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JP3972282B2 - クリンカーアッシュを骨材とした多孔質体を用いた河川の水質浄化方法 - Google Patents
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クリンカーアッシュを骨材とした多孔質体を用いた河川の水質浄化方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多数の細孔を有するクリンカーアッシュをセメントで互いに結合してクリンカーアンシュ間にクリンカーアッシュが有する細孔よりも孔径の大きい空隙を有した多孔質体を河川に敷設する河川の水質浄化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、水質浄化用ブロックなどに用いられる各種多孔体が提案されている。例えば、特開平8−218403号公報に記載のセラミック粒状物と多孔質物を混合し、成形し、900〜1200℃で焼成して製造する焼結多孔体が提案されている。この様な多孔体は焼成によって多孔体としているためコスト高となる。
この為、この様な多孔質体を河川の水質浄化方法として使用することはコスト高となり、実用に供し得ない。
【0003】
又、特開平8−41848号公報には、粗骨材にセメントを加えて製造する空洞を有するコンクリートブロックが水質浄化用ブロックとして提案されているが、使用する骨材がコンクリートがら、石材工楊で使用不能の石がら等であり、多孔体ではあるが、水と接する孔壁の表面積が充分であるとはいえない。その為、この様なコンクリートブロックを河川に敷設しても単位面積当りの水質浄化能力は低く,実用に供し得ない。
【0004】
更に、特開平8−188482号公報には、水質浄化用の多孔質ブロック構造体が提案されているが、鹿沼土などをマルメライザーに投入して細粒を造り、マルメライザー処理を数回繰返して細粒を顆粒とし、顆粒を原料として成形し、800〜1400℃で焼成して製造する多孔質ブロックが提案されている。顆粒の製造及び焼成工程からなる製造方法であって、やはりコスト高になる。
この為,コスト面から河川。の水質浄化に使用することは実用上問題である。
【0005】
一方、河川の生活排水などによる汚濁が進行している水域の水質浄化法として、接触材充填水路浄化法、礫間接触酸化法等の直接浄化法が期待されている。しかしながら、浄化効率に優れ、実用に供し得る程度に経済的であって、耐久性のある浄化技術はまだ確立されていない。
【0006】
金網袋に炭や礫を詰めたものを河川の床に敷設し、微生物の働きで有機物を分解する方法も試みられているが、炭の使用は高価となり、実用には供し得ない。また、礫の使用は単位空間当たりの生物膜の存在がそれほど大きくはないので浄化効率が悪いとの問題がある。焼成によって製造する多孔質ブロックの研究開発も上述の通り、試みられてきたが、焼成技術による空隙の制御が困難であり、かつ高価となるため実用には供し得ない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる問題点を解決するものであり、単位空間当りの水質浄化効率と水質浄化能力と水質浄化能力の永続性に優れ、且つ、実用に供し得るほどの極めて経済的な河川の水質浄化方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、多数の細孔を有するクリンカーアッシュがセメントで互いに結合されて該クリンカーアッシュ間に該クリンカーアッシュの細孔よりも大きな空隙を海綿網目状に連通して形成してなる多孔質体を河川に敷設することを特徴とする河川の水質浄化方法が提供される。
【0009】
又、本発明においては、該クリンカーアッシュの細孔の孔径が3mm以下であって、該クリンカーアッシュ間の空隙の孔径が5mm以上であること好ましい。更に、該クリンカーアッシュが円相当直径で5mm〜15mmの大きさの粒子であることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明を図1に基づいて説明する。図1は多孔質体1の切断面を模式的に示した図である。各クリンカーアッシュ2がセメント4で互いに結合され、クリンカーアッシュ間空隙5が形成された微構造からなる硬化体である。
【0011】
各クリンカーアッシュ2は、孔径が好ましくは3mm以下の、極めて多数の細孔3を有している。そして、各クリンカーアッシュ2を接合するセメント4はクリンカーアッシュ2の多孔性を極力低下させない程度でかつ必要な強度を発現する程度に各クリンカーアッシュ間を接合している。
【0012】
したがって、クリンカーアッシュ2に存在する細孔3の大部分は細孔3よりも孔径の大きいクリンカーアッシュ間空隙5と連通した状態で構成されている。クリンカーアッシュ間空隙5は海綿網目状に連通しており、多孔質体1の表面へと繋がっている。
【0013】
かかる多孔質体を水質浄化用硬化体として河川の床に敷設した場合、著しく水質浄化効果に優れていることを発見した。
アルミナ15〜50パーセント、シリカ70〜30パーセントの化学組成を有する多孔質体として火力発電所の第1集塵機から発生するクリンカーアッシュ(クリンカー状の石炭灰)を用いて作製した水質浄化用硬化体はこの効果が特に著しい。
