JP3976611B2 - イオン除去装置及びイオン除去方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、イオン除去装置及びイオン除去方法に関し、特に、閉鎖空間などの空間中のイオンを除去するために用いて好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、空間中の浮遊物質(主に浮遊塵埃)を荷電して集塵する技術が提案されている。
かかる技術を簡単に説明すると、イオン化線と、上記イオン化線に対向して配設される対向電極に電位差を与えて、上記イオン化線と上記対向電極間でコロナ放電空間を生じさせる。
【0003】
この場合、上記イオン化線のように線状体でコロナ放電させる場合には、荷電効率などの点を考慮してプラス放電がよく用いられている。そして、上記イオン化線と対向電極との間を通過する気流に含まれる浮遊物質を、上記コロナ放電空間でプラスに荷電して、上記気流の下流側に配設されている集塵電極で静電気的に集塵する。
【0004】
また、かかる技術では、ユーザが上記イオン化線に容易に触れることができないような構造を有するケースに、上記イオン化線、対向電極、及び集塵電極などを収容して、上述した作用により空間中の浮遊物質を静電気的に集塵するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の技術では、加工性や電気絶縁などの安全性の関係、更には上記浮遊物質に対するコロナ放電空間の荷電効率を上げるようにするために、上記ケースを絶縁性の性質を有する材料で形成している。したがって、上記コロナ放電空間がプラス空間であるために、上記ケースの表面がプラスに帯電することとなっていた。
【0006】
このようにケースの表面がプラスに帯電すると、気流に乗ってケースに向かうプラスイオンは、上記ケースと反発する方向にクーロン力を受け、上記ケースの中に進入することなく反発して該空間に押し戻されてしまう。
【0007】
したがって、ケースに収容されるイオン化線と対向電極を用いてイオン化線の長寿命化や荷電効率を上げたりするなどの効果があるプラスのコロナ放電空間を生じさせる従来の技術では、人体などに悪影響を与えると言われている大気(室内)中のプラスイオンをケース内に取り込むことができず、もって大気中のプラスイオンを全く除去することができないという問題点があった。
【0008】
人が呼吸し、直接に皮膚と接触している空気には、通常イオンが含まれているが、そのイオンは人に直接作用して、人間の精神力や判断力に大きな影響を与えることが一般に知られている。特に、マイナスイオンは人間の細胞組織を活発化し、行動力や気分を改善する正の効果があるのに対し、プラスイオンは短気、緊張、胃の不調等が多くなるという負の効果があることが知られている。
【0009】
また、近年室内の空気調和装置にマイナスイオン発生装置を装備することもよく行なわれているが、室内に放出されたマイナスイオンは、空気中に偏在し部屋全体のマイナスイオン濃度を増やすことで、上述の正の効果を狙ったものである。
【0010】
しかし、室内には自動車の排気ガス、花粉、バクテリア、料理などの油煙、煙草の喫煙による煙、ウィルス等の浮遊物質がプラスに帯電して浮遊塵埃として多量に存在しており、なかでも煙草の喫煙は連続的に多量のプラスイオンを発生させる(例えば、煙草1本の喫煙で、3000〜5000個/cm3プラスイオンが増える)ことが知られている。
【0011】
マイナスイオン発生装置から放出されたマイナスイオンは、これらプラスイオンやプラスに帯電した塵埃をマスキング的に中和して、自身の空間中濃度が増えないことになり、上述の正の効果が得られないという問題があった。
【0012】
また、マイナスイオンを単により多く発生させることのみを行うことは、空気の湿度が低い場合には更に湿度の低下を招くと共に、増えすぎたイオンのために床や壁をマイナスに帯電させ、逆に上述の塵埃をマイナスイオン発生装置を設置した空気調和装置近傍に静電気的に吸引して汚してしまうという問題もあった。
【0013】
本発明者は、マイナスイオンを単により多く発生させるだけの方法ではなく、壁汚れなどの上記問題をも解決するために発想を転換し、大気中のプラスイオンを確実に除去することができるようにすることとして鋭意研究した結果、本発明に到達したものである。
【0014】
即ち本発明は、上述の問題点を包括的に鑑みてなされたものであり、ケースに収容されるイオン化線と対向電極を用いて、大気中のプラスイオンを除去することができるようにすることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明のイオン除去装置は、気流を通す通風路を有するケースと、上記ケースの通風路内に配設されるイオン化線と、上記イオン化線に対向して配設される対向電極とを含むイオン除去装置であって、上記ケースの表面がプラスに帯電するのを阻止しながら、上記イオン化線と対向電極との間に電界を発生させて、上記通風路に流入する気流に含まれるイオンを除去するイオン除去手段をさらに含み、上記イオン除去手段は、上記ケースの表面に所定の電位を与えるようにして、上記ケースがプラスに帯電することを阻止するようにしたことを特徴とする。
