JP3974966B2 - ポジトロンct装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被写体に投入されたRI線源により発生する電子・陽電子対消滅に伴って放出される光子対を検出することにより、その被写体内の物質分布を測定するポジトロンCT装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポジトロンCT装置(Positron Emission Computed-Tomography ; 以下、「PET」という)は、生体や疾病患の研究あるいは臨床検査等に応用され、体内に投入された陽電子放出核種(以下、「RI線源」という)の分布を画像化し、生体機能を見るための装置である。
【0003】
RI線源は、神経伝達に関与するドーパミンや体内でのグルコース代謝に関係するFDG(18F−フルオロデオキシグルコース)等の生体内物質、或いは、例えば新規開発中の薬剤に、部分的に付加されて用いられる。PETは、このような物質の生体内での分布、消費量あるいは時間的変化の様子を見ることができる。また、PETは、脳血流量や酸素消費量などの生体の基礎代謝を測定することもできる。
【0004】
このようなPETの検出部は、リング状に配置された多数の光子検出器(以下、「リング」という)からなり、そのリング内の測定空間に、RI線源を注入あるいは吸入された人体などの被写体が置かれる。被写体内のRI線源から放出された陽電子は、直ちに近くの電子と結合して、それぞれ511keVのエネルギを持つ1対の光子(ガンマ線)が互いに反対方向に放出される。そこで、リングを構成する光子検出器により検出された光子のうち、511keVのエネルギを有する1対の光子を弁別し同時計数することにより、電子・陽電子対消滅がどの直線(以下、「同時計数ライン」という)上で発生したかを特定することができる。PETは、このような同時計数情報(投影データ)をメモリに蓄積して画像再構成処理を行って、RI線源の分布画像を作成する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このようなPETにあっては、高解像度の再構成画像を得るために、リングを構成する光子検出器の個数を増やすことが望まれている。また、2次元タイプのPET(2D−PET)では、RI線源から放出されてあらゆる方向に飛行する光子対のうち、リング面に沿った方向に飛行する光子対のみを検出するため、RI線源から放出される光子対を捕捉する確率が小さく、統計ノイズが大きく検出感度が低いという問題があることから、検出感度を向上させるために3次元タイプのPET(3D−PET)が用いられるようになってきている。
【0006】
このように、リングを構成する光子検出器の個数は増加傾向にあり、したがって、光子対を検出し得る光子検出対の組み合わせの数も増加傾向にあることから、単位時間当たりの同時計数が増加するとともに、蓄積すべき投影データも更に大量となり、メモリに蓄積された投影データを画像再構成部に転送する時間は更に長くなる。
【0007】
さらに、被写体である人体やその他の動物に苦痛やストレスを与えることなく通常の生理状態を維持するために、被写体を固定せずに或程度の体動を許容して計測を行うフリー・ムービング計測が行われているが、このフリー・ムービング計測によっても、被写体から発生した光子対を検出し得る光子検出器対の組み合わせの数が増えるので、蓄積すべき投影データは増大し、画像再構成部への転送時間は長くなる。被写体の体動を許容する範囲が大きいほど、蓄積すべき投影データは増大する。
【0008】
ところで、PETによる計測には、1回の計測中の全ての投影データを同一の記憶領域へ収納するスタティック計測と、計測時間を複数のフレームに分割してフレーム毎の投影データをそれぞれ対応する記憶領域へ収納するダイナミック計測(多フレーム計測)とがあるが、最近では、例えば脳血流計測のような生体機能の時間的変化を測定する為にダイナミック計測が行われることが多い。このダイナミック計測においては、生体機能の時間的変化の様子をより詳しく観測したり計算誤差を減らしたりするために、フレーム時間を短縮化し、より短い時間間隔で計測を行うことが望まれている。しかしながら、上述のとおり、蓄積すべき投影データが大量であり、その大量の投影データをメモリから画像再構成部へ転送するのに長時間を要することから、フレーム時間の短縮化は困難である。
【0009】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、投影データを蓄積するメモリの容量を増やすことなく或いは減らして、高解像度の再構成画像を得ることができ、また、ダイナミック計測においてフレーム時間を短縮化することができるポジトロンCT装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るポジトロンCT装置は、(1) 入射した光子のエネルギに応じた光子検出信号をそれぞれ出力する複数個の光子検出器が測定空間を囲んで配列されたリングと、(2) 光子検出信号を入力し、測定空間における電子・陽電子対消滅によって発生する光子対をエネルギ弁別して、光子対のそれぞれの光子を検出した光子検出器対を示す検出器識別信号を出力する同時計数回路と、(3) 測定空間に設定された極座標系による座標値に対する番地が粗密分布を有する対応関係に従って、検出器識別信号が示す光子検出器対を互いに結ぶ同時計数ラインについて極座標系で表現した座標値に対応する番地を出力する座標変換手段と、(4) 座標変換手段から出力された番地に一定値を累積加算して投影データを蓄積する投影データ蓄積手段と、(5) 投影データ蓄積手段に蓄積された投影データに基づいて、測定空間における電子・陽電子対消滅の発生頻度の空間分布を算出し画像再構成を行う画像再構成手段と、を備えることを特徴とする。
さらに、座標変換手段は、検出器識別信号が示す光子検出器対を互いに結ぶ同時計数ラインが測定空間内の所定領域を通過するか否かに応じて、同時計数ラインが所定領域を通過するときの座標値に対する番地の対応関係が、同時計数ラインが所定領域を通過しないときの座標値に対する番地の対応関係よりも密であり、この対応関係に従って座標値に対応する番地を一意的に決定して出力することを特徴とする。
【0011】
このポジトロンCT装置によれば、リングを構成する複数個の光子検出器のうちの何れかに光子が入射すると、その入射した光子のエネルギに応じた光子検出信号がその光子検出器から出力され、光子検出信号は同時計数回路に入力する。その光子検出信号に基づいて、同時計数回路により、測定空間における電子・陽電子対消滅によって発生する光子対がエネルギ弁別されて、光子対のそれぞれの光子を検出した光子検出器対を示す検出器識別信号が出力される。この検出器識別信号に基づいて、座標変換手段により、測定空間に設定された極座標系による座標値に対する番地の所定の対応関係に従って、検出器識別信号が示す光子検出器対を互いに結ぶ同時計数ラインについてその極座標系で表現した座標値に対応する番地が出力される。そして、投影データ蓄積手段により、座標変換手段から出力された番地に一定値が累積加算されて投影データが蓄積され、この投影データ蓄積手段に蓄積された投影データに基づいて、画像再構成手段により、測定空間における電子・陽電子対消滅の発生頻度の空間分布が算出され再構成画像が得られる。
【0012】
ここで、座標変換手段において、測定空間に設定された極座標系による座標値に対する番地の対応関係が粗密分布を有するものとしたので、全ての座標値に対する番地の対応関係が一様に密である場合と比較して、投影データ蓄積手段により蓄積され画像再構成手段に転送されるべき投影データの量は少ない。また、画像再構成手段により得られる再構成画像のうち、当該対応関係が密な投影データ蓄積領域に蓄積された投影データに基づく部分は高解像度のものが得られる。
【0013】
また、さらに、画像再構成手段により画像再構成された空間分布の画像に基づいて散乱補正を行う散乱補正手段を更に備えることを特徴とすることとしてもよい。この場合、画像再構成手段により得られた再構成画像は、散乱補正手段により散乱補正がなされて高S/N比のものとなる。
【0014】
