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JP3948076B2 - 車輪の摩擦円半径の推定方法 - Google Patents
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JP3948076B2 - 車輪の摩擦円半径の推定方法 - Google Patents

車輪の摩擦円半径の推定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車輪の摩擦円半径の推定方法に係り、更に詳細には各輪毎に摩擦円半径を推定する方法に係る。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車輌に於ける車輪の摩擦円半径の推定方法の一つとして、例えば本願出願人の出願にかかる特開平4−331668号公報に記載されている如く、車輌の前後加速度及び横加速度を検出し、車輪のスリップが発生した際の前後加速度及び横加速度の二乗和平方根を車輪の摩擦円半径と推定する方法が従来より知られている。
【0003】
車輪がスリップしているときに路面と車輌との間に作用する水平方向の力は路面の摩擦係数に比例し、水平方向の力は車輌の前後加速度及び横加速度の二乗和平方根に比例するので、上述の方法によれば、路面の摩擦係数に対応する値として車輪の摩擦円半径を推定することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上述の先の提案にかかる従来の摩擦円半径の推定方法に於いては、車輌全体の水平方向の力に基づき車輪の摩擦円半径が推定されるので、路面の摩擦係数に対応する値を求めることはできるが、各輪毎に個別に摩擦円半径を推定することができないという問題がある。
【0005】
本発明は、従来の摩擦円半径の推定方法に於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主要な課題は、各輪毎に路面と車輪との間に作用する水平方向の力を推定することにより、各輪毎に個別に摩擦円半径を正確に推定することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の如き主要な課題は、本発明によれば、請求項1の構成、即ち車輪の摩擦円半径を推定する方法にして、各輪の横力を推定する工程と、各輪の前後力を推定する工程と、各輪毎に前記横力及び前記前後力の二乗和平方根を演算する工程と、各輪毎に車輪スリップを検出する工程と、各輪毎に車輪スリップが検出されたときの前記二乗和平方根を当該車輪の摩擦円半径と推定する工程とを有し、前記各輪の横力を推定する工程に於いては車輌のヨーレート及び横加速度に基づき左右前輪の横力の合計及び左右後輪の横力の合計が演算され、車輌の前後加速度及び横加速度に基づき各輪の垂直荷重が演算され、各輪の横力がその車輪の垂直荷重に比例する値として前記左右前輪の横力の合計及び前記左右後輪の横力の合計に基づいて演算されることを特徴とする方法によって達成される。
【0007】
上記請求項1の構成によれば、各輪毎に横力及び前後力の二乗和平方根が演算され、各輪毎に車輪スリップが検出されたときの二乗和平方根が当該車輪の摩擦円半径と推定されるので、路面と各輪との間に作用する水平方向の力に基づき各輪毎に個別に摩擦円半径が正確に推定される。特に車輌のヨーレート及び横加速度に基づき左右前輪の横力の合計及び左右後輪の横力の合計が演算され、車輌の前後加速度及び横加速度に基づき各輪の垂直荷重が演算され、各輪の横力がその車輪の垂直荷重に比例する値として左右前輪の横力の合計及び左右後輪の横力の合計に基づいて演算されるので、各輪の横力が正確に推定され、これにより各輪の摩擦円半径が正確に推定される。
【0008】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於て、前記車輪は駆動輪であり、前記前後力を推定する工程は左右駆動輪の合計の駆動力を演算する工程と、左右駆動輪の制駆動力差及び左右駆動輪の車輪回転慣性力差に基づき左右駆動輪の駆動力差を演算する工程と、前記合計の駆動力及び前記駆動力差に基づき各駆動輪の前後力を演算する工程とを含むよう構成される(請求項2の構成)。
【0009】
