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JP3965542B2 - クロム酸化物含有土壌の処理方法 - Google Patents
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JP3965542B2 - クロム酸化物含有土壌の処理方法 - Google Patents

クロム酸化物含有土壌の処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、クロム酸化物含有土壌の処理方法に関し、さらに詳しくは、クロム酸化物含有土壌中のCr6+をCr3+などに還元するクロム酸化物含有土壌の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
重クロム酸ナトリウムなどのクロム化合物の製造の際に発生するクロム鉱滓は、数%のクロム酸化物を含有し、その一部が、過酸化クロム、すなわちCr6+として存在する。
現在、クロム鉱滓は、還元焙焼し、Cr6+をCr3+に還元し無害化したり、クロム鉱滓、汚染土壌と、硫酸第一鉄を混合することにより還元して無害化する方法が知られている(都市と廃棄物、Vol.7 、No.2、p.43参照)。
【0003】
また、枯葉を、クロム溶出水に散布することによりCr6+の還元を行う方法が知られている(水、Vol.34、No.11 、p.18、1992参照)。
しかし、上記した還元焙焼による処理方法は設備が大規模になり、また硫酸第一鉄による処理方法は、硫酸第一鉄が大気中の酸素と反応し易いため、すぐに還元能力を失うことから、クロム鉱滓、Cr6+含有汚染土壌などの環境庁告示46号法によるCr6+の溶出量を環境基準値以下、すなわち0.05mg/l以下にするには、大量の硫酸第一鉄が必要である。
【0004】
また、枯葉による処理方法は、溶出水には効果が認められるものの、大量の枯葉を必要とする問題があり、かつ土壌などの固形物に対する効果が不明である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記した従来技術の問題点を解決し、重クロム酸ナトリウムなどのクロム化合物の製造の際に発生するクロム鉱滓やCr6+イオンを含む廃液などによって汚染された、クロム酸化物含有土壌中のCr6+の還元処理を短時間で行うことが可能なクロム酸化物含有土壌の処理方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、クロム酸化物含有土壌と、未エージング高炉徐冷スラグ、溶銑予備処理スラグ高炉スラグ溶出水から選ばれる1種以上とを接触せしめることを特徴とするクロム酸化物含有土壌の処理方法である。
上記した第1の発明の第1の好適態様は、クロム酸化物含有土壌と、未エージング高炉徐冷スラグ、溶銑予備処理スラグ高炉スラグ溶出から選ばれる1種以上とを混合、接触せしめることを特徴とするクロム酸化物含有土壌の処理方法である。
【0007】
第2の発明は、クロム酸化物含有土壌と、未エージング高炉徐冷スラグ、溶銑予備処理スラグ高炉スラグ溶出水から選ばれる1種以上とを混合し、得られた混合物を埋設することを特徴とするクロム酸化物含有土壌の処理方法である。
上記した第2の発明の第1の好適態様は、クロム酸化物含有土壌層を掘削した後、掘削したクロム酸化物含有土壌と未エージング高炉徐冷スラグ、溶銑予備処理スラグ高炉スラグ溶出水から選ばれる1種以上とを混合し、埋め戻すことを特徴とするクロム酸化物含有土壌の処理方法である。
【0008】
第3の発明は、クロム酸化物含有土壌に、未エージング高炉徐冷スラグ、溶銑予備処理スラグ高炉スラグ溶出水から選ばれる1種以上を注入することを特徴とするクロム酸化物含有土壌の処理方法である。
前記した第3の発明の第1の好適態様は、クロム酸化物含有土壌層に管を埋設するかまたは穴を穿設するかまたはその両者を施工し、管および/または穴によって、未エージング高炉徐冷スラグ、溶銑予備処理スラグ高炉スラグ溶出水から選ばれる1種以上を注入することを特徴とするクロム酸化物含有土壌の処理方法である。
【0009】
