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JP3945489B2 - 車線逸脱防止装置 - Google Patents
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Description

本発明は、走行中に自車両が走行車線から逸脱しそうになったときに、その逸脱を防止するようにした車線逸脱防止装置に関するものである。
従来、この種の技術としては、例えば、走行車線の基準位置から自車両の走行位置までの距離である横ずれ量に応じて、ドライバが容易に打ち勝てる程度の操舵制御トルクを操舵アクチュエータにより発生させることで車線逸脱を防止するようにしたもの(例えば、特許文献1参照)、或いは、自車両の現在位置と車線区分線との相対位置関係に基づいて、自車両が走行車線から逸脱傾向にあると判定されるとき、制動力アクチュエータを制御し、左右輪のうち逸脱方向とは反対側の車輪に制動力を付加することで、逸脱を回避する方向にヨーモーメントを発生させて自車両の走行車線からの逸脱を防止するようにしたもの等が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平11−96497号公報 特開2001−310719号公報
ところで、上述のように、自車両の走行車線の車線区分線と自車両の現在位置とに基づいて、車線逸脱傾向にあるかどうかを判定するようにした方法においては、車両前方の撮像画像に基づいて車線区分線と自車両の現在位置との距離を検出し、これが所定のしきい値以下となった場合に車両が走行車線を逸脱しそうであると判定することによって、多くの場合において、最適なタイミングで警報を発生したり、或いは、最適なタイミングで逸脱を回避する方向へのヨーモーメントを発生することによって車両挙動を制御することが可能である。
ここで、前記撮像画像から検出される車線区分線の幅が変化した場合、つまり、実際の走行車線においてその車線幅が変化した場合等には、車両姿勢の実際の変化以上に自車両と車線区分線との相対関係が大きく変化する場合がある。
つまり、走行車線を逸脱しそうであると判定された状態で、走行車線幅が拡大してしまうと、走行車線の中央からの自車両の距離が変化していない場合であっても自車両の走行車線区分線が自ら自車両から離れていってしまうため、逸脱傾向にあると判定するための判定条件から外れてしまい易くなり、その結果、逸脱警報や逸脱防止制御の作動状況が不安定となったり、また、逸脱防止制御による、ヨーモーメント等の制御量が変動したりすることになって、逸脱防止制御の作動及び非作動のハンチングが発生し、これに伴って車両の前後方向への速度変動も大きくなって、乗員に対し不快感を与える場合があるという問題がある。
そこで、この発明は上記従来の未解決の課題に着目してなされたものであり、走行車線幅の変動に起因して、逸脱防止のための制御が作動及び非作動を頻繁に繰り返すことを回避することの可能な車線逸脱防止装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明に係る車線逸脱防止装置は、走行車線の車線区分線の位置に基づいて自車両の逸脱を検出するための逸脱判定位置が走行車線上に想定され、この逸脱判定位置と、自車両の現在の走行位置とに基づいて自車両が逸脱傾向にあるかどうかが検出される。
ここで、自車両が車線逸脱傾向にあると検出されている状態で、走行車線幅が変動し、例えば、拡大した場合には、自車両の走行位置に関係なく車線幅が自車両から離れていくことになりこれに基づいて設定している逸脱判定位置も自車両から離れていくことになって、車線逸脱傾向にないと判定されやすくなる傾向となる。このため、一時的に車線逸脱傾向にないと判定されるが、その後、再度車線逸脱傾向にあると判定される状態となる場合があり、このように、車線逸脱傾向の判定がひんぱんに変動した場合、この判定に基づいて警報や、車線逸脱防止のための車両挙動制御を行っている場合には、警報がひんぱんに作動、非作動状態となったり或いは車両挙動変動が大きくなったりする場合があって乗員に違和感を与える場合がある。
しかしながら、逸脱検出手段で自車両が車線逸脱傾向にあることを検出したときには、判定位置変動抑制手段によって、逸脱判定位置の走行車線中央に対する変動を抑制するようにしているから、走行車線幅の変動に起因して、逸脱検出手段による判定結果が切り替わることが回避され、警報の作動、非作動がひんぱんに切り替わったり或いは、車両挙動変動が大きくなったりすることが回避される。
本発明に係る車線逸脱防止装置によれば、逸脱検出手段で自車両が車線逸脱傾向にあることを検出したときには、走行車線の車線区分線の位置に基づいて設定している自車両の逸脱を検出するための逸脱判定位置の走行車線中央に対する変動を抑制するようにしたから、自車両の走行状態に関係なく、走行車線幅の変動に伴って車線区分線が自車両から遠ざかったり或いは近づいたりすることに起因して、逸脱検出手段による判定結果が切り替わることを回避することができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、第1の実施の形態における車線逸脱防止装置の一例を示す車両概略構成図である。なお、この車両は、自動変速機及びコンベンショナルディファレンシャルギヤを搭載した後輪駆動車両であり、制動装置は、前後輪とも、左右輪の制動力を独立に制御可能としている。
図1中の符号1はブレーキペダル、2はブースタ、3はマスタシリンダ、4はリザーバであり、通常は、ドライバによるブレーキペダル1の踏込み量に応じて、マスタシリンダ3で昇圧された制動流体圧が、各車輪5FL〜5RRの各ホイールシリンダ6FL〜6RRに供給されるようになっているが、このマスタシリンダ3と各ホイールシリンダ6FL〜6RRとの間には制動流体圧制御回路7が介挿されており、この制動流体圧制御回路7内で、各ホイールシリンダ6FL〜6RRの制動流体圧を個別に制御することも可能となっている。
前記制動流体圧制御回路7は、例えばアンチスキッド制御やトラクション制御に用いられる制動流体圧制御回路を利用したものであり、この実施形態では、各ホイールシリンダ6FL〜6RRの制動流体圧を、単独で増減圧することができるように構成されている。この制動流体圧制御回路7は、後述する車両状態コントロールユニット8からの制動流体圧指令値に応じて各ホイールシリンダ6FL〜6RRの制動流体圧を制御する。
また、この車両は、エンジン9の運転状態、自動変速機10の選択変速比、並びにスロットルバルブ11のスロットル開度を制御することにより、駆動輪である後輪5RL、5RRへの駆動トルクを制御する駆動トルクコントロールユニット12が設けられている。エンジン9の運転状態制御は、例えば燃料噴射量や点火時期を制御することによって制御することができるし、同時にスロットル開度を制御することによっても制御することができる。
なお、この駆動トルクコントロールユニット12は、単独で、駆動輪である後輪5RL、5RRの駆動トルクを制御することも可能であるが、前述した車両状態コントロールユニット8から駆動トルクの指令値が入力されたときには、その駆動トルク指令値を参照しながら駆動輪トルクを制御する。
また、この車両には、自車両の走行車線からの逸脱判断用に走行車線内の自車両の位置を検出するための前方外界認識センサとして、CCDカメラ等で構成される単眼カメラ13及びカメラコントローラ14を備えている。このカメラコントローラ14では、単眼カメラ13で捉えた自車両前方の撮像画像から、例えば白線等のレーンマーカを検出して走行車線を検出すると共に、図2に示すように、前記走行車線に対する自車両のヨー角φ、すなわち走行車線に対する自車両の向き、走行車線中央からの自車両の横変位X、走行車線の曲率ρ、走行車線幅W等を算出することができるように構成されている。
なお、このカメラコントローラ14は、レーンマーカ等を検出するための走行車線検出エリアを用いて走行車線検出を行い、その検出された走行車線に対して前記各データを算出する。走行車線の検出には、例えば特開平11−296660号公報に記載される手法を用いることができる。
具体的には、自車両が走行している走行車線の両側の白線等のレーンマーカを検出し、そのレーンマーカを用いて自車両が走行している走行車線を検出する。ここで、撮像された画像全域で白線等のレーンマーカを検出する(走査する)と、演算負荷も大きいし、時間もかかる。そこで、レーンマーカが存在しそうな領域に、更に小さな検出領域(いわゆるウィンドウ)を設定し、その検出領域内でレーンマーカを検出する。一般に、車線に対する自車両の向きが変わると、画像内に映し出されるレーンマーカの位置も変わるので、例えば前記特開平11−296660号公報では、操舵角θから車線に対する自車両の向きを推定し、画像内のレーンマーカが映し出されているであろう領域に検出領域を設定する。
