JP3948877B2 - 無線電話装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線電話装置における間欠受信動作の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
PDC(Personal Digital Cellular)等の無線電話装置(以下、移動局と呼ぶ)は、待ち受け中又は通信中の基地局(以下、自局と呼ぶ)の無線ゾーンから他の基地局(以下、周辺局と呼ぶ)の無線ゾーンへのゾーン移行を行うか否かを判定するために、自局からの電波の受信レベル(RSSI、受信電界強度)の測定と並行して周辺局からの電波の受信レベルの測定を行っている。
【0003】
図11は、移動局が自局及び周辺局の受信レベルの測定動作を説明するための図である。
【0004】
同図は、移動局(同図においてPS)、移動局が位置登録している基地局である自局1(同図においてCS1)、自局1以外の基地局である周辺局2〜5(同図においてCS2〜5)からなる。同図において移動局は、自局1との通信中及び待ち受け中において、所定周期毎に自局1の受信レベルを測定し、これと並行して所定期間毎にTDMA(Time Division Multiple Access)の空きチャネルを使用して周辺局2〜5について順番に1局ずつ受信レベルを測定する。より具体的には、1周期目に自局1と周辺局2、2周期目に自局1と周辺局3、3周期目に自局1と周辺局3というように測定動作を繰り返す。移動局は、各基地局の受信レベルについて数周期分を測定し、その算術平均を測定値として、自局1の測定値と周辺局2〜5のうちの最大測定値との比較に基いてゾーン移行を判定する。一般的には、自局の測定値と周辺局のうちの最大測定値とを比較して最大測定値の方が大きく、その差が所定レベル以上のときゾーン移行判定が行われる。
【0005】
受信レベル測定動作において移動局は、受信レベル測定時のみ電源をオンにし、それ以外の時間帯には電源をオフにするという間欠受信を行うことにより消費電力を削減している。PDCにおいて間欠受信の周期は、一般的には720msである。つまり移動局は、720ms毎に電源をオンにして受信レベルを測定し、それ以外の時間帯には電源をオフ。
【0006】
この間欠受信に加えて、DSPC社(DSPC technology limited)が開発した、移動局用のDSP(Digital Signal Processor)に搭載されているMSI(Mobile Station ID)節電機構とファストスキャン機構とを利用すれば、周辺局の受信レベルの測定にかかる消費電力をさらに削減することができる。
【0007】
MSI節電機構とは、各周期において自局の受信レベルを測定したとき、その受信レベルと予め設定されたしきい値とを比較し、自局の受信レベルが予め設定されたしきい値を超えていれば、当該周期において周辺局の受信レベルの測定をスキップすることで周辺局の測定にかかる消費電力を削減する技術である。
【0008】
またファストスキャンとは、短期間に複数の基地局を測定する技術である。この技術を用いれば1つの基地局の受信レベルの測定にかかる期間内において複数の基地局の受信レベルを測定することができる。複数周期に亙って行っていた複数の周辺局受信レベルの測定が、1周期ですむので残りの周期の測定を省略することができ、これによって消費電力を削減する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようにMSI節電機構及びファストスキャン機構は、受信レベル測定動作における消費電力を削減する技術である。ところがファストスキャン機構は測定値の精度が低く、またMSI節電機構は受信レベル測定のスキップが長期間に及ぶとその間の移動局の移動により受信レベルが変化するので測定値の信頼性が低くなるという欠点があった。
【0010】
これに対しゾーン移行においては、最適な周辺局の無線ゾーンへ移行するために周辺局の正確な受信レベルが要求される。
