JP3973094B2 - 走行作業機におけるトレッド変更装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,トラクタ等のような走行作業機において,その一対の後車輪等の車輪におけるトレッドを変更するようにした装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
先行技術としての特許文献1は,トラクタの一対の後車輪において,この後車輪の中心におけるハブボス体を,その駆動車軸に対してスプライン嵌合にて摺動自在で回転不能に被嵌し,このハブボス体に回転自在で摺動不能に被嵌したリング体に,前記駆動車軸に対する車軸ケースに設けた油圧シリンダを連結し,前記後車輪を,この油圧シリンダにて前記駆動車軸に沿って移動することによって,トレッドを変更するように構成することを提案している。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−42906号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし,この先行におけるトレッド変更装置は,油圧によるトレッドの変更であることにより,トレッドの変更が容易にできる反面,前記した構成であることにより,構造が極めて複雑であるから,大型化及び重量のアップを招来するばかりか,価格が大幅にアップするという問題があった。
【0005】
本発明は,トレッドの変更がグリス等の流体の注入による至極簡単な構造にてできるようにした装置を提供することを技術的課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この技術的課題を達成するため本発明の請求項1は,
「車輪の中心におけるハブボス体を,前記車輪に対する駆動車軸に摺動自在に被嵌し,このハブボス体における内部のうち前記駆動車軸に被嵌する部分に,前記駆動車軸の外周面を囲うように構成した密閉構造の第1シリンダ室と,同じく前記駆動車軸の外周面を囲うように構成した密閉構造の第2シリンダ室とを,前記駆動車軸の軸線方向に適宜距離を隔てて設け,この両シリンダ室間の部分において前記ハブボス体を前記駆動車軸に対して摺動自在の状態で回転不能に嵌合する一方,前記第1シリンダ室に対する流体の注入口及び排出口と,前記第2シリンダ室に対する流体の注入口及び排出口とを備えている。」
ことを特徴としている。
【0007】
また,本発明の請求項2は,
「前記請求項1の記載において,前記駆動車軸のうち前記ハブボス体を挟む両側の部位に,前記ハブボス体に対する摺動規制部を備え,更に,前記駆動車軸のうち前記両摺動規制部と前記ハブボス体との間に着脱自在に装着するスペーサブロックを備えている。」
ことを特徴としている。
【0008】
【発明の作用・効果】
両シリンダ室のうち一方の第1シリンダ室に対して,他方の第2シリンダ室における排出口を開放した状態で,注入口から例えば潤滑用のグリスをグリスポンプにて注入するというように加圧した流体を注入することにより,前記ハブボス体は,駆動車軸上を,一方の第1シリンダ室が増大し他方の第2シリンダ室が縮小する方向に移動することになり,また,他方の第2シリンダ室に対して,一方の第1シリンダ室における排出口を開放した状態で,注入口から例えば潤滑用のグリスをグリスポンプにて注入するというように加圧した流体を注入することにより,前記ハブボス体は,駆動車軸上を,前記とは逆に,他方の第2シリンダ室が増大し一方の第1シリンダ室が縮小する方向に移動することになるから,これによって,左右両車輪間のトレッドを変更することができる。
【0009】
つまり,本発明は,トレッドの変更を,車輪の中心におけるハブボス体の内部に駆動車軸の軸線方向に適宜距離を隔てて設けた一対のシリンダ室に対する流体の圧力注入にて行うものであることにより,構造が,前記先行技術のように,車軸ケースとの間に設けた油圧シリンダにて行うものに比べて,著しく簡単になり,小型化及び軽量化できるとともに,価格を大幅に低減できる。
【0010】
また,請求項2に記載した構成によると,前記ハブボス体とその両側に位置する摺動規制部との間に装着したスペーサブロックにより,前記ハブボス体,ひいては,これに取付く車輪を,所定のトレッド位置において移動不能にロックすることが,簡単な機構に確実にできる利点がある。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下,本発明の実施の形態を,図1〜図8の図面について説明する。
【0012】
この図において,符号1は,農業用のトラクタを示し,このトラクタ1は,走行機体2と,この走行機体2の前部を支持する左右一対の前車輪3と,前記走行機体2の後部を支持する左右一対の後車輪4とから成り,前記走行機体2の前部に搭載したエンジン5にて前記両後車輪4を駆動することにより前進走行又は後退走行する一方,前記走行機体2に設けたハンドル6にて前記両前車輪3を舵取りするように構成されている。
