JP3979772B2 - チップ状部品の剥離方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、チップ状部品の剥離方法に関し、具体的には、各種電子部品等のチップ状部品を製造する一連の工程において、チップ状部品の破損、飛散を防止し、目的とするチップ状部品のみを的確にピックアップできる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ICカードの普及が進み、さらなる薄型化が望まれている。このため、従来は厚さが350μm程度であった半導体チップなどの電子部品を、厚さ50〜100μmあるいはそれ以下まで薄くする必要が生じている。
このような半導体チップなどの電子部品は、従来はダイシングテープと呼ばれる粘着シートにウエハを固定し、必要とする加工(ダイシング等)を加えチップ化した後、ダイシングテープの裏面(基材側)から突き上げピンにより突き上げることでピックアップされていた。しかし、薄型化されたチップは非常に脆いため、突き上げ時の衝撃により破損することがあった。
【0003】
そこで、本出願人はこの問題の解決のため、熱収縮性の基材を備えた粘着シートを用いる技術を提案している。この方法では、所要の過程を経てウエハをダイシングしてチップ化するとともに、基材まで切断した後、基材を収縮させることで、粘着剤層をも変形させ、チップと粘着剤層との接触面積を減少させて接着力を小さくすることで、チップのピックアップを容易にしている。ここで、チップのピックアップは、ニードルによる突き上げを行うことなく、吸引コレットなどにより行われる。しかし、この方法では、基材を完全に切断する必要があり、作業性に制限があった。すなわち、基材を完全切断するために、切込み量を適宜に設定し、ブレード磨耗量をモニターする必要があり、作業が煩雑になる。また切断が不完全であると、チップのピックアップが不可能になる場合もあった。さらに、微小なチップでは、基材の収縮力が過大であれば、チップが飛散する虞があるため、微小チップと大チップでは、基材の収縮能力を使い分けなければならない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来技術に鑑みてなされたものであって、チップ状部品の破損、飛散を防止し、目的とするチップ状部品のみを的確にピックアップできる方法を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るチップ状部品の第1の剥離方法は、
熱変形性基材と、該基材の少なくとも片面に設けられたエネルギー線硬化型粘着剤とからなる粘着シートに対し、前記基材を切断することなく、前記エネルギー線硬化型粘着剤層に整列してチップ状部品が貼付されてなる状態とする工程と、前記エネルギー線硬化型粘着剤層にエネルギー線を照射する工程とを行った後、
剥離の対象となるチップ状部品が固着されている部分への、集光レンズまたは反射鏡を用いての熱線のスポット照射、あるいは加熱コテの接触により、基材を部分的に加熱し、当該加熱部の基材を変形させ、
該部分的に加熱された箇所に貼付されているチップ状部品を剥離することを特徴としている。
【0006】
本発明に係るチップ状部品の第2の剥離方法は、
熱変形性基材と、該基材の片面に設けられたエネルギー線硬化型粘着剤と、他方の面に設けられた粘着剤層とからなる両面粘着シートに対し、前記基材を切断することなく、前記エネルギー線硬化型粘着剤層に整列してチップ状部品が貼付されてなり、かつ前記両面粘着シートの他面の粘着剤層が硬質板上に貼着されてなる状態とする工程と、前記エネルギー線硬化型粘着剤層にエネルギー線を照射する工程とを行った後、
剥離の対象となるチップ状部品が固着されている部分への、集光レンズまたは反射鏡を用いての熱線のスポット照射、あるいは加熱コテの接触により、基材を部分的に加熱し、当該加熱部の基材を変形させ、
該部分的に加熱された箇所に貼付されているチップ状部品を剥離することを特徴としている。
【0007】
本発明においては、前記熱変形性基材が熱収縮性フィルムからなることが好ましい。
