JP3971898B2 - スロットルボディ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂製のスロットルボディに用いられる樹脂製の絞弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃費向上を目的に、自動車全体の軽量化が進められている。吸気系の部品であるスロットルボディは従来、アルミニウムのダイカストなどにより製造されていた。近年、樹脂を用いた軽量化及び低コスト化が検討されている。
【0003】
スロットルボディのボアと絞弁のすき間は80〜100μm以下とする必要があり、従来はダイカストで製作したボアを切削することにより精度を確保していた。樹脂化に当たってはこのすき間を従来と同程度の大きさに抑えれば、切削を不要とすることができる。このためには、成形収縮後のボア及び絞弁の真円度(以降、本文中では直径の変動を表すものとする)及び内径のばらつきを、アルミダイカスト並にする必要がある。また、極低温から100℃を越える範囲での熱変形により、ボアと絞弁の干渉及びすき間が過大となることをも防ぐ必要がある。
【0004】
この熱変形の影響を減らす方法として、ボア部については充填材の配向による不均一変形を防ぐ方法が提案されている(特開平10-169473号)。このようなボア部の構成に、切削した金属の絞弁を用いることにより、すき間を小さくすることができると考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、低コスト化の観点からは、絞弁も樹脂化し切削工程を削減することが必要である。ボアと絞弁の両方を樹脂化することにより、同程度の線膨張係数の材料で構成することができるため、ボアと絞弁のすき間は初期値とほぼ同程度に保つことができる。また、絞弁を金属に比べ熱伝導率の低い樹脂にすることにより、金属の絞弁を使用時に生じていた絞弁の氷結を防止できる可能性がある。絞弁を樹脂化した場合、同一量の充填材を含んだ同一材質の樹脂においても、ボアとの充填材の配向の相違から、線膨張係数が異なり、熱変形量が異なってくる。その結果、ボアと絞弁の干渉や過大なすき間の発生が懸念される。
【0006】
また、最近の内燃機関ではアイドリング回転数を低くするため絞弁のアイドル開度を小さくする方向にある。しかし、アイドル開度を小さくすると、内燃機関に再吸入される排気ガス中のカーボンやブローバイガス中にオイルなどの付着物が絞弁の外周に付着する可能性が高くなる。これらの付着物が堆積した物が内燃機関からの熱により固化し堆積すると、最悪の場合、絞弁とボアが固着物によって固着され、運転者がアクセルペダルを踏み込んでも絞弁が開かないという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、ボア及び絞弁の極低温から100℃を越える範囲での熱変形量をほぼ同一にすることにより、すき間を従来と同程度の大きさに抑え、低コストで、高性能なスロットルボディを提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、成形収縮後のボア内径の真円度を小さくし、絞弁とボアのすき間を小さくすることにある。
【0009】
また、本発明のさらなる目的は、絞弁がカーボンやオイルからなる固着物により動かなくなることを防止することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明は絞弁の熱変形量をボアに近づけることにより、前記した干渉やすき間の拡大の抑止を図るため、樹脂中の充填材の配向を円周方向にすることにより、半径方向の線膨張係数を、ボアに近づけるようにしたものである。
【0011】
また、上記課題を解決するために、本発明のスロットルボディは、吸気筒(ボア)のほぼ中心を横切って挿通した絞弁軸と、前記絞弁軸に固定され前記ボア内に配置された絞弁とを有するスロットルボディにおいて、前記ボア及び前記絞弁が充填材を含む樹脂材料により構成され、温度範囲−40℃〜120℃での前記ボアの円周方向の変形量と、前記絞弁の半径方向の変形量との差を0μm〜40μmの範囲内にした絞弁を有することを特徴とする。
