JP4005155B2 - 被覆粒状肥料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、含水培地または水中での肥料成分の溶出開始時期を調節すること、特に施肥した時点から比較的長期間経過後に肥料成分が溶出開始するように調節することが可能で、長期間の保存安定性の良い被覆粒状肥料、およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、我が国の農業は、農業従事者の高齢化や農村の過疎化により、農業労働力の脆弱化が進んでいる。そのために農作業の省力化の一つとして、施肥の機械化や緩効性肥料の利用などが図られている。
【0003】
例えば、緩効性肥料として、α−オレフィン系樹脂とエチレン−酢酸ビニル共重合体との混合物を主成分とする被覆材料で被覆された肥料(特公昭60−21952号公報参照)、オレフィン系樹脂とエチレン−酢酸ビニル共重合体との混合物を主成分とし、更に界面活性剤を含有する被覆材料で被覆された肥料(特公昭60−37074号公報参照)、ポリオレフィン類等の重合体を結合剤とし、それに水不溶性もしくは水難溶性の無機粉体を50〜80重量%含有させた被膜で被覆された被覆肥料(特公昭60−3040号公報参照)、オレフィン系重合物、塩化ビニリデン系重合物、ジエン重合物、ワックス類、石油樹脂等の製膜材と、肥料、土壌改良剤、肥効促進剤、農業用薬剤等の農業資材の混合物で被覆された粒状肥料が、更に製膜材で被覆されている農材被覆粒状肥料(特開平3−60486参照)などが提案されている。
【0004】
これらの被覆肥料は、いずれも被膜の不完全性から生じたピンホールやクラック、又は種々の添加剤を加えて計画的に作られたピンホール、或いは被覆の透水性又は透湿性を利用して、中の肥料成分を徐々に調節して溶出させる形式のものであり、肥料成分の溶出速度の調節型の被覆肥料である。
【0005】
ところで、植物の成長過程においては、時期により必要とする肥料成分及びその量が異なる。例えば、水稲栽培においては、元肥から穂肥まで稲の生育に合わせて4〜5回施肥することが必要である。即ち、それぞれの植物の成長過程の特定の時期毎に、その時期に必要な肥料を必要量だけ施し、その時期が過ぎた後は当該肥料は与えず、そしてその後の別の時期に、同様にして必要な肥料成分を必要量だけ施すことが望ましい。
【0006】
しかしながら、前記のような従来の被覆肥料は、肥料成分の溶出速度調節型のものであって、単に肥料成分の溶出速度が変化しているに過ぎないものであり、従来の被覆肥料を最初に元肥として全部施肥した場合には、例えば窒素成分が必要でない時期でも徐々に窒素成分が溶出し、このため窒素成分が多量に必要となる時期には不足するので追肥することが必要になる。従って、従来の被覆肥料を使用した場合には、植物成長に必要な全部の肥料を元肥として一回だけ施肥する方法では、植物の成長に適合した時期毎に、適切な肥料成分を適切な量で順次施すことはできない。
【0007】
最近、前述の問題を解消するための被覆肥料として、肥料粒子の表面に、アルカリ物質を含有する第一被覆層(内層)を形成し、次いで、その第一被覆層の表面に、オレフィン系重合体と無水マレイン酸系共重合体等のアルカリ水可溶性高分子物質との混合物からなる第二被覆層(外層)を形成した二層の被覆層を有する被覆粒状肥料が提案された(特開平4−202078号公報参照)。
また、農薬成分を含む粒状担体の表面に、アルカリ物質を含有する第一被覆層(内層)を形成し、その第一被覆層の表面に縮合系重合体とアルカリ水可溶性高分子物質との混合物からなる第二被覆層(外層)を形成した二層構成の被覆層を有する被覆粒状農薬も提案されている(特開平6−72805号公報)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前者のアルカリ水可溶性高分子物質とアルカリ物質とを用いた二層被覆層を有する被覆粒状肥料は、その製造に二回の被覆操作を別々に行うために、品質の安定した被覆粒状肥料を得ることができないという問題点、そして、得られた被覆粒状肥料が内層及び外層の二層被覆層を有しており、その被覆層全体の厚さの調節が困難であって、被覆層の厚さにバラツキが発生しやすいこと、そして、その層間の境界面に空隙(隙間)が生じやすく、その空隙(隙間)に水分が浸入して肥料成分の溶出を早期化させたり、製品が層間で剥離することがあり、品質が充分に安定した被覆粒状肥料とすることが困難であった。
【0009】
また、後者の二層被覆層を有する被覆粒状肥料は、個々の被覆粒状肥料の製品について、上記の空隙(隙間)が実質的に生じないように被覆すること、あるいは、空隙(隙間)の生じた被覆粒状肥料を検査して除去することが極めて困難であり、工業的な生産を行う場合の品質管理上問題となる。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、多層構造の層間に前記の空隙(隙間)が実質的に全く生じることがなく、一体不可分の連続被覆層構造(単層被覆構造ともいう)であって、しかも、内部にアルカリ物質のような無機材料が厚み方向の一部に偏在している被覆層を有する被覆粒状肥料を工業的に製造する方法などを鋭意検討した結果、本発明を完成した。
【0011】
