JP3983016B2 - 4ストローク内燃機関のバルブ休止機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、4ストローク内燃機関の動弁カムに当接して往復動するバルブリフタとポペットバルブのバルブステム間に介装されるバルブ休止機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
斯かるバルブ休止機構を備えた例として、特開平10−184327号公報に記載されたものがあり、図14ないし図16に示す。
4ストローク内燃機関のシリンダヘッド01に摺動自在に嵌合されるバルブリフタ03がリフタスプリング04に付勢されて動弁カム02に接している。
【0003】
バルブリフタ03内にスライドピンホルダ05が嵌合されており、同スライドピンホルダ05にスライドピン06がバルブリフタ03の移動方向に直角な方向に摺動自在に嵌挿されている。
【0004】
スライドピン06は図15に示すように円柱状をなし、側面の一部が平面状に切欠かれてステム当り面06bが形成され、ステム当り面06aに隣り合わせてステム貫通孔06bが円柱中心軸に対して直交して穿設されている。
【0005】
スプリング07に付勢されたスライドピン06が油圧により摺動し、このスライドピン06の隣り合うステム当り面06aとステム貫通孔06bに頂端が臨むようにバルブステム08がバルブスプリング09に付勢されて配設されている。
【0006】
したがってステム当り面06aがバルブステム08の頂端に臨む位置にスライドピン06があれば(図16参照)、スライドピン06を介してバルブステム08を下降させることができ、動弁カム02の回転により昇降するバルブリフタ03に追随してバルブステム08を昇降させてバルブ開閉を行うことができる。
【0007】
そしてスライドピン06を移動してステム貫通孔06bがバルブステム08の頂端に臨む位置にすると(図14の状態)、ステム貫通孔06bをバルブステム08が抜けてバルブステム08を下降させることができずバルブ休止状態とすることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前記休止機構を備える分、それを有しない弁機構に対して動弁系慣性重量は増大し、それに対応してバルブスプリング荷重を大きくしなければならず、その結果カムととリフターのフリクションが増大することになった。
【0009】
また上記のような形状のスライドピン06の場合、バルブ作動状態において図16に示すようにスライドピン06のステム当り面06aにバルブステム08の頂端が当り荷重が加わると、該ステム当り面06aの背後にあるステム貫通孔06bの若干えぐれた開口部の最も深い点Pに応力が集中し易い。
【0010】
そのため、スライドピン外径とステム貫通孔等の寸法関係やバルブスプリング荷重等の関係により、バルブ作動状態でのスライドピンの曲げ応力に対する耐久性を考慮する必要があった。
本発明は斯かる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、軽量かつ耐久性に優れたスライドピンを備えるバルブ休止機構を供する点にある。
【0011】
【課題を解決するための手段及び作用効果】
上記目的を達成するために、本請求項1記載の発明は、動弁カムとポペットバルブのバルブステム間に介装されるバルブリフタがリフタスプリングにより常時前記動弁カムに当接させる方向に付勢され、前記バルブリフタ内に嵌着されたスライドピンホルダにスライドピンが前記バルブステムに直交する方向に摺動自在に嵌合され、前記スライドピンにはバルブスプリングにより付勢されたポペットバルブのバルブステムが当接するステム当り面とバルブステムが貫通するステム貫通孔が隣り合わせて形成され、前記スライドピンを移動して前記ステム当り面とステム貫通孔とを選択的に前記バルブステムに臨ませるスライドピン駆動手段を備えたバルブ休止機構付きの4ストローク内燃機関において、前記スライドピンの前記ステム当り面の背後の外周面に開口した前記ステム貫通孔の開口縁にステム当り面側に凹む面取り部が形成され、前記面取り部は、凹みの最も深い部分に前記ステム貫通孔の中心軸と垂直に交叉する平面部が形成され、同面取り部のスライドピン中心軸方向の両端が前記平面部から滑らかな曲面をなしてスライドピンの外周面に連続している4ストローク内燃機関のバルブ休止機構とした。
【0012】