また、さらに、測定空間に置かれた被写体の輪郭を検出する輪郭検出手段を更に備え、座標変換手段は、輪郭検出手段により検出された輪郭に基づいて粗密分布を有する、ことを特徴とすることとしてもよい。この場合、測定空間に置かれた被写体の輪郭は輪郭検出手段により検出され、座標変換手段により、この輪郭に基づいて同時計数ラインの測定空間内における通過領域に応じた粗密分布を有する対応関係に従って、投影データ蓄積手段の所定数の投影データ蓄積領域の何れかに一定値が累積加算される。
【0015】
また、さらに、座標変換手段は、粗密分布に関して自在に設定可能であることを特徴とすることとしてもよい。この場合、測定空間に置かれる被写体や注目領域に応じて、同時計数ラインを表す座標値に対する番地の対応関係が座標変換手段で適切に設定される。
【0017】
また、さらに、座標変換手段は、測定空間内に置かれた被写体が占める領域または被写体内の注目領域の何れかを所定領域とすることを特徴とすることとしてもよい。この場合、再構成画像のうち被写体が占める領域または被写体内の注目領域について高解像度のものが得られる。
【0018】
また、さらに、座標変換手段は、測定空間内に置かれた被写体が占める領域または被写体内の注目領域の何れかの周辺に一定幅領域を加えた領域を所定領域とすることを特徴とすることとしてもよい。この場合、再構成画像のうち被写体が占める領域または被写体内の注目領域の全領域について高解像度のものが得られる。
【0019】
また、さらに、座標変換手段は、測定空間内に置かれた被写体が占める領域または被写体内の注目領域の何れかを含む球形状の領域を所定領域とすることを特徴とすることとしてもよい。この場合、座標変換手段において座標値から番地への変換が容易になる。
【0020】
また、さらに、座標変換手段は、対応関係の粗密が所定領域の境界においてステップ的に変化することを特徴とすることとしてもよいし、対応関係の粗密が所定領域の中心部付近から測定空間の周辺部に亘って次第に変化することを特徴とすることとしてもよいし、対応関係の粗密が所定領域の境界周辺の一定幅領域において次第に変化することを特徴とすることとしてもよい。これら何れの場合も座標変換手段おいて座標値から番地へ好適に変換される。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。尚、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0022】
初めに、本発明に係る実施形態を説明する前に、再構成画像のS/N比劣化の1要因となる散乱同時計数および散乱補正について説明する。
【0023】
散乱同時計数とは、電子・陽電子対消滅事象により放出され一方または双方が散乱された光子対(散乱線)が1対の光子検出器により同時検出される現象である。この散乱同時計数の現象は、電子・陽電子対消滅位置について誤った情報を与えることになるので、除去することが必要である。2D−PETの場合には、スライス間コリメータが散乱線の検出を或程度除去していたが、3D−PETの場合では、スライス間コリメータが取り外されるので、検出される散乱線が2D−PETの場合に比べて10倍以上多く、他の方法で散乱同時計数を除去する必要がある。
【0024】
スライス間コリメータに依らずに散乱同時計数を除去する方法として、光子が当初持っていたエネルギ(511keV)が散乱により減少することを利用して、散乱されておらず511keVのエネルギを有する光子対をエネルギ弁別することで、散乱同時計数を除去することが考えられる。しかし、この方法では、散乱同時計数を或程度除去することができるものの、完全に除去することはできない。
【0025】
また、散乱補正を行う方法も考えられる。図14は、散乱同時計数の説明図である。図14(a)は、被写体10およびリング20とともに、測定空間11に設定された極座標系における或θ’方向の投影データ(エミッション・データE(t,θ’))の分布をも示しており、図14(b)は、t−θメモリ60に蓄積される投影データ(エミッション・データE(t,θ))の分布を模式的に示している。この図14(a)に示すように、リング20内の測定空間11にRI線源が投与された被写体10を置いてエミッション計測を行って蓄積された投影データのうち、被写体10が占める領域を通過する同時計数ラインについての投影データ(図14(a)中の投影データ分布の範囲A)には、真の同時計数に加えて散乱同時計数が蓄積され、被写体10が占める領域を通過しない同時計数ラインについての投影データ(図14(a)中の投影データ分布の範囲B)には、散乱同時計数のみが蓄積される。
【0026】
すなわち、同時検出された全ての同時計数ラインについてその方位θおよび原点からの距離tの値ごとに投影データを蓄積するt−θメモリ60の投影データ蓄積領域は、図14(b)に示すように、被写体10が占める領域を通過する同時計数ラインについての投影データが記憶されている領域(図14(b)中の投影データの領域A)と、被写体10が占める領域を通過しない同時計数ラインについての投影データが記憶されている領域(図14(b)中の投影データの領域B)とに、分けることができる。散乱補正は、以上のことを利用して、被写体10が占める領域を通過しない同時計数ラインについての投影データに基づいて全体の投影データに含まれる散乱データを推定し、その推定された散乱データを全体の投影データから差し引くことで、真の同時計数に係る投影データを求めるものである。
【0027】
この散乱補正において重要となるのは、被写体10が占める領域を通過しない同時計数ラインについての投影データに基づいて、全体の投影データに含まれる散乱データを精度良く推定することである。この推定手法としては、物理法則に基づく解析法、実測レスポンスに基づく解析法、単純な直線近似による方法、および、これらの折衷的な方法がある。何れの推定手法を採用するにしても、散乱補正の成否は、被写体が占める領域を通過しない同時計数ラインについての投影データの量と質とに依存している。
【0028】
なお、リングを構成する光子検出器が検出する測定空間内の領域を、被写体が占める領域およびその周辺の限られた領域に限定して、投影データを蓄積するメモリの容量を低減する技術が知られている(特開昭58−6499号公報、特開平2−87092号公報)。しかし、この技術では、被写体が占める領域を通過しない同時計数ラインについての投影データに基づいて全体の投影データに含まれる散乱データを推定することができないか、あるいは、その推定精度が悪く、それ故に散乱同時計数を除去することができない。
【0029】
以上のように、被写体が占める領域を通過しない同時計数ラインについての投影データは、散乱補正を行うには必要不可欠なものである。したがって、測定空間に置かれた被写体が占める領域を通過する同時計数ラインについての投影データだけでなく、被写体が占める領域を通過しない同時計数ラインについての投影データをも、蓄積しなければならない。
【0030】
ところが、被写体における電子・陽電子対消滅発生分布を高解像度で測定しようとするPETであっても、被写体が占める領域を通過する同時計数ラインについての投影データのサンプリング密度と比べて、被写体が占める領域を通過しない同時計数ラインについての投影データのサンプリング密度は、同程度に密である必要はなく、粗であっても構わない。何故なら、複雑な工程で散乱された光子についての投影データには統計雑音が重畳されているため、これを高密度でサンプリングしても無意味であり、また、統計雑音がないものとすれば散乱データは空間的に滑らかに変化するものであるからである。さらに、被写体が占める領域内であっても、その被写体のうちの注目領域(例えば、視覚刺激による脳賦活実験の際における視覚野)を通過する同時計数ラインについての投影データのサンプリング密度と比べて、注目領域を通過しない同時計数ラインについての投影データのサンプリング密度は、同程度に密である必要はなく、粗であっても構わない。
【0031】
本発明は、このような考察に基づいてなされたものであり、被写体が占める領域を通過しない同時計数ラインについても投影データを散乱補正のために蓄積しながらも、メモリの容量を増やすことなく或いは減らして、被写体または注目領域について高S/N比で高解像度の再構成画像を得ることができるポジトロンCT装置を提供するものである。