このような本発明によれば、基材を切断する必要がないため、作業性が良好であり、またピックアップの対象となっているチップ状部品が貼付されている部分のみ粘着シートを加熱し、その場所のみで剥離するので、チップ状部品の破損や飛散を防止できる。また目的とするチップ状部品のみをピックアップできるので、生産効率の向上が可能になる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明についてさらに具体的に説明する。
本発明に係る第1の剥離方法においては、まず図1に示すように、基材12を切断することなく、粘着シート10のエネルギー線硬化型粘着剤層11に、チップ状部品1が整列固着された状態とする工程を行う。
【0009】
図1に示すような状態は、電子部品加工に要する種々の前処理工程を経て、様々な経路により実現される。したがって、本発明ではこのような状態の実現に如何なる工程を経てきたかについては特に限定はされない。以下に半導体装置の製造における本発明の前処理工程を説明する。
たとえば、粘着シート10のエネルギー線硬化型粘着剤層11上に固定された一枚の半導体ウエハを、個々の回路毎にフルカットダイシングすることによっても、図1の状態とすることができる。また、粘着シート10のエネルギー線硬化型粘着剤層11上に固定された一枚の半導体ウエハを、個々の回路毎にハーフカットダイシングした後、ブレーキングすることによっても、図1の状態とすることもできる。
【0010】
さらに、一枚の半導体ウエハの裏面研削を行った後、ダイシングシートと呼ばれる粘着シート上に該ウエハを保持し、個々の回路毎に、基材12を切込むことなく、フルカットダイシングするか、またはハーフカットダイシングの後のブレ−キングを行った後に、ダイシングシート上に整列固着されているチップを、粘着シート10のエネルギー線硬化型粘着剤層11に転写することで、図1の状態とすることができる。
【0011】
さらにまた、半導体回路が形成されたウエハ表面からそのウエハ厚さよりも浅い切込み深さの溝を形成し、ウエハ表面を粘着シート10のエネルギー線硬化型粘着剤層11に固定した後、該半導体ウエハの裏面研削をすることでウエハの厚みを薄くするとともに、最終的には個々のチップへの分割を行なうことによっても、図1の状態とすることができる。
【0012】
また本発明に係る第2の剥離方法においては、まず図2に示すように、両面粘着シート20の一面に整列固着されたチップ状部品1を、該両面粘着シート20を介して透明硬質板2上に保持する。
図2に示すような状態は、上記と同様に、半導体加工に要する種々の前処理工程を経て、様々な経路により実現される。したがって、本発明ではこのような状態の実現に如何なる工程を経てきたかについては特に限定はされない。
【0013】
たとえば、一枚の半導体ウエハの裏面研削を行った後、ダイシングシートと呼ばれる粘着シート上に該ウエハを保持し、個々の回路毎にフルカットダイシングまたはハーフカット後のブレ−キングを行った後に、ダイシングシート上に整列固着されているチップを、両面粘着シート20のエネルギー線硬化型粘着剤層21に転写し、透明硬質板2上に保持して、図2の状態とすることができる。
【0014】
また、両面粘着シート20のエネルギー線硬化型粘着剤層21で透明硬質板上に固定された一枚の半導体ウエハを、個々の回路毎に、基材12を切込むことなくフルカットダイシングするか、またはハーフカットダイシングの後のブレ−キングを行うことによっても、図2の状態とすることができる。両面粘着シート20を透明硬質板に貼着するのは、半導体ウエハのダイシング前であっても良いし、ダイシングしてチップに分割した後でも良い。
【0015】
さらに、半導体回路が形成されたウエハ表面からそのウエハ厚さよりも浅い切込み深さの溝を形成し、ウエハ表面を両面粘着シート20の粘着剤層21を介して透明硬質板2上に固定した後、該半導体ウエハの裏面研削をすることでウエハの厚みを薄くするとともに、最終的には個々のチップへの分割を行なうことによっても、図2の状態とすることができる。
【0016】
本発明では、図1または図2に示される状態とした後に、さらに必要に応じて、チップ状部品1に対して両面粘着シート20を切断することのない加工を行ってもよい。具体的には、個々のチップの裏面研削を行って、さらにチップの厚みを薄くするなどの処理を行ってもよい。
