JP3969237B2 - ロック制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロック制御装置に係り、特に、伝達比可変機構により可変にされ得る操舵ハンドルの操舵角と転舵輪の転舵角との伝達比を所定の比率に固定する伝達比ロック機構を備えるロック制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば特開2000−344121号公報に開示される如く、操舵ハンドルの操舵角と転舵輪の転舵角との伝達比を可変にする伝達比可変機構を有する操舵システムが知られている。この伝達比可変機構は、車速等の車両の走行状態に応じた伝達比を設定する。具体的には、車速が小さいときは操舵ハンドルの操舵に対して転舵輪が転舵し易くなるように伝達比を高く設定し、一方、車速が大きいときは操舵ハンドルの操舵に対して転舵輪が転舵し難くなるように伝達比を低く設定する。そして、伝達比可変機構は、設定された伝達比が実現されるようにモータ等のアクチュエータを駆動する。従って、上記従来の操舵システムによれば、操舵ハンドルの操舵角と転舵輪の転舵角との伝達比を可変とすることで、運転者に操舵操作を車両の走行状態に適応させて適切に行わせることが可能となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、車両のイグニションスイッチがオフされた際や伝達比可変機構にフェールが生じた際は、伝達比可変機構のアクチュエータが適切に駆動しない事態が生ずるため、操舵ハンドルの操舵に対する転舵輪の転舵を適当に確保するうえで、上記した伝達比を可変にすることは適切でない。そこで、イグニションオフ時やフェール時に上記した伝達比が固定されるように、操舵ハンドルに連結する入力軸と転舵輪に連結する出力軸とを互いに固定するロック機構を設けることが考えられる。かかるロック機構によれば、操舵ハンドルの操舵角と転舵輪の転舵角とが一義的に固定されるため、フェール等が生じても、操舵システムの機能を適当に確保することが可能となる。
【0004】
しかしながら、車両のイグニションスイッチがオフとされた際やフェールが生じた際に常にロック機構の作動により入力軸と出力軸とが互いに固定されるものとすると、不都合が生ずる。具体的には、入力軸と出力軸とが互いに固定される場合は操舵ハンドルと転舵輪とが互いに連動するため、組み付け時や修理時における操舵ハンドルの中立位置の調整、及び、入力軸の周りに巻回されるスパイラルケーブルの操舵ハンドルに対する回転量の調整が困難となる。
【0005】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、伝達比可変機構を有する操舵システムの中立位置調整を容易かつ適切に行うことが可能なロック制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、請求項1に記載する如く、操舵ハンドルと転舵輪との入出力伝達比を可変にする伝達比可変機構と、
イグニションオフ時又は前記伝達比可変機構のフェール時に前記伝達比可変機構による前記入出力伝達比を所定の比率に固定する伝達比ロック機構と、
イグニションオフ時又は前記伝達比可変機構のフェール時においても、前記伝達比ロック機構による前記入出力伝達比の固定の解除を要求する所定のダイアグ解除指令がなされたときは、該伝達比ロック機構による前記入出力伝達比の固定を強制的に解除するロック制御手段と、
を備えるロック制御装置により達成される。
【0007】
本発明において、伝達比ロック機構は、イグニションオフ時又は伝達比可変機構のフェール時に伝達比可変機構による操舵ハンドルと転舵輪との入出力伝達比を所定の比率に固定する。また、この伝達比ロック機構による入出力伝達比の固定は、上記の時においても伝達比ロック機構による入出力伝達比の固定の解除を要求する所定のダイアグ解除指令がなされたときは強制的に解除される。入出力伝達比の固定が解除されれば、操舵ハンドルと転舵輪とを互いに切り離して回転させることが可能となる。従って、本発明によれば、伝達比ロック機構が作動する際にも所定のダイアグ解除指令がなされることで、その後、操舵システムの中立位置の調整を容易かつ適切に行うことができる。
【0008】
この場合、請求項2に記載する如く、請求項1記載のロック制御装置において、前記ロック制御手段は、イグニションオフ時又は前記伝達比可変機構のフェール時においても、車両が停車している状況下で前記所定のダイアグ解除指令がなされたときは、前記伝達比ロック機構による前記入出力伝達比の固定を強制的に解除することとすれば、走行中に誤ってダイアグ解除指令がなされた際にも入出力伝達比の固定が解除される事態を防止することができる。
