JP3980274B2 - 化学気相成長装置およびそれを用いた成膜方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は化学気相成長装置およびそれを用いた成膜方法に関し、特に、比較的大面積を有する基板に成膜可能な化学気相成長装置と、それを用いた成膜方法とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
薄膜トランジスタ(TFT)を用いた液晶表示装置の大型化と高精細化に伴って、TFTに高精細化が要求されている。このため、従来のアモルファスシリコン膜を用いたTFTに代わって、ポリシリコン膜を用いたTFTのニーズが高まっている。アモルファスシリコン膜やポリシリコン膜を用いたTFTの性能や信頼性はゲート絶縁膜に依存している。このようなゲート絶縁膜はプラズマCVD法により形成されている。
【0003】
現在、用いられているプラズマCVD装置の一つに平行平板型のプラズマCVD装置がある。平行平板型のプラズマCVD装置では、上部電極と下部電極との間の比較的広い領域にプラズマが発生される。
【0004】
このようなプラズマCVD装置によってゲート絶縁膜を成膜すると、ゲート絶縁膜が形成される下地膜やゲート絶縁膜と下地膜との界面へのプラズマ中のイオンによるダメージを避けることができない。このため、TFTにおけるしきい値電圧を高精度で制御することができなくなる。
【0005】
このようなダメージを回避して、高品質のゲート絶縁膜を形成する方法としてECRプラズマCVD法を利用したECRプラズマCVD装置が検討されている。ECRプラズマCVD装置では、チャンバ(反応室)内の磁場により電子のサイクロトロン共鳴を起し、その周波数をマイクロ波の周波数と一致させることにより、高密度のプラズマが生成される。
【0006】
また、プラズマ中のイオンによるダメージを完全に無くすためにプラズマを用いずに光を利用するいわゆる光CVD装置も検討されている。光CVD装置では、光によって反応ガス(材料ガス)を励起させて成膜が行われる。
【0007】
さらに、上述した光CVD法を利用した反応室とプラズマを利用した反応室とを備えたCVD装置も検討されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のCVD装置では、以下のような問題点があった。プラズマを利用したCVD装置の場合、プラズマと材料ガスとの反応が所定の空間において広がりながら進むため、たとえば材料ガスとしてモノシラン(SiH4)を用いる場合には、モノシランの解離が進んで高次シランが発生しやすくなる。
【0009】
このため、絶縁膜の成長表面に高次シランを含む大きな分子が吸着することになり、成長表面の拡散を妨げたり、このような分子が絶縁膜中に取り込まれることになって、絶縁膜の膜質を悪化させることがあった。
【0010】
また、ECRプラズマCVD装置では、たとえば、8インチ程度までの比較的面積の小さい基板では均一な膜質および膜厚の絶縁膜を形成することはできても、液晶表示装置に用いられる比較的大面積のガラス基板においては、均一な膜質および膜厚の絶縁膜を形成することは困難であった。
【0011】
さらに、光CVD装置においても絶縁膜を形成することは可能であるが、成膜速度が遅く、絶縁膜の緻密性が劣っているという問題があった。
【0012】
また、光CVD法を利用した反応室とプラズマを利用した反応室とを備えたCVD装置では、たとえば光CVD法による成膜の次にプラズマCVD法による成膜を行おうとすると、基板を一方の反応室から他方の反応室へ移動するのに時間を要して、CVD装置のスループットが低下するという問題があった。
【0013】
さらに、基板を移動する際に基板表面にダストが付着することがあり、この後形成される絶縁膜の膜質や膜厚において所望の均一性が得られないという問題があった。
【0014】
また、プラズマCVD法に比べて光CVD法は成膜速度が遅いため、これがスループットを律速してしまい、CVD装置全体のスループットが悪くなるという問題があった。さらには、一方の反応室にトラブルが生じた場合には、全装置の稼動を停止しなければならずさらにスループットが悪くなった。
