JP3974726B2 - 摩擦ヒンジ装置およびこれを利用した携帯用事務機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、ラップトップ型のノートパソコンなどの携帯用事務機器の開閉蓋やディスプレイを開閉するのは勿論、なかでも任意の開放角度に位置保持するための摩擦ヒンジ装置およびこれを利用した携帯用事務機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、蓋部材などを任意の角度まで回転させて停止、固定するための回転ヒンジにおける回転トルク抑制のための摩擦構造(トルクダンパ)としては、例えば、下記のものがある。
(a)金属ケースに形成したスリット内に、シャフトと一体回転するように設けた円盤などの金属プレートを配置して、金属プレートに対してスプリングワッシャで摩擦力を付与する。
(b)回転シャフトに備えられたステーを、回転シャフトを回動支持する支持穴を有する金属プレートに対して当接させて、金属プレートとステーとの摩擦力を利用する。
(c)シャフトをテーパー軸受けに回動支持させて、コイルばねや皿ばねでシャフトをテーパー面に対して押圧することによってテーパー面での摩擦力を発生させる。
(d)回転軸を保持金具で直接回動支持して、保持金具で回転軸を締めつけることによって摩擦力を付与する。
また、平成7年1月27日に出願公開された特開平7−26825号(出願人:株式会社加藤スプリング製作所)には、この種のヒンジ機構として軸ロック装置が記載されている。この軸ロック装置は、金属製の内部軸と、この内部軸とモールディング一体成形された樹脂製の外部軸とから構成されている。そして、モールディング一体成形後には、金属と樹脂との収縮率の差により外部軸と内部軸との間に面摩擦抵抗により所定のトルクを発生させるものである。このトルクによりノート型パソコンのディスプレイ盤を所望の角度で位置固定できるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記(a)、(b)の各摩擦構造では、部品点数が多く、必要な摩擦力を得るためには金属プレートの円盤径を大きくする必要があるため、小型化が困難である。この上、シャフトのかしめ量で摩擦力の調整を行わなければならないため、調整作業に手間が掛かり、低コスト化が困難である。
また、上記(c)のものでは、コイルばねなどの押圧力をねじ、押さえナットなどで調整することによってテーパー面での摩擦力を調整するため、調整に手間がかかる不都合がある。
さらに、(d)のものでは、摩擦力が小さく、長期間に亙って安定した摩擦力が確保し難いなどの問題がある。
一方、特開平7−26825号のものでは、外部軸と内部軸との間に発生させたトルクを所定に設定する手段として、内部軸の表面粗さ、表面処理ならびに摩擦係数の変更を始め、内部軸および外部軸の各直径寸法を変更することが示唆されている。
しかしながら、これらは単なる定性的な示唆に留まり、具現化に向けて必要な定量的な数値が全く欠けており、製品に結実させる上での実現性に乏しいと言わざるを得ないものである。このため、回転トルクのばらつきが大きくなったり、回転に伴いスティクスリップに起因する異音が発生したり、あるいは摩擦による必要なトルクが保持できなくなり、耐久性に劣るといった問題を抱えている。
【0004】
また、金属どうしの摩擦を利用するものでは、摩擦面にグリスなどの油類を塗布する必要があり、塗布物質により周辺部材が汚れるなどの問題があった。
【0005】