また、本発明の他の特徴とするところは、気流を通す通風路を有するケースと、上記ケースの通風路内に配設されるイオン化線と、上記イオン化線に対向して配設される対向電極と、上記ケースの表面に装着され、上記ケースよりも低い体積抵抗率を有するフレームとを含み、上記ケースは、1015Ω・cm以上の体積抵抗率を有し、上記フレームは、1010Ω・cm以上1014Ω・cm未満の体積抵抗率を有する点にある。
【0016】
本発明のイオン除去方法は、ケースにより形成される通風路内に配設されるイオン化線と、上記イオン化線に対向して配設される対向電極との間に電界を与えてコロナ放電空間を生じさせ、上記通風路に流入する気流に含まれるイオンを除去するイオン除去方法であって、上記ケースがプラスに帯電するのを阻止しながら、上記イオン化線と対向電極との間に電界を与える電界制御処理を含み、上記電界制御処理は、上記ケースの表面に所定の電位を与えるようにして、上記ケースがプラスに帯電するのを阻止するようにしたことを特徴とする。
また、本発明の他の特徴とするところは、表面にフレームが装着されたケースにより形成される通風路内に配設されるイオン化線と、上記イオン化線に対向して配設される対向電極との間に電界を与えてコロナ放電空間を生じさせ、上記通風路に流入する気流に含まれるイオンを除去するイオン除去方法であって、上記ケースがプラスに帯電するのを阻止しながら、上記イオン化線と対向電極との間に電界を与える電界制御処理を含み、上記ケースは、1015Ω・cm以上の体積抵抗率を有し、上記フレームは、1010Ω・cm以上1014Ω・cm未満の体積抵抗率を有する点にある。
【0017】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
次に、添付の図面を参照しながら、イオン除去装置及びイオン除去方法の第1の実施の形態について詳細に説明する。
なお、本実施の形態では、イオン除去装置に静電式集塵装置としての機能をも発揮させ、さらに上記イオン除去装置(静電式集塵機能付)をエアコンの室内ユニットに搭載した場合を例に挙げて説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態のイオン除去装置(静電式集塵装置)を搭載したエアコンの室内ユニットの概略構成を示した側断面図である。
図1において、エアコンの室内ユニット本体1は、前面パネル2と、上面パネル3と、後面パネル4とを有している。
【0019】
前面パネル2は、室内ユニット本体1の前面に配設され、大気中の空気を吸い込むための吸い込み口を有している。
また、上面パネル3は、室内ユニット本体1の上面に配設され、上記前面パネル2と同様に、空気を吸い込むための吸い込み口を有している。
【0020】
後面パネル4は、室内ユニット本体1の両側面部と、背面部と、底面部の一部とが一体に形成された成型板である。
これら前面パネル2、上面パネル3、及び後面パネル4により、室内ユニット本体1を横長の箱形状に形成している。
【0021】
そして、室内ユニット本体1の内部には、プレフィルター5、イオン除去装置6、熱交換器7、送風機8、及びルーバー9などが配設されている。
【0022】
プレフィルター5は、前面パネル2及び上面パネル3の内側に配設され、前面パネル2及び上面パネル3に設けられた吸い込み口を介して吸い込まれた空気に含まれている埃や塵などの浮遊物質を捕らえるフィルターであり、樹脂製のものが多用されている。
【0023】
イオン除去装置6は、前面パネル2側に配設されているプレフィルター5の内側に配設され、プレフィルター5で捕らえきれなかった浮遊物質を集塵するとともに、前面パネル2を介して吸込まれた空気に含まれているイオンを除去(捕集)する機能を有する。
【0024】
熱交換器7は、プレフィルター5及びイオン除去装置6により浮遊物質やイオンが除去された空気を、熱交換作用により所定の温度にする機能を有する。
送風機8は、熱交換器7により熱交換された空気を外部に送風する機能を有する。
ルーバー9は、送風機8から送風される空気の吹出口10に設けられ、送風機8から送風される空気の風向きを調整する機能を有する。
【0025】
図2は、上述したようにしてエアコンの室内ユニット1に搭載される本実施の形態のイオン除去装置6の構成の一例を示す構造図である。また、図3は、イオン除去装置6の構成及び電気的接続の概略を模式的に示した図である。さらに、図4は、イオン除去装置6の荷電部11における電界分布、及びイオンが移動する様子を示した図である。
【0026】
まず、図3及び図4を参照しながら本実施の形態のイオン除去装置6における各部の機能を説明する。