本発明は、肥料粒子が、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム及びケイ酸ナトリウムからなる群より選ばれるアルカリ物質を含むアルカリ水とアルカリ物質不含の水のいずれにも不溶性の高分子物質からなる表面層、そして該アルカリ物質不含の水に対して難溶性かつ低膨潤性であって該アルカリ水に可溶性の高分子物質、該アルカリ水に不溶性の高分子物質、及び水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム及びケイ酸ナトリウムからなる群より選ばれるアルカリ物質の三成分を主成分として含む内側層が一体不可分に連続してなる被覆層(以後、単層の被覆層ということがある)により被覆されていることを特徴とする被覆粒状肥料にある。
【0012】
即ち、本発明の被覆粒状肥料の単層の被覆層は、特に、アルカリ水可溶性高分子物質とアルカリ物質(粉体)が適当な厚さの内層部分(粒状肥料表面に近い部分をいう)に偏在していると共に、両者を含まない高分子物質で最表面層部分が形成されており、最表面層部分と内層部分とが被覆材料として使用された高分子物質によって一体不可分の連続被覆層となっていて、その最表面層部分と内層部分との間の明確な境界面(境界線)が実質的に存在しない単層被覆層の状態にあることを特徴としている。
なお、本発明の被覆粒状肥料の具体的な構成の例としては、上記の様な、アルカリ物質が、被覆層内の肥料粒子に接する側の領域に局在している構成の他に、アルカリ物質が、被覆層内の肥料粒子に接する側の領域と外表面領域とにより挟まれる領域に層状に局在している構成、そしてアルカリ物質が、被覆層内の肥料粒子に接する側の領域と外表面領域とにより挟まれる領域に層状に局在しており、かつその外表面領域にはアルカリ水に可溶性の高分子物質が含まれていない構成を挙げることができる。
【0013】
本発明の被覆粒状肥料に用いる肥料粒子は、従来公知の肥料粒子であればどのようなものであってもよいが、本発明の被覆層の構成は、常温付近の温度で空気中に放置した場合にアンモニアを放出する割合がかなり少ないか、殆どない肥料粒子に対して特に有利である。ただし、アンモニア放出性の肥料粒子を用いる場合には、本発明の単層被覆層は、前記の、アルカリ物質が、被覆層内の肥料粒子に接する側の領域と外表面領域とにより挟まれる領域に層状に局在している構成、そしてアルカリ物質が、被覆層内の肥料粒子に接する側の領域と外表面領域とにより挟まれる領域に層状に局在しており、かつその外表面領域にはアルカリ水に可溶性の高分子物質が含まれていない構成のいずれかを用いればよい。また、アンモニア放出性の肥料粒子を被覆する場合には、本発明の被覆層と肥料粒子との間に、アルカリ水に可溶性の高分子物質を単独、あるいは他の高分子物質(例、水にもアルカリ水にも溶解しない高分子物質)との混合物からなる遮蔽層を追加して設けることも出来る。
本発明の被覆粒状肥料の製造に用いる肥料粒子の具体例としては、尿素、硝酸ソーダ、アルデヒド縮合尿素、イソブチルアルデヒド縮合尿素等の窒素質肥料、熔成りん肥、焼成りん肥、加工りん酸肥料、混合りん酸肥料、腐食酸りん肥等のりん酸質肥料、硫酸加里、塩化加里、硫酸加里苦土、重炭酸加里、けい酸加里肥料等の加里質肥料、りん酸加里、硝酸加里などの化成肥料、有機質肥料など、並びに、これらの肥料の混合物を、それ自体公知の方法により造粒した肥料粒子を挙げることができる。それらの肥料粒子の粒径は特に限定されないが、一般に1〜4mmであることが好ましい。
【0014】
本発明において使用されているアルカリ水可溶性高分子物質は、アルカリ水可溶性のロジン変成物、及び、炭素−炭素不飽和基(エチレン基等)を有する不飽和化合物と不飽和カルボン酸との共重合体又はその誘導体からなる群から選ばれた少なくとも1種のアルカリ水可溶性の高分子物質であることが好ましい。
【0015】
前記の不飽和化合物としては、例えば、脂肪族不飽和化合物、又はスチレン系モノマー等を好適に挙げることができ、その脂肪族不飽和化合物の例としては、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブチレン等を挙げることができ、そして、前記のスチレン系モノマーの例としては、スチレン、または、アルキル、ハロゲン、ニトロ基等の置換基をベンゼン環に有するスチレン等を挙げることができ、特にイソブチレン、スチレンが好ましい。
【0016】
前記の炭素−炭素不飽和基を有する不飽和化合物と不飽和カルボン酸との共重合体又はその誘導体は、エチレン系不飽和化合物30〜70モル%、特に40〜60モル%と、不飽和カルボン酸70〜30モル%、特に60〜40モル%との共重合体又はその誘導体であることが好ましい。なお、前記のアルカリ水可溶性高分子物質は、前記の両モノマー成分に代えて、その他のモノマー成分(ブタジエン、イソプレンなど)が一部(全モノマー成分に対して好ましくは10モル%以下、特に好ましくは5モル%以下の割合で)使用されていてもよい。
【0017】
アルカリ水可溶性の高分子物質は、アンモニア水(アンモニア濃度:8重量%)に対する溶解度が、5〜80重量%、特に10〜60重量%程度であることが好ましく、水(中性)には容易に溶解しないものであるか、または水との接触によっても殆ど膨潤しないものであることが、被覆粒状肥料の内部からの肥料成分の早期溶出を防止し、しかも長期間の保存安定性を確保する上で、好ましい。
【0018】
前記の各共重合体の誘導体としては、共重合体中のカルボン酸(又はジカルボン酸)がアルカリ金属等の塩を形成しているもの、カルボン酸(又はジカルボン酸)が低級アルコールによって一部又は全部エステル化しているもの、アミン化合物によって一部アミド化又はマレイミド化しているもの、或いは、共重合体中のジカルボン酸が無水化しているものなどを包含する。
