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JP3965438B2 - 電線被覆用塩化ビニル樹脂組成物及び該組成物により被覆されてなる電線 - Google Patents
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JP3965438B2 - 電線被覆用塩化ビニル樹脂組成物及び該組成物により被覆されてなる電線 - Google Patents

電線被覆用塩化ビニル樹脂組成物及び該組成物により被覆されてなる電線 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電線被覆用塩化ビニル樹脂組成物及び該組成物により被覆されてなる電線に関する。さらに詳しくは、本発明は、鉛系の添加剤を含有することなく、しかも電気絶縁性と熱安定性に優れ、表面状態の良好な被覆を形成することができる電線被覆用塩化ビニル樹脂組成物及び該組成物により被覆されてなる電線に関する。
【0002】
【従来の技術】
塩化ビニル樹脂組成物は、良好な物理的、化学的性質を有しているので、多岐にわたる用途に用いられている。塩化ビニル樹脂組成物で被覆されたビニル絶縁電線は、難燃性、耐老化性、耐オゾン性、耐油性、耐化学薬品性、耐水性に優れ、自由に着色することができ、占積率が小さいなど数多くの長所を有するために、自動車電線をはじめとして、広く用いられている。ビニル絶縁電線は、裸電線をボビンから一定張力、一定速度で送り出し、電線被覆用押出機のクロスヘッドに供給して、溶融塩化ビニル樹脂組成物で所定の厚さに被覆することにより製造される。電線被覆用塩化ビニル樹脂組成物には、多くの場合、三塩基性硫酸鉛、二塩基性ステアリン酸鉛、ステアリン酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛などの、鉛系の安定剤や滑剤が配合される。
近年、地球環境問題が高まる中で、家庭電化製品、各種電子機器や自動車のリサイクル率を上げる必要性が重要視されている。自動車の現在のリサイクル率は約75%と言われており、1996年10月に、通産省は、自動車のリサイクル率を、2002年に新型車で90%、販売済車で85%にするという目標を発表した。リサイクルされない自動車の残余の部分は、廃棄物として処理されるので、埋め立て処分すると溶け出して飲料水に混入するおそれのある鉛系の添加剤については、他の材料による代替が求められている。自動車に従来より用いられている電線被覆用塩化ビニル樹脂組成物については、上述のように、安定剤、滑剤として鉛化合物が配合されている場合が多く、問題とされている。
鉛化合物以外の安定剤、滑剤としては、種々の金属化合物が提案されており、近年、各安定剤メーカーから、電気絶縁性をはじめとして良好な性能を有する電線被覆用塩化ビニル樹脂組成物に好適な非鉛系安定剤が上市されている。例えば、カルシウム、亜鉛などの脂肪酸金属塩(金属石鹸類)にハイドロタルサイト類及びβ−ジケトン化合物を配合すると、塩化ビニル樹脂組成物の電気絶縁性を低下させることなく、熱安定性、初期着色性の点でも、三塩基性硫酸鉛などの従来の鉛化合物系安定剤と同等又はそれ以上の基本性能を有することが確認されている。
しかし、これらの非鉛系安定剤を塩化ビニル樹脂組成物に用いて、例えば、自動車電線被覆の高速押出加工を行うと、従来の鉛系化合物系安定剤を配合した塩化ビニル樹脂組成物と異なり、樹脂圧が変動して安定した成形ができず、得られた電線の表面状態が荒れてザラザラとなり、製品外観に問題が生じやすいという欠点が指摘されている。また、電線被覆用塩化ビニル樹脂組成物には、自動車電線用など、電気絶縁性として体積抵抗率3×1013Ωcm以上が求められる場合があるが、配合する非鉛系安定剤によっては、体積抵抗率がこの値を下回る場合もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、鉛系の添加剤を含有することなく、しかも電気絶縁性と熱安定性に優れ、高速押出加工によっても表面状態の良好な被覆を形成することができる電線被覆用塩化ビニル樹脂組成物及び該組成物により被覆されてなる電線を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、塩化ビニル樹脂に、可塑剤、特定の金属原子を有する脂肪酸金属塩とハイドロタルサイトとの混合物からなる非鉛系安定剤、非鉛系滑剤及び特定構造を有する二塩基酸の脂肪族アルコールエステルを特定量配合した組成物が、電気絶縁性と熱安定性に優れ、高速で電線被覆押出加工を行っても、表面状態の良好な被覆を形成し得ることを見いだして、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)(A)塩化ビニル樹脂100重量部、(B)ジイソノニルフタレート可塑剤20〜50重量部、(C)リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、錫及びストロンチウムからなる群から選択される2種を金属原子とする有機酸金属塩とハイドロタルサイトとの混合物であって、ハイドロタルサイトの含有量が、5〜70重量%である非鉛系安定剤1〜10重量部、(D)非鉛系滑剤0.5〜3重量部及び(E)フタル酸ジステアリル0.5〜3重量部を含有し、かつ(B)成分の重量部数(b)と(E)成分の重量部数(e)との積(b)×(e)の値が25〜60であることを特徴とする電線被覆用塩化ビニル樹脂組成物、及び、