図3に示すように、本実施の形態のイオン除去装置6は、荷電部11と、集塵部12と、ケース13と、フレーム14と、イオン除去用電位付与手段及び集塵用電位付与手段として配設される電源装置15とを有している。
【0027】
荷電部11は、イオン化線16(16a、16b)と、上記イオン化線16に対向して配設される対向電極17(17a〜17c)とを有し、気流18に乗って外部から運ばれるイオンを除去するとともに、同じく気流18に乗って外部から運ばれる浮遊物質をプラスに荷電する機能を有する。
【0028】
具体的な機能を説明すると、イオン化線16に正の電位を与えるとともに、対向電極17にグランド電位を与えることにより、図4に示すように、気流18に乗って外部から運ばれるプラスイオン19や上記プラスに帯電した浮遊物質の一部をグランド電位が与えられている対向電極17に吸引させて除去するとともに、同じく気流18に乗って外部から運ばれるマイナスイオン20を、正の電位が与えられているイオン化線16に吸引させてマイナスイオンを除去する。
【0029】
そして、イオン化線16でコロナ放電空間を生じさせ、気流18に乗って外部から運ばれる浮遊物質をプラスに荷電する。
【0030】
図3に説明を戻し、集塵部12は、荷電部11よりも気流18の下流側で互いに対向して配設される非集塵電極21(21a、21b)と集塵電極22(22a〜22c)とを有し、荷電部11でプラスに荷電された浮遊物質を集塵する機能を有する。
【0031】
具体的な機能を説明すると、非集塵電極21に正の電位を与え、集塵電極22にグランド電位を与えることにより、非集塵電極21と集塵電極22間に、電位差に起因する電界を発生させる。そして、この電界の作用により、荷電部11でプラスに荷電された浮遊物質を静電力により集塵電極22に吸引して集塵する。
【0032】
ケース13は、気流18が通過する通風路を形成する構造を有し、この通風路内にイオン化線16、対向電極17、非集塵電極21、及び集塵電極22が収容される。なお、図3では、ケース13のイオン化線16を保護している箇所のみを示している。
【0033】
フレーム14は、ケース13の表面に所定の電位(グランド電位)が与えられるようにして、ケース13がプラスに帯電することを阻止するためのものである。
【0034】
電源装置15は、イオン化線16及び非集塵電極21に所定の正の電位を与えるとともに、フレーム14、対向電極17、及び集塵電極22にグランド電位を与える機能を有する。
【0035】
次に、図2を参照しながら、上述したような機能を有する本実施の形態のイオン除去装置6の具体的な構造について説明する。
【0036】
図2に示すように、本実施の形態のイオン除去装置6では、直径90μm程度の例えばタングステンなどの金属線を加工して複数のイオン化線16を形成している。具体的に説明すると、上記金属線を蛇行形状に加工することにより、所定の長さを有する複数のイオン化線16が所定の間隔(例えば等間隔)で平行に形成されるようにしている。
【0037】
また、複数の対向電極17と複数の集塵電極22を一体で形成している。具体的に説明すると、電極面が互いに対向するように所定寸法で等間隔に並べられる複数の対向電極17と、電極面が互いに対向するように所定寸法で等間隔に並べられる複数の集塵電極22とを一体で形成している。なお、以下では必要に応じて、この一体で形成される複数の対向電極17と複数の集塵電極22を第1の電極群と称する。
【0038】
さらに、複数の非集塵電極21も一体で形成している。具体的には、電極面が互いに対向するように所定寸法で等間隔に並べられる複数の非集塵電極21を一体で形成している。なお、以下では必要に応じて、この一体で形成される複数の非集塵電極21を第2の電極群と称する。
【0039】
図2に示すようにケース13は、ガード13aと、上枠13bと、下枠13cとを有している。
【0040】
上枠13bは、長辺側上端部がテーパー状になっている矩形形状を有しており、上面及び下面が開口している。そして、上述したようにして形成される複数のイオン化線16を収容して保持するための構造を内部に有する。
【0041】
ガード13aは、柱形状の保護バー13a1と、上記保護バー13a1の間のスリット13a2により柵形状に型取られた蓋であり、上枠13bの上面側開口部に嵌められる。そして、このスリット13a2により、本実施の形態のイオン除去装置6における気流18の流入口を形成している。
【0042】
下枠13cは、矩形形状を有しており、上面及び下面が開口している。そして、上記第1の電極群(対向電極17、集塵電極22)と第2の電極群(非集塵電極21)を収容して保持するための構造を内部に有する。また、下枠13cの下面における開口部13c1により、本実施の形態のイオン除去装置6における気流18の吐出口を形成している。
【0043】
なお、本実施の形態のガード13a、上枠13b、及び下枠13cは、いずれも1015Ω・cm以上の体積抵抗率を有し、電気的安全性などの意味から絶縁性の性質を有する。
