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JP3962215B2 - 制御装置 - Google Patents
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JP3962215B2 - 制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、制御装置に関する。さらに詳しくは、本発明は積分機能を持つ制御器を用いてフィードバック制御を行う制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図10に、比例積分制御器(PI制御器)によるフィードバック制御を示す。PI制御器101の後には制限器102が設けられており、制御対象105への制御入力に限界を設けている。このため、いわゆる飽和現象が発生することがある。飽和現象が発生した場合には、PI制御器101の偏差入力値の符号が反転しても積分器に蓄積された信号のため、制御器101出力の符号反転が遅れ、いわゆるワインドアップ現象が生じて制御性能を劣化させることが知られている。そして、このワインドアップ現象はPI制御器101に限るものではなく、積分機能を持った制御器101であれば発生の可能性があることも知られている。しかしながら、特にメカトロ機器の場合は制御対象105が摩擦や重力等の影響を受けるものであるため、フィードバック制御器101に何らかの積分機能を持たせる必要があり、ワインドアップ現象の発生を防止する構造が必要になる。
【0003】
図11に、一般的なPI制御器101の構造を示す。このようなPI制御器101のワインドアップ現象対策として、従来、種々の方法が提案されている。例えば、図12の例では、P制御(比例制御)とI制御(積分制御)の双方にリミッタ103,104を挿入し、それらを調整することでワインドアップ現象を防止している。また、図13の例では、PI制御器101の入出力信号の符号を観測してその状態に応じて積分器をオフすることでワインドアップ現象を防止している。さらに、図14の例では、出力リミッタの前後の信号の偏差をPI制御器101の積分器にフィードバックすることでワインドアップ現象を防止している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のワインドアップ現象を防止する方法では、リミッタ、比較部、スイッチ等付加的な機能を新たに設ける必要があり、構造が複雑になると共に、付加した機能の値の調節作業という煩雑な作業を伴っていた。
【0005】
また、上述の方法はPI制御器101や単一積分器等の構造に基づいたワインドアップ対策であり、より高機能な制御構造をもつ制御器にそのまま適用するのは困難であった。
【0006】
本発明は、簡単で適応範囲の広い構造でワインドアップ現象を防止できる制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために請求項1記載の発明は、積分機能を持つ制御器を用いてフィードバック制御を行う制御装置であって、持たせたい積分次数dと同じd個の同一係数を持った多項式で構成されるフィルタを有し、該フィルタは、b(s)/a(s)(但し、a(s)及びb(s)はn次の安定な多項式で、それらの係数に、a=b,i=0〜d−1,d≦nの関係を持つ)で示されるものであり、a(s)が、制御対象の伝達関数の分母多項式であるp(s)の次数がmの場合にn=m+d−1である安定な任意特性多項式であり、r(s)を制御対象の伝達関数の分子多項式とし、b(s)が、m次の安定な任意モデル多項式をw(s)とした場合に式{a(s)−b(s)}p(s)+c(s)r(s)=a(s)w(s)によってn次の多項式c(s)とともに唯一に求まるものであり且つb =0であると共に、制御対象の手前から分岐されるポジティブフィードバックを構成するものとして配置され、さらに、ポジティブフィードバック分岐の内側に制限器を備えてなるものである。
【0008】
したがって、連続時間系において、積分機能に対する入力にも制限器によるリミットがかかるようになり、積分機能に蓄積された値が過大となるのを防止して入力信号の符号反転に素早く対応する。
