JP3970108B2 - 油分により汚染された地下水の浄化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、油分により汚染された地下水の浄化方法に関し、より詳細には、撹拌部材を用いて圧縮空気を噴射し、地下水に隣接する土壌に付着した油分を剥離させて地下水中に浮遊させ、地下水を回収して油分を分離することで油分により汚染された地下水を浄化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
溶剤や油などの油分は、廃液タンクなどの漏れとともに、雨水などにより土壌中に浸透して地下水を汚染し、さらには地下水に隣接する周囲の土粒子に付着または含浸して吸着される。一度土粒子に付着した油分は、地下水中に容易に流れ出すことがなく、地下水中に浮遊する油分は除去することができても、地下水に隣接する土壌に付着した油分については除去することができない。しかしながら、長期間にわたって地下水にしみ出すため、土壌に付着した油分についても除去しなければ地下水の安全を確保することができない。したがって、土壌に付着した油分についても除去する方法および装置が望まれている。
【0003】
従来、油分によって汚染された地下水を浄化する方法および装置が数多く提案されている。一般には、汚染区域に井戸を設け、この井戸から汚染された地下水をくみ上げて油分を除去する方法および装置が用いられている。この場合、地下水をくみ上げる吸引ポンプと、油水分離装置とが用いられ、吸引された油分を含む地下水は油水分離装置によって油と水とに分離される。分離された水は、地下水として戻すこともできる。また、井戸を地下水の帯水層内に設置し、メタンなどを地下水に溶解させ、かつ、井戸上部でガス吸引して浄化し、この浄化した地下水を帯水層内に戻すことにより原位置浄化をする方法および装置も提案されている。
【0004】
しかしながら、上述したように地下水が油分により汚染されている場合には、この油分が帯水層付近の土壌に付着または含浸して吸着されており、地下水中に容易に流れ出すことがないため、効果的に浄化を行うことができないといった問題があった。また、井戸を使用して吸引し、浄化した水を戻すといった作業を行う場合、地下水の水位を急激に増減させることは地盤沈下などを引き起こす可能性があるため、地下水の吸引および浄化した水の供給は、極めて遅い速度で行う必要がある。従って、浄化された水を地下水中に広範囲に行きわたらせるというものではなく、決して浄化効率が良いとは言えない。また、浄化効率を上昇させるべく井戸の数を増加することができるものの、吸引ポンプの数または能力を大きくする必要があり、かつ油水分離装置の処理能力を大きくする必要があるといった問題があった。
【0005】
上述した問題に鑑み、土粒子から油分を剥離し易くするとともに、地下水中に空気を供給して微生物を活性化させることにより汚染地下水を効率的に浄化する方法および装置が提案されている。例えば、特開2001−129545号公報に開示の方法および装置は、帯水層の下層に位置する注入井から超高圧の空気を短時間の間隔でパルス状にして間欠的に地下水中に注入し、土粒子に吸着した油分を浮遊させ、浮遊した油分が混じった地下水を回収し、油水分離した後、再び地下水に還元することを特徴としている。特開2001−129545号公報では、超高圧の空気を所定の間欠タイミングをもって瞬時に帯水層の下層部分に吹き込む時の勢いで、土粒子から油分を剥離し易くするとともに、超高圧空気により地下水を好気状態にして微生物による生分解を促進させることにより、油分による汚染地下水の浄化を行うことを開示している。
【0006】
しかしながら、特開2001−129545号公報に開示の方法および装置は、予め注入井および揚水井を形成する必要があり、超高圧の空気を短時間の間隔でパルス状にして間欠的に注入することで、広範囲に浄化された水を行きわたらせることを可能にするものの、帯水層の側面部の土壌に付着した油分を効果的に剥離させることができず、さらには浄化された水を地下水に充分に分散させることができなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、土壌中の地下水が存在する位置まで掘削することができ、地下水中に圧縮空気を供給するとともに地下水を撹拌することを可能とする撹拌部材を用い、供給した圧縮空気によって地下水に隣接する土壌に付着した油分を剥離させ、浮遊する油分を含む地下水から油分を分離して浄化することを可能にし、さらには撹拌部材を回転させながら地下水中を上下に移動させて油分を取り除いた水を広範囲に分散させることにより、地下水全体の浄化を促進することを可能にする油分により汚染された地下水の浄化方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、本発明の油分により汚染された地下水の浄化方法を提供することにより達成される。
