JP3946151B2 - 空気入りタイヤ及びその装着方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、菱形に近似した接地形状を有する空気入りタイヤ及びその装着方法に関し、さらに詳しくは、ハイドロプレーニング発生速度を低下させることなく、操縦安定性を向上し、操舵フィーリングを改善するようにした空気入りタイヤ及びその装着方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
空気入りタイヤ、特に偏平率が55%を下回るようなラジアルタイヤでは、接地形状がタイヤ幅方向に広くなる傾向がある。この種の空気入りタイヤにおいて、排水性やハイドロプレーニング発生速度を改善するために、平坦路での接地形状を楕円形状にすること(例えば、特許文献1参照。)、或いは、接地形状を矩形状にすること(例えば、特許文献2参照。)が提案されている。
【0003】
しかしながら、接地形状を矩形状にした空気入りタイヤでは、コーナリング時に接地形状が大きく変化し、最大接地長の位置及び接地中心(接地圧が最も高くなる部位)がショルダー側に大きく移動するため、コーナリング時の操縦安定性が低下し、しかも直進時に比べて操舵フィーリングが大きく変化してしまうという問題がある。一方、接地形状を楕円形状にした空気入りタイヤでは、接地形状を矩形状にする場合に比べて、操縦安定性及び操舵フィーリングが改善されるものの依然として満足できるレベルではなかった。また、上記のような現象は特にキャンバアングルを2°以上に設定した車両で顕著に発生している。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−282207号公報
【特許文献2】
特開平8−108710号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ハイドロプレーニング発生速度を低下させることなく、操縦安定性を向上し、操舵フィーリングを改善することを可能にした空気入りタイヤ及びその装着方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、菱形に近似した接地形状を有する偏平率55%以下の空気入りタイヤであって、タイヤ周方向の最大接地長Lを規定する一対の最大接地長点及びタイヤ幅方向の最大接地幅Wを規定する一対の最大接地幅点を菱形となるように直線で結んだとき、各直線の中間点位置での前記直線と接地輪郭線との平均距離Aが0≦A≦0.10×Lの関係を満足すると共に、前記最大接地長Lと前記最大接地幅Wとの比(L/W)が0.9以下であることを特徴とするものである。
一方、本発明の空気入りタイヤの装着方法は、キャンバーアングルを2°〜4°に設定した車両に対して、上記空気入りタイヤを装着するようにしたことを特徴とするものである。
【0007】
このように菱形に近似した接地形状を構成することにより、コーナリング時における接地形状の変化が小さくなり、最大接地長の位置及び接地中心のショルダー側への移動量を最小限に抑えることができるので、コーナリング時の操縦安定性を向上し、操舵フィーリングの変化を抑えることができる。また、接地形状を概ね菱形にした空気入りタイヤでは、接地形状を楕円形状にした場合と同等以上のハイドロプレーニング発生速度を維持することが可能である。
【0008】
本発明によれば、キャンバアングルを2°以下に設定した車両のみならず、キャンバアングルを2°〜4°に設定した車両においても、ハイドロプレーニング発生速度を低下させることなく、操縦安定性を向上し、操舵フィーリングを改善することができる。
【0009】
本発明において、平均距離AはJATMAイヤーブック(2002年度版)に記載の標準リムに空気入りタイヤを組み付け、180kPaの空気圧を充填し、その空気圧に対応する最大負荷能力の80%の荷重を負荷したときの接地形状から求められる寸法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
図1は本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示すものである。図1において、1はトレッド部、2はサイドウォール部、3はビード部である。左右一対のビード部3,3間にはカーカス層4が装架され、そのタイヤ幅方向両端部がそれぞれビードコア5の廻りにタイヤ内側から外側へ巻き上げられている。トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には、複数のベルト層6が埋設されている。