本発明に係る第1の剥離方法において用いる粘着シート10は、後に詳述するように、基材12と、該基材12の片面に設けられたエネルギー線硬化型粘着剤層11からなる。ここで、エネルギー線硬化型粘着剤層は11、エネルギー線照射により硬化し、チップ状部品に対する接着力が減少する性質を有する。
【0017】
本発明に係る第2の剥離方法において用いる粘着シート20は、基材12と、該基材12の両面に設けられた粘着剤層21、22とからなり、少なくとも一方の粘着剤層21(チップ状部品1が固着されている粘着剤層)がエネルギー線硬化型粘着剤からなる。
本発明では、上記工程に加え、エネルギー線硬化型粘着剤層にエネルギー線を照射して硬化させる工程を行う。
【0018】
第1の剥離方法においては、基材12の側からエネルギー線を照射し、また、第2の剥離方法においては、透明硬質板2側からエネルギー線を照射する。
なお、エネルギー線を照射する工程は、種々の前処理工程がある場合において、その前で行っても良いし、後で行っても良い。またチップ状部品1がエネルギー線硬化型粘着剤層11または21に貼着されていれば、最終的にチップに分割された前でも後でもよい。
【0019】
エネルギー線は、基材等を透過し、エネルギー線硬化型粘着剤層11または21に至る。したがって、エネルギー線として紫外線を用いる場合には、基材12(第2の方法では硬質板2、粘着剤層22も)は透明のものを用いる。エネルギー線の照射により、エネルギー線硬化型粘着剤層11または21は硬化し、その接着力は減少または消失し、チップ状部品1が剥離可能になる。
【0020】
エネルギー線の照射は、紫外線ランプ、高圧水銀灯などの従来より汎用の手段により行われる。また、エネルギー線をエネルギー線硬化型粘着剤層11または21の一部に照射する場合には、集光レンズや反射鏡等を用いればよい。
本発明では、上記エネルギー線照射後に、基材12を部分的に加熱する。
基材12の部分的加熱は、たとえば熱線照射あるいは加熱コテにより行うことができる。
【0021】
以下、図面では第2の剥離方法に準じて説明する。
熱線照射は、剥離の対象となっているチップ状部品が固着されている部分にスポット的に行われる。熱線のスポット照射は、ハロゲンランプ、キセノンランプあるいは高圧水銀灯を用いて行われ、スポット照射のためには図3に示すように集光レンズや反射鏡を用いればよい。熱線の照射は、チップ状部品側から行ってもよいし、基材12(または硬質板4)の側から行ってもよい。なお、高圧水銀灯は、エネルギー線源および熱光源としての機能を同時に有するので、高圧水銀灯を用いてスポット照射することで、エネルギー線および熱線のスポット照射が同時に行える。高圧水銀灯を用いる場合には、基材12(または硬質板4)の側から照射を行う。
【0022】
また、加熱コテによる加熱も、剥離の対象となっているチップ状部品が固着されている部分に接触して行われる。加熱コテが接触する先端の加熱部の大きさは、目的のチップ状部品以外の場所に接触しないよう、チップ状部品の大きさよりも小さいことが好ましい。加熱コテの加熱部の大きさがこのようであれば、加熱部の形状のどのような形でもよいが、チップ状部品と略同形状であれば好ましい。
【0023】
なお、チップ状部品が比較的大きな場合、たとえば1辺が3mm以上のチップである場合には、チップの周辺部のみを加熱してもよい。
このような熱線のスポット照射または加熱コテによる加熱により、基材を部分的に、好ましくは100〜300℃、さらに好ましくは150〜200℃程度にまで昇温することが望ましい。加熱時間は基材の熱変形の程度により様々だが、剥離工程の効率のため、60秒以下が好ましく、さらに30秒以下が好ましい。
【0024】
このような部分的加熱により、基材12の加熱部が、膨張、収縮、軟化等により一時的にまたは恒久的に変形する(図4参照)。この結果、エネルギー線硬化型粘着剤層11または21とチップ状部品1の周辺部とが、非接触状態になる。エネルギー線硬化型粘着剤層11または21は、既に硬化し粘着力を失っているので、非接触状態になった後に、再度チップ状部品と接触しても、チップ状部品と接着することはない。また、基材の変形により、エネルギー線硬化型粘着剤層11または21とチップ状部品1との接触面積は激減している。このため、基材が加熱された箇所に固着されていたチップ状部品1のみが、ニードルによる突き上げを行わずに吸引コレットだけなどの手段により容易に剥離できるようになる。したがって、チップの選択的な剥離が可能になり作業効率の向上が図られる。