そして、例えばレーンマーカと路面との境界を際立たせるフィルタ処理などを施し、各レーンマーカ検出領域内において、最もレーンマーカと路面との境界らしい直線を検出し、その直線上の一点(レーンマーカ候補点)をレーンマーカの代表的な部位として検出する。このようにして得られた各ウインドウのレーンマーカ候補点を連続すると、自車両前方に展開している走行車線を検出することができる。
また、この車両には、自車両に発生する前後加速度Xg及び横加速度Ygを検出する加速度センサ15、自車両に発生するヨーレートγを検出するヨーレートセンサ16、前記マスタシリンダ3の出力圧、いわゆるマスタシリンダ圧Pmを検出するマスタシリンダ圧センサ17、アクセルペダルの踏込み量、すなわちアクセル開度Accを検出するアクセル開度センサ18、ステアリングホイール21の操舵角θを検出する操舵角センサ19、各車輪5FL〜5RRの回転速度、いわゆる車輪速度Vwi(i=FL〜RR)を検出する車輪速度センサ22FL〜22RR、方向指示器による方向指示操作を検出する方向指示スイッチ20が備えられ、それらの検出信号は前記車両状態コントロールユニット8に出力される。
また、前記カメラコントローラ14で検出された走行車線に対する自車両のヨー角φ、走行車線中央からの自車両の横変位X、走行車線の曲率ρ、走行車線幅W、駆動トルクコントロールユニット12で制御された車輪軸上での駆動トルクTwも合わせて車両状態コントロールユニット8に出力される。
なお、検出された車両の走行状態データに左右の方向性がある場合には、何れも左方向を正方向とし、右方向を負方向とする。すなわち、ヨーレートγや横加速度Yg、操舵角θ、ヨー角φは、左旋回時に正値となり、右旋回時に負値となる。また、横変位Xは、走行車線中央から左方にずれているときに正値となり、逆に右方向にずれているときに負値となる。また、走行車線の曲率ρは、左カーブの場合に正値となり、右カーブの場合に負値となる。
また、車両には、前記車両状態コントロールユニット8によって車線逸脱が検知された場合にこれをドライバに警告するための警報装置23が設けられている。この警報装置23は、音声やブザー音を発生するためのスピーカやモニタを含んで構成され、表示情報及び音声情報によってドライバに警告を発するようになっている。
次に、前記車両状態コントロールユニット8で行われる演算処理の処理手順を図3のフローチャートに従って説明する。この演算処理は、所定サンプリング時間ΔT(例えば、10〔ms〕)毎にタイマ割込によって実行される。なお、このフローチャートでは通信のためのステップを設けていないが、演算処理によって得られた情報は随時記憶装置に更新記憶されると共に、必要な情報は随時記憶装置から読み出される。
この演算処理では、その概略を説明すると、まずステップS1で、前記各センサや各コントローラ、コントロールユニットからの各種データを読込み、次いでステップS2で、逸脱傾向にあるかどうかの判定に用いるための実逸脱判定値Xw*、Xc*を算出した後、ステップS3に移行し、必要に応じて逸脱判定値Xw、Xcの更新処理を行う。
次いでステップS4に移行し、所定時間後の予測される横ずれ量である推定横変位Xsを算出し、この推定横変位Xs及び前記逸脱判定値Xw、Xcに基づいて逸脱判定処理を行う(ステップS5)。そして、この逸脱判定処理の結果に応じて目標ヨーモーメントを算出し(ステップS6)、逸脱傾向にあることをドライバに通知するための警報を発生する処理(ステップS7)及び目標ヨーモーメントを発生させるための制駆動力制御処理(ステップS8)を行い、必要に応じて警報及びヨーモーメントの発生を行う。
具体的には、前記ステップS1の処理では、前記各センサで検出された前後加速度Xg、横加速度Yg、ヨーレートγ、各車輪速度Vwi、アクセル開度Acc、マスタシリンダ圧Pm、操舵角θ、方向指示スイッチ信号、カメラコントローラ14からの走行車線に対する自車両のヨー角φ、走行車線中央からの自車両の横変位X、走行車線の曲率ρ、走行車線幅W、また駆動トルクコントロールユニット12からの駆動トルクTwを読込む。
また、各車輪速度Vwi(i=FL〜RR)のうち、非駆動輪である前左右輪速度VwFL、VwFRの平均値から自車両の走行速度Vを算出する。
なお、ここでは、前左右輪速度VwFL、VwFRに基づいて走行速度Vを算出するようにした場合について説明したが、例えば、車両に公知のアンチスキッド制御を行うABS制御手段が搭載されており、このABS制御手段によりアンチスキッド制御が行われている場合には、このアンチスキッド制御での処理過程で推定される推定車体速を用いるようにすればよい。
次に、前記ステップS2での実逸脱判定値Xw*、Xc*の算出は、図4のフローチャートに示す手順で行う。まず、ステップS11で、前記ステップS1で読み込んだ走行車線幅Wに応じて、逸脱警報用の実逸脱判定値Xw*を算出する。なお、ここでは、図5(a)に示すように、逸脱警報用の実逸脱判定値Xw*は、走行車線幅Wに関わらず、走行車線両端に位置する車線区分線から所定値bwだけ内側となるように設定する。つまり、実逸脱判定値Xw*は、次式(1)から算出する。
Xw*=0.5×W−bw ……(1)
次いで、ステップS12に移行し、逸脱警報用の実逸脱判定値Xw*の下限値Xw*minを算出する。この実逸脱判定値Xw*の下限値Xw*minは、走行車線幅が通常よりも狭くなった場合に、車線逸脱の判定条件が過敏になり過ぎないようにするための下限値であって、ここでは、実逸脱判定値Xs*が走行車線幅Wに関わらず、少なくとも、所定値cwだけ車体幅Wvよりも大きな値となるように設定する。つまり、実逸脱判定値Xw*の下限値Xw*minは、次式(2)から算出する。
Xw*min=0.5×Wv+cw ……(2)
次いで、ステップS13に移行し、ステップS11で算出した実逸脱判定値Xw*とステップS12で算出した逸脱判定値の下限値Xw*minとを比較し、Xw*≦Xw*minであるときにはステップS14に移行し、逸脱判定値Xw*をその下限値Xw*minに制限した後ステップS15に移行し、前記ステップS13で、Xw*>Xw*minであるときにはそのままステップS15に移行する。
つまり、このステップS11からステップS14の処理では、図5(b)に示すように、実逸脱判定値Xw*は、走行車線幅Wが2・(Xw*min+bw)以下である間は、Xw*minに設定され、走行車線幅Wが2・(Xw*min+bw)よりも大きいときには、走行車線幅Wの増加に伴って、実逸脱判定値Xw*は、“Xw*=0.5×W−bw”で表される直線にしたがって増加するように設定される。
次いで、前記ステップS15では、前記ステップS1で読み込んだ走行車線幅Wに応じて逸脱防止制御用の実逸脱判定値Xc*を算出する。ここでは、逸脱防止制御用の実逸脱判定値Xc*は、図6(a)に示すように、走行車線幅Wに関わらず車線区分線から所定値bcだけ内側となるように設定する。したがって、逸脱防止制御用の実逸脱判定値Xc*は、次式(3)に基づいて算出する。
Xc*=0.5×W−bc ……(3)
次いで、ステップS16に移行し、逸脱防止制御用の実逸脱判定値Xc*の下限値Xc*minを算出する。この実逸脱判定値Xc*の下限値Xc*minは、走行車線幅Wが通常よりも狭くなった場合に、車線逸脱の判定条件が過敏になり過ぎないようにするための下限値であって、ここでは、実逸脱判定値Xc*が走行車線幅Wに関わらず、少なくとも所定値ccだけ車体幅Wvに対して大きな値となるように設定する。つまり、逸脱防止制御用の実逸脱判定値Xc*の下限値Xc*minは、次式(4)にしたがって、算出する。
Xc*min=0.5×Wv+cc ……(4)
次いでステップS17に移行し、前記ステップS15で算出した逸脱防止制御用の実逸脱判定値Xc*と、ステップS16で算出した逸脱防止制御用の実逸脱判定値の下限値Xc*minとを比較し、Xc*≦Xc*minであるときにはステップS18に移行して、実逸脱判定値Xc*をその下限値Xc*minに制限する。そして、実逸脱判定値の算出処理を終了する。また、前記ステップS17でXc*>Xc*minであるときにはそのまま実逸脱判定値の算出処理を終了する。
