JP3973327B2 - インバータ及び該インバータを使用したスイッチトキャパシタ回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、A/D、D/Aコンバータ等に使用されるスイッチトキャパシタ回路に関し、特にノイズの低減がされたスイッチトキャパシタ回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4は従来のスイッチトキャパシタを用いたローパスフィルターを示す図である。図4(a)においてAMPは差動増幅器、SW1及びSW2はアナログスイッチ、C1〜C3はキャパシタ、Cp1及びCp2は寄生容量を示し、φ1及びφ2は図4(b)に示すようなアナログスイッチを駆動するクロック信号を示す。本例では、各アナログスイッチがクロック信号φ1、φ2よりON/OFFし、これによりローパスフィルターとして動作する。アナログスイッチとしては、オフ抵抗が高く、モノリシック化するのに有利な電界効果トランジスタが使用されることが多い。
【0003】
しかしながら、このようなアナログスイッチには回路特性を低下させる要因が含まれている。例えば、図のアナログスイッチSW1とキャパシタC1の間に寄生容量Cp1が形成されたり、アナログスイッチSW2とキャパシタC2との間に寄生容量Cp2が形成される。同様に、図示省略するが、その他の各スイッチについても寄生容量が形成される。
【0004】
ここで、アナログスイッチSW1がONした時、クロック信号φ1が寄生容量Cp1を通してキャパシタC1にも充電される。これがクロックフィードスルーノイズとなり、特性を劣化させる。一方、アナログスイッチSW2も同時にONするので、クロック信号φ1が寄生容量Cp2を通してキャパシタC2に充電される。更に、アナログスイッチSW1とSW2は、共通のクロック信号線(図示省略している)に接続しているため、アナログスイッチSW2のノイズがキャパシタC1に、アナログスイッチSW1のノイズがキャパシタC2にそれぞれ干渉するというように、アナログスイッチ間相互で影響し合う。
【0005】
上記した各寄生容量は、アナログスイッチのサイズ、そのスイッチを駆動するインバータのサイズ等が影響することが知られている。図5にそのインバータの例をレイアウト図で示す。本図において1は電源に接続する金属電極、2はコンタクト、3はP型拡散領域、4はP型拡散領域3のドレイン側拡散領域、5は出力となる金属電極、6はN型拡散領域、7はN型拡散領域6のドレイン側拡散領域、8はグランドに接続する金属電極、9はゲート電極を示す。
【0006】
通常、PNの相互コンダクタンスの違いから、立ち上がり立ち下がり時間を合わせるために、ゲート幅をP:N=2:1程度で設計する。この場合、PとNでソース/ドレインの面積が違うので、寄生容量も違ってくる。そうすると、立ち上がりと立ち下がりでノイズの出方が違ってくる。このノイズの違いは、図4のフィルターを差動方式で構成した場合、影響が大きくなる。
【0007】
このような問題に対処するため、アナログスイッチにノイズ補償スイッチを接続し、逆相のクロック信号を入れることにより、クロックフィードスルーノイズを削減する方法がある。図6はその例を示す回路図であり、本図においてSW3はP型MOSトランジスタPMOS1とN型MOSトランジスタNMOS1で構成される通常のアナログスイッチであり、SW4とSW5はそれぞれNMOS2及びPMOS2並びにNMOS3とPMOS3で構成されたノイズ補償スイッチである。
【0008】
本図に示すように、SW4とSW5はSW3に並列接続され、さらにSW4の各トランジスタのドレインとソースがSW3の各トランジスタのドレインに、SW5の各トランジスタのドレインとソースがSW3の各トランジスタのソースに共通接続されている。PMOS1、NMOS2及びNMOS3のゲートには、正相のクロック信号φnが印加され、NMOS1、PMOS2及びPMOS3のゲートにはクロック信号φnと逆相のクロック信号φnbが印加される。図示しないが、この逆相のクロック信号φnbはφnからインバータを通して作り出している。
【0009】
このような構成であるため、例えばPMOS1のON時に発生するノイズを、逆相のクロック信号を加えているPMOS2及びPMOS3のOFF時に発生するノイズによってキャンセルすることができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したようなノイズ補償スイッチを付加した回路では、トランジスタを追加するため、結果的にドレインの面積が増え寄生容量を増やしてしまうため、さらにそれを考慮した補償が必要になり、設計が困難となってしまう。また、そのためのレイアウト面積も増加するため、チップ単価を上昇させてしまうという問題があった。
【0011】
また、上記のようなノイズ補償スイッチを付加したとしても、図4(a)のようなスイッチトキャパシタ回路では、スイッチ相互間の干渉を防ぐことができなかった。
【0012】
