JP4003526B2 - 回転角センサとトルクセンサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転体の回転角を測定するための回転角センサと、トーションバーの両端に生じる回転角の差からトーションバーに作用しているトルクを測定するセンサに関する。本発明のセンサは、車両の電動パワーステアリング装置のために、操舵角や操舵トルクを測定するのに適している。
【0002】
【従来の技術】
従来、電動パワーステアリング装置は下記の構成のトルクセンサを備えている。従来のトルクセンサは、トルクが作用するとねじれるトーションバーと、トーションバーの上端に固定された第1回転角センサと、トーションバーの下端に固定された第2回転角センサを備えている。各回転角センサは、レゾルバ式の回転角センサであり、トーションバーとともに回転するロータコイルと、固定された筒に固定されたステータコイルを備えている。
トーションバーの上端側のステータコイルの出力値からトーションバーの上端側の回転角が測定され、トーションバーの下端側のステータコイルの出力値からトーションバーの下端側の回転角が測定され、両者の回転角の差からトーションバーにねじれを発生させているトルクの大きさが測定される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
レゾルバ式の回転角センサは、多数のロータコイルとステータコイルを必要とし、構造が複雑であり、製造コストが嵩み、小型化が困難である。さらに、この種のコイルは断線したりショートしたりするおそれがあるため、信頼性の面でも問題もあった。
そこで本発明では、構造が簡単であり、安価に製造することができ、小型化しやすく、しかも信頼性が高い回転角センサとトルクセンサを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段及び作用と効果】
本発明の回転角センサは、内側磁性体と、内側磁性体の外側に隙間を隔てて配置された外側磁性体と、内側磁性体と外側磁性体と隙間を経由して循環する磁束を発生させる磁石と、磁路の途中に配置されたMIセンサとを備えている。内側磁性体と外側磁性体は相対回転可能であり、内側磁性体と外側磁性体と隙間を経由して循環する磁束の大きさが内側磁性体と外側磁性体の相対回転角に依存して変化する。MIセンサは、内側磁性体と外側磁性体の相対回転角に依存して変化する循環磁束の大きさを検出する。そのMIセンサの出力から前記相対回転角を測定することができる。
【0005】
ここでいう「MIセンサ」とは、いわゆる磁気インピーダンス効果(MI効果)を利用した、超高感度な磁気センサのことを指す。MI効果とは次のようなものをいう。即ち、細長い高透磁率金属に高周波電流またはパルス電流を通電すると、金属に表皮効果が生じる。このときの電流経路の深さδに二乗は、電気抵抗率ρに比例する反面、高周波電流の角周波数ωと電流によって生じる磁界方向の透磁率μに反比例する。磁界方向の透磁率μは外部磁界Hexによって変化する。従って電流経路の深さδは、外部磁界Hexに依存して変化する。そのために電気抵抗とインダクタンスの変化が同レベルになり、インピーダンスの大きさが外部磁界Hexによって変化することになる。インピーダンスZの大きさの変化率は、例えばアモルファスワイヤを用いると、1エルステッドあたり100%程度にすることが容易にできる。このような電磁気現象をMI効果と称しているのである。
応用磁気の分野においては、GMR(巨大磁気抵抗)効果と呼ばれる電磁気現象が知られており、最近ではこの効果を利用した磁気センサも一部では提案されているが、MI効果を利用した磁気センサのほうが高い感度を実現することができる。なおMI効果を利用した磁気センサは、消費電力が極めて小さいことに加え、高周波電流が磁気変調のキャリアとなるため応答性も非常に速い。
【0006】
請求項1に記載の発明では、内側磁性体と外側磁性体が相対回転した場合、内側磁性体と外側磁性体と隙間で構成される磁路の磁気抵抗が変化し、内側磁性体と外側磁性体と隙間を循環する磁束の大きさが変化する。その変化する磁束の大きさをMIセンサが検知する。MIセンサの出力は磁束の大きさに依存し、磁束の大きさは磁気抵抗に依存し、磁気抵抗は内側磁性体と外側磁性体の相対回転角に依存するために、MIセンサの出力から内側磁性体と外側磁性体の相対回転角を測定することができる。
このセンサでは、磁束の大きさを検出するために、コイルに代えて超高感度なMIセンサを用いるので、高感度な回転角センサを提供することができる。この回転角センサは、構造が簡単であり、安価に製造することができ、小型化しやすく、しかも信頼性が高い。
【0007】
本発明の回転角センサは、内側磁性体と外側磁性体の最短距離が、内側磁性体と外側磁性体の相対回転角に依存して変化する。