つまり、ステップS15からステップS18の処理では、図6(b)に示すように、走行車線幅Wが、2・(Xc*min+bc)以下の場合には、逸脱防止制御用の実逸脱判定値Xc*をその下限値Xc*minに制限し、走行車線幅Wが2・(Xc*min+bc)よりも大きい領域では、走行車線幅Wの増加に伴って、Xc*=0.5×W−bcで表される直線にしたがって増加する。
次に、前記ステップS3の逸脱判定値の更新処理は、図7のフローチャートに示す手順で行う。すなわち、まず、ステップS21で、警報装置23により逸脱警報を発生させるか否かを表す警報フラグがFW≠0又は逸脱防止制御によりヨーモーメントを発生させるか否かを表す逸脱判断フラグがFLD≠0であるかどうかを判定する。そして、警報フラグがFW≠0又は逸脱判断フラグがFLD≠0であるとき、逸脱警報及び逸脱防止制御の少なくとも何れか一方が作動していると判断し、ステップS22に移行して、保持フラグFHOLDを“1”に設定する。
一方、ステップS21で、警報フラグFW及び逸脱判断フラグFLDが共に“0”であるときにはステップS23に移行し、自車両は車線逸脱傾向にはないとして保持フラグFHOLDを“0”に設定する。
このようにして、ステップS22又はステップS23で保持フラグFHOLDの設定を行ったならばステップS24に移行し、保持フラグFHOLDが“0”であるときにはステップS25に移行し、逸脱判定値の更新処理を行う。すなわち、逸脱警報用の逸脱判定値Xwとして図3のステップS2の処理で設定した逸脱警報用の実逸脱判定値Xw*を設定し、逸脱防止制御用の実逸脱判定値Xcとして図3のステップS2の処理で設定した逸脱警報用の実逸脱判定値Xc*を設定する。
一方、前記ステップS24で、保持フラグFHOLDが“1”であるときには逸脱警報用及び逸脱防止制御用の逸脱判定値Xw及びXcの更新は行わない。以上によって、逸脱判定値の更新処理が終了する。
次に、前記ステップS4の推定横変位Xsの算出処理は、図8のフローチャートに示す手順で行う。
すなわち、まずステップS31で、前記ステップS1で算出した自車両の走行速度Vと車頭時間Ttとを乗算して、前方注視距離Lsを算出する。
次いでステップS32に移行し、前記ステップS1で読込んだ自車両の走行車線に対するヨー角φ、走行車線中央からの自車両の横変位X、走行車線の曲率ρ、自車両の走行速度V、及び前方注視距離Lsを用い、下記(5)式にしたがって将来の推定横変位Xsを算出する。
なお、ここでは、前記(5)式に基づいて推定横変位Xsを算出するようにした場合について説明したが、これに限るものではなく、例えば次式(6)に示すように、車両に作用するヨーレートを考慮して算出するようにしてもよい。例えば、ヨーレートセンサ16の精度が高くまたノイズが少ない場合等には、このように、ヨーレートを考慮して推定横変位Xsを算出することによって、逸脱警報や逸脱防止制御をより的確なタイミングで作動させ、また、解除させることができる。
Figure 0003945489
なお、前記Ttは前方注視距離算出用の車頭時間であり、車頭時間Ttに自車両の走行速度Vを乗じると前方注視距離になる。つまり、車頭時間Tt後の走行車線中央からの横変位推定値が将来の推定横変位Xsとなる。後述するように、本実施形態では、この将来の推定横変位Xsが所定の逸脱判定値以上となるときに自車両は走行車線を逸脱する可能性がある、或いは逸脱傾向にあると判断する。
一般に、ドライバが警報に気づいて逸脱の回避操作を行うまでには、いくらかの所要時間要する場合が多い。また、自車両が車線逸脱する可能性が高いと判定して逸脱防止制御が作動したとしても、自車両は逸脱防止制御の作動に伴ってすぐに走行中の車線中央へ向かって移動するわけではなく、車線を逸脱する速度は低くなるものの、車両の向きが車線内側へ向くまでの間は、走行車線の外側に向かって移動していく。このため、ドライバに対し、余裕をもって車線の逸脱防止操作を行うことを促すために、車頭時間Ttは“0”〔s〕よりも大きな値に設定することが望ましい。
次に、前記ステップS5での自車両が走行車線から逸脱傾向にあるか否かの逸脱判定処理は、図9のフローチャートに示す手順で行う。まず、ステップS41で方向指示スイッチ20がオン状態であるか否かを判定し、オン状態である場合にはステップS42に移行して方向指示スイッチ20の指示方向と、ステップS4で算出した推定横変位Xsで特定される逸脱方向とが一致するかどうかを判定する。そして、これらが一致するときには車線変更を行うものと判定し、ステップS43に移行して車線変更フラグFLCを“1”に設定した後、後述のステップS47に移行する。
一方、方向指示スイッチ20の指示方向と、推定横変位Xsで特定される逸脱方向とが一致しない場合には、車線変更ではないと判定してステップS44に移行し、車線変更フラグFLCを“0”に設定した後、ステップS47に移行する。
また、前記ステップS41で方向指示スイッチ20がオン状態でない場合にはステップS45に移行し、方向指示スイッチ20がオン状態からオフ状態に切り替わった時点から所定時間経過したかどうかを判定する。そして、方向指示スイッチ20がオン状態からオフ状態に切り替わった時点から所定時間経過しているときにはステップS46に移行し、車線変更フラグFLCを“0”にリセットした後ステップS47に移行し、所定時間経過していないときには、そのままステップS47に移行する。なお、前記所定時間は、車線変更の後期の時点で方向指示スイッチ20がオフ状態に切り替えられた時点から、自車両の走行位置が車線変更先の車線中央よりの位置に達したとみなすことの可能な時間に設定され、例えば4秒程度に設定される。
そして、ステップS47では、車線変更フラグFLCが“1”であって車線変更中である場合にはステップS48に移行し、車線逸脱傾向にあったとしても車線変更中である場合には警報を発生する必要がないから警報フラグFWを“0”に設定する。
一方、前記ステップS47で、車線変更フラグFLCが“0であって、車線変更中でない場合にはステップS49に移行し、車両の逸脱状態を判定する。つまり、推定横変位Xsの絶対値|Xs|が、前記ステップS3の処理で設定した逸脱警報用の逸脱判定値Xw以上であるかどうかを判定し、|Xs|≧Xwであるときには、車両が逸脱傾向にあるとしてステップS50に移行し、推定横変位Xsの符号が正であるときには左方向へ逸脱傾向にあるとしてステップS50からステップS51に移行して警報フラグFWを“1”に設定する。一方、推定横変位XsがXs>0でないときにはステップS52に移行し、警報フラグFWを“−1”に設定する。
そして、前記ステップS49で、推定横変位Xsの絶対値|Xs|が、逸脱判定値Xwよりも小さいときにはステップS53に移行し、推定横変位Xsの絶対値|Xs|が、逸脱判定値Xwから逸脱警報のハンチングを回避するためのヒステリシス値Xhを減算した値よりも小さいときには、ステップS54に移行して警報フラグFWを“0”に設定し、そうではないときにはそのまま逸脱判定処理を終了する。また、前記ステップS48、S51、S52、S54で警報フラグFWを設定したならば、逸脱判定処理を終了する。
次に、前記ステップS6での目標ヨーモーメントの算出は、図10のフローチャートに示す手順で行う。まず、ステップS61で警報フラグFWに基づいて逸脱警報作動中であるかどうかを判定する。そして、警報フラグFWが“0”であって、警報装置23が作動中ではなく、自車両が逸脱傾向にない場合にはステップS62に移行し、逸脱判断フラグFLDを“0”に設定する。一方、ステップS61で警報フラグがFW≠0であって、警報装置23が作動中であり自車両が逸脱傾向にある場合にはステップS63に移行し、推定横変位Xsが前記ステップS3で算出した逸脱防止制御用の逸脱判定値Xc以上であるかどうかを判定し、Xs≧Xcであるときには、左に車線逸脱すると判定してステップS64に移行し、逸脱判断フラグFLDを“1”に設定する。
一方、ステップS63でXs≧Xcでない場合にはステップS65に移行し、推定横変位Xsが負の横変位限界値“−Xc”以下であるかどうかを判定し、Xs≦−Xcであるときには右に車線逸脱すると判断してステップS66に移行し、逸脱判断フラグFLDを“−1”に設定する。また、ステップS65でXs≦−Xcでない場合にはステップS67に移行し、自車両は逸脱状態ではないと判断して逸脱判断フラグFLDを“0”に設定する。
そして、前記ステップS64又はステップS66で、逸脱判断フラグFLDが“1”又は“−1”に設定され左右の何れかに車線逸脱すると判断されているときにはステップS68に移行し、次式(7)にしたがって、目標ヨーモーメントMsを算出する。
Ms=−K1×K2×(Xs−Xc) ……(7)
