JP3953826B2 - 挿入形電磁流速計 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被測定流体が流れる配管の外部から挿入し、配管内の流体流速を測定する挿入形電磁流速計に関する。
【0002】
【従来の技術】
上水道の給水配管網の漏水や滞留水調査を行うための測定機器として、消火栓や空気弁を利用して測定を行う流速計または流量計がある。
【0003】
これらの機器には、代表的なものとして超音波式と電磁式とが有り、超音波式としては、例えば特開平3−231155号公報や特開平6−81378号公報に開示された例がある。また、電磁式としては、例えば実開昭60−86922号公報や特開昭60−179613号公報に開示された例がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
超音波式は、配管の外側にセンサを取付け測定できるため、水道管内に異物を入れること無く測定できる長所が有る反面、微小流速の測定が困難であるほか、配管内にスケールが付着している場合には検出困難な状態になってしまう場合がある。また消火栓を利用して測定を行う場合においても、水道管が土砂に埋まってしまい露出していない消火栓ピットも多い。これを解決するために、管内に挿入して測定する挿入形の超音波流量計も開発されているが、消火栓等のわずかな開口を利用して発信器の設置位置を考慮しなければならない必要上、構造が複雑になってしまう。
【0005】
一方、電磁式は、配管を切断して電磁流量計を設置することはできないため、消火栓や空気弁部から配管内に流速センサを挿入して測定する挿入形の電磁式流速計が用いられてきた。
【0006】
電磁式流速計は、配管内に挿入するため構造が複雑になりやすいことと、挿入したセンサ部にカルマン渦が発生しセンサ部がその反力で振動し、これにより電極近傍の電位分布や磁束分布が安定せず測定精度が低下していた。上水道の配管網の健全性評価用の流速計としては10MM/S以下の検出感度が望まれるが、この様な要求に合う流速計は無く、より高感度の流速計が待望されている。
【0007】
本発明の目的は上記した従来の課題を解決し、上水道の配水管網の健全性評価の目的に適した高感度な流速計を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的における本発明の特徴は、配管内の被測定流体の流速を測定するセンサ部と、当該センサ部によって得られた測定値を外部へ伝達する伝送線を有する支持部とを有し、前記配管の開口から配管内に前記センサ部を挿入し、前記被測定流体の流速を測定する挿入形電磁流速計において、前記センサ部は、当該センサ部筐体中に、前記被測定流体の流れる方向に平行して貫通する測定流路を有することである。
【0009】
また好ましくは、前記測定流路の上部に、コイル及び磁極からなる磁界発生手段を備え、更に、少なくとも前記磁界発生手段と前記測定流路の側面を覆う長さを有する一対の磁極板を備えたことである。
【0010】
また好ましくは、前記センサ部筐体は、その挿入方向と直交する断面形状が、被測定流体の流れの方向に対し流線形であり、且つ前記測定流路は、前記センサ部の挿入軸の中心軸上に形成されていることである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例を図面を用いて説明する。図1は、上水道の配水管路網の健全性を監視するために、管路網の途中に設けられた消火栓に地下ピット内に設置する、水理及び水質の監視システムの基本的な構成を示す図である。
【0012】
地下に埋設された、上水道用の配水管1の途中に設けられた消火栓2は、管路網中の所定の間隔で配置されており、水道水3の流速、流向、水質、温度、圧力などの諸情報を監視するのに適している。特に地下式の消火栓ピット4は、所定期間測定器を設置し連続監視するのに適している。
【0013】
消火栓2には火災などの非常時に消火ホースが接続できるアダプタがついているが、本発明では、このアダプタを改造して種々のセンサを取付け、前記諸情報を所定期間連続監視する監視システムを提供する。
【0014】