(2)(A)塩化ビニル樹脂100重量部、(B)ジイソノニルフタレート可塑剤20〜50重量部、(C)リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、錫及びストロンチウムからなる群から選択される2種を金属原子とする有機酸金属塩とハイドロタルサイトとの混合物であって、ハイドロタルサイトの含有量が、5〜70重量%である非鉛系安定剤1〜10重量部、(D)非鉛系滑剤0.5〜3重量部、(E)フタル酸ジステアリル0.5〜3重量部及び(F)平均粒径0.1〜10μmの無機充填剤3〜25重量部を含有し、かつ(B)成分の重量部数(b)と(E)成分の重量部数(e)との積(b)×(e)の値が25〜60である電線被覆用塩化ビニル樹脂組成物を、導体外周に被覆押出成形してなることを特徴とする電線、
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明組成物において(A)成分として使用される塩化ビニル樹脂としては、塩化ビニル単独重合体のほか、塩化ビニル単位を50重量%以上有する塩化ビニル共重合体を挙げることができる。塩化ビニルと共重合される単量体としては、例えば、エチレン、プロピレンなどのオレフィン類;塩化アリル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、三フッ化塩化エチレンなどのハロゲン化オレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類;イソブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アリル−3−クロロ−2−オキシプロピルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどのアリルエーテル類;アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジエチル、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸、そのエステル又はその酸無水物類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル類;アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアクリルアミド類;アリルアミン安息香酸塩、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドなどのアリルアミン及びその誘導体類などを挙げることができる。以上に例示した単量体は、共重合可能な単量体の一部に過ぎず、近畿化学協会ビニル部会編「ポリ塩化ビニル」日刊工業新聞社(1988年)75〜104ページに例示されている各種単量体が使用可能である。これらの共単量体は、1種又は2種以上を共重合させることができる。
また、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、塩素化ポリエチレンなどの樹脂に、塩化ビニル又は塩化ビニルと前記した共重合可能な単量体とをグラフト重合したような樹脂も含まれる。これらの塩化ビニル樹脂は、懸濁重合、乳化重合、溶液重合、塊状重合など、従来から知られているいずれの製造法によって作られてもよい。塩化ビニル樹脂の平均重合度は、JIS K 6721にしたがって測定した値が、800〜2,000であることが好ましく、1,000〜1,300であることがより好ましい。塩化ビニル樹脂の平均重合度が800未満であると、得られる電線被覆の機械的強度が不足するおそれがある。塩化ビニル樹脂の平均重合度が2,000を超えると、押出による電線被覆加工を高速で行うことが困難になるおそれがある。
【0006】
本発明組成物は、(B)成分として、可塑剤を、塩化ビニル樹脂100重量部当たり20〜50重量部、より好ましくは30〜40重量部含有する。使用する可塑剤には特に制限はなく、例えば、最終製品である自動車電線に要求される耐熱性、耐寒性、耐油性、非移行性、難燃性などに応じて適宜選定することができる。このような可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジステアリルフタレート、ブチルベンジルフタレートなどのフタル酸エステル系可塑剤;ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジイソデシルアジペートなどのアジピン酸エステル系可塑剤;ジ−n−ヘキシルアゼレート、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、ジイソオクチルアゼレートなどのアゼライン酸エステル系可塑剤;ジ−n−ブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケートなどのセバシン酸エステル系可塑剤;ジ−n−ブチルマレエート、ジ−2−エチルヘキシルマレエートなどのマレイン酸エステル系可塑剤;ジ−n−ブチルフマレート、ジ−2−エチルヘキシルフマレートなどのフマル酸エステル系可塑剤;トリ−n−ヘキシルトリメリテート、トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート、トリ−n−オクチルトリメリテートなどのトリメリット酸エステル系可塑剤;テトラ−2−エチルヘキシルピロメリテート、テトラ−n−オクチルピロメリテートなどのピロメリット酸エステル系可塑剤;トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ−2−エチルヘキシルシトレートなどのクエン酸エステル系可塑剤;ジエチルイタコネート、ジブチルイタコネート、ジ−2−エチルヘキシルイタコネートなどのイタコン酸エステル系可塑剤;ジエチレングリコールジペラルゴネート、ペンタエリスリトールの各種脂肪酸エステルなどのその