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JP3972322B2 - 電気車の制御装置 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電気車の制御装置に係り、特に、電気車の回生ブレーキ制御において回生ブレーキが作用する速度域を拡大する電気車の制御技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
鉄道用電気車においては、減速力を得るためにモータを発電機として動作させ、その回生電力を架線に返す回生ブレーキが一般化している。特に近年の地球環境への関心から、電気車のおける回生エネルギ効率向上の要求が高まりつつあり、関連する技術の開発が進められている。
その一環として速度がゼロになるまで回生ブレーキを活用できる全電気ブレーキ停止制御が提案され、速度ゼロで停止するための制御方式および停止精度と乗り心地を両立するための方式である『全電気ブレーキ停止制御』が第7回鉄道技術連合シンポジウム(J−RAIL2000)講演論文集などに示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
第7回鉄道技術連合シンポジウム(J−RAIL2000)講演論文集に示されている『全電気ブレーキ停止制御』は、電力変換器制御手段により電力変換器を制御して電動トルクを制御し、速度検出手段の出力である電動機の検出速度に基づき減速度を演算し、電動機の検出速度が所定速度を下回った時点における電動機の検出速度および減速度に基づいて以後の速度を推定し、その推定速度に基づいて電力変換器制御手段によるトルク制御を行う。すなわち、第7回鉄道技術連合シンポジウム(J−RAIL2000)講演論文集に示されている『全電気ブレーキ停止制御』では、停止まで確実に回生(電気)ブレーキを作用させることによる回生エネルギ効率の向上は可能だが、高速域においてモータ特性上、回生出来ない速度域の回生エネルギ効率向上については考慮していない。
エネルギーの面から言えば、高速域での運動エネルギーは全電気停止ブレーキの守備範囲である速度ゼロ付近に比べての百倍に近い大きさを有しており、省エネ、ブレーキシュー摩耗などの問題に関しても、殆ど高速側の空気ブレーキ作用により決定されている。高速域の空気ブレーキ作用を電気に置き換える全速度域電気ブレーキが可能となれば、画期的改善が行えるものと考える。
【0004】
本発明の課題は、高速域から速度ゼロまでの全速度域で回生ブレーキまたは電気ブレーキを作用させるために、必要なブレーキ力特性を実現し、回生エネルギ効率が向上する電気車の制御装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、回生ブレーキ力が不足する高速域において、インバータ装置の入力端子に充電・放電が可能な電力蓄積手段を架線などの直流電圧取得手段より得られる電力と同一の電圧印加方向となるように直列接続する構成とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
図1は、本発明の電気車の制御装置の一実施形態を示すブロック図である。
直流電源(A)(または、直流電圧取得手段)1から取得した電源電圧Vaは、電流遮断器(A)2を介してインバータ装置3に供給する。電流遮断器(A)2は、インバータ装置を稼働しないとき、あるいは、インバータ装置3に異常が発生したときに開放することでインバータ装置3への電力供給を遮断する。インバータ装置3は、直流電源(A)1より得られる直流電力を三相交流電力に変換し、その電力を誘導電動機4に供給する。
本実施形態の特徴部分である電力蓄積器5は、インバータ装置3に接続し、電流遮断器(B)6、整流器7、整流器8、充電・放電が可能な直流電源(B)(電力蓄積手段)9、電流遮断器(C)10によって構成する。通常、走行時は電流遮断器(B)6は開放し、電流遮断器(C)10を投入する。このとき整流器8により直流電源(B)9に電流は流れないため、直流電源(B)9がない状態に等しくなり、インバータ入力電圧Vcと電源電圧Vaが等しい(Vc=Va)従来の電気車の制御装置と同じとなる。
高速域において回生ブレーキ力が不足したときには、電流遮断器(C)10を開放し、整流器8を通してインバータ装置3と直流電源(B)9を直列に接続する。ここで、電源電圧Vaの向きと直流電源(B)9の出力端電圧Vbの向きが同じ向きとなるように接続する。このときインバータ装置3の負側直流入力端子の電位は−Vbとなり、インバータ入力電圧Vcは電源電圧Vaと電力蓄積手段出力端電圧Vbの和(Vc=Va+Vb)となる。
これにより、インバータ入力電圧Vcを増大できるため、高速域でのブレーキ力増強が可能になる。このとき、インバータ装置3を回生運転することにより、回生電流Ibが流れるため、直流電源(A)1にはVa×Ibの電力が回生され、直流電源(B)9にはVb×Ibの電力が充電される。
