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JP4008642B2 - ヘッドスライダ - Google Patents
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JP4008642B2 - ヘッドスライダ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスク装置等に用いられているヘッドスライダ、特に負圧利用型ヘッドスライダに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、磁気ディスク装置の記録密度の向上は著しく、その記録密度の増加は年率100%ともいわれている。磁気ディスク装置では、ディスク媒体と磁気ヘッドを搭載したヘッドスライダとの接触による摩耗損傷を避けるために、ディスク媒体が停止している状態ではヘッドスライダをディスク媒体に接触させ、ディスク媒体が回転しディスク媒体と磁気ヘッドとの間で記録再生を行う際には、ディスク媒体の回転で発生する空気流によって、ヘッドスライダをディスク媒体より浮上させるようにした、コンタクト・スタート・ストップ(CSS)方式といわれる起動停止方式が採用されている。
【0003】
あるいは、特開平11−185246号公報に記載されているような、ディスク媒体の回転停止時には、ディスク媒体の外周に配設されたランプとよばれる傾斜面上にサスペンションを摺動待避させるいわゆるアンロードを行うことで、ヘッドスライダをディスク媒体から離反した状態で支持するようにしたランプロード方式といわれる起動停止方式が採用されている。
【0004】
磁気ディスク装置では、記録密度の増加にともない、記録再生を行う際のヘッドスライダのディスク媒体に対する浮上量は小さくなる傾向にある。この浮上量の低下は、ヘッドスライダの空気潤滑面を複数の高さの異なる略平面で形成し、ヘッドスライダとディスク媒体との隙間が小さくなるように高く形成された略平面で正圧を発生し、ヘッドスライダとディスク媒体との隙間が大きくなるように低く形成された略平面で負圧を発生し、正圧と負圧とのバランスをとり浮上するいわゆる負圧利用型ヘッドスライダによって達成されるものであり、特許第1505878号,特許第2778518号,特許第2803639号等に開示されている。
【0005】
今日の磁気ディスク装置は,速いアクセス速度を得るためにレコードプレーヤのトーンアームに似た回転型アクチュエータを備えている。回転型アクチュエータを使用していることにより、ヘッドスライダとディスク媒体との摺動およびヘッドスライダ下の空気流はもはや本質的に一方向的ではなくなり、ヘッドスライダの縦軸に関してさまざまな角度に広がっている。加えて、アクセス中のアクチュエータの高速な探索動作が、ヘッドスライダとディスク媒体との間の摺動方向およびヘッドスライダ下を流れる空気流の方向が縦軸に対して傾く原因となっている。したがって、近年の回転型アクチュエータ・磁気ディスク装置においては、摺動方向は、もはやヘッドスライダの前方から後方への縦軸方向、あるいはわずかにそれから逸れる程度とは考えられない。
【0006】
ヘッドスライダの縦軸に対するディスク媒体の摺動方向の角度は、スキュー角と呼ばれる。摺動方向が、ヘッドスライダの外側の端または外にあたるようにアクチュエータ・アームが位置しているときは、スキュー角は正である。ヘッドスライダの内側の端またはハブにあたるようにアクチュエータ・アームが位置しているときは、スキュー角は負である。
【0007】
磁気ディスク装置のアクチュエータ・アームは、その先端にヘッドスライダが取り付けられており、その中に読取り書込み磁気ヘッドを内蔵している。一般的に、磁気ヘッドは空気潤滑面の空気流出端近傍に配設される。ディスク媒体の回転にともなって発生する空気流を空気潤滑面とディスク媒体表面の間に引き込み、それによってヘッドスライダはディスク媒体から浮上している。こうしてヘッドスライダは、回転するディスク媒体上を浮動する。その浮動高度は、空気潤滑膜の厚さであり、即ちディスク媒体表面とヘッドスライダとの距離である。
【0008】
このように、ヘッドスライダのディスク媒体に対向する面は空気潤滑面をなし、ヘッドスライダとディスク媒体記憶面との間の自己加圧式の空気潤滑膜を形成しかつこれを維持している。この膜によって、ディスク媒体回転中にヘッドスライダとディスク媒体が機械的に接触しにくくなり、摩擦および摩耗が抑制されている。