本発明はこのような問題に鑑みなされたものであって、簡単な構成でフィードスルーノイズ等のノイズを確実に低減できるスイッチトキャパシタ回路を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、第1の発明は、キャパシタと該キャパシタを充放電するためのP型MOSトランジスタとN型MOSトランジスタからなる複数のアナログスイッチとを具備し、前記アナログスイッチの2つのゲートにそれぞれ正相及び逆相のクロック信号が印加されて駆動するスイッチトキャパシタ回路において使用されるインバータにおいて、P型拡散領域に重畳するゲート電極とN型拡散領域に重畳するゲート電極のそれぞれのゲート幅が略一致し、前記N型拡散領域に重畳する1つまたは複数のゲート電極のゲート長またはゲート長の総和が前記P型拡散領域に重畳する1つまたは複数のゲート電極のゲート長またはゲート長の総和よりも大きく、前記P型拡散領域のドレイン側面積と前記N型拡散領域のドレイン側面積が略一致していることを特徴とする。
【0014】
かかる構成により、P型拡散領域のドレインとゲート電極間の寄生容量とN型拡散領域のドレインとゲート間の寄生容量とを近づけて差を無くし、それぞれのトランジスタのコンダクタンスの差も小さくすることができる。
【0015】
第2の発明は、キャパシタと該キャパシタを充放電するためのP型MOSトランジスタとN型MOSトランジスタからなる複数のアナログスイッチとを具備し、前記アナログスイッチの2つのゲートにそれぞれ正相及び逆相のクロック信号が印加されて駆動するスイッチトキャパシタ回路において、前記第1の発明のインバータを前記アナログスイッチの2つのゲートのそれぞれに該インバータの出力を繋げて挿入したことを特徴とする。
【0016】
かかる構成により、アナログスイッチの同一のクロック信号が入力する全てのゲートを個々に独立させ、ゲート同士を繋ぐ電流パスが形成されない。
【0017】
第3の発明は、前記第2の発明において、前記アナログスイッチの2つのゲートのいずれかに接続した前記インバータにさらに前記第1の発明のインバータを接続し、該インバータによって前記正相のクロック信号から逆相のクロック信号を形成することを特徴とする。
【0018】
かかる構成により、スイッチトキャパシタ回路に使用するインバータ全てを共通の構造とすることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態について、図面に沿って説明する。なお、複数の図面に亘って同一または相当するものには同一の符号を付し、それらの説明を省略した。
【0020】
図1は第1の発明に係るインバータの例を示すパターン図である。本図に示すように、P型拡散領域3及びN型拡散領域6のそれぞれに重畳するゲート電極9のゲート幅WP及びWNを略一致させ、ゲート長LNをLPよりも大きくし、P型のドレイン側拡散領域4とN型のドレイン側拡散領域7のそれぞれの面積を略一致させている。
【0021】
MOSトランジスタの相互コンダクタンスは、拡散領域の抵抗率とゲート幅Wに比例し、ゲート長Lに反比例する。本発明のインバータでは、抵抗率の高いP型拡散領域3の幅を狭めてこれに重畳するゲート電極9のゲート幅WPを短くする分、抵抗の低いN拡散領域7に重畳するゲート電極のゲート長LNを大きくし、P型MOSトランジスタとN型MOSトランジスタそれぞれの相互コンダクタンスを揃えている。
【0022】
さらに、ドレイン拡散領域をPとNで略一致した面積としているため、金属電極5に対するゲートとドレイン間の寄生容量はP型MOSトランジスタ、N型MOSトランジスタの両者共ほぼ一定になるため、アナログスイッチがON/OFFするときの立ち上がり時と立ち下がり時のノイズもほぼ均一にできる。従って、このインバータを、差動方式で構成したスイッチトキャパシタ回路に適用して好適である。
【0023】
図2は第1の発明に係るインバータの他の例を示す図であり、図2(a)はパターン図、図2(b)は回路図をそれぞれ示す。図1のものと異なるところは、N型拡散領域6に重畳するゲート電極を2本にしているところである。この際、それぞれのゲート電極のゲート長LN1及びLN2の和は、図1のLNに等しくなっている。その回路図は図2(b)に示すように、P型MOSトランジスタとN型MOSトランジスタで構成される通常のインバータのN型MOSトランジスタの横に、さらにN型MOSトランジスタを直列接続した構成となる。
【0024】
このように、第1の発明では、ゲート電極を複数本で構成してもよく、これはN型拡散領域に重畳するゲート電極でなくP型拡散領域に重畳するゲート電極であってもよい。但し、その際のゲート長LPまたはLNは、分割されたゲート電極のゲート長の総和となる。
【0025】
図3は第2の発明に係るスイッチトキャパシタ回路の実施の形態を示す図であり、図3(a)に各アナログスイッチ周辺を等価的に伝送スイッチに置き換えた回路全体の略図を、図3(b)にそのアナログスイッチ周辺(G1)の詳細を示している。本図において、G1及びG2はアナログスイッチ周辺を等価的に伝送ゲートで示したスイッチ、φ1bはφ1の逆相のクロック信号、φ2bはφ2の逆相のクロック信号を示す。
【0026】
従来と異なるところは、図3(b)に示すように、従来のアナログスイッチSW1の各ゲートにインバータ10が挿入されているところである。このインバータ10は、既に図2に示したものであり、その出力がゲートに繋がれ、それぞれ正相及び逆相のクロック信号、φ1及びφ1bが印加される。
【0027】