他の脂肪酸エステル系可塑剤;トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェートなどのリン酸エステル系可塑剤;ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、ジブチルメチレンビスチオグリコレートなどのグリコール系可塑剤;グリセロールモノアセテート、グリセロールトリアセテート、グリセロールトリブチレートなどのグリセリン系可塑剤;エポキシ化大豆油、エポキシブチルステアレート、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジイソデシル、エポキシトリグリセライド、エポキシ化オレイン酸オクチル、エポキシ化オレイン酸デシルなどのエポキシ系可塑剤;アジピン酸系ポリエステル、セバシン酸系ポリエステル、フタル酸系ポリエステルなどのポリエステル系可塑剤、あるいは部分水添ターフェニル、接着性可塑剤、さらにはジアリルフタレート、アクリル系モノマーやオリゴマーなどの重合性可塑剤などを挙げることができる。本発明においては、これらの中でフタル酸エステル系可塑剤を特に好適に使用することができる。これらの可塑剤は1種を単独で用いることができ、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。可塑剤の含有量が塩化ビニル樹脂100重量部当たり20重量部未満であると、押出成形による電線被覆加工を高速で行うことが困難になるおそれがある。可塑剤の含有量が塩化ビニル樹脂100重量部当たり50重量部を超えると、例えば、自動車電線として振動状態で用いられる場合の耐摩耗性が低下するおそれがある。
【0007】
本発明組成物は、(C)成分として、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、錫及びストロンチウムからなる群から選択される少なくとも1種を金属原子とする有機酸金属塩とハイドロタルサイトとの混合物からなる非鉛系安定剤を、塩化ビニル樹脂100重量部当たり1〜10重量部、より好ましくは2〜6重量部含有する。金属塩を形成する有機酸には特に制限はなく、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ネオ酸、2−エチルヘキサン酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、1,2−ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、オクチルメルカプトプロピオン酸などの一塩基性脂肪族カルボン酸;安息香酸、モノクロル安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、ジメチルヒドロキシ安息香酸、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸、トルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、クミン酸、n−プロピル安息香酸、アミノ安息香酸、N,N−ジメチルアミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸、サリチル酸、p−tert−オクチルサリチル酸などの一塩基性芳香族カルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバチン酸、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、メタコン酸、イタコン酸、チオジプロピオン酸などの二塩基性脂肪族カルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、オキシフタル酸、クロルフタル酸、アミノフタル酸などの二塩基性芳香族カルボン酸;アコニット酸などの三塩基性脂肪族カルボン酸;ヘミメリット酸、トリメリット酸などの三塩基性芳香族カルボン酸;メロファン酸、ピロメリット酸などの四塩基性芳香族カルボン酸;メリット酸などの六塩基性芳香族カルボン酸などを挙げることができる。これらの中で、一塩基性脂肪族カルボン酸を好適に使用することができ、炭素数12〜18の脂肪酸を特に好適に使用することができる。
【0008】
ハイドロタルサイトは、一般式 [Mg1-xAlx(OH)2]x+ [(CO3)x/2・mH2O]x-で表される不定比化合物で、プラスに荷電した基本層 [Mg1-xAlx(OH)2]x+と、マイナスに荷電した中間層 [(CO3)x/2・mH2O]x-とからなる層状の結晶構造を有する無機物質である。ここで、xは0より大で0.33以下の範囲の数である。天然品は、Mg6Al2(OH)16CO3・4H2Oとして得られ、合成品は、主としてMg4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2Oの形のものが市販されている。有機酸金属塩とハイドロタルサイトの混合物からなる非鉛系安定剤において、ハイドロタルサイトの含有量は5〜70重量%であることが好ましく、10〜60重量%であることがより好ましい。ハイドロタルサイトの含有量が5重量%未満であると、塩化ビニル樹脂組成物の電気絶縁性が低下するおそれがある。ハイドロタルサイトの含有量が70重量%を超えると、塩化ビニル樹脂組成物の熱安定性が低下するおそれがある。
本発明組成物において、非鉛系安定剤の含有量が塩化ビニル樹脂100重量部当たり1重量部未満であると、例えば、自動車電線として用いられる場合の耐摩耗性が低下するおそれがある。非鉛系安定剤の含有量が塩化ビニル樹脂100重量部当たり10重量部を超えると、過剰の安定剤が電線表面に析出したり、またコスト増になるおそれがある。