【0009】
すなわち、本発明の請求項1の発明によれば、先端部に切削部材を備える撹拌部材を回転させて土壌を掘削し、前記土壌中に存在する地下水に前記撹拌部材を浸漬させるステップと、
前記撹拌部材から該撹拌部材の周囲に向けて圧縮空気を噴射するステップと、前記撹拌部材から前記圧縮空気を噴射させるとともに該撹拌部材を回転させることにより、前記地下水に隣接する前記土壌に付着した油分を剥離させ、前記地下水中に浮遊させるステップと、
浮遊させた前記油分を含む地下水を回収し、前記油分を分離するステップとを含む、油分により汚染された地下水の浄化方法が提供される。
【0010】
本発明の請求項2の発明によれば、前記油分を分離するステップにおいて該油分を分離した水を、前記地下水に戻すステップを含む、油分により汚染された地下水の浄化方法が提供される。
【0011】
本発明の請求項3の発明によれば、前記撹拌部材は、先端部に前記切削部材を備える先導管と、前記先導管が連結される中空の軸体と、前記軸体に周設される前記螺旋状羽根と、前記螺旋状羽根の上面および下面に配設される複数の突出部材と、前記軸体の内部を通り、前記軸体を貫通して前記螺旋状羽根の縁部に向けて配設され、前記圧縮空気および前記油分を分離した水を供給するための前記注入管とを備え、
前記軸体は、長さ方向に沿った中央部において径が大きく、かつ両端部において径が小さくなるように形成される、油分により汚染された地下水の浄化方法が提供される。
【0012】
本発明の請求項4の発明によれば、さらに、前記軸部の内部を通して前記先導管から圧縮空気を噴射するステップを含む、油分により汚染された地下水の浄化方法が提供される。
【0013】
本発明の請求項5の発明によれば、前記圧縮空気を噴射するステップは、前記圧縮空気を200kPa〜1000kPaの圧力で噴射することを特徴とする、油分により汚染された地下水の浄化方法が提供される。
【0014】
本発明の請求項6の発明によれば、前記油分を分離するステップでは、前記浮遊させた油分を含む地下水を、地表面から前記地下水に達する揚水孔を通して回収することを特徴とする、油分により汚染された地下水の浄化方法が提供される。
【0015】
本発明の請求項7の発明によれば、前記地下水に戻すステップでは、前記油分を分離した水を間欠的に噴射することを特徴とする、油分により汚染された地下水の浄化方法が提供される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面を参照して詳細に説明する。本発明の油分により汚染された地下水の浄化方法は、溶剤や油などの油分を含む廃液などの漏れとともに雨水などによって土壌を浸透して汚染された地下水を浄化する方法である。本発明の地下水の浄化方法は、特に、地下水に隣接する土壌に付着した油分を除去することに適している。本発明は、撹拌部材を用い、地下水中で回転させながら圧縮空気を噴射することにより、地下水に隣接する土壌に間欠的に噴射する効果を与え、また先導管からも圧縮空気を噴射することにより、地下水の底部土壌に付着した油分も剥離させて地下水中に浮遊させることができる。また、本発明は、圧縮空気を細かい泡の状態で土壌に衝突させることができ、上述した間欠的な噴射によって衝突が繰り返されて土粒子から油分を剥離させることができる。剥離した油分は、気泡のもつ表面張力によって気泡に付着し、気泡とともに地下水の上層部に向けて移動する。本発明の地下水の浄化方法は、浮遊させた油分を含む地下水の一部を地下水の上層部において吸引し、油水分離装置において油分と水とを分離し、分離後の水を再び撹拌部材を通して地下水中に戻すことができる。これを繰り返すことにより、地下水および地下水に隣接した土壌から油分が次第に除去され、地下水が浄化される。
【0017】