【0011】
つまり消費電力の削減を追及すれば受信レベルの正確さは低くなり、受信レベルの正確さを追及すれば消費電力の削減率が低くなる。
【0012】
よって本発明は、MSI節電機構とファストスキャン機構とを利用した受信レベル測定方法に一層の工夫を加え、消費電力を削減することとゾーン移行判定において正確な測定値を得ることとのトレードオフを考慮した受信レベル測定処理を行う携帯電話装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するため、本発明の無線電話装置は、ゾーン移行判定のために現在通信中の無線基地局と他の無線基地局とからの電波の受信レベルを測定する無線電話装置であって、現在通信中又は待ち受け中の無線基地局からの電波の受信レベルを一定周期で繰返し測定する自局測定手段と、他の無線基地局からの電波の受信レベルを測定する周辺局測定手段と、前記自局測定手段により測定された受信レベルそのものと、前記自局の受信レベルと前記周辺局測定手段により測定された受信レベルとの差とを比較し、比較結果に応じて、前記周辺局測定手段による前記測定の頻度を変更する変更手段とを備える。
【0014】
また前記変更手段は、現在通信中の無線基地局に係る受信レベルから他の無線基地局に係る受信レベルを減算した値が正の値である場合に、当該受信レベルの差が小さい程頻繁になるよう前記頻度の変更を行うよう構成される。
【0015】
この構成によれば無線電話装置は、前記受信レベルの差が小さい場合、すなわちゾーン移行する確率が高い場合に周辺局測定の頻度を高くするので、最適な周辺局へとゾーン移行するために周辺局の精度の高い受信レベルが得られる。また前記受信レベルの差が大きい程、すなわちソーン移行する確率が低いほど、前記確率が高い場合と比較して測定される受信レベルの精度の高さは要求されないので、周辺局測定の頻度を低くして測定にかかる消費電力を低減する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態における移動局について図面を用いて説明する。
【0017】
図1は、本実施形態における移動局100の構成図である。
【0018】
同図において移動局100は、PDCの移動局であり、中間周波信号から高周波信号または中間周波信号から高周波信号への変換を行う無線部12、無線部12とTDMA/TDD部14との間でQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)変復調を行うモデム部13、時分割多元接続方式による制御を行うTDMA(Time Division Multiple Accsess)/TDD(Time Division Duplex)部14、マイク16及びスピーカ17を介して入出力する音声の音声符号化復号化処理や増幅等を行う音声処理部15、制御部18から構成される。
【0019】
制御部18は、CPU19、ROM20、RAM21から構成され、CPU19がROM20に記憶される各種プログラムを実行することによって移動局における一般的な通信制御を行う他、図示しないDSPを備え、ゾーン移行判定を行うために自局と周辺局の受信レベル測定処理を行う。ここにおいて自局は従来の技術と同様に現在通信中又は待ち受け中の基地局であり、周辺局は自局の無線ゾーン付近に存在する無線ゾーンの基地局である。周辺局に関する情報は自局より送信される制御情報に含まれている。
【0020】
制御部18は、通信中又は待ち受け中において720msの1スーパーフレーム毎に自局の受信レベルを測定し、これと並行して周辺局の受信レベルも測定する。ただし制御部18は、周辺局受信レベルの測定については、自局受信レベルの大小及び自局と周辺局との受信レベルの差に応じて、測定にかかる電力の異なる測定処理を行う。
【0021】
以下、制御部18による受信レベル測定処理について詳細に説明する。
【0022】