【0009】
本発明組成物は、(D)成分として、非鉛系滑剤を、塩化ビニル樹脂100重量部当たり0.5〜3重量部、より好ましくは1〜2.5重量部含有する。使用する非鉛系滑剤には特に制限はなく、例えば、一価又は多価アルコールの脂肪酸エステル、カルナバワックス、キャンデリラワックスなどの天然ワックス、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミドなどの高級脂肪酸誘導体、ポリエチレンオキサイド、低重合度ポリエチレンなどの合成ワックス、パラフィンワックス、ホワイトミネラルオイルなどの石油系滑剤などを挙げることができる。非鉛系滑剤の含有量が塩化ビニル樹脂100重量部当たり0.5重量部未満であると、押出成形による電線被覆加工を高速で行うことが困難になるおそれがある。非鉛系滑剤の含有量が塩化ビニル樹脂100重量部当たり3重量部を超えると、滑剤が電線表面に析出したり、それが引取りローラーなどに付着してすべりを起こして後工程に混乱を招くおそれがある。
【0010】
本発明組成物は、(E)成分として、炭素数12〜18の脂肪族アルコールの二塩基酸エステルを、塩化ビニル樹脂100重量部当たり0.5〜3重量部、より好ましくは1〜2重量部含有する。炭素数12〜18の脂肪族アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコールなどを挙げることができる。脂肪族アルコールの炭素数が11以下であると、加工の際の加熱などによって揮発しやすく、性能が発現しにくくなるおそれがある。脂肪族アルコールの炭素数が19以上であると、塩化ビニル樹脂との相溶性が低下し、ブルームなどの問題が発生しやすくなるおそれがある。二塩基酸エステルを形成する二塩基酸には特に制限はなく、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバチン酸、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、メタコン酸、イタコン酸、チオジプロピオン酸などの二塩基性脂肪族カルボン酸や、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、オキシフタル酸、クロルフタル酸、アミノフタル酸などの二塩基性芳香族カルボン酸などを挙げることができる。これらの脂肪族アルコールと二塩基酸より形成される二塩基酸エステルの中で、ジステアリルフタレート、ジラウリルフタレート、ジステアリルアジペート、ジラウリルアジペートを特に好適に使用することができる。二塩基酸エステルは、遊離のカルボキシル基のないジエステルであることが好ましい。二塩基酸エステルの含有量が塩化ビニル樹脂100重量部当たり0.5重量部未満であると、押出成形による電線被覆加工を高速で行うことが困難になるおそれがある。二塩基酸エステルの含有量が塩化ビニル樹脂100重量部当たり3重量部を超えると、二塩基酸エステルが電線表面に析出したり、それが引取りローラーなどに付着してすべりを起こし、後工程に混乱を招くおそれがある。
【0011】
本発明組成物において、塩化ビニル樹脂100重量部当たりの(B)成分の重量部数(b)と(E)成分の重量部数(e)との積(b)×(e)の値は、25〜60であり、より好ましくは30〜50である。積(b)×(e)の値が25未満であると、成形加工性が劣り、表面状態の滑らか電線被覆を得ることが困難となり、電線被覆の表面がザラザラになるおそれがある。積(b)×(e)の値が60を超えると、過剰の(B)成分又は(E)成分が電線表面に析出したり、それが引取りローラーなどに付着してすべりを起こしたりするおそれがある。
本発明組成物には、さらに必要に応じて、一般的に塩化ビニル樹脂組成物に添加剤として用いられる公知の化合物、例えば、β−ジケトン、有機ホスファイト化合物、エポキシ化合物などを含有させることができる。これらの添加剤により、加工時の熱などに対する初期着色性や、熱安定性などを向上させることができる。
本発明組成物には、コスト低減の目的で、電線被覆材の物性を低下させない範囲で充填剤を配合することができる。配合する充填剤に特に制限はなく、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、クレー、焼成カオリン、タルク、シリカ、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、硫酸バリウムなどを挙げることができる。
平均粒径0.1〜3μmの微細な充填剤を用いれば表面光沢のある被覆電線が得られるが、平均粒径5〜10μmの充填剤を塩化ビニル樹脂100重量部当たり6〜25重量部配合すると光沢のない艶消し状の表面になり美麗である。
本発明の電線被覆用塩化ビニル樹脂組成物は、電気絶縁性と熱安定性に優れ、鉛系の添加剤を含有していないにもかかわらず、押出成形による電線被覆を、例えば、導体外径約1〜1.5mmの細い銅線を用いて500〜600m/分のような高速で行うことができ、しかも非常に滑らかで良好な電線被覆表面状態を得ることができる。本発明の電線は、鉛系の添加剤を含有せず、廃棄物として処理され、埋め立て処分される場合があっても、鉛が溶け出して飲料水などに混入するおそれがないので、自動車電線として特に好適に使用することができる。
【0012】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例において、テスト用押出成形、電線被覆押出加工、体積抵抗率の測定及び熱安定性試験は下記の条件で行った。
(1)テスト用押出成形
テスト用40mm押出機に、内径1mmのストランドダイを取り付けて、塩化ビニル樹脂組成物の押出成形を行う。