内側磁性体と外側磁性体は磁束が流れにくい隙間(エアギャップ)によって隔てられているが、その最短距離が長くなると磁路の磁気抵抗が増大して磁束の大きさは減少する。最短距離が短くなると磁路の磁気抵抗が減少して磁束の大きさは増大する。
【0008】
本発明の回転角センサは、内側磁性体の外形が略正多角形状に形成されており、外側磁性体の内形が内側に突出する突部を有する円形に形成されている。内側磁性体と外側磁性体の最短距離が内側磁性体と外側磁性体の相対回転角に依存して変化し、内側磁性体と外側磁性体と隙間を経由して循環する磁束の大きさが内側磁性体と外側磁性体の相対回転角に依存して変化する。
この場合、内側磁性体と外側磁性体が相対回転すると、MIセンサの電圧は、正弦波またはそれに近似した波形のきれいな信号となり、信号波形を演算処理して回転角に変換する数学が簡単化され、結果として比較的容易に高精度化を達成することができる。
【0009】
MIセンサが、外側磁性体に固定されていることが好ましい(請求項2)。
回転体側にMIセンサを設けると配線の取り出しが面倒となるのに対し、MIセンサが外側磁性体に固定されていると、配線引き出しが簡単化される。
【0010】
磁石が外側磁性体に固定されていることが好ましい(請求項3)。この場合、内側磁性体は極めて単純化される。
【0011】
MIセンサと磁石が、内側磁性体の回転中心を挟む対称位置において外側磁性体に固定されていることが好ましい(請求項4)。この場合、MIセンサの出力電圧にノイズが乗りにくく、相対回転に依存して大きく変化する出力電圧が得られる。
【0012】
本発明の回転角センサでは、内側磁性体の外形が略正n角形状に形成されており、外側磁性体の内周側の360°/2nの奇数倍だけ隔てた位置に第1MIセンサと第2MIセンサを固定することが好ましい(請求項5,6)。
この位置関係に2つのMIセンサを配置した場合、一方のMIセンサが略正n角形の外形形状を有する内側磁性体の角部に対向した状態にあるときは、他方のMIセンサは内側磁性体の角部と角部の間を伸びる辺の中点に対向した状態となる。従って前者のMIセンサがあるセンサ設置部と内側磁性体の距離は最小になる反面、後者のMIセンサがあるセンサ設置部と内側磁性体の距離は最大になる。2つのMIセンサによって得られるセンサの出力の位相差は180°となり、このような2種のセンサ出力に基づいて所定の演算を行えば、温度変数分をなくすことができる。即ち、温度補償を行うことが可能になる結果、温度変化に強くて極めて高精度な回転角センサを提供することができる。
【0015】
上記した回転角センサを一対用いることで、トーションバーに作用しているトルクを測定するセンサを実現することができる。すなわち、回転軸に沿って伸びるトーションバーの一端に請求項1から6のいずれか1項の回転角センサを連結し、トーションバーの他端に請求項1から6のいずれか1項の回転角センサを連結することによってトルクセンサを実現することができる(請求項7)。
この場合一対の回転角センサによって、トーションバーの一端側の回転角と、トーションバーの他端側の回転角を検出することができ、両者の差、すなわち、トーションバーのねじれ角を検出することができ、そのねじれを発生させているトルクの大きさを測定することができる。
【0017】
あるいは、回転軸に沿って伸びるトーションバーと、トーションバーの一端に連結されているとともに第1突起をもつ第1磁性体と、トーションバーの他端に連結されているとともに第1突起に対向する第2突起をもつ第2磁性体と、第1磁性体と第2磁性体の外側に配置された第3磁性体と、「第1磁性体と第3磁性体を循環する第1磁束」と「第1磁性体と第2磁性体と第3磁性体を循環する第2磁束」とを発生させる磁石と、第1磁束が流れる第1磁路の途中に配置された第1MIセンサ、第2磁束が流れる第2磁路の途中に配置された第2MIセンサとを備えたトルクセンサを構成することもできる。このトルクセンサは、トーションバーがねじれると第1突起と第2突起の対向面積が変化し、それに追随して第1MIセンサの出力値と第2MIセンサの出力値がともに変化する(請求項8)。
両出力値を処理することによって温度の影響を除外することができる。また、第1MIセンサの出力が増大すると第2MIセンサの出力が減少し、第1MIセンサの出力が減少すると第2MIセンサの出力が増大するために、両者の差をとることで大きな出力変化を得ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
後記する本発明の実施例の主要な特徴を記載する。
(形態1)内側磁性体であるロータと、外側磁性体であるステータとを備えるとともに、ロータの外形が略正方形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転角センサ。
