JP3970966B2 - 土圧系シールド工法添加剤 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、土圧系シールド工法添加剤の改良に関わる。更に詳しくは、掘削土砂に対し添加して止水性と潤滑性を与えることにより良好な掘進を可能とすると共に、ポンプ圧送できるような保水性と流動性を付与できる土圧系シールド工法添加剤及びこの添加剤を使用する土圧系シールド工法に関する。
【0002】
【従来技術】
土圧系シールド工法は、シルト、粘土等の軟弱地盤では、掘削、排土が可能であったが、砂礫地盤においては、切羽土砂の流動性が悪いため、掘削土砂をカッターチャンバー内に充満させることができないので、カッターチャンバー上部に空洞を生じてしまう。この空洞部には湧水とともに土砂が崩落し、その結果切羽の安定が保てなくなるといった問題を有している。また、砂礫地盤においては、一般に手掘りシールド、機械式シールドにより掘削、排土を行っている。又砂礫の排土処理は、ポンプ圧送ができないため、ベルトコンベアーやトロッコにより運搬を行っており、経済的な観点及び作業効率の点からは好ましくない。
【0003】
従来、水に、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ソーダ、PVA、澱粉等の水溶性高分子の1種または2種以上と粘土とを混入してなる土圧系シールド工法及び土圧系推進工法用加泥材(特開平7−82559号)が提案されているが、この技術による添加剤は、粘土を利用しており環境面で問題がある。すなわち粘土を利用しているために、掘削土砂を普通の土として廃棄することが不可能であり、産業廃棄物としての扱いを受け、そのために経済性も悪い。また、この添加剤は、砂礫地盤の掘削土砂の流動性と止水性に関してはある程度効果が認められるが、ポンプ圧送については十分に満足のできる効果が認められない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
土圧系シールド工法により、砂礫地盤において掘削を行う際に、従来のベントナイト水溶液を切羽の先端から出るようにして掘削を行うと、切羽が不安定となり、またチャンバー内の掘削土砂の止水性と潤滑性にも限界がある。他方上記の水溶性高分子に粘土を加える方法(特開平7−82559号)により掘削を行うと、掘削土砂は、ある程度の流動性と止水性を示すが、チャンバー内の掘削土砂をパイプによって流体輸送を行うには不十分な流動性を示すにすぎない。つまり上記の水溶性高分子に粘土を加える方法においては、パイプ輸送による経済性と作業性はメリットが大きいにも関わらず、砂礫地盤の掘削土砂のパイプ輸送が未だに確立できていない点で問題が残っている。また粘土を使用するために、掘削土砂は産業廃棄物となり、環境面にも問題が残っている。
【0005】
さらにカルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液を掘削した砂礫に加える方法も知られている。カルボキシメチルセルロースナトリウム(以下CMCと表記する)は、一般に増粘剤として使用され、食品添加物としても登録されている、安定性の高い物質である。しかし、CMC水溶液を加えた掘削した砂礫は、ブリージングを起こしてしまい、安定した掘削、パイプによる流動輸送は不可能である。
【0006】
本発明は、上記のような従来技術による添加剤の欠点を解消させ、砂礫地盤において安定して掘削することとパイプにより掘削土砂を排出することを可能とし、さらには掘削土砂を産業廃棄物扱いとすることを必要としない、土圧系シールド工法添加剤の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討を行った結果、シールド機の切羽の安定した掘削を可能とし、排土がパイプ輸送可能となる土圧系シールド工法添加剤がCMCと苛性ソーダ存在下の加水分解により一部ポリアクリル酸ソーダに変性したポリアクリルアミドの混合物により得られることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。すなわち本発明は、1%水溶液の粘度(25℃、B型粘度計)が4000〜12000cps のカルボキシメチルセルロースナトリウムと苛性ソーダ存在下の加水分解により一部ポリアクリル酸ソーダに変性したポリアクリルアミドの混合物からなることを特徴とする土圧系シールド工法添加剤に関わるものである。本発明によれば、CMCのみではブリージングが起こるために限界があったが、高分子の凝集剤として使用されているポリアクリルアミドとCMCとを複合することにより、シールド機の切羽の安定した掘削と排土のパイプ輸送を可能とし、残土処理の処理方法(特開平07−284800号)により元の地山に戻すことができ、また粘土を使用しないことにより排土が産業廃棄物の扱いとならない土圧系シールド工法添加剤が提供される。
【0008】
【発明実施の形態】