押出機スクリュー径:40mmφ。
スクリュー条件:L/D=22、圧縮比=2.5、回転数=20rpm。
設定温度:C1=160℃、C2=170℃、C3=175℃、H=175℃、D=170℃。
ダイス形状:内径=1mmφ、ランド長さ=10mm。
得られた成形品ストランドの表面状態を目視及び指触により観察し、A(滑らか)、B(若干ザラ付き)、C(ザラザラ)、D(極度にザラザラ)の4段階で評価する。
(2)電線被覆押出加工
塩化ビニル樹脂組成物について、クロスヘッドダイを取り付けた70mm押出機を用い、導体外径1.0mmの裸銅線に、加工速度550〜650m/分で、厚さ約0.3mmの被覆、又は、導体外径2.4mmの裸銅線に、加工速度150m/分で、厚さ約0.6mmの被覆を行う。
押出機:電線用70mm押出機。
押出機スクリュー径:70mmφ。
スクリュー条件:L/D=25、圧縮比=2.5、回転数=70rpm。
設定温度(導体外径1.0mmの裸銅線の被覆):C1=160℃、C2=170℃、C3=175℃、C4=175℃、F=170℃、CH=170℃、D=170℃。
設定温度(導体外径2.4mmの裸銅線の被覆):C1=160℃、C2=165℃、C3=170℃、C4=170℃、F=170℃、CH=170℃、D=170℃。
ダイス形状:クロスヘッドダイ、内径1.8mmφ。
スクリーンメッシュ:60×2。
得られた塩化ビニル樹脂被覆電線の表面状態を目視及び指触により観察し、A(滑らか)、B(若干ザラ付き)、C(ザラザラ)、D(極度にザラザラ)の4段階で評価する。
(3)体積抵抗率の測定
JIS K 6723にしたがって行う。
(4)熱安定性試験
JIS K 6723にしたがって行う。
【0013】
実施例1
塩化ビニル樹脂[ZEST1300S、新第一塩ビ(株)、塩化ビニル単独重合体、平均重合度1,300]100重量部、可塑剤[DINP、積水化学工業(株)、ジイソノニルフタレート]20重量部、非鉛系安定剤[アデカスタブRUP103、旭電化工業(株)、炭素数12〜18の脂肪酸のCa/Zn塩(約49重量%)/ハイドロタルサイト(約49重量%)/β−ジケトン(約2重量%)混合物]4重量部、非鉛系滑剤[リケスターSL02、理研ビタミン(株)、多価アルコール脂肪族エステル]1重量部、二塩基酸エステル[フタル酸ジステアリル]2.5重量部及び充填剤[サンライトSL1500、竹原化学工業(株)、炭酸カルシウム、平均粒径2.0μm]5重量部をヘンシェルミキサーを用いて均一に混合し、塩化ビニル樹脂組成物を得た。
得られた組成物を用いてテスト用押出成形を行ったところ、ストランドの表面状態は滑らかであった。また、加工速度550m/分で導体外径1.0mmの電線被覆押出加工を行ったところ、仕上がり外径1.6mmの電線被覆の表面は滑らかであった。
得られた組成物を用いて厚さ1.00mmのシートを作製し、体積抵抗率を測定したところ2.06×1015Ωcmであった。熱安定性試験において、初期着色までの時間は7.5hrであった。
実施例2
非鉛系滑剤[リケスターSL02]の配合量を2重量部、二塩基酸エステル[フタル酸ジステアリル]の配合量を2重量部とした以外は、実施例1と同様にして、塩化ビニル樹脂組成物を調製した。
得られた組成物を用いてテスト用押出成形を行ったところ、ストランドの表面状態は滑らかであった。また、加工速度550m/分で導体外径1.0mmの電線被覆押出加工を行ったところ、仕上がり外径1.6mmの電線被覆の表面は滑らかであった。
得られた組成物を用いて厚さ1.00mmのシートを作製し、体積抵抗率を測定したところ2.04×1015Ωcmであった。熱安定性試験において、初期着色までの時間は7.5hrであった。
【0014】
実施例3〜5
実施例1と同様にして、第1表に示す配合の塩化ビニル樹脂組成物を調製し、テスト用押出成形、電線被覆押出加工、体積抵抗率の測定及び熱安定性試験を行った。
実施例6
塩化ビニル樹脂[ZEST1300S、新第一塩ビ(株)、塩化ビニル単独重合体、平均重合度1,300]100重量部、可塑剤[DINP、積水化学工業(株)、ジイソノニルフタレート]35重量部、非鉛系安定剤[アデカスタブRUP14、旭電化工業(株)、炭素数12〜18の脂肪酸のBa/Zn塩(約49重量%)/ハイドロタルサイト(約49重量%)/β−ジケトン(約2重量%)混合物]4重量部、非鉛系滑剤[リケスターSL02、理研ビタミン(株)、多価アルコール脂肪族エステル]2重量部、二塩基酸エステル[フタル酸ジステアリル]1重量部及び充填剤[サンライトSL1500、竹原化学工業(株)、炭酸カルシウム、平均粒径2.0μm]5重量部をヘンシェルミキサーを用いて均一に混合し、塩化ビニル樹脂組成物を得た。
得られた組成物を用いてテスト用押出成形を行ったところ、ストランドの表面状態は滑らかであった。また、加工速度600m/分で導体外径1.0mmの電線被覆押出加工を行ったところ、仕上がり外径1.6mmの電線被覆の表面は滑らかであった。
得られた組成物を用いて厚さ1.00mmのシートを作製し、体積抵抗率を測定したところ1.10×1014Ωcmであった。熱安定性試験において、初期着色までの時間は6.5hrであった。
実施例7
非鉛系安定剤[アデカスタブRUP14]の代わりに、非鉛系安定剤[LH−1、堺化学工業(株)、炭素数12〜18の脂肪酸のCa/Zn塩(約85重量%)/ハイドロタルサイト(約15重量%)混合物]を用いた以外は、実施例6と同様にして、塩化ビニル樹脂組成物を調製した。
得られた組成物を用いてテスト用押出成形を行ったところ、ストランドの表面状態は滑らかであった。また、加工速度600m/分で導体外径1.0mmの電線被覆押出加工を行ったところ、仕上がり外径1.6mmの電線被覆の表面は滑らかであった。