スライドピンのステム当り面の背後の外周面に開口した前記ステム貫通孔の開口縁にステム当り面側に凹む面取り部が形成される分、スライドピンを軽量化できる。
面取り部はステム貫通孔の中心軸に垂直に交叉する平面部が形成され、そのスライドピン中心軸方向の両端が平面部から滑らかな曲面をなしてスライドピンの外周面に連続しているので、スライドピンのステム当り面にバルブステムの頂端が当接し押圧したとき、その背後のステム貫通孔の開口部に生じる応力が点に集中せずに面取り部の平面部で拡散されて耐久性が大幅に増す。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の4ストローク内燃機関のバルブ休止機構の前記スライドピンにおいて、前記ステム貫通孔の内径Dに対する外径dの比d/Dが、1.36〜1.40であるときに、外径dに対する前記面取り部の平面部からその背後の側面までの距離hの比h/dが0.73〜0.82であることを特徴とする。
【0014】
ステム貫通孔の内径Dに対する外径dの比d/Dが、軽量化を図りつつ強度を保てる1.36〜1.40のときに、外径dに対する前記面取り部の平面部からその背後の側面までの距離hの比h/dを0.73〜0.82に設定することで、バルブ作動状態で、バルブステムからスライドピンが受ける押圧力によりスライドピンに生じる最大応力を最小にすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下本発明に係る一実施の形態について図1ないし図13に基づき説明する。
【0016】
図示されない自動二輪車に搭載されるOHC式4ストローク内燃機関1は、図1に図示されるように、クランク軸(図示されず)が車巾方向に指向して、車体前方のシリンダと車体後方のシリンダとが前後に直角の夾角をなした前後V型内燃機関であり、OHC式4ストローク内燃機関1の本体は、シリンダブロック2と、シリンダブロック2の下面に一体に装着されるクランクケース3と、該シリンダブロック2の車体前方シリンダ列および車体後方シリンダ列の頂端にそれぞれ一体に装着される2個1組のシリンダヘッド4と、該シリンダヘッド4の頂部をそれぞれ覆う2個1組のヘッドカバー5とよりなっている。
【0017】
また、車体前方と車体後方とに設置されたシリンダブロック2には、図2(車体前方のシリンダブロックのみ示されている)に図示されるように、車体前方と後方とに、シリンダボア6がそれぞれ車巾方向に2個ずつ並んで4気筒のOHC式4ストローク内燃機関1が構成され、車体前後各シリンダヘッド4の下面には、図3に図示されるように、シリンダボア6に対応した個所にペントルーフ型凹部7がそれぞれ形成され、シリンダボア6に嵌装されたピストン(図示されず)とシリンダボア6と凹部7とで燃焼室8が画成されている。
【0018】
さらに、前記V型4気筒OHC式4ストローク内燃機関1の車体前後各シリンダ列において、シリンダ夾角側(図1に図示される前後V型空間Aに接する側、すなわち、車体前方のシリンダ列と車体後方のシリンダ列とに挟まれた空間)に図示されない気化器、吸気チャンバー等の吸気装置が配置されるとともに、前記車体前後各シリンダ列の外側(前後V空間Aの外側B)に図示されない排気管が接続されている。
【0019】
さらに、図3に図示されるように、車体前方のシリンダヘッド4の後部には、前記吸気装置に接続する1本の上流側吸気通路が吸気下流側で2本の吸気通路に分岐して燃焼室8に2個所開口する吸気ポート9が形成され、同車体前方のシリンダヘッド4の前部には、該燃焼室8に2個所開口した2本の上流側排気通路が排気下流側で1本の排気通路に集合して図示されない排気管に接続する排気ポート10が形成され、図2に図示されるように前記2個の吸気開口11a、11bと2個の排気開口12a、12bとをそれぞれ開閉自在に密閉する吸気ポペットバルブ13a、吸気ポペットバルブ13bと、排気ポペットバルブ14a、14bとがシリンダヘッド4に設けられている。
【0020】
そして、車体後方のシリンダヘッド4にも、前記車体前方のシリンダヘッド4における吸気ポート9および排気ポート10と前後を逆にした吸気ポートおよび排気ポートが形成されている。
【0021】
さらにまた、図2に図示されるように、各シリンダボア6における車体外側に位置した吸気開口11aには、図3に図示のバルブ休止機構無しバルブリフタ17が付設された常時開閉の吸気ポペットバルブ13aが設けられるとともに、各シリンダボア6における車体外側に位置した排気開口12aには、図3に図示のバルブ休止機構付きバルブリフタ18が付設された開閉休止可能な排気ポペットバルブ14aが設けられている。
