JP3976639B2 - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、内燃機関の排気系に設けられた排ガスセンサの出力に基づいて空燃比を制御する制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の排気系には、触媒装置が設けられている。触媒装置は、内燃機関に供給される混合気の空燃比がリーンのとき、排気ガス中に存在する過剰の酸素でHCおよびCOを酸化し、空燃比がリッチのとき、HCおよびCOによってNoxを還元する。空燃比が理論空燃比領域にあるとき、HC、COおよびNoxが同時にかつ効果的に浄化される。
【0003】
触媒装置の下流には、排ガスセンサが設けられる。排ガスセンサは、排気系に排気されたガス中の酸素濃度を検出する。排ガスセンサの出力に基づいて、内燃機関の空燃比のフィードバック制御が実施される。
【0004】
空燃比のフィードバック制御の一例として、特開平11−153051公報には、切換関数を設定する応答指定型制御が提案されている。この制御は、該切換関数の値をゼロに収束することによって、排ガスセンサの出力を所定の目標値に収束させる。排ガスセンサの出力を所定の目標値に収束させるための操作量が算出される。該操作量に応じて、内燃機関への燃料供給量が制御される。こうして、空燃比が安定的に制御される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
失火等の理由によって触媒の劣化が過度に進行した状態(以下、NGCAT状態とも呼ぶ)では、切換関数値が収束するにもかかわらず、排ガスセンサの出力が目標値に収束しない状態が生じることがある。排ガスセンサの出力が目標値に収束しないと、空燃比を安定的に制御することができなくなり、排ガスの有害成分が排出されるおそれがある。
【0006】
したがって、触媒が過度に劣化した状態等においても、空燃比を安定的に制御して、触媒の浄化率をできるだけ高く維持して、排ガスの有害成分の排出量を低減することができる制御が必要とされている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明の一つの側面によると、空燃比制御装置は、排気系に配置された排ガスセンサの出力を所定の目標値に収束することによって空燃比を制御する。該制御は、排ガスセンサの出力の前記目標値への収束挙動を指定する関数の値をフィードバックする制御である、制御装置は、排ガスセンサの出力の目標値に対する偏差を評価し、該偏差が所定の停滞状態にあると判断されたとき、関数の値を変更する。
【0008】
この発明によれば、停滞している排ガスセンサの出力を、目標値に収束させることができる。特に、触媒の劣化が過度に進んでいる場合においても、触媒の浄化率をできるだけ高く維持し、排ガスの有害成分を低減させることができる。
【0009】
この発明の他の側面によると、関数の値の変更は、内燃機関が所定の運転状態のときに実施される。
【0010】
一般に、内燃機関の運転状態が低負荷の場合、制御状態が不安定になりやすい傾向がある。この発明によれば、運転状態が低負荷の場合でも、関数の値を変更することにより、制御系の安定性が損なわれるのを防止することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
内燃機関および制御装置の構成
次に図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。図1は、この発明の実施形態による内燃機関(以下、「エンジン」という)およびその制御装置の全体的なシステム構成図である。
【0012】
電子制御ユニット(以下、「ECU」)という)5は、車両の各部から送られてくるデータを受け入れる入力インターフェース5a、車両の各部の制御を行うための演算を実行するCPU5b、読み取り専用メモリ(ROM)およびランダムアクセスメモリ(RAM)を有するメモリ5c、および車両の各部に制御信号を送る出力インターフェース5dを備えている。メモリ5cのROMには、車両の各部の制御を行うためのプログラムおよび各種のデータが格納されている。この発明に従う空燃比制御を実現するためのプログラム、および該プログラムの実行の際に用いるデータおよびテーブルは、このROMに格納されている。ROMは、EEPROMのような書き換え可能なROMでもよい。RAMには、CPU5bによる演算のための作業領域が設けられる。車両の各部から送られてくるデータおよび車両の各部に送り出す制御信号は、RAMに一時的に記憶される。
【0013】
エンジン1は、たとえば4気筒を備えるエンジンである。吸気管2が、エンジン1に連結されている。吸気管2の上流側にはスロットル弁3が設けられている。スロットル弁3に連結されたスロットル弁開度センサ(θTH)4は、スロットル弁3の開度に応じた電気信号を、ECU5に供給する。
【0014】
スロットル弁3をバイパスする通路21が、吸気管2に設けられている。エンジン1に供給する空気量を制御するためのバイパス弁22が、バイパス通路21に設けられている。バイパス弁22は、ECU5からの制御信号に従って駆動される。
【0015】
燃料噴射弁6は、エンジン1とスロットル弁3の間であって、吸気管2の吸気弁(図示せず)の少し上流側に各気筒毎に設けられている。燃料噴射弁6は、燃料ポンプ(図示せず)に接続され、該燃料ポンプを介して燃料タンク(図示せず)から燃料の供給を受ける。燃料噴射弁6は、ECU5からの制御信号に従って駆動される。