【0044】
フレーム14は、格子形状を有しており、ガード13aの上面に密着載置可能な構造を有している。本実施の形態のフレーム14は、108Ω・cm以上1015Ω・cm未満の体積抵抗率、好ましくは1010Ω・cm以上1014Ω・cm未満の範囲の体積抵抗率を有し、半絶縁性の性質を有する。
【0045】
具体的に説明すると、例えば、ABS樹脂などの熱可塑性樹脂に吸湿性樹脂を適量配合した合成樹脂により、上記範囲(1010Ω・cm以上1014Ω・cm未満)の体積抵抗率を有するフレーム14を形成している。
【0046】
なお、上記フレーム14の形状は、格子形状に限定されない。すなわち、ガード13aの上面に装着可能であり、且つガード13aに装着したときに、スリット13a2を閉塞しない形状であればどのような形状であってもよい。
【0047】
例えば、フレーム14の格子の大きさを、気流18の流入口として開口しているスリット13a2の大きさと同程度にしてもよい。また、スリット13aを閉塞させずにガード13aの気流流入口側表面を覆う形状(ガード13aの縁やスリット13a2の縁に合わせた形状)のフレームを、ガード13aに被せるようにしてもよい。このように、ケース13の気流流入口を囲むようにフレーム14をガード13aに装着することで、プラスイオンがフレーム14で除去されると共に、イオン化線16からの電気力線のうち、気流18側に発散しようとするものがフレーム14に集束し、イオン除去装置6におけるイオン除去を阻害するようなこともなくなる。
【0048】
また、本実施の形態のように、1010Ω・cm以上1014Ω・cm未満の範囲の体積抵抗率を有する半絶縁性の樹脂でフレーム14を形成すれば、ガード13aなどに衝突したプラスイオンのグランドへ逃げる速度が遅れる、言い換えれば、ガード13aに蓄積される電荷を気流流入側から徐々にグランドに逃がすために、ガード13aの気流流入側から見たときは、プラスに帯電していないような状態となる。これにより、イオンを効率良く除去することができる。また、イオン化線16側から見たときは、グランド電位には近いがグランド電位と同じではない或る低い電位に保たれる。これにより、イオン化線16からの電気力線が反発力を受け、対向電極17に集中するようになり、荷電効率が上昇する。
【0049】
さらに、本実施の形態では、成形性、難燃性、耐熱性、耐衝撃性を考慮し、樹脂によりフレーム14を形成するようにしたが、必ずしも樹脂によりフレーム14を形成する必要はない。
【0050】
ここで、図2を参照しながら、本実施の形態のイオン除去装置6の組み立て方法について説明する。
【0051】
まず、複数の非集塵電極21が所定の等しい間隔で平行に配列するように形成されている上記第2の電極群を給電機能を有する断面コ字状の金属体を介して下枠13cに収容する。これにより、下枠13cの奥行き方向(気流流入方向)に立設するように配設される非集塵電極21が、下枠13cの幅方向に所定の間隔を有して複数配設される。
【0052】
続いて、下枠13cに収容された各非集塵電極21の間に集塵電極22が配設されるように、複数の集塵電極22と複数の対向電極17とが一体で形成されている上記第1の電極群を下枠13cに搭載する。これにより、非集塵電極21と対向して配設される集塵電極22が、下枠13cの幅方向に所定の間隔を有して複数配設されるとともに、下枠13cの幅方向に配設される対向電極17が、下枠13cの奥行き方向に所定の間隔を有して複数立設するように配設される。
【0053】
このようにして、対向電極17、非集塵電極21、及び集塵電極22が収容された下枠13cに、イオン化線16が収容された上枠13bを装着する。これにより、イオン化線16及び対向電極17が、非集塵電極21及び集塵電極22よりも上部(気流18の上流側)で互いに対向して配設される。
【0054】
続いて上枠13bの上面側開口部にガード13aを装着する。上枠13bの上面側開口部にガード13aを装着すると、保護バー13a1が、上枠13bに収容されているイオン化線16と対向し、イオン化線16に直接手を触れることができないようになる。そして、フレーム14をガード13aに装着する。
【0055】
なお、本実施の形態のイオン除去装置6は、フレーム14と上記第1の電極群(対向電極17、集塵電極22)が電気的に接触するように構成されており、フレーム14、対向電極17、及び集塵電極22に電位を与えるための接続処理を簡略化するようにしている。
【0056】
このようにして組み立てられるイオン除去装置6のイオン化線16、対向電極17、非集塵電極21、集塵電極22、及びフレーム14は、ケース13の外側の所定位置に配設されている電源装置15に接続される(図3を参照)。
【0057】