【0012】
また、上記課題を解決するために、本発明のスロットルボディは、吸気筒(ボア)と、絞弁とを有するスロットルボディにおいて、前記絞弁及び前記ボアは充填材を含む樹脂材料を有して構成され、前記絞弁の線膨張係数と前記ボアの線膨張係数との差が0/℃〜4×10−6/℃の範囲内であることを特徴とする。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明のスロットルボディは、ボア及び絞弁の充填材の配向を略同一方向に揃えたことを特徴とする。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明のスロットルボディは、ボア及び絞弁の充填材の配向をランダムにしたことを特徴とする。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明のスロットルボディは、円周方向に溝またはリブを設け、充填材の配向を略円周方向とした絞弁を有することを特徴とする。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明のスロットルボディは、前記絞弁は、前記充填材を円周方向に配置して構成した集合体を樹脂により挟み込み成形されてなることを特徴とする。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明のスロットルボディは、樹脂の充填材の含有量をボアと相違させることにより、半径方向の線膨張係数をボアの円周方向の線膨張係数に近づけた絞弁を有することを特徴とする。
【0018】
また、上記課題を解決するために、本発明のスロットルボディは、前記絞弁は、少なくとも前記絞弁外周部の前記ボアの内壁と対向する部分に、フッ素系樹脂を添加するかもしくは塗布した樹脂材料が用いられていることを特徴とする。
【0019】
また、上記課題を解決するために、本発明のスロットルボディは、吸気筒(ボア)のほぼ中心を横切って挿通した絞弁軸と、前記絞弁軸に固定され前記ボア内に配置された絞弁とを有するスロットルボディにおいて、前記ボアが樹脂材料により製作され、ボアの絞弁軸の位置付近に、幅が一定もしくは連続的に異なる、リング状あるいはその一部の形状からなる、ボスのひけの影響を相殺するためのリブを有することを特徴とする。
【0020】
また、上記課題を解決するために、本発明のスロットルボディは、最小板厚が最大板厚の2/3以下であることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載のスロットルボディ。
【0021】
また、上記課題を解決するために、本発明のスロットルボディは、ボス部を有するボアの絞弁軸の位置付近に、最大高さと板厚の積が、ボスの高さとボスの平均板厚の15〜40%、最小高さと板厚の積が、最大高さと板厚の積の20〜80%としたリブを設けたことを特徴とする。
【0022】
また、上記課題を解決するために、本発明のスロットルボディは、ボス部を有するボアの絞弁軸の位置付近に、最大高さをボスの高さの15〜40%、最小高さを最大高さの20〜80%としたリブを設けたことを特徴とする、請求項9に記載のスロットルボディ。
【0023】
また、上記課題を解決するために、本発明のスロットルボディは、ボス部を有するボアの絞弁軸の位置からボアの中心軸の方向に±5mmの範囲で、真円度(直径)を80μm以下とするようなリブを設けたことを特徴とする。
また、本発明は、ボアの絞弁軸付近にリブを配することにより成形収縮後のボア内径の真円度を小さくしたものである。
【0024】
さらに、本発明は樹脂に添加剤を混入することにより、カーボンやオイルの絞弁への付着を抑止したものである。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
【0026】
図2及び図3において3はスロットルボディで、スロットルボディ3はボア4の内壁4aの内側に組み込まれた絞弁1と、絞弁1を止めねじ22により固定する絞弁軸5とからなっている。