前記の不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸などの炭素−炭素不飽和基を有するカルボン酸化合物を挙げることができ、特に、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましい。
【0019】
前記のアルカリ水可溶性のロジン系樹脂としては、生松ヤニを水蒸気蒸留して得られたロジン樹脂(樹脂酸を80〜97%含有している)を、脂肪族アルコール又は不飽和アルコールでエステル化したロジン樹脂エステル化物、或いは、無水カルボン酸、アクリル酸などの不飽和カルボン酸化合物とオレフィン類(例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン等)との共重合体を前記のロジン系樹脂で一部変成したロジン変成樹脂(例えば、ロジン変成マレイン酸系樹脂)、特に、無水カルボン酸系共重合体がロジン樹脂で変成されているロジン変成マレイン酸系樹脂(荒川化学工業株式会社より「マルキード」との商品名により販売されている)が好適である。
【0020】
本発明では、アルカリ水可溶性高分子物質として、アルカリ水可溶性のロジン変成マレイン酸系樹脂、又は、スチレンと無水マレイン酸との共重合体又はその誘導体が特に好ましい。
【0021】
本発明の被覆粒状肥料の被覆層において、内層部分中に含まれるアルカリ水可溶性高分子物質の配合量(配合割合)は、内層部分中の高分子材料(アルカリ水可溶性高分子物質と、水にもアルカリ水にも溶解しない高分子物質との合計量)に対して0.1〜50重量%の量、特に0.2〜30重量%の量、更に0.5〜20重量%の量であることが好ましい。
本発明において、前記アルカリ水可溶性高分子物質の配合量が少なくなり過ぎると被覆粒状肥料から肥料成分が溶出するまでの期間が長くなり過ぎて、肥料成分を必要とする時期を失する傾向があり、また、前記の配合量が多くなり過ぎると肥料成分の溶出が早くなり過ぎる傾向がある。
【0022】
上記のアルカリ水可溶性高分子物質と併用される、水及びアルカリ水に溶解しない高分子物質の例としては、オレフィン重合体、オレフィンを含む共重合体、ジエン系重合体、ワックス類、石油樹脂類、天然樹脂、油脂及びその変成物を好適に挙げることができる。本発明において、水およびアルカリ水に溶解しない高分子物質とは、その高分子物質をフィルム状に成形して、水あるいはアルカリ水(前記のアンモニア水など)に接する状態で放置しても少なくとも3ヵ月、特に6ヵ月は、崩壊などのような形状的な変化が発生しない高分子物質を意味する。
【0023】
上記のオレフィン重合体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン、ブテン−エチレン共重合体、ブテン−プロピレン共重合体、ポリスチレンなどを挙げることができ、オレフィンを含む共重合体としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリル酸エステル共重合体、エチレン−エチルメタクリル酸エステル共重合体、プロピレン−エチルアクリル酸エステル共重合体などを挙げることができ、更に、ジエン系重合体としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ブタジエン−スチレン共重合体、EPDM重合体、イソプレン−スチレン共重合体を挙げることができる。
【0024】
前記のワックス類としては、融点が50〜100℃、特に60〜90℃程度であるワックス類が好ましく、例えば、蜜ロウ、木ロウ、パラフィン、クリスタリンワックス、酸化ワックスなどを挙げることができ、天然樹脂とは、天然ゴム、ロジンなどを挙げることができ、更に、油脂及びその変成物は、硬化油、固形脂肪酸、及びその金属塩などを挙げることができる。
【0025】
本発明において被覆層内に配合されるアルカリ物質としては、水溶液中でアルカリ性を示す無機または有機化合物のいずれであってもよく、特に、常温で固体(アルカリ物質の固体の平均粒子径が0.5〜10μm、特に0.8〜5μm程度の粉体であるが好ましい)であって、水と穏やかに反応するアルカリ物質が好ましく、例えば、アルカリ土類金属の炭酸塩、水酸化物、若しくは酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、リン酸塩若しくはケイ酸塩のような無機化合物、アルカリ金属の有機酸塩、アルキルアミド類のような有機化合物を挙げることができる。
前記のアルカリ物質の具体例としては、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸三カリウム、ケイ酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなどを好適に挙げることができる。
【0026】
本発明の被覆粒状肥料において、被覆層中に含まれる前記アルカリ水可溶性高分子物質の配合量(配合割合)は、被覆層中の高分子材料(アルカリ水可溶性高分子物質と、水及びアルカリ水のいずれにも可溶でない高分子物質との合計量)に対して、0.1〜50重量%の量、特に0.2〜30重量%の量、さらに0.5〜20重量%の量であることが好ましい。
【0027】