【0032】
(第1の実施形態)
次に、第1の実施形態について説明する。図1は、第1の実施形態に係るポジトロンCT装置の構成図である。
【0033】
本実施形態に係るPETは2D−PETであって、この図では、スライス間コリメータにより互いに隔てられているリングの1層分をリング20として表している。このリング20は、被写体10が置かれる測定空間11を内部に含み、入射した光子を検出する多数の光子検出器Dk (k=1,2,3,…,n)が中心軸の周囲にリング状に配列されており、これらの光子検出器は、測定空間11の方向に受光面が向けられて、測定空間11から飛来して入射した光子を検出する。これら光子検出器Dk (k=1,2,3,…,n)それぞれと同時計数回路30との間には信号線が設けられおり、光子を検出した光子検出器から同時計数回路30へ、その検出された光子のエネルギに応じた光子検出信号が送られる。
【0034】
光子検出器Dk (k=1,2,3,…,n)それぞれから出力された光子検出信号を入力する同時計数回路30は、リング20内の2つの光子検出器Di およびDj が電子・陽電子対消滅に伴って発生する所定のエネルギ(511keV)を有する光子対を同時検出したことをエネルギ弁別して認識し、その時のこれら2つの光子検出器Di およびDj それぞれを示す検出器識別信号IおよびJを出力する。
【0035】
同時計数回路30から出力された検出器識別信号対(I,J)を入力するt−θ変換部(座標変換手段)40は、検出器識別信号対(I,J)が示す光子対を検出した2つの光子検出器Di およびDj を互いに結ぶ同時計数ラインについて、測定空間11内に設定されたt−θ極座標系で表した座標値(T,θ’)に変換し、さらに、この座標値(T,θ’)を所定の対応関係に従って、後述するt−θメモリ60上の番地に変換し、その番地を出力する。ここで、Tは、この同時計数ラインとt−θ極座標系の原点との間の距離を表し、θ’は、この同時計数ラインの方位を表すものである。
【0036】
このt−θ変換部40における座標値から番地への変換は、以下のような判定に基づいて行われる。すなわち、t−θ変換部40は、座標値(T,θ’)が表す同時計数ラインが測定空間11内において通過する領域を判定する。例えば、測定空間11内に置かれた被写体10をその同時計数ラインが通過するか否かを判定する。あるいは、被写体10のうちの注目領域(例えば、人の頭部を被写体10として視覚刺激による脳賦活実験の際における視覚野)をその同時計数ラインが通過するか否かを判定してもよい。t−θ変換部40は、検出器識別信号対(I,J)に基づいて通過領域を判定してもよい。なお、t−θ変換部40は、同時計数ラインが被写体10を通過するか否かを判定するに際して、被写体10の輪郭を予め検出し記憶しておく必要があるが、その具体的な方法については後述する。
【0037】
そして、t−θ変換部40は、座標値に対する番地の対応関係(サンプリング密度)について粗密分布を有していて、被写体10が占める領域を同時計数ラインが通過すると判定した場合におけるサンプリング密度が、そうでない場合におけるサンプリング密度よりも密、すなわち、t−θ平面上の単位面積当たりの番地の数が多い。このサンプリング密度における粗密差は、t座標およびθ座標の双方について設けられてもよいし、これらのうちの何れか一方について設けられてもよい。
【0038】
投影データを蓄積するt−θメモリ(投影データ蓄積手段)60は、t−θ変換部40から出力された番地に一定値を累積加算して、測定空間11で発生した光子対についての投影データを蓄積するものである。このt−θメモリ60の投影データ蓄積領域は、2以上(本実施形態では2つ)の投影データ蓄積領域60Aと60Bとに分けることができる。なお、図1に示すt−θメモリ60では、投影データ蓄積領域60Aおよび60Bそれぞれについてt−θ平面上における投影データの分布を模式的に示している。
【0039】
一方の投影データ蓄積領域60Aは、測定空間11内の所定領域(被写体10が占める領域、或いは、被写体10内の注目領域)を通過する同時計数ラインについて、t−θ変換部40から出力された番地に一定値を累積加算して投影データEA を蓄積する。他方の投影データ蓄積領域60Bは、その所定領域を通過しない同時計数ラインについて、t−θ変換部40から出力された番地に一定値を累積加算して投影データEB を蓄積する。
【0040】
したがって、投影データ蓄積領域60Aには、測定空間11内の所定領域における電子・陽電子対消滅に伴って発生した光子対の真の同時計数および散乱同時計数に関する投影データEA が高いサンプリング密度で蓄積される。一方、投影データ蓄積領域60Bには、散乱同時計数に関する投影データEB が低いサンプリング密度で蓄積される。
【0041】
このt−θメモリ60の投影データ蓄積領域60Aおよび60Bそれぞれに蓄積された投影データEA およびEB は、画像再構成部(例えば、ホストコンピュータ)70に転送される。ここで、t−θメモリ60から画像再構成部70へ転送される投影データは、測定空間11内の所定領域を通過する同時計数ラインについて投影データ蓄積領域60Aに蓄積された投影データEA 、および、測定空間11内のその所定領域を通過しない同時計数ラインについて投影データ蓄積領域60Bに蓄積された投影データEB である。前者の投影データEA は、高サンプリング密度ではあるがt−θ平面内の狭い領域のものであり、後者の投影データEB は、低サンプリング密度で蓄積されたものである。
【0042】
そして、画像再構成部70は、t−θメモリ60から転送された投影データEA およびEB に基づいて、測定空間11における電子・陽電子対消滅の発生頻度の空間分布を算出し画像再構成を行う。すなわち、投影データEA のサンプリング密度と同一のサンプリング密度となるように投影データEB を補間し、この補間された投影データEB と投影データEA とに基づいて画像再構成をする。画像表示部80は、画像再構成部70により再構成された画像を表示する。
【0043】
本実施形態に係るPETは以下のように作用する。すなわち、RI線源が投与された被写体10がリング20内の測定空間11に置かれると、その被写体10内部で電子・陽電子対消滅に伴って光子対が放出される。その光子対のうちリング面に沿って飛行した光子対が、リング20を構成する多数の光子検出器Dk (k=1,2,3,…,n)のうちの何れか2つの光子検出器Di およびDj により検出されると、光子を検出した旨を示す光子検出信号が、その2つの光子検出器Di およびDj それぞれから出力され、同時計数回路30に入力する。これら光子検出信号を入力する同時計数回路30により、所定のエネルギ(511keV)を有する光子対が同時に検出されたものであるか否かが判定され、同時計数であると判定された場合には、その光子対を検出した2つの光子検出器Di およびDj それぞれを示す検出器識別信号対(I,J)が出力される。
【0044】
そして、この検出器識別信号対(I,J)は、t−θ変換部40により、検出器識別信号対(I,J)が示す同時計数ラインについて測定空間11内に設定されたt−θ極座標系で表した座標値(T,θ’)に変換され、さらに、この座標値(T,θ’)に対応する番地に変換され、この番地がt−θ変換部40から出力される。この座標値から番地への変換に際して、光子対を検出した2つの光子検出器Di およびDj を互いに結ぶ同時計数ラインが被写体10を通過するものである場合には高サンプリング密度で対応する番地に変換され、そうでない場合には低サンプリング密度で対応する番地に変換される。
【0045】
このt−θ変換部40から出力された番地はt−θメモリ60に入力して、t−θメモリ60のその番地に一定値が累積加算される。ここで、もし、同時計数ラインが被写体10を通過するものである場合には、t−θメモリ60の投影データ蓄積領域60Aのその番地に一定値が累積加算されて投影データEA が蓄積される。逆に、同時計数ラインが被写体10を通過しないものである場合には、t−θメモリ60の投影データ蓄積領域60Bのその番地に一定値が累積加算されて投影データEB が蓄積される。
