JP3967929B2 - 自動周波数制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線伝送系において、受信波のヘテロダイン検波または同期検波に供される局発信号の周波数をその受信波の周波数の偏差に適合した値に保つ自動周波数制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、移動通信システムは、高度に進展したディジタル伝送技術および情報処理技術が適用されることによって付加価値が高められ、かつ端末の価格性能比の向上と市場の自由化とに応じて急速に普及しつつある。
また、移動通信サービスの分野では、複数の通信事業体の参画および競争の下で多様な方式の移動通信システムが現用に供され、これらの移動通信システムの端末(移動局)には、一般に、低廉化、小型化、軽量化、消費電力の節減に併せて、高い性能および信頼性が要求される。
【0003】
したがって、このような移動通信システムの端末では、無線基地局等から到来した受信波のヘテロダイン検波(ホモダイン検波を含む。)や同期検波に供される局発信号は、一般に、無線基地局に搭載される高安定の発振器に比べて安価に、かつ確度高く上述した要求が達成される自動周波数制御(AFC)の下で生成されている。
【0004】
図8は、AFC回路が搭載された端末の受信系の構成例を示す図である。
図において、受信部51には図示されないアンテナに到来した受信波が入力され、この受信部51の最終段には2つのA/D変換器51i、51qが配置される。これらのA/D変換器51i、51qの出力には、上述した受信波が受信部51によってヘテロダイン検波されることによって生成され、かつ互いに直交する2つの復調信号i、qが所定の形式のディジタル信号として出力される。これらの復調信号i、qは周波数弁別器52の対応する入力に与えられ、その周波数弁別器52の出力はループフィルタ(LPF)53および電圧制御発振器(VCO)を介して受信部51の局発入力に接続される。
【0005】
このような構成の受信系では、周波数弁別器52は、信号空間上における復調信号i、qの位相のシンボル周期当たりの変化率として上述した受信波の周波数の偏差を求め、その偏差を時系列の順に瞬時値(ここでは、簡単のため、「電圧」であると仮定する。)として示す誤差信号を出力する。
ループフィルタ53はこのような誤差信号の成分の内、高域に分布する無用な雑音の成分以外の成分を示す信号(以下、このような信号の電圧の瞬時値を「制御電圧」という。)を抽出し、電圧制御発振器54はその抽出された成分が圧縮される方向に発振周波数を逐次更新する。
【0006】
したがって、受信部51は、周波数弁別器52、ループフィルタ53および電圧制御発振器54のように、高安定の発振器に比べて構成が単純であって規模が小さく、かつIC化や高密度実装に適した回路によって生成された局発信号に応じて受信波を安定に、かつ精度よくヘテロダイン検波することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した受信系では、その受信系が搭載された端末に無線基地局から到来する受信波のレベルは、シャドーイング等に起因して大幅に低下し、そのためにSN比が著しく劣化し得る。
このようなシャドーイングが発生している期間には、上述した誤差信号の瞬時値の振幅はランダムに変化し、その振幅の平均値はほぼ「0」となる。
しかし、復調信号には、A/D変換器51i、51qその他の特性の偏差や変動(例えば、温度等の環境条件に応じて変化し得る。)に起因するオフセットだけではなく、A/D変換の過程で生じた量子化誤差も併せて重畳されるために、上述振幅の平均値は実際には「0」とならない。
【0008】
すなわち、シャドーイングが発生している期間には、図9(1) に示すように、電圧制御発振器54に入力される制御電圧も時間の経過と共にシフトし、かつこのようなシャドーイングが解消されても、復調信号i、qのSN比の劣化は、既述のオフセットや量子化雑音に応じて局発信号の周波数に生じた誤差が所定の精度で圧縮される時点までは、是正されない。
【0009】
したがって、チャネル制御の下で基地局との間に形成された何れの無線伝送路も、必ずしも安定には維持されず、通話品質やサービス品質が無用に劣化する可能性があった。