アダプタ5には、ホース接続口6の他にセンサ挿入口7が設けてあり、該センサ挿入口7の上端開口部8から流速計検出部9が挿入され、その先端に保持された流速計センサ10は、前記配水管1内に達しており、前記水道水3の流速をセンシングする。また、ケーブル11は、流速計検出部9及び支持棒14内を通って流速計センサ10に接続されており、ケーブル11を介して流速計センサ10の測定信号が流速計変換部12に伝達され演算され流速に対応した測定値を得る。
【0015】
該流速計変換部12の内部には、流速測定データを所定期間格納するデータロガー13が内蔵されている。更にデータロガー13には、外部の諸情報(電気信号)を格納する機能を有している。
【0016】
一方、流速計センサ10を保持している支持棒14には、配水管1内の水道水3を管外に導くサンプリング口16が形成され、また当該サンプリング口16には流速計検出部9及び支持棒14内を通る流路15が接続されており、サンプリング口16から導入された水道水を流量計検出部9の外に導く。この時流量計検出部9には、水圧センサ17とサンプリングチューブ18が取付けられている。水圧センサ17の測定信号は、ケーブル19を介して前記流速計変換部12に内蔵されたデータロガー13に伝達され格納される。また、前記サンプリングチューブ18内を流れる水道水3は多項目水質計20に導かれる。
【0017】
該多項目水質計20の内部には、残留塩素センサ21、導電率センサ22などが配置され、またサンプリングチューブ18には、水温センサ23が配置され、前記水道水3の水質を連続または間欠的に監視する。これら各センサの出力は演算部24に導かれ各測定値として演算出力される。
【0018】
出力された測定信号は、ケーブル25を介して前記流速計変換部12に内蔵されたデータロガー13に伝達され格納される。
【0019】
一方、前記サンプリングチューブ18の途中には減圧弁26が接続され、水質計に導かれる水道水3の圧力を一定にし、サンプリング流量を一定に保っている。
【0020】
多項目水質計20を通過した水道水3は配水口27から消火栓ピット4内に排水される。排水は地下浸透式であるため使用水量が制限されている(20cm3/分以下)ので、使用する水質計はシリコンウエハをマイクロ加工したマイクロセルを使用した小形の多項目水質計が適している。(例えば、特開2000−88841号公報にその例を示す。)
また、バッテリユニット28は、ケーブル29,30を介して、流速計変換部12及び多項目水質計20に電力を供給する。
【0021】
この様な連続監視装置において、所定期間流速、流向、水質、水温、水圧を連続監視し、その測定値をデータロガー13内に格納する。この時格納されたデータは測定終了後携帯パソコン31に吸い上げられ、通信回線やフロッピディスクなどの媒体32を介して、上位の管理用コンピュータ33にデータを送り一元管理する。また、データロガー13内のデータは無線や公衆回線電話網を介して管理用コンピュータ33で連続監視することもできる。この場合にはデータロガー13に特定小電力無線や携帯電話の送信機能を内蔵させ、アンテナ34を介して電波信号35としてピット外部に送信する。この際アンテナは、消火栓ピットの蓋の鍵穴(図示せず)の近傍に配置し電波を地上に送信する。
【0022】
前記消火栓ピット4での計測を同時に多数個所で行うことにより、水道水3の配水管路網内の挙動を監視することができ、漏水や停滞水や水質悪化などを生じないよう管路網の適正な配置と維持管理を行う上でのデータベースとすることができる。
【0023】
次に、図2〜図4において本発明の挿入形の電磁式流速計センサ部の詳細について説明する。図2は流速計センサ10の外観図、図3は流速計センサ10の断面図、図4は図3の断面図において磁界発生時の状態を示す図である。
【0024】
まず図2において、矢印101方向は被測定流体である水道水3の流れを示すが、流線形をした流速計センサ10の近傍に達すると矢印102のように分岐する。
【0025】
その一部は、流速センサ10の中心軸上にあいた長円形断面をした貫通穴103の内側を流れ、他は流線形をした流速計センサ10の外側面に沿って流れ、下流側で再び合流する。
【0026】