【0046】
このt−θメモリ60の投影データ蓄積領域60Aおよび60Bそれぞれに蓄積された投影データEA およびEB は、画像再構成部70に転送され、この転送された投影データEA およびEB に基づいて、この画像再構成部70により、測定空間11における電子・陽電子対消滅の発生頻度の空間分布が算出され画像再構成される。そして、その再構成画像は、画像表示部80により表示される。
【0047】
次に、画像再構成部70により再構成された画像に基づいてなされる散乱補正について説明する。この散乱補正における演算処理は、例えば、画像再構成をも行うホストコンピュータにより行われる処理である。図2は、散乱補正のフローチャートである。
【0048】
先ず、ステップS1で、点応答関数を獲得する。この点応答関数は以下のようにして求める。すなわち、被写体10と略同一形状の容器の中に水を満たしたものを、測定空間11内の被写体10が置かれるべき位置に置き、また、RI線源をリング20の中心位置に置いて、被写体10を測定するときと同様に測定してt−θメモリ60に投影データを蓄積する。このとき、t−θ変換部40は、t−θメモリ60の全領域に亘って一定のサンプリング密度で投影データを蓄積させる。そして、この投影データに基づいて再構成画像部70により画像再構成する。このようにして得られた再構成画像を点応答関数という。
【0049】
ステップS1に続くステップS2では、この点応答関数と画像再構成部70により得られた再構成画像G0とのコンボリューションを計算し、ステップS3では、ステップS2で得られたコンボリューション結果に基づいて投影データE1を逆算して求め、ステップS4では、実投影データE0(画像再構成部70により補間された投影データEB および投影データEA )から、ステップS3で得られた投影データE1を減算する。このステップS4における減算の結果として得られるものは、散乱データを含まない真の投影データに誤差が加えられたものである。
【0050】
ステップS4に続くステップS5では、ステップS4の減算結果である投影データに基づいて画像再構成して再構成画像G1を算出し、ステップS6では、ステップS5で得られた再構成画像G1と再構成画像G0との誤差を、被写体10が占める領域以外の領域において求める。そして、ステップS7では、この誤差が基準値ε未満であるか否かを判定する。誤差が基準値ε未満であると判定された場合には散乱補正の処理は終了し、そうでない場合には、ステップS8に進む。ステップS8では、ステップS5で算出された再構成画像G1を新たに再構成画像G0とし、再びステップS2に戻る。
【0051】
このように、ステップS2乃至S8からなるループ処理は、誤差が基準値ε未満になるまで繰り返される。ただし、このループ処理における2回目以降の処理においては、ステップS2およびS6それぞれで参照される再構成画像G0は、その前の処理におけるステップS5で算出された再構成画像G1である。そして、ステップS7で誤差が基準値ε未満であると判定されて散乱補正の処理が終了した時点において、再構成画像G0(或いはG1)は、散乱データが除去された真の投影データに基づいて画像再構成されたものとなる。この散乱補正がなされた再構成画像も画像表示部80に表示される。
【0052】
なお、再構成画像のS/N比を劣化させる要因として、上述した散乱同時計数の他に、被写体10における光子吸収や、リング20を構成する多数の光子検出器間の感度の不均一がある。したがって、散乱補正に加えて、トランスミッション計測やブランク測定を行って吸収補正および感度補正を行うのも好適である。
【0053】
次に、被写体10の輪郭検出の方法について説明する。被写体10の輪郭を検出する方法として、光学式3Dスキャナを利用するのも好適である。また、トランスミッション計測で得られるトランスミッション・データを利用して被写体10の輪郭を検出する方法も好適である。以下では後者について説明する。図3は、トランスミッション・データを利用した被写体10の輪郭の検出方法の説明図である。図3(a)は、被写体10、校正用RI線源12およびリング20とともに、測定空間11に設定された極座標系における或θ’方向の投影データ(トランスミッション・データT(t,θ’))の分布をも示しており、図3(b)は、t−θメモリ60に蓄積される投影データ(トランスミッション・データT(t,θ))の分布を模式的に示している。
【0054】
トランスミッション計測とは、エミッション計測(RI線源を投与された被写体10から発生する光子対の測定)時と同じ位置にRI線源が投与されていない被写体10を置き、リング20の中心軸を中心として被写体10の周囲で校正用RI線源12を回転させて行う計測を言う。また、トランスミッション・データとは、このトランスミッション計測によりt−θメモリ60に蓄積された投影データを言い、被写体10における光子吸収を補正する際に用いられるデータである。
【0055】
このトランスミッション・データは、この図に示すように、被写体10が占める領域を通過しない同時計数ラインについての投影データ(図3中の範囲B)は、被写体10が占める領域を通過する同時計数ラインについての投影データ(図3中の範囲A)と比較して、値が大きく且つ略一様である。したがって、このことを利用して被写体10の輪郭を検出することができる。t−θ変換部40は、このようにして求められた被写体10の輪郭をθ値を変数とする関数ts(θ) およびte(θ) として記憶し、さらに、この関数に基づいて座標値から番地への変換テーブルを用意しておく。
【0056】
以上のように、本実施形態に係るPETにおいては、被写体10が占める領域を通過しない同時計数ラインについては低サンプリング密度で投影データを蓄積することにしたので、t−θメモリ60から画像再構成部70へ転送されるべき投影データの量は少なく、したがって、転送時間も短い。例えば、被写体10の径が測定空間11の径に対して1/3であり、投影データ蓄積領域60Aのサンプリング密度が従来と同等であり、また、投影データ蓄積領域60Bのサンプリング密度が投影データ蓄積領域60Aのサンプリング密度に対して1/16であると仮定すれば、本実施形態に係るPETにおいて転送されるべき投影データの量および転送時間は、従来のPETの場合と比較して、
1/3 + 1/16・(1−1/3) = 3/8 … (1)
になる。また、リング構成が多層であって且つ被写体10が小さい場合(例えば被写体10がラット等の小型動物である場合)には、被写体10の径が測定空間11の径に対して更に小さくなるだけでなく、リングの端の層ほど投影データ蓄積領域60Aにより高サンプリング密度で蓄積されるべき投影データの量を少なくすることができるので、更に、転送すべき投影データ量は減少し、転送時間は短縮される。
【0057】
また、本実施形態に係るPETにおいては、被写体10が占める領域を通過しない同時計数ラインについても投影データを蓄積することにしたので、散乱補正を精度よく行うこともできる。したがって、本実施形態に係るPETにおいても、従来のPETの如く全てのt−θ平面上で高サンプリング密度で投影データを蓄積する場合に得られる再構成画像と同等の高分解能の再構成画像が得られる。
【0058】
次に、t−θ変換部40における座標値に対する番地の対応関係(サンプリング密度)について好適な例について図4乃至図10を参照して以下に説明する。なお、これらの図それぞれは、リング20および被写体10のスライス面による切断面、ならびに、互いに90度をなす2方位θそれぞれについてのサンプリング密度分布を示しているが、各θ方位それぞれについても同様である。
【0059】
図4に示すサンプリング密度分布は、各θ値それぞれについて、被写体10が占める領域を同時計数ラインが通過する場合におけるt値(ts(θ)<t<te(θ))に対しては密であり、そうでない場合には粗である。t−θ変換部40は、被写体10の輪郭に基づいて、座標値に対する番地の対応関係を用意しておく。
【0060】
図5に示すサンプリング密度分布は、各θ値それぞれについて、被写体10が占める領域に一定幅Δtの領域を加えた領域を同時計数ラインが通過する場合におけるt値(ts(θ)−Δt<t<te(θ)+Δt)に対しては密であり、そうでない場合には粗である。t−θ変換部40は、被写体10の輪郭を一定幅Δtだけ拡張した領域に基づいて、座標値に対する番地の対応関係を用意しておく。