本発明は、基本的な構成が大幅に変更されることなく、無線伝送路の特性の変動に柔軟に適応し、かつ伝送品質を高く維持できる自動周波数制御装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
図1は、本発明の原理ブロック図である。
請求項1に記載の発明では、周波数偏差計測手段11は、受信波の周波数の偏差を計測する。帰還制御手段13は、このようにして計測された偏差が規定の値域に属するか否かの判別を行う。さらに、帰還制御手段13は、その判別の結果が真であるときには、上述した受信波のヘテロダイン検波または同期検波に供される局発信号を生成する可変周波発振手段12にその偏差を負帰還する。しかし、この判別の結果が偽であるときには、帰還制御手段13は、可変周波数発振手段12の発振周波数を一定に保ち、またはこの発振周波数の更新を抑制する。
【0011】
すなわち、周波数偏差計測手段11によって実際に計測された受信波の周波数の偏差は、上述した判別の結果が偽となる程度に大きい場合には、その受信波のヘテロダイン検波または同期検波に供されるべき局発信号の周波数の自動周波数制御に適用されない。
したがって、受信波の周波数に整合した適正値に可変周波発振手段12の自走周波数が等しく、またはその適正値にこの可変周波発振手段12の発振周波数が別途設定される限り、受信波のレベルが一次的に著しく低下した場合であっても、上述したヘテロダイン検波または同期検波の精度は、無用に低下することなく維持される。
【0012】
また、期間特定手段14は、始動時から可変周波発振手段12の発振周波数が定常値となる時点に至る期間を特定する。帰還制御手段13は、このようにして特定された期間には、既述の判別の結果の如何にかかわらず、周波数偏差計測手段11によって計測された偏差を可変周波発振手段12に負帰還する。
【0013】
すなわち、可変周波数発振手段12の発振周波数を受信波の周波数に適合した値に維持するフィードバック制御は、始動直後の過渡応答の過程では、帰還制御手段13によって妨げられることなく速やかに定常状態に移行する。
したがって、始動時における応答性は、帰還制御手段13が備えられても低下することなく、高く維持される。
【0014】
また、期間特定手段14Bは、可変周波発振手段12の発振周波数が切り替えられた時点から、その発振周波数が定常値となる時点に至る期間を特定する。帰還制御手段13は、このようにして特定された期間に、既述の判別の結果の如何にかかわらず、周波数偏差計測手段11によって計測された偏差を可変周波発振手段12に負帰還する。
【0015】
すなわち、可変周波数発振手段12の発振周波数を受信波の周波数に適合した値に維持するフィードバック制御は、受信されるべき受信波の周波数が切り替えられても、帰還制御手段13によって妨げられることなく速やかに定常状態に移行する。
したがって、チャネル切り替えに対する応答性は、帰還制御手段13が備えられても低下することなく、高く維持される。
【0016】
特に、請求項1に記載の発明は、帰還制御手段13は、期間特定手段14、14A、14B、14Cによって特定された期間に、周波数偏差計測手段11によって計測された偏差をその期間以外の期間に適用される帰還率より大きな帰還率で可変周波発振手段12に負帰還する。
すなわち、始動時と、受信されるべき受信波の周波数が切り替えられた場合との何れにおいても、可変周波数発振手段12の発振周波数を受信波の周波数に適合した値に維持するフィードバック制御の定常状態への移行は、上述した帰還率が一定に保たれる場合に比べて、速やかに達成される。
【0017】
したがって、始動時とチャネル切り替えとの双方または何れか一方における応答性が高められる。
また、周波数偏差計測手段11、可変周波数発振手段12、帰還制御手段13および期間特定手段14、14A、14B、14Cの全てまたは一部は、受信波の受信にかかわるチャネル制御に整合した形態で機能する。
【0018】
すなわち、周波数偏差計測手段11、可変周波数発振手段12、帰還制御手段13および期間特定手段14、14A、14B、14Cの全てまたは一部の構成や特性だけではなく、多様なゾーン構成、チャネル配置、周波数配置、多元接続方式、変調方式その他に対する柔軟な適応が可能となる。
したがって、所望の受信波のヘテロダイン検波や同期検波が円滑に達成される。
【0019】
請求項1に記載の発明に関連した第一の技術では、既述の規定の値域は、周波数偏差計測手段11と帰還制御手段13との連係の下で行われる定常的な自動周波数制御の過程で、その周波数偏差計測手段11によって計測され得る偏差の値域である。