【0011】
また、請求項記載の発明は、b(s)/a(s)で示されるフィルタは、a(s)が、制御対象の伝達関数の分母多項式であるp(s)の次数がmの場合にn=m+d−1である安定な任意特性多項式であり、r(s)を制御対象の伝達関数の分子多項式とし、b(s)が、m次の安定な任意モデル多項式をw(s)とした場合に式{a(s)−b(s)}p(s)+c(s)r(s)=a(s)w(s)によって、n次の多項式c(s)とともに唯一に求まるものであり且つb=0である。
【0012】
即ち、式{a(s)−b(s)}p(s)+c(s)r(s)=a(s)w(s)によってb(s)とともに求まったc(s)を使ってフィードバック制御系を構成することで、制御器にd次の積分機能を持たせたまま、制御系の伝達関数を数式3で示されるものとすることができる。
【数3】
{a(s)r(s)}/{a(s)w(s)}=r(s)/w(s)
【0013】
また、請求項記載の制御装置は、連続時間系でラプラス演算子sによって表されている請求項1記載の制御装置を、離散時間系で進み演算子zによって表し、これをさらにサンプリング時間τ秒として、δ=(z−1)/τという変換をして、例えばa(s)をA(δ)=δ+An−1δn−1+…+A、b(s)をB(δ)=Bδ+…+Bδ+Ad−1δd−1+…+Aのように表した離散時間系において、積分機能を持つ制御器を用いてフィードバック制御を行う制御装置であって、持たせたい積分次数dと同じd個の同一係数を持った多項式で構成されるフィルタを有し、該フィルタは、B(δ)/A(δ)(但し、A(δ)及びB(δ)はn次の安定な多項式で、それらの係数に、A=B,i=0〜d−1,d≦nの関係を持つ)で示されるものであり、A(δ)が、制御対象の伝達関数の分母多項式であるP(δ)の次数がmの場合にn=m+d−1である安定な任意特性多項式であり、R(δ)を制御対象の伝達関数の分子多項式とし、B(δ)が、m次の安定な任意モデル多項式をW(δ)とした場合に式{A(δ)−B(δ)}P(δ)+C(δ)R(δ)=A(δ)W(δ)によってn次の多項式C(δ)とともに唯一に求まるものであり且つB =0であると共に、フィードバック分岐の内側に制限器を備えてなるものである。
【0014】
したがって、離散時間系(ディジタルシステム)においても、請求項1記載の制御装置と同様に、積分機能に対する入力にも制限器によるリミットがかかるようになり、積分機能に蓄積された値が過大となるのを防止して入力信号の符号反転に素早く対応する。
【0017】
また、請求項記載の発明は、B(δ)/A(δ)で示されるフィルタは、A(δ)が、制御対象の伝達関数の分母多項式であるP(δ)の次数がmの場合にn=m+d−1である安定な任意特性多項式であり、R(δ)を制御対象の伝達関数の分子多項式とし、B(δ)が、m次の安定な任意モデル多項式をW(δ)とした場合に式{A(δ)−B(δ)}P(δ)+C(δ)R(δ)=A(δ)W(δ)によって、n次の多項式C(δ)とともに唯一に求まるものであり且つB=0である。
【0018】
即ち、式{A(δ)−B(δ)}P(δ)+C(δ)R(δ)=A(δ)W(δ)によってB(δ)とともに求まったC(δ)を使ってフィードバック制御系を構成することで、制御器にd次の積分機能を持たせたまま、制御系の伝達関数を数式6で示されるものとすることができる。
【数6】
{A(δ)R(δ)}/{A(δ)W(δ)}=R(δ)/W(δ)
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成を図面に示す最良の形態に基づいて詳細に説明する。
【0020】
図1に、本発明を適用した制御装置の実施形態の一例を示す。制御装置は、積分機能を持つ制御器1を用いてフィードバック制御を行うものであって、持たせたい積分次数dと同じd個の同一係数を持った多項式で構成されるフィルタ2を有し、該フィルタ2は、b(s)/a(s)(但し、a(s)及びb(s)はn次の安定な多項式で、それらの係数に、a=b,i=0〜d−1,d≦nの関係を持つ)で示されるものであり、フィードバック分岐4の内側に制限器3を備えてなるものである。
【0021】