(形態2)ステータの内周側の異なる位置に第1センサ設置部及び第2センサ設置部を突設するとともに、第1センサ設置部に第1MIセンサを設置し、第2センサ設置部に第2MIセンサを設置する。ロータの外形は略正方形であり、回転体の回転中心に対して第1MIセンサと第2MIセンサのなす角度が、45°の奇数倍となるように設定したことを特徴とする回転角センサ。
【0019】
【実施例】
(第1実施例) 図1は第1実施例の回転角センサ2の要部概略図を示し、図2はロータ4が図1の状態から45°回転したときの要部概略図を示し、図3はこの回転角センサ2のセンサ出力のグラフを示している。
【0020】
本実施例の回転角センサ2は、図1で概略的に示されるように、鉄鋼などの磁性材からなる内側磁性体であるロータ4と、同様の磁性材からなる外側磁性体であるステータ6とを備えている。ロータ4の中心部には断面円形状の固定孔8が設けられており、その固定孔8には回転角を測定する対象であるモータシャフト10が固定されている。モータシャフト10が回転するとロータ4も一体的に回転する。
【0021】
ロータ4の外周側には、円環状のステータ6がモータシャフト10とロータ4と同軸となるように配置されている。ステータ6とロータ4との間は、所定の隙間(エアギャップ)によって隔てられている。
ステータ6の内周側の所定箇所には、モータシャフト10の回転中心Oに向けて伸びる突片12が突設されている。その突片12の先端には、永久磁石14が設置されている。永久磁石14は、N極を内周側に向け、S極を外周側に向けた状態で配設されている。
【0022】
ステータ6の内周側において、モータシャフト10を挟んで突片12と向かい合う箇所(対称位置)には、モータシャフト10の回転中心Oに向けて伸びるもう1つ突片16が突設されている。突片16の先端には、MIセンサ18が設置されている。
【0023】
永久磁石14は、磁石14→隙間(エアギャップ)→ロータ4→隙間(エアギャップ)→MIセンサ18→突片16→ステータ6→突片12の順に循環する磁束を発生する。MIセンサ18は上記磁束が循環する磁路の途中にあって、循環する磁束の大きさを検出する。
【0024】
この「MIセンサ」は、先に述べたとおり、MI効果を利用した超高感度な磁気センサを指す。使用されるべきMIセンサ18に関して特に限定はされないが、本実施例ではアモルファスワイヤ(組成:4%Fe68%Co13%Si15%B)の周囲にピックアップ手段を設けたMI素子を用いている。これに加え、外部磁場を見かけ上打ち消す磁場状況を作るための打ち消し手段が設けられていてもよい。アモルファスワイヤは、MI素子とは別に設けられたパルス信号発生回路に電気的に接続されている。パルス信号発生回路は直流電源回路とチョッパ回路によって構成され、アモルファスワイヤに所定のパルス電流を出力する。また、ピックアップ手段は、MI素子とは別に設けられた信号処理回路に電気的に接続されている。ピックアップ手段によりピックアップされた電流は、信号処理回路にて処理された後にセンサ出力信号として出力されるようになっている。なお、このようなタイプのMIセンサ18はパルス信号で駆動されるので、消費電力が極めて小さく、せいぜい数十mW程度である。
【0025】
図1に示されるように、本実施例の回転角センサ2では、ロータ4の外形形状が回転対称となるように形成されており、より具体的には略正方形状となるように形成されている。ロータ4における4つの角部には、センサ出力波形が回転角に対して正弦波となるように、いくぶん丸みが設けられている。
【0026】
突片12の先端に設置された永久磁石14の内端面部位と、突片16の先端に設置されたMIセンサ18の内端面部位は、ステータ6の他の部位に比べてロータ4側に近接している。永久磁石14から出た磁束の大部分は、永久磁石14の内側にできるエアギャップと、MIセンサ18の内側にできるエアギャップを優先的に流れるような構成となっている。即ち、永久磁石14の内端面とロータ4の外周部との距離L1がロータとステータ間の最短距離となり、MIセンサ18の内端面とロータ4の外周部との距離L2がロータとステータ間の最短距離となる。ステータ6の残部の内形は、外側に位置しており、ロータとステータ6の残部の距離は大きい。図1と図2を対比すると明らかに、ロータとステータ間の最短距離L1,L2は、ロータとステータが相対回転するのに依存して変化する。図1に示す回転位置にロータ4があるときには、MIセンサ18はロータ4の1つの角部に対向した状態となり、永久磁石14はロータ4の別の角部に対向した状態となる。このとき上記L1,L2の値がともに最小値となる。言い換えると2つのエアギャップがともに最小になる。その結果、前記磁路R1を流れる磁束の大きさが増加し、このときに最も大きい電圧信号がMIセンサ18から出力される。図2に示す回転位置にロータ4があるときには、MIセンサ18はロータ4の一辺の中点に対向した状態となり、永久磁石14はロータ4の別の一辺の中点に対向した状態となる。このとき上記L1,L2の値がともに最大値となる。言い換えると2つのエアギャップがともに最大値となる。その結果、前記磁路R1を流れる磁束の大きさが減少し、このときに最も小さい電圧信号がMIセンサ18から出力される。