【0061】
図6に示すサンプリング密度分布は、各θ値それぞれについて、被写体10が占める領域を同時計数ラインが通過する場合におけるt値(ts(θ)<t<te(θ))に対しては密であり、被写体10が占める領域に一定幅Δtの領域を加えた領域を同時計数ラインが通過しない場合におけるt値(t<ts(θ)−Δt、te(θ)+Δt<t)に対しては粗であり、それ以外の領域を同時計数ラインが通過する場合におけるt値(ts(θ)−Δt<t<ts(θ)、te(θ)<t<te(θ)+Δt)においては漸減・漸増している。t−θ変換部40は、被写体10の輪郭およびこれを拡張した領域に基づいて、座標値に対する番地の対応関係を用意しておく。
【0062】
図7に示すサンプリング密度分布は、各θ値それぞれについて、被写体10が占める領域を同時計数ラインが通過する場合におけるt値(ts(θ)<t<te(θ))に対しては密であり、この領域から遠ざかるに従い次第に粗になっていく。t−θ変換部40は、被写体10の輪郭およびこの輪郭からの距離に基づいて、座標値に対する番地の対応関係を用意しておく。
【0063】
これら図5乃至図7に示したサンプリング密度に従って投影データを蓄積する場合、被写体の全体に亘って高解像度の再構成画像が得られる。すなわち、再構成画像における高解像度領域および低解像度領域は、同時計数ラインのサンプリング密度の粗密の境界で急に変化するものではなく、その境界の両側の一定幅領域に亘って次第に変化するものである。したがって、投影データを高サンプリング密度で蓄積する範囲を、被写体が占める領域に加えて周辺に一定幅だけ拡げたものとし、この拡げられた領域を通過する同時計数ラインについて高サンプリング密度で蓄積した投影データに基づいて画像再構成すれば、被写体の全体に亘って高解像度の再構成画像が得られる。
【0064】
以上に述べた図4乃至図7は、被写体10に注目してサンプリング密度分布の好適な例を示したが、被写体(例えば頭部)10内の一部の領域である注目領域(例えば視覚野)に注目した場合のサンプリング密度分布についても同様である。例えば、図8に示すサンプリング密度分布は、図4に示したものに対応するものであり、各θ値それぞれについて、被写体10中の注目領域10Aを同時計数ラインが通過する場合におけるt値に対しては密であり、そうでない場合には粗である。しかし、被写体10内の注目領域に注目した場合のサンプリング密度分布については、図9および図10に示すように他にも好適例がある。
【0065】
図9に示すサンプリング密度分布は、各θ値それぞれについて、注目領域10Aを同時計数ラインが通過する場合におけるt値(ts1(θ)<t<te1(θ))に対しては密であり、被写体10が占める領域を同時計数ラインが通過しない場合におけるt値(t<ts2(θ)、te2(θ)<t)に対しては粗であり、注目領域10Aを同時計数ラインが通過しないが被写体10を通過する場合におけるt値(ts2(θ)<t<ts1(θ)、te1(θ)<t<te2(θ))に対しては中間密度である。また、図10に示すサンプリング密度分布は、各θ値それぞれについて、注目領域10Aを同時計数ラインが通過しないが被写体10を通過する場合におけるt値(ts2(θ)<t<ts1(θ)、te1(θ)<t<te2(θ))に対しては漸増・漸減している。なお、関数ts1(θ)およびte1(θ)は注目領域10Aの輪郭線を、関数ts2(θ)およびte2(θ)は被写体10の輪郭線を、それぞれ表す。
【0066】
これら図9および図10の何れの場合も、t−θ変換部40は、被写体10および注目領域10Aそれぞれの輪郭に基づいて、座標値に対する番地の対応関係を用意しておく。なお、注目領域10Aは、被写体10の内部に存在するものであって、その輪郭を検出することはできないが、例えばPETを用いて検査として脳賦活実験を行う場合には、被写体(頭部)10内のどの領域が賦活化されるか予め判っているので問題はない。
【0067】
以上述べた何れのサンプリング密度分布でも、被写体10(または注目領域10A)を通過する同時計数ラインについては高サンプリング密度で投影データを蓄積するので、画像再構成部70により得られる再構成画像は、被写体10(または注目領域10A)については高解像度のものである。ただし、図9または図10に示したサンプリング密度分布に従って蓄積された投影データに基づいて得られる再構成画像は、注目領域10Aについては高解像度であり、注目領域10A以外の被写体10の領域については中解像度であり、被写体10以外の領域については低解像度である。一方、被写体10が占める領域を通過しない同時計数ラインについては低サンプリング密度で投影データを蓄積するので、一様に密に蓄積する従来のPETと比較して、投影データ量は少なく、t−θメモリ60の容量は少なくて済み、また、t−θメモリ60から画像再構成部70へ投影データを転送する際に要する時間は短い。さらに、被写体10(または注目領域10A)が占める領域を通過しない同時計数ラインについて蓄積された投影データに基づいて散乱補正を行うことで、高S/N比の再構成画像が得られる。
【0068】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。図11は、第2の実施形態に係るポジトロンCT装置の構成図である。本実施形態に係るPETは、第1の実施形態に係るPETと比較して、t−θ変換部40およびt−θメモリ60それぞれに替えて、t−θ変換部41およびt−θメモリ61それぞれが設けられている点で異なる。
【0069】
このt−θ変換部41は、第1の実施形態におけるt−θ変換部40と同様に、同時計数回路30から出力された検出器識別信号対(I,J)を入力し、この検出器識別信号対(I,J)が示す光子対を検出した2つの光子検出器を互いに結ぶ同時計数ラインについて、測定空間11内に設定されたt−θ極座標系で表した座標値(T,θ’)に変換し、さらに、この座標値(T,θ’)を所定の対応関係に従ってt−θメモリ61上の番地に変換し、その番地を出力する。ただし、本実施形態においては、t−θ変換部41における座標値に対する番地の対応関係(サンプリング密度)は、座標値(T,θ’)のうちのT値が
tmin ≦ T ≦ tmax … (2)
なる関係式を満たすものである場合には、そうでない場合に比べて密、すなわち、t−θ平面上の単位面積当たりの番地の数が多い。このサンプリング密度における粗密差は、t座標およびθ座標の双方について設けられてもよいし、これらのうちの何れか一方について設けられてもよい。
【0070】
ここで、tmin 値およびtmax 値は、双方ともθ値に依存しない一定値であって、被写体10が占める領域を通過する同時計数ラインについてt−θ変換部41により得られるT値が必ず(2)式を満たすように定められた値である。すなわち、このtmin 値およびtmax 値それぞれは、被写体10のt−θ平面上で表された輪郭に基づいて、その輪郭線のt座標値の最小値(或いは、それ以下)および最大値(或いは、それ以上)それぞれとして定められる。このことは、被写体10が占める領域を含む球形状の領域を同時計数ラインが通過するか否かに応じて、サンプリング密度が異なることを意味している。
【0071】
また、投影データを蓄積するt−θメモリ(投影データ蓄積手段)61は、t−θ変換部41から出力された番地に一定値を累積加算して、測定空間11で発生した光子対についての投影データを蓄積するものである。このt−θメモリ61の投影データ蓄積領域は、2以上(本実施形態でも2つ)の投影データ蓄積領域61Aと61Bとに分けることができる。なお、図11に示すt−θメモリ61でも、投影データ蓄積領域61Aおよび61Bそれぞれについてt−θ平面上における投影データの分布を模式的に示している。
【0072】
一方の投影データ蓄積領域61Aは、(2)式を満たす同時計数ラインについて、t−θ変換部40から出力された番地に一定値を累積加算して投影データEA を蓄積する。他方の投影データ蓄積領域61Bは、(2)式を満たさない同時計数ラインについて、t−θ変換部40から出力された番地に一定値を累積加算して投影データEB を蓄積する。