制御部18は、自局と周辺局の受信レベルの差を比較し、その差に応じて測定電力の異なる複数の動作レベルのうちのいずれかに位置付けることにより、位置付けられた動作レベルに応じた受信レベル測定処理を行う。各動作レベルにおける受信レベル測定処理は、それぞれ周辺局の測定方法及び測定頻度が異なることにより測定にかかる消費電力が異なる。
【0023】
図2は、動作レベルの分類を示す。
【0024】
同図に示すように動作レベルは、自局の受信レベルそのものの大小と、自局の受信レベルと周辺局の受信レベルの最大値との差(以下、局間電界差と呼ぶ)とに応じて5段階に分類される。すなわち自局受信レベルが30dBμV以上の場合において、局間電界差が12dBμV以上のときレベル0、8dBμV以上12dBμV未満のときレベル1、0dBμV以上8dBμV未満のときレベル2、0dBμV未満のときレベル3、−4dBμV未満のときレベル4とする。また自局受信レベルが30dBμB未満の場合において、局間電界差が20dBμV以上のときレベル0、12dBμV以上20dBμV未満のときレベル1、0dBμV以上12dBμV未満のときレベル2、0dBμV未満のときレベル3、−4dBμV未満のときレベル4とする。レベル0、レベル1、レベル2の受信レベル測定処理は、同順に周辺局受信レベル測定にかかる電力が大きくなる。言い換えれば、レベル0、レベル1、レベル2の受信レベル測定処理は、同順に受信レベルの精度が高くなる。つまりレベル0〜2において制御部18は、MSI節電技術、ファストスキャン技術及びタイマ等を組み合わせることにより、測定にかかる電力、測定の精度を変えている。レベル3及びレベル4においては周辺局受信レベルが自局受信レベルより高いことからゾーン移行判定が行われる確率が高いため、MSI節電やファストスキャンを行わないことにより受信レベルの精度を高くしている。
【0025】
制御部18は、各動作レベルにおいて測定される自局及び周辺局の受信レベルから適宜に動作レベルを遷移するか否かを判定する。
【0026】
図3は、動作レベルの遷移図を示す。
【0027】
同図に示すように制御部18は、レベル0、レベル1、レベル2及びレベル3の間を任意に遷移する。レベル3の中には、さらにレベル3詳細測定モードが設けられており、制御部18は、必ずレベル3とレベル3詳細モードと通過してレベル4に遷移する。
【0028】
図4は、制御部18における動作レベル決定処理のフローチャートを示す。
【0029】
制御部18は、待受中に周辺局の受信レベルを監視するための間欠受信動作にはいったとき及び動作レベル0〜3における測定処理実行中に同図に示す動作レベル決定処理を実行する。
【0030】
制御部18は、初期設定として自局の受信レベルSと周辺局の最大受信レベルNとゾーン移行レベル差Zを設定する(ステップ201)。
【0031】
ここで自局受信レベルSは、ステップ201の時点までに測定された自局の受信レベルである。
【0032】
周辺局の最大受信レベルNは、ステップ201の時点までに測定された周辺局の受信レベルのうちの最大値である。
【0033】
ゾーン移行レベル差Zは、自局から送信されてる報知情報に含まれる情報要素である待受許可レベルと待受劣化レベルとの差以上とする。本実施形態においてはゾーン移行レベル差Zは4dBμVとしている。待受許可レベルは、各無線ゾーンにおいて、移動局が待受可能な圏内の受信レベルを表す情報要素であり、待受許可レベルは、各無線ゾーンにおいて待ち受け中の移動局が待ち受け状態から劣化した(圏外)と判断する受信レベルを表す情報要素である(参考文献、デジタル方式自動車電話システム標準規格、財団法人電波システム開発センター)。
【0034】
次に移動局18は、自局受信レベルS、最大周辺局受信レベルN及びゾーン移行レベル差Zから局間受信レベル差の指標Aを算出し、レベル0判定用のしきい値X0との大小を比較する(ステップ202)。
【0035】
ここで指標Aは(式1)で表される。
(式1)
A=(S−N)/Z
すなわち指標Aは、自局受信レベルSから最大周辺局受信レベルNを減算した値をゾーン移行レベル差で割って得られる。ただし本実施形態において指標Aは、(式1)の右辺の演算結果の小数部分を切り捨てた整数部分とする。