【0014】
本願発明の多孔質体1による水質浄化機能は、主としてクリンカーアッシュが有する無数の細孔に着床した生物膜の酸化作用によるものである。
好気性生物膜は空隙5の孔壁および細孔3の孔壁にそれぞれ着床するが、好気性生物膜は孔径の小さい細孔を好むので細孔3の孔壁に特に着床し易い。
【0015】
したがって、多孔質体1に存在する単位体積当たりの生物膜の表面積は著しく大きいとの特徴を有する。単位体積当たりの生物膜の表面積はクリンカーアッシュに存在する細孔3の孔壁に着床している生物膜が支配的であって、これら生物膜の酸化作用による水質浄化は細孔3の孔壁に着床した好気性バクテリアによって主として行われているものと推定される。
【0016】
更に、多孔質粒子間空隙5は好ましくは5mm以上と比較的大きな孔径の空隙であるから、河川水は比較的容易に空隙5さらには細孔3内に浸透する。その結果、細孔3に着床している好気性バクテリアには絶えず溶存酸素に富んだ水が供給されることとなり、好気性バクテリアの水質浄化能力は好適に維持される。従って、多孔質体の水質浄化機能が著しく優れ、かつその浄化能力が永く維持される。。
【0017】
図2(2a)はクリンカーアッシュの局部断面の一例であって、クリンカーアッシュ2に存在する細孔3の孔径は図2(2b)に示す通り、細孔の断面積と同一の断面積となる円の直径D(円相当直径)で示す。
【0018】
又、クリンカーアッシュ群とセメントで囲われたクリンカーアッシュ間空隙の孔径も同じくクリンカーアッシュ間空隙の断面積と同一断面積となる円の直径で示す。
更に又、クリンカーアッシュの大きさについても同様に、クリンカーアッシュの断面積と同一断面積となる円の直径で示す。
【0019】
クリンカーアッシュとして5mm〜15mmの大きさが好ましい。
セメントと共に砂6を加えることもできる。砂は川砂、山砂などが一般的である。セメントとしては、普通セメント、早強セメント、超早強セメント、アルミナセメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメントなどを指す。
【0020】
【実施例】
以下、本発明の実施例を更に詳細に説明するが本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0021】
【実施例1】
通常のコンクリート製品の製造は成形時に混練物の充填不良を発生させないように出来るだけ緻密に充填することが行われている。ところが本発明の多孔質体の製造においては、従来のコンクリート製品とは製造する技術課題が全く異なる。
【0022】
本発明の多孔質体の製造における技術課題は、混練時から硬化時に至る過程において多孔質体が有する細孔をセメントで閉塞させることなく、且つ、所定の強度が得られる程度に多孔質間をセメントで結合することである。
【0023】
その為には、過剰のセメントスラリーを発生させないことである。即ち、クリンカーアッシュ間を接合するセメントスラリーが必要充分な量であって、かつセメントスラリーが硬化体表面へと浸み出さないことである。
【0024】
以下に、本発明の多孔質体の製造方法について、図3に示した製造工程図に基づいて説明する。
火力発電所の第1集塵器から排出するクリンカーアッシュをフルイを通して分級する。
【0025】
使用のクリンカーアッシュの組成は火力発電所で使用される石炭の種類(産地)によって変動する。アルミナ分の最大値は29.9%、最小値は18.0%、平均値は24.9%であった。シリカ分の最大値は67.8%、最小値は52.2%、平均値は58.5%であった。これらクリンカーアッシュを水中に浸漬した場合の水のPHは8.2であった。又、1g当たりの細孔容積は0.15〜0.06立方メートルであった。
【0026】
5〜15mmに分級されたクリンカーアッシュを1000kg秤量し、1000kgのクリンカーアッシュにクリンカーアッシュの含水率の25%に相当する水を加え混合する。所定量の水を含んだクリンカーアッシュを混合機に投入する。
【0027】
一方、砂100〜200kgとセメント280〜320kgを混合し、均一な混合体を得る。この均一混合体を前記クリンカーアッシュを投入した混合機に入れ混合する。
【0028】
次いで30〜100gの水を加え、混練する。
均一に混練された混練物を型枠内に投入し、棒で突っつきながら型枠内に充填する。いわゆるかちこみ成形をする。所定時間後硬化が完了してから離型し、多孔質体を得る。
【0029】
クリンカーアッシュに予め所定量の水を加え、含水させるのは混練時の混練状態の急激な変化を緩和するためとクリンカーアッシュの有する細孔がセメントスラリーで閉塞されることを防止するためである。また、飽和状態まで含水させないのは混練時に過剰なセメントスラリーを発生させないためである。従って、クリンカーアッシュの含水率を50%以下の範囲で含水させておくのが好ましい。
【0030】
混練時の混練物の状態は団子状に握っても湿った混練物が数分割されるか又はばらばらと壊れる状態が良い。この様な混練状態であれば成形の際、クリンカーアッシュ内に含まれている水が浸み出し、成形時にクリンカーアッシュ間を接合するに適したセメントスラリー状態になる。型枠の表面にセメント硬化遅延剤を塗布することは成形体の表面に浸み出したセメントスラリーを硬化させないので好ましい。