【0073】
したがって、本実施形態に係るPETでも、投影データ蓄積領域61Aには、測定空間11内の所定領域における電子・陽電子対消滅に伴って発生した光子対の真の同時計数および散乱同時計数に関する投影データEA が高いサンプリング密度で蓄積される。一方、投影データ蓄積領域61Bには、散乱同時計数に関する投影データEB が低いサンプリング密度で蓄積される。
【0074】
本実施形態に係るPETの作用は、第1の実施形態の場合と略同様である。ただし、第1の実施形態では、同時計数回路30から出力された検出器識別信号対(I,J)により表される同時計数ラインが被写体10を通過するか否かに応じたサンプリング密度で、t−θメモリ60の2つの投影データ蓄積領域60Aおよび60Bの何れかに一定値が累積加算されて投影データが蓄積されるのに対し、本実施形態では、同時計数ラインをt−θ極座標系で表した座標値(T,θ’)のうちのT値が(2)式を満たすか否かに応じたサンプリング密度で、t−θメモリ61の2つの投影データ蓄積領域61Aおよび61Bの何れかに一定値が累積加算されて投影データが蓄積される点で異なる。
【0075】
したがって、本実施形態でも、従来のPETに比べて、t−θメモリ61に蓄積される投影データの量は少なく、t−θメモリ61の容量は少なくて済み、また、t−θメモリ61から画像再構成部70へ投影データを転送する量は少なく、転送時間も短い。また、高精度の散乱補正を行うこともできる。なお、第1の実施形態と比較すれば、本実施形態は、t−θ変換部41における番地への変換処理の内容が簡単であるが、その反面、高サンプリング密度領域である投影データ蓄積領域61Aに蓄積される投影データ量が多い。しかし、リング20のスライス面に平行に被写体10を切断したときの断面形状が略円形状である場合であって、また、被写体10の中心がリング20の中心軸上に位置するように被写体10が置かれる場合には、本実施形態と第1の実施形態との間の効果上の差異は僅かである。
【0076】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。図12は、第3の実施形態に係るポジトロンCT装置の構成図である。
【0077】
本実施形態に係るPETは3D−PETであって、リング22は、被写体10が置かれる測定空間11を内部に含み、入射した光子を検出する多数の光子検出器が中心軸の周囲にリング状かつ中心軸方向に多層状に配列されて構成され、スライス間コリメータが取り外されている。これらの光子検出器は、測定空間11の方向に受光面が向けられて、測定空間11から飛来して入射した光子を検出する。これら光子検出器それぞれと同時計数回路32との間には信号線が設けられおり、光子を検出した光子検出器から同時計数回路32へ、その検出された光子のエネルギに応じた光子検出信号が送られる。
【0078】
光子検出器それぞれから出力された光子検出信号を入力する同時計数回路32は、リング22内の2つの光子検出器Di およびDj が電子・陽電子対消滅に伴って発生する所定のエネルギ(511keV)を有する光子対を同時検出したことをエネルギ弁別して認識し、その時のこれら2つの光子検出器Di およびDj それぞれを示す検出器識別信号IおよびJ、ならびに、その2つの光子検出器Di およびDj それぞれが属する2つの単層リング間の差信号RD(Ring Difference )を出力する。
【0079】
同時計数回路32から出力された検出器識別信号対(I,J)およびリング間差信号RDを入力するx−y−θ−φ変換部(座標変換手段)42は、検出器識別信号対(I,J)が示す光子対を検出した2つの光子検出器Di およびDj を互いに結ぶ同時計数ラインについて、測定空間11内に設定されたx−y−θ−φ極座標系で表した座標値(x,y,θ,φ)に変換し、さらに、この座標値(x,y,θ,φ)を所定の対応関係に従ってx−y−θ−φメモリ62上の番地に変換し、その番地を出力する。ここで、θおよびφは、その同時計数ラインの方位(図中の破線矢印)を表し、xおよびyは、その同時計数ラインに垂直な投射平面(Projection Plane)上の直交座標系による位置を表す。
【0080】
このx−y−θ−φ変換部42における座標値から番地への変換は、以下のような判定に基づいて行われる。すなわち、x−y−θ−φ変換部42は、座標値(x,y,θ,φ)が表す同時計数ラインが測定空間11内において通過する領域を判定する。例えば、測定空間11内に置かれた被写体10をその同時計数ラインが通過するか否かを判定する。あるいは、被写体10のうちの注目領域をその同時計数ラインが通過するか否かを判定してもよい。x−y−θ−φ変換部42は、検出器識別信号対(I,J)およびリング間差信号RDに基づいて通過領域を判定してもよい。
【0081】
なお、本実施形態においては、同時計数ラインの通過領域に応じた番地に変換するに際して、第1の実施形態の場合と同様にして被写体10の輪郭を検出しておき、x−y−θ−φ変換部42は、被写体10の輪郭を各(θ,φ)方位それぞれについてx−y平面上の曲線として記憶しておいて、座標値(x,y,θ,φ)が示す点がその曲線の内側に有るか否かに応じて、被写体10が占める領域を同時計数ラインが通過するか否かを判定する。
【0082】
そして、x−y−θ−φ変換部42は、座標値に対する番地の対応関係(サンプリング密度)について粗密分布を有していて、被写体10が占める領域を同時計数ラインが通過すると判定した場合におけるサンプリング密度が、そうでない場合におけるサンプリング密度よりも密、すなわち、x−y−θ−φ空間上の単位容積当たりの番地の数が多い。この投影データ蓄積領域62Aおよび62Bの間における座標値(x,y,θ,φ)に対する番地の対応関係の粗密差は、x座標、y座標、θ座標およびφ座標の全てについて設けられてもよいし、これらのうちの幾つかについて設けられてもよい。
【0083】
なお、本実施形態に係る3D−PETのx−y−θ−φ変換部42におけるサンプリング密度分布も、第1の実施形態に係る2D−PETのt−θ変換部40におけるもの(図4乃至図10)と同様のものが好適である。ただし、2D−PETの場合のサンプリング密度分布は、各θ値それぞれについて変数tの関数として表されたが、3D−PETの場合のサンプリング密度分布は、各(θ,φ)方位それぞれについて変数xおよびyの関数として表される。
【0084】
投影データを蓄積するx−y−θ−φメモリ(投影データ蓄積手段)62は、x−y−θ−φ変換部42から出力された番地に一定値を累積加算して、測定空間11で発生した光子対についての投影データを蓄積するものである。このx−y−θ−φメモリ62の投影データ蓄積領域は、2以上(本実施形態でも2つ)の投影データ蓄積領域62Aと62Bとに分けることができる。なお、図12に示すx−y−θ−φメモリ62では、投影データ蓄積領域62Aおよび62Bそれぞれについて、或る2つの(θ,φ)方位および(θ’,φ’)方位それぞれにおけるx−y平面上の投影データの分布を模式的に示しているが、実際には、各(θ,φ)方位それぞれについてx−y平面上の投影データが蓄積される。
【0085】
一方の投影データ蓄積領域62Aは、測定空間11内の所定領域(被写体10が占める領域、或いは、被写体10内の注目領域)を通過する同時計数ラインについて、x−y−θ−φ変換部42から出力された番地に一定値を累積加算して投影データEA を蓄積する。他方の投影データ蓄積領域62Bは、その所定領域を通過しない同時計数ラインについて、x−y−θ−φ変換部42から出力された番地に一定値を累積加算して投影データEB を蓄積する。
【0086】
したがって、投影データ蓄積領域62Aには、測定空間11内の所定領域における電子・陽電子対消滅に伴って発生した光子対の真の同時計数および散乱同時計数に関する投影データEA が高いサンプリング密度で蓄積される。一方、投影データ蓄積領域62Bには、散乱同時計数に関する投影データEB が低いサンプリング密度で蓄積される。
【0087】