【0012】
図2は上記空気入りタイヤの接地形状を示すものである。図2に示すように、この空気入りタイヤは菱形に近似した接地形状を有している。つまり、タイヤ周方向の最大接地長Lを規定する一対の最大接地長点l1 ,l2 及びタイヤ幅方向の最大接地幅Wを規定する一対の最大接地幅点w1 ,w2 を菱形となるように4本の直線A1 ,A2 ,A3 ,A4 で結んだとき、各直線の中間点位置(長さ方向中央位置)で測定される直線A1 〜A4 と接地輪郭線Oとの距離はa1 ,a2 ,a3 ,a4 にて表される。ここで、平均距離AはA=(a1 +a2 +a3 +a4 )/4より求められる。そして、上記空気入りタイヤは、0≦A≦0.10×Lにて規定される菱形に近似した接地形状を形成するのである。
【0013】
図3(a),(b)はそれぞれ上記空気入りタイヤについてキャンバーアングルを異ならせたときの接地形状を示し、(a)はキャンバーアングルが0°の場合、(b)はキャンバーアングルが3°の場合である。但し、CLはタイヤセンターライン、CCは接地中心(接地圧が最も高くなる部位)である。
【0014】
図3(a)に示すように、キャンバーアングルが0°の場合、最大接地長Lの位置及び接地中心CCはタイヤセンターラインCL上に存在する。これに対して、図3(b)に示すように、キャンバーアングルを3°とした場合であっても、最大接地長Lの位置はタイヤセンターラインCL上に変わらず存在し、しかも接地中心CCのショルダー側への移動量は最小限に抑えられている。このような接地形状の変化は、コーナリング走行する際にも当てはまるのである。
【0015】
つまり、上述のように菱形に近似した接地形状を構成することにより、コーナリング時における接地形状の変化が小さくなり、最大接地長Lの位置及び接地中心CCのショルダー側への移動量を最小限に抑えることができる。そのため、コーナリング時の操縦安定性を向上すると共に、直進時とコーナリング時での操舵フィーリングの変化を小さくすることができる。しかも、接地形状を概ね菱形にした空気入りタイヤでは、接地形状を楕円形状にした場合と同等以上のハイドロプレーニング発生速度を維持することができる。ここで、平均距離Aが最大接地長Lの10%を超えると、操縦安定性及び操舵時フィーリングの改善効果が不十分になる。
【0016】
上述した概ね菱形の接地形状は、無負荷状態でのトレッド部の外郭形状(トレッドプロファイル)を適正化することにより形成することができる。つまり、ショルダー側ほどトレッド面の落ち込み量を大きくすれば良い。例えば、図4に示すように、トレッド面TRに複数の点P1 〜P3 を設定し、点P1 〜P3 のタイヤセンターラインCLからのタイヤ幅方向の距離をX1 〜X3 とし、点P1 〜P3 のタイヤ最大外径位置からのタイヤ径方向の距離をY1 〜Y3 としたとき、これら距離Y1 〜Y3 を順次大きくすれば良い。例えば、タイヤサイズ215/45ZR17において、X1 =70mm,X2 =140mm,X3 =210mm,Y1 =1.62mm,Y2 =5.22mm,Y3 =18.0mmとすることで、概ね菱形の接地形状を形成することができる。
【0017】
本発明の空気入りタイヤは、その偏平率が特に限定されるものではないが、特に偏平率55%以下の場合に顕著な作用効果を奏するのである。偏平率55%以下の空気入りタイヤにおいては、最適な操縦安定性及び操舵時フィーリングを得るために、最大接地長Lと最大接地幅Wとの比(L/W)が0.9以下であることが好ましい。
【0018】
【実施例】
タイヤサイズを215/45ZR17で共通にし、接地形状に関する最大接地長Lと平均距離Aとの比(A/L)を表1のように種々異ならせた従来タイヤ1,2、本発明タイヤ1及び比較タイヤ1,2をそれぞれ製作した。なお、従来タイヤ1は接地形状を楕円形状にしたものであり、従来タイヤ2は接地形状を矩形状にしたものである。
【0019】
これら試験タイヤをリムサイズ17×7.0JJのホイールに組み付け、空気圧180kPaとし、国産2000ccクラスのFF車に装着し、下記の方法により、ハイドロプレーニング発生速度、操縦安定性、操舵フィーリングを評価し、その結果を表1に示した。
【0020】
〔ハイドロプレーニング発生速度〕