なお、式(7)中のK1は車両諸元によって定まる定数である。また、K2は、自車両の走行速度Vに応じて設定される比例係数であって、例えば、図11に示すように設定される。
図11において、横軸は車両の走行速度V、縦軸は、比例係数K2である。この比例係数K2は、走行速度Vが第1のしきい値Vs1以下の場合には、比較的大きな一定値KHに設定され、走行速度Vが第1のしきい値Vs1よりも大きくなるほどこれに反比例して比例係数K2は減少し、走行速度Vが第2のしきい値Vs2以上となると比例係数K2は比較的小さな一定値KLに設定される。つまり、走行速度Vが比較的大きいときには比例係数K2を比較的小さな値に設定して目標ヨーモーメントを抑制し、高速走行時に大きなヨーモーメントが作用することにより車両挙動が不安定となることを回避し、逆に走行速度Vが比較的小さいときには比例係数K2を比較的大きな値に設定して、十分な目標ヨーモーメントを確保し、ヨーモーメントを発生させることにより逸脱状態からの速やかな回復を図るようになっている。
一方、前記ステップS62又はステップS67の処理で逸脱判断フラグFLDが“0”に設定されたとき、つまり、自車両が逸脱状態にはないと判断されるときにはステップS69に移行し、ヨーモーメントを発生させる必要はないから目標ヨーモーメントMsとして“0”を設定する。そして、このようにして目標ヨーモーメントMsを設定したならば、目標ヨーモーメントの算出処理を終了する。
次に、前記ステップS7での警報出力処理は、図12のフローチャートに示す手順で行う。まず、ステップS71で警報フラグがFW≠0であるかどうかを判定し、FW≠0であるときには逸脱傾向にあると判断し、ステップS72に移行して警報装置23を作動させ、音声やモニタ画面への表示によって車線逸脱傾向にあることをドライバに通知する。一方、警報フラグがFW≠0でない場合には、逸脱傾向にないと判断し、ステップS71からステップS73に移行し、警報装置23により警報を発している場合にはこれを停止させる。
なお、ここでは、逸脱方向に関係なく、逸脱状態にあるか否かによって警報装置23を作動させるようにした場合について説明したが、例えば、警報装置23を、ドライバに対し、左右の異なる方向から警報音を発することができるように構成し、自車両が左側に車線逸脱傾向にあるときには、ドライバに対して左側から警報音を発するようにし、逆に右側に車線逸脱傾向にあるときにはドライバに対して右側から警報音を発するようにしてもよい。
この場合には、図13のフローチャートに示す手順で処理を行えばよい。まず、ステップS81で警報フラグがFW>0であるかどうかを判定し、FW>0であるときには左側に逸脱傾向にあるからステップS82で左側から警報音を発生するよう警報装置23を作動する。また、警報フラグがFW>0でない場合にはステップS81からステップS83に移行して警報フラグがFW<0であるかどうかを判定し、FW<0であるときには右側に逸脱傾向にあるからステップS84で右側から警報音を発生するよう警報装置23を作動する。また、警報フラグがFW>0でなく且つFW<0でないときには、自車両は逸脱傾向ではないから、ステップS83からステップS85に移行し、警報装置23を作動させている場合にはこれを停止させる。
次に、前記ステップS8の制駆動力制御処理は、図14のフローチャートに示す手順で行う。まず、ステップS91で、逸脱判断フラグがFLD≠0であるかどうかを判定し、FLD≠0でない場合には、自車両は逸脱状態にないからステップS92に移行し、前左右輪5FL、5FRのホイールシリンダ6FL、6FRへの目標制動流体圧PsFL、PsFRとして、共に、マスタシリンダ圧Pmを設定し、後左右輪5RL、5RRのホイールシリンダ6RL、6RRへの目標制動流体圧PsRL、PsRRとして、共に後輪用マスタシリンダ圧PmRを設定する。
なお、前記PmRは、ステップS1で読み込んだマスタシリンダ圧Pmに対し、前後制動力配分に基づく後輪用マスタシリンダ圧である。
一方、ステップS91で逸脱判断フラグがFLD≠0である場合には、ステップS93に移行して、前記目標ヨーモーメントMsの大きさに応じて場合分けを行い、目標ヨーモーメントの絶対値|Ms|が所定値Ms0未満であるときにはステップS94に移行して後左右輪の制動力にだけ差を発生させる。つまり、前左右輪目標制動流体圧差ΔPsFは“0”、後左右輪目標制動流体圧差ΔPsRは次式(8)に設定する。なお、式(8)中のTは、トレッド(前後輪で同じとする)、KbR及び後述のKbFはそれぞれ、制動力を制動流体圧に換算するための換算係数であり、ブレーキ諸元によって決まる。
ΔPsR=2×KbR×|Ms|/T ……(8)
一方、前記目標ヨーモーメントの絶対値|Ms|が所定値Ms0以上であるときにはステップS93からステップS95に移行し、前後左右輪の制動力に差を発生させる。具体的には、前左右輪目標制動流体圧差ΔPsFは次式(9)で、また後左右輪目標制動流体圧差ΔPsRは次式(10)で算出する。
ΔPsF=2×KbF×(|Ms|−Ms0)/T ……(9)
ΔPsR=2×KbR×Ms0/T ……(10)
なお、ここでは、前後輪をそれぞれ制御するようにした場合について説明したが、例えば前輪のみで制御するようにしてもよく、この場合には、ΔPsF=2×KbF×|Ms|/Tとするようにしてもよい。
そして、このように前後輪について左右の制動力差を算出したならば、ステップS96に移行し、目標ヨーモーメントMsが負値であるとき、すなわち、自車両が左方向に車線逸脱しようとしているときにはステップS97に移行し、各ホイールシリンダ6FL〜6RRへの目標制動流体圧Psiを次式(11)により算出する。
PsFL=Pm
PsFR=Pm+ΔPsF
PsRL=PmR
PsRR=PmR+ΔPsR ……(11)
一方、前記目標ヨーモーメントMsが零以上の値であってすなわち自車両が右方向に車線逸脱しようとしているときにはステップS98に移行し、各ホイールシリンダ6FL〜6RRへの目標制動流体圧Psiを下記(12)式により算出する。
PsFL=Pm+ΔPsF
PsFR=Pm
PsRL=PmR+ΔPsR
PsRR=PmR ……(12)
このようにしてステップS92、S97、S98の何れかによって目標制動力を算出したならば、ステップS99に移行し、逸脱判断フラグがFLD≠0であって逸脱状態にある場合にはステップS100に移行し、次式(13)により目標駆動トルクTrqを算出する。
Trq=f(Acc)−g(Ps) ……(13)
一方、逸脱判断フラグがFLD≠0ではなく逸脱状態にない場合にはステップS101に移行し、目標駆動トルクTrqはf(Acc)とする。
なお、前記f(Acc)は、アクセル開度Accに応じた駆動トルクを算出するためのアクセル関数fにより算出される駆動トルク相当値である。また、前記(13)式中のPsは、逸脱防止制御により発生させる前及び後の左右輪目標制動流体圧差ΔPsR及びΔPsFの和(Pg=ΔPsR+ΔPsF)であって、g(Ps)は、目標制動流体圧差の和Psによって発生が予測される制動トルクを算出するための関数gにより算出される、制動トルク相当値である。
そして、このようにしてステップS100又はステップS101で目標駆動トルクTrqを算出したならばステップS102に移行し、ステップS100又はステップS101で算出した目標駆動トルクTrqを発生するよう駆動トルクコントロールユニット12に制御信号を出力し、また、前記ステップS92、S97、S98の何れかによって算出した各車輪の目標制動流体圧を前記制動流体圧制御回路7に向けて出力する。
以上の処理によって図3に示す演算処理が終了する。そして、一連の演算処理が終了したならば、タイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
次に、上記第1の実施の形態の動作を説明する。
車両状態コントロールユニット20では、前記図3に示す演算処理を所定周期で実行し、カメラコントローラ14から入力される走行車線幅Wに基づいて、逸脱警報用の実逸脱判定値Xw*及び逸脱防止制御用の実逸脱判定値Xc*を逐次算出する。このとき、自車両が、車線幅Wが一定の走行車線中央よりを直進走行している場合には、逸脱警報も逸脱防止制御も行われないから、警報フラグFW及び逸脱判断フラグFLDは共に“0”に設定される。このため、図7の逸脱判定値更新処理では、ステップS21からステップS23に移行し、保持フラグはFHOLD=0に設定される。したがって、ステップS24からステップS25に移行して、逸脱警報用及び逸脱防止制御用の逸脱判定値Xw及びXcが、ステップS2の処理で算出された現時点における走行車線幅Wに応じた実逸脱判定値Xw*及びXc*にそれぞれ更新設定される。