図1は、本発明の地下水の浄化方法に用いることができる撹拌部材の一例を示した斜視図である。図1に示す撹拌部材1は、土壌の掘削部材としても使用することができる。図1に示す撹拌部材1は、先端部に切削部材2を備えた先導管3と、長さ方向に沿って中央部の径が大きくされ、両端部の径が小さくされた軸体4と、軸体4の外側面に周設された螺旋状羽根5と、螺旋状羽根5の上面および下面に設けられた複数の突出部材6とから構成されている。図1に示す先導管3は、軸体4とフランジ7といった連結部材によって連結され、フランジ7には、先導管3と同様に切削部材2が設けられている。図1に示す切削部材2は、鋭く尖った先端部を備え、硬い土壌や石などを切削することができるようになっている。図1に示す軸体4は、円筒の両側に円錐を連結した形状とされ、外側面に螺旋状羽根5が周設されている。また、螺旋状羽根5の径も、軸体4と同様に、軸体4の中央部に配設される部分において最も大きく、軸体4の両端部に向けて径が小さくなるように形成されている。また、軸体4は、内部が中空とされ、軸体4の中空部分には、管を挿設したり、先導管3から圧縮空気を噴射することに使用される。図1に示す螺旋状羽根5は、上面および下面の所定位置に突出部材6が設けられていて、軸体4を貫通して内部から取り出された注入管8、9が螺旋状羽根5の縁部に向けて配設されている。
【0018】
図1に示す撹拌部材1には、先導管3が連結されていない軸体4の端部を連結するとともに、撹拌部材1を回転するための図示しない回転手段が設けられており、撹拌部材1を回転させながら先導管3を土壌に接触させることにより掘削されるようになっている。図1に示す撹拌部材1は、先端部の切削部材2、先端部から中央部に向けて径が大きくされた軸体4、軸体4の径とともに中央部に向けて径が大きくされた螺旋状羽根5により、地中に向けてスムーズに掘削することができる。また、図1に示す撹拌部材1は、図示しない空気圧縮機や空気ボンベなどを使用し、撹拌装置1の先端に設けられた先導管3から圧縮空気を噴射するとともに、撹拌部材1の回転により土壌を掘削することができる。掘削する際に使用する圧縮空気は、掘削中の地盤への衝撃を低減させ、撹拌部材1に揺動撹拌効果を与えて掘削を容易にするために用いることができる。また、螺旋状羽根5に設けられた突出部材6は、矩形の板状のものとされ、螺旋状羽根5の上面および下面に複数配設されている。図1に示す突出部材6は、矩形とされた面が径方向に向くように設けられ、土壌を掘削または撹拌する際に撹拌部材1の回転をスムーズに行うことができ、排土の発生を起こりにくくしている。
【0019】
図1に示す撹拌部材1は、軸体4の中空とされた内部に設けられる注入管8を通して圧縮空気が供給され、注入管9を通して油水分離装置によって油分が分離され、油分を含まない浄化された水を地下水に戻すことができる。また、図1に示す軸体4の内部の注入管8、9の隙間を通して圧縮空気が供給されるようになっている。圧縮空気は、図1に示す撹拌部材1の先端部に設けられた先導管3から噴射され、切削部材2による切削をスムーズに行うことができる。図1に示すように注入管8、9は、圧縮空気と浄化された水と別々に供給するために少なくとも2本設けることができる。本発明においては、注入管8、9は、圧縮空気と浄化された水とを同じ注入管で供給することもできるし、圧縮空気に対して複数の注入管、浄化された水に対して複数の注入管といったようにそれぞれに対して2箇所以上の注入管を設けることもできる。また、複数に分岐させて複数箇所から供給することもできる。さらに、本発明においては、外側の管から軸体4、第1の注入管、第2の注入管といったように配設した三重管構造とすることもできる。この場合、第2の注入管内には浄化された水、第1の注入管と第2の注入管との間には地下水中に噴射する圧縮空気、軸体4と第1の注入管との間には掘削時に使用する圧縮空気といったように別々に供給することができる。第1の注入管および第2の注入管は、それぞれ分岐させて2以上の箇所から供給可能なようにされていても良い。本発明においては、所定方向に対しては撹拌部材1の回転により、実質上、間欠的に供給されることとなる。この場合、上述した注入管8、9の本数および撹拌部材1の回転数にもよるが、適切に油分を剥離させるために所定方向に対して圧縮空気および浄化された水を供給する周期を0.5s−1〜3s−1とすることができる。本発明においては、圧縮空気は、地下水に供給することができる圧力であればいかなる圧力であっても良いが、例えば、200kPa〜1000kPaとすることができる。また、浄化された水は、地下水中に戻すことができる圧力であればいかなる圧力であっても良いが、上記圧縮空気と同様に、200kPa〜1000kPaの圧力で供給することができる。