この請求項2の構成によれば、左右駆動輪の合計の駆動力が演算され、左右駆動輪の制駆動力差及び左右駆動輪の車輪回転慣性力差に基づき左右駆動輪の駆動力差が演算され、合計の駆動力及び駆動力差に基づき各駆動輪の前後力が演算されるので、各駆動輪の前後力が正確に推定される。
【0010】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項2の構成に於て、前記左右駆動輪は後輪駆動車の左右後輪又は前輪駆動車の左右前輪であり、前記左右駆動輪の合計の駆動力は車輌の前後加速度と車輌の重量との積として演算されるよう構成される(請求項3の構成)。
【0011】
一般に、車輌が後輪駆動車又は前輪駆動車である場合には、車輌の前後加速度は左右駆動輪の合計の駆動力に等しい。上記請求項3の構成によれば、車輌の前後加速度と車輌の重量との積が左右駆動輪の合計の駆動力として演算されるので、左右駆動輪の合計の駆動力が確実に推定される。
【0012】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項2の構成に於て、前記左右駆動輪は後輪駆動車の左右後輪又は前輪駆動車の左右前輪であり、前記左右駆動輪の合計の駆動力はトルクコンバータの出力トルクに基づき演算されるよう構成される(請求項4の構成)。
【0013】
左右駆動輪はトルクコンバータの出力トルクにより駆動されるので、左右駆動輪の合計の駆動力はトルクコンバータの出力トルクに対応している。上記請求項4の構成によれば、トルクコンバータの出力トルクに基づき左右駆動輪の合計の駆動力が演算されるので、左右駆動輪の合計の駆動力が確実に推定される。
【0015】
【課題解決手段の好ましい態様】
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1の構成に於いて、一方の駆動輪の前後力は合計の駆動力より駆動力差が減算された値の二分の一として演算され、他方の駆動輪の前後力は一方の駆動輪の前後力と駆動力差との和として演算されるよう構成される(好ましい態様)。
【0016】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項3又は4の構成に於いて、左右駆動輪の合計の駆動力は車輌の前後加速度と車輌の重量との積として演算される駆動力及びトルクコンバータの出力トルクに基づき演算される駆動力の平均値として演算されるよう構成される(好ましい態様)。
【0017】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様の構成に於いて、変速中及び変速後の所定の時間はトルクコンバータの出力トルクに基づき演算される駆動力は0に設定されるよう構成される(好ましい態様)。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0019】
図1は自動変速機が搭載され本発明に従って左右後輪の摩擦円半径が推定される後輪駆動車を示す概略構成図(A)及び制御系のブロック線図(B)である。
【0020】
図1に於いて、10はエンジンを示しており、エンジン10の駆動力はトルクコンバータ12及びトランスミッション14を含む自動変速機16を介してプロペラシャフト18へ伝達される。プロペラシャフト18の駆動力はディファレンシャル20により左後輪車軸22L 及び右後輪車軸22R へ伝達され、これにより駆動輪である左右の後輪24RL及び24RRが回転駆動される。
【0021】
一方左右の前輪24FL及び24FRは従動輪であると共に操舵輪であり、図1には示されていないが、運転者によるステアリングホイールの転舵に応答して駆動されるラック・アンド・ピニオン式のパワーステアリング装置によりタイロッドを介して操舵される。
【0022】
左右の前輪24FL、24FR及び左右の後輪24RL、24RRの制動力は制動装置26の油圧回路28により対応するホイールシリンダ30FL、30FR、30RL、30RRの制動圧が制御されることによって制御される。図には示されていないが、油圧回路28はリザーバ、オイルポンプ、種々の弁装置等を含み、各ホイールシリンダの制動圧は通常時には運転者によるブレーキペダル32の踏み込み操作に応じて駆動されるマスタシリンダ34により制御され、また必要に応じて後に詳細に説明する如く車輌運動制御コンピュータ36により制御される。
【0023】