得られた組成物を用いて厚さ1.00mmのシートを作製し、体積抵抗率を測定したところ1.08×1014Ωcmであった。熱安定性試験において、初期着色までの時間は7.5hrであった。
【0015】
実施例8
非鉛系安定剤[アデカスタブRUP14]の代わりに、非鉛系安定剤[ステアリン酸リチウム(42.5重量%)/ステアリン酸錫(42.5重量%)/ハイドロタルサイト(15重量%)混合物]を用いた以外は、実施例6と同様にして、塩化ビニル樹脂組成物を調製した。
得られた組成物を用いてテスト用押出成形を行ったところ、ストランドの表面状態は滑らかであった。また、加工速度600m/分で導体外径1.0mmの電線被覆押出加工を行ったところ、仕上がり外径1.6mmの電線被覆の表面は滑らかであった。
得られた組成物を用いて厚さ1.00mmのシートを作製し、体積抵抗率を測定したところ6.10×1013Ωcmであった。熱安定性試験において、初期着色までの時間は6.0hrであった。
実施例9
非鉛系安定剤[アデカスタブRUP14]の代わりに、非鉛系安定剤[ステアリン酸ストロンチウム(42.5重量%)/ステアリン酸亜鉛(42.5重量%)/ハイドロタルサイト(15重量%)混合物]を用いた以外は、実施例6と同様にして、塩化ビニル樹脂組成物を調製した。
得られた組成物を用いてテスト用押出成形を行ったところ、ストランドの表面状態は滑らかであった。また、加工速度600m/分で導体外径1.0mmの電線被覆押出加工を行ったところ、仕上がり外径1.6mmの電線被覆の表面は滑らかであった。
得られた組成物を用いて厚さ1.00mmのシートを作製し、体積抵抗率を測定したところ1.05×1014Ωcmであった。熱安定性試験において、初期着色までの時間は6.5hrであった。
【0016】
実施例10
塩化ビニル樹脂[ZEST1300S、新第一塩ビ(株)、塩化ビニル単独重合体、平均重合度1,300]100重量部、可塑剤[DINP、積水化学工業(株)、ジイソノニルフタレート]50重量部、非鉛系安定剤[アデカスタブRUP103、旭電化工業(株)、炭素数12〜18の脂肪酸のCa/Zn塩(約49重量%)/ハイドロタルサイト(約49重量%)/β−ジケトン(約2重量%)混合物]3重量部、非鉛系滑剤[リケスターSL02、理研ビタミン(株)、多価アルコール脂肪族エステル]1重量部、二塩基酸エステル[フタル酸ジステアリル]0.8重量部及び充填剤[サンライトSL1500、竹原化学工業(株)、炭酸カルシウム、平均粒径2.0μm]20重量部をヘンシェルミキサーを用いて均一に混合し、塩化ビニル樹脂組成物を得た。
得られた組成物を用いてテスト用押出成形を行ったところ、ストランドの表面状態は滑らかであった。また、加工速度150m/分で導体外径2.4mmの電線被覆押出加工を行ったところ、仕上がり外径3.6mmの電線被覆の表面は滑らかであった。
得られた組成物を用いて厚さ1.00mmのシートを作製し、体積抵抗率を測定したところ3.00×1013Ωcmであった。熱安定性試験において、初期着色までの時間は5.0hrであった。
実施例11
塩化ビニル樹脂[ZEST1300S、新第一塩ビ(株)、塩化ビニル単独重合体、平均重合度1,300]100重量部、可塑剤[DINP、積水化学工業(株)、ジイソノニルフタレート]40重量部、非鉛系安定剤[アデカスタブRUP103、旭電化工業(株)、炭素数12〜18の脂肪酸のCa/Zn塩(約49重量%)/ハイドロタルサイト(約49重量%)/β−ジケトン(約2重量%)混合物]4重量部、非鉛系滑剤[リケスターSL02、理研ビタミン(株)、多価アルコール脂肪族エステル]2重量部、二塩基酸エステル[フタル酸ジステアリル]1重量部及び充填剤[サンライトSL100、竹原化学工業(株)、炭酸カルシウム、平均粒径6.0μm]10重量部をヘンシェルミキサーを用いて均一に混合し、塩化ビニル樹脂組成物を得た。
得られた組成物を用いてテスト用押出成形を行ったところ、ストランドの表面状態は艶消しで滑らかであった。また、加工速度600m/分で導体外径1.0mmの電線被覆押出加工を行ったところ、仕上がり外径1.6mmの電線被覆の表面は艶消しで滑らかであった。
得られた組成物を用いて厚さ1.00mmのシートを作製し、体積抵抗率を測定したところ5.04×1013Ωcmであった。熱安定性試験において、初期着色までの時間は6.9hrであった。
実施例1〜11の配合組成を第1表に、結果を第2表に示す。
【0017】
【表1】
Figure 0003965438
【0018】
【表2】
Figure 0003965438
【0019】
[注]
1)ZEST1300S、新第一塩ビ(株)、塩化ビニル単独重合体、平均重合度1,300。
2)DINP、積水化学工業(株)、ジイソノニルフタレート。
3)鉛系安定剤:スタビネクスTC、水澤化学工業(株)、三塩基性硫酸鉛。
4)鉛系滑剤:スタビネクスNC18、水澤化学工業(株)、ステアリン酸鉛。
5)非鉛系安定剤A:アデカスタブRUP103、旭電化工業(株)、炭素数12〜18の脂肪酸のCa/Zn塩(約49重量%)/ハイドロタルサイト(約49重量%)/β−ジケトン(約2重量%)混合物。
6)非鉛系安定剤B:アデカスタブRUP14、旭電化工業(株)、炭素数12〜18の脂肪酸のBa/Zn塩(約49重量%)/ハイドロタルサイト(約49重量%)/β−ジケトン(約2重量%)混合物。
7)非鉛系安定剤C:LH−1、堺化学工業(株)、炭素数12〜18の脂肪酸のCa/Zn塩(約85重量%)/ハイドロタルサイト(約15重量%)混合物。
8)非鉛系安定剤D:ステアリン酸リチウム(42.5重量%)/ステアリン酸錫(42.5重量%)/ハイドロタルサイト(15重量%)混合物。
9)非鉛系安定剤E:ステアリン酸ストロンチウム(42.5重量%)/ステアリン酸亜鉛(42.5重量%)/ハイドロタルサイト(15重量%)混合物。