【0015】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、1つの目的は、基板に均一な膜質および膜厚の膜を形成でき、かつ、高いスループットが得られる化学気相成長装置を提供することであり、他の目的はそれを用いた成膜方法を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の一つの局面における化学気相成長装置は、反応室、1対の電極部、ステージ部および光源部を備えている。1対の電極部は、間隔を隔てられて互いに対向するように反応室内に配置され、反応室内にプラズマを生成する。ステージ部は、1対の電極部によって挟まれた領域に配置され、基板を保持する。光源部は、反応室内の1対の電極部によって挟まれた領域に配置され、所定の波長の光をプラズマの生成領域に照射する。
【0017】
この構成によれば、プラズマに加えてそのプラズマの生成領域に所定波長の光が照射されることで、プラズマを生成するためのRFパワーとしてはより少ないRFパワーでもって反応室内に導入された材料ガスの解離が行われる。これにより、プラズマによる基板へのダメージを低減することができる。また、光源部が1対の電極部によって挟まれた領域に配置されることで、光源部から発せられた光が他の部分で吸収されることなくプラズマの生成領域に照射されて材料ガスの解離が進みやすくなる。さらに、その光が膜が成長する表面にも照射されることになり、プラズマ中で発生して表面に付着したラジカルやイオンにマイグレーションエネルギーを与えることになって膜の緻密化を促進する。その結果、基板上に均一な膜質と膜厚を有し電気的特性に優れた膜が比較的速く形成される。さらに、1つの反応室内にプラズマが生成され、かつ、そのプラズマ生成領域に光が照射されるため、プラズマが生成される反応室と光が照射される反応室とが別個である場合と比べると基板を搬送する必要がないので、スループットの向上も図ることができる。
【0018】
好ましくは、光源部は、光源本体と、その光源本体を覆う覆い部とを有し、覆い部は光源部が発する光を実質的に透過させる材質からなる。
【0019】
この場合には、光源本体には反応生成物等が付着せず、覆い部を交換することで、常にほぼ一定の強度の光を照射することができる。
【0020】
また好ましくは、1対の電極部のうちの一方の電極部はステージ部を含み、光源部は、1対の電極部のうちの他方の電極部と基板とによって挟まれる領域に基板の面に沿ってそれぞれ距離を隔てて複数配置され、そして、基板を基板の面に平行にスライドさせる移動機構を備えている。
【0021】
この場合には、複数の光源部によりプラズマ生成領域に光が照射されることで、さらに少ないRFパワーにより材料ガスを効率よく解離させるとともに基板の表面における膜の緻密化をさらに促進させることができる。また、プラズマの生成領域が限られることになって、基板へのダメージをさらに低減できるとともに、たとえば、材料ガスとしてシランを適用した場合に高次シランの発生を抑制できる。そして、移動機構を備えていることで、基板の面内において均一に光が照射されて膜質と膜厚の均一性のより高い膜を形成することができる。
【0024】
本発明の他の局面における成膜方法は、以下の工程を備えている。反応室内に配置されたプラズマを生成するための1対の電極部のうちの一方の電極部に基板を保持する。所定の波長の光を発する光源部を1対の電極部によって挟まれた領域に配置し、保持された基板と1対の電極部のうちの他方の電極部とによって挟まれた領域に、プラズマが生成される前に、または生成されると同時に光源部から所定の波長の光を照射する。プラズマの生成領域に材料ガスを導入して基板上に所定の膜を形成する。
【0025】