【0020】
図1に示す撹拌部材1は、掘削する場合に回転する方向とは反対方向に回転しながら土壌中から引き上げることができる。このようにすることで、土壌中を回転しながら昇降させる場合、排土の発生を抑制することができる。また、撹拌部材1を上下に数回昇降させながら撹拌し、注入管8、9から圧縮空気および浄化した水を供給することにより、原位置において地下水の上層部や下層部にも浄化した水を分散させることができ、かついかなる深さの土壌に付着した油分についても剥離させて地下水中に浮遊させることができる。本発明においては、一度撹拌部材1を引き上げて、別の位置に設置して掘削し、上述したように圧縮空気を噴射させることにより、別途掘削手段を用いることなく地下水を覆う土壌に付着した油分を剥離させて除去することが可能となる。
【0021】
図1に示す撹拌部材1に用いられる先導管3としては、いかなる径、長さの管であっても良い。また、切削部材2の形状および構造および材質は、適切に土壌を掘削することができるものであればいかなるものであっても良い。図1に示すような切削部材2の場合、いかなる数設けられていても良い。また、軸体4は、長さ方向に向いた中央部の径が大きくされ、両端部の径が小さくされ、中空で、かつ螺旋状羽根5を備えるものであればいかなる大きさのものであっても良い。また、螺旋状羽根5は、図1に示すように軸体4の長さ方向に向けていかなる周設けられていても良い。本発明において撹拌部材1は、水に浸漬されるため、錆ない材質のものを使用して作製することができる。例えば、ステンレス製、テフロン(登録商標)加工したものなどを用いることができる。また、突出部材6は、いかなる数設けられていても良く、形状も上述した矩形の板状のものでなくても螺旋状羽根5の螺旋形状に沿って矩形の板が曲げられた形状とされていても良い。本発明においては、土壌を掘削する深さに応じて延長軸部材を軸体4に連結し、所定深さに存在する地下水の浄化を行うことができる。
【0022】
図2および図3を用いて上述した撹拌部材1について詳細に説明する。図2は、図1に示す撹拌部材1の側面図および断面図を示した図である。図2に示す撹拌部材1は、土壌を掘削するために先導管3が設けられ、先導管3の先端には、切削部材2が複数設けられている。切削部材2は、先端部が鋭く尖った形状とされ、先導管3の先端部周方向に複数設けられている。また、先導管3は、フランジ7によって軸体4と連結され、先導管3に設けられた切削部材2aと同様の切削部材2bが切削部材2aの向きと同じ方向に向くようにフランジ7に設けられている。図2に示す切削部材2は、先導管3およびフランジ7に溶接などにより接合することができる。
【0023】
図2に示す軸体4は、中央部の径が大きくされ、中央部では所定の長さにおいて一定の径とされていて、両端部に向けて一定の割合で径が小さくなるように形成されている。また、軸体4は、内部が中空とされ、かつ軸体4の外側面に螺旋状に形成された螺旋状羽根5が周設されている。螺旋状羽根5は、軸体4の中央部に向けて螺旋状羽根5の径が大きくなるように形成され、螺旋状羽根5の上面および下面には、複数の突出部材6が設けられている。螺旋状羽根5は、軸体4と同様に、軸体4の長さ方向に向いた両端部から中央部に向けて羽根の径が拡大するように形成され、土壌中を上下にスムーズに撹拌することができる構造とされている。例えば、軸体4は、長さを0.8m、中央部の長さを0.16mの一定の径とし、長さ方向の両端部0.32mの範囲において0.14mから0.4mの径に一定の割合で拡大した構造とすることができる。上述した軸体4の場合、一定の割合で拡大するテーパ角を22°とすることが好ましい。軸体4の一定の径とされた中央部に配設された螺旋状羽根5は、一定の径の羽根となるように形成されている。
【0024】
図2に示す突出部材6は、矩形の板状のものとされ、矩形とされた面が軸体4に向くように配設されている。また、突出部材6は、螺旋状羽根5の縁部および軸体4に近隣した内縁部に設けられ、矩形の角部が面取りされた構造とされている。矩形とされた板状の突出部材6の回転方向に向いた側の角部が面取りされた構造とすることにより、螺旋状羽根5の回転をスムーズにし、土壌および地下水中において効果的に撹拌することができる。図2に示す撹拌部材1において、土壌を掘削する場合、螺旋状羽根5の下面に設けられた突出部材6が鋭く土壌にくい込みながら土壌を効果的に撹拌し、上面に設けられた突出部材6は、切削および撹拌された土砂をスムーズに後方に送ることができ、土壌中に石などを含んでいても、噛みにくくなっている。また、撹拌装置1を地下水中から地表面に向けて引き上げる場合には、螺旋状羽根5の上面に設けられた突出部材6が効果的に切削および撹拌し、下面に設けられた突出部材6がスムーズに土砂を後方に送ることができる。したがって、図2に示す撹拌部材1を使用して土壌を掘削する場合には、掘削した土砂が地上に排出されなくなる。