前記した第3の発明の第2の好適態様、第3の好適態様は、それぞれ、前記した第3の発明、第3の発明の第1の好適態様において、少なくとも高炉スラグ溶出水を注入すると共に、クロム酸化物含有土壌中の水を排出することを特徴とするクロム酸化物含有土壌の処理方法である。
また、上記した第3の発明の第2の好適態様、第3の好適態様においては、クロム酸化物含有土壌層に2本以上の管を埋設するかまたは2本以上の穴を穿設するかまたは管の埋設および穴の穿設の両者を施工し、少なくとも1本の管または穴によって、クロム酸化物含有土壌に高炉スラグ溶出水を注入すると共に、他の少なくとも1本の管または穴によって、クロム酸化物含有土壌中の水を排出することが好ましい(第3の発明の第4の好適態様、第5の好適態様)。
【0010】
また、上記した第3の発明の第2の好適態様〜第5の好適態様においては、クロム酸化物含有土壌に高炉スラグ溶出水を注入しつつ該クロム酸化物含有土壌中から水を排出することがより好ましい(第3の発明の第6の好適態様〜第9の好適態様)。
第4の発明は、前記した第1の発明〜第3の発明、第1の発明〜第3の発明のそれぞれの好適態様のクロム酸化物含有土壌の処理方法において、クロム酸化物含有土壌に、さらに、アルカリ性化合物を接触もしくは混合もしくは注入することを特徴とするクロム酸化物含有土壌の処理方法である。
【0011】
前記した第4の発明においては、クロム酸化物含有土壌と、未エージング高炉徐冷スラグ、溶銑予備処理スラグ高炉スラグ溶出水から選ばれる1種以上とを接触せしめ、さらにアルカリ性化合物を接触せしめるに際して、クロム酸化物含有土壌と、未エージング高炉徐冷スラグ、溶銑予備処理スラグ高炉スラグ溶出水から選ばれる1種以上と、アルカリ性化合物の3者もしくは4者を同時に接触せしめることが好ましいが、その接触の順序は特に制限されるものではない。
【0012】
また、前記した第4の発明においては、クロム酸化物含有土壌と、未エージング高炉徐冷スラグ、溶銑予備処理スラグ高炉スラグ溶出水から選ばれる1種以上とを混合し、さらにアルカリ性化合物を混合せしめるに際して、クロム酸化物含有土壌と、未エージング高炉徐冷スラグ、溶銑予備処理スラグ高炉スラグ溶出水から選ばれる1種以上と、アルカリ性化合物の3者もしくは4者を同時に混合し、得られた混合物を埋設することが好ましいが、その混合、埋設の順序は特に制限されるものではない。
【0013】
また、前記した第4の発明においては、クロム酸化物含有土壌に、未エージング高炉徐冷スラグ、溶銑予備処理スラグ高炉スラグ溶出水から選ばれる1種以上を注入し、さらにアルカリ性化合物を注入するに際して、クロム酸化物含有土壌に、未エージング高炉徐冷スラグ、溶銑予備処理スラグ高炉スラグ溶出水から選ばれる1種以上とアルカリ性化合物の2者もしくは3者を同時に注入することが好ましいが、その注入の順序は特に制限されるものではない。
【0014】
また、前記した第1の発明〜第4の発明、第1の発明の第1の好適態様、第2の発明の第1の好適態様、第3の発明の第1の好適態様〜第9の好適態様、第4の発明においては、前記した未エージング高炉徐冷スラグ、溶銑予備処理スラグ高炉スラグ溶出水から選ばれる1種以上の少なくともいずれかが、酸化数が+5価以下の硫黄を含有することが好ましい(第1の発明の第2の好適態様、第3の好適態様、第2の発明の第2の好適態様、第3の好適態様、第3の発明の第10の好適態様〜第19の好適態様、第4の発明の第1の好適態様)。
【0015】
さらに、前記した第1の発明〜第4の発明、第1の発明の第1の好適態様〜第3の好適態様、第2の発明の第1の好適態様〜第3の好適態様、第3の発明の第1の好適態様〜第19の好適態様、第4の発明の第1の好適態様においては、前記したスラグ、未エージング高炉徐冷スラグおよび/または溶銑予備処理スラグとしたことが特徴である
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明者らは、試薬のCrO3を純水に溶解し、Cr6+濃度を100mg/l とした溶液10リットルに、冷却、破砕直後の未エージング高炉徐冷スラグまたは溶銑予備処理スラグを100g添加し、6時間震盪後、溶液中のCr6+の濃度の測定結果からCr6+の減少量を調査した。