この成膜方法によれば、プラズマに加えてそのプラズマの生成領域に所定波長の光が照射されることで、プラズマを生成するためのRFパワーとしてはより少ないRFパワーでもって反応室内に導入された材料ガスの解離が行われる。これにより、プラズマによる基板へのダメージが抑えられる。また、光源部を1対の電極部によって挟まれた領域に配置することで、光源部から発せられた光が他の部分で吸収されることなくプラズマの生成領域に照射されて材料ガスの解離が進みやすくなる。さらに、その光が膜が成長する表面にも照射されることになり、プラズマ中で発生して表面に付着したラジカルやイオンにマイグレーションエネルギーを与えることになって膜の緻密化を促進する。その結果、基板上に均一な膜質と膜厚を有し電気的特性に優れた膜を比較的速く安定して形成することができる。
【0026】
好ましくは、反応室には光源部が他方の電極部と基板とによって挟まれる領域に基板の面に沿ってそれぞれ距離を隔てて複数配置され、所定の膜を形成する成膜工程は基板を基板の面に平行に移動させながら行われる。
【0027】
この場合には、複数の光源部によりプラズマ生成領域に光が照射されることで、さらに少ないRFパワーにより材料ガスを効率よく解離させて基板の表面における膜の緻密化をさらに促進させることができるとともに、プラズマの生成領域が限られることになって、基板へのダメージをさらに低減でき、たとえば、材料ガスとしてシランを適用した場合に高次シランの発生を抑制できる。さらに、基板を移動させながら成膜することで、基板面内において均一に膜を形成することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
実施の形態1
本発明の実施の形態1に係る化学気相成長装置(以下、「CVD装置」と記す。)について説明する。図1に示すように、このCVD装置では、反応室11内にカソード電極となる上部電極1とアノード電極となる下部電極2との1対の平行平板型の電極が配置されている。ここで、反応室11の容積をたとえば25000cm3とした。上部電極1を一辺が300mmの正方形とした。さらに、上部電極1と下部電極2との間隔を50mmとした。
【0029】
上部電極1はインピーダンスの調整を行うためのマッチングボックス12を介して電源13と電気的に接続されている。下部電極2には、内部にヒータ(図示せず)が設けられ基板7が載置される。
【0030】
上部電極1と下部電極2とによって挟まれた領域には、光源4が設置されている。光源4は線状の光源である。光源4を保護するために、光源4は石英等の透明な絶縁材3によって覆われている。絶縁材3は、たとえば長さ300mm、一辺が40mmの正方形の断面形状を有している。また、光源4は、たとえば長さ300mm、直径30mmである。なお、光源4は固定しやすくするためにマスク6上に配置されているが、マスク6から離れて配置されていてもよい。
【0031】
光源4の波長は、材料ガス(反応ガス)の吸収係数等によって選択することになる。この場合、光源4として波長172nmのエキシマランプを使用している。絶縁材3の内側には、光源4の出力モニタ5が取付けられている。出力モニタ5により光源4の劣化の状態が測定される。
【0032】
絶縁材3の材質は光源4の波長に依存する。絶縁材3として石英を用いた場合、波長172nmの光に対しては若干の吸収が認められる。これに対して、絶縁材3の材料としてフッ化マグネシウムを用いる場合には、この波長に対する吸収はさらに小さくなる。しかし、価格や材質の安定性を考えると、フッ化マグマグネシウムは比較的大きな形状のものには適さず、現実的には石英が好ましい。
【0033】
このCVD装置の場合、光源4として用いるエキシマランプの光強度をたとえば50mW/cm2とし、石英からなる絶縁材料3を透過した後の光強度を約30mW/cm2とした。なお、絶縁材3は単体で定期的に清掃することができ、また交換することもできる。
【0034】
成膜時には、たとえばシリコンの基板7はマスク6により下部電極2上に固定される。上部電極と1と下部電極2との間の領域にプラズマ8が生成される。エキシマランプの光源4はプラズマの生成と同時に点灯させるか、または、プラズマを生成する前に点灯させる。なお、基板7としては、シリコンの基板の他にガラス基板あるいは樹脂材料からなる基板等であってもよい。
【0035】