つまり、積分機能を持つ制御器を従来のような前向き(図10中右向き)の構造ではなく、持たせたい積分次数と同じ個数の同一係数を持った安定な多項式で構成されるフィルタ2をポジティブフィードバックする構造として、そのフィードバック分岐4の内側に制限器3を付けることで、この制御器1の出力uとともに積分機能に対する入力にも同時にリミットがかかるようになり、図12〜図14に示すような特別の付加機能を設けなくてもワインドアップ対策を内包した積分機能を持つ制御装置を実現することができる。
【0022】
いま、図1に示す制御器1の入力をe、出力をuとする。そして、飽和要素が無いものとすると、制御器1は数式7で表せる。
【数7】
Figure 0003962215
ここで、a(s)とb(s)はともに安定で、それらの係数に、a=b,i=0〜d−1(但しd≦n )のような関係が有るとすると、a(s)及びb(s)はそれぞれ数式8,数式9で表せる。
【数8】
a(s)=s+an−1n−1+…+ad−1d−1+…+a
【数9】
b(s)=b+…+b+ad−1d−1+…+a
ここで、u(s)は数式10であるから、数式8及び数式9より数式11となり、飽和が無い場合は一般的なd個の積分器を持った制御器と同等の機能を有する。
【数10】
Figure 0003962215
【数11】
Figure 0003962215
【0023】
一方、飽和が有る場合は、図1に示す構造の制御器1において、後ろ向きフィルタ2、即ちb(s)/a(s)は定常ゲイン1を持つ安定なn次フィルタである。したがって定常状態ではフィルタ出力xは制御器出力uと一致する。制御器出力uが飽和している状態では、後ろ向きフィルタ2の入力は一定値に保たれることになるため、このフィルタ2の出力xも制御器出力と一致することになる。さて、出力飽和状態では当初偏差信号eと飽和出力は同符号である。フィルタ出力xは、オーバーシュートも無いため過渡状態でも飽和レベルを越えることは無い。従ってこの状態で、偏差信号eの反転した場合、少しの遅延もなく飽和状態が解除され、以降、偏差信号eの状態によって制御される元の線形系に回復することになる。
【0024】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
【0025】
この制御器1は積分機能を有しているので、ロボットに使用されるモータ等を制御する制御器に適しているが、モータ制御用の制御器に限るものではなく、あらゆる分野の積分機能を持つ制御器に適用することが可能であり、その積分ワインドアップ現象の防止構造として有効かつ簡単なものを提供することができる。
【0026】
また、上述の説明は連続系(アナログ系)で行ったが、ソフトウェア実装の為の遅延要素を使用した離散時間系で構成することもできる。
【0027】
即ち、制御装置は、積分機能を持つ制御器を用いてフィードバック制御を行うものであって、持たせたい積分次数dと同じd個の同一係数を持った多項式で構成されるフィルタを有し、該フィルタは、B(δ)/A(δ)(但し、A(δ)及びB(δ)はn次の安定な多項式で、それらの係数に、A=B,i=0〜d−1,d≦nの関係を持つ)で示されるものであり、フィードバック分岐の内側に制限器を備えてなるものであっても良い。ここで、A(δ)=δ+An−1δn−1+…+A、B(δ)=Bδ+…+Bδ+Ad−1δd−1+…+Aである。
【0028】
【実施例】
(実施例1)
制御器1は、n=2、d=1として、係数を適切に選択することで、飽和対策の施されたPID制御器1となる。このPID制御器1を図2に示す。このPID制御器1は数式12で表される。ここで、a,a,b,bは、それぞれ数式13,数式14,数式15,数式16の通りである。また、TはPID制御器の中の疑似微分器の時定数(単位:秒)、TはPIDあるいはPI制御器の中の積分器の積分時間(単位:秒)、TdはPID制御器の中の疑似微分器の微分時間(単位:秒)である。
【数12】
Figure 0003962215
【数13】
=1/{T(T+T)}
【数14】
=(T+T)/{T(T+T)}
【数15】
=1−{T/(T+T)}
【数16】
=(T+T)/{T(T+T)}−1/(T+T
【0029】