10)非鉛系安定剤F:アデカスタブGR−22、旭電化工業(株)、炭素数12〜18の脂肪酸のCa/Zn塩系。
11)リケスターSL02、理研ビタミン(株)、多価アルコール脂肪族エステル。
12)フタル酸ジステアリル。
13)充填剤A:サンライトSL1500、竹原化学工業(株)、炭酸カルシウム、平均粒径2.0μm。
14)充填剤B:サンライトSL100、竹原化学工業(株)、炭酸カルシウム、平均粒径6.0μm。
【0020】
【表3】
Figure 0003965438
【0021】
【表4】
Figure 0003965438
【0022】
第2表に見られるように、実施例1〜11の本発明の塩化ビニル樹脂組成物からテスト押出成形により得られるストランドの表面状態は滑らかであり、加工速度550〜650m/分で導体外径1.0mmの電線被覆押出加工及び加工速度150m/分で導体外径2.4mmの電線被覆押出加工を行った電線被覆の表面状態も同様に滑らかである。また、体積抵抗率は3.00×1013〜2.06×1015Ωcmと十分に高く、熱安定性試験における初期着色までの時間は5.0〜7.5hrであって、熱安定性も良好である。すなわち、本発明の電線被覆用塩化ビニル樹脂組成物は、安定剤、滑剤ともに鉛を含有していないにもかかわらず、従来の鉛系安定剤及び鉛系滑剤を用いた塩化ビニル樹脂組成物と同等の押出加工性、電気絶縁性及び熱安定性を有している。
比較例1
塩化ビニル樹脂[ZEST1300S、新第一塩ビ(株)、塩化ビニル単独重合体、平均重合度1,300]100重量部、可塑剤[DINP、積水化学工業(株)、ジイソノニルフタレート]35重量部、鉛系安定剤[スタビネクスTC、水澤化学工業(株)、三塩基性硫酸鉛]4重量部、鉛系滑剤[スタビネクスNC18、水澤化学工業(株)、ステアリン酸鉛]3重量部及び充填剤[サンライトSL1500、竹原化学工業(株)、炭酸カルシウム、平均粒径2.0μm]5重量部をヘンシェルミキサーを用いて均一に混合し、従来技術による塩化ビニル樹脂組成物を得た。
得られた組成物を用いてテスト用押出成形を行ったところ、ストランドの表面状態は滑らかであった。また、加工速度600m/分で電線被覆押出加工を行ったところ、電線被覆の表面状態は滑らかであった。
得られた組成物を用いて厚さ1.00mmのシートを作製し、体積抵抗率を測定したところ1.06×1014Ωcmであった。熱安定性試験において、初期着色までの時間は7.0hrであった。
【0023】
比較例2
比較例1と同様にして、第3表に示す配合の塩化ビニル樹脂組成物を調製し、テスト用押出成形、電線被覆押出加工、体積抵抗率の測定及び熱安定性試験を行った。
比較例3
塩化ビニル樹脂[ZEST1300S、新第一塩ビ(株)、塩化ビニル単独重合体、平均重合度1,300]100重量部、可塑剤[DINP、積水化学工業(株)、ジイソノニルフタレート]20重量部、非鉛系安定剤A[アデカスタブRUP103、旭電化工業(株)、炭素数12〜18の脂肪酸のCa/Zn塩(約49重量%)/ハイドロタルサイト(約49重量%)/β−ジケトン(約2重量%)混合物]4重量部、非鉛系滑剤[リケスターSL02、理研ビタミン(株)、多価アルコール脂肪族エステル]3重量部、二塩基酸エステル[フタル酸ジステアリル]1重量部及び充填剤[サンライトSL1500、竹原化学工業(株)、炭酸カルシウム、平均粒径2.0μm]5重量部をヘンシェルミキサーを用いて均一に混合し、塩化ビニル樹脂組成物を得た。
得られた組成物を用いてテスト用押出成形を行ったところ、ストランドの表面状態はザラザラであったので、電線被覆押出加工は行わなかった。
得られた組成物を用いて厚さ1.00mmのシートを作製し、体積抵抗率を測定したところ2.00×1015Ωcmであった。熱安定性試験において、初期着色までの時間は7.5hrであった。
比較例4〜9
比較例1と同様にして、第3表に示す配合の塩化ビニル樹脂組成物を調製し、テスト用押出成形、電線被覆押出加工(比較例6を除く)、体積抵抗率の測定及び熱安定性試験を行った。
比較例1〜9の配合組成を第3表に、結果を第4表に示す。
【0024】
【表5】
Figure 0003965438
【0025】
[注]
1)ZEST1300S、新第一塩ビ(株)、塩化ビニル単独重合体、平均重合度1,300。
2)DINP、積水化学工業(株)、ジイソノニルフタレート。
3)鉛系安定剤:スタビネクスTC、水澤化学工業(株)、三塩基性硫酸鉛。
4)鉛系滑剤:スタビネクスNC18、水澤化学工業(株)、ステアリン酸鉛。
5)非鉛系安定剤A:アデカスタブRUP103、旭電化工業(株)、炭素数12〜18の脂肪酸のCa/Zn塩(約49重量%)/ハイドロタルサイト(約49重量%)/β−ジケトン(約2重量%)混合物。
6)非鉛系安定剤B:アデカスタブRUP14、旭電化工業(株)、炭素数12〜18の脂肪酸のBa/Zn塩(約49重量%)/ハイドロタルサイト(約49重量%)/β−ジケトン(約2重量%)混合物。
7)非鉛系安定剤C:LH−1、堺化学工業(株)、炭素数12〜18の脂肪酸のCa/Zn塩(約85重量%)/ハイドロタルサイト(約15重量%)混合物。
8)非鉛系安定剤D:ステアリン酸リチウム(42.5重量%)/ステアリン酸錫(42.5重量%)/ハイドロタルサイト(15重量%)混合物。
9)非鉛系安定剤E:ステアリン酸ストロンチウム(42.5重量%)/ステアリン酸亜鉛(42.5重量%)/ハイドロタルサイト(15重量%)混合物。
10)非鉛系安定剤F:アデカスタブGR−22、旭電化工業(株)、炭素数12〜18の脂肪酸のCa/Zn塩系。
11)リケスターSL02、理研ビタミン(株)、多価アルコール脂肪族エステル。
12)フタル酸ジステアリル。