上述したCVD装置において、モノシラン(SiH4)ガスと一酸化二窒素(N2O)ガスを原料ガスとして、SiO2からなる絶縁膜を成膜する場合を例に挙げて説明する。
【0036】
まず、プラズマ中における原料ガスの反応は次のように進む。
SiH4+e→SiH3+H+e
N2O+e→N+NO
SiH3+NO→SiH3NO
2SiH3NO→(SiH3)2O+N2O
ここで、Si−Hの結合エネルギーは約3eVであり、N−Nの結合エネルギーは約10eVである。したがって、N−Nの結合エネルギーの方がより高いことから、SiH4とN2Oとにおける最初の反応を考えると、N2Oの方が解離しにくいことがわかる。
【0037】
このため、電源13から上部電極1へ供給されるRFパワーが低い場合には、N2Oから供給される酸素が少なく、酸素不足の膜質の悪い膜が形成されることになる。つまり、この反応ではSiH4に対してN2Oが不足した状態になる。これを避けるためには、SiH4の供給律速の状態で成膜を行う必要があり、具体的に、上部電極1の単位面積(1平方センチメートル)あたり、たとえば0.3W以上のRFパワーを供給することが望ましい。
【0038】
一方、RFパワーが上昇するとプラズマの電位が高くなって基板7に対するイオンエネルギーが増加する。このため、下地膜に対するイオンによるダメージが大きくなり界面欠陥が増加することになる。また、SiO2からなる絶縁膜中の欠陥もイオンによるダメージのために低減化に限界がある。このため、RFパワーを適切に制御する必要がある。
【0039】
次に、上述したCVD装置を用いた絶縁膜の成膜方法について説明する。まず、下部電極2上にシリコンの基板7を載置した後、反応室11内にSiH4(流量:0.003〜0.01L/min(3〜10sccm))、N2O(流量:1L/min(1000sccm))を導入し、圧力を93.1〜199.5Pa(0.7〜1.5Torr)に調整する。
【0040】
電源13からマッチングボックス12を介して上部電極1に13.56MHzのRFパワーを供給して、上部電極1と下部電極2との間の領域にプラズマ8を生成する。このとき、RFパワーはプラズマCVD法のみで成膜する場合と比べて低いRFパワーにしておく。具体的に、上部電極1の単位面積(1平方センチメートル)あたり、たとえば0.3W以下のRFパワーに設定しておくことが望ましい。この場合には、上述したように、N2Oの解離が不十分な状態にある。
【0041】
RFパワーを供給すると同時に、絶縁材3で覆われた光源4(エキシマランプ)を点灯する。このとき、光源4が上部電極1と下部電極2との間に配置されていることで、光源4のごく近傍にプラズマ8が生成される。このため、光源4から発せられた光が、他の部分で吸収されることなくプラズマ8の生成領域に照射されることになる。これにより、照射された光のエネルギーを受けてN2Oの解離が進みやすくなり酸素が豊富に供給されることになって、酸素不足に伴う欠陥や固定電荷を抑えることができる。
【0042】
ここで、SiH4とN2Oの吸収係数を図2に示す。図2に示すように、波長165nmから200nmの領域では、N2Oの吸収係数がSiH4の吸収係数よりも大きい。したがって、光源4として波長165〜200nmの領域内にある光を照射することで、相対的にN2Oの解離を促進することができる。
【0043】
光源4から発せられる光は反応ガスの解離を促進させるだけでなく、その一部は基板7の表面にも照射される。絶縁膜が成長する表面に照射された光により、表面に吸着したプラズマ中で発生したラジカルやイオン(核種)にマイグレーションエネルギーが与えられることになる。マイグレーションエネルギーとは、核種が絶縁膜の成長表面に吸着し、絶縁膜の表面を拡散するエネルギーをいう。したがって、このことは基板7の温度が比較的低いような場合に膜の緻密化を補助する効果がある。
【0044】
次に、光源4による光照射を行った場合と光照射を行わなかった場合とについてそれぞれ得られた絶縁膜を評価した結果について説明する。まず、図3は、リーク電流のRFパワー依存性を評価したグラフである。図3に示すように、光を照射した場合では、光を照射しなかった場合に比べてリーク電流が相対的に減少していることがわかった。