このx−y−θ−φメモリ62の投影データ蓄積領域62Aおよび62Bそれぞれに蓄積された投影データEA およびEB は、画像再構成部(例えば、ホストコンピュータ)72に転送される。ここで、x−y−θ−φメモリ62から画像再構成部72へ転送される投影データは、測定空間11内の所定領域を通過する同時計数ラインについて投影データ蓄積領域62Aに蓄積された投影データEA 、および、測定空間11内の所定領域を通過しない同時計数ラインについて投影データ蓄積領域62Bに蓄積された投影データEB である。前者の投影データEA は、高サンプリング密度ではあるがx−y−θ−φ空間内の狭い領域のものであり、後者の投影データEB は、低サンプリング密度で蓄積されたものである。
【0088】
そして、画像再構成部72は、x−y−θ−φメモリ62から転送された投影データEA およびEB に基づいて、測定空間11における電子・陽電子対消滅の発生頻度の空間分布を算出し画像再構成を行う。すなわち、投影データEA のサンプリング密度と同一のサンプリング密度となるように投影データEB を補間し、この補間された投影データEB と投影データEA とに基づいて画像再構成をする。画像表示部82は、画像再構成部72により再構成された画像を表示する。
【0089】
本実施形態に係るPETは以下のように作用する。すなわち、RI線源が投与された被写体10がリング22内の測定空間11に置かれると、その被写体10内部で電子・陽電子対消滅に伴って光子対が放出される。その光子対がリング22を構成する多数の光子検出器のうちの何れか2つの光子検出器Di およびDj により検出されると、光子を検出した旨を示す光子検出信号が、その2つの光子検出器Di およびDj それぞれから出力され、同時計数回路32に入力する。これら光子検出信号を入力する同時計数回路32により、所定のエネルギ(511keV)を有する光子対が同時に検出されたものであるか否かが判定され、同時計数であると判定された場合には、その光子対を検出した2つの光子検出器Di およびDj それぞれを示す検出器識別信号対(I,J)ならびにリング間差信号RDが出力される。
【0090】
そして、この検出器識別信号対(I,J)およびリング間差信号RDを入力するx−y−θ−φ変換部42により、検出器識別信号対(I,J)およびリング間差信号RDが示す同時計数ラインについて測定空間11内に設定されたx−y−θ−φ極座標系で表した座標値(x,y,θ,φ)に変換され、さらに、この座標値(x,y,θ,φ)に対応する番地に変換され、この番地がx−y−θ−φ変換部42から出力される。この座標値から番地への変換に際して、光子対を検出した2つの光子検出器Di およびDj を互いに結ぶ同時計数ラインが被写体10を通過するものである場合には高サンプリング密度で対応する番地に変換され、そうでない場合には低サンプリング密度で対応する番地に変換される。
【0091】
このx−y−θ−φ変換部42から出力された番地はx−y−θ−φメモリ62に入力して、x−y−θ−φメモリ62のその番地に一定値が累積加算される。ここで、もし、同時計数ラインが被写体10を通過するものである場合には、x−y−θ−φメモリ62の投影データ蓄積領域62Aのその番地に一定値が累積加算されて投影データEA が蓄積される。逆に、同時計数ラインが被写体10を通過しないものである場合には、x−y−θ−φメモリ62の投影データ蓄積領域62Bのその番地に一定値が累積加算されて投影データEB が蓄積される。
【0092】
このx−y−θ−φメモリ62の投影データ蓄積領域62Aおよび62Bそれぞれに蓄積された投影データEA およびEB は、画像再構成部72に転送され、この転送された投影データEA およびEB に基づいて、この画像再構成部72により、測定空間11における電子・陽電子対消滅の発生頻度の空間分布が算出され画像再構成される。そして、その再構成画像は、画像表示部82により表示される。
【0093】
以上のように、本実施形態に係るPETにおいても、第1の実施形態の場合と同様に、被写体10が占める領域を通過しない同時計数ラインについては低サンプリング密度で投影データを蓄積することにしたので、x−y−θ−φメモリ62から画像再構成部72へ転送されるべき投影データの量は少なく、したがって、転送時間も短い。特に、本実施形態では3D−PETであり、蓄積される投影データは2D−PETの場合に比べて格段に多いので、投影データ量の削減および投影データ転送時間の短縮の効果は大きい。
【0094】
すなわち、例えば被写体10がラット等の小型動物である場合のように、被写体10のリング軸方向の大きさがリングの厚みよりも小さく、且つ、被写体10の径が測定空間11の径に対して小さい場合には、高サンプリング密度で蓄積すべき投影データは、図12の投影データ蓄積領域62Aに模式的に示したように、各(θ,φ)方位それぞれについてx−y平面上の中央の一定領域にのみ蓄積される。したがって、第1の実施形態の場合と比較して、投影データ蓄積領域62Aにより高サンプリング密度で蓄積されるべき投影データの量の割合は少なく、投影データ量の削減および投影データ転送時間の短縮の効果は大きい。一般に、3D−PETのリングの軸方向の厚みは2D−PETのリングの厚みよりも厚いので、この効果は更に大きい。
【0095】
また、本実施形態に係るPETにおいても、被写体10が占める領域を通過しない同時計数ラインについても投影データを蓄積することにしたので、散乱補正を精度よく行うこともできる。したがって、本実施形態に係るPETにおいても、従来のPETの如く全てのx−y−θ−φ空間上で高サンプリング密度で投影データを蓄積する場合に得られる再構成画像と同等の高分解能の再構成画像が得られる。
【0096】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。図13は、第4の実施形態に係るポジトロンCT装置におけるリングの構成図である。
【0097】
本実施形態に係るPETの全体構成は、第3の実施形態の場合と同様である。ただし、本実施形態では、PETのリング22内の測定空間11に置かれる被写体10は、被験者(人や他の動物)の頭部であり、このPETにより観察しようとしている注目領域10Aは、その頭部の後頭部にある視覚野である。すなわち、本実施形態は、注目領域(視覚野)10Aについて脳賦活実験を行うものである。
【0098】
例えば、○や×等の簡単な図形や風景・模様等を被写体(被験者)10に見せながら、PETにより、注目領域(視覚野)10Aを測定して投影データを蓄積し、その投影データに基づいて再構成画像を得る。一方、被写体(被験者)10に何も見せることなく、PETにより、注目領域(視覚野)10Aを測定して投影データを蓄積し、その投影データに基づいて再構成画像を得る。そして、これらの2つの再構成画像の間で減算を行って、その減算結果に基づいて、被写体(被験者)10の脳内の何処の領域が視覚刺激により賦活化されるかを特定する。このような実験あるいは検査を脳賦活実験という。
【0099】
この脳賦活実験では、被写体(被験者)10に与える視覚刺激の内容によっては、或いは、被写体(被験者)10によっては、注目領域(視覚野)10Aが強く賦活されている時間が数十m秒から数秒程度と短い場合が多い。また、繰り返して測定する場合には、被写体(被験者)10が視覚刺激に馴れて、脳賦活が弱くなることもある。したがって、PETによる測定時間の短縮化が強く望まれている。
【0100】
一方、投影データに基づいて画像再構成するには、注目領域(視覚野)10Aだけでなく被写体(被験者)10を通過する同時計数ラインについて投影データを蓄積する必要があり、また、散乱補正を行うためには、被写体(被験者)10が占める領域を通過しない同時計数ラインについても投影データを蓄積する必要がある。
【0101】
したがって、検査として脳賦活実験を行う場合のように、脳内のどの領域が賦活化されるか予め判っている場合には、x−y−θ−φ変換部42は、注目領域(視覚野)10Aが占める領域を同時計数ラインが通過するか否かに応じて異なるサンプリング密度でその同時計数ラインを表す座標値(x,y,θ,φ)を番地に変換し、投影データ蓄積領域62Aは、注目領域(視覚野)10Aが占める領域を通過する同時計数ラインについての投影データを高サンプリング密度で蓄積し、投影データ蓄積領域62Bは、注目領域(視覚野)10Aが占める領域を通過しない同時計数ラインについても投影データを低サンプリング密度で蓄積すればよい。このようにして蓄積された投影データに基づいて画像再構成すれば、投影データの総量を減少させることができる一方で、得られる再構成画像は、散乱補正がなされて高S/N比のものであって、注目領域(視覚野)10Aについては高解像度となる。