本発明において、前記アルカリ水可溶性高分子物質の配合量が少なくなり過ぎると、被覆粒状肥料から肥料成分が溶出するまでの期間が長くなり過ぎる場合があり、また、前記の配合量が多くなり過ぎると肥料成分の溶出が早くなり過ぎることがある。
【0028】
本発明の被覆粒状肥料において、被覆層中に含まれる前記のアルカリ物質の使用量(配合量)は、被覆層中に含まれるアルカリ水可溶性高分子物質の配合量の0.05〜5重量倍の量、特に0.1〜3重量倍の量、さらに0.1〜1重量倍の量であることが好ましい。
本発明において、アルカリ水可溶性高分子物質の配合量に対するアルカリ物質の配合量が少なくなると、アルカリ水可溶性高分子物質が充分に溶解されにくくなるため、肥料の溶出開始時期が遅くなり過ぎたり、肥料の溶出が開始した後の肥料の溶出速度が小さくなり過ぎる傾向がある。
【0029】
また、アルカリ水可溶性高分子物質の配合量に対するアルカリ物質の配合量(配合割合)が大きくなると、肥料の溶出が開始した後の肥料の溶出速度が大きくなるが、ある程度より多くしても肥料の溶出速度が大きくならず、被覆粒状肥料中の肥料成分の含有率が相対的に低下する。
【0030】
本発明の被覆粒状肥料において、被覆層全体の被覆量は、被覆される各粒状肥料に対して0.5〜30重量%、特に1〜20重量%、さらに2〜15重量%程度の割合(被覆率)となる量であることが好ましい。又、本発明の被覆粒状肥料では、その被覆層全体の厚さが、約30〜300μm、特に50〜150μm程度であることが好ましい。
【0031】
本発明の被覆粒状肥料は、例えば、図2に示すように、肥料粒子(例、尿素粒子)20を被覆している単層の被覆層21の最表面層部分23が、実質的に水およびアルカリ水のいずれにも溶解しない高分子物質から形成されており、被覆層の内層部分22の全部または一部分(被覆粒状肥料の断面において、該単層被覆層21の内層部分22の厚さ方向の全体にわたって、又は、その厚さ方向の一部分)が、上記の水及びアルカリ水のいずれにも溶解しない高分子物質に加えてアルカリ水可溶性高分子物質及びアルカリ物質の被覆材料で形成されており、更に、被覆層21は、前記の最表面層部分23と内層部分22とが一体不可分の連続被覆層(単層被覆層)となっている。
【0032】
本発明の被覆粒状肥料は、一体不可分の連続被覆層(被覆層が多層の被覆構造を有しておらず、層間の隙間又は層間の空隙部分を有していない)を形成している単層の被覆層で被覆されていると共に、最表面層部分23は水にもアルカリ水にも溶解しない高分子物質で形成されているので、外気中の水分、或いは、アンモニアガス等の塩基性ガスが内層部分のアルカリ水可溶性高分子物質及びアルカリ物質に短時間で容易に接触することがなく、そして両者が短時間で簡単に溶解することがなく、しかも、粒状肥料の成分が短期間に溶出するのを確実に防止できると共に、長期間の保存安定性にも優れている。
【0033】
本発明の被覆粒状肥料はまた、図3に示すように、肥料粒子(例、粒状尿素)30を被覆している単層被覆層31の最表面層部分35が前記の水にもアルカリ水にも溶解しない高分子物質で形成され、そして、該単層被覆層の中央部分34が、その不溶性の高分子物質に加えてアルカリ水可溶性高分子物質及びアルカリ物質の被覆材料で形成され、しかも、その最内層部分33が前記の不溶性の高分子物質で形成されていて、単層被覆層31が最表面層部分35と内層部分32とが一体不可分の連続被覆層(単層被覆層)となっているものであってもよい。
【0034】
本発明の被覆粒状肥料において、単層被覆層全体の被覆量は、被覆される肥料粒子に対して0.5〜30重量%、特に1〜20重量%、更に2〜15重量%程度の割合(被覆率)となる量であることが好ましい。
また、本発明の被覆粒状肥料では、肥料粒子の内径が1〜4mm程度である場合には、その単層被覆層全体の厚さが、約30〜300μm、特に50〜150μm程度であることが好ましい。
【0035】
前記の単層被膜層の厚さが薄くなり過ぎると、この発明の作用効果である肥料成分の溶出を、長い期間、抑制することができなくなる傾向がある。また、前記の厚さが厚くなり過ぎると、余りに肥料成分の溶出が遅くなり過ぎたり、被覆層の再現性のよい形成ができにくくなる。
【0036】
図2および図3に示す単層被覆粒状肥料の単層被覆層21または31における水にもアルカリ水にも溶解しない高分子物質で形成されている最表面層部分33又は35が、単層被覆層の平均厚さに対して0.5/10〜8/10倍、特に1/10〜7/10倍程度の平均厚さであると共に、肥料粒子20又は30の内径が1〜4mm程度であれば、約5〜90μm、特に10〜80μm程度の平均厚さであることが好ましい。
【0037】
図3に示す被覆粒状肥料は、前述のように、最内層部分33と中央部分34との内層部分32及び最外層部分35からなる単層被覆層31を有しているが、その最表面層部分35は単層被覆層31の平均厚さ(中心部の断面における厚さ)に対して約1/10〜6/10倍、特に2/10〜5/10倍程度の範囲内の平均厚さであることが好ましく、特に、図3の単層被覆粒状肥料において、肥料粒子30の内径が1〜4mm程度であれば、その最表面層部分35が約10〜80μm、特に20〜60μ程度の平均厚さであることが好適である。
【0038】