上記最短距離L1,L2と、磁路R1を流れる磁束の大きさは、ロータ4の回転に伴って90°周期で増減する。その結果、MIセンサ18の出力電圧は、図3に示すグラフのように、相対回転角に対して90°周期で変化する正弦波波形となる。
【0027】
MIセンサ18の出力電圧は図示しない演算手段に入力され、所定の演算が行われる。即ち、信号電圧の最大値・最小値の出現回数と電圧値とが特定され、それらに基づいてロータ4とモータシャフト10の回転角θ(°)が求められる。
【0028】
さて、上記のように構成された本実施例の回転角センサ2によると、以下の作用効果を奏する。
本実施例では、磁路R1を流れる磁束の大きさを磁路R1の途上に設けたMIセンサ18によって検知する。MIセンサ18の出力は磁束の大きさに応じて変化することから、このセンサ出力から回転角が検出されるようになっている。本実施例では、磁束検知手段として、従来よく用いていたコイルの代わりにMIセンサ18を用いているので、高感度な回転角センサ2を提供することができる。しかも、本実施例によるとコイルの巻線が不要になる結果、比較的簡単に製造可能な回転角センサ2を提供することができる。さらに本実施例の回転角センサ2では、大型化や故障発生の原因となる検出用コイルを必須構成要素としていないため、全体の小型化が容易でありかつ信頼性に優れたものとなる。
また、本実施例の回転角センサ2では、ロータ4の回転に伴ってロータ4−ステータ6間の最短距離L1,L2を周期的に変化させるべく、ロータ4の外形が略正方形状に形成されている。略正方形は、図形の重心(ここでは回動中心Oと同じ)から4つの角部までの距離がみな等しく、重心から4つの辺までの距離もみな等しく、重心を中心として角部同士がなす角度も90°と等しい等の性質を有する。従って、外形が略正方形状に形成されたロータ4が回転すると、それに伴ってロータ4とステータ6との最短距離L1,L2が90°周期で変化する。このとき、MIセンサ18は最大出力値と最小出力値とを交互に規則的に出力することとなり、きれいな正弦波の信号波形を得ることができる。信号波形に基づいた演算処理により回転角を検出するような場合に好都合となり、結果として比較的容易に高精度化を達成することができる。
上記の回転角センサ2では、MIセンサ18が、固定側部材であるステータ6の内周側に突設されたセンサ設置部16に設けられている。そのため、回転側であるロータ4にMIセンサ18を設ける場合とは異なり、複雑な配線引き出し構造を採る必要がなくなる。従って、センサ構造の簡略化、製造コストの低減、信頼性の向上等を達成することができる。
【0029】
(第2実施例)
次に、第2実施例の回転角センサ22について説明する。ここでは、上記第1実施例と共通の構成については同じ部材番号を付すのみとし、その詳細な説明は割愛する。図4は、第2実施例の回転角センサ22の要部概略図を示している。この実施例では、ステータ6側の永久磁石14が省略されている反面、第1実施例とは構成の異なるロータ24が用いられている。磁性材からなるこのロータ24は、外形形状が円形状であるとともに、自身の周方向に沿って45°ごとに磁極が変化するように着磁されている。また、突片12は、突片16から45°の位置に設けられている。この場合、ステータ6の残りの315°の範囲は省略することができる。
この構成の場合、ロータ24が回転したとしてもロータとステータ間の最短距離L1,L2の値は変化しない。しかし、MIセンサ18に対向する位置の磁石の極性がN極,S極,N極,S極…というように交互に変化する。それに同期して突片12に対向する位置の磁石の極性がS極,N極,S極,N極…というように交互に変化する。MIセンサ18に対向する位置の極性と、突片12に対向する位置の極性は反対である。
【0030】
この構成によっても、突片12→隙間(エアギャップL1)→ロータ24→隙間(エアギャップL2)→MIセンサ18→突片16→ステータ6→突片12の順に循環する磁束の大きさを、ロータ24の回転に伴って90°周期で大きく変化させることができる。第1実施例のときよりも振幅の大きな正弦波からなるセンサ出力信号を得ることが可能となり、角度分解能を細かくすることができ、ひいてはさらなる高感度化を達成することができる。
また、着磁されたロータ24は磁束を発生させる手段をも兼ねているので、第1実施例のように永久磁石14をわざわざ設けなくてもよいという利点がある。