【0016】
吸気管圧力(Pb)センサ8および吸気温(Ta)センサ9は、吸気管2のスロットル弁3の下流側に設けられている。Pbセンサ8およびTaセンサ9によって検出された吸気管圧力Pbおよび吸気温Taは、それぞれECU5に送られる。
【0017】
エンジン水温(Tw)センサ10は、エンジン1のシリンダブロックの、冷却水が充満した気筒周壁(図示せず)に取り付けられる。Twセンサ10によって検出されたエンジン冷却水の温度Twは、ECU5に送られる。
【0018】
回転数(Ne)センサ13は、エンジン1のカム軸またはクランク軸(共に図示せず)周辺に取り付けられる。Neセンサ13は、たとえばピストンのTDC位置に関連したクランク角度で出力されるTDC信号パルスの周期よりも短いクランク角度(たとえば、30度)の周期で、CRK信号パルスを出力する。CRK信号パルスは、ECU5によってカウントされ、エンジン回転数Neが検出される。
【0019】
エンジン1の下流側には排気管14が連結されている。エンジン1は、排気管14を介して排気する。排気管14の途中に設けられた触媒装置15は、排気管14を通る排気ガス中のHC、CO、NOxなどの有害成分を浄化する。触媒装置15には、2つの触媒が設けられている。上流側に設けられた触媒を上流触媒と呼び、下流側に設けられた触媒を下流触媒と呼ぶ。
【0020】
広域空燃比センサ(LAF)センサ16は、触媒装置15の上流に設けられている。LAFセンサ16は、リーンからリッチにわたる広範囲の空燃比を検出する。検出された空燃比は、ECU5に送られる。
【0021】
O2(排ガス)センサ17は、上流触媒と下流触媒の間に設けられている。O2センサ17は2値型の排気ガス濃度センサである。O2センサは、空燃比が理論空燃比よりもリッチであるとき高レベルの信号を出力し、空燃比が理論空燃比よりもリーンであるとき低レベルの信号を出力する。出力された電気信号は、ECU5に送られる。
【0022】
ECU5に向けて送られた信号は入力インターフェース5aに渡され、アナログ−デジタル変換される。CPU5bは、変換されたデジタル信号を、メモリ5cに格納されているプログラムに従って処理し、車両のアクチュエータに送るための制御信号を作り出す。出力インターフェース5dは、これらの制御信号を、バイパス弁22、燃料噴射弁6、およびその他の機械要素のアクチュエータに送る。
【0023】
図2は、触媒装置15の構造を示す。排気管14に流入した排気ガスは、上流触媒25を通過し、その後下流触媒26を通過する。上流および下流触媒の間に設けられたO2センサの出力に基づく空燃比制御の方が、下流触媒の下流に設けられたO2センサの出力に基づく空燃比制御よりも、Noxの浄化率を最適に維持しやすいことがわかっている。そのため、この発明に従う実施形態では、O2センサ17を、上流および下流触媒の間に設ける。O2センサ17は、上流触媒25を通過した後の排気ガスの酸素濃度を検出する。
【0024】
代替的に、O2センサを、下流触媒26の下流に設けてもよい。また、1つの触媒によって触媒装置15が実現されている場合には、該触媒装置15の下流にO2センサは設けられる。
【0025】
図3は、上流触媒および下流触媒の浄化の挙動を示す。ウィンドウ27は、CO、HCおよびNOxが最適に浄化される空燃比領域を示す。上流触媒25において、排気ガス中の酸素が浄化作用に消費されるため、下流触媒26に供給される排気ガスは、ウィンドウ28によって示されるような還元雰囲気(すなわち、リッチ状態)を有している。このような還元雰囲気において、さらなる量のNOxが浄化される。こうして排気ガスは、クリーンな状態で排気される。
【0026】
この発明に従う空燃比の適応制御は、触媒15の浄化性能を最適に維持するため、O2センサ17の出力を目標値に収束させることにより、空燃比がウィンドウ27内に収まるようにする。
【0027】
参照番号29は、適応空燃比制御において空燃比の操作量の限界を規定する許容範囲を例示しており、これについての詳細は後述される。
【0028】
図4は、図2のLAFセンサ16からO2センサ17にいたるブロック図である。LAFセンサ16は、上流触媒25に供給される排ガスの空燃比KACTを検出する。O2センサ17は、上流触媒25によって浄化された排ガスの酸素濃度を、電圧Vo2/OUTとして出力する。LAFセンサ16からO2センサ17までの排気系19が、この発明に従う適応空燃比制御の制御対象(プラント)となる。
【0029】
適応空燃比制御モード
図5は、適応空燃比制御の制御ブロック図を示す。制御対象である排気系19のO2センサ17の出力Vo2/OUTが、目標値Vo2/TARGETと比較される。比較結果に基づいて、制御器31は、空燃比偏差kcmdを求める。空燃比偏差kcmdを基準値FLAF/BASEに加算し、目標空燃比KCMDを求める。目標空燃比KCMDによって補正された燃料噴射量が、エンジン1に供給される。その後、排気系のO2センサ17の出力Vo2/OUTが再び検出される。
【0030】
このように、制御器31は、O2センサ17の出力Vo2/OUTを目標値Vo2/TARGETに収束するよう目標空燃比KCMDを求めるフィードバック制御を実行する。制御対象である排気系19を、出力をVo2/OUT、入力をLAFセンサの出力KACTとして、式(1)のようにモデル化することができる。排気系19は離散時間系モデルとしてモデル化される。離散時間系モデルは、空燃比制御のアルゴリズムをコンピュータ処理に適した簡易なものとする。前述したように、kはサイクルを識別する識別子である。