【0025】
図2に示す撹拌部材1は、軸体4の中空とされた内部に圧縮空気を通すための注入管8と、油水分離装置において油分を分離した浄化された水を供給するための注入管9とが挿設され、各注入管8、9を除く空間部分を圧縮空気が通過することができるようになっている。上述したように、圧縮空気および浄化された水は、地下水に供給することができる圧力で供給され、圧縮空気は、浄化された水をより遠くまで放出させ、また地下水に隣接する土壌に付着した油分を剥離して地下水中に浮遊させる。浄化した水は、地下水中に分散され、地下水中の油分濃度を低下させる。図2に示す撹拌部材1においては、螺旋状羽根5の上面および下面に注入管8、9が軸体4の内部に挿設され、軸体4の中央部付近を貫通するように螺旋状羽根5の縁部に向けて配設されている。圧縮空気および浄化された水は、回転する撹拌部材1において注入管8、9を通り、撹拌部材1の周囲方向に向けて供給される。また、先導管3から噴射される圧縮空気は、撹拌部材1に揺動効果を与えるとともに、地下水の底部の不透層に付着した油分を剥離して浮遊させることができる。本発明において先導管3から噴射される圧縮空気は、地下水に達する前において土壌硬い土壌を掘削する場合に、切削部材2の発熱を抑制し、軸体4の内部に入る土を排除することができる。
【0026】
図3は、図1に示す先導管3の方向から見た撹拌部材1の平面図である。図3に示す撹拌部材1は、図1および図2に示す軸体4の先端部にフランジ7を介して先導管3が連結されていて、先導管3の先端部に切削部材2aが配設されている。切削部材2aは、先導管3の周方向に所定間隔で複数設けられ、土壌を掘削する場合の先端部が鋭く尖った形状とされている。また、切削部材2aと同様の切削部材2bがフランジ7の周方向に所定間隔で複数設けられている。切削部材2a、2bにより撹拌部材1を回転させて土壌を掘削することができる。図1および図2に示す軸体4の外側面に螺旋状羽根5が周設されていて、図3に示すように軸体4の長さ方向の端部から中央部に向けて羽根の径が大きくなっている。螺旋状羽根5は、径が大きくなるほど土砂および水を押さえる力が強くなるが、土壌中および地下水中においては抵抗が大きくなる。特に、軸体4の中央部に周設される螺旋状羽根5において顕著な抵抗となり、これによって螺旋状羽根5の破損が著しくなる。図3に示すように、軸体4の中央部において径を大きくすることにより、図1および図2に示す軸体4を強固にし、破損しにくくすることができる。
【0027】
図3に示す螺旋状羽根5には、複数の矩形とされた板状の突出部材6が設けられ、撹拌部材1の回転による撹拌を促進することができるように、矩形の面が図1および図2に示す軸体4に向くように配設されている。また、図3に示す螺旋状羽根5の下面に設けられた突出部材6は、土壌を掘削する場合に、鋭く土壌にくい込みながら土壌を効果的に撹拌することができる。図3に示す撹拌部材1を用いることにより、土砂が地上に排出されることなく、掘削するとともに撹拌することができる。本発明において突出部材6は、土壌中に限らず、水中においても螺旋状羽根5をスムーズに回転させることができる。
【0028】
図4〜図6を用いて本発明の油分により汚染された地下水の浄化方法について詳細に説明する。本発明の地下水の浄化方法は、図1〜図3に示すような撹拌部材を用いて行うことができる。図4は、撹拌部材1を連結した走行手段を土壌の所定位置に設置し、土壌を掘削しているところを示した図である。図4に示す撹拌部材1は、接続手段を介して走行手段10に連結されている。図4に示す走行手段10は、車輪11を備え、地表面12上を自在に移動可能とされている。また、走行手段10は、アーム13を介して昇降手段14が設けられていて、挟持手段15を上下に昇降可能にしている。図4に示す実施の形態では、所定位置に車輪11を使用して移動し、アーム13の角度を調整し、昇降手段14を地表面12に対して垂直になるように立てる。また、昇降手段14に昇降可能に配設されている挟持手段15によって中間ロッド16を回転可能に挟持し、中間ロッド16の下部に撹拌部材1を配設し、挟持手段15は、油圧駆動などにより中間ロッド16を正逆両方向に回転させる。中間ロッド16は、挟持手段15の回転を先端の撹拌部材1に伝達する駆動軸の働きをする。中間ロッド16の上部に接続される注入管接続部材17に圧縮空気および浄化した水を通す注入管8、9が接続され、注入管8、9は、図示しない空気圧縮機または空気ボンベ、および油水分離装置18に連結されている。
