JP3983082B2 - 生分解性樹脂溶液 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は生分解性を有するポリ乳酸などを例とした、生分解性ポリエステル系樹脂の応用を容易にする技術に関するものであり、紙、各種フイルム、金属シート、木工材料、糸類、繊維類などに塗工し保護膜として、機能付与のバインダーとして又は接着を目的に使用され、塗工性能、微細加工性、溶液の安定性に優れた生分解性ポリエステル系樹脂に関するものである。本発明ではポリ乳酸を含む生分解性ポリエステル系樹脂と必要に応じ可塑剤、フィラー、酸化防止剤、レベリング剤、増粘剤、分解安定剤など、さらには、変性デンプンなど他の生分解性樹脂との併用で各種用途にあわせ性能を調整し使用される。
【0002】
【産業上の利用分野】
資源循環型社会に有用で、より従来の合成樹脂系材料に比較し環境汚染を減少させる、グリーンプラの応用に関することであり、その利用分野は農林水産産業用資材、土木・建築資材、レジャー製品、包装フイルム・容器、衛生用品、事務用品、衣料品、医療・農薬・肥料・種子などの包装、植林用素材、不織布、製本・製袋・複合フイルム用接着剤、繊維製品、など広い分野で利用される。従って、紙加工、・フイルム加工・シート加工・織布加工・不織布など、さらには金属加工・プラスチック加工・木工加工・石材加工・ガラスなど広く表面の保護・改質に又接着材料として使用される。
【0003】
【従来の技術と課題】
これまで生分解性ポリエステル樹脂は各種紙加工例特開平6−500603、繊維布製品例特開平4−334448、特開平8−27280、特開平8−27280、特開平5−311600などに、木材類・金属・無機材料、肥料など特開平3−146492、種子への応用例特開平2−23517、特開平4−89384、特開平5−85873、特開平7−33577、さらに各種プラスチック類には特開平9−263476、資材用に特開平4−334448、塗工剤及び接着剤で特開平9−78494など提案され検討がなされてきた。一方、従来から多くの溶剤系樹脂が使用されている。例示すれば合成樹脂としては、合成ゴム系、酢ビ系、エチレン酢ビ系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、オレフィン樹脂系、スチレン樹脂系など代表される様に、多くの樹脂が用途・目的に合わせて選択的に使用されてきた。しかしながら、石油系原料に頼り資源の枯渇問題、さらには環境汚染などの問題を引き起こしている。
【0004】
このような背景から、従来のプラスチックと同じように使用出来、使用後は自然界の微生物によってバイオマス形成に関わった後、水と二酸化炭素に分解され、自然に還るプラスチックで、さらには原料として植物を出発材料とした資源循環型樹脂の提案がされており、実用化されつつある。これらの活用を促進する必要がある。生分解性ポリエステル系樹脂はこの要求を備えている樹脂であり、広く活用できる技術が求められている。
【0005】
しかし、生分解性ポリエステル系樹脂は成型技術、フイルム化技術、など実用化されつつあるが、従来の塗料・接着剤のように塗工することが出来ず、又樹脂加工時の弾性に乏しく応用が制限されていた。これは生分解性ポリエステル系樹脂を溶解・相溶化する化合物が限られていることで、新たな溶剤類、新たな可塑剤の提案、他樹脂との併用法、複合化法などによる改質検討が試みられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように生分解性ポリエステル系樹脂特にポリ乳酸には近年、成型加工、フイルム化は工業的に可能としているが、薄膜での塗工・表面処理への応用、接着剤としての応用、改質による広範囲な利用が容易に出来る方法が求められており、これらを可能とする化合物の検討が急務とされてきた。例えば特開平4−334448にはポリ乳酸やその誘導体を紙等に被服する技術が記載されている、ここではポリ乳酸やその誘導体の通常の溶媒に含浸、噴霧、熱溶融などで被服を形成している。又特公平7−504227ではラクチドモノマーで溶融安定性を付与する方法など提案されている。さらに特開平8−198972、有機溶媒を用いての発泡、特開平2001−131433に於いては溶剤として蟻酸メチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、などのエステル系溶剤、クロロホルム、四塩化炭素、などの塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレンなど芳香族系溶剤が挙げられる。しかしながら塗工性で取扱い易く安全性に優れ溶液的使用が可能でさらに可塑化剤としての使用も可能な化合物の提案はなされていない。
【0007】
【課題を解決するための手段】
発明者らは研究の結果、下記一般式(1)で表される化合物を溶媒として用いることで得られるポリ乳酸溶液を塗布することによって得られる塗膜が前記用途への応用を可能とする性質を有していることを見出した。
【0008】
すなわち本発明は、下記一般式(1)で表される化合物をポリ乳酸の溶媒として用いたポリ乳酸溶液を塗布することによって得られる塗膜に関するものである。
(但し、R1は炭素数1のアルキレン基を、R2は水素又はメチル基又はエチル基を、R3、R4は水素又は炭素数1〜5のアルキル又はアリル基をそれぞれ示す。)
【0009】
本発明の一態様として、前記一般式(1)で表される化合物が1,3−ジオキソランであることを特徴とする前記塗膜が挙げられる。
【0010】
