JP3972482B2 - 封止用熱可塑性樹脂フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は封止用熱可塑性樹脂フィルムの製造方法に係り、特に、加熱時の収縮が小さく、太陽電池の封止膜として好適な封止用EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)樹脂フィルムを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、資源の有効利用や環境汚染の防止等の面から、太陽光を直接電気エネルギーに変換する太陽電池が注目され、開発が進められている。
【0003】
太陽電池は、一般に、図2に示す如く、ガラス基板1とバックカバー2との間にEVAフィルム3A,3Bの封止膜により、シリコン発電素子4を封止した構成とされている。
【0004】
このような太陽電池は、ガラス基板1、封止膜用EVAフィルム3A、シリコン発電素子4、封止膜用EVAフィルム3B及びバックカバー2をこの順で積層し、EVAを加熱溶融して架橋硬化させることにより接着一体化することで製造される。
【0005】
このような太陽電池の製造に当り、封止膜用EVAフィルム3A,3Bの加熱架橋時の収縮が大きいと、収縮によりシリコン発電素子4が破損するため、封止用EVAフィルム3A,3Bには、加熱架橋時の収縮が小さいことが要求される。
【0006】
この太陽電池の封止膜としてのEVAフィルムは、溶融樹脂を直線状スリットを有するダイから押し出し、冷却ロール又は水槽で急冷固化するTダイ法により製膜されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のTダイ法により製造されたEVAフィルムは、加熱架橋時の収縮が十分に小さいとは言えず、シリコン発電素子の破損の問題があり、高品質の太陽電池を歩留り良く製造することが困難であった。
【0008】
本発明は上記従来の問題点を解決し、加熱時の収縮が小さく、特に太陽電池の封止膜として好適な封止用EVAフィルムの製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
本発明の封止用熱可塑性樹脂フィルムの製造方法は、溶融樹脂をフィルム状に成形した後冷却することにより封止用熱可塑性樹脂フィルムを製造する方法において、該樹脂フィルムの温度が該熱可塑性樹脂の軟化点以下に低下する前に、該樹脂フィルムをアニール処理する封止用熱可塑性樹脂フィルムの製造方法であって、該熱可塑性樹脂原料が架橋剤を含むEVA樹脂組成物であり、該樹脂フィルムが70〜75℃の範囲であるうちにアニール処理を開始し、このアニール処理を、1.0〜2.0分間に亘って、該樹脂フィルムを60〜80℃に保持することにより行うことを特徴とする。
【0010】
本発明に従って、熱可塑性樹脂フィルムの温度が該熱可塑性樹脂の軟化点以下に低下する前にアニール処理することで、樹脂フィルムの温度低下速度を遅くすることにより、その後の加熱溶融及び硬化時の収縮量を小さくすることができる。
【0012】
本発明におけるアニール処理は、具体的には複数のローラを有する搬送コンベアにより搬送される樹脂フィルムを加温手段で加温することにより行うことができ、この場合において、搬送コンベアの入口側のローラの周速を出口側のローラの周速よりも速くして、アニール処理時の樹脂フィルムに大きな張力がかからないようにすることにより、良好なアニール処理効果を得ることができる。
【0013】
本発明で製膜される封止用熱可塑性樹脂フィルムは、特に太陽電池の封止膜として好適である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0015】
本発明においては、例えばTダイ法等により常法に従って溶融樹脂をフィルム状に成形した後、冷却ロール又は冷却槽で冷却して封止用熱可塑性樹脂フィルムを製造するに当り、この冷却工程に先立ち、該樹脂フィルムがその軟化点よりも高い温度であるときに、該樹脂フィルムを必要に応じて加温するなどしてアニール処理する。
【0017】
以下に図面を参照して本発明に好適なアニール処理方法を説明する。
【0018】
図1は本発明に好適なアニール処理方法を示す模式図であり、複数のローラ11でフィルムを搬送する搬送コンベア12により樹脂フィルム10を搬送し、この搬送中の樹脂フィルム10をヒータ13で加温してアニール処理を行う。
【0019】
このようなアニール処理において、アニール処理中の樹脂フィルム10には、大きな張力が付加されず、樹脂フィルム10は弛んだ状態で加温されることが好ましい。樹脂フィルム10を弛んだ状態とするためには、搬送コンベア12のローラ11の周速を入口側で速く、出口側で遅くなるようにするのが有利である。
【0020】
例えば、図1に示す搬送コンベア12において、入口側のローラ11Aの周速を出口側のローラ11Bの周速の1.05〜1.15倍程度とし、これらのローラ11A,11B間のローラの周速がこの中間の周速となり、入口側から出口側へ向けてローラの周速が徐々に小さくなるようにするのが好ましい。
【0021】
なお、本発明に従ってEVAフィルムを製造する場合、製膜されたEVAフィルムが70〜75℃の範囲であるうちに、1.0〜2.0分間に亘って、EVAフィルムを60〜80℃に保持することによりアニール処理を行う。