【0029】
また、図4においては、撹拌部材1を用いて掘削する位置とは別の位置に揚水孔19が設けられ、揚水孔19には吸引ポンプ20が接続されている。図4に示す揚水孔19は、いかなる径であっても良く、撹拌部材1から噴射した空気によって剥離して地下水20中に浮遊した油分を、地下水20とともに吸引するための通路として使用することができる。本発明においては、揚水孔19に、地下水20にまで延びる吸引管を挿設し、吸引管に吸引ポンプ21を接続するようにされていても良い。また、吸引ポンプ21により吸引された地下水20は、油水分離装置18に供給され、浮遊する油分と水とに分離される。分離された水は、浄化水として再び地下水に戻される。この場合、図示しない供給ポンプによって所定圧力とした後、注入管9を通して戻すことができる。
【0030】
図4に示す実施の形態では、図示しない空気圧縮機などから中間ロッド16の内部および撹拌部材1の内部を通して圧縮空気を噴射するとともに、中間ロッド16を回転させることにより、撹拌部材1を回転させることができる。撹拌部材1は、昇降手段14によって挟持手段15を降下させることにより、矢線Aに示す方向に向けて降下させて土壌を掘削することができる。原位置において所定深さの土壌を浄化する際に中間ロッド16の長さが足りない場合には、中間ロッド16の回転を停止し、別の中間ロッド16を継ぎ足して長さを延長することができる。本発明においては、中間ロッド16を正逆両方向に回転させることができれば、挟持手段15および注入管接続部材17は、いかなる構造であっても良く、またいかなる手段でも用いることができる。
【0031】
図5は、撹拌部材1を所定深さに存在する地下水20中に浸漬させ、注入管8を通して圧縮空気と、注入管9を通して浄化した水を供給しているところを示した図である。図5に示す撹拌部材1の回転により、圧縮空気は、地下水20に隣接する土壌22に間欠的に噴射され、土壌に付着した油分が剥離される。剥離された油分は、撹拌部材1の回転によって地下水が撹拌されることにより、撹拌による流れに沿って地下水20中に浮遊した状態となる。また、撹拌部材1から噴射される圧縮空気は、同じ土壌22の位置において間欠的に噴射されることとなり、また噴射された圧縮空気は、細かな泡として土壌22に衝突することで土粒子同士、または土粒子と泡が繰り返し接触して油分が土粒子から剥離する。また、先導管3から噴射した圧縮空気は、地下水20の底部の不透層23に付着した油分を剥離させ、地下水20中に油分を浮遊させる。このようにして、油分が浮遊した地下水20を、揚水孔19を通して吸引ポンプ21によって吸引し、油水分離装置18に供給する。油水分離装置18では、上述したように油分と水とに分離され、注入管9を通して再び地下水20中に戻すことができる。注入管9では、注入管8と同様に地下水20が滞留する帯水層の側部方向に向け、広範囲に行きわたるように噴射される。図5に示す実施の形態では、撹拌装置1の軸体4の周囲に存在する地下水20に向けて螺旋状羽根5に沿って設けられる図1〜図3に示す注入管8、9を通して、矢線Bに示す方向に向けて圧縮空気および浄化した水が噴射される。撹拌部材1の周囲に向けて噴射された圧縮空気および浄化した水は、螺旋状羽根5の回転と、図示しない空気圧縮機および供給ポンプなどから中間ロッド16を通し、撹拌部材1の内部を通して供給される圧縮空気とにより揺動撹拌され、撹拌部材1の周囲に存在する地下水20とともに撹拌することにより撹拌部材1を中心に分散していく。
【0032】
図5に示す実施の形態では、さらに、矢線Cに示すように、昇降手段14を使用して撹拌部材1を上下させることにより、原位置においてそれぞれの深さにおける土壌22に付着した油分を剥離させることができる。これにより、地下水20および地下水20に隣接する土壌に付着した油分を効率的かつ充分に剥離させることができ、浄化速度および作業効率も向上させることができる。
【0033】