【0027】
絞弁軸5はボア4のほぼ中心を横切って挿通されている。絞弁軸5の一端にはスロットルレバー7が接続されるとともに、その途中に設けたストッパ8の間には戻り用のバネ6が設置され、絞弁軸5の他端にはスロットル開度センサ9が取りつけられている。
【0028】
運転者がアクセルペダル(図示せず)を踏むと、スロットルレバー7が動き絞弁軸5も同時に動き絞弁1が開く。アクセルペダルを外すと、バネ6の反力で絞弁1が閉じられる。絞弁1の外周1aとボア内壁4aとのすき間はアイドル運転時の空気量をできるだけ減らし、エンジンのアイドル回転数を下げ、燃費及びアイドル時の騒音を下げるために、例えば80〜100μm程度の微少なすき間とされている。ただし、これは絞弁1を作動させた時にはスムーズに動かせる程度のすき間である。なお、図ではこのすき間を分かりやすいように誇張拡大して示している。
【0029】
スロットルボディ3がエンジン等の熱により加熱されると、ボア内壁4aと絞弁外周1aとのすき間が部分的に狭くなり、絞弁1がボア内壁に食い込んでしまう現象が生じる。この現象は絞弁1が閉じている状態、すなわちアイドリング運転時に最も起こりやすい。
【0030】
繊維状の充填材を含有する樹脂材料では、充填材と平行方向の線膨張係数は小さく、これと直交方向の線膨張係数は大きくなる。図4に一般的な円板の成形状況の概略図を示す。10は充填材、11は円板を示す。12は樹脂を円板状部品11の中心位置より供給するためのランナaである。図に示すように、板厚が薄い場合、充填材10は通常中心より放射状に配向する(充填材10は配向方向を分かりやすく示すために通常より拡大して示している)。その結果、円周方向に比べ半径方向の熱変形量が小さくなると考えられる。また、図5に円筒形状部品の成形方法の概略図を示す。真円度向上のため円周方向に対称なゲート形状とした。ここで、13は円筒状部品、14はゲート、15はランナbを示す。この場合、充填材10は流動方向にならい、主として軸方向に配向する。よって熱変形量は、円周方向及び半径方向が大きく、軸方向が小さくなると考えられる。表1に充填材10を含有する樹脂の円筒状部品、及び円板状部品について、線膨張係数を測定した結果を示す。
【0031】
【表1】
【0032】
これから、円筒状部品の円周方向の線膨張係数は軸方向の1.6倍となり、また円板状部品(板厚1.5mm)については円周方向の線膨張係数は半径方向の1.4倍となっており、前述の考え方を裏付けている。円筒状部品をボア、円板状部品を絞弁と考えると、すき間に関係するのは、円筒状部品の円周方向の線膨張係数と、円板状部品の半径方向の線膨張係数である。この場合、円筒状部品の円周方向の線膨張係数が28.8×10-6/℃、円板状部品の半径方向が18.8×10-6/℃と大きく異なっている。使用温度範囲-40〜120℃では内径を60mmとした場合、96μmの寸法差が生じることになる。よって、両者の線膨張係数を揃えることが最も重要な課題である。この場合、ボアと絞弁の変形量の差を初期のすき間の大きさ80μmよりも小さくする必要がある。変形量の差80μmは使用温度範囲-40〜120℃では内径を60mmとした場合、約8×10-6/℃の線膨張係数の差に相当する。よってこの場合、ボアと絞弁のかじりを防ぐためには、少なくとも両者の線膨張係数の差を約8×10-6/℃以下とする必要がある。真円度のばらつきなどを考慮すると、さらに好ましくは前記した変形量の差を40μm以下に抑えることが望ましい。
【0033】
そこで、本実施例ではスロットルボディ3よりも対策が容易と考えられる絞弁1に着目し、半径方向の線膨張係数の増大方法を考案した。以下、本発明に係わる実施例の詳細を図面を用いて説明する。
(実施例1):
図1は第1の実施例に関わる、絞弁1の例を示す模式図である。16は絞弁、17は同心円状に並んだ溝の一部、24は絞弁16をシャフト5に取り付けるための穴を示す。図6は図1のA−A線における断面図である。
【0034】