【0045】
図4は、固定電荷密度のRFパワー依存性を評価したグラフである。図4に示すように、光を照射した場合では、光を照射しなかった場合に比べて固定電荷密度が相対的に減少していることがわかった。このように、プラズマと光とを併用することでリーク電流および固定電荷密度の小さい絶縁膜が得られることがわかった。特に、RFパワーがより低い領域においてその差が顕著に現れていることがわかった。
【0046】
以上説明したように、プラズマと光を併用したCVD装置を用いることで、リーク電流が少なく固定電荷密度が小さい絶縁膜を比較的低いRFパワーをもって形成することができる。
【0047】
また、1つの反応室11内にプラズマ8が生成され、そのプラズマ8の生成領域に光が照射されるため、プラズマが生成される反応室と光が照射される反応室とが別個である装置と比較すると、基板7を搬送する必要がないので、スループットの向上も図ることができる。
【0048】
なお、この実施の形態では、基板としてシリコン基板を例に挙げたが、比較的大面積を有するガラス基板へも成膜できる。
【0049】
実施の形態2
本発明の実施の形態2に係るCVD装置について説明する。図5に示すように、上部電極1と下部電極2との間の領域に光源4が複数設置されている。また、基板7が載置される下部電極2には、基板7をスライドするための移動機構(図示せず)が設けられている。なお、これ以外の構成については、実施の形態1において説明した図1に示すCVD装置と同様なので、同一部材には同一符号を付しその説明を省略する。
【0050】
上述したCVD装置では、光源4が複数設置されていることで、プラズマ10が生成される領域は、実施の形態1において説明したCVD装置と比べて狭い領域に制限されることになる。これにより、モノシランSiH4が、副次的な反応を繰返し起す前にプラズマ10の生成領域から出る確率が高くなって、高次シランの発生が抑制される。
【0051】
高次シランが発生した場合、高次シランを含む大きな分子が絶縁膜の表面に吸着して成長表面の拡散を妨げたり、絶縁膜中に取り込まれて欠陥となるなど、絶縁膜の劣化要因を生み出すことになる。したがって、このCVD装置ではこのような高次シランの発生が抑制されることで、絶縁膜の劣化を防止することができる。
【0052】
ところで、プラズマ10が生成される領域が狭い領域に制限されるために、基板7上には絶縁膜が形成される領域とそうでない領域が存在することになる。このCVD装置では、下部電極2に移動機構が設けられていることで、光源4に対して一方向または双方向に基板7を移動させることができて、基板7の全面に均一に絶縁膜を形成することができる。
【0053】
次に、上述したCVD装置による成膜方法について説明する。ここで、反応室11の容積、上部電極1と下部電極の面積と間隔、光源4および絶縁材3の寸法は、実施の形態1のCVD装置と同様とする。下部電極2に載置されるウェハからなる基板7の周縁はマスク6により覆われている。
【0054】
基板7の周縁に位置する絶縁材3はマスク6上に配置され、基板7の周縁より内側に位置する絶縁材3はマスク6上に配置されていない。隣合う絶縁材3間の距離を20〜50mmとする。
【0055】
なお、基板7の周縁に位置する絶縁材3はマスク6上に配置されているが、マスク6から離れて配置されていてもよい。また、基板7としてウェハを例に挙げたが、この他にガラスの基板や樹脂からなる基板であってもよい。
【0056】
光源4としてエキシマランプを使用し、その光強度をたとえば50mW/cm2とし、絶縁材料3を透過した後の光強度を約30mW/cm2とする。下部電極2に設けられたヒータの温度を350℃とする。
【0057】
反応室11内にSiH4(流量:0.003〜0.01L/min(3〜10sccm))、N2O(流量:1L/min(1000sccm))を導入し、圧力を93.1〜199.5Pa(0.7〜1.5Torr)に調整する。この材料ガスは、上部電極1を兼ねた複数の噴出し口を備えたシャワープレート(図示せず)から反応室11内に供給される。
