正常である場合には、S6において、前輪のリニアバルブ装置100,102のソレノイドへの供給電流が制御される。
【0036】
ブレーキ制御系統280(系統1)が正常でブレーキ制御系統282(系統2)が異常である場合には、S7において、左前輪26、右後輪35のリニアバルブ装置100,105のソレノイドへの供給電流が制御され、ブレーキ制御系統280が異常でブレーキ制御系統282が正常である場合には、S8において、右前輪27、左後輪34のリニアバルブ装置102,104のソレノイドへの供給電流が制御される。両方とも異常である場合には、S9において、ブレーキ液圧制御が禁止される。この場合には、マスタ遮断弁60,62が開状態にされて、マスタシリンダ24の作動液が前輪26,27のブレーキシリンダ28,29に供給されることにより、ブレーキ30,31が作動させられる。
このように、本実施形態においては、ブレーキECU220のブレーキ液圧制御プログラムのS6を記憶する部分、実行する部分等により消費電力低減部が構成される。
【0037】
以上のように、本実施形態においては、副電源としてのキャパシタ170から電力が供給される状態においては、四輪のすべてのリニアバルブ装置100〜106のうちの一部のソレノイドへの供給電流が制御され、残りのソレノイドには電流が供給されない。そのため、キャパシタ170に蓄えられた電気エネルギの消費量を少なくすることができ、消費速度を小さくすることができる。また、副電源がキャパシタであるため、リニアバルブ装置100〜106の作動遅れを小さくすることができる。
【0038】
なお、上記実施形態においては、キャパシタ170から電力が供給される状態においては、前輪26,27のリニアバルブ装置100,102のソレノイドへの供給電流が制御され、後輪34,35のリニアバルブ装置102,104のソレノイドへは電流が供給されないようにされていたが、これに限らない。前輪26,27のリニアバルブ装置100,102のソレノイドに電流が供給されないで、後輪34,35のリニアバルブ装置104,106のソレノイドへの供給電流が制御されるようにしてもよい。この場合においても、すべてのリニアバルブ装置100〜106のソレノイドへの供給電流が制御される場合に比較して、エネルギ消費量を低減させることができる。
また、4つのリニアバルブ装置100〜106のうちの3つのリニアバルブ装置のソレノイドへの供給電流が制御されて1つのリニアバルブ装置のソレノイドに電流が供給されないようにしたり、1つのリニアバルブ装置のソレノイドへの供給電流が制御されて3つのリニアバルブ装置のソレノイドに供給されないようにしたりすることもできる。
【0039】
さらに、上記実施形態においては、後輪34,35のリニアバルブ装置104,106の減圧リニアバルブ116が常開弁とされていたが、前輪26,27のリニアバルブ装置100,102の減圧リニアバルブ112を常開弁とすることもできる。また、対角位置にある車輪のリニアバルブ装置100,106の減圧リニアバルブ、または、リニアバルブ装置102,104の減圧リニアバルブを常開弁とすることも可能である。
さらに、ソレノイドへの供給電流の低減に限らず、ポンプ装置22(ポンプモータ42)への供給電流の低減を図ることもできる。例えば、アキュムレータ圧の設定範囲を小さくする、すなわち、上限値および下限値を小さくしたり、下限値はそのままで上限値を小さくしたりするのである。また、ブレーキ液圧制御プログラムは、ブレーキECU222において実行されるようにしてもよい。
【0040】
さらに、ブレーキ装置の構造は問わない。リニアバルブの代わりに電磁開閉弁とすることもできる。電磁開閉弁のデューティ制御によりブレーキシリンダ液圧を連続的に制御することができる。この場合において、ブレーキ制御アクチュエータにキャパシタ170から電力が供給され得る状態においては、電磁開閉弁のソレノイドに電流が供給されないようにすることができる。