【0031】
5〜15mmの大きなクリンカーアッシュを用いているので、クリンカーアッシュ間に5mm以上の空隙が海綿網目状に形成される。
又、クリンカーアッシュの細孔の大部分はセメントによって閉塞されること無く、更に離型後は硬化体としての必要強度を有する。
【0032】
セメントは早強セメントが好ましい。混練物を型枠内に投入し、かちこみ成形し、硬化するまでの間に流動性を有するセメントスラリーがクリンカアッシュ表面を被覆することが防止されるので好ましい。硬化促進剤を加えることはセメントスラリーの流動性が短時間で低下し、セメントスラリーが必要以上にクリンカアッシュ表面を被覆することが防止されるので好ましい、従って、早強セメントと硬化促進剤を併用することが更に好ましい。
【0033】
このことによりクリンカアッシュの細孔の大部分はクリンカーアッシュ間に形成される5mm以上の海綿網目状の空隙と連通される。
セメントと共に砂を加えると強度が増すので好ましい。図4に示す形状の多孔質体の物性は空隙率VC≧20%、圧縮強度σ≧10N/mm、透水係数KC≧1×10−1である。
【0034】
【実施例2】
図4に示す本発明の多孔質体1を河川に10平方メートル(10個)敷設し、本発明の多孔質体1に生物膜を着床させ、20日間経過後河川より取り外し、室内に設置した人工水路の床に設置し、河川より採取した水を循環ポンプで循環し、本発明の多孔質体1による河川水の浄化データを測定した。
【0035】
尚、水の循環経路の途中に水車を設け、水中の溶存酸素が浄化によって消費され減少することに対し、水中に酸素を補給し、極力自然の河川に近い状況にして経過日数ごとに水を採取して、BOD、COD、アンモニウムイオン、燐、窒素、PHのそれぞれの推移について測定した。その結果を表1〜表6及び図5〜図10に示す。
【0036】
【表1】
Figure 0003972282
【0037】
【表2】
Figure 0003972282
【0038】
【表3】
Figure 0003972282
【0039】
【表4】
Figure 0003972282
【0040】
【表5】
Figure 0003972282
【0041】
【表6】
Figure 0003972282
【0042】
図5〜図10に本発明の実施例と共に示した比較例は、本実施例に使用した硬化体7の製造方法において、骨材のクリンカアッシュの代わりに礫を使用した点以外は全て本実施例と同一の条件と方法で作成した比較体を用いて、本実施例と同一の方法で測定した浄化データ結果である。
【0043】
図5はBOD値と経過日数の関係を示す。図6はCOD値と経過日数の関係を示す。図7はアンモニアイオン値と経過日数の関係を示す。
図8は全燐値と経過日数の関係を示す。図9は全窒素値と経過日数の関係を示す。図10はPH値と経過日数の関係を示す。
BODなどの測定はJIS規格に沿って測定した。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の河川の水質浄化方法は多数の細孔を有するクリンカーアッシュをセメントで結合させてクリンカーアッシュ間にクリンカーアッシュに存在する細孔よりも大きな空隙を形成した構造の多孔質体を河川に敷設して河川の水を浄化する方法であるから、多孔質体の空隙が通水機能を有し、細孔がバクテリアの着床による水質浄化機能を有するから、溶存酸素に富んだ水が細孔部に絶えず供給され、その結果、水質浄化能力に優れ、単位空間当りの水質浄化効率に優れ、水質浄化能力の永続性に優れていると共に実用に供し得る程度の低コストな水質浄化方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる多孔質体の切断面を模式的に示した図である。
【図2】(2a)本発明で使用するクリンカーアッシュの局部断面の一例である。(2b)クリンカーアッシュに存在する細孔の孔径を示す図である。
【図3】本発明で用いる多孔質体の製造工程図である。
【図4】上部の断面が台形状の本発明で用いる多孔質体の斜視図を示す。
【図5】本発明で用いる水質浄化用硬化体による河川水の水質浄化データ、BOD値と経過日数の関係を示す。
【図6】COD値と経過日数の関係を示す。
【図7】アンモニアイオン値と経過日数の関係を示す。
【図8】全燐値と経過日数の関係を示す。
【図9】全窒素値と経過日数の関係を示す。
【図10】PH値と経過日数の関係を示す。

Claims (3)

  1. 多数の細孔を有するクリンカーアッシュがセメントで互いに結合されて該クリンカーアッシュ間に該クリンカーアッシュの細孔よりも大きな空隙を海綿網目状に連通して形成してなる多孔質体を河川に敷設することを特徴とする河川の水質浄化方法。
  2. 該クリンカーアッシュの細孔の孔径が3mm以下であって、該クリンカーアッシュ間の空隙の孔径が5mm以上であることを特徴とする請求項1に記載の河川の水質浄化方法
  3. 該クリンカーアッシュが円相当直径で5mm〜15mmの大きさの粒子であることを特徴とする請求項1に記載の河川の水質浄化方法
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