【0058】
電源13からマッチングボックス12を介して上部電極1に13.56MHzのRFパワーを供給して、上部電極1と下部電極2との間の領域にプラズマ10を生成する。このとき、プラズマ10は。上部電極1と下部電極との間の、絶縁材3によって挟まれた領域に生成される。また、RFパワーを供給するのと同時に光源4を点灯させる。
【0059】
さらに、実施の形態1において説明したように、光源4から発せられる光(紫外線)によってN2Oの解離が促進される。このため、RFパワーとしては、たとえば0.3W/cm2以下のプラズマCVD法のみで成膜する場合と比べて低いRFパワーに設定する。また、成膜中においては、基板7を光源4に対して一方向または双方向に移動させる。このようにして、基板7上に絶縁膜が形成される。
【0060】
このCVD装置では、特に、上部電極1と下部電極2との間に複数の光源4が配置されることによってN2Oの解離が効率よく行われる。これにより、RFパワーをさらに小さく設定することができて、高次シランの発生を一層抑えることができるとともに、膜の緻密化を促進することができる。また、プラズマ中のイオンによる基板7の下地膜へのダメージをさらに低減することができる。
【0061】
上記実施の形態1および2において説明したCVD装置では、膜として絶縁膜(シリコン酸化膜)を形成する場合を例にあげて説明したが、アモルファスシリコン膜やシリコン窒化膜の成膜にも適用であることがわかった。
【0062】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は上記の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0063】
【発明の効果】
本発明の一つの局面における化学気相成長装置によれば、プラズマに加えてそのプラズマの生成領域に所定波長の光が照射されることで、プラズマを生成するためのRFパワーとしてはより少ないRFパワーでもって反応室内に導入された材料ガスの解離が行われる。これにより、プラズマによる基板へのダメージを低減することができる。また、光源部が1対の電極部によって挟まれた領域に配置されることで、光源部から発せられた光が他の部分で吸収されることなくプラズマの生成領域に照射されて材料ガスの解離が進みやすくなる。さらに、その光が膜が成長する表面にも照射されることになり、プラズマ中で発生して表面に付着したラジカルやイオンにマイグレーションエネルギーを与えることになって膜の緻密化を促進する。その結果、基板上に均一な膜質と膜厚を有し電気的特性に優れた膜が比較的速く形成される。さらに、1つの反応室内にプラズマが生成され、かつ、そのプラズマ生成領域に光が照射されるため、プラズマが生成される反応室と光が照射される反応室とが別個である場合と比べると基板を搬送する必要がないので、スループットの向上も図ることができる。
【0064】
好ましくは、光源部は、光源本体と、その光源本体を覆う覆い部とを有し、覆い部は光源部が発する光を実質的に透過させる材質からなることで、光源本体には反応生成物等が付着せず、覆い部を交換することで、常にほぼ一定の強度の光を照射することができる。
【0065】
また好ましくは、1対の電極部のうちの一方の電極部はステージ部を含み、光源部は、1対の電極部のうちの他方の電極部と基板とによって挟まれる領域に基板の面に沿ってそれぞれ距離を隔てて複数配置されていることで、複数の光源部によりプラズマ生成領域に光が照射されて、さらに少ないRFパワーにより材料ガスを効率よく解離させるとともに基板の表面における膜の緻密化をさらに促進させることができる。また、プラズマの生成領域が限られることになって、基板へのダメージをさらに低減できるとともに、たとえば、材料ガスとしてシランを適用した場合に高次シランの発生を抑制できる。そして、基板を基板の面に平行にスライドさせる移動機構を備えていることで、基板の面内において均一に光が照射されて膜質と膜厚の均一性のより高い膜を形成することができる。
【0067】