本発明を上述した実施の形態をもって詳細に説明してきたが、本発明の油分により汚染された地下水の浄化方法は上述した実施の形態に限定されるものではなく、同様の効果を得ることができるものであれば、撹拌部材は上述した形状に限らず、いかなる大きさ、いかなる螺旋状羽根の巻数であっても良く、また圧縮空気を供給する注入管および油分を分離した水を戻すための注入管は、いかなる配置および数であっても良く、さらには圧縮空気および水が接触する部位の材質は、腐食しない材質であればいかなる材質のものでも用いることができる。また、本発明においては、地下水中の油分でなくても、いかなる液状汚染物質、固体状の汚染物質を分離・除去して地下水を浄化することができるものである。
【0034】
【発明の効果】
上述したように、本発明の油分により汚染された地下水の浄化方法に用いる撹拌部材を使用することにより、地下水を撹拌するとともに圧縮空気を供給して土壌に付着された油分を剥離させることを可能にし、また油分を分離した水を戻すことにより地下水を浄化することを可能とする。また、本発明の油分により汚染された地下水の浄化方法を提供することにより、撹拌部材を回転させながら地下水中を上下に移動させることにより、所定深さの地下水に隣接した土壌に付着した油分を剥離させ、かつ地下水全体の浄化を促進することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の油分により汚染された地下水の浄化方法に用いることができる撹拌部材の一例を示した斜視図。
【図2】 図1に示す撹拌部材の側面図および断面図。
【図3】 図1に示す撹拌部材の平面図。
【図4】 本発明の油分により汚染された地下水の浄化方法に用いることができる撹拌部材を用いて、土壌を掘削しているところを示した図。
【図5】 本発明の油分により汚染された地下水の浄化方法に用いることができる撹拌部材を用いて、地下水中に圧縮空気および油分を分離した水を噴射しているところを示した図。
【符号の説明】
1…撹拌部材
2、2a、2b…切削部材
3…先導管
4…軸体
5…螺旋状羽根
6…突出部材
7…フランジ
8、9…注入管
10…走行手段
11…車輪
12…地表面
13…アーム
14…昇降手段
15…挟持手段
16…中間ロッド
17…注入管接続部材
18…油水分離装置
19…吸引孔
20…地下水
21…吸引ポンプ
22…土壌
23…不透層
Claims (6)
- 先端部に切削部材を備える先導管と、前記先導管が連結され、長さ方向に沿った中央部において径が大きく、かつ両端部において径が小さくなるように形成された中空の軸体と、前記軸体に周設される螺旋状羽根と、前記螺旋状羽根の上面および下面に配設される複数の突出部材と、前記軸体の内部を通り、前記軸体を貫通して前記螺旋状羽根の縁部に向けて配設される注入管とを備える撹拌部材を回転させて土壌を掘削し、前記土壌中に存在する地下水に前記撹拌部材を浸漬させるステップと、
前記撹拌部材の前記注入管から該撹拌部材の周囲に向けて圧縮空気を噴射するステップと、
前記注入管から前記圧縮空気を噴射させるとともに該撹拌部材を回転させることにより、前記地下水に隣接する前記土壌に付着した油分を剥離させ、前記地下水中に浮遊させるステップと、
浮遊させた前記油分を含む地下水を回収し、前記油分を分離するステップとを含む、油分により汚染された地下水の浄化方法。 - 前記油分を分離するステップにおいて該油分を分離した水を、前記注入管を通して前記地下水に戻すステップを含む、請求項1に記載の油分により汚染された地下水の浄化方法。
- さらに、前記軸部の内部を通して前記先導管から圧縮空気を噴射するステップを含む、請求項1に記載の油分により汚染された地下水の浄化方法。
- 前記圧縮空気を噴射するステップは、前記圧縮空気を200kPa〜1000kPaの圧力で噴射することを特徴とする、請求項1〜3に記載の油分により汚染された地下水の浄化方法。
- 前記油分を分離するステップでは、前記浮遊させた油分を含む地下水を、地表面から前記地下水に達する揚水孔を通して回収することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の油分により汚染された地下水の浄化方法。
- 前記地下水を戻すステップでは、前記油分を分離した水を間欠的に噴射することを特徴とする、請求項2に記載の油分により汚染された地下水の浄化方法。
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