そして、図3の被覆粒状肥料の被覆層の中央部分34は、単層被覆層31の平均厚さに対して約1/10〜8/10倍、特に2/10〜6/10倍程度の範囲内の平均厚さであることが好ましく、特に図3の単層被覆粒状肥料において肥料粒子の内径が1〜4mm程度であれば、その中央部分34が約10〜80μm、特に20〜60μ程度の平均厚さであることが好適であり、そして、図3の単層被覆粒状肥料の最内層部分33は、単層被覆層31の平均厚さに対して約0.5/10〜5/10倍、特に0.5〜3/10倍程度の範囲内の平均厚さであることが好ましく、特に、図3の単層被覆粒状肥料において肥料粒子30の内径が1〜4mm程度であれば、その最内層部分32が約1〜40μm、特に2〜30μ程度の平均厚さであることが好適である。
【0039】
被覆される粒状肥料が尿素肥料のようにアンモニアを発生させる可能性があるものであれば、その被覆肥料の内部から発生したアンモニアが吸収された水分に溶解してアルカリ水溶液となったり、又、その水溶液がアルカリ物質及び/又はアルカリ水可溶性高分子物質を溶解させたりする可能性があるが、前記の図3に示されているように、単層被覆層31の最内層部分33には前記アルカリ水可溶性高分子物質及びアルカリ物質を含有していない単層被覆粒状肥料である場合には、前記の最内層部分33は、前述の現象が短期間で生じることを防止することができるので、結果として、肥料成分が短期間で溶出することを防止し、また、被覆粒状肥料の保存安定性も向上するので、被覆粒状肥料としてはそれらの点においてさらに優れているのである。
【0040】
なお、本発明の被覆粒状肥料において、図示しないが、アルカリ物質が単層被覆層の最内層部分にのみ配合されており、そして、アルカリ水可溶性高分子物質が単層被覆層の中央部分にのみ配合されていて、アルカリ水可溶性高分子物質とアルカリ物質とがそれぞれ分かれて偏在して配合されていてもよい。
【0041】
前述のようなアルカリ水可溶性高分子物質とアルカリ物質とが別箇所へ偏在している型式である被覆粒状肥料では、アルカリ水可溶性高分子物質とアルカリ物質とが、直接に接触していないか、一部分接触している状態となっているので、アルカリ水可溶性高分子物質のアルカリ水への溶解を遅らせることができ、そして、肥料成分の溶出を遅くさせることが可能となる。
【0042】
本発明の単層被覆粒状肥料においては、その単層被覆層は、最表面層部分と、中央部分と、最内層部分とかならなり、そして、その中央部分は単層被覆層の平均厚さに対して1/10〜9/10の平均厚さを有し、アルカリ水可溶性高分子物質及びアルカリ物質がその他の高分子物質と共に配合されており、又、該単層被覆層の最表面層部分と最内層部分とは単層被覆層の平均厚さに対して0.5/10〜6/10倍の平均厚さをそれぞれ有すると共に、アルカリ水可溶性高分子物質及びアルカリ物質が含有されておらずその他の高分子物質のみでそれぞれ形成されている図3に示すような被覆粒状肥料が最適である。
【0043】
本発明の被覆粒状肥料は、流動層形成装置内に投入された肥料粒子に、該流動層形成装置の下方から上方に向かって流通する流動層形成用気体を適用することによって肥料粒子の流動層を形成する工程、
アルカリ水可溶性高分子物質、水およびアルカリ水のいずれにも不溶性の高分子物質、およびアルカリ物質を含む被覆材料の混合液を噴霧用気体と共に噴霧ノズルから流動層形成装置内に噴霧して、装置内で流動層を形成している肥料粒子の表面にその混合液を付着させる工程、
アルカリ水可溶性高分子物質、水およびアルカリ水のいずれにも不溶性の高分子物質、およびアルカリ物質を含む被覆材料が表面に付着した肥料粒子の流動層へ、水およびアルカリ水のいずれにも不溶性の高分子物質を主成分として含む溶液を噴霧用気体と共に噴霧ノズルから噴霧して、上記の工程で混合液が表面に付着した肥料粒子に更に該溶液を付着させる工程、そして
前記被覆材料の混合液お上記の被覆材料の溶液とを付着させた肥料粒子の表面を乾燥する工程、
を含む方法を利用することによって有利に製造することができる。
【0044】
上記の被覆粒状肥料の製造は、例えば、図1に示すような流動層形成装置1を用いて、流動層被覆法で行うことが好ましい。この流動層形成装置1には、肥料粒子供給用ホッパー2と粒状肥料供給ライン3が装置の上方部分に連結されている。また、噴霧液a(アルカリ水可溶性高分子物質及び他の高分子物質の混合物が溶解しているポリマー溶液)の供給ライン4と、噴霧液b(水およびアルカリ水のいずれにも溶解しない高分子物質とアルカリ物質が分散しているスラリー溶液)の供給ライン5と、各バルブで流路を切り換えることができるようにそれらの供給ラインが合流している噴霧液供給ライン6及び噴霧ノズル7が連結して装置内の下部分に設置されている。装置の下端部には流動層用気体供給ライン8とその噴出ノズル9が備えられており、さらにクーラー10を経由した排ガスライン11が装置の頂部に設けられている。そして、装置内の底部には、多孔板12が設けられている。
【0045】
本発明の製法においては、例えば、図1に示す流動層形成装置1を用いて、流動層用気体の供給ライン8及び供給ノズル9を介して流動層用気体を流動層形成装置1内へ供給し、その装置内の多孔板12で整流した流動層形成用気体で、肥料粒子のホッパー2及びその供給ライン3からその装置1の内部に供給された肥料粒子を流動化して、その肥料粒子の流動層(噴流層も含む)を形成しておき、一方で、複数の被覆材料(高分子材料、アルカリ物質など)の溶液(噴霧液a及びb)を、供給ライン4及び/又は5と供給ライン6とを経由して、順次又は一部同時に前記装置1内へ供給して噴霧ノズル7から噴霧することによって、流動化状態の肥料粒子に各被覆材料(噴霧液)を順次又は同時に付着させ、該被覆層の乾燥を充分に行って、肥料粒子を被覆するという流動層被覆法で、単層被覆層を有する粒状肥料を製造する。