【0031】
【数1】
【0032】
Vo2は、式(1)に示されるように、O2センサ17の出力値Vo2/OUTの目標値Vo2/TARGETに対する偏差(以下、センサ出力偏差と呼ぶ)を示す。実空燃比偏差kactは、基準値FLAF/BASEに対するLAFセンサの出力KACTの偏差を示す(kact=KACT-FLAF/BASE)。空燃比の基準値FLAF/BASEは、目標空燃比の中心的な値になるように設定され、たとえば理論空燃比を示す値(すなわち、1)に設定される。基準値FLAF/BASEは、一定値でもよいし、または運転状態に応じて決めるようにしてもよい。
【0033】
d1は、排気系19が有するむだ時間を示す。むだ時間d1は、LAFセンサ16によって検出された空燃比がO2センサ17の出力に反映されるのに要する時間を示す。a1、a2およびb1はモデルパラメータであり、後述する同定器によって生成される。
【0034】
一方、エンジン1およびECU5からなる空燃比を操作する系は、式(2)のようにモデル化されることができる。目標空燃比偏差kcmdは、基準値FLAF/BASEに対する目標空燃比KCMDの偏差を示す(kcmd=KCMD-FLAF/BASE)。d2は、該空燃比操作系におけるむだ時間を示す。むだ時間d2は、算出された目標空燃比KCMDがLAFセンサ16の出力KACTに反映されるのに要する時間を示す。
【0035】
【数2】
【0036】
図6は、図5に示される制御器31のさらに詳細なブロック図を示す。制御器31は、同定器32、推定器33、スライディングモード制御器34およびリミッタ35を備える。
【0037】
同定器32は、式(1)におけるモデルパラメータa1、a2およびb1を、モデル化誤差をなくすように同定する。同定器32によって実施される同定方法を以下に示す。
【0038】
前回の制御サイクルで算出されたモデルパラメータa1(k-1)、a2(k-1)およびb1(k-1)を用い(以下、これらのパラメータをa1(k-1)ハット、a2(k-1)ハットおよびb1(k-1)ハットと呼ぶ)、式(1)に従って今回のサイクルのセンサ出力偏差Vo2(k)(以下、これをセンサ出力偏差Vo2(k)ハットと呼ぶ)を式(3)に従って求める。
【0039】
【数3】
【0040】
式(4)は、式(3)で算出されたセンサ出力偏差Vo2(k)ハットと、今回の制御サイクルで実際に検出されたセンサ出力偏差Vo2(k)との偏差id/e(k)を示す。
【0041】
【数4】
【0042】
同定器32は、偏差id/e(k)を最小にするように、今回のサイクルにおけるa1(k)ハット、a2(k)ハットおよびb1(k)ハットを算出する。ここで、式(5)に示されるようにベクトルΘを定義する。
【0043】
【数5】
【0044】
同定器32は、式(6)に従い、a1(k)ハット、a2(k)ハットおよびb1(k)ハットを求める。式(6)に示されるように、前回の制御サイクルで決定されたa1(k)ハット、a2(k)ハットおよびb1(k)ハットを、偏差id/e(k)に比例する量だけ変化させることにより、今回の制御サイクルにおけるa1(k)ハット、a2(k)ハットおよびb1(k)ハットを求める。
【0045】
【数6】
【0046】
推定器33は、排気系19のむだ時間d1および空燃比を操作する系のむだ時間d2を補償するため、むだ時間d(=d1+d2)後のセンサ出力偏差Vo2を推定する。
【0047】
まず、排気系のモデル式(1)に、空燃比を操作する系のモデル式(2)を代入すると、式(7)が導かれる。
【0048】
【数7】
【0049】
式(7)で示されるモデル式は、排気系19および上記の空燃比を操作する系を合わせた系を表現している。式(7)を用いることにより、むだ時間d後のセンサ出力偏差Vo2(k+d)の推定値Vo2(k+d)バーが、式(8)のようにして求められる。係数α1、α2およびβjは、同定器32で算出されたモデルパラメータを用いて算出される。目標空燃比偏差の過去の時系列データkcmd(k-j)(ただし、j=1、2、...d)は、むだ時間dの長さの間に取得された目標空燃比偏差を含む。
【0050】
【数8】
【0051】
むだ時間d2以前の空燃比偏差kcmdの過去の値kcmd(k-d2)、kcmd(k-d2-1)、...kcmd(k-d)の値を、上記の式(2)を用いてLAFセンサ16の偏差出力kac(k)、kact(k-1)、...kact(k-d+d2)で置き換えることができる。その結果、式(9)が得られる。
【0052】
【数9】
【0053】
スライディングモード制御器34は、スライディングモード制御を実行するため、切換関数σを式(10)のように設定する。
【0054】
【数10】
【0055】
ここで、Vo2(k-1)は、前述したように前回のサイクルで検出されたセンサ出力偏差を示す。Vo2(k)は、今回のサイクルで検出されたセンサ出力偏差を示す。sは、切換関数σの設定パラメータであり、−1<s<1となるよう設定される。
【0056】
切換関数σ(k)=0とした式は等価入力系と呼ばれ、制御量であるセンサ出力偏差Vo2の収束特性を規定する。σ(k)=0とすると、式(10)は以下の式(11)のように変形することができる。
【0057】
【数11】
【0058】