【0025】
また、基材を部分的に加熱しているため、粘着シート10または両面粘着シート20は部分的に変形するのみである。このため、粘着シートの変形にともなうチップ状部品の整列性の低下や、チップ状部品同士の接触という事態を回避でき、チップ状部品の破損や飛散を防止できる。
次に本発明に係る第1の剥離方法で用いる粘着シート10について説明する。粘着シート10は、基材12と該基材の片面に形成されたエネルギー線硬化型粘着剤層11とからなる。
【0026】
基材12としては、熱変形性基材が用いられる。熱変形性とは、加熱により収縮、膨張または軟化して、その形状、厚み等が一時的または恒久的に変化する性質を意味する。
このような基材12としては、たとえば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢ビフィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム等が用いられる。さらにこれらの積層フィルムであってもよい。
【0027】
本発明で好ましく用いられる熱変形性基材の熱変形率(収縮率または膨張率、180℃、3分)は、少なくとも1方向が、10%以上であることが好ましく、10〜90%がさらに好ましく、特に好ましくは15〜80%である。さらに好ましくは2方向(流れ方向、幅方向)とも同様の範囲のものである。
なお、ここでフィルムの熱変形率は、変形前の寸法と変形後の寸法とから、下記の数式に基づき算出する。
【0028】
【数1】
【0029】
上記熱変形率は、フィルムを180℃で3分加熱した前後の寸法に基づいて算出される。
このような熱変形性基材は、一軸または二軸延伸加工を施して固定した市販の熱収縮性フィルムが好ましいが、熱可塑性樹脂を押出製膜した汎用のフィルムであっても前述の数値範囲であれば使用可能である。
【0030】
なお、熱可塑性樹脂よりなる汎用フィルムは、電子線照射等により架橋を施し、耐熱性を向上させれば、熱変形性が良好となるので好ましい。
上記のような熱変形性基材の厚さは、通常5〜300μmであり、好ましくは10〜200μmである。
なお、上記粘着シート10を使用する場合に、前述したように、所要の工程が終了した後、エネルギー線硬化型粘着剤層にエネルギー線を照射するが、エネルギー線として紫外線を用いる場合には、基材12を構成する全フィルムは紫外線透過性である必要がある。
【0031】
エネルギー線硬化型粘着剤は、一般的には、アクリル系粘着剤と、エネルギー線重合性化合物とを主成分としてなる。
エネルギー線硬化型粘着剤に用いられるエネルギー線重合性化合物としては、たとえば特開昭60−196,956号公報および特開昭60−223,139号公報に開示されているような光照射によって三次元網状化しうる分子内に光重合性炭素−炭素二重結合を少なくとも2個以上有する低分子量化合物が広く用いられ、具体的には、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートあるいは1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、市販のオリゴエステルアクリレートなどが用いられる。
【0032】
さらにエネルギー線重合性化合物として、上記のようなアクリレート系化合物のほかに、ウレタンアクリレート系オリゴマーを用いることもできる。ウレタンアクリレート系オリゴマーは、ポリエステル型またはポリエーテル型などのポリオール化合物と、多価イソシアネート化合物たとえば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネートなどを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマーに、ヒドロキシル基を有するアクリレートあるいはメタクリレートたとえば2−ヒドロキシエチルアクリレートまたは2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレートなどを反応させて得られる。