【0022】
そして、各シリンダボア6における車体内側に位置した吸気開口11bには、車体外側の吸気開口11aとは逆に、バルブ休止機構付きバルブリフタ18が付設された吸気ポペットバルブ13bが設けられるとともに、各シリンダボア6における車体内側に位置した排気開口12bには、車体外側の排気開口12aとは逆に、バルブ休止機構無しバルブリフタ17が付設されている(縦断面図には図示されていない)。
【0023】
以下、車体前方のシリンダヘッド4における車体外側の吸気開口11aに設けられたバルブ休止機構無しバルブリフタ17付設の吸気ポペットバルブ13aと、排気開口12aに設けられたバルブ休止機構付きバルブリフタ18付設の排気ポペットバルブ14aとについてのみ説明する。
【0024】
吸気ポペットバルブ13aのバルブステム15aの延長上方に吸気カムシャフト19が配設されるとともに、排気ポペットバルブ14aのバルブステム16aの延長上方に排気カムシャフト20が配設され、該吸気カムシャフト19および排気カムシャフト20は、図2に図示されるように、車巾方向中央に位置したカムシャフトホルダ23と車巾方向右側に位置したカムシャフトホルダ24でもってシリンダヘッド4に回転自在に枢着される。
【0025】
各シリンダボア6毎における該吸気カムシャフト19の吸気カム21と排気カムシャフト20の排気カム22とは、吸気ポペットバルブ13aのバルブ休止機構無しバルブリフタ17aと排気ポペットバルブ14aのバルブ休止機構付きバルブリフタ18aとの各頂面にそれぞれ当接され、吸気カムシャフト19と排気カムシャフト20との各車体右端にそれぞれドリブンスプロケット25,25が一体に装着され、図示されないクランクシャフトと一体のドライブスプロケット(図示されず)とドリブンスプロケット25,25とに図示されない無端チェンが架渡されており、OHC式4ストローク内燃機関1が運転状態となると、クランクシャフトの回転速度の半分の速度でかつ同一方向へ、吸気カム21および排気カム22は回転駆動されるようになっている。
【0026】
バルブ休止機構無しバルブリフタ17が付設されている吸気ポペットバルブ13aでは、吸気ポペットバルブ13aのバルブステム15aを摺動自在に案内支持するバルブガイド筒26は、バルブ休止機構の無い分だけ長く形成され、吸気ポペットバルブ13aのバルブステム15a頂部にリテーナ27が嵌装され、該リテーナ27はバルブステム15a頂端にコッタ28でもって一体に結着され、バルブガイド筒26上部付近のバルブスプリング受け片29とリテーナ27とに内外2条のバルブスプリング30、31が並列に介装されており、該バルブスプリング30、31のスプリング力でもって吸気ポペットバルブ13aは常に吸気ポート9の開口11aを密閉する方向へ付勢されるようになっている。
【0027】
そして吸気ポペットバルブ13aのバルブステム15aの頂端とバルブ休止機構無しバルブリフタ17の頂壁17aとの間でかつリテーナ27の中央孔にシム33が嵌装されており、前記バルブスプリング30、31のスプリング力でもってバルブ休止機構無しバルブリフタ17の頂壁17aが吸気カム21に当接する方向へ付勢されるようになっている。
【0028】
また、バルブ休止機構付きバルブリフタ18が付設されている排気ポペットバルブ14aでは、排気ポペットバルブ14aのバルブステム16aを摺動自在に案内支持するバルブガイド筒34は、バルブ休止機構が有る分だけ短く形成され、排気ポペットバルブ14aのバルブステム16aの頂端でなく上部途中にリテーナ35が嵌装され、該リテーナ35はバルブステム16aの上部にコッタ36でもって一体に結着され、バルブガイド筒34上部付近のスプリング受け片37とリテーナ35とにバルブスプリング38が介装される。
該バルブスプリング38より巻回径の大きなリフタスプリング39がスプリング受け片37とバルブ休止機構付きバルブリフタ18aとに介装されている。
【0029】
したがってバルブスプリング38のスプリング力でもって排気ポペットバルブ14aは常に排気ポート10の開口排気開口12aを密閉する方向へ付勢されるとともに、リフタスプリング39のスプリング力でもってバルブ休止機構付きバルブリフタ18の頂壁18aは排気カム22に当接する方向へ付勢されるようになっている。
【0030】
そして、バルブ休止機構付きバルブリフタ18の頂壁18aの中央部には、その外周部よりもやや厚く、かつシムの役を果すための厚肉部57が形成され、該厚肉シム部18cは、種々の厚さに形成されて数種類のバルブ休止機構付きバルブリフタ18が用意されている。