すなわち、周波数偏差計測手段11によって実際に計測された受信波の周波数の偏差は、その受信波のヘテロダイン検波または同期検波に供されるべき局発信号の周波数の定常的な自動周波数制御のみに適用される。
【0020】
したがって、シャドーイングやチャネル切り替えに起因して受信波のレベルが著しくの低下した場合であっても、上述したヘテロダイン検波または同期検波の精度は無用に低下することなく高く維持される。
請求項1に記載の発明に関連した第二の技術では、期間特定手段14Aは、始動時から可変周波発振手段12の発振周波数が定常値となることが保証される時点に至る期間を特定する。帰還制御手段13は、このようにして特定された期間には、既述の判別の結果の如何にかかわらず、周波数偏差計測手段11によって計測された偏差を可変周波発振手段12に負帰還する。
【0021】
すなわち、可変周波数発振手段12の発振周波数を受信波の周波数に適合した値に維持するフィードバック制御は、始動直後の過渡応答の過程では、始動時に対する上述した時点の相対的な時間が予め精度よく与えられる限り、その時点の監視が行われることなく速やかに定常状態に移行する。
したがって、始動時における応答性は、帰還制御手段13が備えられても構成が複雑化することなく、高く維持される。
【0022】
請求項1に記載の発明に関連した第三の技術では、期間特定手段14Cは、可変周波発振手段12の発振周波数が切り替えられた時点から、その発振周波数が定常値となることが保証される時点に至る期間を特定する。帰還制御手段13は、このようにして特定された期間に、既述の判別の結果の如何にかかわらず、周波数偏差計測手段11によって計測された偏差を可変周波発振手段12に負帰還する。
【0023】
すなわち、可変周波数発振手段12の発振周波数を受信波の周波数に適合した値に維持するフィードバック制御は、チャネル切り替えが行われた直後の過渡応答の過程では、上述した時点のこのようなチャネル切り替えが行われた時点に対する相対的な時間が予め精度よく与えられる限り、その時点の監視が行われることなく速やかに定常状態に移行する。
【0024】
したがって、始動時における応答性は、帰還制御手段13が備えられても構成が複雑化することなく、高く維持される。
請求項1に記載の発明に関連した第一の技術では、帰還制御手段13は、期間特定手段14、14A、14B、14Cによって特定された期間に既述の判別を省略する。
【0025】
すなわち、このような判別は、可変周波数発振手段12の発振周波数を受信波の周波数に適合した値に維持するフィードバック制御が定常状態に移行する時点まで保留される。
したがって、上述した判別に要する電力および処理量の削減が可能となり、かつコストの削減と信頼性の向上とが総合的に図られる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について詳細に説明する。
図2は、本発明の第一の実施形態を示す図である。
本実施形態では、周波数弁別器52の出力とループフィルタ53との段間に帰還制御部21が備えられる。
図3は、本発明の第一の実施形態の動作を説明する図(1)である。
図4は、本発明の第一の実施形態の動作を説明する図(2)である。
【0027】
以下、図2〜図4を参照して本発明の第一の実施形態の動作を説明する。
受信部51(A/D変換器51i、51q)によって出力される復調信号i、qは、一般に、受信波の角周波数ω、その受信波のベースバンド領域における振幅Aおよび時間tに対して、下式(1) で示される。
i=A1/2・cos(ωt) …(1)
q=A1/2・sin(ωt) …(2)
また、周波数弁別器52によって出力される誤差信号の瞬時値eは、一般に、時間T当たりの位相の変動量を示す下式(3) で与えられるので、図3に示すように、その位相の変動量ΔωT(=θ)の正弦関数として与えられる。
【0028】
e=A・sin(ΔωT) …(3)
したがって、周波数弁別器52およびループフィルタ53が連係して行うフィードバック制御の下で電圧制御発振器54の発振周波数が適正な値域に維持されている状態では、誤差信号の瞬時値eの絶対値は、この電圧制御発振器54によって生成される局発信号の位相のシンボル周期毎の変動量(ここでは、簡単のため、「−Δθ」以上であり、かつ「Δθ(>0)」以下の値をとると仮定する。)に対して、下式(4)で与えられる値aの絶対値以下となる。