前記貫通穴103は、水道水3の流れ方向及びその直交方向に於いても流速計センサ10の挿入方向の中心軸に対し対称形に配置してあり、挿入方向が長軸となるよう形成してある。また、前記流速計センサ10の外周部は金属又は合成樹脂などで成形されているが、貫通穴103の内面は合成樹脂などの絶縁物で覆われている。
【0027】
また、貫通穴103の断面積は、流速センサ10の断面積の10%以上を占め、流速計センサ10の下流側に発生するカルマン渦を低減するに十分な断面積を有していることが望ましい。
【0028】
次に、図3において説明する。図3の各図は、図2の直交する3軸の各断面を示す。図3(1)は、図2の流速計センサ10の挿入方向に沿った中心断面で、且つ水道水3の流れ方向101に直交する断面を示している。流速計センサ10は、その外周部を金属又は合成樹脂からなる筐体201で覆われている。
前記流速計センサ10の中央下部には、前述の貫通穴103が合成樹脂などの絶縁材料により形成され、その内側を水道水3が流れている。
【0029】
貫通穴103の両側面には、磁性体からなる一対の磁極板206,207が配置される。また、磁極板206,207の上部には磁界を発生させるためのコイル208と磁極209が保持されている。コイル208に方形波の励磁電流を流して励起することにより、両磁極板の間には図4(1)(3)に示すように、ほぼ均一な磁束密度を有する交番磁界210が形成される。図4のセンサ形状は図3と同一である。
【0030】
貫通穴103の長軸側側面の一方または両側には、複数個の電極202,203,204が、各々絶縁されて貫通穴内面205に露出し、接液するよう配備されている。また、この電極202,203,204は、磁極板207には接触しないように配置されている。つまり、磁極板207には、電極を通すための逃げ穴が設けられている。
【0031】
この結果、導電性の流体である水道水が磁界と直交して移動するために、ファラディの電磁誘導の法則に従い、起電力が発生する。この起電力を前記電極202,204で検出し、流速に比例した電圧信号を得る原理である。一方電極203は接地電極であり、前記電圧信号を増幅する場合の基準電位としている。
【0032】
次に 図3(2)に、図2の流速計センサ10の挿入方向に沿った中心断面で、且つ水道水3の流れ方向101に平行な断面を示す。(図3(1)と直交断面)筐体201の形状は、その中心軸に対して線対称となるように形成されている。また、図3(1)で説明した筐体201内の202〜209までの各部品も、図3(2)に示すように筐体201の中心軸上に配置してある。各部品の形状は、筐体201の中心軸に対して線対称であることが望ましい。流路103の高さhは、図3(1)に示す幅wの2倍以上大きくし、管路面積に対して大きな起電力が得られるようにしてあり、またその長さLは高さhの1/2倍より長く形成して流れと電位分布の安定化に適した形状としてある。
【0033】
図3(3)は、図3(2)を流路103の中心軸に沿った断面を下から見た図である。(図3(1)(2)と直交断面)
筐体201の断面外形は流線型をしており、中央に被測定流体の流れに沿って貫通穴103が設けられている。形状は筐体201の両中心軸に対し、線対称になるよう形成してあり、流体の流れ方向に対して同一の特性となるような構造を採っている。
【0034】
次に、図5において説明する。図5は配水管1の消火栓取り付け部の流れ方向と直交する断面である。上方より支持棒14の先端についた流速計センサ10を配水管1内に挿入し、前記流速計センサ10の側面に設けられた複数個のガイド部501、502内に保持されたストッパ503を前記配水管1の内面に押し当てる。このとき、ストッパ503の長さを所定寸法に選んでおけば、前記流速センサ10の貫通穴103を配水管1の中心と合致させることが可能である。
【0035】
本構造では、貫通穴103内が外側の流れと遮断されているため、外側の流れの乱れを受けにくい他、磁極板206,207で電気的、磁気的シールドされていることにより起電力の電位分布が安定しているという長所が有る。また、筐体201を金属などの導体で形成すれば、電気的シールドがより完全になり、特性の安定性向上が期待できる。また筐体201を導体で形成した場合は接地用電極203を省略して筐体201を接地電極の代用として使用することも出来る。