このように溝17を同心円状に配置することにより充填材2の向きを主として円周方向にすることができる。本実施例では溝17の配置を千鳥状の配置としたが、これは樹脂が必ず一溝毎に厚さの薄い部分を通過するようにするためである。このようにすることにより、樹脂の半径方向の流動が乱されて、充填材が半径方向に並びにくくなり、配置した同心円状の溝に沿って円周方向に並ぶ確率が高くなる。
また、溝17の深さや大きさ又は配列ピッチ等を変更することで、少なくとも充填材の配向をよりランダムにすることができる。充填材の配向が、主として円周方向であれば、絞弁1の線膨張係数をボア4の線膨張係数に一層近づけることができ望ましいが、配向をランダムにすることでも半径方向の配向を有する絞弁(バルブ)の場合よりは、両者の線膨張係数の差を小さくすることができ、本発明の範囲内である。
【0035】
この結果、前述のように、半径方向の線膨張係数をボア4に近づけることができ、温度変化に対応した絞弁16とボア4間のすき間の変動を抑止できる。
【0036】
本実施例の絞弁16の製造方法は、溝部に対応した凸部を持つ金型のキャビティに熱可塑性樹脂を射出成形することにより容易に製作できる。
【0037】
図7に本実施例について板厚to=3mm、外径60mmの円板状部品が、0.5、0.75、1.0mmの深さの溝を持つように4種類製作し、線膨張係数αを求めた結果を示す。それぞれの溝の深さに対応し、最小板厚tは2.0、1.5、1.0mmとなる。横軸にt/to、縦軸にαとボアの線膨張係数αoとの比を示している。t/toが2/3より小さい領域で溝の効果が顕著に現れ、α/αoは1に近づいている。すなわち円板状部品とボアの線膨張係数が近くなっている。
【0038】
図8にボアと円板状部品の−40〜120℃で生じるすき間の計算結果を示す。溝がない場合すき間は49μm生じるが、溝の深さを1mmとした場合、すき間は18μmに減少している。本実施例の場合、溝を設けた場合の最小の板厚を元の板厚の1/2以下とすることにより、ボアと円板状部品の−40〜120℃で生じるすき間を40μm以下(0μm〜40μmの範囲)とすることができる。これは内径を60mmとした場合、約4×10-6/℃(0/℃〜4×10-6/℃の範囲)の線膨張係数の差に相当する。
【0039】
なお、表1で示した円板状部品のα(18.1×10-6/℃)より本実施例の溝のない円板の方がαが大きく(23.7×10-6/℃)、ボアの値(28.8×10-6/℃)に近い。これは板厚が1.5〜3.0mmと厚くなることにより、壁面とのせん断の影響が及ばない部分が増加するため、繊維の配向が円周方向に揃う割合が高くなったためと考えられる。
【0040】
実際の絞弁16は、ボア4とのかじりを抑止するためにボア内径の中心軸に対し完全に垂直ではなく、数度傾いた形でボア4に接する。そのため、実際の絞弁16は完全な円板ではなく、楕円形状であり、さらに端面が、徐々に傾いた形状となる。金型もこれに対応して製作することが必要である。
【0041】
本実施例では、両側に溝17を設けたが、片側でも同様の効果が得られる。ただし、この場合は、成形時に反りが生じるおそれがあるので、金型に温度差を設ける等の工夫が必要である。また本実施例では、溝17の配置を千鳥状の配置としたが、中心から放射状に並ぶように配置してもよい。さらには、同心円状の溝を配してもよい。また、溝17を外周部にのみ配置しても同様の効果が得られる。
【0042】
また、アイドリング時に負圧が生じ、このため絞弁1は絞弁軸を支点として、エンジン側にたわむ。絞弁1は前述のようにボアの中心軸に対し、垂直でなく数度の傾きを持っている。このため、エンジン側に傾いた絞弁の半分の部分は、たわむことによりボア内壁から遠ざかる。一方、エンジン側と逆方向に傾いた絞弁の半分の部分は、ボア内壁に接する方向にたわみ、この結果絞弁とボアがかじり、最悪の場合制御不能となる可能性がある。
【0043】
そこで、図9に示すように、エンジン側と逆方向に傾いた絞弁の半分の部分(図の右半分)については、溝を設ける代わりにリブを設けて、充填材の配向方向が円周方向になるようにした。図10において17は溝、23はリブを示す。この結果、溝による板厚の減少を防ぎ、剛性を高めるようにした。図10は図9のA−A線における断面を示す。また、図10のリブ23を付けた側の絞弁においても、充填材10は主として円周方向に配向されるため、絞弁1の線膨張係数とボアの線膨張係数とを近づけるか、または略同一とすることができる。これにより、絞弁1の強度を高めると同時に、両者の線膨張係数の差を上述の所定値以下にすることができ、絞弁1とボア4とのかじりの問題を解消することができる。