【0046】
本発明の被覆粒状肥料の製法の実施態様としては、図1に示すような流動層形成装置1を用いて、例えば、先ず、流動層形成装置1の下部の流動層用気体の供給ライン8及びその供給ノズル9から連続して供給される流動層用気体によって流動化されている肥料粒子の流動層へ向かって、アルカリ水可溶性高分子物質溶液及びアルカリ物質の混合液(噴霧液a:アルカリ物質スラリー溶液)と、水にもアルカリ水にも溶解しない高分子物質の溶液(噴霧液b:ポリマー溶液)とを供給ライン4及び供給ライン5から同時に供給して、供給ライン6内で混合された噴霧液a及びbの混合液を、噴霧ノズル7から噴霧用気体と共に一定時間噴霧して、流動層を形成している各肥料粒子の表面にその混合液を付着させながら一部乾燥する。
【0047】
前述の操作に実質的に連続して、アルカリ水可溶性高分子物質及びアルカリ物質の各溶液の供給を供給ライン4のバルブで停止すると共に、該流動層形成装置1の内部で、前述の操作によって前記混合液(又は被覆材料)が表面に付着している肥料粒子の流動層へ、水にもアルカリ水にも不溶性の高分子物質の溶液(噴霧液b)のみを供給ライン5及び6から供給し、そして噴霧液bを噴霧用気体と共に噴霧ノズル7から一定時間噴霧して、各肥料粒子の最外表面にその溶液を付着させ乾燥を充分に行なう操作によって、図2に示すような、粒状肥料20を被覆している単層被覆層21が、その最表面層部分23が水にもアルカリ水にも溶解しない高分子物質のみで形成され、内層部分22がアルカリ水可溶性高分子物質と該不溶性の高分子物質とアルカリ物質とで形成されており、そして、内層部分22と最表面層部分23とが一体不可分の連続被覆層(単層被覆層)21となっている単層の被覆層で被覆された被覆粒状肥料を製造する方法を好適に挙げることができる。
【0048】
本発明の製法において使用する被覆材料の溶液(噴霧液)を調製する際に使用される溶媒としては、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素などの炭化水素溶媒類(ハロゲン化炭化水素溶媒類も含む)、エステル溶媒類、エーテル溶媒類、アルコール溶媒類、ケトン溶媒類、アミド溶媒類、或いは、それらの混合溶媒を挙げることができる。
上記の炭化水素溶媒類としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルナフタリン、クロルベンゼン、ジクロルベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒、石油エーテル、リグロイン、n−ヘキサン、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロルエタン、トリクロルエタン等の脂肪族炭化水素溶媒、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素溶媒などを挙げることができる。
【0049】
前記のエーテル溶媒類としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどを挙げることができ、アルコール溶媒類としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコールなどを挙げることができ、エステル溶媒類としては、酢酸エチル、ケトン溶媒類としては、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトンなどを挙げることができ、更に、アミド溶媒類としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドなどを挙げることができる。
本発明の製法では、前記溶媒として、芳香族炭化水素溶媒類1容量とケトン溶媒類0.1〜10容量、特に0.5〜5容量との混合溶媒が特に好ましい。
【0050】
なお、前記の噴霧液a及びbは、それぞれ、アルカリ水可溶性高分子物質、水にもアルカリ水にも溶解しない高分子物質、及びアルカリ物質から選択された少なくとも1種の被覆材料を含有している溶液又はスラリー液であればよく、それらの2種以上の被覆材料を含有されている溶液又はスラリー液を形成していてもよいが、例えば、噴霧液aがアルカリ性水可溶性高分子物質およびアルカリ物質を含有するスラリー溶液であり、また、噴霧液bが上記の不溶性の高分子物質の溶液であることが好ましい。
【0051】
前記の噴霧液a又は噴霧液b中に含有されるポリマー成分(高分子物質成分)の配合割合は、特に限定されるものではないが、噴霧液として供給し及び噴霧できる溶液粘度(噴霧時に0.1〜100ポイズ程度)を有するような濃度であることが好ましく、例えば、1〜40重量%、特に2〜20重量%程度のポリマー濃度であることが好ましい。
また、前記の噴霧液a又はb中に含有されるアルカリ物質(粉体)のポリマー成分に対する配合割合は、約1〜40重量%、特に2〜20重量%、更に3〜15重量%程度であることが好ましい。
【0052】
前記の各噴霧液の供給速度は、5〜200cc/分、特に10〜100cc/分程度であることが好ましい。又、前記の噴霧液の噴霧時間は、肥料粒子の表面に形成しようとする単層被覆層の構成(各部分の厚さなど)によって、適宜決めることができ、例えば、噴霧液aと噴霧液bの混合液を1〜20分間噴霧した場合には、噴霧液bのみを0.5〜20分間噴霧することが好ましい。
【0053】