【0009】
また、請求項3に記載する如く、請求項1又は2記載のロック制御装置において、前記ロック制御手段は、また、前記伝達比ロック機構による前記入出力伝達比の固定を解除している状況下において、該伝達比ロック機構による前記入出力伝達比の固定の再開を要求する所定のダイアグ解除離脱指令がなされたときに、該伝達比ロック機構により前記入出力伝達比を固定させることとしてもよい。
【0010】
また、請求項4に記載する如く、請求項1又は2記載のロック制御装置において、前記ロック制御手段は、また、前記伝達比ロック機構による前記入出力伝達比の固定を解除している状況下において、車両が走行する状態となった場合に、該伝達比ロック機構により前記入出力伝達比を固定させることとしてもよい。
【0011】
更に、請求項5に記載する如く、請求項1乃至4の何れか一項記載のロック制御装置において、前記伝達比ロック機構は、前記操舵ハンドルに連結する入力軸と前記転舵輪に連結する出力軸とを互いに固定することにより前記入出力伝達比を固定することとすればよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施例のロック制御装置を備える操舵システム10の構成図を示す。本実施例の操舵システム10は、車両運転者が操作可能な操舵ハンドル12を備えている。操舵ハンドル12は、入力軸14の一端に取り付けられている。入力軸14は、操舵ハンドル12の回転に伴って一体に回転する。入力軸14の周りには、スパイラルケーブル16が巻回されている。スパイラルケーブル16は、後述の減速機(モータ)やロック機構の電気部品,操舵ハンドル12に配置されたエアバッグや操作入力スイッチ等の電気部品と、車体側に設置・搭載された制御ユニット及び電源とをワイヤハーネスを介して電気的に接続するための配線である。スパイラルケーブル16は、操舵ハンドル12の中立位置から左右にそれぞれ例えば2.5回転ずつ回転可能に構成されている。
【0013】
入力軸14には、出力軸20が連結されている。出力軸20には、ステアリングギヤボックス22を介してタイロッド24が連結されている。ステアリングギヤボックス22は、出力軸20の回転運動をタイロッド24の車幅方向への直進運動に変換する機能を有する。タイロッド24の両端にはそれぞれ、ナックルアームを介して転舵輪26,28が連結されている。転舵輪26,28は、出力軸20の回転に伴ってタイロッド24が車幅方向へ変位することにより転舵される。
【0014】
入力軸14と出力軸20との間には、減速機30が介在されている。減速機30は、入力軸14と出力軸20とを連結するギヤ機構と、ギヤ機構を駆動するモータと、により構成されている。入力軸14、減速機30、及び出力軸20は、遊星歯車機構を構成しており、例えば、入力軸14はサンギヤに、減速機30はリングギヤに、また、出力軸20はキャリアを介してピニオンギヤに、それぞれ接続されている。減速機30は、入力軸14の回転角に対する出力軸20の回転角の比率、すなわち、操舵ハンドル12の操舵角と転舵輪26,28の転舵角との比率(以下、入出力伝達比と称す)を可変する機能を有する。減速機30のモータは、指令に応じた入出力伝達比を実現すべく作動する。
【0015】
本実施例の操舵システム10は、電子制御ユニット(以下、ECUと称す)32を備えている。ECU32には、車速センサ34が接続されている。車速センサ34は、車両の速度に応じた周期でパルス信号を発生する。車速センサ34の出力信号は、ECU32に供給されている。ECU32は、車速センサ34の出力信号に基づいて車両の速度SPDを検出する。ECU32には、また、上記した減速機30のモータが接続されている。ECU32は、検出した車速SPDに応じた入出力伝達比が実現されるように、具体的には、車速SPDが小さいほど伝達比が高くなるように、また、車速SPDが大きいほど伝達比が低くなるように減速機30のモータに対して指令信号を供給する。
【0016】
操舵システム10は、また、減速機30に配置されたロック機構40を有している。ロック機構40は、例えば入力軸14に対してピンを貫通挿入させることで入力軸14と減速機30とを直結させ、両者の相対回転を機械的に禁止する役割を有する。すなわち、ロック機構40は、入力軸14と出力軸20との入出力伝達比を所定の比率に、例えば入力軸14が一回転する際に出力軸20が一回転するような比率に固定し、入力軸14と出力軸20とを機械的に互いに固定する機能を有する。
【0017】