【0022】
次に、本発明に従って、EVAフィルムを製造する場合の製膜原料として好適なEVA樹脂組成物について説明する。
【0023】
本発明に係るEVA樹脂は、酢酸ビニル含有量が25重量%以下であることが好ましい。この酢酸ビニル含有量が25重量%未満では、水蒸気透過率が大き過ぎて太陽電池の封止膜として十分な防湿性を得ることが困難である。しかし、酢酸ビニル含有量が過度に少ないEVA樹脂は加工性が悪く、粘度も高くなり過ぎて太陽電池製作時、シリコン発電素子への追従性が悪くなることから、EVA樹脂の酢酸ビニル含有量は10重量%以上であることが好ましい。
【0024】
また、本発明で用いられるEVA樹脂は、メルトフローレートが0.7〜20、特に1.5〜10であることが好ましい。
【0025】
本発明で用いるEVA樹脂組成物には、耐久性の向上のために架橋剤を配合して架橋構造を持たせるが、この架橋剤としては、一般に、100℃以上でラジカルを発生する有機過酸化物が用いられ、特に、配合時の安定性を考慮に入れれば、半減期10時間の分解温度が70℃以上であるものが好ましい。このような有機過酸化物としては、例えば2,5−ジメチルヘキサン;2,5−ジハイドロパーオキサイド;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン;3−ジ−t−ブチルパーオキサイド;t−ジクミルパーオキサイド;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン;ジクミルパーオキサイド;α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン;n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン;2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;t−ブチルパーオキシベンゾエート;ベンゾイルパーオキサイド等を用いることができる。これらの有機過酸化物の配合量は、一般にEVA樹脂100重量部に対して5重量部以下、好ましくは1〜3重量部である。
【0026】
また、太陽電池の封止膜として、発電素子との接着力向上の目的で、EVA樹脂にシランカップリング剤を添加することができる。この目的に供されるシランカップリング剤としては公知のもの、例えばγ−クロロプロピルトリメトキシシラン;ビニルトリクロロシラン;ビニルトリエトキシシラン;ビニル−トリス−(β−メトキシエトキシ)シラン;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン;β−(3,4−エトキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン;ビニルトリアセトキシシラン;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン;N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらのシランカップリング剤の配合量は、一般にEVA樹脂100重量部に対して5重量部以下、好ましくは0.1〜2重量部である。
【0027】
更に、EVA樹脂のゲル分率を向上させ、耐久性を向上するためにEVA樹脂に架橋助剤を添加することができる。この目的に供される架橋助剤としては、公知のものとしてトリアリルイソシアヌレート;トリアリルイソシアネート等の3官能の架橋助剤の他、NKエステル等の単官能の架橋助剤等も挙げることができる。これらの架橋助剤の配合量は、一般にEVA樹脂100重量部に対して10重量部以下、好ましくは1〜5重量部である。
【0028】
更に、EVA樹脂の安定性を向上する目的でハイドロキノン;ハイドロキノンモノメチルエーテル;p−ベンゾキノン;メチルハイドロキノンなどを添加することができ、これらの配合量は、一般にEVA樹脂100重量部に対して5重量部以下である。
【0029】
更に、必要に応じ、上記以外に着色剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、変色防止剤等を添加することができる。着色剤の例としては、金属酸化物、金属粉等の無機顔料、アゾ系、フタロシアニン系、アヂ系、酸性又は塩基染料系レーキ等の有機顔料がある。紫外線吸収剤には、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン;2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルフォベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系;フェニルサルシレート;p−t−ブチルフェニルサルシレート等のヒンダートアミン系がある。老化防止剤としては、アミン系;フェノール系;ビスフェニル系;ヒンダートアミン系があり、例えばジ−t−ブチル−p−クレゾール;ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペラジル)セバケート等がある。
【0030】