【0031】
次にバルブ休止機構付きバルブリフタ18におけるバルブ休止機構41について説明する。
【0032】
図4および図5に図示されるように、バルブ休止機構付きバルブリフタ18は、その円筒状周壁18bがシリンダヘッド4に設けられたリフタガイド孔52にガイドされて上下方向に摺動自在であり、バルブ休止機構付きバルブリフタ18内にはスライドピンホルダ43が嵌挿されている。
【0033】
スライドピンホルダ43は、図6に図示するように中央の円筒部43aとその周りの円環部43bをクロスメンバ43c,43dが連結しており、円筒部43aの円孔がステムガイド孔43eをなし、円環部43bの外周面に外周凹溝56が形成され、一方の直径方向に指向したクロスメンバ43cにスライドピン穴44が一端を閉塞されて形成され、スライドピン穴44の閉塞された端部寄りに通孔44aが設けられ、開口した他端にガイドピン孔44bが貫通形成されている。
【0034】
このスライドピンホルダ43が、その円環部43bをバルブ休止機構付きバルブリフタ18の円筒状周壁18bに沿わせて挿入され、円筒部43aの上端をシム部18cに当接させる。
スライドピンホルダ43のスライドピン穴44にはスライドピン45が摺動自在に嵌挿される。
【0035】
スライドピン45は、図7ないし図10に図示するように、円柱状をなし、側面の一部が平面状に切欠かれてステム当り面45aが形成され、ステム当り面45aに隣り合わせてステム貫通孔46がステム当り面45aに垂直でピン円柱中心軸に対して直交して穿設されている。
【0036】
スライドピン45のステム当り面45aの背後の側面がステム貫通孔46に亘って面取りされており、その面取り部45bはステム貫通孔46の中心軸と垂直に交叉する平面45c(ステム当り面45aに平行で図10に格子状ハッチで示した部分)が形成され、そのスライドピン中心軸方向の両端が滑らかな曲面をなしてスライドピン45の外周面に連続している。
【0037】
スライドピン45の一端には径方向にガイド溝45dが形成され、他端にはスプリングガイド穴45eが設けられ、スプリングガイド穴45eの開口縁の一部が切欠かれて通気溝45fが形成されている。
【0038】
ここにスライドピン45は、図8に示すようにその円柱の外径をd、ステム貫通孔46の内径をDとすると、ステム貫通孔46の内径Dに対するスライドピン45の外径dの比d/Dが、軽量化を図りつつ強度を維持できる1.36〜1.40の範囲にある。
【0039】
この比d/D=1.36〜1.40にあるときに、面取り部45bの平面45cからその背後の側面までの距離(すなわち面取り部45bの平面45cまでの深さを外径dから減算した距離)をhとすると(図8参照)、この距離hのスライドピン45の外径dに対する比h/dが0.73〜0.82の関係にあるよう設計されている。
【0040】
斯かるスライドピン45のスプリングガイド穴45eにピンスプリング49を嵌挿して、スライドピンホルダ43のスライドピン穴44にピンスプリング49を先にして挿入し、ガイドピン47をガイドピン孔44bに嵌入し、スライドピン45のガイド溝45dを貫通させ、スライドピン45の姿勢を規制するとともに、ピンスプリング49により付勢されるスライドピン45の移動をガイドピン47により規制する。
【0041】
このようにスライドピン45が挿入されたスライドピンホルダ43が、バルブ休止機構付きバルブリフタ18内に挿入される。
このバルブ休止機構付きバルブリフタ18がリフタガイド孔52に嵌挿されると、図4に示すように排気ポペットバルブ14のバルブステム16aの頂端がスライドピンホルダ43のステムガイド孔43eの下部にガイドされ、ステム貫通孔46またはステム当り面45aに対向する。
【0042】
リフタスプリング39は、スライドピンホルダ43に上端を当接してスライドピンホルダ43を介してバルブ休止機構付きバルブリフタ18を上方に付勢して排気カム22に当接する。
【0043】
バルブ休止機構付きバルブリフタ18の円筒状周壁18bには、スライドピンホルダ43の外周凹溝56にバルブ休止機構付きバルブリフタ18aがどの個所に位置しても連通する側孔55が複数穿設され、この側孔55にバルブ休止機構付きバルブリフタ18aがどの個所に位置しても連通する内周凹溝53がシリンダヘッド4のリフタガイド孔52に形成され、この内周凹溝53は連通孔54を介してシリンダヘッド4の圧油通路51に連通している。