【0036】
しきい値X0は、自局受信レベルSが30dBμV以上のとき3、30dBμV未満のとき5とする。
【0037】
大小比較の結果、指標Aがしきい値X0以上であれば、動作レベルをレベル0と決定する(ステップ203)。
【0038】
ステップ202において指標Aがしきい値X0以上でない場合、制御部18は、指標Aとレベル1判定用のしきい値X1との大小を比較する(ステップ)。ここにおいてしきい値X1は、自局受信レベルSが30dBμV以上のとき2、30dBμV未満のとき3とする。
【0039】
比較の結果、指標Aがしきい値X1以上であれば、動作レベルをレベル1と決定する(ステップ205)。
【0040】
ステップ204において指標Aがしきい値X1以上でない場合、制御部18は、自局受信レベルSと最大周辺局受信レベルNとの大小を比較する(ステップ206)。
【0041】
比較の結果、自局受信レベルSが最大周辺局受信レベルNより大きい場合、制御部18は、動作レベルをレベル2と決定する(ステップ207)。
【0042】
ステップ206において自局受信レベルSが最大周辺局受信レベルN以下の場合、制御部18は、動作レベルをレベル3と決定する。
【0043】
以上のようにして制御部18は、動作レベルを決定し、各動作レベルにおける受信レベル測定処理を行う。制御部18による各動作レベルにおける受信レベル測定処理を図5〜図10に示す。なおレベル3からレベル詳細測定モードへの遷移、レベル3詳細測定モードからレベル4への遷移及びレベル4からレベル3への遷移については、制御部18はこの動作レベル決定処理において決定するのではなく、後に説明する別の処理において決定することとしている。
【0044】
図5は、制御部18によるレベル0の受信レベル測定処理のフローチャートを示す。
【0045】
レベル0においては、周辺局受信レベルは自局受信レベルよりかなり低い状態である。つまりその時点において移動局100がゾーン移行する確率は極めて低い状態であるため、周辺局受信レベルの精度の高さが要求されない。よって制御部18はレベル0においてはMSI節電とファストスキャンとを組み合わせ、動作レベルの中で最も省電力効果が高い受信レベル測定処理を行う。
【0046】
まず制御部18は、レベル0における初期設定として自局しきい値TH0を算出し、それをMSI節電用のしきい値とする(ステップ301)。自局しきい値TH0は、(式2)又は(式3)のうち値の小さい方とする。
(式2)
TH0=S−((S−N)÷2)
(式3)
TH0=S−Z×2.25
ここにおいて自局受信レベルS、最大周辺局受信レベルN及びゾーン移行レベル差Zは、動作レベル決定処理において使用されたものと同じ値である。
【0047】
次に制御部18は、間欠受信用タイマにより1スーパーフレーム周期(720ms)が経過したとき(ステップ302)、現在の自局受信レベルSpを測定する(ステップ303)。
【0048】
制御部18は、測定した自局受信レベルSpと自局しきい値TH0とを大小比較する(ステップ304)。
【0049】
ステップ304において自局受信レベルSpが自局しきい値TH0より大きい場合、制御部18はMSI節電を行う。すなわち制御部18は、周辺局受信レベルを測定するためのファストスキャンをスキップする(ステップ307)。
【0050】
一方、ステップ304において自局受信レベルSpが自局しきい値TH0以下の場合、制御部18は、ファストスキャンにより周辺局受信レベルを測定する。ここで制御部18は、測定結果のうちの最大値を最大周辺局受信レベルNとし、またステップ303において測定した自局受信レベルSpを自局受信レベルSとする(ステップ309)。
【0051】
その後図4の動作レベル決定処理を行う(ステップ310)。この動作レベル決定処理においては、レベル0の測定処理において新たに得た自局受信レベルSと最大周辺局受信レベルNとを用いる。つまりより最新の受信レベルを用いて動作レベルの決定を行うこととなるので決定結果の信頼性が高い。