一般式(1)で表される化合物は、エチレングリコールとメチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、n−プロピルアルデヒドのようなケトン或いはアルデヒドを酸性触媒下で反応させることで得ることができるが、この製造法に限定されるものではない。
【0011】
前記ポリ乳酸溶液中に、ポリ乳酸を1〜40重量%、好ましくは1〜30重量%含有することが必要で、1重量%未満では目的とする塗工後の樹脂膜厚が得られず、40重量%を超えた使用では樹脂溶液とする事ができない。また一般式(1)で表される化合物を3重量%以上含有することが必要で、それ以下ではポリ乳酸を溶解できず、本発明の目的とするポリ乳酸溶液を得ることはできない。
【0012】
本発明に用いられるポリ乳酸の具体例としては、分子内にL−乳酸、D−乳酸又はこれらの混合物より得られるポリ乳酸、それらの単量体単位が化学修飾されていても良い。又例えば単量体単位がL−乳酸からなるポリ乳酸、単量体単位がD−乳酸であるポリ乳酸が混合されている系も包含する。単量体単位としても分子内にヒドロキシル基、カルボキシル基を有する例えばグリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸など、これらの2種類以上の混合物を含有又はこれらに化学修飾されたポリ乳酸、さらにこれらの混合ポリマーを含むことが出来る。
【0013】
本発明で使用されるポリ乳酸の製造法は特に限定はされない。例えば乳酸又は乳酸と他のヒドロキシカルボン酸から直接脱水重縮合で製造する方法、ラクタイド、グリコライド、ε−カプロラクトン又はそれらの開環重合で得る方法、その他エステル交換で得る方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0014】
一般式(1)の化合物を例示すると、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、2−nブチル−1,3−ジオキソラン、2,2−ジ−nプロピル−1,3−ジオキソラン、2−メチル−1,3−ジオキソラン、2,2−ジ−nプロピル−4−メチル−1,3−ジオキソラン、2,2−ジイソプロピル−4−メチル−1,3−ジオキソラン、2−nブチル−4−メチル−1,3−ジオキソラン、2−nプロピル−4−メチル−1,3−ジオキソラン、2−メチル−2−イソブチル−4−メチル−1,3−ジオキソラン、2−nブチル−4−エチル−1,3−ジオキソラン、2−nプロピル−4−メチル−1,3−ジオキソラン、2,2−ジ−nプロピル−4−メチル−1,3−ジオキソラン等が例示できるがこれらに限定されるものではない。
【0015】
これらはポリ乳酸に対する改質性、相溶化性及び溶剤としての特性を有することから、一般式(1)で示すことが出来る化合物及び組み合わせ、さらには他の溶剤系、可塑剤、他の樹脂系の生分解性樹脂との組み合わせで広く応用を図ることが出来る。
【0016】
ポリ乳酸以外の生分解性樹脂としては、例えばポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネートアジペート、又ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸が挙げられる。
【0017】
配合使用出来る溶剤の具体的例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルエーテル、ジヘキシルエーテルなどの各種のエーテル類、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等そのエステル類、乳酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、蓚酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、γ−ブチルラクトン等のエステル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトニルアセトン、イソホロン等のケトン類、カプロン酸、カプリン酸、カプリル酸、などの脂肪酸類、エタノール、イソプロピルアルコール、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール等のアルコール類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類など通常例示することが出来る。
【0018】
併用される可塑剤としては、例示するとフタル酸エステル、芳香族カルボン酸エステル、脂肪族二塩基酸エステル、脂肪酸エステル誘導体、各種リン酸エステル、ポリエステル系可塑剤、エポキシ可塑剤、及び高分子系可塑剤など1種又は必要に応じ2種以上を選択使用される。
【0019】
具体例を例示するとジメチル、ジエチル、ジブチル、ジオクチルなどのフタル酸エステル、エチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート等のフタル酸エステル類、オレイン酸ブチル、各種グリセリンエステル、アジピン酸ブチル、アジピン酸−nヘキシルなどの脂肪族二塩基酸エステル類、トリメリット酸オクチル、ジエチレングリコールベンゾエート、オキシ安息香酸オクチルなど芳香族カルボン酸エステル類、アセチルリシノール酸メチル、アセチルクエン酸トリエチル、ジアセチルグリセリン、グリセリンモノステアレート等のエステル類、各種一般市販のリン酸エステル類、エポキシ化大豆油、エポキシ化ひまし油、アルキルエポキシステアレート、等、エポキシ可塑剤類、その他液状ゴム、ポリエステル類が例示できる。
【0020】