一方、インバータ起動時には、電流遮断機(A)2を開放し、電流遮断機(B)6を投入すると、インバータ装置3には直流電源(B)9の出力端電圧Vbのみが印加され、回生時に直流電源(B)9に充電された電力を有効に利用することができる。さらに、直流電源(B)9の出力端電圧Vbは電源電圧Vaに比し低電圧であることから、インバータ装置3あるいは電動機4から発生する電磁音を低減でき、駅出発時にホーム周辺の乗客に与えるインバータ騒音の影響を改善することが可能である。
【0007】
図2は、本発明の電気車の制御装置の動作原理を示す波形図である。
前述の方式により、インバータ装置3と直流電源(B)9と直列に接続したとき、インバータ装置3のインバータ入力電圧Vcは電源電圧Vaと直流電源(B)9の出力端電圧Vbの和(Vc=Va+Vb)となる。ここで、電動機4への入力電圧(モータ電圧)の最大値はインバータ入力電圧Vcに等しいことから、直流電源(B)9の出力端電圧Vbの分だけ上昇する。これに伴い、モータ電圧を制限することなく制御できる定トルク領域は(Va+Vb)/Va倍に拡大するため、一定の回生ブレーキ力を発生できる速度域も(Va+Vb)/Va倍になる(回生ブレーキ力の点線から実線に拡大する。)。これにより高速域におけるブレーキ力増強が可能になる。なお、モータ電流、すべり周波数は図示のように点線から実線に変化する。
【0008】
図3は、本発明の電気車の制御装置の他の実施形態を示すブロック図である。直流電源(A)1から取得した電源電圧Vaは、電流遮断器(A)2を介してインバータ装置3に供給する。電流遮断器(A)2は、インバータ装置を稼働しないとき、あるいは、インバータ装置3に異常が発生したときに開放することでインバータ装置3への電力供給を遮断する。インバータ装置3は、直流電源(A)1より得られる直流電力を三相交流電力に変換し、その電力を誘導電動機4に供給する。
本実施形態の特徴部分である電力蓄積器5は、インバータ装置3に接続し、電流遮断器(B)6、整流器7、整流器8、充電・放電が可能な2次電池11、電流遮断器(C)10によって構成する。通常、走行時は電流遮断器(B)6は開放し、電流遮断器(C)10を投入する。このとき整流器8により2次電池11に電流は流れないため、2次電池11がない状態に等しくなり、インバータ入力電圧Vcと電源電圧Vaが等しい(Vc=Va)従来の電気車の制御装置と同じとなる。
高速域において回生ブレーキ力が不足したときには、電流遮断器(C)10を開放し、整流器8を通してインバータ装置3と直流電源(B)9と直列に接続する。ここで、電源電圧Vaの向きと2次電池11の出力端電圧Vbの向きが同じ向きとなるように接続する。このときインバータ装置3の負側直流入力端子の電位は−Vbとなり、インバータ入力電圧Vcは電源電圧Vaと電力蓄積手段(2次電池11)出力端電圧Vbの和(Vc=Va+Vb)となる。
これにより、インバータ入力電圧Vcを増大できるため、高速域でのブレーキ力増強が可能になる。このとき、インバータ装置3を回生運転することにより回生電流Ibが流れるため、直流電源(A)1にはVa×Ibの電力が回生され、2次電池11にはVb×Ibの電力が充電される。
一方、インバータ起動時には、電流遮断機(A)2を開放し、電流遮断機(B)6を投入すると、インバータ装置3には2次電池11の出力端電圧Vbのみが印加され、回生時に2次電池11に充電された電力を有効に利用することができる。さらに、2次電池11の出力端電圧Vbは電源電圧Vaに比し低電圧であることから、インバータ装置3あるいは電動機4から発生する電磁音を低減でき、駅出発時にホーム周辺の乗客に与えるインバータ騒音の影響を改善することが可能である。
【0009】
なお、ここでは電力蓄積器5は2次電池11を用いて構成しているが、この2次電池11と同様に充電・放電が可能であるスーパーキャパシタなどを用いても同じ効果を得られる。
【0010】
図4は、本発明の電気車の制御装置の一実施形態の動作を説明するための詳細ブロック図を示す。ここでは、インバータ装置の回生運転の起動時と終了時の動作について述べる。
インバータ装置3の入力端子に供給する直流電力は、インバータ装置3が内蔵するフィルコンデンサ12を介してPWMインバータ回路13に供給し、ここで三相交流電力に変換し、電動機4に供給して駆動トルクを発生する。また、フィルコンデンサ12の充電時の電流を抑制する充電抵抗器14とその端子間を短絡する電流遮断器(D)15を備える。すなわち、フィルコンデンサ12の充電は、まず電流遮断器(D)15を開放したまま電流遮断器(A)2を閉じ、充電抵抗器14を介することで回路内に大電流が流れることを防止し、フィルコンデンサ12を十分充電した後に電流遮断器(D)15を閉じる。