本発明は、かかる背景に基づいてなされたもので、その目的は、低価格でしかも周辺への汚染などの恐れがなく、回転トルクのばらつきがなく、回転に伴いスティクスリップに起因する異音の発生を防止でき、さらには摩擦による必要なトルクを維持できて、蓋部材などを開閉した場合に、楽な操作で任意の角度に容易に固定させることができ、かつ安定した摩擦力を維持できるといった耐久性に優れた摩擦ヒンジ装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る本発明は、回動中心となる回転軸を有する金属製の軸部材と、樹脂製部材により形成されて、前記軸部材を前記回転軸で回動自在に支持する軸回動支持部材とからなり、前記樹脂製部材の曲げ弾性率保持率が80%以上であり、前記軸回動支持部材が前記軸部材の前記回転軸の周りで相対的に回動自在に設けられ、前記軸部材と前記軸回動支持部材との間に面摩擦抵抗を発生するようにした摩擦ヒンジ装置において、前記軸部材と前記軸回動支持部材とに関する形状係数(W)が下記の範囲内に存在し、前記軸回動支持部材は、前記回転軸を内包し、前記回転軸の外周にモールド成形された前記樹脂製部材により構成され、前記樹脂製部材の成形収縮に伴う締め代で発生する内部応力により、前記軸部材と前記軸回動支持部材との間に面摩擦抵抗を発生するようにしたことを特徴とする。
1.5≦W≦3.5
但し、
W={1+(Do/Dh)2 }/{1−(Do/Dh)2 }
Do:前記軸部材の外径、
Dh:前記軸回動支持部材の外径あるいは、これに相当する径寸法。
請求項2では、請求項1に記載の摩擦ヒンジ装置において、前記軸部材と前記軸回動支持部材との間の面摩擦抵抗(回転トルク)の値は、これら軸部材と軸回動支持部材との摺動部分の長さの総和になるように設定されていることを特徴とする。
請求項3では、摩擦ヒンジ装置を利用して、ディスプレイ部を所定の角度で位置保持すべく揺動可能に支持して携帯用事務機器を構成したことを特徴とする。
【0007】
【発明の作用・効果】
請求項1では、軸回動支持部材が軸部材の回転軸の周りで相対的に回動自在に設けられた摩擦ヒンジ装置において、かかる軸部材と軸回動支持部材とに関する形状係数(W)の関係式が1.5≦W≦3.5となるように設定する。さらに、軸回動支持部材は樹脂製部材により形成され、その樹脂製部材の曲げ弾性率保持率が80%以上になっている。
このため、比較的大きなトルク体積効率およびトルク保持率を確保でき、軸部材と軸回動支持部材とが互いに密着し合い、軸部材の回転力に対して密着面で良好な摩擦力を発生する。これにより、軸部材が軸回動支持部材との摩擦力に対して大きな力で外部より回転トルクを受けた場合には、軸部材が軸回動支持部材に対して相対的に回転し、摩擦力より小さな回転トルクに対しては回転せず、もって、軸部材はその回転トルクに応じた回転状態を維持する。
ここで、形状係数(W)の関係式を1.5≦W≦3.5に設定したうえに、樹脂製部材の曲げ弾性率保持率を80%以上にしている。この結果、軸部材と異種材料間に生じる摩擦により、樹脂製部材の軸回動支持部材を軸部材に一層強く弾性密着させることが可能となる。
さらには、回転軸を内包する軸回動支持部材は、樹脂製部材によって回転軸の外周にモールド成形されて構成される。
【0008】
すなわち、本発明の請求項1では、軸部材と軸回動支持部材とに関する形状係数(W)の関係式が1.5≦W≦3.5となるように設定するとともに、軸回動支持部材の樹脂製部材の曲げ弾性率保持率を80%以上にする。
これにより、単位体積当たりの発生トルクが高くなり、トルク体積効率が向上するとともに、大きなトルク保持率を確保できる。もって、回転トルクにばらつきが生じず、しかも回転に伴うスティクスリップがなく、これに起因する異音の発生を防止できる。これに伴い、必要な摩擦力を容易に設定することができ、任意の回動角度で軸部材を停止状態に位置保持させることができる。
回転軸の外周に対する軸回動支持部材のモールド成形処理は、予め配置された軸部材に対して高温の金型内に樹脂製部材を押し込むなどして行われる。
従って、モールド成形後、軸部材及び樹脂製部材の温度が低下すると、樹脂製部材は成形収縮に伴う締め代で発生する内部応力により、軸部材に対して密着する。
また、軸部材と軸回動支持部材とが、モールド成形によって組み付けられるに伴ない、モールド体として安価に製造することができる。
【0009】
請求項2では、面摩擦抵抗の値は、軸部材と軸回動支持部材との摺動部分の長さの総和になるように設定する。これにより、単一種類の摩擦ヒンジ装置を複数組み合わせることにより、大トルクを発生する別機種に対応できるので、摩擦ヒンジ装置の汎用化が実現でき、これの共通化に伴い、長寸の摩擦ヒンジ装置を別途に製作する必要が無くなり、コスト的に有利である。