車輌運動制御コンピュータ36には前後加速度センサ38より車輌の前後加速度Gx を示す信号、横加速度センサ40より車輌の横加速度Gy を示す信号、車速センサ42より車速Vを示す信号、ヨーレートセンサ44より車輌のヨーレートγを示す信号、車輪速度センサ46RL、46RRより左右後輪の車輪速度Vwrl、Vwrr を示す信号、圧力センサ48RL、48RRより左右後輪のホイールシリンダ30RL、30RR内の圧力Prl及びPrrを示す信号、シフトポジションセンサ50より自動変速機16のシフトポジションSPを示す信号、回転数センサ52よりエンジン回転数Neを示す信号、回転数センサ54よりトルクコンバータ12の出力回転数Nout を示す信号が入力される。
【0024】
尚車輌運動制御コンピュータ36は実際にはCPU、ROM、RAM、入出力ポート装置を含む周知の構成のマイクロコンピュータであってよい。また前後加速度センサ38は車輌の加速方向を正として前後加速度を検出し、横加速度センサ40及びヨーレートセンサ44は車輌の左旋回方向を正として横加速度等を検出するようになっている。更に左右後輪のホイールシリンダ30RL、30RR内の圧力Prl及びPrrは例えばマスタシリンダ34内の圧力等に基づき推定されてもよい。
【0025】
フローチャートとしては図示されていないが、車輌運動制御コンピュータ36は車速Vに基づき駆動輪である左右の後輪24RL及び24RRの目標車輪速度Vwtを演算し、実車輪速度と目標車輪速度との偏差として左右後輪の駆動スリップ量SLrl及びSLrrを演算し、駆動スリップ量SLrl及びSLrrに比例する値として左右後輪の目標制動力Ftrl 及びFtrr を演算し、左右後輪の制動力がそれぞれ対応する目標制動力になるようホイールシリンダ30RL、30RR内の圧力を制御する。
【0026】
また車輌運動制御コンピュータ36は前後加速度Gx に基づく左右後輪の前後力Fxgrl、Fxgrrを演算し、トルクコンバータの出力トルクに基づく左右後輪の前後力Fxtrl、Fxtrrを演算し、それらの平均値として左右後輪の前後力Fxrl 、Fxrr を演算する。またコンピュータ36は四輪の接地荷重Fzjを演算し、接地荷重に基づき四輪のコーナリングフォースFyjを演算し、左右後輪の前後力Fxrl 、Fxrr 及びコーナリングフォースFyrl 、Fyrr の二乗和平方根として左右後輪の摩擦円半径Rmrl 、Rmrr を演算する。
【0027】
この場合駆動スリップ量SLrl及びSLrrに比例する値として演算される左右後輪の目標制動力Ftrl 及びFtrr がそれぞれ摩擦円半径Rmrl 、Rmrr に照らし過剰であるときには、車輌運動制御コンピュータ36は目標制動力を摩擦円半径にてガード処理し、左右後輪の制動力が過剰になることを防止して左右後輪のトラクションを最適に制御する。
【0028】
次に図2に示されたフローチャートを参照して図示の実施形態に於ける車輪の摩擦円半径演算のメインルーチンについて説明する。尚図2に示されたフローチャートによる演算は図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
【0029】
まずステップ10に於いては、車輌の前後加速度Gx を示す信号等の読み込みが行われ、ステップ20に於いては、図3に示されたサブルーチンに従って前後加速度Gx に基づく左右後輪の前後力Fxgrl、Fxgrrが演算され、ステップ30に於いては、図4に示されたサブルーチンに従ってトルクコンバータ12の出力トルクに基づく左右後輪の前後力Fxtrl、Fxtrrが演算される。
【0030】
ステップ40に於いては、図5に示されたサブルーチンに従って四輪の接地荷重Fzj(j=fl、fr、rl、rr)が演算され、ステップ50に於いては、図6に示されたサブルーチンに従って四輪のコーナリングフォースFyj(j=fl、fr、rl、rr)が演算される。
【0031】
ステップ60に於いては、シフトポジションセンサ50よりのSP信号に基づき自動変速機16が変速中であるか否かの判別、即ち自動変速機の変速段の切り換え中又は変速段の切り換え完了後の所定の時間内であり、左右後輪の駆動力が安定しない期間中であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ70に於いてステップ90の演算に於ける重み係数Kx が1に設定され、肯定判別が行われたときにはステップ80に於いて重み係数Kx が0に設定される。
【0032】