そして、上記電源装置15を用いて、イオン化線16及び非集塵電極21に所定の正の電位を、対向電極17、集塵電極22、及びフレーム14にグランド電位をそれぞれ与える。そうすると、図4に示すように、イオン化線16から対向電極17に向かう電界(電気力線)23が発生するとともに、コロナ放電空間が形成され、プラスイオンが発生する。
【0058】
また、フレーム14にグランド電位を与えることにより、ケース13の一部が上述の通りのグランド電位になる。さらに、上述したように、エアコンの室内ユニット本体1と、プレフィルター5と、イオン除去装置6のケース13とがフレーム14を介して互いに接触するようにしているので、エアコンの室内ユニット1とプレフィルター5もグランド電位になる。
【0059】
このようなイオン除去装置6の作用により、気流18に含まれるプラスイオン19は、ケース13からクーロン力(静電力による斥力)を受けることなくイオン除去装置6の荷電部11に運ばれる(図4を参照)。そして、上記運ばれたプラスイオン19を電界(電気力線)23の作用に従って対向電極17に吸引させて除去するとともに、マイナスイオン20をイオン化線16に吸引させて除去する。
【0060】
以上のように本実施の形態では、フレーム14にグランド電位を与えることによりケース13の表面や保護バー13a1表面及びスリット13a2の開口周縁近傍をグランド電位にし、プラスに帯電することを阻止するようにしたので、従来の静電式集塵装置では全く除去することができなかった気流18に含まれるプラスイオン19を対向電極17に吸引させて除去することができる。これにより、例えば、喫煙により室内に発生するプラスイオンの数を確実に減少させることができる。
【0061】
また、本実施の形態のイオン除去装置6を用いれば、後述する実施の形態のように電源装置の構成を複雑にしなくても大気中のプラスイオンを確実に除去することができる。
【0062】
なお、本実施の形態のように、イオン除去装置6を静電式集塵装置として適用すれば、大気中のイオンと浮遊物質の両方を除去することができ好ましいが、イオン除去装置6の荷電部11を単体で構成し、大気中のイオンを上述したようにして除去するようにしてもよい。この場合は、浮遊物質に対する荷電効率を考える必要がなくなるので、フレーム14を用いずに、例えば1010Ω・cm以上1014Ω・cm未満の範囲の体積抵抗率を有するケースを形成し、上記ケースにグランド電位を与えて、上記ケースの表面がプラスに帯電するのを阻止するようにしてもよい。
【0063】
また、本実施の形態では、電源装置15を組み込んだイオン除去装置6について説明したが、必ずしもイオン除去装置6に電源装置15を組み込む必要はない。例えば、図1に示したエアコンの電源装置を流用するようにしてもよい。
【0064】
さらに、本実施の形態では、非集塵用電極21と集塵用電極22を設け、電極21、22間で発生する電界の作用により気流18に含まれる浮遊物質を集塵するようにしたが、必ずしも集塵部12に電極を用いる必要はない。例えば、電圧印加が可能な処理を施した濾過フィルターを集塵部12に適用してもよい。
【0065】
(第2の実施の形態)
次に、添付の図面を参照しながら、イオン除去装置及びイオン除去方法の第2の実施の形態について詳細に説明する。
なお、本実施の形態においても、イオン除去装置を静電式集塵装置として適用した場合を例に挙げて説明する。
【0066】
上述した第1の実施の形態では、プラスイオンの他にマイナスイオンも除去するようにしているが、本実施の形態ではプラスイオンのみを除去し、マイナスイオンを除去しないようにしている。
【0067】
図5は、本実施の形態のイオン除去装置の構成及び電気的接続の概略を模式的に示した図である。また、図6は、本実施の形態のイオン除去装置の荷電部における電界分布、及びイオンが移動する様子を示した図である。なお、上述した第1の実施の形態と同一部分については図1〜図4に付した符号と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0068】
図5に示すように、本実施の形態のイオン除去装置51は、荷電部11と、集塵部12と、ケース13と、フレーム14と、イオン除去用電位付与手段及び集塵用電位付与手段として配設される電源装置52とを有している。
【0069】
本実施の形態のイオン除去装置51と上述した第1の実施の形態のイオン除去装置6とは、フレーム14に与える電位が異なるように変更し、その他の構成については同一である。
【0070】
具体的に説明すると、第1の実施の形態ではフレーム14にグランド電位を与えているが、本実施の形態ではフレーム14に負の電位を与えるようにする。
【0071】
このようにフレーム14に負の電位を与えると、図6に示すように、気流18の上流側からフレーム14に向かう電界(電気力線)53が発生し、気流18に含まれるマイナスイオン20が上記電界(電気力線)53の向きと反対向きのクーロン力を受けるようになる。
【0072】
したがって、気流18に含まれるマイナスイオン20は、上記電界(電気力線)53により反発するように斥力で押し戻され、ケース13の内部に侵入せずイオン化線16に吸引されない。