【0017】
表1に調査結果を示す。
【0018】
【表1】
Figure 0003965542
【0019】
表1においては、還元能力として、未エージング高炉徐冷スラグまたは溶銑予備処理スラグそれぞれ1kg当たりの、溶液中Cr6+の減少量を、還元能力として示した。
表1に示すように、未エージング高炉徐冷スラグ、溶銑予備処理スラグがCr6+を還元する能力を有することが分かる。
【0020】
未エージング高炉徐冷スラグ、溶銑予備処理スラグがCr6+の還元能力を有する理由は、これらの物質中に存在するS、S2- 、S2O3 2-などの酸化数が+5価以下の還元性硫黄が酸化することによってCr6+が還元されるためと考えられる。
次に、本発明者らは、試薬のCrO3を純水に溶解し、Cr6+濃度を100mg/l とした溶液10リットルに、酸化数が+5価以下の還元性硫黄を0.05重量%含有する高炉スラグ溶出水100gを添加し、6時間震盪後、溶液中のCr6+の濃度の測定結果からCr6+の減少量を調査した。
【0021】
表2に調査結果を示す。
【0022】
【表2】
Figure 0003965542
【0023】
表2においては、還元能力として、高炉スラグ溶出水1kgあたりの、溶液中Cr6+の減少量を、還元能力として示した。
表2に示すように、高炉スラグ溶出水を用いた場合も、単位重量当たり、未エージング高炉徐冷スラグと同等のCr6+の還元能力を有することが分かる。
以上の実験結果および土壌の処理実験結果に基づき、本発明者らは、クロム酸化物含有土壌中のCr6+を効果的かつ経済性に優れた方法でCr3+などに還元する方法として、好ましくは▲1▼スラグ、高炉スラグ溶出水を土壌と混合する方法、▲2▼スラグ、高炉スラグ溶出水を土壌に注入する方法によって、クロム酸化物含有土壌とスラグ、高炉スラグ溶出水とを接触せしめる本発明に想到した。
【0024】
以下、本発明における[I] クロム酸化物含有土壌、[II]スラグ、[III] 高炉スラグ溶出水、[IV]クロム酸化物含有土壌の処理方法の順に説明する。
[I] クロム酸化物含有土壌:
クロム酸化物含有土壌とは、クロム鉱滓やCr6+廃液などで汚染されたCrO3、CrO4 2-などCr6+を含有する土壌である。
【0025】
[II]スラグ:
本発明で用いられるスラグは未エージング高炉徐冷スラグおよび/または溶銑予備処理スラグであるが、酸化数が+5価以下の硫黄を含有することが好ましい。
これは、クロム酸化物含有土壌と酸化数が+5価以下の硫黄を含有するスラグとを接触せしめることによって、スラグ中の酸化数が+5価以下の硫黄とCr6+が反応し、クロム酸化物含有土壌中のCr6+が還元されるためである。
【0026】
本発明においては、スラグとして、未エージング高炉徐冷スラグおよび/または溶銑予備処理スラグを用い
なお、上記した未エージング高炉徐冷スラグとは、黄濁水を発生するスラグ、すなわち、JIS A 5015付属書1の呈色判定試験方法により、呈色があるスラグのことであり、概ね、自然エージング3ヶ月未満の高炉徐冷スラグである。
【0027】
さらには、冷却、破砕直後、すなわち破砕後1週間以内の高炉徐冷スラグである未エージング高炉徐冷スラグを用いることが、より好ましい。
また、上記した溶銑予備処理スラグは、高炉において溶銑の脱硫、脱燐を行う際に得られるスラグである。
上記したスラグを用いる利点として、下記▲1▼、▲2▼が挙げられる。
【0028】
▲1▼処理時間の短縮:
上記したスラグを用いることによって、短時間で、クロム酸化物含有土壌のCr6+溶出量が、環境基準値である0.05mg/l以下を達成できる。
これに対して、還元剤として単体硫黄を用いた場合、クロム酸化物含有土壌のCr6+溶出量は、環境基準値である0.05mg/l以下を達成することができない。
【0029】
これは、単体硫黄の場合、空気中の酸素で酸化され還元能力が低下するのに対して、スラグ中のS2- 、S2O3 2-などの還元性硫黄成分は、空気中の酸素によって酸化されにくいためと考えられる。
▲2▼還元されて生成したCr3+の安定化:
前記したスラグは、アルカリ性であるため、還元されて生成したCr3+がCr(OH)3 の形態となって安定化される。
【0030】
[III] 高炉スラグ溶出水:
高炉スラグ溶出水としては、酸化数が+5価以下の硫黄を含有する高炉スラグ溶出水を用いることが好ましい。
これは、クロム酸化物含有土壌と酸化数が+5価以下の硫黄を含有する高炉スラグ溶出水とを接触せしめることによって、高炉スラグ溶出水中の酸化数が+5価以下の硫黄とCr6+が反応し、クロム酸化物含有土壌中のCr6+が還元されるためである。
【0031】
また、高炉スラグ溶出水としては、酸化数が+5価以下の硫黄の含有量が合計量で0.03重量%超えである高炉スラグ溶出水を用いることが好ましい。
これは、酸化数が+5価以下の硫黄の含有量が合計量で0.03重量%超えの高炉スラグ溶出水を用いることによって、クロム酸化物含有土壌中のCr6+を効果的に還元できるためである。
【0032】
なお、本発明において、酸化数が+5価以下の硫黄の量とは、全硫黄量からSO4 2+ 中のS分を差し引いた硫黄の量を示す。
さらに、高炉スラグ溶出水としては、例えば、未エージング高炉徐冷スラグに水を散水して得られた溶出水、例えば高炉から排出された高温状態の高炉スラグに水を散水して得られた溶出水が好ましい。
【0033】
また、高炉スラグ溶出水としては、概ね、自然エージング3個月未満の高炉徐冷スラグに水を散水して得られた溶出水を用いることが好ましく、例えば、高温状態の高炉スラグに水を散水して得られた溶出水が好ましい。
上記した高炉スラグ溶出水を用いることによって、短時間で、クロム酸化物含有土壌のCr6+溶出量を、環境基準値である0.05mg/l以下とすることができる。
【0034】
これは、高炉スラグ溶出水中のS2- 、S2O3 2-などの還元性硫黄成分が、空気中の酸素によって酸化されにくいためと考えられる。
高炉スラグ溶出水を用いる場合は、アルカリ性化合物と併用することが好ましい。
これは、アルカリ性化合物と併用することによって、還元されて生成したCr3+がCr(OH)3 の形態となって安定化されるためである。
【0035】
アルカリ性化合物としては、特に制限は受けないが、還元されて生成したCr3+の安定化に対する効果、および経済性の面から、転炉スラグ、Ca(OH)2 、CaCO3 、石灰石およびドロマイトなどから選ばれる1種または2種以上を用いることが好ましい。
[IV]クロム酸化物含有土壌の処理方法:
以下、前記した第1の発明〜第3の発明および各発明のより好適な態様について説明する。
【0036】
(1)第1の発明:
第1の発明は、クロム酸化物含有土壌と、未エージング高炉徐冷スラグ、溶銑予備処理スラグ高炉スラグ溶出水から選ばれる1種以上とを接触せしめるクロム酸化物含有土壌の処理方法である。
上記した第1の発明の第1の好適態様は、クロム酸化物含有土壌と、未エージング高炉徐冷スラグ、溶銑予備処理スラグ高炉スラグ溶出水から選ばれる1種以上とを混合、接触せしめるクロム酸化物含有土壌の処理方法である。
【0037】
上記した第1の発明の第1の好適態様によれば、クロム酸化物含有土壌と未エージング高炉徐冷スラグ、溶銑予備処理スラグ高炉スラグ溶出水から選ばれる1種以上とを混合することによって、クロム酸化物含有土壌が均一にスラグ、高炉スラグ溶出水と接触し、この結果スラグ、高炉スラグ溶出水の使用量を削減しつつ、クロム酸化物含有土壌のCr6+溶出量を環境基準値以下とすることが可能となった。
【0038】
(2)第2の発明:
第2の発明は、クロム酸化物含有土壌と、未エージング高炉徐冷スラグ、溶銑予備処理スラグ高炉スラグ溶出水から選ばれる1種以上とを混合し、得られた混合物を埋設するクロム酸化物含有土壌の処理方法である。
上記した第2の発明の第1の好適態様は、クロム酸化物含有土壌層を掘削した後、掘削したクロム酸化物含有土壌と未エージング高炉徐冷スラグ、溶銑予備処理スラグ高炉スラグ溶出水から選ばれる1種以上とを混合し、埋め戻すクロム酸化物含有土壌の処理方法である。
【0039】
(3)第3の発明:
第3の発明は、クロム酸化物含有土壌に、未エージング高炉徐冷スラグ、溶銑予備処理スラグ高炉スラグ溶出水から選ばれる1種以上を注入するクロム酸化物含有土壌の処理方法である。