ステップ90に於いては、前後加速度Gx に基づく前後力Fxgrl、Fxgrrとトルクコンバータの出力トルクに基づく前後力Fxtrl、Fxtrrとの重み平均値として下記の数1に従って左右後輪の前後力Fxrl 、Fxrr が演算され、ステップ100に於いては、図7に示されたサブルーチンに従って左右後輪の摩擦円半径Rmrl 、Rmrr が演算される。
【数1】
Fxrl =(Fxgrl+Kx ・Fxtrl)/2
Fxrr =(Fxgrr+Kx ・Fxtrr)/2
【0033】
図3に示された左右後輪の前後力Fxgrl、Fxgrr演算ルーチンのステップ21に於いては、Mを車輌の重量として下記の数2に従って左右後輪の合計の前後力Fxallが演算され、ステップ22に於いては、Cpfをブレーキ油圧より前後力への変換係数として下記の数3に従って左右後輪の制動力についての補正値Fxbrl、Fxbrrが演算される。
【0034】
【数2】
Fxall=M・Gx
【数3】
Fxbrl=Cpf ・Prl
Fxbrr=Cpf ・Prr
【0035】
ステップ23に於いては、左右後輪の車輪速度Vwrl 、Vwrr の時間微分値として車輪加速度Vwdrl、Vwdrrが演算されると共に、Cwfを車輪加速度より前後力への変換係数として下記の数4に従って左右後輪の回転慣性力についての補正値Fxirl、Fxirrが演算される。
【数4】
Fxirl=Cwf・Vwdrl
Fxirr=Cwf・Vwdrr
【0036】
ステップ24に於いては、下記の数5に従って左右後輪の前後力差ΔFxrが演算され、ステップ25に於いては下記の数6に従って前後加速度Gx に基づく左右後輪の前後力Fxgrl、Fxgrrが演算される。
【0037】
【数5】
ΔFxr=(Fxbrl+Fxirl)−(Fxbrr+Fxirr)
【数6】
Fxgrl=(Fxall−ΔFxr)/2
Fxgrr=(Fxall+ΔFxr)/2
【0038】
図4に示された左右後輪の前後力Fxtrl、Fxtrr演算ルーチンのステップ31に於いては、エンジン10の回転数Ne 及びトルクコンバータ12の出力回転数Nout に基づき下記の数7に従ってトルクコンバータのスリップ比Rslが演算される。
【数7】
Rsl=Ne /Nout (Ne ≧Nout の場合)
Rsl=Nout /Ne (Ne <Nout の場合)
【0039】
ステップ32に於いては、スリップ比Rslよりトルクコンバータ12の容量係数Cp を求めるための図には示されていないマップよりトルクコンバータの容量係数Cp が演算され、ステップ33に於いては、下記の数8に従ってトルクコンバータの入力トルクTinが演算される。
【数8】
Tin=Cp ・Ne 2
【0040】
ステップ34に於いては、スリップ比Rslよりトルクコンバータ12のトルク比Rtqを求めるための図には示されていないマップよりトルクコンバータのトルク比Rtqが演算され、ステップ35に於いては下記の数9に従ってトルクコンバータの出力トルクTout が演算される。
【数9】
Tout =Tin・Rtq
【0041】
ステップ36に於いては、図3に示されたフローチャートのステップ22の場合と同様、上記数3に従って左右後輪の制動力についての補正値Fxbrl、Fxbrrが演算され、ステップ37に於いては、図3に示されたフローチャートのステップ23の場合と同様、上記数4に従って左右後輪の回転慣性力についての補正値Fxirl、Fxirrが演算され、ステップ38に於いては下記の数10に従ってトルクコンバータの出力トルクTout に基づく左右後輪の前後力Fxtrl、Fxtrrが演算される。
【数10】
Fxtrl=Tout /2−Fxbrl+Fxirl
Fxtrr=Tout /2−Fxbrr+Fxirr
【0042】
図5に示された四輪の接地荷重Fzj演算ルーチンのステップ41に於いては、Hを車輌の重心高さとし、Lを車輌のホイールベースとし、Tr を車輌のトレッドとして下記の数11に従って車輌の前後加速度Gx 及び横加速度Gy に起因する前後方向及び横方向の荷重移動量ΔFx 、ΔFy が演算される。
【数11】
ΔFx =M・H・Gx /L
ΔFy =M・H・Gy /Tr
【0043】
ステップ42に於いては、Mf 及びMr をそれぞれ左右前輪及び左右後輪が担持する車輌の重量とし、gを重力加速度とし、Kf を前輪のロール剛性配分比(1未満の正の定数)として下記の数12に従って旋回内側前輪、旋回外側前輪、旋回内側後輪、旋回外側後輪の接地荷重Fzfi 、Fzfo 、Fzri 、Fzro が演算される。