被覆操作時の温度は、40〜80℃、特に40〜70℃程度であることが好ましく、被覆温度を維持するには、主として流動層形成用気体を約60〜100℃に加熱して供給することによって行うことができ、さらに、各噴霧液a、bを約70〜80℃に予熱しておくことが好ましい。
前記の流動層形成用気体としては、例えば、窒素ガス、空気などの不活性気体を使用することができ、また、流動層形成用気体の供給量は、被覆される肥料粒子の形状、サイズ及び量、噴霧される噴霧液a及びbの各組成と量などによって適宜決めることができる。
【0054】
本発明の製法によって得られた被覆粒状肥料は、前述の製法において噴霧液などに使用されていた溶媒を実質的に含有していない状態にまで充分に乾燥することが好ましく、特に、噴霧液の供給を停止した後も加熱された流動層形成用気体を1〜30分間供給し続けることが好ましい。
本発明の単層被覆粒状肥料は、肥料粒子の表面に形成された単層被覆層中に残存して含有される溶媒が、約1重量%以下、特に0.1重量%以下であることが好ましい。
【0055】
【実施例】
本発明の被覆粒状肥料の被覆層形成用の噴霧液の調製に関する参考例、そして本発明の実施例を以下に示す。
[参考例1]
水酸化カルシウム(日の丸工業株式会社製、消石灰超微粉グレード、平均粒子径:約5μm)5kg、スチレン−無水マレイン酸共重合体(ARCOケミカル社製、商品名:SMAレジン−SMA1000)10kg、エチルアクリレート含有割合18モル%であるエチレン−エチルアクリレート共重合体(以下、EEA樹脂という。日本ユニカー株式会社製、商品名:NUC−6170)5kgを、トルエン50重量%とメチルエチルケトン50重量%の混合溶媒に80℃で溶解し、樹脂及び消石灰が約8重量%含有されている被覆層形成液(噴霧液a:スラリー液)を調製した。
【0056】
[参考例2]
EEA樹脂(日本ユニカー株式会社製、商品名:NUC−6170)45kg、及びワックス(日本精蝋株式会社製、マイクロクリスタリンワックス、商品名:Hi−Mic−3090)83kgを、トルエン50重量%とメチルエチルケトン50重量%の混合溶媒に80℃で溶解し、樹脂を8重量%含有する被覆層形成液(噴霧液b:ポリマー溶液)を調製した。
【0057】
[実施例1]
図1に示すような噴霧液用の噴霧ノズル7を有する塔径200mmの流動層形成装置(噴流型)1内に、粒状肥料の供給ライン3から平均粒径2.3mmの粒状尿素2kgを投入し、80℃の熱風(流動層用空気)を流動層用気体の供給ライン8及びそのノズル9から送風して粒状尿素を流動化すると共に80℃に加温し、一方、参考例1で調製した噴霧液a(供給速度30cc/分)と参考例2で調製した噴霧液b(供給速度50cc/分)とを供給ライン4及び5でそれぞれ供給し、供給ライン6で両液を混合し、その混合液を窒素ガスと共に噴霧ノズル7から流動化している粒状尿素へ向かって26分間噴霧して、粒状尿素に80℃の混合液(内層部分を形成するための被覆材料)を付着させ、一部乾燥した。
【0058】
前記の操作に連続して、参考例2で調製した被膜層形成液(噴霧液b)を供給ライン5、6経由にて供給速度80cc/分で供給し、その噴霧液bを窒素ガスと共に噴霧ノズル7から流動化している粒状尿素に向かって6分間噴霧して、粒状尿素をさらに被覆するほかは、前述の被覆操作と同様にして、粒状尿素の内層部分の上に連続して最表面層部分を形成して、単層被覆層(内層部分の厚さ:約60μm、最表面層部分の厚さ:約14μm、及び単層被覆層の被覆率:7.3重量%)を有する、図2に示すような被覆粒状肥料Aを製造した。
【0059】
得られた単層被覆粒状肥料は、尿素100重量部当たり、単層被覆層が7.3重量部であり、アルカリ物質とアルカリ水可溶性高分子物質の重量比(消石灰/SMAレジン)は、50/100であった。
また、実施例1で得た単層被覆粒状肥料Aを中央部で切断して尿素成分をすべて溶出させて、その単層被覆層を電子顕微鏡写真で撮影した結果、その単層被覆層は、最表面層部分と内層部分との樹脂層の境界面が判別できる状態でないことが確認され、そして、消石灰がほぼ一定の厚さの内層部分に均一に分散して偏在している状態が確認できた。
【0060】
得られた被覆粒状肥料Aについて、尿素の溶出試験法に準じて、そのまま第1の溶出試験を行った。その結果を表1に示す。
得られた被覆粒状肥料Aを50℃で36日間、恒温槽に保管した後、被覆粒状肥料(前記の恒温槽での保管は2年間の虐待試験を受けたことに相当する)を取り出して前述の同様に第2の溶出試験を行って、溶出率を測定した。その結果を表1に示す。
それらの溶出試験によって得られた各溶出曲線を、図4に示す。
第2の溶出試験の結果は、第1の溶出試験の結果と特性が異なることが見られなかった。
【0061】
【表1】
【0062】
[実施例2]
図1に示すような被覆層形成装置を使用して、粒状肥料の供給ライン3から平均粒径2.3mmの粒状尿素1kgを投入し、60℃の熱風(流動層用空気)を流動層用気体の供給ライン8及びそのノズル9から送風して粒状尿素を流動化すると共に80℃に加温し、一方、参考例2で調製した被膜層形成液(噴霧液b)を供給ライン5、6経由にて供給速度60g/分で供給し、その噴霧液bを窒素ガスと共に噴霧ノズル7から流動化している粒状尿素に向かって噴霧して、粒状尿素を被覆してその噴霧液bを付着させ、一部乾燥した。
【0063】