なお、比較のために、ワインドアップ対策されていない一般的なPID制御器121を図3に示す。このPID制御器1は数式17で表される。
【数17】
Figure 0003962215
【0030】
(実施例2)
制御器1は、d=nとすることで、飽和対策の施されたn次の積分器を持つPI制御器1となり、その場合は、1/aが積分時間となる。n次の積分器を持つPI制御器1を図4に示す。なお、an−1〜a及びb〜bは0で、a=b=(1/T)、Kpは比例ゲインである。また、比較のために、ワインドアップ対策の無いPI制御器122を図5に示す。
【0031】
連続時間系で、ラプラス演算子sによって表されたa(s)やb(s)は、離散時間系では進み演算子zによって表されるが、これをさらにサンプリング時間τ秒として、数式18で表される変換を行うと、A(δ)は数式19、B(δ)は数式20のように表すことができる。図1の構成を図7のようにすることで、上述した連続時間系の場合と同じように離散時間系でも同等の機能を持たせることができる。また、図4の構成を離散時間系にした場合の例を図6に示す。
【数18】
δ=(z−1)/τ
【数19】
A(δ)=δ+An−1δn−1+…+A
【数20】
B(δ)=Bδ+…+Bδ+Ad−1δd−1+…+A
【0032】
(実施例3)
制御器1は、n=d=1とすることで、飽和対策の施されたPI制御器となり、その場合は、1/aが積分時間となる。このPI制御器は数式21のようなものとなる。
【数21】
{(a/s)+1}
また、n=d=2とすると、数式22のような、飽和対策付きのP・I・I制御器を構成することができる。
【数22】
(1−b)×{(a/s)+(a/s)+1}
さらにここで、a=0とすれば、数式23のような、飽和対策付きのPI制御器を構成することもできる。
【数23】
(1−b)×{(a/s)+1}
【0033】
(実施例4)
制御器1は、極配置系の制御器となる。この場合の制御器を図8に示す。b(s)/a(s)で示されるフィルタ2は、a(s)が、制御対象の伝達関数の分母多項式であるp(s)が次数がmの場合にn=m+d−1である安定な任意特性多項式であり、r(s)を制御対象の伝達関数の分子多項式とし、b(s)が、m次の安定な任意モデル多項式をw(s)とした場合に数式24によって、n次の多項式c(s)とともに唯一に求まるものであり且つb=0である。
【数24】
{a(s)−b(s)}p(s)+c(s)r(s)=a(s)w(s)
【0034】
また、図9に示すように、制御器1の外側にさらにc(s)/a(s)で示すようなフィードバックをかけても良い。
【0035】
即ち、数式24でb(s)とともに求まるc(s)を使って図9のようなフィードバック制御系を構成することで、制御器1にd次の積分機能を持たせたまま、全制御系の伝達関数を数式25のようにすることができる。
【数25】
{a(s)r(s)}/{a(s)w(s)}=r(s)/w(s)
これは、制御系の特性多項式をm次の任意の特性に一致させることができることを意味している。このように全制御系が数式25となるのは以下の通りである。
【0036】
つまり、図9において、本件制御装置の制限器1を除いたe(s)からu(s)への伝達関数は、数式26になる。
【数26】
a(s)/{a(s)−b(s)}
したがって、全体のv(s)からy(s)に至る伝達関数は、まとめると、数式27である。
【数27】
{a(s)r(s)}/{{a(s)-b(s)}p(s)+c(s)r(s)}
この分母部分である{a(s)−b(s)}p(s)+c(s)r(s)は、数式24よりa(s)w(s)であるから、結局全体の伝達関数は数式28となり、数式25と同じである。
【数28】
{a(s)r(s)}/{a(s)w(s)}=r(s)/w(s)