【数12】
Fzfi =Mf ・g−ΔFx /2−ΔFy ・Kf
Fzfo =Mf ・g−ΔFx /2+ΔFy ・Kf
Fzri =Mr ・g+ΔFx /2−ΔFy ・(1−Kf )
Fzro =Mr ・g+ΔFx /2+ΔFy ・(1−Kf )
【0044】
ステップ43に於いては、車輌の横加速度Gy が正であるか否かの判別、即ち車輌が左旋回中であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ44に於いて下記の数13に従って四輪の接地荷重Fzj(j=fl、fr、rl、rr)が設定され、否定判別が行われたときにはステップ45に於いて下記の数14に従って四輪の接地荷重Fzjが設定される。尚車輌の旋回方向の判定は操舵角又はヨーレートγの符号判別により行われてもよく、それらの組合せにより行われてもよい。
【0045】
【数13】
Fzfl =Fzfi
Fzfr =Fzfo
Fzrl =Fzri
Fzrr =Fzro
【数14】
Fzfl =Fzfo
Fzfr =Fzfi
Fzrl =Fzro
Fzrr =Fzri
【0046】
図6に示された四輪のコーナリングフォースFyj演算ルーチンのステップ51に於いては、車輌の横加速度Gy と車速V及びヨーレートγの積V・γとの偏差Gy −V・γとして横加速度の偏差、即ち車輌の横滑り加速度Vydが演算され、横滑り加速度Vydが積分されることにより車体の横滑り速度Vy が演算され、更に車体の前後速度Vx (=車速V)に対する車体の横滑り速度Vy の比Vy /Vx として車体のスリップ角βが演算される。
【0047】
ステップ52に於いては、車体のスリップ角βの微分値βd 及び車輌のヨーレートγの微分値γd が演算されると共に、Lf を車輌の重心と前輪車軸との間の車輌前後方向の距離とし、Lr を車輌の重心と後輪車軸との間の車輌前後方向の距離とし、Iz を車輌のヨー慣性モーメントとして下記の数15に従って左右前輪及び左右後輪のそれぞれについて合計のコーナリングフォースFyf、Fyrが演算される。
【数15】
Fyf={M・V・Lr ・(βd +γ)+Iz ・γd }/L
Fyr={M・V・Lf ・(βd +γ)−Iz ・γd }/L
【0048】
ステップ53於いては、下記の数16に従って各輪のコーナリングフォースFyj(j=fl、fr、rl、rr)が演算される。
【数16】
Fyfl =Fyf・Fzfl /(Fzfl +Fzfr )
Fyfr =Fyf・Fzfr /(Fzfl +Fzfr )
Fyrl =Fyr・Fzrl /(Fzrl +Fzrr )
Fyrr =Fyr・Fzrr /(Fzrl +Fzrr )
【0049】
次に図7に示されたフローチャートを参照して左右後輪の摩擦円半径Rmrl 、Rmrr の演算について説明する。尚図7に示されたフローチャートによる演算は左後輪(j=rl)及び右後輪(j=rr)について個別に実行される。
【0050】
図7のサブルーチンのステップ101に於いては、平均前後力Fxj及びコーナリングフォースFyjに基づき下記の数17に従ってタイヤの発生力Fxyj が演算され、ステップ102に於いては車速Vに基づき図8に示されたグラフに対応するマップより目標車輪速度Vwtが演算される。
【数17】
Fxyj =(Fxj2 +Fyj21/2
【0051】
ステップ103に於いては、Vw1を正の定数として、実車輪速度Vwjが基準値Vwt+Vw1を越えているか否かの判別、即ち当該後輪が加速スリップの状態にあるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ104に於いてカウンタのカウント値Cs が1インクリメントされ、否定判別が行われたときにはステップ105に於いてカウンタのカウント値Cs が0にリセットされる。
【0052】
ステップ106に於いては、カウンタのカウント値Cs が基準値Cse(正の一定の整数)であるか否かの判別、即ち加速スリップが所定の時間継続したか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ108へ進み、否定判別が行われたときにはステップ107へ進む。
【0053】