前記操作に連続して、参考例1で調製した噴霧液a(供給速度約30g/分)と参考例2で調製した噴霧液b(供給速度約30g/分)とを供給ライン4及び5経由でそれぞれ供給し、供給ライン6で両液を混合し、その混合液を窒素ガスと共に噴霧ノズル7から流動化している粒状尿素に向かって噴霧して、約55℃の被覆温度で粒状尿素に混合液を付着させ、一部乾燥した。
【0064】
前記操作に連続して、参考例2で調製した被膜層形成液(噴霧液b)を供給ライン5、6経由にて供給速度60g/分で供給し、その噴霧液bを窒素ガスと共に噴霧ノズル7から流動化している粒状尿素に向かって噴霧して、粒状尿素にその噴霧液bを付着させ、十分に乾燥して、単層被覆層(最表面層部分の厚さ:約40μm、中央部分の厚さ:約20μm、最内層部分の厚さ:約10μm、及び単層被覆層全体の厚さ:約70μm、並びに単層被覆層の被覆率:約7重量%)を有する、図3に示すような単層被覆粒状尿素Bを製造した。
【0065】
得られた被覆粒状肥料Bは、尿素100重量部当たり、単層被覆層が7重量部であり、また、単層被覆層内において、アルカリ物質とアルカリ水可溶性高分子物質の重量比(消石灰/SMAレジン)は、50/100であった。
また、実施例2で得た単層被覆粒状肥料Bを中央部で切断して尿素成分をすべて溶出させて、単層被覆層を電子顕微鏡写真で撮影した結果、その単層被覆層の断面には、最表面層部分と中央部分と最内層部分の樹脂層の境界面を判別できる状態でなく、消石灰がほぼ一定の厚さの中央部分に均一に分散して偏在している状態が確認できた。
【0066】
得られた被覆粒状肥料Bについて、尿素の溶出試験法に準じて、そのまま第1の溶出試験を行った。その結果を表2に示す。
得られた被覆粒状肥料Bを50℃で36日間、恒温槽に保管した後、被覆粒状肥料(前記の恒温槽での保管は2年間の虐待試験を受けたことに相当する)を取り出して前述と同様に第2の溶出試験を行って、溶出率を測定した。その結果を表2に示す。
それらの溶出試験によって得られた各溶出曲線を、図5に示す。
第2の溶出試験の結果は、第1の溶出試験の結果と特性が異なることが見られなかった。
【0067】
【表2】
【0068】
なお、実施例1及び2の粒状尿素の被覆操作において、流動層形成用気体は流動層形成装置1の下部のノズル9から約80℃に維持されて一定の供給割合で連続して供給され粒状尿素を流動層を維持し、一方、流動層の形成に使用された後の気体は溶媒と共に排ガスとして流動層形成装置の上部の排ガス出口温度を55〜60℃に維持された状態で排出され、更に、排ガスを冷却器10で常温付近にまで冷却して溶媒を液化し分離回収した後、大気中に排出した。
【0069】
【発明の効果】
本発明の被覆粒状肥料は、一回の連続被覆操作で工業的に製造することが可能で、公知の二層被覆層を有する被覆粒状肥料と異なり、単層被覆層内に樹脂の境界面における空隙部分(隙間)を全く有しておらず、被覆層全体が一体不可分の連続被覆層からなる単層被覆層として肥料粒子の周囲に形成されていて、必要なアルカリ物質及びアルカリ水可溶性高分子物質が内層部分に偏在しているので、樹脂の境界面の空隙によって被覆層が剥離したり、肥料成分の溶出が早期起こったりすることが無く、施肥効果を十分に得ることができる品質が極めて安定している被覆粒状肥料である。
そして、前記の被覆粒状肥料の製法によれば、前記の単層被覆粒状肥料を、その単層被覆層全体の厚さのバラツキもなく、品質が十分に安定している優れた被覆粒状肥料を工業的に容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の被覆粒状肥料の製造に有利に利用できる流動層形成装置(被覆装置)を閉めす。
【図2】本発明の被覆粒状肥料の構造の例を示す図である。
【図3】本発明の被覆粒状肥料の構造の他の例を示す図である。
【図4】実施例1で得た被覆粒状肥料Aの溶出試験による溶出曲線である。
【図5】実施例2で得た被覆粒状肥料Bの溶出試験による溶出曲線である。
【符号の説明】
1 流動層形成装置
2 粒状肥料のホッパー
3 粒状肥料供給ライン
4 噴霧液aの供給ライン
5 噴霧液bの供給ライン
6 噴霧液供給ライン
7 噴霧ノズル
8 流動層用気体の供給ライン
9 流動層用気体の供給ノズル
10 排ガスクーラー
11 排ガスライン
12 多孔板
13 被覆肥料の抜き出しライン
20 尿素粒子
21 単層被覆層
22 内層部分
23 表面層部分
Claims (3)
- 肥料粒子が、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム及びケイ酸ナトリウムからなる群より選ばれるアルカリ物質を含むアルカリ水とアルカリ物質不含の水のいずれにも不溶性の高分子物質からなる表面層、そして該アルカリ物質不含の水に対して難溶性かつ低膨潤性であって該アルカリ水に可溶性の高分子物質、該アルカリ水に不溶性の高分子物質、及び水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム及びケイ酸ナトリウムからなる群より選ばれるアルカリ物質の三成分を主成分として含む内側層が一体不可分に連続してなる被覆層により被覆されていることを特徴とする被覆粒状肥料。
- 該アルカリ物質不含の水に対して難溶性かつ低膨潤性であって、該アルカリ水に可溶性の高分子物質が、無水マレイン酸共重合体である請求項1に記載の被覆粒状肥料。
- 被覆層の平均厚さが、30〜300μmの範囲にある請求項1もしくは2に記載の被覆粒状肥料。
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