【0052】
ステップ310の動作レベル決定処理の結果、レベル0以外の動作レベルに遷移すると決定された場合は、制御部18は、図5のフローチャートを終了して遷移先の動作レベルにおける受信レベル測定処理へと処理を移行する(ステップ311)。
【0053】
一方ステップ310の動作レベル決定処理の結果、レベル0以外の動作レベルに移行しない場合には、制御部18は、ステップ301の処理に戻る。ここでステップ301においては、制御部18は、動作レベル決定処理において用いたものと同じ値を用いる。よって例えば、最初に動作レベル0の処理を行い、動作レベル0の処理中にステップ310の動作レベル決定処理を行い、その結果、再び動作レベル0の処理を行うこととなった場合、最初の動作レベル0と再び行われる動作レベル0とは、自局受信レベルS、最大周辺局受信レベルNが異なり、また自局しきい値TH0も異なっている。
【0054】
以上のようにして、制御部18は、自局受信レベルSpが自局しきい値TH0以下の場合、ファストスキャンにより周辺局受信レベルを測定して動作レベル決定処理を行う。
【0055】
一方、制御部18は、自局受信レベルSpが自局しきい値TH0より大きい間は自局受信レベルSpの測定のみ行い、ファストスキャンによる周辺局受信レベルの測定をスキップする。このステップ302〜ステップ207の処理は、周期毎に測定される自局受信レベルSpが自局しきい値TH0より大きい期間中繰り返される。ただし制御部18は、長期間にわたって連続的に繰り返しファストスキャンがスキップされ続けるのを防ぐため、ステップ305及びステップ306の処理を行っている。すなわち制御部18は、カウンタCをカウントアップすることによりファストスキャンのスキップが繰り返された回数を計上し(ステップ306)、カウンタCが42を超えたとき(ステップ305)、すなわち720ms×42回(これをタイマT0期間とする)の期間においてファストスキャンがスキップされ続けたとき、ステップ309におけるファストスキャンを行う。ここでカウンタCはリセットされる(ステップ308)。ステップ305及び306においてはカウンタを用いているが、タイマT0期間を計測するタイマを用いてもよい。
【0056】
このように制御部18は、自局受信レベルSpが自局しきい値TH0より大きく、かつ、ファストスキャンが連続してスキップされ続けている期間がタイマT0期間を超えない間、ファストスキャンのスキップを繰り返し、自局受信レベルSpが自局しきい値TH0以下であるか、又は、ファストスキャンが連続してスキップされ続けている期間がタイマT0期間を超えた場合、ファストスキャンを行って最大周辺局受信レベルN及び自局受信レベルSを更新し、更新された値を用いて動作レベル決定処理を行う。
【0057】
図6は、制御部18によるレベル1の受信レベル測定処理のフローチャートを示す。
【0058】
同図の処理は、処理手順については図5に示したレベル0の処理と同様である。ただし図5に対して自局しきい値TH0の替わりに自局しきい値TH1を用いている点、タイマT0の替わりにタイマT1(タイマT0>タイマT1)としている点が異なっている。
【0059】
自局しきい値TH1は、(式4)で表される。
(式4)
TH1=S−Z×1.75
タイマT1の期間は720ms×21とする。
【0060】
レベル1においては、最大周辺局受信レベルNは自局受信レベルSより低い状態である。つまりその時点において移動局100がゾーン移行する確率は、低い状態であるため、ゾーン移行の検出に用いられる周辺局受信レベルの精度の高さは要求されない。ただしレベル0の状態に比べるとゾーン移行する確率は高く、レベル0よりも周辺局受信レベルの精度の高さが要求される。そこでレベル1においては、タイマT1の期間をタイマT0より短くすることにより、ファストスキャンが連続的にスキップされ続ける期間を短くし、レベル0よりもファストスキャンが実行される頻度を高くすることにより、レベル2より省電力効果が高くレベル0より周辺局受信レベルの信頼性を高めている。