ここで、図7および式(11)を参照して、切換関数σの特性を説明する。図7は、縦軸がVo2(k)および横軸がVo2(k-1)の位相平面上に、式(11)を線41で表現したものである。この線41を切換直線と呼ぶ。Vo2(k-1)およびVo2(k)の組合せからなる状態量(Vo2(k-1), Vo2(k))の初期値が、点42で表されているとする。スライディングモード制御は、点42で表される状態量を、切換直線41上に載せて該直線41上に拘束するよう動作する。スライディングモード制御によると、状態量を切換直線41上に保持することにより、該状態量を、外乱等の影響されることなく、極めて安定的に位相平面上の原点0に収束させることができる。言い換えると、状態量(Vo2(k-1),Vo2(k))を、式(11)に示される入力の無い安定系に拘束することにより、外乱およびモデル化誤差に対してロバストにセンサ出力偏差Vo2/OUTを目標値Vo2/TARGETに収束させることができる。
【0059】
切換関数設定パラメータsは、可変に設定することができるパラメータである。設定パラメータsを調整することにより、センサ出力偏差Vo2の減衰(収束)特性を指定することができる。
【0060】
図8は、スライディングモード制御の応答指定特性の一例を示すグラフである。グラフ43は、sの値が“1”である場合を示し、グラフ44はsの値が“0.8”である場合を示し、グラフ45はsの値が“0.5”である場合を示す。グラフ43〜45から明らかなように、sの値に従って、センサ出力偏差Vo2の収束速度が変化する。sの絶対値を小さくするほど、収束速度が速くなる。
【0061】
切換関数σの値をゼロにするよう、3つの制御入力が決定される。すなわち、状態量を切換直線上に拘束するための制御入力Ueq、状態量を切換直線上に載せるための制御入力Urch、およびモデル化誤差および外乱を抑制しつつ、状態量を切換直線に載せるための制御入力Uadpが算出される。これら3つの制御入力Ueq、UrchおよびUadpの和を算出して、空燃比偏差kcmdを算出するための要求偏差Uslを求める。
【0062】
等価制御入力Ueqは、状態量を切換直線上に拘束するための入力であるので、式(12)を満たすことが条件となる。
【0063】
【数12】
【0064】
したがって、σ(k+1)=σ(k)とするための等価制御入力Ueqは、式(7)および(10)から、式(13)のように算出される。
【0065】
【数13】
【0066】
切換関数σの値に応じた値を持つ到達則入力Urchを、式(14)に従って算出する。この実施例では、到達則入力Urchは切換関数σの値に比例した値を持つ。Krchは到達則のフィードバックゲインを示し、これは、切換直線σ=0への収束の安定性および速応性等を考慮して、シミュレーション等に基づいて予め定められる。
【0067】
【数14】
【0068】
切換関数σの積算値に応じた値を持つ適応則入力Uadpを、式(15)に従って算出する。この実施例では、適応則入力Uadpは切換関数σの積算値に比例した値を持つ。Kadpは適応則のフィードバックゲインを示し、これは、切換直線σ=0への収束の安定性および速応性等を考慮して、シミュレーション等に基づいて予め定められる。ΔTは、制御サイクルの周期を示す。
【0069】
【数15】
【0070】
センサ出力偏差Vo2(k+d)およびVo2(k+d-1)と、切換関数の値σ(k+d)は、むだ時間dが考慮された予測値であるので、これらを直接求めることはできない。そこで、推定器33によって求められた推定偏差Vo2(k+d)バーおよびVo2(k+d-1)バーを用い、等価制御入力Ueqを求める。
【0071】
【数16】
【0072】
また、推定器33によって算出された推定偏差を用いて、式(17)に示されるように切換関数σバーが算出される。
【0073】
【数17】
【0074】
切換関数σバーを用いて、到達則入力Urchおよび適応則入力Uadpを算出する。
【0075】
【数18】
【0076】
【数19】
【0077】
式(20)に示されるように、等価制御入力Ueq、到達則入力Urchおよび適応則入力Uadpを加算し、要求偏差Uslを求める。
【0078】
【数20】
【0079】
リミッタ35は、要求偏差Uslに対してリミット処理を行い、空燃比偏差kcmdを求める。具体的には、リミッタ35は、要求偏差Uslが許容範囲内にあれば、該要求偏差Uslを空燃比偏差kcmdとする。要求偏差Uslが許容範囲から逸脱している場合は、該許容範囲の上限値または下限値を、空燃比偏差kcmdに設定する。
【0080】
リミッタ35で使用される許容範囲は、図3の参照番号29に示されるように、ウィンドウ27を略中心として、これを含むさらに広い範囲に設定される。この許容範囲は、要求偏差Uslおよび運転状態等に応じてアクティブに移動する。また、この許容範囲は、空燃比の変動によるエンジンの燃焼変動を抑制しつつ、触媒の浄化能力がウィンドウ27の最適な状態から外れた際に速やかに該最適な状態に復帰させるのに十分な幅を持つ。よって、過渡状態での触媒浄化率を高く保つことができ、有害な排ガス成分を低減することができる。
【0081】
具体的には、許容範囲は、算出された要求偏差Uslに応じて可変に更新される。たとえば、要求偏差Uslの許容範囲からの逸脱量に応じて、許容範囲を拡大する。または、要求偏差Uslが許容範囲内にあるとき、該許容範囲を縮小する。こうして、O2センサ17の出力を目標値に収束させるのに必要な空燃比を規定する要求偏差Uslに適した許容範囲が設定される。