ロック機構40は、入力軸14の周りに巻回されたスパイラルケーブル16を介してECU32に接続している。ECU32には、また、ロック解除スイッチ42が接続されている。ロック解除スイッチ42は、例えば所定端子同士の短絡や所定スイッチの操作によるダイアグノーシス起動を行うことにより、入出力伝達比の固定を解除するための要求又は再開するための要求を発するリレースイッチである。ECU32は、ロック解除スイッチ42からの要求信号に応じて、ロック機構40に対して入出力伝達比の固定を解除し又は再開する指令を行う。
【0018】
次に、上記図1及び図2を参照して、本実施例の操舵装置10の動作について説明する。
【0019】
図2は、本実施例のロック制御装置の動作を説明するための図を示す。尚、図1にはロック機構40により入力軸14と減速機30とが直結された状態を、また、図2にはロック機構40による入力軸14と減速機30との直結が解除された状態を、それぞれ示している。
【0020】
本実施例において、通常、車両のイグニションスイッチがオンとされ、エンジン等の車両動力が駆動状態になると、以後、操舵システム10のロック機構40が非作動とされ、入力軸14と減速機30との直結が解除され、減速機30により入力軸14と出力軸20との入出力伝達比が可変とされ得る。この際、入出力伝達比は、車速SPDが小さいほど操舵ハンドル12の操舵に対して転舵輪26,28が転舵し易くなるように高く設定され、一方、車速SPDが大きいほど操舵ハンドル12の操舵に対して転舵輪26,28が転舵し難くなるように低く設定される。
【0021】
かかる構成においては、車速SPDが比較的小さい場合は、操舵ハンドル12の操舵角が小さくても転舵輪26,28が大きく転舵される。このため、例えば転回時や右折時,左折時等において運転者の行う操舵操作の負担が軽減される。一方、車速SPDが比較的大きい場合は、操舵ハンドル12の操舵角が大きくても転舵輪26,28の転舵角が少量しか転舵されない。このため、例えば高速走行時において操舵ハンドル12の誤操作に起因して車両が走行レーンから逸脱し易くなるのが防止される。従って、本実施例の操舵システム10によれば、車両走行時においてその走行状態に適応させた操舵操作を運転者に行わせることが可能となる。
【0022】
また、本実施例において、車両のイグニションスイッチがオフとされ、車両動力が非作動状態となると、或いは、減速機30等にモータ駆動不能等のフェールが生ずると、以後、操舵システム10のロック機構40が作動状態とされ、入力軸14と減速機30とが直結され、入出力伝達比が所定の比率に固定される。このため、本実施例の操舵システム10によれば、イグニションオフ時や減速機30のフェール時においても操舵ハンドル12の操舵に伴って転舵輪26,28を転舵させる機能を適当に確保することが可能となる。
【0023】
ところで、車両のイグニションスイッチがオフとされた際に常にロック機構40の作動により入力軸14と減速機30とが直結されるものとすると、不都合が生ずる。具体的には、入力軸14と減速機30とが直結される場合は、入力軸14と出力軸20との入出力伝達比が所定の比率に固定され、操舵ハンドル12の操舵に伴って転舵輪26,28が連動して転舵されるため、車両工場や修理工場における組み付け時や修理時に操舵ハンドル12の中立位置の調整が困難になると共に、操舵ハンドル12に対するスパイラルケーブル16の回転量の調整が困難になる。
【0024】
そこで、本実施例の操舵システム10は、上記した不都合を解決すべく、ロック機構40の作動により入力軸14と減速機30とが直結されている状況下において予め定められた特定の操作を行うことにより強制的にロック機構40を非作動とし、その直結状態を解除することとしている。以下、本実施例の特徴部について説明する。
【0025】
本実施例において、操舵システム10は、所定端子同士の短絡や所定スイッチの操作によるダイアグノーシス起動を行うことにより入出力伝達比の固定を解除するための要求又は再開するための要求を発するロック解除スイッチ42を有する。ECU32は、ロック機構40が作動している状況下においてロック解除スイッチ42の操作により入出力伝達比の固定の解除要求がなされた場合、ロック機構40に対して、入力軸14と減速機30との直結を解除し、入出力伝達比の固定を解除するための指令を発する。
【0026】
かかる構成においては、イグニションスイッチのオフ等によりエンジン等の車両動力が非駆動状態にあり或いはフェールが生じている状況下、すなわち、ロック機構40が作動している状況下においても所定のダイアグ指令が行われることにより、ロック機構40が非作動となり、入力軸14と減速機30との直結が解除される。この場合には、入力軸14と減速機30との相対回転が許容されるので、減速機30のモータに回転指令がなされていなければ、入力軸14と出力軸20とは互いにフリーな状態となり、操舵ハンドル12が操舵されても転舵輪26,28が連動して転舵されることはない。従って、通常はロック機構40が作動する状況下においても、上記の所定操作を行うことにより、その後、操舵ハンドル12の中立位置の調整やスパイラルケーブル16の回転量の調整を容易に行うことが可能となる。