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の制御装置では、持たせたい積分次数dと同じd個の同一係数を持った多項式で構成されるフィルタを有し、該フィルタは、b(s)/a(s)(但し、a(s)及びb(s)はn次の安定な多項式で、それらの係数に、a=b,i=0〜d−1,d≦nの関係を持つ)で示されるものであり、a(s)が、制御対象の伝達関数の分母多項式であるp(s)の次数がmの場合にn=m+d−1である安定な任意特性多項式であり、r(s)を制御対象の伝達関数の分子多項式とし、b(s)が、m次の安定な任意モデル多項式をw(s)とした場合に式{a(s)−b(s)}p(s)+c(s)r(s)=a(s)w(s)によってn次の多項式c(s)とともに唯一に求まるものであり且つb =0であると共に、制御対象の手前から分岐されるポジティブフィードバックを構成するものとして配置され、さらに、ポジティブフィードバック分岐の内側に制限器を備えているので、連続時間系において、積分機能に対する入力にも制限器によるリミットをかけることができる。このため、積分機能に蓄積された値が過大となるのを防止して入力信号の符号反転に素早く対応することができる。この結果、従来の積分機能付き制御器の利点をそのまま保ったまま、特別な付加機能やそれに伴う付帯的な調整作業を伴うことなく、制御器の出力制限のみで積分ワインドアップ現象を抑制することができる。即ち、単純な構造で積分ワインドアップ現象を抑制することができ、しかも、積分器の構造に制限されずに種々の積分器に適用可能である。
【0040】
また、請求項記載の制御装置では、b(s)/a(s)で示されるフィルタは、a(s)が、制御対象の伝達関数の分母多項式であるp(s)の次数がmの場合にn=m+d−1である安定な任意特性多項式であり、r(s)を制御対象の伝達関数の分子多項式とし、b(s)が、m次の安定な任意モデル多項式をw(s)とした場合に式{a(s)−b(s)}p(s)+c(s)r(s)=a(s)w(s)によって、n次の多項式c(s)とともに唯一に求まるものであり且つb=0であるので、式{a(s)−b(s)}p(s)+c(s)r(s)=a(s)w(s)によってb(s)とともに求まるc(s)を使ってフィードバック制御系を構成することで、制御器にd次の積分機能を持たせたまま、制御系の伝達関数を数式29で示されるものとすることができ、制御系の特性多項式をm次の任意の特性に一致させることができる。
【数29】
{a(s)r(s)}/{a(s)w(s)}=r(s)/w(s)
【0041】
さらに、請求項記載の制御装置では、持たせたい積分次数dと同じd個の同一係数を持った多項式で構成されるフィルタを有し、該フィルタは、B(δ)/A(δ)(但し、A(δ)及びB(δ)はn次の安定な多項式で、それらの係数に、A=B,i=0〜d−1,d≦nの関係を持つ)で示されるものであり、A(δ)が、制御対象の伝達関数の分母多項式であるP(δ)の次数がmの場合にn=m+d−1である安定な任意特性多項式であり、R(δ)を制御対象の伝達関数の分子多項式とし、B(δ)が、m次の安定な任意モデル多項式をW(δ)とした場合に式{A(δ)−B(δ)}P(δ)+C(δ)R(δ)=A(δ)W(δ)によってn次の多項式C(δ)とともに唯一に求まるものであり且つB =0であると共に、フィードバック分岐の内側に制限器を備えてなるので、離散時間系において、積分機能に対する入力にも制限器によるリミットをかけることができる。このため、積分機能に蓄積された値が過大となるのを防止して入力信号の符号反転に素早く対応することができる。この結果、従来の積分機能付き制御器の利点をそのまま保ったまま、特別な付加機能やそれに伴う付帯的な調整作業を伴うことなく、制御器の出力制限のみで積分ワインドアップ現象を抑制することができる。即ち、単純な構造で積分ワインドアップ現象を抑制することができ、しかも、積分器の構造に制限されずに種々の積分器に適用可能である。
【0044】
さらに、請求項記載の制御装置では、B(δ)/A(δ)で示されるフィルタは、A(δ)が、制御対象の伝達関数の分母多項式であるP(δ)の次数がmの場合にn=m+d−1である安定な任意特性多項式であり、R(δ)を制御対象の伝達関数の分子多項式とし、B(δ)が、m次の安定な任意モデル多項式をW(δ)とした場合に式{A(δ)−B(δ)}P(δ)+C(δ)R(δ)=A(δ)W(δ)によって、n次の多項式C(δ)とともに唯一に求まるものであり且つB=0であるので、式{A(δ)−B(δ)}P(δ)+C(δ)R(δ)=A(δ)W(δ)によってB(δ)とともに求まったC(δ)を使ってフィードバック制御系を構成することで、制御器にd次の積分機能を持たせたまま、制御系の伝達関数を数式30で示されるものとすることができ、制御系の特性多項式をm次の任意の特性に一致させることができる。
