JP3982282B2 - 電池の寿命判定方法および電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電池の寿命を簡単に判定する方法および寿命を簡単に判定できる電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電池の寿命を簡単に判定する方法についての試みが種々なされてきた。たとえば、電池の内部インピーダンスを測定する方法、サーモラベルを使用する方法、メモリーカードを使用する方法などが知られている(特開平4−292871号公報、特開平5−36443号公報など)。
【0003】
しかし、電池の内部インピーダンスを測定する方法では、インピーダンスを測定する装置が別途必要となるばかりか、インピーダンスの変化と電池の寿命との関係も不明確な点が多く、一般のユーザーがこの方法を用いて簡単に電池の寿命を判定できるものではなかった。
【0004】
また、サーモラベルを使用する方法は、電池の温度が寿命末期において上昇するという特性に着目してこの温度変化をサーモラベルで検出しようとするものであるが、上記同様当該温度変化と電池の寿命との関係が不明確となりやすく、また外部気温などの影響を受けやすいことからユーザーが簡単且つ正確にその判定ができるというものではなかった。
【0005】
一方、メモリーカードを使用する方法は、電池の使用開始と同時に計時動作を開始するタイマー機能と該タイマー機能の設定時間の経過後に所定の表示動作をする表示機能とを有するメモリーカードを使用するものであるが、電池の使われ方などにより使用期間とその寿命とは必ずしも相関関係になく、正確にその判定ができるものではなかった。
【0006】
さらに、上記サーモラベルを使用する方法やメモリーカードを使用する方法では、何れも電槽の外部にそれらを設置する構造となっており、電池の内部状態を直接検出することによってその寿命を判定しようとするものではないため、実質的にその内部状態の変化を直接検出することによりその寿命を判定する方法は知られていなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の問題点に鑑みなされたものであってその目的とするところは、電池の内部状態を直接検出することによりユーザーが簡単且つ正確に電池の寿命を判定することができる方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、電池を使用し続けると特定の金属イオンが電解液中に溶出してくるという現象を生じることを見出し、当該金属イオンを検出すれば電池の寿命を簡単に判定できるのではないかとの知見の下、さらに研究を重ねることによりついに本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、フタロシアニン類およびその誘導体、ならびにポルフィリン類およびその誘導体から選ばれた少なくともひとつの化合物を電池の電解液中に存在させ、当該化合物が電池の構成部材から溶出してくる金属イオンと有色の錯化合物を形成することによって、その錯化合物の発色を検出することにより電池の寿命を判定する方法に関する。
【0010】
また本発明は、フタロシアニン類およびその誘導体、ならびにポルフィリン類およびその誘導体から選ばれた少なくともひとつの化合物を電解液中に存在させ、当該化合物が構成部材から溶出してくる金属イオンと有色の錯化合物を形成することによって、その錯化合物の発色を検出することによりその寿命を判定することが可能な電池に関する。
【0011】
さらに本発明の電池は、錯化合物の発色を外部から検出できるように電槽表面に窓が設けられている。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明に使用されるフタロシアニン類およびその誘導体としては、フタロシアニンやポリクロロフタロシアニンをはじめ、フタロシアニン骨格を有する化合物であって且つ後述の金属イオンと反応して有色の錯化合物を形成する能力を有する化合物であれば、従来公知のいかなるものも使用し得る。
【0013】
また本発明に使用されるポルフィリン類およびその誘導体としては、ポルフィリンやテトラフェニルポルフィリンをはじめ、ポルフィリン骨格を有する化合物であって且つ後述の金属イオンと反応して有色の錯化合物を形成する能力を有する化合物であれば、従来公知のいかなるものも使用し得る。
【0014】
なお、上記のフタロシアニン類やポルフィリン類ならびにそれらの誘導体は、適宜親水性の置換基(たとえばスルホン酸塩やカルボン酸塩など)を導入することにより、電解液中への溶解性を調節することができる。
【0015】
本発明においては、これらのフタロシアニン類およびその誘導体やポルフィリン類およびその誘導体を電池の電解液中に存在させることを特徴とするものであるが、その存在量は通常0.0001%〜1%、好ましくは0.001%〜0.1%の範囲の濃度で存在させることができる。上記濃度範囲を下回る場合は、後述の金属イオンと錯化合物を形成した際にその発色の度合いが低くなりすぎるため金属イオンの検出ができなくなる一方、上記濃度範囲を上回る場合は、電解液や電極の導電特性等に悪影響を及ぼすこととなるため何れも好ましくない。
【0016】
次に本発明が対象とする電池としては、広く1次電池や2次電池に適用可能であるが、その使用形態や使用期間との関係からすると2次電池への適用が好適である。特に、ニッケル−水素(Ni−MH)電池やリチウムイオン電池への利用を好適な例としてあげることができる。
【0017】
また上記電池の電解液としては、通常各電池の種類によりその組成はそれぞれ異なったものとなるが、一般には各種酸類の水溶液や各種アルカリの水溶液その他各種塩類の水溶液が挙げられる。たとえば、上記のニッケル−水素(Ni−MH)電池の場合を例にとれば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどの水溶液を挙げることができる。なお、これらはあくまでも例示であって電解液は各種の水溶液のみに限定されるものではなく、たとえばポリマー電解質やゲル電解質も含まれる。