また、液圧ブレーキでなく電動モータにより作動させられる電動ブレーキに適用することもできる。本実施形態においては、各輪毎のブレーキは、電動モータの駆動力により作動させられる。電動モータの駆動力は電動モータへの供給電流の制御により制御されるのであり、供給電流は電流制御装置によって制御される。この場合に、主電源装置162の出力電圧が低下した場合等には、前輪のブレーキの電動モータに電流が供給され、後輪のブレーキの電動モータに電流が供給されないようにする。
【0041】
さらに、副電源はキャパシタ170でなくバッテリとすることもできる。また、ブレーキ専用でなくてもよい。車両の駆動用に設けられた副電源を利用することができる。
さらに、1つの電源を備えた電源装置に適用することもできる。例えば、1つの電源としての蓄電装置における残存電気量が設定値より少なくなった場合に、消費電気エネルギ量を少なくすれば(後輪のソレノイドや後輪の電動モータに電流が供給されないようにすれば)、その蓄電装置における残存電気量の減少速度を遅くすることができる。
本発明は、前記〔発明が解決しようとする課題、課題解決手段および効果〕に記載の態様の他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるブレーキ制御装置に含まれる電源装置を示す図である。
【図2】上記ブレーキ制御装置を含ブレーキ装置の回路図である。
【図3】上記ブレーキ制御装置に含まれるリニアバルブ装置の模式的に示す図である。
【図4】上記ブレーキ制御装置に含まれるブレーキECU周辺を示す図である。
【図5】上記ブレーキECUのROMに格納されたブレーキ液圧制御プログラムを表すフローチャートである。
【符号の説明】
30,31,38,39ブレーキ
100〜106リニアバルブ装置
150ブレーキ制御アクチュエータ
160電源装置
162主電源装置
164副電源装置
170キャパシタ
220,222ブレーキECU
280,282ブレーキ制御系統
Claims (6)
- 車両の前後左右の各輪に対応してそれぞれ設けられ、液圧に基づく駆動力により摩擦係合部材をブレーキ回転体に押し付けることによって前記前後左右の各輪の回転をそれぞれ抑制する液圧ブレーキと、
それら前後左右の各輪の液圧ブレーキにそれぞれ対応して設けられ、電流が供給されることにより前記摩擦係合部材を前記ブレーキ回転体に押し付ける状態に作動させられる電磁液圧制御弁を含むとともに、前記電磁液圧制御弁への供給電流の制御により、前記液圧ブレーキの液圧を制御可能な駆動力制御装置と
を含むブレーキ制御装置であって、
前記電磁液圧制御弁の各々に、互いに並列に接続された主電源とキャパシタとを含む電源装置と、
前記主電源の出力電圧が低下した場合に、前記前後左右の各輪の液圧ブレーキに対応する電磁液圧制御弁のうちの一部に電流を供給し、一部に電流を供給しないことによって前記キャパシタにおける消費電力を低減させる消費電力低減部であって、(a)前記右前輪および前記左後輪の液圧ブレーキに対応する電磁液圧制御弁に電流を供給して、前記左前輪および前記右後輪の液圧ブレーキに対応する電磁液圧制御弁に電流を供給しない第1のモードと、(b)前記右前輪および前記左後輪の液圧ブレーキに対応する電磁液圧制御弁に電流を供給しないで、前記左前輪および前記右後輪の液圧ブレーキに対応する電磁液圧制御弁に電流を供給する第2のモードと、(c)前記左前輪および前記右前輪の液圧ブレーキに対応する電磁液圧制御弁に電流を供給して、前記左後輪および前記右後輪の液圧ブレーキに対応する電磁液圧制御弁に電流を供給しない第3のモードとで選択的に作動するものとを含むことを特徴とするブレーキ制御装置。 - 当該ブレーキ制御装置が、(a)前記右前輪の液圧ブレーキに対応する電磁液圧制御弁および前記左後輪の液圧ブレーキに対応する電磁液圧制御弁への供給電流をそれぞれ制御するコンピュータを主体とする第1の供給電流制御部と、(b)前記左前輪の液圧ブレーキに対応する電磁液圧制御弁および前記右後輪の液圧ブレーキに対応する電磁液圧制御弁への供給電流をそれぞれ制御するコンピュータを主体とする第2の供給電流制御部とを含み、前記消費電力低減部が、(i)前記第1の供給電流制御部と、それによって供給電流が制御される電磁液圧制御弁とを含む第1のブレーキ制御系統と、(ii)前記第2の供給電流制御部と、それによって供給電流が制御される電磁液圧制御弁とを含む第2のブレーキ制御系統との各々について、異常を検出する手段を含み、その異常を検出する手段によって、前記第1のブレーキ制御系統と前記第2のブレーキ制御系統とのいずれにも異常が検出されない場合に、前記第3のモードで電流を供給し、前記第1のブレーキ制御系統の異常が検出された場合に、前記第2のモードで電流を供給し、前記第2のブレーキ制御系統の異常が検出された場合に、前記第1のモードで電流を供給する請求項1に記載のブレーキ制御装置。
- 当該ブレーキ制御装置が、(a)前記右前輪の液圧ブレーキに対応する電磁液圧制御弁および前記左後輪の液圧ブレーキに対応する電磁液圧制御弁と、それら電磁液圧制御弁への供給電流をそれぞれ制御するコンピュータを主体とする第1の供給電流制御部とを含む第1のブレーキ制御系統と、(b)前記左前輪の液圧ブレーキに対応する電磁液圧制御弁および前記右後輪の液圧ブレーキに対応する電磁液圧制御弁と、それら電磁液圧制御弁への供給電流をそれぞれ制御するコンピュータを主体とする第2の供給電流制御部とを含む第2のブレーキ制御系統とを含み、(i)前記第1の液圧ブレーキ制御系統に含まれる前記第1の供給電流制御部、前記右前輪および左後輪の液圧ブレーキに対応する電磁液圧制御弁と、(ii)前記第2のブレーキ制御系統に含まれる前記第2の供給電流制御部、前記左前輪および右後輪のブレーキに対応する電磁液圧制御弁とが、前記電源装置に、それぞれ、別個の電源線によって接続された請求項1または2に記載のブレーキ制御装置。
- 車両の前後左右の各輪に対応してそれぞれ設けられ、電動モータの押圧力により摩擦係合部材をブレーキ回転体に押し付けることによって前記前後左右の各輪の回転をそれぞれ抑制する電動ブレーキと、
前記電動モータを含むとともに、前記押圧力である前記摩擦係合部材のブレーキ回転体を押し付ける駆動力を、それぞれ、前記電動モータへの供給電流の制御により制御可能な駆動力制御装置と
を含むブレーキ制御装置であって、
前記電動モータの各々に、互いに並列に接続された主電源とキャパシタとを含む電源装置と、
前記主電源の出力電圧が低下した場合に、前記前後左右の各輪の電動ブレーキに対応する電動モータのうちの一部に電流を供給し、一部に電流を供給しないことによって前記キャパシタにおける消費電力を低減させる消費電力低減部であって、 (a) 前記右前輪および前記左後輪の電動ブレーキに対応する電動モータに電流を供給して、前記左前輪および前記右後輪の電動ブレーキに対応する電動モータに電流を供給しない第1のモードと、 (b) 前記右前輪および前記左後輪の電動ブレーキに対応する電動モータに電流を供給しないで、前記左前輪および前記右後輪の電動ブレーキに対応する電動モータに電流を供給する第2のモードと、 (c) 前記左前輪および前記右前輪の電動ブレーキに対応する電動モータに電流を供給して、前記左後輪および前記右後輪の電動ブレーキに対応する電動モータに電流を供給しない第3のモードとで選択的に作動するものとを含むことを特徴とするブレーキ制御装置。 - 当該ブレーキ制御装置が、前記駆動力を、ブレーキ操作部材の操作状態に基づいて決まる要求制動力が得られるように制御する手段を含む請求項1ないし4のいずれか1つに記載のブレーキ制御装置。
- 前記電源装置が、前記主電源の出力電圧が設定値以下に低下した場合に、前記駆動力制御装置に前記主電源から電力が供給可能な主供給状態から前記キャパシタから電力が供給可能な副供給状態に切り換える電源制御部を含む請求項1ないし5のいずれか1つに記載のブレーキ制御装置。
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