【0031】
(第3実施例)
次に、第3実施例の回転角センサ32について説明する。ここでは、上記第1実施例と共通の構成については同じ部材番号を付すのみとし、その詳細な説明は割愛する。図5は第3実施例の回転角センサ32の要部概略図を示し、図6はセンサ出力の回転角に対する変化を表したグラフを示している。
この回転角センサ32の場合、ステータ6の内周側における異なる位置に、第1センサ設置部である突片16と、第2センサ設置部である突片16aとが突設されている。モータシャフト10の回転中心Oを基準とした両突片16,16a同士のなす角度は、45°に設定されている。そして、突片16の先端には第1MIセンサ18が設置され、突片18aには第2MIセンサ18aが設置されている。同様に、ステータ6の内周側における異なる位置に、突片12と、第2の突片12aとが突設されている。モータシャフト10の回転中心Oを基準とした両突片12,12a同士のなす角度は、45°に設定されている。突片12の先端には第1磁石14が設置され、突片12aには第2磁石14aが設置されている。この場合、第1実施例の磁石−MIセンサの組みが、45°の関係で2組配置されている。
【0032】
ステータ6側に設置された第2MIセンサ18aの内端面部位は、ステータ6の他の部位(円環部)に比べて、ロータ4側に近接した状態にある。そのため、本実施例の回転角センサ32では、永久磁石14、14aから出た磁束は、第1MIセンサ18の内側にできるエアギャップと第2MIセンサ18aの内側にできるエアギャップに分岐して流れる構成となっている。即ち、ロータ4→隙間(エアギャップL2)→第1MIセンサ18→突片16→ステータ6の磁路R1の順に循環する磁束と、ロータ4→隙間(エアギャップL3)→第2MIセンサ18a→突片16a→ステータ6の磁路R2の順に循環する磁束が形成される。
永久磁石14の内端面とロータ4の外周部との距離をL1と、第1MIセンサ18の内端面とロータ4の外周部との距離をL2とし、第2MIセンサ18aの内端面とロータ4の外周部との距離をL3とし、永久磁石14aの内端面とロータ4の外周部との距離をL4としている。
【0033】
図5に示す回転位置にロータ4があるときには、第1MIセンサ18はロータ4の1つの角部に対向した状態となり、第2MIセンサ18aはロータ4の1つの辺の中点に対向した状態となる。このときL2が最小値となり、L3が最大値となる。その結果、磁路R1を流れる磁束の大きさが増加し、このときに最も大きい電圧信号が第1MIセンサ18から出力される。その反面、磁路R2を流れる磁束が減少し、このときに最も小さい電圧信号が第2MIセンサ18aから外部に出力される。
図5に示す回転位置からロータ4が45°回転した場合には、第1MIセンサ18はロータ4の1つの辺の中点に対向した状態となり、第2MIセンサ18aはロータ4の1つの角部に対向した状態となる。このときL2は最大値となり、L3は最小値となる。その結果、前記磁路R1を流れる磁束の大きさが減少し、このときに最も小さい電圧信号が第1MIセンサ18から出力される。その反面前記磁路R2を流れる磁束の大きさが増加し、このときに最も大きい電圧信号が第2MIセンサ18aから出力される。
いずれの回転角にあっても、永久磁石14と永久磁石14aの組みと、ロータ4間に形成される磁気抵抗は同じである。
2つのMIセンサ18,18aによって得られるセンサ出力の位相差は、図6に示されるように180°となる。この図において実線の正弦波曲線は第1MIセンサ18の出力信号を示し、破線の正弦波曲線は第2MIセンサ18aの信号出力を示している。2種のセンサ出力信号は図示しない演算手段に入力されるとともに、そこではこれらのセンサ出力信号に基づいて下記のような演算が行われる。
【0034】
第1MIセンサ18の出力をVA(ボルト)とし、第2MIセンサ18aの出力をVB(ボルト)とすると、VA,VBはそれぞれ次式1,2で表すことができる。なお、aは永久磁石14、14aの起磁力によって決まる値であり、温度変化によってaの値も変化する、いわゆる温度変数である。
VA=a+sinθ ・・・式1
VB=a+sin(θ+180°) ・・・式2
ここでVAとVBとの差をとると次式3のようになる。
VA−VB=sinθ−sin(θ+180°)
=2sinθ ・・・式3
結局は温度変数の項が消えてしまうので、VA−VBの値は温度変化による影響を受けないことがわかる。従って、2つのセンサ出力から求めたVA−VBの値と、VA−VB値の最大値の出現回数が特定されれば、ロータ4及びモータシャフト10の回転角θ(°)を求めることができる。
【0035】