【0013】
前記後車輪4に対する駆動車軸7のうちこれを軸支する車軸ケース8から突出する部分に,内周がOリング11,12でシールされた二つのシール用リング体9,10を軸線方向に適宜距離Lを隔てて被嵌固着し,前記駆動車軸7のうちこの両リング体9,10間の部分をスプライン軸部7aに構成する。
【0014】
前記後車輪4の中心にハブボス体13を着脱自在に取付け,このハブボス体13を,前記駆動車軸7のうちこれを軸支する車軸ケース8から突出する部分に対して,当該ハブボス体13が前記両リング体9,10の両方に対して摺動自在に被嵌するように装着し,このハブボス体13における内部のうち前記両リング体9,10の間で且つこれよりも短い距離Sの部分を,図4に示すように,前記駆動車軸7におけるスプライン軸部7aに対してスプライン嵌合することにより,前記ハブボス体13を駆動車軸7に対して摺動自在で回動不能に嵌合する。
【0015】
前記両リング体9,10の外周には,前記ハブボス体13の内周に対するシール用のOリング14,15を設ける一方,前記ハブボス体13の内部には,そのスプライン孔13aの両側の部分にスプライン軸7aに対して密接嵌合するようにゴム等の軟質弾性体にて作成したリング状のシール体17,18を装填することにより,図3において,右側のリング体9と右側のシール体17との間に密閉された第1シリンダ室19を,左側のリング体10と左側のシール体18との間に密閉された第2シリンダ室20を,当該両シリンダ室19,20の両方が前記駆動車軸7の外周面を囲うようにして各々形成する。
【0016】
また,前記ハブボス体13には,前記第1シリンダ室19に対する注入口19aと排出口19b,及び前記第2シリンダ室20に対する注入口20aと排出口20bを形成して,前記両注入口19a,20aに,グリス注入用のグリスニップル21,22を装着し,前記両排出口19b,20bには,ネジ式の栓体23,24を着脱自在に装着する。
【0017】
なお,図面は,グリスニップル21,22を備えた注入口19a,20aを,ハブボス体13における左右両側面13a,13bのうち走行機体2とは反対側の外側面13aに設ける一方,栓体23,24を備えた排出口19b,20bを,走行機体2側の内側面13bに設けた場合を示しているが,実際には,前記栓体23,24を備えた排出口19b,20bは,前記グリスニップル21,22を備えた注入口19a,20aと同様に,外側面13aに設けて,前記栓体23,24の着脱等が,後車輪4 の外側から容易にできるように構成している。
【0018】
前記駆動車軸7には,その車軸ケース8に対する付け根部にリング体25を固着して,前記ハブボス体13の車軸ケース8側の移動をこのリンク体25によって規制する一方,当該駆動車軸7の先端に円板26をボルト27にて固着して,前記ハブボス体13の車軸ケース8側とは反対方向への移動をこの円板26によって規制するように構成して,内側における前記リング体25と前記ハブボス体13との間,及び,外側における円板26と前記ハブボス体13との間のうちいずれか一方又は両方に,図6に示すように,左右一対のねじにて着脱自在な二つ割り構造にしたリング状のスペーサブロック28,29を装填する。
【0019】
図3は,外側における円板26と前記ハブボス体13との間に,二つのスペーサブロック28,29を装填することによって,両後車輪4間のトレッドAを最も狭くした場合を示す。
【0020】
この構成において,トレッドAを,図3の状態から広くするには,二つのスペーサブロック28,29のうち一方のスペーサブロック28を取り外し,前記第2シリンダ室20における排出口20bを,その栓体24の取り外しにて開放し,この状態で,第1シリンダ室19における注入口19aに設けたグリスニップル21に,手動式のグリスポンプ(図示せず)をセットして,前記第1シリンダ室19内にグリスを前記グリスポンプにて圧力注入することにより,前記ハブボス体13が,その第2シリンダ室20内におけるグリスをその排出口20bから排出しながら,図7に示すように,第1シリンダ室19が増大する一方第2シリンダ室20が縮小するように外向きに他方のスペーサブロック29に接当するまで,後車輪4と一緒に移動することになるから,前記トレッドA′に広くなる。
【0021】
そこで,前記グリスの圧力注入を停止し,排出口20bを栓体24の取付けにて塞ぎ,そして,前記ハブボス体13と内側における前記リング体25との間に前記一方のスペーサブロック28を装填することにより,前記後車輪4を,前記トレッドA′の位置に移動不能にロックできる。
【0022】