【0044】
圧油通路51は、OHC式4ストローク内燃機関1内に設けられた図示されない油圧ポンプの吐出口に制御弁(図示されず)を介して接続されている。
以上のような油圧駆動装置50により圧油通路51から連通孔54,内周内周凹溝53,側孔55,外周凹溝56を通ってスライドピンホルダ43のスライドピン穴44の開口部に圧油を導入して、スライドピン45をピンスプリング49に抗してスライドさせることができる。
【0045】
OHC式4ストローク内燃機関1が低速または低負荷で運転して、圧油通路51に圧油が供給されない状態では、スライドピン穴44に圧油が導入されず、スライドピン45はピンスプリング49のスプリング力により付勢されて移動し、図4および図5に図示するようにステム貫通孔46がバルブステム16aの直上に位置した状態でガイド溝45dの底部がガイドピン47に係止される。
【0046】
この低速・低負荷運転状態においては、排気ポペットバルブ14a(および吸気ポペットバルブ13b)のバルブステム16a(15b)、の頂部がスライドピン45のステム貫通孔46内を貫通して相対的に自由に摺動することができるので、排気カム22(吸気カム21)によってバルブ休止機構付きバルブリフタ18が上下に昇降駆動されても、排気ポペットバルブ14a(吸気ポペットバルブ13b)は閉塞状態に保持され、バルブ休止状態に設定される。
【0047】
一方、OHC式4ストローク内燃機関1が高速または高負荷で運転されて、圧油通路51に圧油が供給されると、圧油通路51から連通孔54、内周内周凹溝53,側孔55,外周凹溝56を介してスライドピン孔44内に圧油が導入され、スライドピン孔44の入口部の圧油圧力により、ピンスプリング49のスプリング力に打勝ってスライドピン45が移動され、図11および図12に図示されるように、スライドピン45のステム当り面45aに、排気ポペットバルブ14a(吸気ポペットバルブ13)のバルブステム16a(15b)の頂端が対向し、排気カム22(吸気カム21)によってバルブ休止機構付きバルブリフタ18が昇降駆動されると、図11および図12に図示されるようにスライドピン45を介して排気ポペットバルブ14a(吸気ポペットバルブ13b)は開閉される。
【0048】
ここにスライドピン45は、面取り部45bを有して軽量化が図られているので、バルブ休止機構付きバルブリフタ18において排気ポペットバルブ14a(吸気ポペットバルブ13b)の等価重量が減少し、リフタスプリング39およびバルブスプリング38のスプリング荷重が縮小し、吸気ポペットバルブ13b、排気ポペットバルブ14aを開閉するための動力損失が節減される。
【0049】
またスライドピン45は、ステム貫通孔46の内径Dに対するスライドピン45の外径dの比d/Dが、1.36〜1.40の範囲にあって軽量化を図りつつ強度を維持できるようにしている。
【0050】
また面取り部45bには、図10に格子状ハッチで示すようにステム貫通孔46の中心軸と垂直に交叉する平面45cが形成され、そのスライドピン中心軸方向の両端が滑らかな曲面をなしてスライドピンの外周面に連続しているので、スライドピン45のステム当り面45aにバルブステム16aの頂端が当接し押圧したとき、その背後のステム貫通孔46の開口部に生じる応力が点に集中せずに面取りの平面45cで拡散されて耐久性が大幅に増す。
【0051】
さらに面取り部45bの平面45cからその背後の側面までの距離hを、スライドピン45の外径dに対する比h/dで0.73〜0.82とすることで、バルブ作動状態で、バルブステムからスライドピンが受ける押圧力によりスライドピンに生じる最大応力を最小にすることができる。
【0052】
この比h/dの値は、スライドピン45の外径dを一定にして距離hを変えたときの応力σの変化を測定した結果から得られたもので、図13にその応力変化のグラフを示す。
【0053】
距離hが小さいと、すなわち深く面取りされていると、ステム貫通孔46の厚みが減少し曲げ剛性が低下して応力σが大きくなる。
逆に距離hが大きいと、面取りがない従来のものに近くなり、ステム貫通孔46の開口部の最も深い部分に応力が集中し易く(図16の点P参照)応力σが大きくなる。
【0054】
したがって応力変化は図13に示すように下に凸の曲線をなし、応力σには最小値σminがあり、比h/d=0.73〜0.82となる距離hのときに最小値σminとなることが実験から導かれた。
【0055】