本実施例では、2つのセンサ出力を利用することによって、温度変数分をなくすことができる。即ち、温度補償を行うことが可能になる結果、温度変化に強くて極めて高精度な回転角センサ32を提供することができる。しかも、このような演算を行った場合、第1実施例のときの2倍の振幅のセンサ出力信号が得られるので、分解能が細かくなり、さらなる高感度化を達成することができる。
【0036】
(第4実施例)
次に本発明を車両の電動パワーステアリング用のトルクセンサ42に具体化した第4実施例について説明する。なお、図7はトルクセンサ42の概略断面図を示し、図8は図7のA−A線における要部概略断面図を示し、図9はトルクセンサ42の要部における部分断面図を示している。
【0037】
図7に示されるように、このトルクセンサ42を構成するトーションバー44の上端には、トーションバー44と同軸をなす中空の入力シャフト46が連結されている。この入力シャフト46の上部には、図示しない車両のステアリングが連結されている。一方、トーションバー44の下端には、トーションバー44と同軸をなす中空の出力シャフト48が連結されている。入力シャフト46と出力シャフト48は、トーションバー44のねじれに伴って相対回転する。
入力シャフト46の外周には、磁性材からなる第1センサリング56(第1磁性体56)が固定されている。出力シャフト48の外周には、磁性材からなる第2センサリング58(第2磁性体58)が固定されている。
図7,図9に示されるように、第1センサリング56は、トーションバー44を囲む円周方向に延在する環状をなしており、第1センサリング56の下端側には櫛歯状をなす第1突起として多数の矩形状の歯部56aが形成されている。また、第2センサリング58も、トーションバー44を囲む円周方向に延在する環状をなしており、第2センサリング58の上端側には櫛歯状をなす第2突起として多数の矩形状の歯部58aが形成されている。
各歯部56aは軸方向に間隙を有しつつ位相のずれを有して、各歯部58aと対向している。
トーションバー44にねじれがない場合、各歯部56aの端部面積の略半分が各歯部58aの端面と対向している。トーションバー44が右向きにねじれると、各歯部56aと各歯部58aの対向面積は増大し、トーションバー44が左向きにねじれると、各歯部56aと各歯部58aの対向面積は減少する。
【0038】
入力シャフト46及び出力シャフト48の外周には、ベアリング50を介してアッパーハウジング52及び図示しないアンダーハウジングが設けられている。アッパーハウジング52内においては、磁性材からなる第3磁性体としての第3センサリング60が固定されている。第3センサリング60は、第1センサリング56から隙間を隔てて包囲するように配設されている。さらに、第3センサリング60は、第2センサリング58からも隙間を隔てて包囲するように配設されている。
【0039】
第3センサリング60における第1センサリング56側の領域、具体的にいうと第3センサリング60の内周面上端部には、磁束を発生させるための手段である永久磁石62が配設されている。なお、永久磁石62の内端面と第1センサリング56の外周面との間には僅かに隙間が設けられている。
第3センサリング60の中間高さの内周面には突片70が設けられ、その突片70の先端には第1MIセンサ66が設置されている。第1MIセンサ66は、第1センサリング56の外周面に近接した位置に配設されている。第3センサリング60の内周面下端部には突片68が設けられ、その突片68の先端には第2MIセンサ64が設置されている。第2MIセンサ64は、第2センサリング58の外周面に近接した位置に配設されている。
【0040】
このように構成されたトルクセンサ42では、図9に示されるように、2つの磁路R1,R2が形成される。第1磁路R1は、永久磁石62→第3センサリング60→突片70→第1MIセンサ66→第1MIセンサ66の内側にできるエアギャップ→第1センサリング56→永久磁石62の内側にできるエアギャップ→永久磁石62の経路となる。第2磁路R2は、永久磁石62→第3センサリング60→突片68→第2MIセンサ64→第2MIセンサ64の内側にできるエアギャップ→第2センサリング58→第2センサリング58の歯部58a→第2センサリング58の歯部58aと第1センサリング56の歯部56a間のエアギャップ→第1センサリング56の歯部56a→第1センサリング56→永久磁石62の内側にできるエアギャップ→永久磁石62の経路となる。
【0041】
ステアリングの操作によって入力シャフト46にトルクが伝わると、トーションバー44にねじれが生じることにより、入力シャフト46と出力シャフト48との間で相対回転を生じる。これにより、第1センサリング56及び第2センサリング58の歯部56a,58a同士の対向面積が変化する。なお本実施例ではトルク無印加の初期状態のときに2つのMIセンサ64,66を通る磁束数が同程度となるように、歯部56a,58a同士の対向面積やエアギャップ量等があらかじめ調整されている。