【0102】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、第3および第4の実施形態で説明した3D−PETの場合であっても、第2の実施形態の場合と同様に、x−y−θ−φ変換部は、被写体が占める領域または注目領域を同時計数ラインが通過するか否かに応じてではなく、被写体が占める領域または注目領域を含む球形状の領域を同時計数ラインが通過するか否かに応じて、異なるサンプリング密度でその同時計数ラインを表す座標値(x,y,θ,φ)を番地に変換してもよい。
【0103】
また、t−θメモリおよびx−y−θ−φメモリは、同時計数ラインを表す座標値を番地へ変換するする際のサンプリング密度の分布を自在に設定可能であるのが好適である。この場合、被写体に依って形状や大きさが異なる場合や、また、同一の被写体であっても置かれる位置や注目領域が異なる場合には、それに応じて、投影データを高サンプリング密度で蓄積すべき領域を適切に設定することができる。
【0104】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したとおり本発明によれば、リングを構成する多数の光子検出器のうちの何れかの1対の光子検出器により、リング内の測定空間内で電子・陽電子対消滅に伴って発生した光子対が検出されると、座標変換手段(t−θ変換部、x−y−θ−φ変換部)により、その1対の光子検出器を互いに結ぶ同時計数ラインについて極座標系で表した座標値が所定の対応関係に従って番地に変換され、その番地が出力される。投影データ蓄積手段(t−θメモリ、x−y−θ−φメモリ)の2以上の所定数の投影データ蓄積領域の何れかに、座標変換手段から出力された番地に一定値が累積加算されて、投影データが蓄積される。そして、投影データ蓄積手段の所定数の投影データ蓄積領域それぞれに蓄積された投影データに基づいて、画像再構成手段により、測定空間における電子・陽電子対消滅の発生頻度の空間分布が算出され再構成画像が得られる。
【0105】
ここで、座標変換手段において、同時計数ラインの位置および方位を示す座標値に対する番地の対応関係が粗密分布を有するものとしたので、全ての座標値に対する番地の対応関係が一様に密である従来の場合と比較して、投影データ蓄積手段から画像再構成手段に転送されるべき投影データの量は少なく、且つ、その転送に要する時間は短い。したがって、ダイナミック計測においてフレーム時間を短縮化することができる。また、従来の場合に比べて投影データ量を削減するにも拘わらず、画像再構成手段により得られる再構成画像のうち、当該対応関係が密な投影データ蓄積領域に蓄積された投影データに基づく部分(被写体像または注目領域の部分)については、高解像度のものが得られ、また、散乱補正を行えば、従来の場合と同程度の高S/N比の再構成画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係るポジトロンCT装置の構成図である。
【図2】散乱補正のフローチャートである。
【図3】被写体の輪郭の検出方法の説明図である。
【図4】t−θ変換部における座標値に対する番地の対応関係の第1の好適例の説明図である。
【図5】t−θ変換部における座標値に対する番地の対応関係の第2の好適例の説明図である。
【図6】t−θ変換部における座標値に対する番地の対応関係の第3の好適例の説明図である。
【図7】t−θ変換部における座標値に対する番地の対応関係の第4の好適例の説明図である。
【図8】t−θ変換部における座標値に対する番地の対応関係の第5の好適例の説明図である。
【図9】t−θ変換部における座標値に対する番地の対応関係の第6の好適例の説明図である。
【図10】t−θ変換部における座標値に対する番地の対応関係の第7の好適例の説明図である。
【図11】第2の実施形態に係るポジトロンCT装置の構成図である。
【図12】第3の実施形態に係るポジトロンCT装置の構成図である。
【図13】第4の実施形態に係るポジトロンCT装置におけるリングの構成図である。
【図14】散乱同時計数の説明図である。
【符号の説明】
10…被写体、10A…注目領域、11…測定空間、12…校正用RI線源、20,22…リング、30,32…同時計数回路、40,41…t−θ変換部、42…x−y−θ−φ変換部、60…t−θメモリ、60A,60B…投影データ蓄積領域、61…t−θメモリ、61A,61B…投影データ蓄積領域、62…x−y−θ−φメモリ、62A,62B…投影データ蓄積領域、70,72…画像再構成部、80,82…画像表示部。
Claims (10)
- 入射した光子のエネルギに応じた光子検出信号をそれぞれ出力する複数個の光子検出器が測定空間を囲んで配列されたリングと、
前記光子検出信号を入力し、前記測定空間における電子・陽電子対消滅によって発生する光子対をエネルギ弁別して、前記光子対のそれぞれの光子を検出した光子検出器対を示す検出器識別信号を出力する同時計数回路と、
前記測定空間に設定された極座標系による座標値に対する番地が粗密分布を有する対応関係に従って、前記検出器識別信号が示す光子検出器対を互いに結ぶ同時計数ラインについて前記極座標系で表現した座標値に対応する番地を出力する座標変換手段と、
前記座標変換手段から出力された番地に一定値を累積加算して投影データを蓄積する投影データ蓄積手段と、
前記投影データ蓄積手段に蓄積された前記投影データに基づいて、前記測定空間における電子・陽電子対消滅の発生頻度の空間分布を算出し画像再構成を行う画像再構成手段と、
を備え、
前記座標変換手段は、
前記検出器識別信号が示す光子検出器対を互いに結ぶ同時計数ラインが前記測定空間内の所定領域を通過するか否かに応じて、前記同時計数ラインが前記所定領域を通過するときの座標値に対する番地の対応関係が、前記同時計数ラインが前記所定領域を通過しないときの座標値に対する番地の対応関係よりも密であり、
前記対応関係に従って座標値に対応する番地を一意的に決定して出力する、
ことを特徴とするポジトロンCT装置。 - 前記画像再構成手段により画像再構成された前記空間分布の画像に基づいて散乱補正を行う散乱補正手段を更に備える、ことを特徴とする請求項1記載のポジトロンCT装置。
- 前記測定空間に置かれた被写体の輪郭を検出する輪郭検出手段を更に備え、
前記座標変換手段は、前記輪郭検出手段により検出された前記輪郭に基づいて前記粗密分布を有する、
ことを特徴とする請求項1記載のポジトロンCT装置。 - 前記座標変換手段は、前記粗密分布に関して自在に設定可能である、ことを特徴とする請求項1記載のポジトロンCT装置。
- 前記座標変換手段は、前記測定空間内に置かれた被写体が占める領域または前記被写体内の注目領域の何れかを前記所定領域とする、ことを特徴とする請求項1記載のポジトロンCT装置。
- 前記座標変換手段は、前記測定空間内に置かれた被写体が占める領域または前記被写体内の注目領域の何れかの周辺に一定幅領域を加えた領域を前記所定領域とする、ことを特徴とする請求項1記載のポジトロンCT装置。
- 前記座標変換手段は、前記測定空間内に置かれた被写体が占める領域または前記被写体内の注目領域の何れかを含む球形状の領域を前記所定領域とする、ことを特徴とする請求項1記載のポジトロンCT装置。
- 前記座標変換手段は、前記対応関係の粗密が前記所定領域の境界においてステップ的に変化する、ことを特徴とする請求項1記載のポジトロンCT装置。
- 前記座標変換手段は、前記対応関係の粗密が前記所定領域の中心部付近から前記測定空間の周辺部に亘って次第に変化する、ことを特徴とする請求項1記載のポジトロンCT装置。
- 前記座標変換手段は、前記対応関係の粗密が前記所定領域の境界周辺の一定幅領域において次第に変化する、ことを特徴とする請求項1記載のポジトロンCT装置。
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