【0027】
尚、上記の如くイグニションオフ時にロック機構40が非作動となり、操舵ハンドル12の中立位置の調整が行われる場合は、その中立位置および減速機30のモータの中立位置の初期化が行われると共に、その再取得が行われる。このため、操舵ハンドル12の中立位置の調整が行われた後に、ロック機構40が非作動となる前の中立位置が操舵ハンドル12やモータの回転角等の基準として用いられるのを回避することが可能となる。
【0028】
また、ECU32は、ロック機構40が非作動となっている状況下においてロック解除スイッチ42の操作により入出力伝達比の固定の再開要求がなされた場合、ロック機構40に対して、入力軸14と減速機30とを直結させ、入出力伝達比の固定を再開する指令を発する。かかる構成によれば、イグニションオフ時にロック機構40が非作動となり、操舵ハンドル12の中立位置の調整が行われた後に再び、入力軸14と減速機30とが直結され、入出力伝達比が所定の比率に固定されるので、操舵ハンドル12の操舵に伴って転舵輪26,28を転舵させる機能を確保することが可能となる。
【0029】
図3は、上記の機能を実現すべく、本実施例においてECU32が実行する制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。図3に示すルーチンは、その処理が終了するごとに繰り返し起動されるルーチンである。図3に示すルーチンが起動されると、まずステップ100の処理が実行される。
【0030】
ステップ100では、ロック解除スイッチ42によるダイアグノーシス起動によりロック機構40による入出力伝達比の固定を解除する要求がなされたか否かが判別される。本ステップ100の処理は、入出力伝達比の固定解除要求がなされるまで繰り返し実行される。その結果、固定解除要求がなされたと判別された場合は、次にステップ102の処理が実行される。
【0031】
ステップ102では、車速センサ34の出力信号に基づいて検出される車速SPDが、車両が停車していると判断できるほぼ“0”であるか否かが判別される。その結果、否定判定がなされ、車両が停車していると判断できない場合は、再び上記ステップ100以降の処理が実行される。一方、肯定判定がなされ、車両が停車していると判断できる場合は、次にステップ104の処理が実行される。
【0032】
ステップ104では、ロック機構40に対して、入力軸14と減速機30との直結を解除し、入出力伝達比の固定を解除するための指令を供給する処理が実行される。本ステップ104の処理が実行されると、以後、ロック機構40による入力軸14と減速機30との直結が解除され、両者の相対回転が許容される状態となり、入力軸14と出力軸20とが切り離され互いにフリーな状態となると共に、ダイアグ指令によりロック機構40が非作動となった旨を外部に知らせるべくウォーニングランプが点灯される。
【0033】
ステップ106では、上記ステップ104の処理が実行された後、ロック機構40による入出力伝達比の固定を再開すべき条件が成立したか否か、具体的には、▲1▼ロック解除スイッチ42の操作によるダイアグ指令によりロック機構40による入出力伝達比の固定を行う要求がなされたか否か、▲2▼車速センサ34に基づく車速SPDが所定車速(例えば5km/h)以上であるか否か、また、▲3▼エンジン等の車両動力が非駆動状態から駆動状態へ移行したか否かが判別される。本ステップ106の処理は、上記▲1▼〜▲3▼の何れか一の条件が成立すると判別されるまで繰り返し実行される。その結果、肯定判定がなされた場合は、次にステップ108の処理が実行される。
【0034】
ステップ108では、ロック機構40に対して、入力軸14と減速機30とを直結させ、入出力伝達比の固定を再開するための指令を供給する処理が実行される。本ステップ108の処理が実行されると、以後、ロック機構40による入力軸14と減速機30とが直結されることにより、入力軸14と出力軸20とが互いに固定され、入出力伝達比が所定の比率に固定されることとなる。本ステップ108の処理が終了すると、今回のルーチンは終了される。
【0035】