【0061】
このようにレベル1の処理手順はレベル1の処理手順と同様であるので詳しい説明を省略するが、要するに制御部18は、自局受信レベルSpが自局しきい値TH1より大きく、かつ、ファストスキャンが連続してスキップされ続けている期間がタイマT1期間を超えない間、ファストスキャンのスキップを繰り返し、自局受信レベルSpが自局しきい値TH1以下であるか、又は、ファストスキャンが連続してスキップされ続けている期間がタイマT1期間を超えた場合、ファストスキャンを行って最大周辺局受信レベルN及び自局受信レベルSを更新し、更新された値を用いて動作レベル決定処理を行う。
【0062】
図7は、制御部18によるレベル2の受信レベル測定処理のフローチャートを示す。
【0063】
同図の処理は、図6に示したレベル1の処理と比較して自局しきい値TH1の替わりに自局しきい値TH2を用いている点、タイマT1の替わりにタイマT2としている点、ファストスキャンの替わりに1局ずつ周辺局を測定する通常のスキャンを行っている点が異なっている。
【0064】
またレベル1の処理と比較してタイマT2用カウンタCのカウンタをリセットする位置が異なっている。すなわちレベル2の受信レベル測定処理においては、ステップ505のタイマT2用カウンタCの大小判定の後、ステップ508においてカウンタのリセットを行っているが、ステップ504において自局受信レベルSpが自局しきい値TH2以下である場合にカウンタのリセットを行わない(レベル0及び1の場合はこのタイミングでカウンタのリセットを行う。つまり制御部18は、周辺局受信レベルの測定を連続してスキップした回数ではなく、連続しているか否かに関わらずスキップ回数が所定数(ここにおいては4)を超えた場合にカウンタをリセットする(S508)。
【0065】
自局しきい値TH2は、(式5)で表される。
(式5)
TH2=S
タイマT2の期間は720×4とする。
【0066】
レベル2においては、最大周辺局受信レベルNは、自局受信レベルSよりわずかに低い状態である。つまりその時点において移動局100がゾーン移行する確率はレベル0及び1より高い。よってゾーン移行の検出に用いるための周辺局受信レベルの精度の高さがレベル0及び1よりも要求される。そこでレベル0及びレベル1で行っていたファストスキャンのかわりにステップ509において周辺局1局を測定する通常スキャンを行うことにより精度を高め、またタイマT2期間をタイマT0、T1より短くすることにより、通常スキャンが実行される頻度を高くしている。
図8は、制御部18によるレベル3の受信レベル測定処理のフローチャートを示す。
【0067】
制御部18は、動作レベル決定処理において自局受信レベルSが周辺局受信レベルN以下と判定されたとき、後述するレベル3詳細測定モードからレベル3に遷移すると決定したとき及びレベル4からレベル3に遷移すると決定したとき、図8に示す処理を行う。
【0068】
レベル3においては、自局受信レベルSは最大周辺局受信レベルより低い状態にある。つまりその時点において移動局100がゾーン移行する確率は高い。よってゾーン移行の検出に用いるための周辺局受信レベルの精度の高さが要求されるので、レベル3において制御部18は、通常スキャンにより、1スーパーフレーム毎に自局受信レベルSpと1局の周辺局受信レベルNpを測定し、周辺局受信レベルの精度を高くしている。
【0069】
またレベル3において制御部18は、1スーパーフレーム毎に動作レベル決定処理を行う。
【0070】
さらに制御部18は、タイマT3(=720ms×15)毎に通常スキャンにより得られる周辺局受信レベルから最大周辺局受信レベルNを求め、当該最大周辺局受信レベルNがゾーン移行条件を満たしているか否かを判定し、満たしている場合にはレベル3詳細測定モードに移行する。
【0071】
ここでゾーン移行条件は、(式6)で表される。
(式6)
N>Sp+Z
図9は、制御部18によるベル3詳細測定モードにおける受信レベル測定処理のフローチャートを示す。