【0044】
ここでは、リブを表裏両面に配置したが、片側だけでもよい。この場合、エンジン側に凸部を設けることにより流動抵抗の減少が図れる。図21は図9のA−A線における断面の別の例を示し、17は溝、23はリブを示す。絞弁の右においては、リブのたわみ剛性を高めるために外周に近くなるほどリブの高さを高くしている。また、30の最外周部はリブを設けず薄くすることにより、カーボンやオイルからなる付着物の付着を防ぐようにすることができる。
【0045】
本実施例で対象とする樹脂材料の充填材の例としては、ガラス繊維、カーボン繊維、ボロン繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維及びチタン酸カリウム(KnO・nTiO2)のウイスカーなどがある。
(実施例2):
図11は第2の実施例に関わる絞弁1の製造方法を示す模式図、図12は同じく絞弁1の製造過程における金型の断面図である。18は充填材2を円周方向に配置して構成した集合体、19は下型、20は上型である。充填材2の集合体を下型19の凹部に敷き、ここにたとえば熱硬化性樹脂21を流し込み充填材2に含浸させ、上型20をかぶせた後、金型を加熱してこれを硬化する。本実施例によれば、充填材2が円周方向に並んだ絞弁1を得ることができる。この結果、実施例1と同様に、半径方向の線膨張係数をボア4に近づけることができ、温度変化に対応した絞弁1とボア4間のすき間の変動を抑止できる。
【0046】
ここでは充填材2の集合体を用いた例を示したが、充填材2を紐状にしたものを同心円状、あるいは渦巻き状にしてもよい。また、布のように充填材2を直交させて織り上げたものを用いても、多少の効果は得られる。
【0047】
また、ここでは熱硬化性樹脂について示したが、常温硬化の樹脂、光硬化性樹脂、あるいは熱可塑性樹脂を用いても同様の性質を持つ絞弁1の製作は可能である。ただし、光硬化性樹脂を用いる場合は、上型20をガラスにする必要がある。
(実施例3):
他の方法として、樹脂の充填材の含有率をボア4と相違させることにより、絞弁1の半径方向の線膨張係数をボア4の円周方向の線膨張係数に近づけることが可能である。通常、樹脂の充填材の含有率を少なくすることにより、線膨張係数は大きくなる。本実施例の場合、絞弁1について充填材の含有率を少なくして線膨張係数を大きくすることにより、ボア4の円周方向の線膨張係数に近づけることができる。この結果、温度変化に対応した絞弁1とボア4のすき間の変動を抑止できる。
【0048】
また、絞弁とボアの樹脂の種類を相違させて、上記と同様に絞弁の半径方向の線膨張係数をボアの円周方向の線膨張係数に近づけることも可能である。
(実施例4):
図13は第4の実施例に関わるスロットルボディの射出成形後の収縮変形を説明するための、モデルである。ここで、4はボア、25は絞弁軸の軸受を保持するハウジング、26は絞弁軸の貫通穴である。ここで、ボアの中心径は50mm、高さは100mm、ハウジングの中心径は20mm、高さは10mm、貫通穴の直径は10mm、肉厚はすべて2mmとした。
本モデルを用いて汎用の樹脂流動解析ソフト(MOLDFLOW)により、射出成形における、流動、保圧及び反りの解析を行った。樹脂はPEI(ポリエーテルイミド)にガラス繊維25%、マイカ20%を充填材として含むものを対象とした(GEプラスチックス社製、ウルテム3452)。
解析結果を図14に示す。ここで破線27は絞弁軸センタ位置におけるボアの収縮変形後の位置を拡大して示したものである。図のように、軸受のハウジング部分の収縮量が大きく、横長の楕円状となっている。