上記図3に示すルーチンによれば、ロック解除スイッチ42の操作により入出力伝達比の固定解除要求がなされた場合に、ロック機構40を非作動とし、入力軸14と減速機30との直結を解除することができる。このため、イグニションオフ等によりロック機構40が作動している状況下においても所定の操作を行うことで入力軸14と出力軸20とを切り離し互いにフリーな状態にすることができ、操舵ハンドル12の操舵に伴う転舵輪26,28の連動した転舵を回避することができる。
【0036】
この場合、操舵ハンドル12の中立位置の調整、及び、操舵ハンドル12に対するスパイラルケーブル16の回転量の調整は、操舵ハンドル12および入力軸14を手動で回転させることにより実現される。従って、本実施例の操舵システム10によれば、操舵ハンドル12の中立位置の調整、及び、操舵ハンドル12に対するスパイラルケーブル16の回転量の調整を、操舵ハンドル12やモータ,電気配線等を取り外すことなく実現することができ、工数の増大を招くことなく容易かつ適切に行うことが可能となっている。
【0037】
尚、本実施例の構成においては、ロック解除スイッチ42の操作による入出力伝達比の固定解除要求によりロック機構40を非作動とするうえで、車速SPDがほぼ“0”であって車両が停車していることが必要である。このため、本実施例においては、車両走行中にロック解除スイッチ42が操作されてもロック機構40が非作動となることはなく、走行中におけるロック解除スイッチ42の誤操作により入出力伝達比の固定が解除される事態を防止することが可能となっている。
【0038】
また、上記図3に示すルーチンによれば、ロック解除スイッチ42の操作により入出力伝達比の固定解除要求がなされ、入力軸14と減速機30との直結が解除された後に、そのロック解除スイッチ42の操作により入出力伝達比の固定再開要求がなされた場合、再びロック機構40を作動状態とし、入力軸14と減速機30との直結を再開することができる。従って、本実施例においては、操舵ハンドル12の中立位置やスパイラルケーブル16の回転量の調整が完了した後に所定の操作により入出力伝達比の固定再開要求を行うこととすれば、再び入力軸14と減速機30とを直結させることができ、入出力伝達比を所定の比率に固定することができる。このため、本実施例の操舵システム10によれば、操舵ハンドル12の中立位置やスパイラルケーブル16の回転量の調整が完了した後には、通常どおり操舵ハンドル12の操舵に伴って転舵輪26,28を転舵させる機能を確保することが可能となっている。
【0039】
また、本実施例においては、ロック解除スイッチ42の操作により入出力伝達比の固定解除要求がなされ、入力軸14と減速機30との直結が解除された後に、車速SPDが所定車速以上になった場合、或いは、イグニションオン等により車両動力が駆動状態に移行した場合にも、ロック機構40が作動状態となり、入力軸14と減速機30との直結が再開される。入力軸14と減速機30とが直結されれば、入力軸14が回転された際に出力軸20が回転しない事態が生ずるのは回避され、操舵ハンドル12の操舵に伴って確実に転舵輪26,28は転舵される。
【0040】
従って、本実施例によれば、ロック解除スイッチ42の操作により入出力伝達比の固定が解除された後、操舵ハンドル12の中立位置やスパイラルケーブル16の回転量の調整が完了する前に車両が走行する状態となっても、その走行中の操舵を確実に確保することができる。すなわち、入出力伝達比の固定解除要求後に車両が走行する状態となった場合には、操舵ハンドル12の中立位置やスパイラルケーブル16の回転量の調整が完了していなくても、その走行中の操舵を確保することができる。このため、本実施例の操舵システム10によれば、ロック解除スイッチ42の操作により入出力伝達比の固定が解除された後に、操舵ハンドル12の操舵に伴って転舵輪26,28が転舵されない状態で車両が走行するのを防止することが可能となっている。
【0041】
また、車両動力が駆動状態に移行した場合には、操舵システム10のパワーステアリング機構が作動状態となる。このため、車両動力が駆動状態にある状況下においてロック機構40の非作動および入力軸14と減速機30との直結解除が継続されるものとすると、ロック解除が行われていても、操舵ハンドル12の操舵に伴って転舵輪26、28が転舵される事態が生じ、その結果、操舵ハンドル12の中立位置やスパイラルケーブル16の回転量の調整が適切に行われないものとなる。
【0042】
これに対して、本実施例においては、上記の如く、入力軸14と減速機30との直結が解除された後にイグニションオン等により車両動力が駆動状態に移行した場合、ロック機構40が作動状態となり、入力軸14と減速機30との直結が再開される。このため、本実施例の操舵システム10によれば、操舵ハンドル12の中立位置の調整やスパイラルケーブル16の回転量の調整を適切なタイミングで行うことが可能となっている。