【0033】
エネルギー線硬化型粘着剤中のアクリル系粘着剤とエネルギー線重合性化合物との配合比は、アクリル系粘着剤100重量部に対してエネルギー線重合性化合物は50〜200重量部の量で用いられることが望ましい。この場合には、得られる粘着シートは初期の接着力が大きく、しかもエネルギー線照射後には粘着力は大きく低下する。したがって、チップ状部品1とアクリル系エネルギー線硬化型粘着剤層11との界面での剥離が容易になり、チップ状部品1を剥離できる。
【0034】
また、エネルギー線硬化型粘着剤層11は、側鎖にエネルギー線重合性基を有するエネルギー線硬化型共重合体から形成されていてもよい。このようなエネルギー線硬化型共重合体は、粘着性とエネルギー線硬化性とを兼ね備える性質を有する。側鎖にエネルギー線重合性基を有するエネルギー線硬化型共重合体は、たとえば、特開平5−32946号公報、特開平8−27239号公報等にその詳細が記載されている。
【0035】
上記のようなアクリル系エネルギー線硬化型粘着剤は、エネルギー線照射前にはチップ状部品1に対して充分な接着力を有し、エネルギー線照射後には接着力が著しく減少する。すなわち、エネルギー線照射前には、チップ状部品1を充分な接着力で保持するが、エネルギー線照射後には、チップ状部品1を容易に剥離することができる。
【0036】
エネルギー線硬化型粘着剤層11の厚さは、その材質にもよるが、通常は各々3〜100μm程度であり、好ましくは10〜50μm程度である。
次に本発明に係る第2の剥離方法で用いる両面粘着シート20について説明する。両面粘着シート20は、基材12と該基材の両面に形成された粘着剤層21および22とからなる。
【0037】
基材12としては、前記と同様のものが用いられる。
なお、上記両面粘着シート20を使用する場合に、前述したように、所要の工程が終了した後、エネルギー線硬化型粘着剤層にエネルギー線を照射するが、エネルギー線として紫外線を用いる場合には、基材12を構成する全フィルムは紫外線透過性である必要がある。
【0038】
両面粘着シート20は、上記基材12の両面に粘着剤層21および22が設けられてなり、チップ状部品1が貼着される側の粘着剤層21がエネルギー線硬化型粘着剤であり、また他方の粘着剤層22、すなわち硬質板2に貼付される側の粘着剤層22は、特に限定はされないが、好ましくはエネルギー線硬化型粘着剤からなる。
【0039】
粘着剤層21および22を、ともにエネルギー線硬化型粘着剤から形成した場合、粘着剤層21の硬化後の弾性率(弾性率α)が、粘着剤層22の硬化後の弾性率(弾性率β)よりも高くなるように、それぞれの粘着剤を選択することが好ましい。弾性率αは弾性率βの好ましくは2倍以上、さらに好ましくは5倍以上である。
【0040】
このように粘着剤層21,22の硬化後の弾性率を選定することにより、加熱による両面粘着シート20の変形が促進され、チップ状部品1の剥離が容易になる。
エネルギー線硬化型粘着剤としては、前記と同様のものが用いられる。
また、他方の粘着剤層22、すなわち硬質板2に貼付される側の粘着剤層は、従来より公知の種々の感圧性粘着剤により形成され得る。このような粘着剤としては、何ら限定されるものではないが、たとえばゴム系、アクリル系、シリコーン系、ポリウレタン系、ポリビニルエーテル等の再剥離型の粘着剤が用いられる。しかしながら、本発明においては、特に粘着剤層22も、上述したエネルギー線硬化型粘着剤からなることが好ましい。
【0041】
粘着剤層21および22の厚さは、その材質にもよるが、通常は各々3〜100μm程度であり、好ましくは10〜50μm程度である。
硬質板2としては、たとえばガラス板、石英板や、アクリル板、ポリ塩化ビニル板、ポリエチレンテレフタレート板、ポリプロピレン板、ポリカーボネート板等のプラスチック板などの透明硬質板が使用できる。硬質板2のASTM D 883により定義される硬度は、好ましくは70MPa以上である。硬質板2の厚みは、その材質にもよるが、通常は、0.1〜10mm程度である。硬質板2としては、本発明において用いるエネルギー線および熱線に対する透過性を有するものが用いられる。