【0082】
さらに、許容範囲は、O2センサ17の出力の不安定さが高いほど狭く設定される。また、許容範囲は、始動時、アイドリング運転状態および燃料カットが解除された時等を含め、運転状態に応じて設定されるようにしてもよい。
【0083】
求められた空燃比偏差kcmdを基準値FLAF/BASEに加算して目標空燃比KCMDを求める。該目標空燃比KCMDを、制御対象である排気系19に与えることにより、O2センサの出力Vo2/OUTを目標値Vo2/TARGETに収束させることができる。
【0084】
代替の実施形態においては、空燃比の基準値FLAF/BASEは、リミッタ35によるリミット処理が終了した後、スライディングモード制御器34によって算出される適応則入力Uadpに応じて可変に更新される。具体的には、基準値FLAF/BASEは、初期値として理論空燃比が設定される。適応則Uadpが予め決められた上限値を超えているならば、基準値FLAF/BASEは所定量だけ増やされる。適応則Uadpが予め決められた下限値を下回っているならば、基準値FLAF/BASEは所定量だけ減らされる。適応則Uadpが上限値および下限値の間にあれば、基準値FLAFBASEは更新されない。更新されたFLAF/BASEは、次回のサイクルにおいて用いられる。こうして、基準値FLAF/BASEは、目標空燃比KCMDの中心的な値になるよう調整される。
【0085】
基準値FLAF/BASEの更新処理を上記のリミット処理と組み合わせることにより、要求偏差Uslの許容範囲が正負にバランスされる。基準値FLAF/BASEの更新処理は、O2センサ出力Vo2/OUTが目標値Vo2/TARGETにほぼ収束し、スライディングモード制御が安定状態にあると判断されたときに行われるのが好ましい。
【0086】
NGCAT状態における空燃比制御の挙動
図9は、触媒が過度に劣化した状態における、従来の空燃比制御の挙動の一例を示す。グラフ51は、切換関数値σの推移を示す。グラフ52は、切換関数値σの積算値の推移を示す。グラフ53は、排ガスセンサの目標値Vo2/TARGETをゼロとした時のセンサ出力Vo2/OUTの推移を示す。
【0087】
グラフ51に示されるように、切換関数値σはゼロに収束していく。それに応じて、切換関数値σの積算値もゼロに収束していく。センサ出力Vo2/OUTは、切換関数値σがゼロに収束していくにもかかわらず、目標値Vo2/TARGETに対して定常偏差を呈している。これは、切換関数σをゼロにすることでセンサ出力偏差Vo2を収束させるというスライディングモードが生じていないことを示す。
【0088】
このように、従来の空燃比制御では、触媒が過度に劣化した状態等の特定の状態において、切換関数値σがゼロに収束するにもかかわらず、センサ出力Vo2/OUTが目標値Vo2/TARGETに収束しない場合がある。
【0089】
切換関数の設定パラメータの可変設定
図10は、本発明に従うスライディングモード制御器34の詳細な機能ブロック図を示す。設定パラメータ決定部61は、切換関数σの設定パラメータ“s”を決定する。切換関数算出部62は、設定パラメータ決定部61によって決定された設定パラメータsを受け取り、該設定パラメータsを用いて、上記式(17)に示される切換関数σバーを算出する。制御入力算出部63は、上記の式(16)、(18)および(19)に従い、制御入力Uslを算出する。
【0090】
本発明の一実施形態によれば、切換関数σの応答特性を規定する設定パラメータsは、運転状態に応じて決定される。
【0091】
設定パラメータ決定部61は、図9に示されるような制御状態を検知する。具体的には、以下の3つの条件が満たされたとき、図9に示されるようなスライディングモード未発生が生じていると判断する。
【0092】
1)切換関数値σの絶対値<所定値
2)センサ出力偏差Vo2が所定範囲内
3)上記1)および2)を満たす状況が、所定期間にわたって継続する。
【0093】
条件1)および2)の両方が満たされる場合は、切換関数値σが収束しているにもかかわらず、センサ出力偏差Vo2が停滞している状態を示す。条件3)を含めることにより、スライディングモード未発生が誤って検知されることを防ぐことができる。
【0094】
設定パラメータ決定部61は、スライディングモード未発生を検知すると、設定パラメータ“s”の絶対値を小さくする。したがって、s<0の場合は、設定パラメータsの値は正の方向に向かって大きくなるよう変更される。こうして、収束速度が大きくなる方向へ、設定パラメータsが変更される。
【0095】
図11は、設定パラメータsの切換を概略的に示す図である。この例では、設定パラメータsはゼロより小さい負の値を持つ。上記の式(11)から明らかなように、sの絶対値が大きいほど切換直線の傾きが大きくなることがわかる。
【0096】
通常の空燃比制御における設定パラメータsを持つ切換直線71が示されている。状態量72は、設定パラメータsによって指定される収束速度で、ゼロに向かって収束する。
【0097】
スライディングモード未発生が検知されると、設定パラメータsは、s’に変更される。ここで、|s’|<|s|である。その結果、切換直線は、参照番号73によって表されるような直線に変更される。状態量74は、設定パラメータs’によって指定される収束速度でゼロに向かって収束する。切換直線73の設定パラメータs’の絶対値は、切換直線71の設定パラメータsの絶対値より小さい。したがって、切換直線73上の状態量74の方が、切換直線71上の状態量72よりも、早い速度で収束する。