そこで、この部分の真円度を確保させることを目的として、図15に示すように絞弁軸センタ位置に肉厚が2mmで高さが10mmの円盤状のリブ28を設けるようにした。このモデルにより解析を行った結果を図16に示す。ここで破線29は絞弁軸センタ位置におけるボアの収縮変形後の位置を拡大して示したものである。図14と異なり、縦長の楕円となっている。これは円盤状のリブの収縮量が軸受のハウジング部分の収縮量よりも大きくなったためと思われる。
以上の結果から、この円盤状のリブの形状を調整することにより、成形収縮後のボアの真円度を向上することができる。図17はリブを部分的に配したものであり、リブによる収縮の範囲を狭めたものである。図18はリブの高さを全体的に小さくしたものである。図19はリブの高さを連続的に変化させたものである。このような形状のリブとすることにより、ボアの真円度を大幅に向上させることができる。
【0049】
図20はリブの形状による成形収縮後の変形状態を示す説明図である。横軸はリブの最大高さとボスの高さの比h/ho、縦軸はリブの最小高さとリブの最大高さの比hb/hである。リブがない場合は横長の楕円、リブが大きい場合は縦長の楕円、またリブを均等の高さとし、リブ高さがあまり大きくない場合は正方形に近い形に変形する。これら3つの変形モードの境界部近傍で、成形収縮後の真円度は最も小さくなる。真円度が80μm以下にできる領域を考えると、その領域は最大高さがボスの高さの15〜40%、最小高さが最大高さの20〜80%である。図20ではリブとボアの平均板厚はほぼ同一としたが、ひけはリブやボスの高さのみではなく体積に依存すると考えられる。そこでボスとリブの板厚が異なる場合、変形モードは、ボスとリブの高さにそれぞれの板厚を掛けた場合と同様になると考えられる。そこで最大高さと板厚の積が、ボスの高さとボスの平均板厚の15〜40%、最小高さと板厚の積が、最大高さと板厚の積の20〜80%とすることにより、リブとボスの板厚が同一の場合と同様の効果が見込まれる。
【0050】
また、絞弁は5〜7゜傾いた状態で閉じるため、上記範囲で絞弁軸の位置からボアの中心軸の方向に±5mmの範囲で、真円度を80μm以下とすることが必要である。本解析によれば、上記範囲でほぼ真円度を80μm以下とすることができる。
本実施例では、リブを絞弁軸センタ位置に1層配置するようにしたが、この付近に2層以上設けてもよい。また、リブを配置することによりボアの剛性を高めることができるため、ボアの肉厚を薄くできる効果もある。
【0051】
また、本解析例によればリブをボスの範囲外(ボア軸方向)に設けた場合、絞弁軸位置における真円度はほとんど改善していない。よって、リブは少なくともボスの範囲内(ボア軸方向)に設置することが必要である。
【0052】
本実施例におけるリブ形状の考え方は、本実施例と異なる樹脂材料また繊維含有量が異なる材料においても適用できる。
(実施例5):
内燃機関(図示せず)が運転されると、内燃機関から絞弁1の方向に、排気ガスやブローバイガスが流れることがある。これらのガス中にはカーボンやオイルが混入しており、絞弁1とボア内壁4aとのすき間が狭いと、絞弁1とボア内壁4aに対向する外周部にこれらが付着して固化物となる。この結果、絞弁1が作動しなくなってしまう。
【0053】
そこで、絞弁1の樹脂材料として、オイルまたはカーボンあるいはその双方よりなる付着性物質の、付着防止のための材料を用いることにより、オイルまたはカーボンの付着を妨げることができる。具体的な例としては、樹脂材料にPTFE(四ふっ化エチレン)を代表とするふっ素系樹脂を添加することにより、撥水性を高めオイルまたはカーボンの付着を妨げることができる。また二色成形などにより、絞弁1の外周部のみにふっ素系樹脂を添加した樹脂を用いても同様の効果がある。あるいは、絞弁1の表面にふっ素系樹脂をコーティングしても同様の効果がある。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、ボア4と絞弁1の線膨張係数がほぼ同じになり、ボア内壁4aと絞弁外周1aとの間のすき間の均一性が維持でき、両者の干渉を回避することができる。
また本発明によれば、絞弁軸の位置付近における成形収縮後のボアの真円度を小さくすることができる。