【0018】
一方、上記の電池の構成部材から溶出してくる金属イオンとしては、前記のフタロシアニン類等と有色の錯化合物を形成するものであれば、特に限定されるものではない。それらを例示すると、たとえば電池の種類にもよるがCu、Ni、Co、Feなどのイオンを挙げることができる。
【0019】
かかる金属イオンは、未使用の電池の電解液中には通常全く存在しないか、あるいは存在するとしても1ppm以下の濃度でしか存在しておらず、電池が使用されるにつれてその濃度が経時的に上昇し、通常数ppm以上の濃度になるとフタロシアニン等の錯形成化合物の作用によりその存在を確認できるようになる。
【0020】
したがって、当該金属イオンの種類等に応じてフタロシアニン等の錯形成化合物の種類や濃度を調整することにより、当該電池の寿命を判定できることとなる。
【0021】
なお、これらの金属イオンは、電極などの電池の構成部材を構成する金属が直接電解液中に溶出してイオンとなったものがまず考えられるが、本発明における金属イオンの起源はこれのみに限られるものではなく、決してその起源を限定するものではない。したがって、電池を組立てる際の溶接時等に電池の構成部材(たとえば電極等)の表面に付着した金属であってそれが溶出してイオンとなったものも含まれる。
【0022】
以上のように、本発明は、電池の構成部材から溶出してくる金属イオンの濃度が、電池の使用期間や保管期間あるいは充放電の回数等に比例して次第に高濃度となることを利用したものであって、その金属イオン濃度をフタロシアニン等のような錯化合物の作用により可視的に判定できるようにしたことを最大の特徴とするものである。
【0023】
すなわち、本発明は、電解液中の錯化合物の発色を検出すること(つまり電池の内部状態の変化を直接検出すること)により、その電池の寿命を簡単に判定可能としたものである。
【0024】
なお、かかる確認方法としては種々のものが挙げられるが、一般のユーザーが簡便に判定するためには、目視による確認方法が最も好適であり、この点、ユーザーが簡単にその確認ができるように電槽表面に確認用の窓を設けることが好ましい。
【0025】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0026】
(実施例1)
電池の概略図を示す図1および図2に基づき説明する。
【0027】
ニッケル−水素(Ni−MH)電池本体1の電槽2の表面には、確認用の窓3が設けられている。当該電池中の電解液4の組成は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等の水溶液であり、正極5は活物質がNi(OH)2であり添加材がCo、CoOOH、ZnO、Y2O3である。また、負極6は活物質がNi吸蔵合金(MmNi4.2Co0.3Al0.3Mn0.5;Mm:La、Ce、Pr、Nd)であり添加材がY2O3などであって、その他Ni材、Fe(Niめっき)材およびセパレーター7から構成されている。
【0028】
当該電池本体1の電解液4中に、フタロシアニンを0.01%の濃度で含有させた。
【0029】
次いで、自動車の実車10年間の走行パターンをインプットした充放電試験機(内部抵抗が30%増加する条件に相当)を用いて上記の電池を試験した後、当該電池の電槽2の表面に設けられている確認窓3を通して電解液の状態を目視により確認した。
【0030】
その結果、当該試験を行なう前は無色だった電解液の色が、青色に変化しており、当該電池の寿命が末期であることを確認することができた。
【0031】
上記電解液の色が青色に変化したのは、電解液中のフタロシアニンと銅イオンとが反応して錯化合物である銅フタロシアニンを生成したためであるが、当該銅イオンは上記電池の組立て工程において溶接時に電極表面等に付着した銅が溶出したものと考えられる。
【0032】
(実施例2)
実施例1において、フタロシアニンに代えてテトラフェニルポルフィリンを0.01%の濃度で用いることを除き、他はすべて同様にして試験を行なった。
【0033】
その結果、当該試験を行なう前は無色だった電解液の色が、試験後には青色に変化しており、当該電池の寿命が末期であることを確認することができた。
【0034】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、極めて簡単に電池の寿命を判定することができ、しかも電池の内部構造の一つである電解液の状態を直接検出するものであるため、当該判定を非常に正確に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電池の斜視図である。
【図2】 上記電池の断面図である。
【符号の説明】
1 電池本体、2 電槽、3 確認窓、4 電解液、5 正極、6 負極、7セパレーター。
Claims (2)
- フタロシアニン類およびその誘導体、ならびにポルフィリン類およびその誘導体から選ばれた少なくともひとつの化合物を電池の電解液中に存在させ、当該化合物が電池の構成部材から溶出してくる金属イオンと有色の錯化合物を形成することによって、その錯化合物の発色を検出することによる電池の寿命判定方法。
- フタロシアニン類およびその誘導体、ならびにポルフィリン類およびその誘導体から選ばれた少なくともひとつの化合物を電解液中に存在させ、当該化合物が構成部材から溶出してくる金属イオンと有色の錯化合物を形成することによって、その錯化合物の発色を検出することによりその寿命を判定することが可能な電池であって、錯化合物の発色を外部から検出できるように電槽表面に窓が設けられている電池。
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