改質に使用される生分解性樹脂は特に限定しないが例えば、修飾デンプン系、酢酸セルロース系、ポリヒドロキシ酪酸系、さらには、ポリエチレンオキサイド系、ポリビニルアルコール系、キトサン系など何れでも良く、その性能を有効に活用することで応用をより促進することが出来る。又生分解性樹脂のみでなく必要に応じ通常の樹脂も併用することが出来る。
【0021】
従ってこれら溶剤類、可塑剤類、生分解性樹脂の活用と、さらには、必要に応じてフィラー類、分散剤、酸化防止剤、防錆剤、帯電防止剤、濡れ性改良剤、流動性調整剤、撥水剤、潤滑剤などを使用目的に合わせ併用することが出来る。特に流動性調整、撥水、潤滑目的で以下のワックス類を併用することが出来る。例示すると天然ワックス、及び合成ワックス等があげられる。天然ワックスとしては例えばカルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、モンタン系ワックス及びその誘導体、鉱油系ワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスなどと、これらにカルボキシル基を付与した誘導体が、又合成ワックスとしてはポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどの酸化物、これらのカルボキシル基を付与した誘導体などの変性ワックスも含まれる。更にエチレンやプロピレンとの共重合系ワックス、エチレン系共重合ワックスの酸化ワックスがある。この系統は共重合相手の変化でターポリマー系も含め多種使用することができる。更にマレイン酸の付加ワックス、脂肪酸エステル系など例示できる、工業的に好ましいのは、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、変性ワックス、エチレンやプロピレンとの共重合系ワックス、エチレン系共重合ワックス、でこれらの酸化物、及びカルボキシル基を付与した誘導体など、また酸価を付与したパラフィン系ワックス、カルナバワックスなどである。一般には少量添加で用いられる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明によるポリ乳酸溶液の塗工については一般的な方法が用いられ、特に限定しないが、例えば吹き付け法、散布法、浸漬法、バーコーター法、ブレードコーター法、ドクターブレード法、エアナイフコーター法、カレンダー法、押出し法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法等、公知・公用の方法を単独又は組み合わせで使用される。ポリ乳酸の可塑化後の成型も、通常使用される公知・公用の成型加工法で目的物を得ることが出来る。
【0023】
本発明は、生分解性ポリエステル系樹脂溶液において例えばポリ乳酸を1〜40重量%、本発明の化合物を3重量%以上含有することで溶剤・可塑剤・相溶化剤として使用し、塗工用・接着用生分解性ポリエステル系樹脂溶液として、さらには他の可塑剤、他の生分解性樹脂系を併用することで、多分野への応用を可能とすることが出来る。
【0024】
【実施例】
以下実施例により本発明を説明する。ただし本発明は、これらの実施例及び比較例により何らの制限をされるものではない。
実施例1
高粘度用攪拌機、温度計、温度コントローラー、加熱・冷却設備を備えた、内容量1.0kgの混合・合成設備に生分解性樹脂200g、1,3−ジオキソラン800gを仕込み、80℃まで昇温した。3時間攪拌後冷却した。
【0025】
実施例2〜7実施例1で使用した装置、条件、手順に従い、表1記載の処方にて実施例2〜7を実施した。
【0026】
実施例10
実施例1で使用した装置に、実施例4で製造した生分解性樹脂溶液の150gおよびメチルエチルケトン850gを仕込み、50℃まで昇温し1時間攪拌した後生分解性ポリエステル系樹脂溶液を得た。
以下の実施例を表1にまとめる。
【0027】
【表1】
【0028】
表の説明
<他の樹脂>
キトサンセルロース(e)ドロンCC:アイセロ化学(株)製
<本発明の化合物>
1:1,3−ジオキソラン
2:4−メチル−1,3−ジオキソラン
3:2−nプロピル−4−メチル−1,3−ジオキソラン
<他の化合物>
4:1,4−ジオキサン
5:グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン(株)製:PL:009)
6:メチルエチルケトン
7:ジブチルフタレート
【0029】
実施例1〜10で得たサンプルの評価結果を表2にまとめる。
【0030】
【表2】
【0031】
塗膜の試験は以下の方法により測定した。
1. 溶液性状:サンプルをサンプルビンに取り外観を目視観察。
2. 塗工膜性状:未サイズ紙にNo20のバーコーターで塗布し120℃2分乾燥後、造膜性を目視判定した。耐水性は水滴2〜3滴を落とし5分後のにじみの程度を目視判定した。にじみなしを◎とし三段階で評価した。
3. 塗膜物性:膜厚約30ミクロンのフイルムを作成し引っ張り試験機で破断強度、伸び率を測定した。単位 強度MPa,伸び%。
【0032】
【発明の効果】
生分解性ポリエステル系樹脂特にポリ乳酸系は本発明による化合物と組み合わせることにより、溶解性、樹脂の可塑化を容易とすることが出来る。資源循環型社会への貢献、環境負荷軽減のためにこれら生分解性ポリエステル系樹脂を広く応用することで寄与することが出来る。
Claims (2)
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| JP4570855B2 (ja) * | 2003-06-11 | 2010-10-27 | 東邦化学工業株式会社 | 生分解性ポリエステル系樹脂微粒子及びその製造方法 |
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