【0098】
こうして、設定パラメータsの絶対値を小さくすることにより、状態量のゼロへの収束力を高めることができる。スライディングモード未発生が検知されたとき、設定パラメータsの大きさを調整することにより、スライディングモードを再び発生させることができる。
【0099】
図12は、この発明の一実施形態に従う、触媒が過度に劣化した場合のセンサ出力Vo2/OUTの推移を示す。図9と目盛りのスケールが異なることに注意されたい。図9の(a)においては、定常偏差が約数百mVのオーダー(たとえば、400mV)で現れていたが、図12では、約10mVに低減している。すなわち、この実施形態によれば、触媒が過度に劣化した場合でも、センサ出力偏差Vo2をゼロに収束させることができる。
【0100】
制御入力算出フロー
図13は、本発明の一実施形態に従う制御入力Uslを求めるメインルーチンを示す。ステップS101において、切換関数の設定パラメータを決定するルーチン(図14、15)を実行する。ステップS102において、切換関数σを算出するルーチン(図16)を実行する。ステップS103において、切換関数2の積算値SUMSGMFを算出するルーチン(図17)を実行する。
【0101】
ステップS104〜S106において、等価制御入力Ueq、到達則入力Urchおよび適応則入力Uadpをそれぞれ算出する。これらのステップは、並列に実行してもよい。ステップS107において、等価制御入力Ueq、到達則入力Urchおよび適応則入力Uadpの和を算出し、制御入力Uslを求める。
【0102】
図14および図15は、図13のステップS101で実行される設定パラメータsを決定するルーチンのフローチャートを示す。ここで、設定パラメータsは、VPOLEで表現されており、−1<VPOLE<0である。ステップS111において、アイドル運転状態かどうかを判断する。アイドル運転状態ならば、一時変数WSSTEをゼロに初期化する(S112)。また、ステップS113において、設定パラメータの最大値vpolemaxとして、所定値POLEHを設定する。
【0103】
ステップS114において、燃料カット後フラグFACの値を調べる。燃料カット後であることを示すF_FAC=1ならば、ステップS132に進み、現在の設定パラメータVPOLEの値を、所定値VPHINCだけ大きくする。これは、収束速度を速くすることを示す。
【0104】
ステップS115において、エンジンが始動してから所定期間経過しているかどうかを調べる。該所定期間がまだ経過していなければ、ステップS132に進み、現在の設定パラメータVPOLEの値を所定値VPHINCだけ大きくする。
【0105】
一般に、エンジンの運転状態が低負荷の際は、制御状態が不安定になりやすい。このような低負荷の状態のときには、ステップS132に示されるように、設定パラメータの値を大きくする(収束速度を速くする)ことで、制御系の安定が損なわれるのを防止することができる。
【0106】
燃料カット後でもなく、またエンジンが始動してから所定期間が経過していなければ、ステップS116(図15)に進む。ステップS116において、空燃比制御において切換関数値σバーが収束している状態かどうかを判断する。これは、前回のサイクルで算出された切換関数値σバーがゼロであるかどうかを調べることにより判断することができる。収束していなければ、ステップS117に進み、現在の設定パラメータVPOLEの値を所定値VPHDECだけ小さくする。これは、収束速度を遅くすることを示す。収束速度を遅くして、切換関数値σバーが切換直線上に載るのを待つ。
【0107】
ステップS116において切換関数値σバーが収束しているならば、空燃比制御が安定しているかどうかを判断する(S118)。これは、たとえば安定判別基本パラメータPstb(=σ(k+d)バー・Δσバー)の値を調べることによって判断される。Pstbは、切換関数σバーに関するリアプノフ関数σバー2/2の時間微分値に相当する。Pstb≦0となる状態は、切換関数σバーの値がゼロに収束しているか、またはゼロに収束しつつある状態を示す。Pstb>0となる状態は、切換関数σバーの値がゼロから離間しつつある状態を示す。Pstb>0であって、空燃比制御が安定していないと判断されたならば、ステップS117に進み、現在の設定パラメータVPOLEの値を所定値VPHDECだけ小さくして、空燃比制御が安定するのを待つ。
【0108】
Pstb≦0であって、空燃比制御が安定していると判断されたならば、ステップS119に進み、現在の設定パラメータVPOLEの値を所定値VPHINCだけ大きくし、収束速度を速める。
【0109】
代替的に、他の安定判別法を用いて、空燃比制御が安定しているかどうかを判断してもよい。
【0110】
ステップS111に戻り、アイドル運転状態でなければ、ステップS121に進む。ステップS121およびS122において、前回のサイクルで算出された切換関数値σバーの絶対値が、所定値STESIGより小さく、かつセンサ出力偏差Vo2の絶対値が、所定範囲内にあるかどうかを判断する。ステップS121およびS122では、前述した条件1)および2)が満たされているかどうかを判断している。
【0111】
ステップS121およびS122の両方の判断がYesならば、重み付けカウンタwssteを所定値(たとえば、+2)だけインクリメントする(S123)。ステップS121およびS122のいずれかの判断がNoならば、重み付けカウンタwssteを所定値(たとえば、−1)だけデクリメントする(S124)。重み付けカウンタwssteは、ステップS121およびS122の条件が満たされる期間を計測するカウンタである。