【0029】
a=A・sin(Δθ) …(4)
帰還制御部21は、上式(4) で示される値aに対して下記の不等式(5)、(6)が成立する閾値x-、x+が予め与えられる。
x- < −a …(5)
x+ > a …(6)
さらに、帰還制御部21は、周波数弁別器52によってシンボル周期で既述の誤差信号の瞬時値eが与えられる度に、下記の処理を行う。
【0030】
(1) 最新の瞬時値eと、上述した閾値x-、x+とに対して下記の不等式(7) が成立するか否かの判別を行う。
x-≦e≦x+ …(7)
(2) この判別の結果が真である場合には、周波数弁別器52によって出力された誤差信号に何ら処理を施すことなく、その誤差信号をループフィルタ53に引き渡す。
【0031】
(3) しかし、上述した判別の結果が偽である場合には、このような誤差信号に代えて、瞬時値が一定の値(ここでは、簡単のため、「0」であると仮定する。)に設定された代替の誤差信号(以下、「代替誤差信号」という。)をループフィルタ53に与える。
すなわち、ループフィルタ53を介して電圧制御発振器54に与えられる制御電圧の偏差は、例えば、既述のシャドーイングに起因して受信波のレベルが著しく低下したために、上記の不等式(7) が成立しない程度に誤差信号の瞬時値eの絶対値が大きくなった場合であっても、ループフィルタ53に固有の時定数が上述したシンボルの周期に比べて十分に大きい限り、図4(1) に示すように、この電圧制御発振器54の発振周波数が過大に変動しない程度に小さな値に抑制される。
【0032】
したがって、本実施形態によれば、構成が大幅に変更されることなく、受信波の伝搬路の損失が急激にあるいは大幅に変化した期間にも、その受信波のヘテロダイン検波が安定に確度高く行われる。
なお、本実施形態では、上述した閾値x-、x+については、既述の不等式(5)、(6)が成立する限り、例えば、本実施形態が移動通信システムの端末に適用された場合には、その移動通信システムの無線基地局の特性に関して許容され得る最大の偏差、この移動通信システムのゾーン構成、チャネル配置、多元接続方式、変調方式、チャネル制御の方式その他の属性に整合した如何なる値に設定されてもよい。
【0033】
図5は、本発明の第二の実施形態を示す図である。
本実施形態では、既述のループフィルタ53に代えてループフィルタ31が備えられ、そのループフィルタ31の制御端子にスイッチ32の共通接点が接続される。このスイッチ32の一方の接点と他方の接点には、それぞれ後述する係数α、βが与えられ、帰還制御部21の出力は、ループフィルタ31の入力ではなくスイッチ33の一方の接点に接続される。このスイッチ33の他方の接点と共通接点とは、それぞれ周波数弁別器52の出力と、ループフィルタ31の入力とに接続される。スイッチ32、33の制御端子には、タイマ34の出力が接続される。
【0034】
以下、図5を参照して本発明の第二の実施形態の動作を説明する。
まず、受信部51、A/D変換器51i、51q、周波数弁別器52、帰還制御部21、および電圧制御発振器54の動作については、既述の第一の実施形態における動作と同じであるので、ここでは、その説明を省略する。
始動時には、タイマー34は、既定の論理値の制御信号をスイッチ32、33に与え、かつ後述するインターバルに亘って計時を行う。
【0035】
一方、スイッチ32は、ループフィルタ31に、係数α、βの内、「このような制御信号の論理値に対応し、かつ第一の実施形態に備えられたループフィルタ53との対比において、そのループフィルタ31に下記の条件の双方もしくは何れか一方が成立する係数α」を与える。
・ 通過域の全てまたは一部の利得が大きくなる(図6(a)、(b))。
【0036】
・ 通過域の幅が大きくなる(図6(c))。
さらに、スイッチ33は、上述した制御信号の論理値に応じて、周波数弁別器52の出力をループフィルタ31の入力に接続する。
また、上述したインターバルは、『「周波数弁別器52の出力がループフィルタ31の入力に直結され、そのループフィルタ31に係数αが与えられている期間」において、電圧制御発振器54の発振周波数が所望の局発信号の周波数に既定の精度で収束するために要する時間』に予め設定される。
【0037】
タイマー32は、このようなインターバルに亘って計時を完了すると、上述した制御信号の論理値を反転させる。