そして、自車両の走行速度Vに応じた前方注視距離Lsに基づいて推定横変位Xsが算出され(図8)、このとき車線変更は行っていないから、図9のステップS47からステップS49に移行し、推定横変位Xsと図3のステップS3で設定した逸脱防止制御用の逸脱判定値Xcとの比較が行われる。
このとき、自車両は走行車線中央よりを直進走行しており車線変更中でなく、推定横変位Xsが比較的小さいことから、推定横変位Xsの絶対値|Xs|は逸脱警報用の逸脱判定値Xw及び“Xw−Xh”よりも小さくなって、図9の逸脱判定処理では、ステップS49からステップS53を経てステップS54に移行し、警報フラグはFw=0に設定される。このため、図10の目標ヨーモーメント算出処理では、ステップS61からステップS62に移行して逸脱判断フラグFLDが“0”に設定されることから目標ヨーモーメントはMs=0に設定される(ステップS69)。
このため、図14の制駆動力制御処理では、ステップS92の処理で目標制動流体圧としてマスタシリンダ圧Pmに応じた流体圧が設定され、また、ステップS101の処理で、目標駆動トルクTrqとしてアクセル開度Accに応じた駆動トルクが設定されることから、ドライバのアクセルペダルの操作量に応じた目標駆動力が発生されると共にマスタシリンダ圧Pmに応じた制動力が発生されることになり、ヨーモーメントが発生されることなく、ドライバの運転操作に即した車両挙動となる。また、このとき、警報フラグFWは“0”に設定されているから、図12の警報出力処理では、ステップS71からステップS73に移行し、警報装置23を作動させない。したがって、警報が発せられることはない。
この状態から、自車両が左に逸脱する傾向となり推定横変位Xsが増加し、逸脱警報用の逸脱判定値Xw以上となると、このとき、ドライバが車線変更を目的として方向指示スイッチ20をオン状態にしている場合には、図9において、方向指示スイッチ20による指示方向と推定横変位Xsに基づく逸脱方向とが共に左側であってこれらは一致するから車線変更であると判断し、ステップS41からS42を経てステップS43に移行し車線変更フラグFLCが“1”に設定される。
このためステップS47からステップS48に移行し、車線変更中であって逸脱警報を発する必要はないとして警報フラグFWは“0”に設定され、これに伴って図10のステップS61からステップS62に移行し、逸脱判断フラグFLDは“0”に設定される。したがって、自車両の車線変更に伴って推定横変位Xsが増加した場合であっても、警報装置23が作動されることはなくまた逸脱防止制御が作動されることもないから、車線変更時に、車両にヨーモーメントが作用することはない。
そして、車線変更が終了し、方向指示スイッチ20がオフとなると、図9の逸脱判定処理では、ステップS41からステップS45に移行し、所定時間経過するまでは車線変更フラグFLCの更新は行われない。したがって、車線変更後期において、方向指示スイッチ20はオフに切り替えられたものの、まだ自車両が車線逸脱傾向にあって推定横変位Xsが比較的大きい状態にある場合であっても逸脱警報或いは逸脱防止制御が作動されることはない。
そして、方向指示スイッチ20がオフとなった時点から所定時間が経過し、車線変更先の車線における自車両の走行位置が車線中央よりに達したとみなすことの可能な時点で、ステップS45からステップS46に移行し、車線変更フラグFLCが“0”に設定されるから、車線変更後期であって、自車両が車線中央よりの位置に移行している途中で、逸脱傾向にあると誤判断されることはない。
そして、この状態から、車線変更ではなく自車両が左に逸脱する傾向となると、図9の逸脱判定処理では、方向指示スイッチ20がオフ状態であることからステップS41からステップS45を経てステップS47に移行し、このとき車線変更フラグFLCは“0”であって車線変更中ではないからステップS49に移行する。
このとき、推定横変位Xsが逸脱警報用の逸脱判定値Xwを下回る状態では、警報フラグFWは“0”に維持されるから逸脱警報は作動しないが、推定横変位Xsが逸脱判定値Xw以上となると、ステップS49からステップS50を経てステップS51に移行し、警報フラグFWが“1”に設定される。このため、図10の目標ヨーモーメント算出処理では、ステップS61からステップS63に移行するが、推定横変位XsがステップS3で算出される逸脱防止制御用の逸脱判定値Xcよりも小さい間は、まだ逸脱防止制御を行う必要はないとしてステップS63からステップS65を経てステップS67に移行し、逸脱判断フラグはFLD=0に設定される。
したがって、目標ヨーモーメントMsは“0”に設定されるから、この時点ではヨーモーメントMsは発生されず引き続きドライバの運転操作に即した車両挙動となるが、警報フラグFWが“1”に設定されていることから図12の警報出力処理ではステップS71からステップS72に移行し、警報装置23が作動され、ドライバに対して逸脱傾向にあることが通知される。
これによって、ドライバは警報装置23が作動することにより自車両が逸脱傾向にあることを認識することができ、減速操作や操舵操作等、逸脱を回避するための操作を行うことができる。
そして、さらに自車両の車線逸脱が進み、推定横変位Xsが逸脱防止制御用の逸脱判定値Xc以上となると、図10のステップS63からステップS64に移行し、逸脱判断フラグがFLD=1に設定され、ステップS68で推定横変位Xsと逸脱判定値Xcとの差、つまり自車両の横ずれ量に応じた目標ヨーモーメントMsが算出される。このため、図14のステップS91からステップS93に移行し、目標ヨーモーメントMsの大きさに応じて、後輪側のみ又は前後輪共に左右輪の制動力差を発生するよう、目標制動流体圧Psiが算出され、また、アクセル開度Accに応じた駆動トルクf(Acc)を、目標ヨーモーメントMsの発生に要する制動力相当の制動トルクg(Ps)分だけ抑制した駆動トルクTrqを発生するよう駆動トルクが制御され、ヨーモーメントと駆動トルクの干渉を回避しつつ、自車両の横ずれ量に応じたヨーモーメントが発生され、これによって逸脱防止が図られることになる。
そして、このように警報やヨーモーメントを発生し、また、ドライバが操舵操作或いは減速操作を行うことによって自車両の推定横変位Xsが減少すると、逸脱判定値Xcを下回った時点で図10のステップS63からステップS65を経てステップS67に移行し、逸脱判断フラグFLDが“0”に設定されてヨーモーメントの発生が停止され、さらに推定横変位Xsが、逸脱判定値Xwからヒステリシス値Xhを減算した値“Xw−Xh”を下回る状態となった時点で、図9のステップS49からステップS53を経てステップS54に移行し、警報フラグFWが“0”にリセットされ、警報装置23の作動が停止される。
この状態から、自車両の走行車線幅Wが変化し、例えば、図15に示すように、状態Bから状態Aに移行して車線幅が広くなった場合には、逸脱判定値Xw及びXcは、車線幅Wの増加に伴って広がり、逸脱判定条件が緩やかになる。したがって、走行車線幅Wの増加に伴って、自車両から車線区分線までの距離が増加することから、これに即した逸脱判定値Xw、Xcを設定することができ、実際の走行状況に即した逸脱判定を行うことができる。
逆に、状態Bから状態Cに移行し、走行車線幅Wが狭くなった場合には、逸脱判定値Xw及びXcは、走行車線幅Wの減少に伴って狭くなり、逸脱判定条件がより厳しくなる。したがって、走行車線幅Wの減少に伴って、自車両から車線区分線までの距離が減少することから、これに即した逸脱判定値Xw、Xcを設定することができ、実際の走行状況に即した逸脱判定を行うことができる。
また、このとき、逸脱判定値Xw、Xcに車体幅Wvに応じた下限値を設定しているから、走行車線幅Wの減少に伴って、逸脱判定値Xw、Xcが小さくなり過ぎ、これに伴って逸脱判定条件が厳しくなりすぎ、多少の横ずれであっても車線逸脱傾向にあると判定されることを回避することができる。
そして、このように走行車線幅Wの変動に応じて逸脱判定値Xw及びXcが更新されている状態で、自車両が車線逸脱傾向となり、自車両の推定横変位Xsが逸脱判定値Xw或いはXc以上となったときには、警報フラグFW、或いは逸脱判定フラグFLDが“1”に設定される。このため、図7の逸脱判定値更新処理において、ステップS21からステップS22に移行し、保持フラグFHOLDが“1”に設定される。このため、ステップS24からそのまま処理を終了し、逸脱判定値Xw及びXcの更新は行われない。そして、警報フラグFW又は逸脱判断フラグFLDの何れかが“0”ではなく、右或いは左方向に逸脱傾向にあると判定されている間は、保持フラグFHOLDは“1”に設定されることから逸脱判定値Xw及びXcの更新は行われず、警報フラグFW及び逸脱判断フラグFLDが共に“0”となり逸脱傾向にないと判定されるときステップS21からステップS23に移行して保持フラグFHOLDが“0”に設定され、ステップS24からステップS25に移行して、逸脱判定値Xw及びXcの更新が行われる。