更にトレッドを広くするには,他方のスペーサブロック29を取り外し,前記第2シリンダ室20における排出口20bを,その栓体24の取り外しにて開放し,この状態で,第1シリンダ室19における注入口19aに設けたグリスニップル21に,手動式のグリスポンプ(図示せず)をセットして,前記第1シリンダ室19内にグリスを前記グリスポンプにて圧力注入することにより,前記ハブボス体13が,その第2シリンダ室20内におけるグリスをその排出口20bから排出しながら,図8に示すように,第1シリンダ室19が更に増大する一方第2シリンダ室20が更に縮小するように外向きに円板26に接当するまで,後車輪4と一緒に移動することになるから,前記トレッドA″に更に広くなる。
【0023】
そこで,前記グリスの圧力注入を停止し,排出口20bを栓体24の取付けにて塞ぎ,そして,前記ハブボス体13と前記一方のスペーサブロック28との間に前記他方のスペーサブロック29を装填することにより,前記後車輪4を,前記トレッドA″の位置に移動不能にロックできる。
【0024】
また,前記とは逆の操作をすることにより,トレッドをA″からA′に,A′からAに狭くできることはいうまでもない。
【0025】
この場合において,前記両シリンダ室19,20に対してグリスを注入することに代えて,潤滑油を注入したり,場合によっては水を注入するというように,その他の流体を使用できることはいうまでもない。
【0026】
なお,本実施の形態においては,前記駆動車軸7に,前記第1シリンダ室19に対するリリーフ通路30と,前記第2シリンダ室20に対するリリーフ通路31とを穿設し,この両リリーフ通路30,31の各々には,リリーフ弁32,33を設けて,前記両シリンダ室19,20の供給圧が異常に高くなったとき,これを前記リリーフ弁32,33からシリンダ室外に逃がすことにより,前記両シリンダ室19,20の供給圧が所定値を越えることがないように構成している。なお,このリリーフ通路30,31からリリーフするグリスは,前記ハブボス体13の内部のうち第2シリンダ室20を形成するリンク体15より外側の部分における潤滑に供される。
【0027】
また,前記駆動車軸7には,前記ハブボス体13の内部のうち第1シリンダ室19を形成するリング体9よりも外側の部分に対するオイル通路34が穿設され,このオイル通路34から前記外側の部分に,潤滑用のグリスをグリスニップル35より注入するか,潤滑油を供給することによって,当該部分に錆び発生することを防止するとともに,前記ハブボス体13の駆動車軸7に沿っての移動を円滑するように構成している。
【0028】
加えて,本発明は,前記実施の形態のようにトラクタにおける後車輪に適用することに限らず,トラクタにおける前車輪又は前車輪及び後車輪に適用したり,乗用型田植機又は乗用型芝刈機において,その前車輪及び後車輪のうちいずれか一方又は両方に適用できることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】トラクタの側面図である。
【図2】トラクタの平面図である。
【図3】後車輪に対する装着部を示す一部切欠断面図である。
【図4】図3のIV−IV視断面図である。
【図5】図3のV−V視断面図である。
【図6】図3のVI−VI視断面図である。
【図7】トレッドを広くしている状態を示す断面図である。
【図8】トレッドを更に広くしている状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 トラクタ
2 走行機体
3 前車輪
4 後車輪
7 駆動車軸
7a スプライン軸部
8 車軸ケース
9,10 リング体
13 ハブボス体
19 第1シリンダ室
20 第2シリンダ室
19a,20a 注入口
19b,20b 排出口
25 摺動規制部としてのリング体
26 摺動規制部としての円板
28,29 スペーサブロック
Claims (2)
- 車輪の中心におけるハブボス体を,前記車輪に対する駆動車軸に摺動自在に被嵌し,このハブボス体における内部のうち前記駆動車軸に被嵌する部分に,前記駆動車軸の外周面を囲うように構成した密閉構造の第1シリンダ室と,同じく前記駆動車軸の外周面を囲うように構成した密閉構造の第2シリンダ室とを,前記駆動車軸の軸線方向に適宜距離を隔てて設け,この両シリンダ室間の部分において前記ハブボス体を前記駆動車軸に対して摺動自在の状態で回転不能に嵌合する一方,前記第1シリンダ室に対する流体の注入口及び排出口と,前記第2シリンダ室に対する流体の注入口及び排出口とを備えていることを特徴とする走行作業機におけるトレッド変更装置。
- 前記請求項1の記載において,前記駆動車軸のうち前記ハブボス体を挟む両側の部位に,前記ハブボス体に対する摺動規制部を備え,更に,前記駆動車軸のうち前記両摺動規制部と前記ハブボス体との間に着脱自在に装着するスペーサブロックを備えていることを特徴とする走行作業機におけるトレッド変更装置。
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