【0042】
歯部56a,58a同士の対向面積が増加する方向にトルクが加わると、第2MIセンサ64を通る磁束数が増加し、第1MIセンサ66を通る磁束数が減少する。この場合には、第2MIセンサ64の出力のほうが第1MIセンサ66の出力よりも大きくなる。逆に、対向面積が減少する方向にトルクが加わると、第2MIセンサ64を通る磁束数が減少し、第1MIセンサ66を通る磁束数が増加するようになる。よってこの場合には、第2MIセンサ64の出力のほうが第1MIセンサ66の出力よりも小さくなる。
【0043】
2つのセンサ出力は演算手段に入力され、そこで所定の演算が行われる。ここでは、第1MIセンサ64のセンサ出力VAと第2MIセンサ66のセンサ出力VBとの差を計算し、この値(VA−VB)に基づいて入力シャフト46と出力シャフト48との回転角を求め、さらにその結果に基づいてそのときのトルクを計算する。
【0044】
本実施例においても、磁界強度を検知する手段として、従来用いていたコイルの代わりにMIセンサ64,66を用いているので、高感度なトルクセンサ42を提供することができる。しかも、コイルの巻線が不要になる結果、比較的簡単に製造可能なものとすることができる。さらに、大型化や故障発生の原因となる検出用コイルを必須構成要素としていないため、全体の小型化が容易でありかつ信頼性に優れたトルクセンサ42とすることができる。
また、本実施例では2つのMIセンサ64,66の出力差の値(VA−VB)に基づいてトルクを検出する構成となっているため、よりいっそう高感度化なトルクセンサ42を提供することができる。また、温度の影響を排除することもできる。
【0045】
(第5実施例)
図7のトルクセンサから、突片70と第1MIセンサ66を除去することができる。この場合、永久磁石62→第3センサリング60→突片68→MIセンサ64→MIセンサ64の内側にできるエアギャップ→第2センサリング58→第2センサリング58の歯部58a→第2センサリング58の歯部58aと第1センサリング56の歯部56a間のエアギャップ→第1センサリング56の歯部56a→第1センサリング56→永久磁石62の内側にできるエアギャップ→永久磁石62の磁路を循環する磁束の大きさがMIセンサ64で計測される。計測される磁束の大きさは、第2センサリング58の歯部58aと第1センサリング56の歯部56a間のエアギャップの磁気抵抗に依存し、その磁気抵抗はトーションバー44のねじれ角に依存することから、MIセンサ64によってトーションバー44をねじるトルクを測定することができる。
【0046】
(第6実施例)
図1又は図4の回転角センサをトーションバーの上端と下端に設けることによってトルクセンサを構成することもできる。各回転角センサの出力から回転角を計測し、その差からトーションバーのねじれ角を計測し、そのねじれ角からトルクを計測することができる。
【0047】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
・例えば、図10に示す別の実施例の回転角センサ72のような構成であってもよい。この回転角センサ72では、ステータ6の内周側における異なる位置に、第1センサ設置部である突片16と、第2センサ設置部である突片16aとが突設されている。モータシャフト10の回転中心Oを基準とした両突片16,16a同士のなす角度は、45°ではなく30°に設定されている。そして、突片16の先端には第1MIセンサ18が設置され、突片16aには第2MIセンサ18aが設置されている。一方、これに対応してロータ74の外形形状が略正六角形状に形成されている。このような構成であっても、上記第3実施例のものと同様の作用効果を奏することができる。
なお、ロータ外形形状としては略正方形や略正六角形状のみに限定されることはなく、それ以外の略正n角形状(例えば略正八角形状)を採用してもよいほか、略正n多角形でない異形形状を採用することも可能である。
【0048】
・第1実施例等においては永久磁石14の設置位置を突片12の先端に設定したが、これに限定されることはなく、例えばステータ6における円環部などに設定することもできる。また、MIセンサ18についても同様に、突片18ではなくステータ6の円環部などに設置してもよい。
・ステータ6側にMIセンサ18や永久磁石14を設けた構成に代え、ロータ4側にMIセンサ18や永久磁石14を設けた構成にすることも可能である。
【0049】
本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書又は図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した第1実施例の回転角センサの要部概略図を示す。