【0042】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明に係るチップ状部品の剥離方法によれば、基材を切断する必要がないため、作業性が良好であり、またピックアップの対象となっているチップ状部品が貼付されている部分のみ粘着シートを加熱し、その場所のみで剥離が起こるので、チップ状部品の破損や飛散を防止できる。また目的とするチップ状部品のみをピックアップできるので、生産効率の向上が可能になる。
【0043】
【実施例】
以下本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0044】
【実施例1】
1−1)粘着剤の製造
アクリル系粘着剤(n−ブチルアクリレート62重量部、メチルメタアクリレート10重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート28からなる重量平均分子量650,000の共重合体)100重量部とメタクリロイルオキシエチルイソシアナート18重量部との反応により側鎖にエネルギー線重合性基を有するエネルギー線硬化型粘着剤組成物を得た。これに光重合開始剤であるイルガキュア184(チバ・ガイギー社製)を6重量部、架橋剤である多価イソシアナート化合物であるコロネートL(日本ポリウレタン社製)0.1重量部を混合し、粘着剤組成物(紫外線照射後の弾性率が9.5×108Pa)を得た。
1−2)熱変形性基材の製造
エチレン−メタクリル酸共重合フィルム(厚さ140μm、熱変形率が流れ方向19%(収縮)、幅方向−4%(膨張))上にウレタン系接着剤を厚さ5μmとなるように塗布し、熱収縮性ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ25μm、収縮率が流れ方向40%、幅方向40%)を該エチレン−メタクリル酸共重合フィルム上の接着剤層に貼合し、加速電圧225KV、ビーム電流438mA、ドーズ10Mradで電子線照射した。電子線照射によりエチレン−メタクリル酸共重合フィルムが架橋して耐熱性が上昇し、かつ貼合用接着剤が硬化し総厚170μmの積層体よりなる熱変形性基材を得た。
1−3)粘着シートの製造
上記1−1)で得られた粘着剤組成物を、剥離処理された厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に厚さ30μmとなるように塗布し、100℃で1分間加熱した。次いで、1−2)で得られた積層体の熱収縮性ポリエチレンテレフタレート側に貼り合わせて紫外線硬化型の粘着シートを得た。
1−4)チップ状部品の製造
100μmの5インチウエハを、紫外線硬化型ダイシングテープ(リンテック社製:商品名Adwill D-650)で2mm角にフルカットダイシングした。該ダイシングテープの基材面から紫外線を照射(リンテック社製、商品名RAD-2000m/8、照度400mW/cm2、光量264mJ/cm2)した後、該ダイシングテープが貼られている反対側のウエハ面に、上記で得られた粘着シートの粘着剤面を貼合した。その後、ダイシングテープを剥がし、切り分けられたチップに転写し、リングフレームを粘着シートに貼付し図1に示す構成のサンプルを得た。
【0045】
続いて、各粘着シートへ予め紫外線を照射(RAD-2000m/8、照度400mW/cm2、光量264mJ/cm2)した後、切り分けられたチップを下にして基材背面から半田コテを5秒間押し当てチップが落下するか否かを評価した。5秒間押し当てたときの温度は、表面温度計で測定した結果180℃であった。チップが落下した場合をA、落下しない場合をBとする。
【0046】
【実施例2】
2−1)熱変形性基材の製造
エチレン−メタクリル酸共重合フィルム(厚さ140μm、弾性率が2.15×108Pa、熱変形率が流れ方向19%(収縮)、幅方向−4%(膨張))を加速電圧200KV、ビーム電流432mA、ドーズ10Mradで電子線照射し熱変形性基材とした。