上記の如く、本発明の土圧系シールド添加剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)と苛性ソーダ存在下の加水分解により一部ポリアクリル酸ソーダに変性したポリアクリルアミドの混合物からなるが、本発明に使用されるCMCは、掘削土砂のブリージングを防ぐ目的から、高粘品であることが望ましい。詳しくは、CMCの1%水溶液の粘度(25℃、B型粘度計)が 4000〜12000cpsであることが望ましく、さらには 8000〜12000cpsであることがより望ましい。またDS(グルコース1個当たりの置換割合)=0.7〜1.2のものが望ましい。1%水溶液の粘度が4000cps未満であると、掘削土砂をパイプ輸送する際にブリージングが起こりやすくなり好ましくない。又高粘度のCMCが望ましいが、実際には 12000cpsより高い粘度を有するCMCは得られない。
【0009】
本発明の土圧系シールド工法添加剤に使用されるポリアクリルアミドは、一般的に水処理剤として使用されている高分子凝集剤であり、安全性の高い物質である。使用されるポリアクリルアミドは、掘削土砂のブリージングを防ぐため、高粘品が望ましい。詳しくはポリアクリルアミドの0.1%水溶液の粘度( 25℃、B型粘度計 No.2ローター、60rpm)が200〜400cps、分子量が 800万〜1700万のものが望ましい。さらに、本発明において使用されるポリアクリルアミドは、苛性ソーダ存在下で一部ポリアクリル酸ソーダに変性したものであり、その加水分解度は20〜40%が適当である。
【0010】
本発明の土圧系シールド工法添加剤は、CMCとポリアクリルアミドの重量比が50/50〜90/10の範囲で混合されることが、良好な掘削を実現させる止水性と潤滑性及び良好なポンプ圧送を実現させる保水性と流動性の点から望ましい。さらにCMCとポリアクリルアミドの重量比が60/40〜80/20の範囲のものがより望ましい。
【0011】
本発明の土圧系シールド工法添加剤は、対象となる土砂に合わせて、水道水などの水により適宜好ましい濃度に希釈して使用される。CMCとポリアクリルアミドはそれぞれ固体のものを混合してから水溶液としても、水溶液となったもの同士を混合しても、どちらか一方の水溶液にもう一方の固体を混合しても、いずれでも構わない。
【0012】
【実施例】
以下実施例及び比較例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0013】
実施例1〜5
1%水溶液粘度が9930cps(25℃、B型粘度計No.4ローター、60rpm)、DS=0.76のCMC [CMCダイセル<2280>、ダイセル化学工業(株)製] を使用し、また、0.1%水溶液粘度が 305cps(25℃、B型粘度計No.2ローター、60rpm)、加水分解度30%のポリアクリルアミド [アコフロックA130 、三井サイテック(株)] を使用し、両者の混合割合をCMC/ポリアクリルアミド=50/50、60/40、70/30、80/20、90/10(重量比)とし、水道水を使用して、 0.6重量%濃度の水溶液を作成した。この水溶液を鬼怒川産川砂(含水率14.0%)3000cm3に対して、 600cm3添加混合して、掘削土砂を調整した。この掘削土砂は非常に粘稠で流動性と止水性に富み、スランプ値は17.5〜23.0cmであった。また、実施例2、3、4は材料分離せず、実施例1、5はほんの少し材料分離しているが、いずれもポンプ圧送が可能と判断できた。
【0014】
実施例6
1%水溶液粘度が5060cps(25℃、B型粘度計No.4ローター、60rpm)、DS=0.89のCMC [CMCダイセル<2260>、ダイセル化学工業(株)製] を使用し、また、0.1%水溶液粘度が 305cps(25℃、B型粘度計No.2ローター、60rpm)、加水分解度 30%のポリアクリルアミド[アコフロックA130 、三井サイテック(株)] を使用し、両者の混合割合をCMC/ポリアクリルアミド=70/30(重量比)とし、水道水を使用して、 0.6重量%濃度の水溶液を作成した。この水溶液を鬼怒川産川砂(含水率14.0%)3000cm3に対して、 600cm3添加混合して、掘削土砂を調整した。この掘削土砂は粘稠で流動性と止水性があり、スランプ値は17.5cmであった。また、ほんの少し材料分離しているが、ポンプ圧送が可能と判断できた。
【0015】
比較例1
1%水溶液粘度が 9930cps(25℃、B型粘度計No.4ローター、60rpm)、DS=0.76のCMC [CMCダイセル<2280>、ダイセル化学工業(株)製] のみを使用し、水道水を使用して、 0.6重量%濃度の水溶液を作成した。この水溶液を鬼怒川産川砂(含水率14.0%)3000cm3に対して、600cm3 添加混合して、掘削土砂を調整した。この掘削土砂はパサパサしており、流動性に欠け、スランプ値は13.0cmで、材料分離しており、容器の上部に水が浮いて、ポンプ圧送は不可能と判断できた。
【0016】
比較例2、3