13)充填剤A:サンライトSL1500、竹原化学工業(株)、炭酸カルシウム、平均粒径2.0μm。
14)充填剤B:サンライトSL100、竹原化学工業(株)、炭酸カルシウム、平均粒径6.0μm。
【0026】
【表6】
Figure 0003965438
【0027】
第2表と第4表の結果を比較することにより、次の事項が明らかとなる。すなわち、可塑剤の配合量が20重量部である実施例1、実施例2及び比較例3を対比すると、(E)成分の二塩基酸エステルの配合量が2.5重量部、2重量部で、積(b)×(e)が50、40である実施例1、実施例2の塩化ビニル樹脂組成物は押出加工性が良好であるのに対して、(E)成分の二塩基酸エステルの配合量が1重量部で積(b)×(e)が20である比較例3の塩化ビニル樹脂組成物は、押出加工性が不良でストランド表面はザラザラとなる。
また、可塑剤の配合量が35重量部である実施例3、実施例4、比較例4及び比較例5を対比すると、(E)成分である二塩基酸エステルの配合量が1.5重量部、1重量部で、積(b)×(e)が52.5、35である実施例3、実施例4の塩化ビニル樹脂組成物は押出加工性が良好であるのに対して、(E)成分の二塩基酸エステルの配合量が0.5重量部で積(b)×(e)が17.5である比較例4の塩化ビニル樹脂組成物は、押出加工性がやや劣りストランド表面が若干ザラザラになり、(E)成分の二塩基酸エステルを配合していない比較例5の塩化ビニル樹脂組成物は、押出加工性が悪くストランド表面が極度にザラザラになる。
さらに、可塑剤の配合量が50重量部である実施例5、実施例10、比較例6及び比較例7を対比すると、(E)成分である二塩基酸エステルの配合量が0.5重量部、0.8重量部で、積(b)×(e)が25、40である実施例5、実施例10の塩化ビニル樹脂組成物は押出加工性が良好であるのに対して、(E)成分の二塩基酸エステルを配合していない比較例6の塩化ビニル樹脂組成物は、押出加工性が不良でストランド表面がザラザラになり、(E)成分の二塩基酸エステルの配合量が0.4重量部で積(b)×(e)が20である比較例7の塩化ビニル樹脂組成物は、押出加工性がやや劣りストランド表面が若干ザラザラになる。
比較例8の塩化ビニル樹脂組成物は、(B)成分の可塑剤の配合量が35重量部、(E)成分の二塩基酸エステルの配合量が1重量部で、積(b)×(e)は35であり、押出加工性は良好であるが、(C)成分の代わりに、ハイドロタルサイトが混合されていない炭素数12〜18の脂肪酸のCa/Zn塩系の非鉛系安定剤を配合しているので、体積抵抗率が低く、電気絶縁性が劣っている。
比較例9の塩化ビニル樹脂組成物は、(A)〜(D)成分は実施例1と類似の配合であるが、積(b)×(e)の値が60を超えるものである。この組成物の成形直後のストランド表面、電線被覆表面ともに滑らかで加工速度も十分であり、体積抵抗率も十分に大きい成形品を得たが、引取りローラーですべりが生じ、後続のカッティングを円滑に行うことができなかった。
次に、実施例4、実施例10及び実施例11で得られた3種の電線を代表例に選び、自動車用薄肉低圧電線規格 JASO D 611(JIS C 3406)の耐電圧、絶縁抵抗、絶縁体の引張試験、耐油性、耐熱性、低温性、難燃性、熱収縮性、耐摩耗性の評価項目に従って試験を行った。結果を第5表に示す。
【0028】
【表7】
Figure 0003965438
【0029】
第5表に見られるように、本発明の電線は、自動車用薄肉低圧電線規格に定める規格値にすべて合格している。
【0030】
【発明の効果】
本発明の電線被覆用塩化ビニル樹脂組成物によれば、従来の鉛化合物を配合した電線被覆用塩化ビニル樹脂組成物と同等に良好な押出加工性と電気絶縁性を有しながら、電線廃棄物から鉛化合物の溶出の危険のない非鉛系の塩化ビニル被覆電線製品を得ることが可能となる。本発明の電線は、鉛系の添加剤を含有せず、廃棄物として処理され、埋め立て処分される場合があっても、鉛が溶け出して飲料水などに混入するおそれがないので、自動車電線として特に好適に使用することができる。

Claims (2)

  1. (A)塩化ビニル樹脂100重量部、(B)ジイソノニルフタレート可塑剤20〜50重量部、(C)リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、錫及びストロンチウムからなる群から選択される2種を金属原子とする有機酸金属塩とハイドロタルサイトとの混合物であって、ハイドロタルサイトの含有量が、5〜70重量%である非鉛系安定剤1〜10重量部、(D)非鉛系滑剤0.5〜3重量部及び(E)フタル酸ジステアリル0.5〜3重量部を含有し、かつ(B)成分の重量部数(b)と(E)成分の重量部数(e)との積(b)×(e)の値が25〜60であることを特徴とする電線被覆用塩化ビニル樹脂組成物。
  2. (A)塩化ビニル樹脂100重量部、(B)ジイソノニルフタレート可塑剤20〜50重量部、(C)リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、錫及びストロンチウムからなる群から選択される2種を金属原子とする有機酸金属塩とハイドロタルサイトとの混合物であって、ハイドロタルサイトの含有量が、5〜70重量%である非鉛系安定剤1〜10重量部、(D)非鉛系滑剤0.5〜3重量部、(E)フタル酸ジステアリル0.5〜3重量部及び(F)平均粒径0.1〜10μmの無機充填剤3〜25重量部を含有し、かつ(B)成分の重量部数(b)と(E)成分の重量部数(e)との積(b)×(e)の値が25〜60である電線被覆用塩化ビニル樹脂組成物を、導体外周に被覆押出成形してなることを特徴とする電線。
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