2−2)粘着シートの製造
上記1−1)で得られた粘着剤組成物を、剥離処理された厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に厚さ10μmとなるように塗布し、100℃で1分間加熱した。次いで、2−1)で得られたエチレン−メタクリル酸共重合フィルムに貼り合わせて紫外線硬化型の粘着シートを得た。
【0047】
実施例1と同様にして、粘着シートの評価を行った。
【0048】
【実施例3】
3−1)熱変形性基材の製造
ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ100μm、熱変形率流れ方向1%(収縮)、幅方向1%(収縮))上にポリウレタン系接着剤を厚さ10μmとなるように塗布し、100℃で1分間加熱した。次いで、電子線架橋を施さないエチレン−メタクリル酸共重合フィルム(厚さ140μm、熱変形率が流れ方向19%(収縮)、幅方向−4%(膨張))を、該ポリエチレンテレフタレートフィルム上の接着剤層の貼合し、総厚250μmの積層体よりなる熱変形性基材を作成した。
3−2)粘着シートの製造
上記1−1)で得られた粘着剤組成物を、剥離処理された厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に厚さ10μmとなるように塗布し、100℃で1分間加熱した。次いで、3−1)で得られた積層体のエチレン−メタクリル酸共重合フィルム側に貼り合わせて紫外線硬化型の粘着シートを得た。
【0049】
実施例1と同様にして、粘着シートの評価を行った。
【0050】
【比較例1】
熱変形性基材に代えて、非収縮性のポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ100μm、熱変形率流れ方向1%(収縮)、幅方向1%(収縮))上に、上記1−1)で得られた粘着剤組成物を厚さ10μmとなるように塗布し、紫外線硬化型の粘着シートを得た。
【0051】
実施例1と同様にして、粘着シートの評価を行った。
【0052】
【実施例4】
4−1)粘着剤の製造
実施例1の1−1)と同様な操作で粘着剤組成物(紫外線照射後の弾性率が9.5×108Pa)を得た。
4−2)硬質板側貼着用粘着剤の製造
アクリル系粘着剤(n−ブチルアクリレート91重量部、アクリル酸9重量部からなる重量平均分子量700,000の共重合体)100重量部と重量平均分子量10000のウレタンアクリレートオリゴマー120重量部と、架橋剤であるイソシアナート化合物であるコロネートL(日本ポリウレタン社製)を10重量部とを混合し粘着剤組成物(紫外線照射後の弾性率が1.5×108Pa)を得た。
4−3)片面粘着シートの作成
上記4−1)で得られた粘着剤組成物を、剥離処理された厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に厚さ15μmとなるように塗布し、100℃で1分間加熱した。次いで、熱変形性基材として熱収縮性ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ25μm、熱変形率が流れ方向40%(収縮)、幅方向40%(収縮))に貼り合わせて片面紫外線硬化型の粘着シートを作成した。
4−4)両面粘着シートの製造
上記4−2)で得られた粘着剤組成物を、剥離処理された厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に厚さ15μmとなるように塗布し、100℃で1分間加熱した。次いで、4−3)で得られた片面粘着シートの熱収縮性ポリエチレンテレフタレートフィルム側の面に貼り合わせ、両面粘着シートを作成した。
4−5)チップ状部品の製造
350μmの5インチウエハを、紫外線硬化型ダイシングテープ(リンテック社製:商品名Adwill D-650)で2mm角にフルカットダイシングした。該ダイシングテープの基材面から紫外線を照射(RAD-2000m/8、照度400mW/cm2、光量264mJ/cm2)した後、該ダイシングテープが貼られている反対側のウエハ面に、上記で得られた両面粘着シートの粘着剤面(紫外線硬化後の弾性率が9.5×108Pa)を貼合した。その後、ダイシングテープを剥がし、切り込みのない両面粘着シートへ切り分けられたチップを転写した。