【0073】
また、フレーム14に負の電位を与えているので、ケース13がプラスに帯電することがなくなる。したがって、気流18に含まれるプラスイオンイオン19は、ケース13からクーロン力(斥力)を受けることなく荷電部11に進入し、電界23の作用により対向電極17に吸引され除去される。このとき、ケース13の他に、室内ユニット本体1及びプレフィルター5も負の電位に結果的に帯電することは言うまでもない。
【0074】
本実施の形態のように、1010Ω・cm以上1014Ω・cm未満の範囲の体積抵抗率を有する半絶縁性の樹脂でフレーム14を形成すれば、ガード13aは負の電位を有するので、プラスイオンを効率良く除去することができる。また、万が一導電性の浮遊物質がエアコンの室内ユニット本体1と、プレフィルター5に付着し、更に湿気などによって著しく導通し易い状況でガード13aに電位が加わっていても、フレーム14を半絶縁性樹脂で形成しているので電荷の移動速度が遅れる、言い換えれば、電荷の移動が制限されるので、短絡などの問題を回避することが可能である。
【0075】
以上のように、本実施の形態のイオン除去装置51を用いれば、大気中のマイナスイオンを除去せずに、プラスイオンのみを確実に除去することができる。
【0076】
また、本実施の形態のイオン除去装置51を用いれば、気流18の下流側に向かうクーロン力を、気流18に乗って運ばれるプラスイオン19に与えることができる。したがって、気流18に含まれるプラスイオン19をより確実に対向電極17に吸引させて除去することができる。
【0077】
なお、イオン除去装置51の荷電部11を単体で構成してもよいということは第1の実施の形態と同様である。
また、必ずしもイオン除去装置51に電源装置52を組み込む必要はないということなども上述した第1の実施の形態と同様である。
【0078】
(第3の実施の形態)
次に、添付の図面を参照しながら、イオン除去装置及びイオン除去方法の第3の実施の形態について詳細に説明する。なお、本実施の形態においても、イオン除去装置を静電式集塵装置として適用した場合を例に挙げて説明する。
【0079】
上述の通り、高湿度(例えば40%以上)の環境下では、室内にマイナスイオンが存在すると人体に良い影響を与えるが、低湿度(例えば40%未満)の環境下では、逆にマイナスイオンの存在により、室内の床や壁などが汚れてしまうなどという弊害が生じてしまうことが知られている。
【0080】
そこで、本実施の形態では、プラスイオンについては外部の湿度に拘わらず除去し、マイナスイオンについては外部の湿度に応じて除去するか又は除去しないかを選択するようにしている。
【0081】
図7は、本実施の形態のイオン除去装置の構成及び電気的接続の概略を模式的に示した図である。なお、上述した第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同一部分については図1〜図6に付した符号と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0082】
図7に示すように、本実施の形態のイオン除去装置71は、荷電部11と、集塵部12と、ケース13と、フレーム14と、選択手段(イオン除去用電位付与手段)及び集塵用電位付与手段として配設される電源装置72と、選択手段(湿度検知手段、スイッチ手段)として配設される湿度センサ73とを有している。
【0083】
本実施の形態のイオン除去装置71と、上述した第1及び第2の実施の形態のイオン除去装置6、51とは、フレーム14に対する電位の与え方が異なるだけでその他の構成については同一である。
【0084】
具体的に説明すると、第1の実施の形態ではフレーム14にグランド電位を与え、第2の実施の形態ではフレーム14に負の電位を与えているが、本実施の形態ではフレーム14に、周囲の湿度に応じてグランド電位又は負の電位のうち何れか一方を与えるようにする。
【0085】
このため、本実施の形態のフレーム14は、湿度センサ73を介してケース13の外側に配設されている電源装置72に接続される。
【0086】
湿度センサ73は、周囲の湿度を検知する湿度検知部と、上記湿度検知部における湿度検知の結果に応じてスイッチ動作を行う切り替えスイッチ部とを有しており、フレーム14と、電源装置72との間に接続される。
【0087】
具体的な機能を説明すると、上記切り替えスイッチ部は、上記湿度検知部により周囲の湿度が40%未満であることが検知されたときに、フレーム14を電源装置72のグランド電位端子に接続するようにスイッチ動作を行い、フレーム14にグランド電位が与えられるようにする。
【0088】
一方、周囲の湿度が40%以上であることが検知されたときには、フレーム14を電源装置72の負電位端子に接続するようにスイッチ動作を行い、フレーム14に負の電位が与えられるようにする。
【0089】