本発明の他の局面における成膜方法によれば、プラズマに加えてそのプラズマの生成領域に所定波長の光が照射されることで、プラズマを生成するためのRFパワーとしてはより少ないRFパワーでもって反応室内に導入された材料ガスの解離が行われる。これにより、プラズマによる基板へのダメージが抑えられる。また、光源部を1対の電極部によって挟まれた領域に配置することで、光源部から発せられた光が他の部分で吸収されることなくプラズマの生成領域に照射されて材料ガスの解離が進みやすくなる。さらに、その光が膜が成長する表面にも照射されることになり、プラズマ中で発生して表面に付着したラジカルやイオンにマイグレーションエネルギーを与えることになって膜の緻密化を促進する。その結果、基板上に均一な膜質と膜厚を有し電気的特性に優れた膜を比較的速く安定して形成することができる。
【0068】
好ましくは、反応室には光源部が他方の電極部と基板とによって挟まれる領域に基板の面に沿ってそれぞれ距離を隔てて複数配置されていることで、さらに少ないRFパワーにより材料ガスを効率よく解離させて基板に膜を形成することができるとともに、プラズマの生成領域が限られることになって、基板へのダメージをさらに低減でき、たとえば、材料ガスとしてシランを適用した場合に高次シランの発生を抑制できる。また、所定の膜を形成する成膜工程では、基板を基板の面に平行に移動させながら成膜されることで、基板面内において均一に膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1に係るCVD装置の一断面図である。
【図2】 同実施の形態において、SiH4とN2Oの吸収係数の波長依存性を示す図である。
【図3】 同実施の形態において、絶縁膜の特性を説明するためのリーク電流のRFパワー依存性を示す図である。
【図4】 同実施の形態において、絶縁膜の特性を説明するための固定電荷密度のRFパワー依存性を示す図である。
【図5】 本発明の実施の形態2に係るCVD装置の一断面図である。
【符号の説明】
1 上部電極、2 下部電極、3 絶縁材、4 光源、5 光モニタ、6 マスク、7 基板、8、10 プラズマ、11 反応室、12 マッチングボックス、13電源。
Claims (5)
- 反応室と、
間隔を隔てられて互いに対向するように前記反応室内に配置され、前記反応室内にプラズマを生成するための1対の電極部と、
前記1対の電極部によって挟まれた領域に配置された、基板を保持するためのステージ部と、
前記反応室内の前記1対の電極部によって挟まれた領域に配置され、所定の波長の光を前記プラズマの生成領域に照射するための光源部と
を備えた、化学気相成長装置。 - 前記光源部は、
光源本体と、
前記光源本体を覆う覆い部と
を有し、
前記覆い部は前記光源部が発する光を実質的に透過させる材質からなる、請求項1記載の化学気相成長装置。 - 前記1対の電極部のうちの一方の電極部は前記ステージ部を含み、
前記光源部は、前記1対の電極部のうちの他方の電極部と前記基板とによって挟まれる領域に前記基板の面に沿ってそれぞれ距離を隔てて複数配置され、
前記基板を前記基板の面に平行にスライドさせる移動機構を備えた、請求項1または2に記載の化学気相成長装置。 - 反応室内に配置されたプラズマを生成するための1対の電極部のうちの一方の電極部に基板を保持する工程と、
所定の波長の光を発する光源部を前記1対の電極部によって挟まれた領域に配置し、保持された前記基板と前記1対の電極部のうちの他方の電極部とによって挟まれた領域に、プラズマが生成される前に、または生成されると同時に前記光源部から所定の波長の光を照射する工程と、
前記プラズマの生成領域に材料ガスを導入して前記基板上に所定の膜を形成する成膜工程と
を備えた成膜方法。 - 前記反応室には前記光源部が前記他方の電極部と前記基板とによって挟まれる領域に前記基板の面に沿ってそれぞれ距離を隔てて複数配置され、
前記成膜工程は前記基板を前記基板の面に平行に移動させながら行われる、請求項4記載の成膜方法。
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