すなわち、第3の発明は、未エージング高炉徐冷スラグ、溶銑予備処理スラグ高炉スラグ溶出水から選ばれる1種以上を、クロム酸化物含有土壌に注入することによって、未エージング高炉徐冷スラグ、溶銑予備処理スラグ高炉スラグ溶出水から選ばれる1種以上をクロム酸化物含有土壌と接触させて、クロム酸化物含有土壌中のCr6+を還元する方法である。
【0040】
前記した第3の発明の第1の好適態様は、クロム酸化物含有土壌層に管を埋設するかまたは穴を穿設するかまたはその両者を施工し、管および/または穴によって、未エージング高炉徐冷スラグ、溶銑予備処理スラグ高炉スラグ溶出水から選ばれる1種以上を注入するクロム酸化物含有土壌の処理方法である。
なお、上記した第3の発明、第3の発明の第1の好適態様における未エージング高炉徐冷スラグ、溶銑予備処理スラグ高炉スラグ溶出水から選ばれる1種以上の注入速度および注入期間は特に制限されるものではない。
【0041】
これは、クロム酸化物含有土壌の量、Cr6+含有量により最適注入速度、必要となる注入期間が異なるためである。
また、第3の発明の第1の好適態様における管および穴の本数は特に制限されるものではない。
これは、クロム酸化物含有土壌の量、Cr6+含有量により最適本数が異なるためである。
【0042】
前記した第3の発明の第2の好適態様、第3の好適態様は、それぞれ、前記した第3の発明、第3の発明の第1の好適態様において、少なくとも高炉スラグ溶出水を注入すると共に、クロム酸化物含有土壌中の水を排出するクロム酸化物含有土壌の処理方法である。
すなわち、第3の発明の第2の好適態様、第3の好適態様は、高炉スラグ溶出水を注入するだけでなく、クロム酸化物含有土壌中の水を汲み上げ、排出することによって、注入した高炉スラグ溶出水の土壌中での拡散速度が向上し、短時間での還元処理を可能にするものである。
【0043】
上記した第3の発明の第2の好適態様、第3の好適態様においては、クロム酸化物含有土壌層に2本以上の管を埋設するかまたは2本以上の穴を穿設するかまたは管の埋設および穴の穿設の両者を施工し、少なくとも1本の管または穴によって、クロム酸化物含有土壌に高炉スラグ溶出水を注入すると共に、他の少なくとも1本の管または穴によって、クロム酸化物含有土壌中の水を排出することが好ましい(第3の発明の第4の好適態様、第5の好適態様)。
【0044】
なお、上記した第3の発明の第4の好適態様、第5の好適態様における管および/または穴は、少なくとも、注入用に1本、汲み上げ用に1本を配設し、その本数は特に限定されるものではない。
これは、クロム酸化物含有土壌の量、Cr6+含有量により最適本数が異なるためである。
【0045】
また、上記した第3の発明の第2の好適態様〜第5の好適態様においては、クロム酸化物含有土壌への高炉スラグ溶出水の注入と該クロム酸化物含有土壌中からの水の排出は同時に行うこともでき、経時的に別の時間に行うこともでき、その順序は特に制限されるものではないが、クロム酸化物含有土壌に高炉スラグ溶出水を注入しつつ該クロム酸化物含有土壌中から水を排出することがより好ましい(第3の発明の第6の好適態様〜第9の好適態様)。
【0046】
これは、高炉スラグ溶出水の注入と排出を経時的に並行して行うことによって、クロム酸化物含有土壌の処理時に、常に高炉スラグ溶出水の土壌中での拡散速度を大とすることが可能となり、さらに短時間で還元処理を行うことができるためである。
なお、上記した第3の発明の第6の好適態様〜第9の好適態様における、クロム酸化物含有土壌中の水を排出する速度は、高炉スラグ溶出水の注入速度とほぼ同一速度とすることが好ましく、排出速度が注入速度の0.5 〜2倍であることが好ましい。
【0047】
これは、水を排出する速度が、高炉スラグ溶出水の注入速度よりも極端に遅いと、高炉スラグ溶出水の拡散速度が低下し、必要な処理時間が長くなり、逆に高炉スラグ溶出水の注入速度よりも極端に速いと、高炉スラグ溶出水のクロム酸化物含有土壌層中での滞留時間が短くなり効果が低下するためである。
(4)第4の発明:
第4の発明は、前記した第1の発明〜第3の発明、第1の発明〜第3の発明のそれぞれの好適態様のクロム酸化物含有土壌の処理方法において、クロム酸化物含有土壌に、さらに、アルカリ性化合物を接触もしくは混合もしくは注入することを特徴とするクロム酸化物含有土壌の処理方法である。
【0048】
上記した第4の発明によれば、好ましくは転炉スラグ、Ca(OH)2 、CaCO3 、石灰石およびドロマイトなどから選ばれる1種または2種以上であるアルカリ性化合物を、クロム酸化物含有土壌層に注入することによって、Ca2+などのアルカリ土類金属、アルカリ金属のイオンが水分中に溶解し、クロム酸化物含有土壌層に拡散し、クロム酸化物含有土壌層がアルカリ性となる。
【0049】
この結果、未エージング高炉徐冷スラグ、溶銑予備処理スラグ高炉スラグ溶出水から選ばれる1種以上によって還元されて生成したCr3+を、Cr(OH)3 として安定化させ、Cr3+の再酸化を防止することができる。
なお、高炉スラグ溶出水はpHが10〜11のアルカリ性であり、高炉スラグ溶出水を大量にクロム酸化物含有土壌層に注入する場合は、クロム酸化物含有土壌層は、転炉スラグまたは消石灰などのアルカリ性化合物を注入しなくてもアルカリ性となり、Cr3+がCr(OH)3 として安定化される。
【0050】
したがって、第4の発明は、高炉スラグ溶出水などの注入量が少ないなどの原因により、クロム酸化物含有土壌層がアルカリ性とならない場合に効果的である。
なお、第4の発明における転炉スラグ、消石灰などアルカリ性化合物の粒径は注入可能な粒径であれば特に限定しないが、粒径が小さいほど好ましい。
【0051】
これは、粒径が小さいほどCa2+などアルカリ土類金属、アルカリ金属のイオンの水分中への溶解速度が速く、少量で効果を発揮するからである。
なお、本発明におけるアルカリ性とは、環境庁告示46号法による溶出試験における溶出水のpHが8以上、より好ましくは該溶出水のpHが8.5 以上、さらに好ましくは該溶出水のpHが9以上のことを示す。
【0052】
これは、pHが8以上において、Cr3+がCr(OH)3 として安定化されるためである。
したがって、対象となる土壌の環境庁告示46号法による溶出試験における溶出水のpHが8以上、より好ましくは8.5 以上、さらに好ましくは9以上となるように転炉スラグ、消石灰などのアルカリ性化合物を添加することが好ましい。
【0053】
なお、転炉スラグ、消石灰について、環境庁告示46号法による溶出試験をおこなった際の溶出液のpHは、転炉スラグの場合、pH=12、消石灰の場合、pH=13である。
なお、前記した第4の発明においてクロム酸化物含有土壌にアルカリ性化合物を混合する場合は、クロム酸化物含有土壌と未エージング高炉徐冷スラグ、溶銑予備処理スラグ高炉スラグ溶出水から選ばれる1種以上とアルカリ性化合物とを混合した後、得られた混合物を埋設することが好ましい。
【0054】
また、前記した第4の発明においてクロム酸化物含有土壌にアルカリ性化合物を混合する場合は、クロム酸化物含有土壌層を掘削した後、掘削したクロム酸化物含有土壌と未エージング高炉徐冷スラグ、溶銑予備処理スラグ高炉スラグ溶出水から選ばれる1種以上とアルカリ性化合物とを混合し、埋め戻すことが好ましい。
また、前記した第4の発明においてクロム酸化物含有土壌にアルカリ性化合物を注入する場合は、クロム酸化物含有土壌層に管を埋設するかまたは穴を穿設するかまたはその両者を施工し、管および/または穴によってアルカリ性化合物を注入することが好ましい。
【0055】
さらには、アルカリ性化合物を注入する場合は、アルカリ性化合物を添加した高炉スラグ溶出水を注入することがより好ましい。
なお、前記した第1の発明〜第4の発明、第1の発明〜第4の発明の各好適態様における未エージング高炉徐冷スラグ、溶銑予備処理スラグ高炉スラグ溶出水から選ばれる1種以上の好適な使用量は、土壌の密度、pH、Cr6+含有量などに依存するため、特に限定はされないが、クロム酸化物含有土壌100 重量部に対して使用する未エージング高炉徐冷スラグ、溶銑予備処理スラグ高炉スラグ溶出水から選ばれる1種以上中の酸化数が+5価以下の硫黄の量が合計量として0.05重量部以上、さらに好ましくは0.5 〜5重量部を満足することが好ましい。