すなわち、本実施の形態のイオン除去装置71では、湿度が40%未満であるときには、上述した第1の実施の形態と同様に、イオン化線16にマイナスイオンを、対向電極17にプラスイオンをそれぞれ吸引させるようにして、気流18に含まれるプラスイオン19及びマイナスイオン20を確実に除去するようにする。
【0090】
一方、湿度が40%以上であるときには、上述した第2の実施の形態と同様に、対向電極17にプラスイオン19を吸引させるようにして、気流18に含まれるプラスイオン19のみを確実に除去するようにする。
【0091】
以上のように本実施の形態では、フレーム14にグランド電位を与えるか、又は負の電位を与えるかを切り替えスイッチ部により切り替えるようにして、周囲の湿度が低いときにはプラスイオン19とマイナスイオン20の両方を確実に除去し、周囲の湿度が高いときにはプラスイオン19のみを確実に除去するようにしたので、1つのイオン除去装置71でより快適な環境をユーザに提供することができる。
【0092】
なお、上記切り替えスイッチ部がスイッチ動作を行う基準の湿度は40%に限定されるものでないということは言うまでもない。
また、イオン除去装置71の荷電部11を単体で構成してもよいということは第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同様である。
さらに、必ずしもイオン除去装置71に電源装置72を組み込む必要はないということなども上述した第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同様である。
【0093】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、気流を通す通風路を形成するケースと、上記ケースの通風路内に配設されるイオン化線と、上記イオン化線に対向して配設される対向電極とを用いて、上記通風路に流入する気流に含まれるイオンを除去する際に、上記ケースの表面に所定の電位を与えることにより上記ケースがプラスに帯電するのを阻止するようにしたので、上記通風路に流入しようとする気流に含まれるプラスイオンが、ケースから斥力を受けることなく上記通風路に流入するようになり、上記気流に含まれるプラスイオンを対向電極に確実に吸引させることができる。これにより、大気中のプラスイオンを確実に除去することができる。
【0094】
また、本発明の他の特徴によれば、ケースの通風路内に配設されるイオン化線と、上記イオン化線に対向して配設される対向電極とを用いて、上記通風路に流入する気流に含まれるイオンを除去する際に、1015Ω・cm以上の体積抵抗率を有する上記ケースの表面に装着され、且つ1010Ω・cm以上1014Ω・cm未満の体積抵抗率を有するフレームを用いるようにしたので、上記ケースが絶縁性の性質を有する材料で形成されている場合であっても上記気流に含まれるプラスイオンを対向電極に確実に吸引させることができ、大気中のプラスイオンを確実に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示し、イオン除去装置を搭載したエアコンの室内ユニットの構成を示した概略断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示し、イオン除去装置の構成の一例を示す構造図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態を示し、イオン除去装置の構成及び電気的接続の概略を模式的に示した図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態を示し、イオン除去装置の荷電部における電界分布、及びイオンが移動する様子を示した図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態を示し、イオン除去装置6の構成及び電気的接続の概略を模式的に示した図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態を示し、イオン除去装置の荷電部における電界分布、及びイオンが移動する様子を示した図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態を示し、イオン除去装置6の構成及び電気的接続の概略を模式的に示した図である。
【符号の説明】
6、51、71 イオン除去装置
11 荷電部
12 集塵部
13 ケース
14 フレーム
15、52、72 電源装置
16 イオン化線
17 対向電極
18 気流
19 プラスイオン
20 マイナスイオン
21 非集塵電極
22 集塵電極
Claims (17)
- 気流を通す通風路を有するケースと、上記ケースの通風路内に配設されるイオン化線と、上記イオン化線に対向して配設される対向電極とを含むイオン除去装置であって、