水深10mmのプールを備えた直進路を走行し、プールに進入する際の速度を徐々に増加し、ハイドロプレーニングが発生する臨界速度を測定した。評価結果は、従来タイヤ1を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほどハイドロプレーニング発生速度が大きいことを意味する。
【0021】
〔操縦安定性〕
テストコースでの試験走行を通してテストドライバーによる官能評価を実施した。評価結果は、従来タイヤを100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど操縦安定性が良好であることを意味する。
【0022】
〔操舵フィーリング〕
テストコースでの試験走行を通してテストドライバーによる官能評価を実施した。評価結果は、従来タイヤを100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど操舵フィーリングが良好であることを意味する。なお、操舵フィーリングが良好であるとは、直進時とコーナリング時での操舵フィーリングの変化が少ないことである。
【0023】
【表1】
【0024】
この表1から判るように、本発明タイヤ1は従来タイヤ1との比較において、ハイドロプレーニング発生速度を維持しつつ、操縦安定性と操舵フィーリングが向上していた。一方、比較タイヤ1はハイドロプレーニング発生速度が本発明タイヤ1よりも低かった。比較タイヤ2は最大接地長Lと平均距離Aとの比(A/L)が大き過ぎるため操縦安定性と操舵フィーリングの改善効果が得られなかった。また、比(A/L)が比較タイヤよりも更に大きい従来タイヤ2は全ての評価項目について満足な結果が得られなかった。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、菱形に近似した接地形状を有する偏平率55%以下の空気入りタイヤを構成し、タイヤ周方向の最大接地長Lを規定する一対の最大接地長点及びタイヤ幅方向の最大接地幅Wを規定する一対の最大接地幅点を菱形となるように直線で結んだとき、各直線の中間点位置での直線と接地輪郭線との平均距離Aを0≦A≦0.10×Lの関係にすると共に、最大接地長Lと最大接地幅Wとの比(L/W)を0.9以下にするから、ハイドロプレーニング発生速度を低下させることなく、操縦安定性を向上し、操舵フィーリングを改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示す子午線半断面図である。
【図2】図1の空気入りタイヤの接地形状を示す説明図である。
【図3】図1の空気入りタイヤでキャンバーアングルを異ならせたときの接地形状を示し、(a)はキャンバーアングルが0°の場合の説明図、(b)はキャンバーアングルが3°の場合の説明図である。
【図4】概ね菱形の接地形状を形成するトレッドプロファイルの一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ベルト層
L 最大接地長
l1 ,l2 最大接地長点
W 最大接地幅
w1 ,w2 最大接地幅点
A1 ,A2 ,A3 ,A4 直線
a1 ,a2 ,a3 ,a4 距離
O 接地輪郭線
Claims (2)
- 菱形に近似した接地形状を有する偏平率55%以下の空気入りタイヤであって、タイヤ周方向の最大接地長Lを規定する一対の最大接地長点及びタイヤ幅方向の最大接地幅Wを規定する一対の最大接地幅点を菱形となるように直線で結んだとき、各直線の中間点位置での前記直線と接地輪郭線との平均距離Aが0≦A≦0.10×Lの関係を満足すると共に、前記最大接地長Lと前記最大接地幅Wとの比(L/W)が0.9以下である空気入りタイヤ。
- キャンバーアングルを2°〜4°に設定した車両に対して、菱形に近似した接地形状を有する偏平率55%以下の空気入りタイヤであって、タイヤ周方向の最大接地長Lを規定する一対の最大接地長点及びタイヤ幅方向の最大接地幅Wを規定する一対の最大接地幅点を菱形となるように直線で結んだとき、各直線の中間点位置での前記直線と接地輪郭線との平均距離Aが0≦A≦0.10×Lの関係を満足すると共に、前記最大接地長Lと前記最大接地幅Wとの比(L/W)が0.9以下である空気入りタイヤを装着するようにした空気入りタイヤの装着方法。
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