【0011】
請求項3では、摩擦ヒンジ装置を具体化した製品例を示す。すなわち、請求項3では、摩擦ヒンジ装置を組み込んで、ディスプレイ部を所定の角度で位置保持すべく揺動可能に支持した携帯用事務機器に適用している。
【0012】
[実施例上の作用・効果]
軸回動支持部材を形成するために用いる樹脂製部材として、使用温度範囲(例えば−20〜80℃)内における曲げ弾性率の変化の割合が小さく、最大でも30%以内のものを用いる。曲げ弾性率の変化が小さい材料では、通常使用する環境温度が変化した場合にも、軸部材に対して同等の摩擦力を保持できる。加えて、摩擦面での劣化がなくなるため、長期間に亘って、安定した摩擦力を維持することができる。
具体的には、樹脂製部材として用いるには、PC(ポリカーボネイト)、PAR(ポリアリレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)などが適している。
【0013】
また、軸回動支持部材を形成する樹脂製部材に無機系の摺動剤を混合したことによって、軸部材の円滑な回動を実現でき、しかも、軸部材と軸回動支持部材との間に、別途にグリスなどの摺動剤を塗布するものではないため、塗布剤による周辺部材への汚染の恐れがない。
また、軸部材と軸回動支持部材との摩擦に伴って生じる摩擦粉の発生を著しく低減させることができる。
さらには、軸回動支持部材を形成する樹脂製部材内に強度向上のための繊維を混合させることで、耐久性を向上させることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例を図に基づいて以下に説明する。
図1に示す摩擦ヒンジ装置1は、例えば、携帯用事務機器としてのノート型パソコンなどにおいて、液晶ディスプレイが搭載された蓋の開閉に用いられる。とりわけ本発明の実施例に係る摩擦ヒンジ装置1はノート型パソコンに組み込まれ、液晶ディスプレイ部の表示角度を調節するために、蓋を任意の開閉角度で位置保持するものである。
かかる摩擦ヒンジ装置1は、パソコンの蓋部材(図示せず)に取り付けられて、蓋部材とともに一体的に回動し、回動中心となる回転軸を構成する軸部材10を備える。20は軸回動支持部材で、これはパソコン本体側に固定され、蓋部材を開閉させるべく軸部材10を軸回りに回動自在に支持している。
【0015】
この軸部材10は、図2に示すとおり、SUS材(ステンレス)、鋼などの金属製の材料を用いている。これらの材料により円柱形状の棒素材の中間部を径大部11(例えば、直径5mm)として、その両端側を径大部11より小径の径小部12、13(例えば、直径4mm)として形成している。これの一方の径小部13の先端に、蓋部材と嵌合するためのほぞ14を形成している。
この軸回動支持部材20は、図3に示すように、軸部材10の径大部11の外側に覆い被さるように密着させて形成された樹脂製部材{例えばPAR(ポリアリレート)樹脂}で、軸部材10を予め金型内に配置しておき、樹脂製部材を射出成形して軸部材10とともにモールド成形により形成されている。
尚、ここでは、金型温度を140℃前後に設定して、モールド成形を行っている。これにより、樹脂製部材の成形収縮に伴う締め代により発生する内部応力に基づいて軸部材10と軸回動支持部材20との間に所定の面摩擦抵抗が生ずるようにしている。
しかしながら、本発明では後述するように形状係数を所定範囲に設定しているので、樹脂製部材のモールド成形は必ずしも必要とされるものではなく、付加的に設けてもよいものである。
【0016】
この摩擦ヒンジ装置1は、上述のとおり、蓋部材をコンピュータ本体に対して任意の角度に設定する必要があるため、軸回動支持部材20と軸部材10とに加わる相対的なトルクが所定トルク以下の場合には、その相対角度を維持し、所定トルク以上の場合には、円滑な回動を確保する必要がある。
このため、軸部材10と軸回動支持部材20とに関する形状係数(W)が下記の範囲内に存在するように設定している。
1.5≦W≦3.5
但し、