これらにより、アイドル運転時にボア内壁4aと絞弁外周1aとの間のすき間を極めて小さくすることができ、漏れ空気量が少ない高性能な樹脂製のスロットルボディを得ることができる。
【0055】
また、本発明によれば樹脂に添加剤を混入することにより、カーボンやオイルの絞弁1への付着を抑止でき、この結果、絞弁1の動作不良を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に関わる絞弁の概要図
【図2】本発明で対象とするスロットルボディの側面図
【図3】本発明で対象とするスロットルボディの平面図
【図4】円板状部品の成形方法の概略図
【図5】円筒形状部品の成形方法の概略図
【図6】第1の実施例に関わる絞弁のA−A線における断面図
【図7】第1の実施例に関わる絞弁の溝深さと線膨張係数の関係図
【図8】第1の実施例に関わる絞弁の溝深さとすき間の関係図
【図9】第1の実施例の他の例に関わる絞弁の概要図
【図10】第1の実施例の他の例に関わる絞弁のA−A線における断面図
【図11】第2の実施例に関わる絞弁の構成を示す模式図
【図12】第2の実施例に関わる絞弁の製造過程における金型の断面図
【図13】スロットルボディの解析モデルの斜視図
【図14】図13を上から見た場合を示す上面図
【図15】第4の実施例に関わるスロットルボディの一部を示す斜視図
【図16】図15を上から見た場合を示す上面図
【図17】第4の実施例に関わるスロットルボディの一部を示す上面図
【図18】第4の実施例に関わるスロットルボディの一部を示す上面図
【図19】第4の実施例に関わるスロットルボディの一部を示す上面図
【図20】第4の実施例に関わるスロットルボディの変形モードの説明図
【図21】図9のA−A線における断面の別の例
【符号の説明】
1…絞弁、2…充填材、3…スロットルボディ、4…ボア、5…絞弁軸、6…バネ、7…スロットルレバー、8…ストッパ、9…スロットル開度センサ、10…充填材、11…円板状部品、12…ランナa、13…円筒状部品、14…ゲート、15…ランナb、16…絞弁、17…溝、18…充填材の集合体、19…下型、20…上型、21…樹脂、22…止めねじ、23…リブ、24…取付穴、25…絞弁軸受ハウジング、26…穴、27…収縮変形後の位置、28…リブ、29…収縮変形後の位置、30…最外周部
Claims (6)
- 吸気筒のほぼ中心を横切って挿通した絞弁軸と、該絞弁軸に固定され、前記吸気筒内に配置された円板形状の絞弁を備えたスロットルボディであって、前記吸気筒及び前記絞弁が充填材を含む樹脂材料により構成され、温度範囲−40℃〜120℃における前記吸気筒の円周方向の変形量と前記絞弁の半径方向の変形量との差が0μm〜40μmなるように、前記絞弁の充填材含有量と前記吸気筒の充填材含有量とが互いに相違してなることを特徴とするスロットルボディ。
- 吸気筒のほぼ中心を横切って挿通した絞弁軸と、該絞弁軸に固定され、前記吸気筒内に配置された円板形状の絞弁を備えたスロットルボディであって、前記吸気筒及び前記絞弁が充填材を含む樹脂材料により構成され、温度範囲−40℃〜120℃における前記絞弁の半径方向の線膨張係数と前記吸気筒の円周方向の線膨張係数との差が0/℃〜4×10−6/℃なるように、前記絞弁の充填材含有量と前記吸気筒の充填材含有量とが互いに相違してなることを特徴とするスロットルボディ。
- 前記吸気筒に含まれる充填材の配向方向が前記吸気筒の円周方向であり、前記絞弁に含まれる充填材の配向方向が前記絞弁の円周方向であることを特徴とする請求項1または2に記載のスロットルボディ。
- 前記絞弁の少なくとも一方の面に、同心円状に配置された溝を備えてなることを特徴とする請求項1または2に記載のスロットルボディ。
- 前記絞弁が四フッ化エチレンを含む樹脂材料であることを特徴とする請求項項1または2に記載のスロットルボディ。
- 前記絞弁の表面であって、該絞弁の回転軸に対して片側の領域に同心円状に配置された溝と、他方の領域に同心円状に配置されたリブとを備えてなることを特徴とする請求項1または2に記載のスロットルボディ。
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