スイッチ32は、ループフィルタ31に、係数α、βの内、「このような制御信号の論理値に対応し、かつ第一の実施形態に備えられたループフィルタ53の濾波特性と同じ濾波特性がそのループフィルタ31に設定される係数β」を与える。
【0038】
さらに、スイッチ33は、このようにして反転した制御信号の論理値に応じて、周波数弁別器52の出力に代えて帰還制御部21の出力をループフィルタ31の入力に接続する。
すなわち、始動時には、上述したインターバルに等しい時間が経過する時点までは、電圧制御発振器54の出力から受信部51、周波数弁別器52およびループフィルタ31を介してその電圧制御発振器54の制御入力に至る帰還路には、帰還制御部21が介在せず、その帰還路の総合的な利得はこのような時間の経過後における利得より大きな値に設定される。
【0039】
このように本実施形態によれば、始動時には、受信部51に供給される局発信号の周波数は、その局発信号の周波数が「所望の受信波の周波数に適応した局発信号の周波数」と大幅に異なる場合であっても、帰還制御部21が何ら関与することなく可変され、かつ「所望の受信波の周波数に適応した値」に速やかに収束する。
【0040】
したがって、帰還制御部21が備えられても、始動時における自動周波数制御の引き込みに要する時間の無用な増加が回避され、本発明が適用された受信系や端末の性能、伝送品質およびサービス品質が総合的に高く維持される。
なお、本実施形態では、タイマ34は、始動時に限って、既述のインターバルに亘る計時を行い、その計時の開始および終了に同期して上述した制御信号の論理値を更新している。
【0041】
しかし、このような計時と、「その計時の開始および終了に同期してこの制御信号の論理値が更新される処理」とが「チャネル制御の下で行われるチャネル切り替え」に同期して行われることによって、多様なゾーン構成、チャネル配置、周波数配置、多元接続方式および変調方式の組み合わせに対する柔軟な適応が図られてもよい。
【0042】
また、本実施形態では、上述したインターバルは、予め既定の定数として与えられている。
しかし、本発明はこのような構成に限定されず、例えば、電圧制御発振器54の発振周波数が「所望の受信波に適応した局発信号の周波数」に収束した時点(以下、「収束時点」という。)が別途検出される場合には、上述した計時の終了が下記の何れかの時点で図られることによって、ハードウエアの特性の偏差、多様なゾーン構成、チャネル配置、周波数配置、多元接続方式、変調方式その他に対する柔軟な適応が図られてもよい。
【0043】
・ 収束時点
・ 収束時点に対して相対的に決定され、かつ所定のチャネル制御に整合する時点
・ 収束時点と、上述したインターバルに等しい時間が経過した時点との内、時系列の順に先行する時点
さらに、本実施形態では、帰還制御部21は、その帰還制御部21の出力がスイッチ33を介してループフィルタ31の入力に接続されているか否かにかかわらず、既述の判別を行っている。
【0044】
しかし、既述の制御信号の論理値に応じて帰還制御部21の出力がスイッチ33を介してループフィルタ31の入力に接続されている期間が識別され、その期間に限って上述した判別が行われることによって、例えば、無用な電力の消費が回避され、あるいは処理量の削減が図られてもよい。
また、上述した各実施形態では、周波数弁別器52は、受信波がシンボル単位にとり得る全ての信号点の振幅成分が共通であることを前提としてその受信波の周波数の偏差を求めている。
【0045】
しかし、本発明は、このような信号点配置の変調方式が適用された無線伝送系に限定されず、例えば、APSKやQAMのように、個々の信号点の振幅成分が共通ではない変調方式が適用された場合には、図7に示すように、信号空間上における個々の信号点(シンボル)の位相(=tan-1(q/i)) を直接算術演算によって求め、その位相のシンボル周期毎の変化率として受信波の周波数偏差を求める周波数弁別器が既述の周波数弁別器52に代えて備えられてもよい。
【0046】
さらに、上述した各実施形態では、受信部51によってヘテロダイン検波されるべき受信波およびその受信波の周波数が予め与えられ、その周波数に適合した周波数の局発信号が電圧制御発振器54によって生成されている。
しかし、本発明はこのような構成に限定されず、例えば、受信部51、周波数弁別器52、帰還制御部21、ループフィルタ53、31、電圧制御発振器54、タイマ34およびスイッチ32、33の全てまたは一部について、稼働および稼働の形態が所定のチャネル制御の主導の下で決定されることによって、多様な無線伝送系に対する柔軟な適応が図られてもよい。