なお排気ポペットバルブ14a、吸気ポペットバルブ13bが、バルブ休止機構付きバルブリフタ18a、18bによってバルブ休止された低速または低負荷運転状態では、常時開閉の吸気ポペットバルブ13a、排気ポペットバルブ14bは、図2に図示されるように、対角線方向に位置しているため、燃焼室8内の混合気にスワールが発生し、着火が確実に行なわれて、未燃ガスの発生が抑制されるとともに燃費が改善される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本出願発明に係るバルブ休止機構付き4ストローク内燃機関の概略側面図である。
【図2】 前部ヘッドカバーを外した前部シリンダヘッドの頂面図である。
【図3】 図2のIII−III線に沿って裁断した断面図である。
【図4】 図3において、バルブ休止状態の要部拡大断面図である。
【図5】 図4のV−V線に沿って裁断した断面図である。
【図6】 スライドピンホルダの斜視図である。
【図7】 スライドピンの斜視図である。
【図8】 同スライドピンの断面図である。
【図9】 同下面図である。
【図10】 同上面図である。
【図11】 図3において、バルブ休止が解除された状態の要部拡大断面図である。
【図12】 バルブ休止が解除されてカムにより排気バルブが開放した状態の断面図である。
【図13】 距離hを変えたときの応力σの変化を示したグラフである。
【図14】 従来のバルブ休止機構を示す要部断面図である。
【図15】 同バルブ休止機構に用いられているスライドピンの斜視図である。
【図16】 同スライドピンおよびバルブステムの当接した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1…OHC式4ストローク内燃機関、2…シリンダブロック、3…クランクケース、4…シリンダヘッド、5…ヘッドカバー、6…シリンダボア、7…凹部、8…燃焼室、9…吸気ポート、10…排気ポート、11…吸気開口、12…排気開口、13…吸気ポペットバルブ、14…排気ポペットバルブ、15,16…バルブステム、17…バルブ休止機構無しバルブリフタ、18…バルブ休止機構付きバルブリフタ、19…吸気カムシャフト、20…排気カムシャフト、21…吸気カム、22…排気カム、23,24…カムシャフトホルダ、25…ドリブンスプロケット、26…バルブガイド筒、27…リテーナ、28…コッタ、29…バルブスプリング受け片、30,31…バルブリフタスプリング、33…シム、34…バルブガイド筒、35…リテーナ、36…コッタ、37…スプリング受け片、38…バルブスプリング、39…リフタスプリング、41…バルブ休止機構、43…スライドピンホルダ、44…スライドピン穴、45…スライドピン、46…ステム貫通孔、47…ガイドピン、49…ピンスプリング、50…油圧駆動装置、51…圧縮通路、52…リフタガイド孔、53…内周凹溝、54…連通孔、55…側孔、56…外周凹溝。
Claims (2)
- 動弁カムとポペットバルブのバルブステム間に介装されるバルブリフタがリフタスプリングにより常時前記動弁カムに当接させる方向に付勢され、
前記バルブリフタ内に嵌着されたスライドピンホルダにスライドピンが前記バルブステムに直交する方向に摺動自在に嵌合され、
前記スライドピンにはバルブスプリングにより付勢されたポペットバルブのバルブステムが当接するステム当り面とバルブステムが貫通するステム貫通孔が隣り合わせて形成され、
前記スライドピンを移動して前記ステム当り面とステム貫通孔とを選択的に前記バルブステムに臨ませるスライドピン駆動手段を備えたバルブ休止機構付きの4ストローク内燃機関において、
前記スライドピンの前記ステム当り面の背後の外周面に開口した前記ステム貫通孔の開口縁にステム当り面側に凹む面取り部が形成され、
前記面取り部は、凹みの最も深い部分に前記ステム貫通孔の中心軸と垂直に交叉する平面部が形成され、同面取り部のスライドピン中心軸方向の両端が前記平面部から滑らかな曲面をなしてスライドピンの外周面に連続していることを特徴とする4ストローク内燃機関のバルブ休止機構。 - 前記スライドピンにおいて、前記ステム貫通孔の内径Dに対する外径dの比d/Dが、1.36〜1.40であるときに、外径dに対する前記面取り部の平面部からその背後の側面までの距離hの比h/dが0.73〜0.82であることを特徴とする請求項1記載の4ストローク内燃機関のバルブ休止機構。
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