つまり、逸脱警報又は逸脱防止制御が作動されると、この時点から、これらの作動が共に解除されるまでの間、逸脱警報又は逸脱防止制御が作動される状態となった時点における走行車線幅Wに応じた逸脱判定値Xw、Xcが保持され、これに基づいて車線逸脱傾向にあるかどうかの判断が行われることになる。
ここで、逸脱警報又は逸脱防止制御が作動している間も走行車線幅Wに応じた逸脱判定値Xw及びXcに基づいて逸脱判定を行うようにした場合、例えば、走行車線幅Wが広がり、図15の状態Bから状態Aに移行すると、このとき走行車線幅Wが変動する前の状態Bのときに、自車両が逸脱状態にあると判定されている場合には、走行車線幅Wの増加に伴って逸脱判定値Xc、Xwが大きくなる。このため、場合によっては、状態Aに示すように、逸脱推定値Xsがこれら逸脱判定値Xc、Xwを下回ることになって、自車両が、その逸脱傾向から十分回復する以前に、逸脱傾向にないと判断される場合がある。このため、自車両の車両状態が逸脱傾向から十分回復する以前に逸脱防止制御や逸脱警報が解除されることになって、場合によっては、乗員が、逸脱警報や逸脱防止制御が当然継続されると認識している状態で突然これら逸脱警報や逸脱防止制御が解除されることになって違和感を与える場合がある。また、逸脱傾向から十分に回復する以前に逸脱防止制御が解除された場合には、逸脱防止制御による制御量に変動が生じることになって、その制御量の変動に伴って乗員に違和感を与える場合がある。
また、自車両は十分に逸脱傾向から回復してないことから、比較的速やかに、再度推定横変位Xsが逸脱判定値Xc或いはXwを上回る状態となって、再度逸脱防止制御や逸脱警報が開始されることになる。つまり、逸脱防止制御や逸脱警報の作動及び非作動がひんぱんに発生することによって乗員に違和感を与える場合がある。
しかしながら、上述のように、逸脱傾向にあることを検出したときには、逸脱傾向検出時点における逸脱判定値Xc、Xwを保持し、これに基づいて逸脱警報や逸脱防止制御の作動判断を行うようにしたから、走行車線幅Wの変更に関係なく、自車両の走行状態が車線逸脱傾向から確実に回復した時点で逸脱防止制御や逸脱警報を解除することができる。したがって、自車両が車線逸脱傾向から完全に回復する以前に逸脱防止制御や逸脱警報が解除されることに起因して制御量が大きく変動すること、或いは、逸脱防止制御や逸脱警報がひんぱんに切り替わること等に起因して乗員に違和感を与えることを回避することができる。
逆に、図15の状態Bに示すように車線逸脱傾向にあると判定されている状態から状態Cに移行し走行車線幅Wが狭くなった場合には、このとき、走行車線幅Wに応じて逸脱警報値Xw及びXcの更新を行った場合、車線区分線に対する自車両の位置が変化するから逸脱判定値Xw、Xcが減少傾向となり、このため、走行車線幅Wの減少度合が大きい場合等には、逸脱判定値Xcが比較的大きく減少し、このため、この逸脱判定値Xcと推定横変位Xsとの差に応じて算出される逸脱防止制御の制御量が大きく変動し、車両の減速度等車両挙動が変動することから場合によっては乗員に違和感を与える場合がある。
しかしながら、上述のように、逸脱傾向にあると判定されるときには逸脱判定値Xcを保持するようにしているから、走行車線幅Wの変動に応じて逸脱防止制御の制御量が大きく変動することを回避することができ、したがって乗員に違和感を与えることを回避することができる。
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。
この第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態において、図3のステップS3で実行される逸脱判定値更新処理の処理手順が異なること以外は同様であるので、同一部には同一符号を付与しその詳細な説明は省略する。
この第2の実施の形態では、逸脱判定値の更新処理を、図16のフローチャートに示す手順で行う。
すなわち、ステップS21からステップS23の処理は、上記第1の実施の形態と同様であって、警報フラグがFW≠0又は逸脱判断フラグがFLD≠0であるときにはステップS22に移行して保持フラグFHOLDを“1”に設定し、警報フラグFW及び逸脱判断フラグFLDが共に“0”であるときにはステップS23に移行し、保持フラグFHOLDを“0”に設定する。
そして、保持フラグFHOLDが“0”であって、前回逸脱警報及び逸脱防止制御が作動されていない場合にはステップS111に移行し、逸脱判定値更新用のローパスフィルタの係数aw、acとして、時定数の小さい値、つまり、応答速度の速い値aw1、ac1をそれぞれ設定する。一方、保持フラグFHOLDが“1”であって、前回逸脱警報及び逸脱防止制御の少なくとも何れか一方が作動されている場合にはステップS112に移行し、時定数の大きい値、つまり、応答速度の遅い値aw2、ac2をそれぞれ設定する。なお、前記時定数aw1、aw2は、0<aw1<aw2<1を満足し、また、時定数ac1、ac2は、0<ac1<ac2<1を満足する値である。
そして、このようにして、ローパスフィルタの時定数を設定したならば、ステップS113に移行し、ステップS111又はステップS112で設定された時定数を用いて次式(14)及び(15)で特定されるローパスフィルタ処理を行い、逸脱判定値を更新する。
Xw(k)=aw(k)×Xw(k−1)+(1−aw(k))Xw*(k)
……(14)
Xc(k)=ac(k)×Xc(k−1)+(1−ac(k))Xc*(k)
……(15)
つまり、逸脱警報及び逸脱防止制御が作動していないときには、逸脱判定値Xw、Xcが、比較的速い応答速度で、ステップS2で算出される実逸脱判定値Xw*、Xc*に一致するよう更新し、逸脱警報及び逸脱防止制御の何れか一方が作動しているときには、逸脱判定値Xw、Xcが比較的遅い応答速度で、ステップS2で算出される実逸脱判定値Xw*、Xc*に一致するよう更新する。
したがって、逸脱警報或いは逸脱防止制御のいずれも作動していないときには、この時点における走行車線幅Wに応じた逸脱判定値Xw*、Xc*に比較的速やかに一致するよう逸脱判定値Xw、Xcの更新が行われるから、現時点における車線区分線と自車両の位置との相対関係に応じて逸脱判定を的確に行うことができる。
一方、逸脱警報或いは逸脱防止制御の何れか一方が作動しているときに、走行車線幅Wが変動した場合には、これに応じて算出されるXw*、Xc*も変動することから逸脱判定値Xw、Xcも変動することになるが、このとき、逸脱判定値Xw、Xcを、Xw*、Xc*に更新する際のローパスフィルタ処理においてその応答速度がより遅くなるようにしている。
したがって、図17に示すように、車線逸脱傾向にあると判定されている状態Aから、走行車線幅Wが拡大し状態Cに移行した場合には、上述のように、ローパスフィルタ処理を行って、逸脱判定値Xcは徐々に増加することになって、自車両の推定横変位Xsと逸脱判定値Xcとの差が徐々に変動することから、これら推定横変位Xsと逸脱推定値Xcとの差に応じて設定される制御量も徐々に変動することになる。
ここで、状態Aから状態Cへの移行に伴う走行車線幅Wの変動に伴って逸脱判定値Xcを変動させた場合、場合によっては、推定横変位Xsと逸脱推定値Xcとの差の変動が大きくなり、これら推定横変位Xsと逸脱判定値Xcとの差に応じて設定される逸脱防止制御の制御量に変動が生じる場合がある。このため、車両挙動が変動し違和感を与える場合がある。
しかしながら、図17に示すように、車線幅が状態Aから状態Cに変動する場合、車線幅の変動に伴って逸脱判定値Xcを増大させるのではなく、図17の状態Bに示すように、逸脱判定値Xcを徐々に変化させその変動を抑制するようにしているから、逸脱判定値Xcの変動に起因して逸脱防止制御の制御量が変動することを抑制することができる。したがって、走行車線幅Wの増加に伴って、逸脱防止制御量の変動を抑制しつつ、逸脱判定値Xcを走行車線幅Wに応じた値に一致させ、実際の車両と車線区分線との相対関係に対して遅れることなく逸脱警報や逸脱防止制御を行うことができ、車線逸脱の判定能力を損なうことを防止することができる。