【0043】
尚、上記の実施例においては、入力軸14、出力軸20、及び減速機30により構成される遊星歯車機構が特許請求の範囲に記載した「伝達比可変機構」に、ロック機構40が特許請求の範囲に記載した「伝達比ロック機構」に、それぞれ相当していると共に、ECU32が上記図3に示すステップ104〜108の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「ロック制御手段」が実現されている。
【0044】
ところで、上記の実施例においては、操舵ハンドル12の操舵角と転舵輪26,28の転舵角との入出力伝達比を可変にする構成として、入力軸14、減速機30、及び出力軸20により構成される遊星歯車機構を設け、入力軸14をサンギヤに、減速機30をリングギヤに、また、出力軸20をキャリアを介してピニオンギヤに、それぞれ接続することとしているが、入出力伝達比を可変にする機構はこれに限定されるものではなく、他の機構により実現することとしてもよい。
【0045】
また、上記の実施例においては、ロック機構40を非作動とし、入出力伝達比の固定を解除するうえで、ロック機構40に電流を供給し、或いは、ロック機構40に電圧を印加することとしてもよい。但し、ロック機構40に電流を供給する構成においては、ロック機構40が非作動となった後に電流の流通に起因して過熱するおそれがあるので、その状態を保持するうえで必要な通電電流を可能な限り抑制することが望ましい。
【0046】
【発明の効果】
上述の如く、請求項1、3、及び4記載の発明によれば、伝達比ロック機構が作動する状況下においても所定のダイアグ解除指令がなされることでその伝達比ロック機構を非作動とすることができ、その後、操舵システムの中立位置の調整を容易かつ適切に行うことができる。
【0047】
また、請求項2記載の発明によれば、走行中に誤って解除指令がなされた際にも入出力伝達比の固定が解除される事態を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のロック制御装置を備える操舵システムの構成図である。
【図2】本実施例のロック制御装置の動作を説明するための図である。
【図3】本実施例においてロック機構による入出力伝達比の固定を実行・解除すべく実行される制御ルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
10 操舵システム
12 操舵ハンドル
14 入力軸
16 スパイラルケーブル
20 出力軸
30 減速機
32 電子制御ユニット(ECU)
40 ロック機構
Claims (5)
- 操舵ハンドルと転舵輪との入出力伝達比を可変にする伝達比可変機構と、
イグニションオフ時又は前記伝達比可変機構のフェール時に前記伝達比可変機構による前記入出力伝達比を所定の比率に固定する伝達比ロック機構と、
イグニションオフ時又は前記伝達比可変機構のフェール時においても、前記伝達比ロック機構による前記入出力伝達比の固定の解除を要求する所定のダイアグ解除指令がなされたときは、該伝達比ロック機構による前記入出力伝達比の固定を強制的に解除するロック制御手段と、
を備えることを特徴とするロック制御装置。 - 前記ロック制御手段は、イグニションオフ時又は前記伝達比可変機構のフェール時においても、車両が停車している状況下で前記所定のダイアグ解除指令がなされたときは、前記伝達比ロック機構による前記入出力伝達比の固定を強制的に解除することを特徴とする請求項1記載のロック制御装置。
- 前記ロック制御手段は、また、前記伝達比ロック機構による前記入出力伝達比の固定を解除している状況下において、該伝達比ロック機構による前記入出力伝達比の固定の再開を要求する所定のダイアグ解除離脱指令がなされたときに、該伝達比ロック機構により前記入出力伝達比を固定させることを特徴とする請求項1又は2記載のロック制御装置。
- 前記ロック制御手段は、また、前記伝達比ロック機構による前記入出力伝達比の固定を解除している状況下において、車両が走行する状態となった場合に、該伝達比ロック機構により前記入出力伝達比を固定させることを特徴とする請求項1又は2記載のロック制御装置。
- 前記伝達比ロック機構は、前記操舵ハンドルに連結する入力軸と前記転舵輪に連結する出力軸とを互いに固定することにより前記入出力伝達比を固定することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項記載のロック制御装置。
Priority Applications (1)
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