本発明により製膜されたEVAフィルムを用いて太陽電池を製造するには、図2に示す如く、ガラス基板1、EVAフィルム3A、シリコン発電素子4、EVAフィルム3B及びバックカバー2を積層し、100〜150℃、1気圧で3〜10min程度加熱加圧すれば良く、この加熱加圧時に、EVAフィルム3A,3Bが架橋して耐候性に優れた封止膜を形成することができる。この封止に当り、本発明で製膜されるEVAフィルムは、加熱架橋時の収縮が小さいために、発電素子の損傷を防止して高品質の製品を歩留り良く製造することができる。
【0031】
なお、太陽電池の作製に当り、発電素子の損傷を確実に防止するためには、通常の太陽電池作製時の加熱架橋温度である140〜160℃程度で加熱したときのEVAフィルムの収縮率(流れ方向の収縮率)が1.5%以下であることが好ましいが、本発明によれば、この収縮率が1.0%以下の、加熱架橋時の収縮が極めて小さいEVAフィルムを製膜することができる。
【0032】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0033】
実施例1
下記配合のEVA樹脂組成物を用いて、EVAフィルムを製膜した。
【0034】
[EVA樹脂組成物配合(重量部)]
EVA樹脂(酢酸ビニル含有量25重量%、メルトフローレート2.0):100
架橋剤 :1.5
シランカップリング剤 :0.2
架橋助剤 :2.0
通常のTダイ法により製膜したEVAフィルムが75℃以上であるうちに、図1に示す方法に従って、アニール処理した。
【0035】
搬送コンベア12としては、12個のローラ11が並設されたものを用い、出口側のローラ11Bの周速を100とした場合、入口側のローラ11Aの周速が110、この入口側のローラ11Aにつづく2〜3個のローラの周速を106〜107、更に、これらのローラに続く3〜4個のローラの周速を102〜103とし、ローラ11の周速が入口側から出口側へ向けて徐々に小さくなるように周速を設定した。そして、この搬送コンベア12で搬送中のEVAフィルム10をヒータ13で加温することにより70℃以上に保持した。このアニール処理は1.0分間行った。
【0036】
アニール処理後のEVAフィルムは、冷却ロールで冷却し、巻き取り機で巻き取った。
【0037】
得られたEVAフィルムを、通常の太陽電池作製時の加熱架橋温度である155℃に加熱したときの収縮率(流れ方向の収縮率)を調べたところ、0.3%であった。
【0038】
比較例1
実施例1において、アニール処理を行わなかったこと以外は同様にしてEVAフィルムを製膜し、同様に収縮率を調べたところ、10%と実施例1に比べて大きな収縮率を示した。
【0039】
上記実施例及び比較例の結果から、本発明で製膜されるEVAフィルムは加熱架橋時の収縮が小さいため、このEVAフィルムを封止膜とすることにより、高品質の太陽電池を歩留り良く作製することができることがわかる。
【0040】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の封止用熱可塑性樹脂フィルムの製造方法によれば、加熱硬化時の収縮が小さく、特に太陽電池の封止膜として好適な封止用熱可塑性樹脂フィルムを製膜することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るアニール処理の実施の形態を示す模式図である。
【図2】一般的な太陽電池を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ガラス基板
2 バックカバー
3A,3B EVAフィルム
4 シリコン発電素子
10 樹脂フィルム
11 ローラ
12 搬送コンベア
13 ヒータ
Claims (4)
- 溶融樹脂をフィルム状に成形した後冷却することにより封止用熱可塑性樹脂フィルムを製造する方法において、
該樹脂フィルムの温度が該熱可塑性樹脂の軟化点以下に低下する前に、該樹脂フィルムをアニール処理する封止用熱可塑性樹脂フィルムの製造方法であって、
該熱可塑性樹脂原料が架橋剤を含むEVA樹脂組成物であり、該樹脂フィルムが70〜75℃の範囲であるうちにアニール処理を開始し、このアニール処理を、1.0〜2.0分間に亘って、該樹脂フィルムを60〜80℃に保持することにより行うことを特徴とする封止用熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。 - 請求項1において、複数のローラを有する搬送コンベアにより搬送される樹脂フィルムを加温手段で加温することにより前記アニール処理を行うことを特徴とする封止用熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
- 請求項2において、該搬送コンベアの入口側のローラの周速を出口側のローラの周速よりも速くすることを特徴とする封止用熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
- 請求項1ないし3のいずれか1項において、該封止用熱可塑性樹脂フィルムが太陽電池の封止膜用熱可塑性樹脂であることを特徴とする封止用熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
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