【図2】第1実施例のロータが図1の状態から45°回転したときの要部概略図を示す。
【図3】第1実施例の回転角センサにおけるセンサ出力のグラフを示す。
【図4】第2実施例の回転角センサの要部概略図を示す。
【図5】第3実施例の回転角センサの要部概略図を示す。
【図6】第3実施例の回転角センサにおけるセンサ出力のグラフを示す。
【図7】第4実施例のトルクセンサの概略断面図を示す。
【図8】図7のA−A線におけるトルクセンサの要部概略断面図を示す。
【図9】第4実施例のトルクセンサの要部における部分断面図を示す。
【図10】別の実施例の回転角センサの要部概略図を示す。
【符号の説明】
2,22,32,72,82:回転角センサ。
4,24,74:内側磁性体であるロータ
6:外側磁性体であるステータ
10:回転体であるモータシャフト
14,62:永久磁石
16:第1センサ設置部である突片
16a:第2センサ設置部である突片
18,66:第1MIセンサ
18a,64:第2MIセンサ
42:トルクセンサ
44:トーションバー
56:第1磁性体である第1センサリング
56a:第1突起である歯部
58:第2磁性体である第2センサリング
58a:第2突起である歯部
60:第3磁性体である第3センサリング
R1,R2:磁路
L1,L2,L3:距離
Claims (8)
- 内側磁性体と、内側磁性体の外側に隙間を隔てて配置された外側磁性体と、内側磁性体と外側磁性体と隙間を経由して循環する磁束を発生させる磁石と、磁路の途中に配置されたMIセンサとを備え、
内側磁性体と外側磁性体は相対回転可能であり、内側磁性体と外側磁性体の最短距離が内側磁性体と外側磁性体の相対回転角に依存して変化し、内側磁性体と外側磁性体の相対回転角に依存して変化する前記循環磁束の大きさを前記MIセンサで検出し、そのMIセンサの出力から前記相対回転角を測定する回転角センサであり、
内側磁性体の外形が略正多角形状に形成されているとともに外側磁性体の内形が内側に突出する突部を有する円形に形成されていることを特徴とする回転角センサ。 - MIセンサが、外側磁性体に固定されていることを特徴とする請求項1の回転角センサ。
- 磁石が、外側磁性体に固定されていることを特徴とする請求項1又は2の回転角センサ。
- MIセンサと磁石が、内側磁性体の回転中心を挟む対称位置において外側磁性体に固定されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項の回転角センサ。
- 内側磁性体の外形が略正n角形状に形成されており、外側磁性体の内周側の360°/2nの奇数倍だけ隔てた位置に第1MIセンサと第2MIセンサを固定したことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項の回転角センサ。
- 内側磁性体と、内側磁性体の外側に隙間を隔てて配置された外側磁性体と、内側磁性体と外側磁性体と隙間を経由して循環する磁束を発生させる磁石と、磁路の途中に配置されたMIセンサとを備え、
内側磁性体と外側磁性体は相対回転可能であり、内側磁性体と外側磁性体の相対回転角に依存して変化する前記循環磁束の大きさを前記MIセンサで検出し、そのMIセンサの出力から前記相対回転角を測定する回転角であり、
内側磁性体の外形が略正n角形状に形成されており、外側磁性体の内周側の360°/2nの奇数倍だけ隔てた位置に第1MIセンサと第2MIセンサを固定したことを特徴とする回転角センサ。 - 回転軸に沿って伸びるトーションバーと、トーションバーの一端に連結されている請求項1から6のいずれか1項の回転角センサと、トーションバーの他端に連結されている請求項1から6のいずれか1項の回転角センサとを備えているトルクセンサ。
- 回転軸に沿って伸びるトーションバーと、トーションバーの一端に連結されているとともに第1突起をもつ第1磁性体と、トーションバーの他端に連結されているとともに第1突起に対向する第2突起をもつ第2磁性体と、第1磁性体と第2磁性体の外側に配置された第3磁性体と、「第1磁性体と第3磁性体を循環する第1磁束」と「第1磁性体と第2磁性体と第3磁性体を循環する第2磁束」とを発生させる磁石と、第1磁束が流れる第1磁路の途中に配置された第1MIセンサ、第2磁束が流れる第2磁路の途中に配置された第2MIセンサとを備え、
トーションバーがねじれると前記第1突起と第2突起の対向面積が変化し、それに追随して第1MIセンサの出力値と第2MIセンサの出力値がともに変化し、前記第1MIセンサの出力値と第2MIセンサの出力値の差から前記トーションバーにねじれをもたらしているトルクの大きさを測定することができるトルクセンサ。
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