そこで、インバータ装置3の回生運転を起動するとき、インバータ装置3に設けるフィルコンデンサ12が放電された状態すなわちインバータ入力電圧Vcが零の状態から電流遮断器(C)10を開放しても回路全体は整流器8により遮断されていて電動機4を励磁する電流を供給できないため、インバータ装置3は起動せず、回生ブレーキを開始できない。このことから回生ブレーキ開始時は、まず、電流遮断器(C)10を閉じたまま電流遮断器(A)2を閉じ、直流電源(A)1の電源電圧Vaによりフィルコンデンサ12を充電した後、電流遮断器(C)10を開放し、インバータ装置3の回生運転を開始する。このとき、フィルコンデンサ12の端子間電圧であるインバータ入力電圧Vcは、必ずしも直流電源(A)1の電源電圧Vaと等しくなるまで充電する必要はなく、電動機4の励磁電流を流すだけの電圧を確保すれば、インバータ装置3の回生運転を起動でき、この回生電流によりフィルコンデンサ12がさらに充電される。フィルコンデンサ12に充電が十分となった時点で電流遮断器(D)15を閉じればよい。
また、回生運転の終了時は、インバータ入力電圧Vcは電源電圧Vaと電力蓄積手段出力端電圧Vbの和であるため、このまま電流遮断器(C)10を開放し、再力行動作に移ると、電源電圧Vaを電力蓄積手段出力端電圧Vb分だけ瞬時に押し上げるため、過電圧になる恐れがある。そのため、回生から再力行運転に移る際は、電流遮断器(A)2と電流遮断器(D)15を開放したまま極短時間力行運転し、インバータ入力電圧Vcを電源電圧Va以下にした後、電流遮断器(A)2と電流遮断器(D)15を閉じて力行運転を続ける。
一方、停止ブレーキ時には、インバータ周波数が零になった時点で運転モードが回生運転から逆相ブレーキ(力行運転)へ自動的に移るため、この時に電流遮断器(A)2と電流遮断器(D)15を開放してフィルコンデンサ12の充電電圧を逆相ブレーキで消費し、インバータ入力電圧Vcを電源電圧Va以下とすれば、次回力行時に電流遮断器(A)2と電流遮断器(D)15を投入しても過電圧にならない。
【0011】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、高速域から速度ゼロまでの全速度域で回生ブレーキまたは電気ブレーキを作用させるために必要なブレーキ力特性を実現することができ、また、回生エネルギ効率を向上させることができる。
また、インバータ起動時には、インバータ装置に電力蓄積手段の出力端電圧のみを印加することにより起動することができ、回生時に電力蓄積手段に充電された電力を有効に利用することができる。
また、本発明の電力蓄積手段の出力端電圧は電源電圧に比し低電圧であることから、インバータ装置あるいは電動機から発生する電磁音を低減することができ、駅出発時にホーム周辺の乗客に与えるインバータ騒音の影響を改善することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電気車の制御装置の一実施形態を示すブロック図
【図2】本発明の電気車の制御装置の動作原理を示す波形図
【図3】本発明の電気車の制御装置の他の実施形態を示すブロック図
【図4】本発明の一実施形態の動作を説明するための詳細ブロック図
【符号の説明】
1…直流電源(A)、2…電流遮断器(A)、3…インバータ装置、4…電動機、5…電力蓄積器、6…電流遮断器(B)、7…整流器、8…整流器、9…直流電源(A)、10…電流遮断器(C)、11…2次電池、12…フィルコンデンサ、13…PWMインバータ回路、14…充電抵抗器、15…電流遮断器(D)

Claims (5)

  1. 電動機を駆動する電力変換装置と、前記電力変換装置に電力を供給する直流電圧源または直流電圧取得手段を備えた電気車の制御装置において、高速域における回生ブレーキ力が不足したとき、前記電力変換装置の入力電圧端子に充電・放電可能な電力蓄積手段を前記直流電圧源または前記直流電圧取得手段と同じ電圧印加方向となるように直列接続することを特徴とする電気車の制御装置。
  2. 電動機を駆動する電力変換装置と、前記電力変換装置に電力を供給する直流電圧源または直流電圧取得手段を備えた電気車の制御装置において、前記電力変換装置の入力電圧端子に電流遮断手段を介して第1と第2の電流方向制限手段の直列回路を接続し、高速域における回生ブレーキ力が不足したとき、前記電流遮断手段を開放し、充電・放電可能な電力蓄積手段を前記直流電圧源または前記直流電圧取得手段と同じ電圧印加方向となるように直列接続することを特徴とする電気車の制御装置。
  3. 請求項1または請求項2において、前記電力蓄積手段は充電および放電が可能な2次電池とすることを特徴とする電気車の制御装置。
  4. 請求項1または請求項2において、前記電力蓄積手段は充電および放電が可能なコンデンサとすることを特徴とする電気車の制御装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかにおいて、前記電力変換装置の回生ブレーキの開始時には、まず、前記電流遮断手段を閉じたまま前記直流電圧源または前記直流電圧取得手段の電源電圧により前記電力変換装置が内蔵するフィルコンデンサを充電し、その後、前記電流遮断手段を開放し、前記電力変換装置の回生運転を開始することを特徴とする電気車の制御装置。
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