逆に、走行車線幅Wが減少する場合も同様であって、逸脱判定値Xcの変動を抑制するようにしているから、走行車線幅Wの減少に伴って逸脱判定値Xcを減少させることによって、逸脱判定値Xcが推定横変位Xsよりもさらに小さくなって逸脱度合がより大きくなる場合であっても、逸脱判定値Xcの変動を抑制するようにしているから、制御量の増加方向への変動を抑制しつつ、逸脱判定値Xcを走行車線幅に応じた値に一致させ、実際の車線区分線と自車両との相対位置関係に対して遅れることなく逸脱防止のための十分な制御力を発生させることができる。
したがって、この第2の実施の形態においても、上記第1の実施の形態と同様に、走行車線幅Wの変動に伴う逸脱判定値XwやXcの変動に応じて、逸脱警報や逸脱防止制御が作動或いは非作動に制御されることを回避することができると共に、走行車線幅Wの変動に伴う逸脱防止制御の制御量の変動に伴う車両挙動の変化を抑制することができ、安定した逸脱防止制御を行うことができる。
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。
この第3の実施の形態は、上記第2の実施の形態において、逸脱判定値更新処理の処理手順が一部異なること以外は、同様であるので、同一部には同一符号を付与し、その詳細な説明は省略する。
この第3の実施の形態では、逸脱判定値更新処理を、図18のフローチャートに示す手順で行っている。つまり、警報フラグFW及び逸脱判断フラグFLDが共に“0”であって、逸脱警報及び逸脱防止制御が共に作動していないときには、ステップS24からステップS111に移行し、上記第2の実施の形態と同様に、応答速度の速いローパスフィルタ処理を行って逸脱判定値Xw、Xcの更新を行う。
一方、警報フラグFW及び逸脱判断フラグFLDの少なくとも何れか一方が“0”でないときには、ステップS24からステップS121に移行し、走行車線幅Wが縮小中であるかどうかを判定する。この判定は、例えば、前回の走行車線幅Wと今回の走行車線幅Wとを比較すること、或いは過去の所定期間における走行車線幅Wの変動状況等に基づいて判断する。
そして、走行車線幅Wが縮小中であるときには、ステップS121からステップS111に移行して、比較的速い応答速度で逸脱判定値Xw、Xcの更新を行い、走行車線幅Wが縮小中でないときにはステップS112に移行し、比較的遅い応答速度で逸脱判定値Xw、Xcの更新を行う。
したがって、逸脱警報或いは逸脱防止制御が作動中に走行車線幅Wが変化し、例えば走行車線幅Wが拡大した場合、つまり、車線区分線が自車両の車両挙動とは無関係に自車両から遠ざかっていくような場合には、車両挙動に対して十分に遅い速度で逸脱判定値Xw、Xcが増加していくので、逸脱防止制御による制御量の変動を抑制しつつ、走行車線幅Wに応じた逸脱判定値Xcを設定することで的確な逸脱判断を行うことができる。逆に走行車線幅Wが縮小する場合には、車線区分線が自車両の車両挙動とは無関係に自車両に接近する可能性もあるが、このような場合には、逸脱判定条件から外れ易くなる傾向に変化する走行車線幅Wが拡大する場合に比較してより応答速度の速いローパスフィルタ処理によって逸脱判定値の更新処理が行われるから、逸脱判定値Xcと推定横位置Xsとの差に応じた制御量の変動を抑制し、且つ、推定横変位Xsの変動を抑制しつつ、実際の車両と車線区分線との相対関係に対して遅れることなく逸脱警報や逸脱防止制御を作動させることができ、車線逸脱の判定能力を損なうことを極力防止することができる。
なお、この第3の実施の形態においても、上記第2の実施の形態と同等の作用効果を得ることができることはいうまでもない。
次に、本発明の第4の実施の形態を説明する。
この第4の実施の形態は、上記第3の実施の形態において、逸脱判定値更新処理の処理手順が一部異なること以外は、同様であるので、同一部には同一符号を付与し、その詳細な説明は省略する。
この第4の実施の形態では、逸脱判定値更新処理を、図19のフローチャートに示す手順で行っている。つまり、警報フラグFW、逸脱判断フラグFLDが共に“0”の場合には、上記第3の実施の形態と同様に、保持フラグFHOLDを“0”に設定し、ステップS111に移行して、比較的応答速度の速いローパスフィルタ処理を行って、逸脱判定値Xw、Xcの更新を行う。一方、警報フラグがFW≠0又は逸脱判断フラグがFLD≠0である場合には、ステップS24からステップS131に移行し、走行車線に対する現在の車両挙動を判断する。つまり、前記ステップS1で読み込んだ走行車線に対するヨー角の絶対値|φ|と、ヨー角φが十分小さい値であると判断することの可能なしきい値εとを比較し、また、自車両の横変位の絶対値|X|と、この横変位Xが十分小さい値であると判断することの可能なしきい値Xthとを比較する。そして、|φ|≦ε又は|X|≦Xthであるときには、走行車線に対するヨー角φや横変位Xが十分小さく、この状態で逸脱警報や逸脱防止制御の作動を停止したとしてもその後速やかに再度車線逸脱傾向になることはないと予測することができるとしてステップS111に移行し、比較的速い応答速度で逸脱判定値Xw、Xcの更新を行う。
一方、ヨー角φや横変位Xが、|φ|≦ε又は|X|≦Xthではないとき、つまり、ヨー角φや、横変位Xがある程度の大きさであって、この状態で逸脱警報や逸脱防止制御の作動を停止させたときにはその後速やかに再度車線逸脱傾向にあると判断されると予測されるときには、ステップS121に移行し、次に、走行車線幅Wが縮小中であるかどうかを判定する。そして、走行車線幅Wが縮小中であるときには、ステップS121からステップS111に移行し、比較的速い応答速度で逸脱判定値Xw、Xcの更新を行い、走行車線幅Wの減少に応じて、実際の車線区分線と自車両との相対関係に即した逸脱判断を行うことによって、より確実に車線逸脱判断を行うことができる。
一方、走行車線幅Wが縮小中でない場合にはステップS121からステップS112に移行し、比較的遅い応答速度で逸脱判定値Xw、Xcの更新を行い、逸脱判定値Xcと推定横変位Xsとの差に応じた逸脱防止制御量の変動を抑制する。
ここで、逸脱警報や逸脱防止制御によって、ヨー角φが小さくなり、車両の逸脱傾向が十分小さくなれば、車両の車線に対する走行状態は安定したものになってくるため、走行車線幅Wが拡大したとしても逸脱防止制御による作動及び非作動のハンチングは生じにくい。したがって、逸脱判定値を比較的速やかに現在の走行車線幅Wに応じた値に更新することによって、実際の車線区分線と自車両との相対関係に即して的確に逸脱判定を行うことができる。
逆に、逸脱警報や逸脱防止制御の作動開始後等、走行車線に対するヨー角が十分小さくない場合等、自車両の車両挙動が安定していないときには、車両の逸脱方向に走行車線幅Wが拡大すると、この走行車線幅Wに応じて逸脱判定値を設定した場合、前述のように、逸脱傾向にあると判断されたり、ないと判断されたりして、安定した逸脱判断が行われにくくなる傾向となる。しかしながら、上述のように、逸脱判定値の更新速度を遅くしているから、逸脱防止制御の制御量の変動を抑制することができ、この逸脱防止制御による車両挙動の変動に伴って乗員に違和感を与えることを回避することができると共に、逸脱傾向にあるとの判断がひんぱんに切り替わることを回避することができる。
また、自車両の走行車線に対する横変位Xが十分小さくなった場合に、逸脱判定値の更新速度を速くするようにしているから、走行車線に対する横変位Xが十分小さくなって、確実に車線逸脱から回復したと判断されない間は、逸脱判定値は比較的遅い応答速度で更新される。したがって、逸脱防止制御による制御量の変動を抑制することができ、逸脱防止制御による車両挙動の変動に起因して乗員に違和感を与えることを回避することができる。なお、上記第3の実施の形態と同等の作用効果を得ることができることはいうまでもない。
なお、上記各実施の形態においては、推定横変位Xsが逸脱判定値Xw以上となったときに警報を発生する警報発生手段及び推定横変位Xsが逸脱判定値Xc以上となったときにヨーモーメントを発生する逸脱防止制御手段を共に備えた場合について説明したが、何れか一方のみを有している場合であっても適用することができる。
また、上記各実施の形態においては、逸脱防止制御手段として、自車両にヨーモーメントを発生させることにより逸脱を回避するようにしたヨーモーメント発生手段を適用した場合について説明したが、これに限るものでなく、例えば、逸脱検出時には自車両を減速させ、逸脱するまでの速度を低減するようにした減速制御手段や、操舵アクチュエータを備え、逸脱を回避する方向に操舵制御することによって車線逸脱を防止するようにした操舵制御手段等を適用することも可能であって、この場合も、上記と同等の作用効果を得ることができる。