上記ケースの表面がプラスに帯電するのを阻止しながら、上記イオン化線と対向電極との間に電界を発生させて、上記通風路に流入する気流に含まれるイオンを除去するイオン除去手段をさらに含み、
上記イオン除去手段は、上記ケースの表面に所定の電位を与えるようにして、上記ケースがプラスに帯電することを阻止するようにしたことを特徴とするイオン除去装置。 - 気流を通す通風路を有するケースと、
上記ケースの通風路内に配設されるイオン化線と、
上記イオン化線に対向して配設される対向電極と、
上記ケースの表面に装着され、上記ケースよりも低い体積抵抗率を有するフレームとを含み、
上記ケースは、1015Ω・cm以上の体積抵抗率を有し、
上記フレームは、1010Ω・cm以上1014Ω・cm未満の体積抵抗率を有することを特徴とするイオン除去装置。 - 上記フレームを、樹脂で形成したことを特徴とする請求項2に記載のイオン除去装置。
- 上記フレームを、上記ケースの気流流入口側表面に装着したことを特徴とする請求項2又は3に記載のイオン除去装置。
- 上記フレームを、上記ケースの気流流入口を囲むように装着したことを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載のイオン除去装置。
- 上記イオン化線及び対向電極を複数有し、
上記イオン化線が上記対向電極に挟まれるように、上記イオン化線及び対向電極を交互に配設したことを特徴とする請求項2〜5の何れか1項に記載のイオン除去装置。 - 上記イオン化線に正の電位を与えるとともに、上記対向電極及びフレームにグランド電位を与えるイオン除去用電位付与手段をさらに含むことを特徴とする請求項2〜6の何れか1項に記載のイオン除去装置。
- 上記イオン化線に正の電位を与えるとともに、上記対向電極にグランド電位を与え、さらに上記フレームに負の電位を与えるイオン除去用電位付与手段をさらに含むことを特徴とする請求項2〜6の何れか1項に記載のイオン除去装置。
- 上記イオン化線と上記対向電極によりコロナ放電空間を生じさせ、上記通風路に流入する気流に含まれる浮遊物質を荷電し、上記荷電した浮遊物質を少なくとも静電気的に集塵することを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載のイオン除去装置。
- 上記イオン化線及び対向電極よりも上記気流の下流側で、上記気流に沿う方向に配設される非集塵電極と、
上記非集塵電極に対向して配設される集塵電極とをさらに含むことを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載のイオン除去装置。 - 上記集塵電極及び上記対向電極を一体で形成したことを特徴とする請求項10に記載のイオン除去装置。
- 上記非集塵電極に正の電位を与えるとともに、上記集塵電極にグランド電位を与える集塵用電位付与手段をさらに含むことを特徴とする請求項10又は11に記載のイオン除去装置。
- ケースにより形成される通風路内に配設されるイオン化線と、上記イオン化線に対向して配設される対向電極との間に電界を与えてコロナ放電空間を生じさせ、上記通風路に流入する気流に含まれるイオンを除去するイオン除去方法であって、
上記ケースがプラスに帯電するのを阻止しながら、上記イオン化線と対向電極との間に電界を与える電界制御処理を含み、
上記電界制御処理は、上記ケースの表面に所定の電位を与えるようにして、上記ケースがプラスに帯電するのを阻止するようにしたことを特徴とするイオン除去方法。 - 表面にフレームが装着されたケースにより形成される通風路内に配設されるイオン化線と、上記イオン化線に対向して配設される対向電極との間に電界を与えてコロナ放電空間を生じさせ、上記通風路に流入する気流に含まれるイオンを除去するイオン除去方法であって、
上記ケースがプラスに帯電するのを阻止しながら、上記イオン化線と対向電極との間に電界を与える電界制御処理を含み、
上記ケースは、1015Ω・cm以上の体積抵抗率を有し、
上記フレームは、1010Ω・cm以上1014Ω・cm未満の体積抵抗率を有することを特徴とするイオン除去方法。 - 上記電界制御処理は、上記イオン化線に正の電位を与えるとともに、上記ケースに装着されたフレームと、上記対向電極にグランド電位を与えることを特徴とする請求項14に記載のイオン除去方法。
- 上記電界制御処理は、上記イオン化線に正の電位を与えるとともに、上記対向電極にグランド電位を与え、さらに上記ケースに装着されたフレームに負の電位を与えることを特徴とする請求項14に記載のイオン除去方法。
- 上記電界制御処理は、上記イオン化線及び対向電極よりも上記気流の下流側に配設される非集塵電極に正の電位を与えるとともに、上記非集塵電極に対向して配設される集塵電極にグランド電位を与えることを特徴とする請求項14〜16の何れか1項に記載のイオン除去方法。
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