【数30】
{A(δ)R(δ)}/{A(δ)W(δ)}=R(δ)/W(δ)
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した制御装置の実施形態の一例を示すブロック図である。
【図2】同制御装置の制御器をPID制御器とした場合のブロック図である。
【図3】比較のためのワインドアップ対策されていないPID制御器を示すブロック図である。
【図4】同制御装置の制御器をn次の積分器をもつPI制御器とした場合のブロック図である。
【図5】比較のためのワインドアップ対策されていないPI制御器を示すブロック図である。
【図6】図4の制御器を離散時間系にした場合のブロック図である。
【図7】図1の制御装置の制御器を離散時間系にした場合のブロック図である。
【図8】同制御装置の制御器を極配置系の制御器とした場合のブロック図である。
【図9】図8の制御器の外側にさらにc(s)/a(s)で示すフィードバックをかけた場合のブロック図である。
【図10】従来のPI制御器によるフィードバック制御を示すブロック図である。
【図11】従来のPI制御器のブロック図である。
【図12】従来のPI制御器のワインドアップ現象防止方法を示すブロック図である。
【図13】従来のPI制御器のワインドアップ現象防止方法の別の例を示すブロック図である。
【図14】従来のPI制御器のワインドアップ現象防止方法の更に別の例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 制御器
2 フィルタ
3 制限器
4 フィードバック分岐

Claims (2)

  1. 積分機能を持つ制御器を用いてフィードバック制御を行う制御装置であって、持たせたい積分次数dと同じd個の同一係数を持った多項式で構成されるフィルタを有し、該フィルタは、b(s)/a(s)(但し、a(s)及びb(s)はn次の安定な多項式で、それらの係数に、a=b,i=0〜d−1,d≦nの関係を持つ)で示されるものであり、a(s)が、制御対象の伝達関数の分母多項式であるp(s)の次数がmの場合にn=m+d−1である安定な任意特性多項式であり、r(s)を制御対象の伝達関数の分子多項式とし、b(s)が、m次の安定な任意モデル多項式をw(s)とした場合に式{a(s)−b(s)}p(s)+c(s)r(s)=a(s)w(s)によってn次の多項式c(s)とともに唯一に求まるものであり且つb =0であると共に、制御対象の手前から分岐されるポジティブフィードバックを構成するものとして配置され、さらに、前記ポジティブフィードバック分岐の内側に制限器を備えてなることを特徴とする制御装置。
  2. 連続時間系でラプラス演算子sによって表されている請求項1記載の制御装置を、離散時間系で進み演算子zによって表し、これをさらにサンプリング時間τ秒として、δ=(z−1)/τという変換をして、a(s)をA(δ)=δ+An−1δn−1+…+A、b(s)をB(δ)=Bδ+…+Bδ+Ad−1δd−1+…+Aのように表した離散時間系において、積分機能を持つ制御器を用いてフィードバック制御を行う制御装置であって、持たせたい積分次数dと同じd個の同一係数を持った多項式で構成されるフィルタを有し、該フィルタは、B(δ)/A(δ)(但し、A(δ)及びB(δ)はn次の安定な多項式で、それらの係数に、A=B,i=0〜d−1,d≦nの関係を持つ)で示されるものであり、A(δ)が、制御対象の伝達関数の分母多項式であるP(δ)の次数がmの場合にn=m+d−1である安定な任意特性多項式であり、R(δ)を制御対象の伝達関数の分子多項式とし、B(δ)が、m次の安定な任意モデル多項式をW(δ)とした場合に式{A(δ)−B(δ)}P(δ)+C(δ)R(δ)=A(δ)W(δ)によってn次の多項式C(δ)とともに唯一に求まるものであり且つB =0であると共に、フィードバック分岐の内側に制限器を備えてなることを特徴とする制御装置。
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