【0056】
上記した合計量が少なすぎる場合は、クロム酸化物含有土壌のCr6+溶出量の低減効果が必ずしも十分得られず、逆に多すぎる場合は、Cr6+溶出量の低減効果が飽和し経済的でない。
【0057】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。
本実施例においては、重クロム酸ナトリウム製造の際に発生したクロム鉱滓またはCr6+含有廃液によって汚染された表3に示すCr6+汚染土壌−A、B、Cの処理実験を行った。
【0058】
還元剤としては、下記の還元剤▲1▼〜▲3▼(実施例)、▲4▼、▲5▼(比較例)を用いた。
▲1▼未エージング高炉徐冷スラグ:冷却、破砕後、1週間以内の高炉スラグ、粒径≦25mm
▲2▼溶銑予備処理スラグ:高炉における溶銑の脱硫、脱燐で得られたスラグ、粒径≦25mm
▲3▼高炉スラグ溶出水:高温状態の高炉スラグに水を散水して得られた溶出水、酸化数が+5価以下の硫黄の含有量=0.05wt%
▲4▼硫黄化合物:亜硫酸ナトリウム
▲5▼硫酸第一鉄
また、アルカリ性化合物としては、いずれも粒径が5mm 以下の転炉スラグまたは消石灰を用いた。
【0059】
なお、本実施例におけるCr6+溶出量は、環境庁告示46号法による溶出試験方法に基づいて測定した。
また、酸化数が+5価以下の硫黄の量は、全硫黄量からSO4 2+ 中のS分を差し引いた硫黄の量を示す。
(実施例1〜7)
表3に示すCr6+溶出量がそれぞれ12.3mg/l、1.5mg/l 、0.2mg/l のCr6+汚染土壌−A、B、Cを掘削した後、掘削した土壌−A、土壌−B、土壌−Cと未エージング高炉徐冷スラグまたは溶銑予備処理スラグまたは高炉スラグ溶出水とを混合し、得られた混合物を埋設した。
【0060】
なお、実施例6、7においては、さらにアルカリ性化合物として転炉スラグ、消石灰を上記した還元剤と併用した。
埋設後、経時的に、埋設した土壌をサンプリングし溶出量を測定し、土壌のCr6+溶出量が環境基準値である0.05mg/l以下となるのに必要な日数を調査した。
実験条件および実験結果を、表4に示す。
(実施例8、9、10)
表3に示すCr6+溶出量が12.3mg/lのCr6+汚染土壌−Aの地層に管を埋め込み、高炉スラグ溶出水、または5mm以下に粉砕した転炉スラグを添加した高炉スラグ溶出水、または5mm以下に粉砕した消石灰を添加した高炉スラグ溶出水を管を通じてCr6+汚染土壌−Aの地層に注入した。
【0061】
注入量は、一日当たりの注入量(t) として、0.05×〔汚染土壌量(t) 〕/日とした。
注入開始後、前記した実施例1〜7と同様に、土壌のCr6+溶出量が0.05mg/l以下となるのに必要な日数を調査した。
実験条件および実験結果を、表4に示す。
(実施例11、12)
表3に示すCr6+溶出量が12.3mg/lのCr6+汚染土壌−Aの地層に管を埋め込み、高炉スラグ溶出水または転炉スラグを添加した高炉スラグ溶出水を管を通じてCr6+汚染土壌−Aの地層に注入すると共に、水平方向において上記した注入用の管から10m離れた地層に埋め込んだ管から注入量と同量の水を汲み上げCr6+汚染土壌の水を排出した。
【0062】
注入量および排出量は、一日当たりの注入量(t) 、排出量(t) として、0.1 ×〔汚染土壌量(t) 〕/日とした。
注入開始後、前記した実施例1〜7と同様に、土壌のCr6+溶出量が0.05mg/l以下となるのに必要な日数を調査した。
実験条件および実験結果を、表4に示す。
(比較例1、2)
表3に示すCr6+溶出量が12.3mg/lのCr6+汚染土壌−Aを掘削した後、掘削した土壌−Aと亜硫酸ナトリウムまたは硫酸第一鉄とを混合し、得られた混合物を埋設した。
【0063】
埋設後、経時的に、埋設した土壌をサンプリングし溶出量を測定し、土壌のCr6+溶出量が0.05mg/l以下となるのに必要な日数を調査した。
実験条件および実験結果を、表4に示す。
(比較例3)
表3に示すCr6+溶出量が12.3mg/lのCr6+汚染土壌−Aの地層に管を埋め込み、亜硫酸ナトリウムを溶解させた水を、管を通じてCr6+汚染土壌−Aの地層に注入した。
【0064】