【0047】
また、上述した各実施形態では、受信部によってヘテロダイン検波されるべき受信波の送信端で適用された変調方式が具体的に示されていない。
しかし、このような変調方式については、本発明では、受信波の周波数偏差の弁別がシンボル単位に所望の精度で達成される限り、ディジタル変調方式とアナログ変調方式との如何なるものであってもよい。
【0048】
さらに、上述した各実施形態では、移動通信システムの端末に搭載され、かつ受信波をヘテロダイン検波する受信系に本発明が適用されている。
しかし、本発明は、このような移動通信システムの端末やヘテロダイン検波が行われる受信系に限定されず、無線伝送路の伝送特性の変動に起因して受信波の電界強度や伝送品質が著しく劣化する可能性がある限り、如何なる無線伝送系にも適用可能である。
【0049】
また、上述した各実施形態では、受信波のヘテロダイン検波に供される局発信号の自動周波数制御に本発明が適用されている。
しかし、本発明は、このような局発信号の自動周波数制御に限定されず、例えば、ベースバンド領域あるいは所望の中間周波領域における受信波の同期検波に供される基準搬送波の自動周波数制御にも同様に適用可能である。
【0050】
さらに、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲において多様な形態による実施形態が可能であり、かつ構成要素の一部もしくは全てに如何なる改良が施されてもよい。
以下、上述した各実施形態に開示された発明の構成を階層的・多面的に整理し、かつ付記項として順次列記する。
【0051】
(付記1) 受信波の周波数の偏差を計測する周波数偏差計測手段11と、
前記周波数偏差計測手段11によって計測された偏差が規定の値域に属するか否かの判別を行い、その判別の結果が真であるときに、前記受信波のヘテロダイン検波、または同期検波に供される局発信号を生成する可変周波発振手段12にその偏差を負帰還し、この判別の結果が偽であるときに、その可変周波数発振手段12の発振周波数を一定に保ち、またはこの発振周波数の更新を抑制する帰還制御手段13と
を備えたことを特徴とする自動周波数制御装置。
(付記2) 付記1に記載の自動周波数制御装置において、
前記規定の値域は、
前記周波数偏差計測手段11と前記帰還制御手段13との連係の下で行われる定常的な自動周波数制御の過程で、その周波数偏差計測手段11によって計測され得る偏差の値域である
ことを特徴とする自動周波数制御装置。
【0052】
(付記3) 付記1または付記2に記載の自動周波数制御装置において、
始動時から前記可変周波発振手段12の発振周波数が定常値となる時点に至る期間を特定する期間特定手段14を備え、
前記帰還制御手段13は、
前記期間特定手段14によって特定された期間に、前記判別の結果の如何にかかわらず、前記周波数偏差計測手段11によって計測された偏差を可変周波発振手段12に負帰還する
ことを特徴とする自動周波数制御装置。
(付記4) 付記1または付記2に記載の自動周波数制御装置において、
始動時から前記可変周波発振手段12の発振周波数が定常値となることが保証される時点に至る期間を特定する期間特定手段14Aを備え、
前記帰還制御手段13は、
前記期間特定手段14Aによって特定された期間に、前記判別の結果の如何にかかわらず、前記周波数偏差計測手段11によって計測された偏差を可変周波発振手段12に負帰還する
ことを特徴とする自動周波数制御装置。
【0053】
(付記5) 付記1または付記2に記載の自動周波数制御装置において、
前記可変周波発振手段12の発振周波数が切り替えられた時点から、その発振周波数が定常値となる時点に至る期間を特定する期間特定手段14Bを備え、
前記帰還制御手段13は、
前記期間特定手段14Bによって特定された期間に、前記判別の結果の如何にかかわらず、前記周波数偏差計測手段11によって計測された偏差を可変周波発振手段12に負帰還する
ことを特徴とする自動周波数制御装置。
(付記6) 付記1または付記2に記載の自動周波数制御装置において、
前記可変周波発振手段12の発振周波数が切り替えられた時点から、その発振周波数が定常値となることが保証される時点に至る期間を特定する期間特定手段14Cを備え、
前記帰還制御手段13は、