本発明のスイッチトキャパシタ回路は、P型MOSトランジスタとN型MOSトランジスタを個々にインバータで駆動する構成となっているため、各アナログスイッチ間のノイズの干渉を防ぐことができる。即ち、インバータの挿入によって、複数のアナログスイッチのゲート間相互を繋いでいた電流パスから、それらアナログスイッチのゲートを個々に遮断することができるからである。
【0028】
また、アナログスイッチSW1とインバータ10それぞれの寄生容量が直列接続されており、結果的にその合成容量が寄生容量となるため、インバータ10を挿入しない従来のものに比べ、寄生容量が低下し、ノイズのレベルも低下する。
【0029】
次に、第3の発明について述べる。図3(a)において、クロック信号φ1及びφ1b並びにクロック信号φ2及びφ2bはそれぞれ予め図示しないクロックとカウンタにより別々に生成されたものであるが、正相のクロック信号φ1及びφ2から逆相のクロック信号φ1b及びφ2bを形成する構成としてもよいことは言うまでもない。この際に第1の発明に係る図1や図2のインバータを第2の発明に係る図3のスイッチトキャパシタ回路のアナログスイッチの2つのゲートのいずれかに接続したインバータにさらに接続する構成とするのが第3の発明に係るスイッチトキャパシタ回路の実施の形態である。
【0030】
これによれば、回路に使用するインバータを全て共通の構造にすることができ、立ち上がり立ち下がり時のノイズの形をさらに一致させることができる。これらインバータによってアナログスイッチを駆動すれば、立ち上がり時のノイズと立ち下がり時のノイズが相殺し合うため、極めてノイズの少ない回路が構成できる。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、第1の発明によれば、P型MOSトランジスタとN型MOSトランジスタの寄生容量の差と相互コンダクタンスの差が小さくできるため、インバータの立ち上がりと立ち下がりの時に発生するノイズの差を小さくでき、差動構成のスイッチトキャパシタ回路に適用して好適なインバータを提供することができる。
【0032】
第2の発明によれば、スイッチ間のノイズの干渉を防ぎ、スイッチの状態によるノイズの変化を少なくすることにより、特性劣化を少なくしたフィルター等スイッチトキャパシタ回路を実現できる。
【0033】
第3の発明によれば、立ち上がり時と立ち下がり時のノイズが相殺し合うため、極めてノイズの少ないフィルター等のスイッチトキャパシタ回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の発明に係るインバータの例を示すパターン図である。
【図2】第1の発明に係るインバータの他の例を示す図である。
【図3】第2の発明に係るスイッチトキャパシタ回路の実施の形態を示す図である。
【図4】従来のスイッチトキャパシタ回路でローパスフィルタを構成した例を示す図である。
【図5】従来のクロック信号を印加するインバータのパターン図である。
【図6】従来のノイズ補償スイッチが付加されたアナログスイッチの例を示す回路図である。
【符号の説明】
1,5,8:電極、2:コンタクト、3:P型拡散領域、4:P型MOSトランジスタのドレイン側拡散領域、6:N型拡散領域、7:N型MOSトランジスタのドレイン側拡散領域、9:ゲート電極、10:本発明のインバータ、AMP:差動増幅器、C1〜C3:キャパシタ、Cp1,Cp2:寄生容量、φ1,φ2,φn:正相のクロック信号、φ1b,φ2b,φnb:逆相のクロック信号、PMOS1〜PMOS3:P型MOSトランジスタ、NMOS1〜NMOS3:N型MOSトランジスタ、W,WP,WN:ゲート幅、L,LP,LN,LN1,LN2:ゲート長
Claims (3)
- キャパシタと該キャパシタを充放電するためのP型MOSトランジスタとN型MOSトランジスタからなる複数のアナログスイッチとを具備し、前記アナログスイッチの2つのゲートにそれぞれ正相及び逆相のクロック信号が印加されて駆動するスイッチトキャパシタ回路において使用されるインバータにおいて、
P型拡散領域に重畳するゲート電極とN型拡散領域に重畳するゲート電極のそれぞれのゲート幅が略一致し、前記N型拡散領域に重畳する1つまたは複数のゲート電極のゲート長またはゲート長の総和が前記P型拡散領域に重畳する1つまたは複数のゲート電極のゲート長またはゲート長の総和よりも大きく、前記P型拡散領域のドレイン側面積と前記N型拡散領域のドレイン側面積が略一致していることを特徴とするインバータ。 - キャパシタと該キャパシタを充放電するためのP型MOSトランジスタとN型MOSトランジスタからなる複数のアナログスイッチとを具備し、前記アナログスイッチの2つのゲートにそれぞれ正相及び逆相のクロック信号が印加されて駆動するスイッチトキャパシタ回路において、
前記請求項1に記載のインバータを前記アナログスイッチの2つのゲートのそれぞれに該インバータの出力を繋げて挿入したことを特徴とするスイッチトキャパシタ回路。 - 前記アナログスイッチの2つのゲートのいずれかに接続した前記インバータにさらに前記請求項1のインバータを接続し、該インバータによって前記正相のクロック信号から逆相のクロック信号を形成することを特徴とする請求項2に記載のスイッチトキャパシタ回路。
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