また、上記各実施の形態はそれぞれ単独で実行するようにした場合について説明したが、これに限るものではなく、これらのうちの複数を組み合わせて実行するようにすることも可能である。
また、上記各実施の形態においては、自車両が左方向に逸脱傾向となる場合について説明したが、右方向に逸脱傾向となる場合も同様の作用効果を得ることができることはいうまでもない。
ここで、上記各実施の形態において、図3のステップS2及びステップS3の処理が判定位置設定手段に対応し、ステップS5の処理が逸脱検出手段に対応している。また、第1の実施の形態において図7のステップS24の処理で逸脱判定値Xw、Xcの更新を行わない処理、第2の実施の形態において図16のステップS24からステップS112の処理に移行して、ローパスフィルタの係数としてより応答速度の遅い値を設定する処理、第3の実施の形態において図18のステップS24からステップS121を経てステップS112に移行し、ローパスフィルタの係数としてより応答速度の遅い値を設定する処理、第5の実施の形態において図19のステップS24からステップS131、S121を経てステップS112に移行し、ローパスフィルタの係数としてより応答速度の遅い値を設定する処理が、それぞれ判定位置変動抑制手段に対応している。
また、第3の実施の形態の図18のフローチャート及び第4の実施の形態の図19のフローチャートにおいて、それぞれステップS121で車線幅Wが縮小中であるかを判定する処理が車線幅変動検出手段に対応し、図3のステップS6で目標ヨーモーメントを算出しこれに応じた制駆動力を発生させる処理が逸脱防止制御手段に対応し、ステップS7の処理が警報発生手段に対応している。
本発明における車線逸脱防止装置を搭載した車両の一例を示す概略構成図である。 図1のカメラコントローラで算出される車両状態量を説明するための説明図である。 図1の車両状態コントロールユニット内で実行される演算処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 図3のステップS2で実行される逸脱判定値算出処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 逸脱警報用の逸脱判定値の算出方法を説明するための説明図である。 逸脱防止制御用の逸脱判定値の算出方法を説明するための説明図である。 図3のステップS3で実行される逸脱判定値更新処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 図3のステップS4で実行される推定横変位算出処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 図3のステップS5で実行される逸脱判定処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 図3のステップS6で実行される目標ヨーモーメント算出処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 図10の目標ヨーモーメント算出処理で用いられる制御マップである。 図3のステップS7で実行される警報出力処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 図3のステップS7で実行される警報出力処理のその他の例を示すフローチャートである。 図3のステップS8で実行される制駆動力制御処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 本発明の動作説明に供する説明図である。 本発明の第2の実施における逸脱判定値更新処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 第2の実施の形態の動作説明に供する説明図である。 本発明の第3の実施における逸脱判定値更新処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 本発明の第4の実施における逸脱判定値更新処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
符号の説明
5FL〜5RR 車輪
6FL〜6RR ホイールシリンダ
7 制動流体圧制御回路
8 車両状態コントロールユニット
9 エンジン
12 駆動トルクコントロールユニット
13 単眼カメラ
14 カメラコントローラ
15 加速度センサ
16 ヨーレートセンサ
17 マスタシリンダ圧センサ
18 アクセル開度センサ
19 操舵角センサ
20 方向指示スイッチ
22FL〜22RR 車輪速度センサ
23 警報装置

Claims (10)

  1. 走行車線の車線区分線の位置に基づいて自車両の逸脱を検出するための逸脱判定位置を走行車線上に想定する判定位置設定手段と、
    当該判定位置設定手段で設定された逸脱判定位置と自車両の走行車線における現在の走行位置とに基づいて自車両が逸脱傾向にあるかどうかを検出する逸脱検出手段と、を備えた車線逸脱防止装置において、
    前記逸脱検出手段で自車両が車線逸脱傾向にあることを検出したとき、前記逸脱判定位置の走行車線中央に対する変動を抑制する判定位置変動抑制手段を備えることを特徴とする車線逸脱防止装置。
  2. 前記判定位置変動抑制手段は、前記逸脱検出手段で自車両が車線逸脱傾向にあることが検出されないときには、前記逸脱判定位置の走行車線中央に対する変動を抑制しないようになっていることを特徴とする請求項1記載の車線逸脱防止装置。
  3. 自車両の走行車線の車線幅が変動したかどうかを検出する車線幅変動検出手段を備え、
    前記判定位置変動抑制手段は、車線逸脱傾向にあることが検出され且つ前記車線幅変動検出手段で車線幅の拡大方向への変動を検出したとき、前記逸脱判定位置の走行車線中央に対する変動を抑制するようになっていることを特徴とする請求項1又は2記載の車線逸脱防止装置。
  4. 自車両の走行車線の車線幅が変動したかどうかを検出する車線幅変動検出手段を備え、
    前記判定位置変動抑制手段は、車線逸脱傾向にあることが検出され且つ前記車線幅変動検出手段で車線幅の縮小方向への変動を検出したときには前記逸脱判定位置の走行車線中央に対する変動を抑制しないようになっていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の車線逸脱防止装置。
  5. 前記判定位置変動抑制手段は、車線逸脱傾向にあることが検出された場合であっても、自車両の走行車線に対するヨー角がしきい値よりも小さいときには、前記逸脱判定位置の走行車線中央に対する変動を抑制しないようになっていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の車線逸脱防止装置。
  6. 前記判定位置変動抑制手段は、車線逸脱傾向にあることが検出された場合であっても、自車両の走行車線の基準線に対する横変位が十分小さくなったときには、前記逸脱判定位置の走行車線中央に対する変動を抑制しないようになっていることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載の車線逸脱防止装置。
  7. 前記判定位置変動抑制手段は、前記逸脱判定位置を、前記車線逸脱傾向検出時点における走行車線中央に対する逸脱判定位置に維持するようになっていることを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載の車線逸脱防止装置。
  8. 前記判定位置変動抑制手段は、前記逸脱判定位置を、非抑制時よりもより遅い変化度合で変化させるようになっていることを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載の車線逸脱防止装置。
  9. 前記逸脱判定手段で逸脱傾向にあることが検出されたとき警報を発生する警報発生手段と前記逸脱傾向にあることが検出されたとき逸脱を回避する方向に自車両の車両挙動を制御する逸脱防止制御手段との少なくとも何れか一方を備えることを特徴とする請求項1から請求項8の何れか一項に記載の車線逸脱防止装置。
  10. 前記判定位置検出手段は、前記警報発生手段用の逸脱判定位置と前記逸脱防止制御手段用の逸脱判定位置とを個別に設定するようになっていることを特徴とする請求項9記載の車線逸脱防止装置。
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