前記期間特定手段14Cによって特定された期間に、前記判別の結果の如何にかかわらず、前記周波数偏差計測手段11によって計測された偏差を可変周波発振手段12に負帰還する
ことを特徴とする自動周波数制御装置。
【0054】
(付記7) 付記3ないし付記6に記載の自動周波数制御装置において、
前記帰還制御手段13は、
前記期間特定手段14、14A、14B、14Cによって特定された期間に前記判別を省略する
ことを特徴とする自動周波数制御装置。
【0055】
(付記8) 付記3ないし付記7の何れか1項に記載の自動周波数制御装置において、
前記帰還制御手段13は、
前記期間特定手段14、14A、14B、14Cによって特定された期間に、前記周波数偏差計測手段11によって計測された偏差をその期間以外の期間に適用される帰還率より大きな帰還率で前記可変周波発振手段12に負帰還する
ことを特徴とする自動周波数制御装置。
(付記9) 付記1ないし付記8の何れか1項に記載の自動周波数制御装置において、
前記周波数偏差計測手段11、前記可変周波発振手段12、前記帰還制御手段13および期間特定手段14、14A、14B、14Cの全てまたは一部は、
前記受信波の受信にかかわるチャネル制御に整合した形態で機能する
ことを特徴とする自動周波数制御装置。
【0056】
【発明の効果】
ところで、上述した請求項1に記載の発明では、受信波のレベルが一次的に著しく低下した場合であっても、その受信波のヘテロダイン検波または同期検波の精度は、無用に低下することなく維持される。
【0057】
特に、始動時とチャネル切り替えとの双方または何れか一方における応答性が高められる。
また、請求項1に記載の発明に関連した第一の技術では、シャドーイングやチャネル切り替えに起因して受信波のレベルが著しくの低下した場合であっても、受信波のヘテロダイン検波または同期検波の精度は、無用に低下することなく維持される。
【0058】
さらに、請求項1に記載の発明に関連した第二および第三の技術では、構成が複雑化することなく、始動時における応答性が高く維持される。
また、請求項1に記載の発明に関連した発明では、既述の判別に要する電力および処理量の削減が可能となり、かつコストの削減と信頼性の向上とが総合的に図られる。
【0059】
したがって、これらの発明が適用された無線伝送系では、伝送品質やサービス品質が安価に高められ、かつ性能や付加価値の向上にかかわる柔軟性や可能性が担保される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理ブロック図である。
【図2】本発明の第一の実施形態を示す図である。
【図3】本発明の第一の実施形態の動作を説明する図(1)である。
【図4】本発明の第一の実施形態の動作を説明する図(2)である。
【図5】本発明の第二の実施形態を示す図である。
【図6】本実施形態におけるループフィルタの特性の態様を示す図である。
【図7】周波数弁別器の他の構成を示す図である。
【図8】AFC回路が搭載された端末の受信系の構成例を示す図である。
【図9】従来例の課題を説明する図である。
【符号の説明】
11 周波数偏差計測手段
12 可変周波発振手段
13 帰還制御手段
14,14A,14B,14C 期間特定手段
21 帰還制御部
31,53 ループフィルタ(LPF)
32,33 スイッチ
34 タイマ
51 受信部
51i,51q A/D変換器(A/D)
52 周波数弁別器
54 電圧制御発振器(VCO)
Claims (1)
- 受信波の周波数の偏差を計測する周波数偏差計測手段と、
前記周波数偏差計測手段によって計測された偏差が規定の値域に属するか否かの判別を行い、その判別の結果が真であるときに、前記受信波のヘテロダイン検波、または同期検波に供される局発信号を生成する可変周波発振手段にその偏差を帰還し、この判別の結果が偽であるときに、その可変周波数発振手段の発振周波数を一定に保ち、またはこの発振周波数の更新を抑制する帰還制御手段と、
始動時から前記可変周波発振手段の発振周波数が定常値となる時点に至る期間を特定する期間特定手段とを備え、
前記帰還制御手段は、
前記期間特定手段によって特定された期間に、前記周波数偏差計測手段によって計測された偏差をその期間以外の期間に適用される帰還率より大きな帰還率で前記可変周波発振手段に負帰還する
ことを特徴とする自動周波数制御装置。
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