【0112】
この実施例では、インクリメントする値とデクリメントする値とが異なる重み付けカウンタを用いる。これにより、センサ出力偏差の停滞を早期に発見して、設定パラメータを調整することが可能となる。しかしながら、インクリメントする値とデクリメントする値が同じカウンタを用いてもよい。
【0113】
ステップS125〜S127においてカウンタwssteのリミット処理を行う。ステップS125において、カウンタwssteが最大値STEMAXを超えたならば、一時変数WSSTEに最大値STEMAXをセットする(S126)。カウンタwssteが最大値STEMAXより小さければ、一時変数WSSTEにカウンタ値wssteをセットする(S127)。
【0114】
ステップS128において、一時変数WSSTEが所定期間を超えたかどうかを判断する。ステップS128は、前述した条件3)が満たされているかどうかを判断している。一時変数WSSTEが所定期間を超えたならば、前述したように、センサ出力偏差Vo2が所定期間にわたって停滞していることを示す。ステップS129に進み、設定パラメータの最大値vpolemaxとして、所定値POLEESTHがセットされる(S129)。一時変数WSSTEが所定期間を超えていなければ、設定パラメータの最大値vpolemaxとして、通常の空燃比制御で用いられる所定値POLEHが設定される(S130)。ここで、設定される所定値の関係は、POLEESTH>POLEHである。こうして、センサ出力偏差Vo2が停滞しているときは、通常の状態よりも最大値がより大きな値に設定される。これにより、設定パラメータの値がより大きな値に変更されることが許容される。
【0115】
ステップS131において、不安定フラグの値を調べる。不安定フラグが、空燃比制御が不安定であることを示す値1を持つならば、ステップS133に進み、現在の設定パラメータVPOLEの値を所定値VPHDECだけ小さくして、空燃比制御が安定するのを待つ。不安定フラグがゼロならば、ステップS132に進み、現在の設定パラメータVPOLEの値を所定値VPHINCだけ大きくし、収束速度を速める。
【0116】
不安定フラグは、前述した安定判別基本パラメータPstb(=σ(k+d)バー・Δσバー)がゼロ以下ならばゼロがセットされ、ゼロより大きければ1がセットされる。
【0117】
ステップS120において、設定パラメータの一時変数vpole_tmpのリミット処理が実施され、設定パラメータVPOLEが決定される。vpole_tmpが最大値vpolemaxより大きければ、該最大値がVPOLEに設定され、vpole_tmpが所定の最小値より小さければ、該最小値がVPOLEに設定される。vpole_tmpが所定の最大値と最小値の間にあれば、vpole_tmpの値がVPOLEに設定される。
【0118】
こうして、設定パラメータは、空燃比の制御状態に応じて決定される。したがって、センサ出力偏差Vo2がゼロが停滞している状態を発見して、該センサ出力偏差Vo2がゼロに収束させることができる。
【0119】
図16は、図13のステップS102で実行される、切換関数算出ルーチンを示す。ステップS141において、前述の式(17)に示されるように、推定器によって算出されたセンサ出力偏差Vo2(k)バーに、Vo2(k-1)バーに設定パラメータs(これは、図14および図15において、VPOLEとして算出された)を掛けたものを加算し、得られた値を一時変数sigmf_tmpに格納する。
【0120】
ステップS142〜S146は、切換関数値のリミット処理を示す。一時変数sigmf_tmpが、予め決められた最大値SIGMFHよりも大きければ、切換関数σバーの値に該最大値を設定する(S143)。一時変数sigmf_tmpが、予め決められた最小値SIGMFLよりも小さければ、切換関数σバーの値に該最小値を設定する(S145)。一時変数sigmf_tmpが、最大値SIGMFHと最小値SIGMFLの間にあるならば、一時変数sigmf_tmpの値を切換関数σバーに代入する(S146)。
【0121】
図17は、図13のステップS103で実行される切換関数の積算値SUMSGMFの算出ルーチンを示す。ステップS151において、前回のサイクルで算出された積算値SUMSGMF(k-1)の値が予め決められたリミット値に達しているかどうかを判断する。達していたならば、ステップS152に進み、前回のサイクルで算出された積算値の値(k-1)に、予め決められた値SUMSGMFLをセットする。これは、積算値の値が過剰に大きくなると、適応則入力の値の信頼性が低下するおそれがあるからである。
【0122】
ステップS153において、前回のサイクルで算出された積算値SUMSGMFに、今回のサイクルで算出された切換関数σバーの値を加算し、一時変数ssigmf_tmpに加算する。ステップS154〜S158は、積算値のリミット処理である。具体的には、一時変数ssigmf_tmpが、予め決められた最大値SUMSFHよりも大きければ、積算値SUMSGMFに該最大値を設定する(S155)。一時変数ssigmf_tmpが、予め決められた最小値SUMSFLよりも小さければ、積算値SUMSGMFに該最小値を設定する(S157)。一時変数ssigmf_tmpが、最大値SUMSFHと最小値SUMSFLの間にあるならば、一時変数ssigmf_tmpの値を積算値SUMSGMFに代入する(S158)。