【0053】
ウエハの外周に沿って両面粘着シートをカットし、もう片方の粘着剤面(紫外線硬化後の弾性率が1.5×108Pa)にガラスを貼合し、図2に示す構成のサンプルを得た。
続いて、ガラス面から予め紫外線を照射(RAD-2000m/8、照度400mW/cm2、光量264mJ/cm2)し粘着剤層を硬化させた後、切り分けられたチップを下にしてガラス側からキセノンランプによるスポット照射を行い(照射距離20mm、スポット径1mmφ、30秒間)、チップが落下するか否かを評価した。30秒間キセノンランプを照射したときの温度は、表面温度計で測定した結果170℃であった。チップが落下した場合をA、落下しない場合をBとする。
【0054】
【実施例5】
実施例4の熱収縮性ポリエチレンテレフタレートフィルムの代わりに、加速電圧200KV、ビーム電流432mA、ドーズ10Mradで電子線照射したエチレン−メタクリル酸共重合フィルム(厚さ140μm、弾性率が2.15×108Pa、熱変形率が流れ方向19%(収縮)、幅方向−4%(膨張))を熱変形性基材として用いた以外は、実施例4と同様な操作を行い両面粘着シートを形成した。
【0055】
実施例4と同様にして、両面粘着シートの評価を行った。
【0056】
【比較例2】
実施例4の熱収縮性ポリエチレンテレフタレートフィルムの代わりに、非収縮性のポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ12μm、収縮率流れ方向1%、幅方向1%)を用いた以外は、実施例4と同様な操作を行い両面粘着シートを形成した。
【0057】
実施例4と同様にして、両面粘着シートの評価を行った。
【0058】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るチップ状部品の第1の剥離方法の一工程を示す。
【図2】本発明に係るチップ状部品の第2の剥離方法の一工程を示す。
【図3】本発明に係るチップ状部品の第2の剥離方法の一工程を示す。
【図4】本発明に係るチップ状部品の第2の剥離方法の一工程を示す。
【符号の説明】
1…チップ状部品
2…硬質板
11,21…エネルギー線硬化型粘着剤層
12…基材
22…粘着剤層
Claims (4)
- 熱変形性基材と、該基材の少なくとも片面に設けられたエネルギー線硬化型粘着剤とからなる粘着シートに対し、前記基材を切断することなく、前記エネルギー線硬化型粘着剤層に整列してチップ状部品が貼付されてなる状態とする工程と、前記エネルギー線硬化型粘着剤層にエネルギー線を照射する工程とを行った後、
剥離の対象となるチップ状部品が固着されている部分への、集光レンズまたは反射鏡を用いての熱線のスポット照射、あるいは加熱コテの接触により、基材を部分的に加熱し、当該加熱部の基材を変形させ、
該部分的に加熱された箇所に貼付されているチップ状部品を剥離することを特徴とするチップ状部品の剥離方法。 - 前記熱変形性基材が熱収縮性フィルムからなることを特徴とする請求項1に記載のチップ状部品の剥離方法。
- 熱変形性基材と、該基材の片面に設けられたエネルギー線硬化型粘着剤と、他方の面に設けられた粘着剤層とからなる両面粘着シートに対し、前記基材を切断することなく、前記エネルギー線硬化型粘着剤層に整列してチップ状部品が貼付されてなり、かつ前記両面粘着シートの他面の粘着剤層が硬質板上に貼着されてなる状態とする工程と、前記エネルギー線硬化型粘着剤層にエネルギー線を照射する工程とを行った後、
剥離の対象となるチップ状部品が固着されている部分への、集光レンズまたは反射鏡を用いての熱線のスポット照射、あるいは加熱コテの接触により、基材を部分的に加熱し、当該加熱部の基材を変形させ、
該部分的に加熱された箇所に貼付されているチップ状部品を剥離することを特徴とするチップ状部品の剥離方法。 - 前記熱変形性基材が熱収縮性フィルムからなることを特徴とする請求項3に記載のチップ状部品の剥離方法。
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