W={1+(Do/Dh)2 }/{1−(Do/Dh)2 }
Do:軸部材10の外径寸法であり、
Dh:軸回動支持部材20の外径寸法あるいは、これに相当する径寸法である。
軸部材10の外径寸法Doおよび軸回動支持部材20の外径寸法Dhについては、図4の(イ)に模式的に示し、同図の(ロ)、(ハ)および(ニ)は軸回動支持部材20の形状に応じて、その外径寸法に相当する径寸法を示す。
【0017】
さて、形状係数(W)を1.5以上となるように設定したのは、1.5より小さくなると、図5に示すようにトルク体積効率が急激に低下するからである。トルク体積効率とは、下記の関係式で示すように、発生トルクを樹脂製部材からなる軸回動支持部材20の体積で除算して得られた数値である。
トルク体積効率=T/AL=T/π×L×{(Dh/2)2 −(Do/2)2 }
但し、T:発生トルク
A:軸回動支持部材20の断面積
L:軸回動支持部材20のモールド長さ寸法
Dh:軸回動支持部材20の外径寸法
Do:軸部材10の外径寸法
このように定義されたトルク体積効率が大きい程、軸回動支持部材20の単位体積当たりの発生トルクが高く、良好な効率が得られる。逆にトルク体積効率が小さいと、樹脂製部材における固有の特性を発揮させ難くなると考えられる。
また、形状係数(W)を3.5以下となるように設定したのは、3.5より大きくなると、図6に示すようにトルク保持率(初期と耐久後)が急激に低下するからである。トルク保持率とは、下記の関係式により得られる値である。
トルク保持率(%)={(劣化試験および耐久試験後のトルク)/(初期トルク)}×100
【0018】
また、軸部材10と軸回動支持部材20との間で発生する面摩擦抵抗(初期トルクT)と軸回動支持部材20のモールド長さとの関係は図7に示すように線形になっている。ここでいう初期トルクTは、下記の関係式で表わすことができる。
T=(π/2)・Do2 ・L・(S/W)・μ
但し、Do:軸部材10の外径寸法
L:軸回動支持部材20のモールド長さ寸法
S:軸回動支持部材20の内部発生応力
W:形状係数
μ:軸部材10と軸回動支持部材20との間の摩擦係数
ここで、各パラメ−タDo、S、W、μ=Const とすると、T=C×Lとなる。このため初期トルクTはLの一次式(線形)となる。すなわち、軸部材10と軸回動支持部材20との間の面摩擦抵抗(回転トルク)の値は、これら軸部材10と軸回動支持部材20との摺動部分の長さの総和になるように設定されている。
このような初期トルクTとモールド長さ寸法Lとが一次関係式となることを利用すると、大きなトルクが要求される場合には単一の摩擦ヒンジ装置1を適宜の数だけ組み合わせるだけで済むようになる。
【0019】
ちなみに、図8の(イ)から(ロ)に示すように、トルクを複数倍(例えば3倍)に高めるには、通常では軸回動支持部材20のモールド長さ寸法Lを3倍に長尺化する必要があるが、同図の(ハ)に示すように同一の摩擦ヒンジ装置1の単体を三台直列に組み合わせるだけで済む。
これにより単一種類の摩擦ヒンジ装置1を複数に組み合わせることにより、大トルクの別機種に対応できるので、摩擦ヒンジ装置1の汎用化が図られ、機種毎に応じて長寸の摩擦ヒンジ装置を別途に製作する必要が無くなり、コスト的に有利である。このことは、特に量産する場合には一層有利となることを示している。
【0020】
このように形状係数(W)が設定された軸部材10を回転摺動させる軸回動支持部材20に適した樹脂製部材が模索される。この樹脂製部材としては、軸部材10に対して安定した摩擦力を確保するために、摩擦ヒンジ装置1を使用温度範囲(例えば、−20〜80℃)における曲げ弾性率(GPa)の変化の割合が小さいものが用いられる。
これは、種々の樹脂について、トルク保持率と曲げ弾性率保持率との関係を調べたところ、図9に示すとおり、トルク保持率が80%以上となる樹脂製部材では、曲げ弾性率保持率が80%以上であることに基づくもので、曲げ弾性率保持率が高い(使用温度範囲内における曲げ弾性率の変化の割合が小さい)樹脂製部材を用いることで、高いトルク保持率を実現できるからである。