【0123】
図18は、図13のステップS104で実行される、等価制御入力算出ルーチンを示す。ステップS161において、前述した式(16)に示されるVo2(k)バーの項KUeq1を計算する。ステップS162において、式(16)に示されるVo2(k-1)バーの項KUeq2を計算する。
【0124】
ステップS163において、ステップS161および162で求められたKUeq1およびKUeq2に基づき、式(16)に従って等価制御Ueqを求める。ここで、ステップ161および162は、並列に実行してもよい。
【0125】
図19は、図14のステップS105で実行される、到達則入力算出ルーチンを示す。ステップS171において、前述した式(17)に従い、切換関数σバーにフィードバックゲインKrchを乗算し、得られた値を一時変数urch_tmpに代入する。ステップS142〜S146は、到達則入力のリミット処理である。具体的には、一時変数urch_tmpが、予め決められた最大値URCHFHよりも大きければ、到達則入力Urch該最大値を設定する(S173)。一時変数urch_tmpが、予め決められた最小値URCHFLよりも小さければ、到達則入力Urchに該最小値を設定する(S175)。一時変数urch_tmpが、最大値URCHFHと最小値URCHFLの間にあるならば、一時変数urch_tmpの値を到達則入力Urchに代入する(S176)。
【0126】
図20は、図13のステップS106で実行される、適応則入力算出ルーチンを示す。ステップS181において、前述した式(18)に従い、切換関数σの積算値SUMSGMFにフィードバックゲインKadpを乗算し、適応則入力Uadpを求める。
【0127】
この明細書においては、スライディングモード制御を用いて適応空燃比制御を実施する例を説明した。しかしながら、他の応答指定型制御を用いて適応空燃比制御を実施する場合にも、本発明を適用することができる。
【0128】
本発明は、クランク軸を鉛直方向とした船外機などのような船舶推進機用エンジンにも適用が可能である。
【0129】
【発明の効果】
この発明によると、制御対象の出力が停滞して目標値に収束しない状況を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例に従う、内燃機関およびその制御装置を概略的に示す図。
【図2】この発明の一実施例に従う、触媒装置および排ガスセンサの配置を示す図。
【図3】この発明の一実施例に従う、空燃比制御の概要を示す図。
【図4】この発明の一実施例に従う、制御対称である排気系を示すブロック図。
【図5】この発明の一実施例に従う、空燃比制御の制御ブロック図。
【図6】この発明の一実施例に従う、制御器の詳細な機能ブロック図。
【図7】この発明の一実施例に従う、応答指定型制御における切換直線を概略的に示す図。
【図8】この発明の一実施例に従う、応答指定型制御における応答特性を示す図。
【図9】触媒の劣化が過度に進んだ状態における切換関数および排ガスセンサ出力の推移の一例を示す図。
【図10】この発明の一実施例に従う、スライディングモード制御器の機能ブロック図。
【図11】この発明の一実施例に従う、切換関数の設定パラメータの切換を概略的に示す図。
【図12】この発明の一実施例に従う、触媒が過度に劣化した状態における排ガスセンサ出力の推移の一例を示す図。
【図13】この発明の一実施例に従う、制御入力を算出するメインルーチンを示すフローチャート。
【図14】この発明の一実施例に従う、切換関数の設定パラメータを決定するメインルーチンを示すフローチャート。
【図15】この発明の一実施例に従う、切換関数の設定パラメータを決定するメインルーチンを示すフローチャート。
【図16】この発明の一実施例に従う、切換関数を算出するフローチャート。
【図17】この発明の一実施例に従う、切換関数の積算値を算出するフローチャート。
【図18】この発明の一実施例に従う、等価制御入力を算出するフローチャート。
【図19】この発明の一実施例に従う、到達則入力を算出するフローチャート。
【図20】この発明の一実施例に従う、適応則入力を算出するフローチャート。
【符号の説明】
1 エンジン
5 ECU
14 排気管
15 触媒装置
17 O2センサ
25 上流触媒
26 下流触媒
Claims (2)
- 排気系に配置された排ガスセンサの出力を所定の目標値に収束することによって空燃比を制御する内燃機関の空燃比制御装置であって、
前記制御は、前記排ガスセンサの出力の前記目標値への収束速度をパラメータで指定する関数の値をフィードバックする制御であり、
前記関数の値が、所定値未満で収束しているかどうかを判断する手段と、
前記排ガスセンサの出力の前記目標値に対する偏差が停滞しているかどうかを判断する手段と、
前記関数の値が前記所定値未満で収束しており、かつ、前記偏差が停滞していると判断した場合には、前記収束速度が速くなるように前記パラメータを変更する変更手段と、
を備える、内燃機関の空燃比制御装置。 - 前記変更手段は、前記内燃機関が所定の運転状態のときに前記パラメータの変更を実施する、請求項1に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
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