1%水溶液粘度が 9930cps(25℃、B型粘度計No.4ローター、60rpm)、DS=0.76のCMC [CMCダイセル<2280>、ダイセル化学工業(株)製] を使用し、また、0.1%水溶液粘度が 305cps(25℃、B型粘度計No.2ローター、60rpm)、加水分解度30%のポリアクリルアミド [アコフロックA130 、三井サイテック(株)] を使用し、両者の混合割合を重量比でCMC/ポリアクリルアミド= 95/5(比較例2)、40/60(比較例3)とし、水道水を使用して、0.6重量%濃度の水溶液を作成した。この水溶液を鬼怒川産川砂(含水率 14.0%)3000cm3に対して、600cm3 添加混合して、掘削土砂を調整した。比較例2の掘削土砂は、スランプ値14.0cmで止水性が劣り、材料分離しており、容器の上部に水が浮いて、ポンプ圧送は不可能と判断できた。比較例3の掘削土砂は、スランプ値25.0cmで止水性が若干欠け、少し材料分離しており、ポンプ圧送が満足にできる状態ではなかった。
【0017】
比較例4
1%水溶液粘度が 3100cps(25℃、B型粘度計No.4ローター、60rpm)、DS=0.63のCMC [CMCダイセル<2100>、ダイセル化学工業(株)製] を使用し、また、0.1%水溶液粘度が 305cps(25℃、B型粘度計No.2ローター、60rpm)、加水分解度30%のポリアクリルアミド [アコフロックA130 、三井サイテック(株)] を使用し、両者の混合割合をCMC/ポリアクリルアミド=70/30(重量比)とし、水道水を使用して、 0.6重量%濃度の水溶液を作成した。この水溶液を鬼怒川産川砂(含水率14.0%)3000cm3に対して、600cm3 添加混合して、掘削土砂を調整した。この掘削土砂は、粘性・まとまりがなく、流動性に欠け、スランプ値は、12.0cmであった。また、材料分離がしており、容器の上部に水が浮いており、ポンプ圧送は不可能と判断できた。
【0018】
比較例5
1%水溶液粘度が 9930cps(25℃、B型粘度計No.4ローター、60rpm)、DS=0.76のCMC [CMCダイセル<2280>、ダイセル化学工業(株)製] を使用し、また、0.1%水溶液粘度が 200cps(25℃、B型粘度計No.2ローター、60rpm)、加水分解度 15%のポリアクリルアミド [アコフロックA100、三井サイテック(株)] を使用し、両者の混合割合をCMC/ポリアクリルアミド=70/30(重量比)とし、水道水を使用して、 0.6重量%濃度の水溶液を作成した。この水溶液を鬼怒川産川砂(含水率14.0%)3000cm3に対して、600cm3 添加混合して、掘削土砂を調整した。この掘削土砂のスランプ値は、13.0cmで、材料分離しており、ポンプ圧送は不可能と判断できた。
【0019】
比較例6
1%水溶液粘度が 9930cps(25℃、B型粘度計No.4ローター、60rpm)、DS=0.76のCMC [CMCダイセル<2280>、ダイセル化学工業(株)製] とポリアクリル酸ソーダ [アクアリックMHS、日本触媒(株)製] 及び粘土 [TB−300 、立花マテリアル(株)製] を使用して各々の混合割合をCMC/ポリアクリル酸ソーダ/粘土=15/15/70(重量比)とし、その2%水溶液を作成した。この水溶液を鬼怒川産川砂(含水率14.0%)3000cm3に対して、600cm3 添加混合して、掘削土砂を調整した。この掘削土砂は、止水性に欠け、スランプ値は16.0cmであった。また、やや材料分離しており、容器の上部にほんの少しの水が浮いており、ポンプ圧送が満足にできる状態ではなかった。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】
(注1)材料不分離性は、分離せず(◎)、ほんの少し分離(○)、
やや分離(△)、分離(×)である。
【0023】
【発明の効果】
本発明の土圧系シールド工法添加剤は、粘度を含有せずに特定の二成分から構成され、掘削土砂の流動性と止水性に優れているため、シールド機の切羽を安定させて、砂礫地盤の掘削を可能とする。また、排土処理は、粘土を添加しないため、掘削土砂を産業廃棄物としての扱いを受けず、又従来のベルトコンベアーやトロッコの運搬ではなく、経済性と作業性の良いポンプ輸送を可能とする。
Claims (2)
- 1%水溶液粘度(25℃、B型粘度計)が 4000〜12000cpsのカルボキシメチルセルロースナトリウムと苛性ソーダ存在下の加水分解により一部ポリアクリル酸ソーダに変性したポリアクリルアミドの混合物からなることを特徴とする土圧系シールド工法添加剤であって、
ポリアクリルアミドが、苛性ソーダ存在下の加水分解により 20 〜 40 %ポリアクリル酸ソーダに変性したものであり、
カルボキシメチルセルロースナトリウムとポリアクリルアミドの重量比が、 50 / 50 〜 90 / 10 である、
土圧系シールド工法添加剤。 - 請求項1に記載された土圧系シールド工法添加剤を使用して、掘削土砂をポンプ圧送することを特徴とする土圧系シールド工法。
Priority Applications (1)
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| JP2026897A Expired - Lifetime JP3970966B2 (ja) | 1997-02-03 | 1997-02-03 | 土圧系シールド工法添加剤 |
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