ステップ107に於いては、Vw2をVw1よりも大きい正の定数として、実車輪速度Vwjが基準値Vwt+Vw2を越えているか否かの判別、即ち当該後輪が過大な加速スリップの状態にあるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときには摩擦円半径が更新されることなくステップ10へ戻り、肯定判別が行われたときにはステップ108に於いてカウンタのカウント値Cs が0にリセットされ、ステップ109に於いて摩擦円半径Rmjがステップ101に於いて演算されたタイヤ発生力Fxyj に更新された後ステップ10へ戻る。
【0054】
かくして図示の実施形態によれば、ステップ20に於いて前後加速度Gx に基づく左右後輪の前後力Fxgrl、Fxgrrが演算され、ステップ30に於いてトルクコンバータの出力トルクに基づく左右後輪の前後力Fxtrl、Fxtrrが演算され、ステップ90に於いてこれらの重み平均値として左右後輪の前後力Fxrl 、Fxrr が演算される。
【0055】
またステップ40に於いて四輪の接地荷重Fzjが演算され、ステップ50に於いて各輪の接地荷重に基づき四輪のコーナリングフォースFyjが演算され、ステップ100に於いて左右後輪の前後力Fxrl 、Fxrr 及びコーナリングフォースFyrl 、Fyrr の二乗和平方根として左右後輪の摩擦円半径Rmrl 、Rmrr が演算される。
【0056】
従って図示の実施形態によれば、車輌全体としての摩擦円半径ではなく、左右後輪の摩擦円半径Rmrl 及びRmrr を個別に正確に推定することができ、これにより摩擦円半径との関連で左右後輪の駆動力を最適に制御して左右後輪のトラクションを最適に制御することができる。
【0057】
特に図示の実施形態によれば、左右後輪の前後力Fxrl 及びFxrr は前後加速度Gx に基づく前後力Fxgrl、Fxgrrとトルクコンバータの出力トルクに基づく前後力Fxtrl、Fxtrrとの重み平均値として演算され、ステップ60に於いて自動変速機の変速中である旨の判別が行われるとステップ80に於いてトルクコンバータの出力トルクに基づく前後力に対する重み係数Kx が0に設定されるので、自動変速機の変速に起因して左右後輪の駆動力が安定していない状況に於いてこれらに基づき左右後輪の前後力が演算されることに起因して左右後輪の摩擦円半径が不正確に演算されることを確実に防止することができる。
【0058】
尚変速機がマニュアル式の変速機である車輌の場合には、ステップ30、ステップ60〜90が省略され、ステップ100に於いて左右後輪の摩擦円半径Rmrl 、Rmrr は前後加速度Gx に基づく前後力Fxgrl、FxgrrとコーナリングフォースFyrl 、Fyrr との二乗和平方根として演算される。
【0059】
以上に於ては本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【0060】
例えば図示の実施形態に於いては、車輌は自動変速機が搭載された後輪駆動車であり、左右後輪の摩擦円半径が推定されるようになっているが、本発明は前輪駆動車の左右前輪の摩擦円半径の推定に適用されてもよい。
【0061】
また図示の実施形態に於いては、駆動輪である左右後輪の摩擦円半径が推定されるようになっているが、従動輪の操舵角が考慮された転がり抵抗やホイールシリンダ内の圧力等に基づき従動輪の前後力が演算され、これらの前後力及びステップ50に於いて演算される従動輪のコーナリングフォースの二乗和平方根として従動輪の摩擦円半径が推定されるよう構成されてもよい。
【0062】
【発明の効果】
以上の説明より明らかである如く、本発明の請求項1の構成によれば、各輪毎に横力及び前後力の二乗和平方根が演算され、各輪毎に車輪スリップが検出されたときの二乗和平方根が当該車輪の摩擦円半径と推定されるので、路面と各輪との間に作用する水平方向の力に基づき各輪毎に個別に摩擦円半径を正確に推定することができ、これにより駆動輪のトラクション制御や車輪の制駆動力を制御することによる車輌の挙動制御を過不足なく適切に行うことができる。特に車輌のヨーレート及び横加速度に基づき左右前輪の横力の合計及び左右後輪の横力の合計が演算され、車輌の前後加速度及び横加速度に基づき各輪の垂直荷重が演算され、各輪の横力がその車輪の垂直荷重に比例する値として左右前輪の横力の合計及び左右後輪の横力の合計に基づいて演算されるので、各輪の横力を正確に推定することができ、これにより各輪の摩擦円半径を正確に推定することができる。