【0021】
図10、図11に、周囲の環境温度と樹脂製部材の曲げ弾性率との関係を示す。
図10に示すPAR(ポリアリレート)では、実際に機器などが使用される周辺の環境温度範囲内では、曲げ弾性率が大きく変化しないため、軸回動支持部材20として適している。これに対して、図11に示すような一般の結晶性樹脂では、使用温度範囲内で温度によって曲げ弾性率が大きく変化する。こうした一般の結晶性樹脂では、使用温度が変化した場合に軸部材10に対して適切な摩擦力を与える使用温度を選んで軸回動支持部材20として使用すべきである。
【0022】
以上の観点から、軸回動支持部材20として用いるのに適した樹脂製部材の具体例としては、PAR(ポリアリレート)、PC(ポリカーボネイト)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PES(ポリエーテルサルホン)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)などが挙げられる。
なお、本発明の他の実施例として、軸部材10の表面処理後には、この表面粗さ(Ra)をバフ加工などの研磨処理により0.15〜0.35μmに設定することができる。
【0023】
次に第2実施例について説明する。
この第2実施例では、軸回動支持部材20に用いられる樹脂製部材として、上述のPAR(ポリアリレート)、PC(ポリカーボネイト)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PES(ポリエーテルサルホン)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)などの単一材料ではなく、フッ素系樹脂、オレフィン系樹脂などの有機系の摺動剤を10wt%以内で添加して用いる。また、カーボン、カーボン繊維、二硫化モリブデン、チタン酸カリウムなどの無機系摺動剤を添加してもよい。
樹脂製部材にPTFEを3wt%添加した場合を図12に、添加しない場合を図13にそれぞれ示す。添加した場合には、初動時に滑らかに回動を開始することが分かる。
これによって、軸部材10と軸回動支持部材20との摩擦に伴って発生する摩擦粉を著しく低減させることができる。
図14に、これらの摺動剤を添加した場合の耐久性について、添加しないものと比較して示す。
この図14から明らかなとおり、摺動剤を添加した場合には、トルク保持率の低下の度合いが著しく小さくなっており、長寿命のヒンジとすることができる。
【0024】
次に、第3実施例について説明する。
この第3実施例では、軸回動支持部材20の強度を向上させるために、ミネラル、カーボン繊維、ガラス繊維などを40wt%以内で添加してもよい。
【0025】
[本発明の実施例効果]
以上のとおり、本発明の実施例では、軸部材10と軸回動支持部材20とに関する形状係数(W)を1.5以上で3.5以下となるように設定した。このため、トルク体積効率やトルク保持率が向上し、軸部材10と軸回動支持部材20との密着状態が良好になる。これにより、回転トルクにむらがなく、スティックスリップの発生、異音の発生や初動時のひっかかりがなく、安定した摩擦力を維持することができ耐久性に優れている。
これにより、蓋部材などの開閉において、楽な操作で蓋部材を容易に任意の開閉角度で位置保持することができる。
また、とりわけ軸回動支持部材20を軸部材10とモールド成形によって組付けているため、製造コストの低減を図ることができる。
また、軸回動支持部材20として成形される樹脂製部材として、使用温度範囲における曲げ弾性変化率が小さい材料を用いているため、種々の使用環境においても、安定した摩擦力を維持することができるため、蓋部材などを備えた機器の使い勝手をよくすることができる。
【0026】
なお、軸部材10の外表面および軸回動支持部材20の内表面は、バフ研磨仕上げなどにより表面粗さの小さい円滑な表面に仕上げてもよい。