【0072】
レベル3詳細測定モードにおいて制御部18は、レベル3において測定した周辺局受信レベルのうち値の高い周辺局(最大2局まで)についてファストスキャンを複数回(本実施形態においては6回)に亙って繰り返してその算術平均を得る詳細測定を行う。この詳細測定を行うのは、ゾーン移行の移行先となる確率の高い周辺局について精度の高い測定値を得て、より正確なゾーン移行検出が行われるようにするためである。
【0073】
制御部18は、詳細測定により得た自局受信レベルSp及び周辺局受信レベルとからレベル4に移行するかレベル3にとどまるかを決定するための動作レベル決定処理Bを行い、結果に応じてレベル3とレベル4のいずれかに遷移する。
【0074】
動作レベル決定処理Bにおいて制御部18は、(式7)に示す判定を行う。
(式7)
N>=S+Z かつ N>=許可レベル
(式7)において、制御部18は、周辺局受信レベルNが自局受信レベルSに対してゾーン移行レベル差Z以上の差があり、かつ、周辺局受信レベルNが待ち受け許可レベルの場合にレベル4に遷移する。それ以外の場合制御部18は、レベル3にとどまる。
【0075】
図10は、制御部18によるレベル4の受信レベル測定処理のフローチャートを示す。
【0076】
制御部18は、レベル3詳細測定モードにおいてレベル4に移行すると判定したとき、移行する
制御部18は、周辺局受信レベルを測定し、それらの受信レベルのうち(式7)を満たす周辺局を最大2局までをレベル4における測定対象として選択する(ステップ801)。
【0077】
制御部18は、測定対象の周辺局受信レベルと自局受信レベルとを通常スキャンにより測定する(ステップ803)。
【0078】
制御部18は、タイマT4(720ms×15)がタイムアップするまでの間、1スーパーフレーム毎にステップ803の通常スキャンを繰り返し行う。このタイマT4は、制御部18が長期間レベル4の処理を行うことを防ぐためにある。なぜならレベル4の処理は、周辺局については、ステップ801で選択した最大2局の周辺局の受信レベルをレベル4の間測定し続けるので、それが長期間に渡るとその間に測定していない周辺局のうち測定している周辺局よりもゾーン移行に最適な周辺局が現われる確率が高くなるからである。
【0079】
制御部18は、タイマT4がタイムアップしたとき(ステップ804;Yes)タイマをリセットし、(ステップ806)、レベル3に遷移する。
【0080】
【発明の効果】
本発明の無線電話装置は、ゾーン移行判定のために現在通信中の無線基地局と他の無線基地局とからの電波の受信レベルを測定する無線電話装置であって、現在通信中又は待ち受け中の無線基地局からの電波の受信レベルを一定周期で繰返し測定する自局測定手段と、他の無線基地局からの電波の受信レベルを測定する周辺局測定手段と、前記自局測定手段により測定された受信レベルそのものと、前記自局の受信レベルと前記周辺局測定手段により測定された受信レベルとの差とを比較し、比較結果に応じて、前記周辺局測定手段による前記測定の頻度を変更する変更手段とを備える。
【0081】
また前記変更手段は、現在通信中の無線基地局に係る受信レベルから他の無線基地局に係る受信レベルを減算した値が正の値である場合に、当該受信レベルの差が小さい程頻繁になるよう前記頻度の変更を行うよう構成される。
【0082】
この構成によれば無線電話装置は、自局受信レベルが周辺局受信レベルより高い程、すなわちゾーン移行する確率が低い程、周辺局測定の頻度を少なくすることにより消費電力を少なくし、自局受信レベルと周辺局受信レベルとの差が小さい程、すなわちゾーン移行する確率が高い程、周辺局測定の頻度を高くすることにより周辺局測定の精度を高くすることができるという効果がある。
【0083】