【0063】
また本発明の請求項2の構成によれば、左右駆動輪の合計の駆動力が演算され、左右駆動輪の制駆動力差及び左右駆動輪の車輪回転慣性力差に基づき左右駆動輪の駆動力差が演算され、合計の駆動力及び駆動力差に基づき各駆動輪の前後力が演算されるので、各駆動輪の摩擦円半径の推定に必要な各駆動輪の前後力を正確に推定することができる。
【0064】
更に本発明の請求項3又は4の構成によれば、各駆動輪の前後力の推定に必要な左右駆動輪の合計の駆動力を確実に推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動変速機が搭載され本発明に従って左右後輪の摩擦円半径が推定される後輪駆動車を示す概略構成図(A)及び制御系のブロック線図(B)である。
【図2】実施形態に於ける左右後輪の摩擦円半径推定のメインルーチンを示すフローチャートである。
【図3】実施形態に於ける前後加速度Gx に基づく左右後輪の前後力Fxgrl、Fxgrr演算のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図4】実施形態に於けるトルクコンバータの出力トルク基づく左右後輪の前後力Fxtrl、Fxtrr演算のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図5】実施形態に於ける四輪の接地荷重Fzj演算のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図6】実施形態に於ける四輪のコーナリングフォースFyj演算のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図7】実施形態に於ける左右後輪の摩擦円半径Rmrl 、Rmrr 演算のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図8】車速Vと目標車輪速度Vwtとの間の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10…エンジン
12…トルクコンバータ
16…自動変速機
20…ディファレンシャル
26…制動装置
28…油圧回路
30FL〜30RR…ホイールシリンダ
36…車輌運動制御コンピュータ
38…前後加速度センサ
40…横加速度センサ
42…車速センサ
44…ヨーレートセンサ
46RL、46RR…車輪速度センサ

Claims (4)

  1. 車輪の摩擦円半径を推定する方法にして、各輪の横力を推定する工程と、各輪の前後力を推定する工程と、各輪毎に前記横力及び前記前後力の二乗和平方根を演算する工程と、各輪毎に車輪スリップを検出する工程と、各輪毎に車輪スリップが検出されたときの前記二乗和平方根を当該車輪の摩擦円半径と推定する工程とを有し、前記各輪の横力を推定する工程に於いては車輌のヨーレート及び横加速度に基づき左右前輪の横力の合計及び左右後輪の横力の合計が演算され、車輌の前後加速度及び横加速度に基づき各輪の垂直荷重が演算され、各輪の横力がその車輪の垂直荷重に比例する値として前記左右前輪の横力の合計及び前記左右後輪の横力の合計に基づいて演算されることを特徴とする方法。
  2. 前記車輪は駆動輪であり、前記前後力を推定する工程は左右駆動輪の合計の駆動力を演算する工程と、左右駆動輪の制駆動力差及び左右駆動輪の車輪回転慣性力差に基づき左右駆動輪の駆動力差を演算する工程と、前記合計の駆動力及び前記駆動力差に基づき各駆動輪の前後力を演算する工程とを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記左右駆動輪は後輪駆動車の左右後輪又は前輪駆動車の左右前輪であり、前記左右駆動輪の合計の駆動力は車輌の前後加速度と車輌の重量との積として演算されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  4. 前記左右駆動輪は後輪駆動車の左右後輪又は前輪駆動車の左右前輪であり、前記左右駆動輪の合計の駆動力はトルクコンバータの出力トルクに基づき演算されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
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