また、上記実施例では、ノート型パソコンなどの蓋部材を例に挙げたが、複写機など電子機器の蓋、便器の蓋、自動車のトランク用フード開閉機構、ボンネット用フード開閉機構、トラックの荷台蓋、家屋の窓開閉機構およびピアノの鍵盤蓋など蓋部材を摩擦に基づく回動トルクにより任意の開放角度に位置保持させるもの一般に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の摩擦ヒンジ装置を示す斜視図である。
【図2】実施例の摩擦ヒンジ装置の軸部材を示す図で、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図3】実施例の摩擦ヒンジ装置を示す図で、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図4】(イ)〜(ニ)は、摩擦ヒンジ装置の模式図および軸回動支持部材の外径に相当する径寸法を例示する概略図である。
【図5】本実施例の軸部材と軸回動支持部材に関する形状係数(W)とトルク体積効率との関係を示す特性図である。
【図6】本実施例の軸部材と軸回動支持部材に関する形状係数(W)とトルク保持率との関係を示す特性図である。
【図7】本実施例の軸回動支持部材のモールド長さ寸法(L)と初期トルク(T)との関係を示す特性図である。
【図8】(イ)〜(ハ)は、大きなトルクが要求される場合に対処するための方法を説明するために示す摩擦ヒンジ装置の斜視図である。
【図9】各種の樹脂製部材における曲げ弾性率保持率とトルク保持率との関係を示す特性図である。
【図10】本実施例に用いた曲げ弾性率の変化が小さい樹脂製部材における温度と曲げ弾性率との関係を示す特性図である。
【図11】図10と比較するための一般の結晶性樹脂における温度と曲げ弾性率との関係を示す特性図である。
【図12】本発明の第2実施例を説明するための図で、軸回動支持部材の樹脂製部材に摺動剤を添加した場合の回動角度とトルクとの関係を示す特性図である。
【図13】図12と比較するための図で、軸回動支持部材の樹脂製部材に摺動剤を添加しない場合の回動角度とトルクとの関係を示す特性図である。
【図14】第2実施例の軸回動支持部材の樹脂製部材に摺動剤を添加した場合の耐久回数とトルクの変化との関係を、摺動剤を添加しない場合と合わせて示した図である。
【符号の説明】
1 摩擦ヒンジ装置
10 軸部材(回転軸)
11 径大部
12、13 径小部
20 軸回動支持部材
Claims (3)
- 回動中心となる回転軸を有する金属製の軸部材と、
樹脂製部材により形成されて、前記軸部材を前記回転軸で回動自在に支持する軸回動支持部材とからなり、
前記樹脂製部材の曲げ弾性率保持率が80%以上であり、
前記軸回動支持部材が前記軸部材の前記回転軸の周りで相対的に回動自在に設けられ、前記軸部材と前記軸回動支持部材との間に面摩擦抵抗を発生するようにした摩擦ヒンジ装置において、
前記軸部材と前記軸回動支持部材とに関する形状係数(W)が下記の範囲内に存在し、
前記軸回動支持部材は、前記回転軸を内包し、前記回転軸の外周にモールド成形された前記樹脂製部材により構成され、前記樹脂製部材の成形収縮に伴う締め代で発生する内部応力により、前記軸部材と前記軸回動支持部材との間に面摩擦抵抗を発生するようにしたことを特徴とする摩擦ヒンジ装置。
1.5≦W≦3.5
但し、
W={1+(Do/Dh)2 }/{1−(Do/Dh)2 }
Do:前記軸部材の外径、
Dh:前記軸回動支持部材の外径あるいは、これに相当する径寸法。 - 請求項1に記載の摩擦ヒンジ装置において、前記軸部材と前記軸回動支持部材との間の面摩擦抵抗の値は、これら軸部材と軸回動支持部材との摺動部分の長さの総和になるように設定されていることを特徴とする摩擦ヒンジ装置。
- 請求項1または請求項2のいずれかに記載の摩擦ヒンジ装置を利用して、ディスプレイ部を所定の角度で位置保持すべく揺動可能に支持したことを特徴とする携帯用事務機器。
Priority Applications (2)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
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