注入量は、一日当たりの注入量(t) として、0.05×〔汚染土壌量(t) 〕/日とした。
注入開始後、前記した実施例1〜7と同様に、土壌のCr6+溶出量が0.05mg/l以下となるのに必要な日数を調査した。
実験条件および実験結果を、表4に示す。
(比較例4)
表3に示すCr6+溶出量が12.3mg/lのCr6+汚染土壌−Aの地層に管を埋め込み、亜硫酸ナトリウムを溶解させた水を、管を通じてCr6+汚染土壌−Aの地層に注入すると共に、水平方向において上記した注入用の管から10m離れた地層に埋め込んだ管から注入量と同量の水を汲み上げCr6+汚染土壌の水を排出した。
【0065】
注入量および排出量は、一日当たりの注入量(t) 、排出量(t) として、0.1 ×〔汚染土壌量(t) 〕/日とした。
注入開始後、前記した実施例1〜7と同様に、土壌のCr6+溶出量が0.05mg/l以下となるのに必要な日数を調査した。
実験条件および実験結果を、表4に示す。
【0066】
表4に示されるように、本発明のクロム酸化物含有土壌の処理方法によれば、下記の効果が得られる。
(1)クロム酸化物含有土壌と還元剤との混合、埋設による、汚染土壌のCr6+溶出量の大幅な低減:
クロム酸化物含有土壌と、酸化数が+5価以下の硫黄を含有する未エージング高炉徐冷スラグ、溶銑予備処理スラグ、高炉スラグ溶出水とを混合し、埋設することによって、スラグ、高炉スラグ溶出水の使用量を削減しつつ、クロム酸化物含有土壌のCr6+の溶出量を環境基準値以下にすることができる。
【0067】
(2)クロム酸化物含有土壌への高炉スラグ溶出水の注入による、汚染土壌のCr6+溶出量の短時間かつ大幅な低減:
クロム酸化物含有土壌に高炉スラグ溶出水を注入することによって、上記した混合、埋設法に対してさらに短時間で、クロム酸化物含有土壌のCr6+の溶出量を環境基準値以下にすることができる。
【0068】
(3)クロム酸化物含有土壌への高炉スラグ溶出水の注入および排出による、汚染土壌のCr6+溶出量の短時間かつ大幅な低減:
クロム酸化物含有土壌に高炉スラグ溶出水を注入するだけでなく、隣接した地層から水を汲み上げ、排出することによって、上記した注入法のみの場合よりもさらに短時間で、クロム酸化物含有土壌のCr6+の溶出量を環境基準値以下にすることができる。
【0069】
(4)アルカリ性化合物との併用による酸性汚染土壌のCr6+溶出量の大幅な低減:還元剤とアルカリ性化合物を併用することによって、Cr6+の還元によって生成したCr3+をCr(OH)3 の形態とし安定化することができ、その結果、酸性汚染土壌のCr6+溶出量を環境基準値以下にすることができる。
【0070】
【表3】
Figure 0003965542
【0071】
【表4】
Figure 0003965542
【0072】
【表5】
Figure 0003965542
【0073】
【発明の効果】
本発明によれば、クロム鉱滓、Cr6+イオン含有廃液などによって汚染されたクロム酸化物含有土壌中のCr6+を短時間で完全に還元し、クロム酸化物含有土壌のCr6+の溶出量を環境基準値以下にすることが可能となった。

Claims (4)

  1. クロム酸化物含有土壌と、未エージング高炉徐冷スラグ、溶銑予備処理スラグ高炉スラグ溶出水から選ばれる1種以上とを接触せしめることを特徴とするクロム酸化物含有土壌の処理方法。
  2. クロム酸化物含有土壌と、未エージング高炉徐冷スラグ、溶銑予備処理スラグ高炉スラグ溶出水から選ばれる1種以上とを混合し、得られた混合物を埋設することを特徴とするクロム酸化物含有土壌の処理方法。
  3. クロム酸化物含有土壌に、未エージング高炉徐冷スラグ、溶銑予備処理スラグ高炉スラグ溶出水から選ばれる1種以上を注入することを特徴とするクロム酸化物含有土壌の処理方法。
  4. 前記した請求項1〜請求項3いずれかに記載のクロム酸化物含有土壌の処理方法において、前記したクロム酸化物含有土壌に、さらに、アルカリ性化合物を接触もしくは混合もしくは注入することを特徴とするクロム酸化物含有土壌の処理方法。
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