【0036】
また、カルマン渦の発生が少なく流速計センサ10が振動しにくいこと、貫通穴10を長円形に形成したことにより磁束密度を大きく、且つ電極間起電力を大きく採ることができS/N比の高い信号が得られるなどの長所がある。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、以下の効果が期待できる。
1.流速計センサの内側も被測定流体が流れるため、カルマン渦の発生が少なく流速計センサが振動しない。
2.流速計センサの内側に被測定流体が流れるため、電極近傍の被測定流体の流れに乱れが発生しにくい。
3.被測定流体が流れる貫通穴内部は、近接対向した2枚の磁極板によって均一で安定した磁界分布が期待できる。
4.貫通穴の形状が磁界と直交した方向を、長軸としているため、電極間起電力が大きく、S/N比の大きな流速信号が期待できる。
5.流速計センサが小形で、流線形をしていることと、内部に貫通穴を有していることで、流体抵抗が少なく配水管内でセンサ位置が安定している。
6.筐体や流路が中心軸に対して、線対称に構成してあるため、正逆両方向の流れに対し同一特性の流速測定が期待できる。
7.上記により、感度が高く測定信号の安定した電磁式流速計が実現できる。
8.調整可能なストッパにより、流速センサの挿入位置の調整が容易である。
9.流速と水質および水温水圧などの測定が同時に行うことができ、充実した水理水質データが得られる。
10.水理、水質測定の作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る全体を示すシステムの構成図。
【図2】上記実施例に用いる流速センサの外観図。
【図3】流速センサの直交する3方向の断面図。
【図4】図3の磁束分布説明図。
【図5】水道管の短軸断面図。
【符号の説明】
1…配水管、3…流体、7…センサ挿入口、9…流速計検出部、10…流速センサ、202,203,204…電極、206,207…磁極板。
Claims (8)
- 配管内の被測定流体の流速を測定するセンサ部と、当該センサ部によって得られた測定値を外部へ伝達する伝送線を有する支持部とを有し、前記配管の開口から配管内に前記センサ部を挿入し、前記被測定流体の流速を測定する挿入形電磁流速計において、
前記センサ部は、当該センサ部の筐体中に、前記被測定流体の流れる方向に平行して貫通する測定流路を有し、
前記測定流路の上部に、コイル及び磁極からなる磁界発生手段を備え、更に、少なくとも前記磁界発生手段と前記測定流路の側面を覆う長さを有する一対の磁極板を備え、
前記測定流路の内壁に、流速検出用の一対の電極と流体に接地される接地電極とが配置されていることを特徴とする挿入形電磁流速計。 - 請求項1において、
前記流速検出用の一対の電極と前記接地電極とは、前記センサ部の挿入軸に沿って列状に3つ配置されており、中心の電極が前記接地電極であることを特徴とする挿入形電磁流速計。 - 請求項1において、
前記センサ部の筐体は、その挿入方向と直交する断面形状が、被測定流体の流れる方向に対し流線形であり、
且つ被測定流体の流れる方向の中心軸、及び被測定流体の流れる方向と直交する方向の中心軸に対し、線対称に形成されていることを特徴とする挿入形電磁流速計。 - 請求項1において、
前記測定流路の被測定流体の流れる方向の長さLは、当該測定流路の高さhの0.5倍以上を有することを特徴とする挿入形電磁流速計。 - 請求項4において、
前記測定流路の高さhは、前記測定流路の被測定流体の流れる方向と直交する面の幅Wの2倍以上を有することを特徴とする挿入形電磁流速計。 - 請求項1において、
前記測定流路の断面積は、前記センサ部筐体の断面積の10%以上となるように形成されることを特徴とする挿入形電磁流速計。 - 請求項1において、
前記測定流路の内壁は、絶縁物で被覆されることを特徴とする挿入形電磁流速計。 - 請求項1において、
前記センサ部の筐体の外壁に、当該センサ部の挿入方向に沿って配置され、且つ挿入方向に対して位置調節が可能なストッパ部材を備えたこと特徴とする挿入形電磁流速計。
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