本発明の無線電話装置は、ゾーン移行判定のために現在通信中の無線基地局と他の無線基地局とからの電波の受信レベルを測定する無線電話装置であって、現在通信中又は待ち受け中の無線基地局からの電波の受信レベルを繰返し測定する自局測定手段と、他の無線基地局からの電波の受信レベルを測定する周辺局測定手段と、前記自局測定手段により測定された受信レベルと、前記周辺局測定手段により測定された受信レベルとを比較し、比較結果に応じて、前記周辺局測定手段による前記測定の方法を複数の異なる測定方法のうちのいずれかに変更する変更手段とを備える。
【0084】
また前記複数の異なる測定方法はそれぞれ、その測定方法を測定に用いた場合の消費電力が異なり、前記変更手段は、現在通信中又は待ち受け中の無線基地局に係る受信レベルから他の無線基地局に係る受信レベルを減算した値が正の値である場合に、当該受信レベルの差が大きい程、消費電力が少ない測定方法になるよう変更するよう構成される。
【0085】
この構成によれば無線電話装置は、自局受信レベルが周辺局受信レベルより高い程、すなわちゾーン移行する確率が低い程、消費電力が少ない測定方法を用いて測定し、自局受信レベルと周辺局受信レベルとの差が小さい程、すなわちゾーン移行する確率が高い程、消費電力が多い測定方法を用いて測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】移動局の構成を示すブロック図である。
【図2】動作レベルの概略を示す。
【図3】動作レベルの遷移図を示す。
【図4】動作レベル決定処理のフローチャートを示す。
【図5】レベル0における処理のフローチャートを示す。
【図6】レベル1における処理のフローチャートを示す。
【図7】レベル2における処理のフローチャートを示す
【図8】レベル3における処理のフローチャートを示す。
【図9】レベル3詳細測定モードにおける処理のフローチャートを示す。
【図10】レベル4における処理のフローチャートを示す。
【図11】間欠受信動作を説明する図である。
【符号の説明】
10 アンテナ
12 無線部
13 モデム部
14 TDMA/TDD部
15 音声処理部
16 マイク
17 スピーカ
18 制御部
19 CPU
20 ROM
21 RAM
Claims (4)
- ゾーン移行判定のために現在通信中の無線基地局と他の無線基地局とからの電波の受信レベルを測定する無線電話装置であって、
現在通信中又は待ち受け中の無線基地局からの電波の受信レベルを、固定周期で繰返し測定する自局測定手段と、
他の無線基地局からの電波の受信レベルを測定する周辺局測定手段と、
前記自局測定手段により測定された受信レベルそのものと、前記自局の受信レベルと前記周辺局測定手段により測定された受信レベルとの差に応じて、前記周辺局測定手段による前記測定の頻度を変更する変更手段と
を備えることを特徴とする無線電話装置。 - 前記変更手段は、
現在通信中の無線基地局に係る受信レベルから他の無線基地局に係る受信レベルを減算した値が正の値である場合に、当該受信レベルの差が小さい程頻繁になるよう前記頻度の変更を行う
ことを特徴とする請求項1記載の無線電話装置。 - ゾーン移行判定のために現在通信中の無線基地局と他の無線基地局とからの電波の受信レベルを測定する無線電話装置であって、
現在通信中又は待ち受け中の無線基地局からの電波の受信レベルを繰返し測定する自局測定手段と、
他の無線基地局からの電波の受信レベルを測定する周辺局測定手段と、
前記自局測定手段により測定された受信レベルと、前記周辺局測定手段により測定された受信レベルとを比較し、比較結果に応じて、前記周辺局測定手段による前記測定の方法を複数の異なる測定方法のうちのいずれかに変更する変更手段と
を備えることを特徴とする無線電話装置。 - 前記複数の異なる測定方法は、
各方法により測定した場合の消費電力が異なり、
前記変更手段は、
現在通信中又は待ち受け中の無線基地局に係る受信レベルから他の無線基地局に係る受信レベルを減算した値が正の値である場合に、当該受信レベルの差が大きい程、消費電力が小さい測定方法になるよう変更する
ことを特徴とする請求項3記載の無線電話装置。
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