【0009】
データアクセスを行う際、ヘッドスライダはディスク媒体内周からディスク媒体外周までの範囲で移動するが、この場合、ヘッドスライダの浮上量および浮上姿勢は変動する。これは、回転型アクチュエータ・磁気ディスク装置においては、ディスク媒体の半径位置によってヘッドスライダとディスク媒体との摺動速度のみならずスキュー角もあわせて変動するために、空気潤滑面に生じる圧力分布が変動するためである。このようなヘッドスライダの浮上量変動は、磁気ヘッドの電磁変換効率を悪化させる。このため、高記録密度が要求される磁気ディスク装置においては、ディスク媒体内周から外周に渡って磁気ヘッド位置での浮上量が均一であることが要求され、ヘッドスライダの低浮上量化にともない、浮上量変動に対する要求はますます厳しくなっている。
【0010】
そこで、空気潤滑面に配設する負圧発生凹部を磁気ヘッドが搭載されている空気流出端側に形成し、磁気ヘッド近傍の空気膜剛性を高めることで浮上量変動を抑制することが行われている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ヘッドスライダの浮上姿勢の変動は、前述の磁気ヘッド位置において一定浮上が求められるヘッドスライダにおいては、最小浮上量位置での浮上量低下を招きヘッドクラッシュを誘発する恐れがあるため、ヘッドスライダは安定した浮上姿勢を維持する必要がある。
【0012】
負圧発生凹部を空気潤滑面に設けた負圧利用型ヘッドスライダを構成する場合、一般的に負圧発生凹部は空気潤滑面に形成された正圧発生面であるクロスレールと、サイドレールに囲まれ、空気流出端側が開放された正圧発生面より低い略平面で単一に形成されるが、前述のように負圧発生凹部を空気流出端側に形成して磁気ヘッド位置での浮上量変動を抑制しようとすると、空気流入端側での負圧発生凹部がなくなり、ヘッドスライダ縦軸方向の浮上姿勢を維持する空気膜剛性、いわゆるピッチ角剛性が小さくなってしまうという問題がある。
【0013】
あるいは、単一の負圧発生凹部では、スキュー角変動にともない、負圧発生凹部内での圧力分布が変化するため、ヘッドスライダ横軸方向の浮上姿勢が変化してしまうという問題がある。
【0014】
本発明はこのような不都合に鑑みて創案されたものであって、空気流入端側に独立した独立負圧発生凹部を形成し、空気膜剛性を高め、ヘッドスライダ縦軸方向の安定した浮上姿勢が得られるヘッドスライダの提供を目的としている。
【0015】
さらに、本発明は、空気潤滑面の空気流入端側に独立した独立負圧発生凹部、空気流出端側に負圧発生凹部を形成することで、負圧のバランスをとり、ヘッドスライダ縦軸方向の安定した浮上姿勢が得られるヘッドスライダの提供を目的としている。
【0016】
さらに、本発明は、空気潤滑面のディスク内周側端側とディスク外周側端側のそれぞれに独立した独立負圧発生凹部を形成することで、スキュー角変動によって生じる圧力分布変化によるヘッドスライダ横軸方向の浮上姿勢の変化を抑制することを目的としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るヘッドスライダは、このような目的を達成するため、ディスク媒体に対向する空気潤滑面が、前記ディスク媒体の回転に伴って発生する空気流を引き込む側にある空気流入端と、前記空気流が吐き出される側にある空気流出端と、ディスク外周側端とディスク内周側端に囲まれてなり、前記空気潤滑面は、前記空気流出端開放した部分として形成された負圧発生凹部と、周囲を高い平面で囲まれて独立して形成された独立負圧発生凹部と、正圧発生面を有するヘッドスライダにおいて、前記独立負圧発生凹部の形成位置が、前記負圧発生凹部よりも空気流入端側にあり、かつ、前記空気流入端から前記空気流出端までの前記空気流の圧力分布が、前記独立負圧発生凹部によって負圧になり、前記正圧発生面によって正圧に変化し、そして前記負圧発生凹部によって負圧に変化する経路をもつことを特徴としている。
【0018】
この発明によれば、磁気ヘッド位置での浮上量変動をなんら悪化させることなく、空気流入端側と空気流出端側で負圧のバランスをとり、ヘッドスライダ縦軸方向の空気膜剛性を高め、ヘッドスライダ縦軸方向の浮上姿勢の変動を抑制できるという優れた効果が得られる。
【0021】
あるいは、本発明に係るヘッドスライダは、このような目的を達成するため、ディスク媒体に対向する空気潤滑面が、前記ディスク媒体の回転に伴って発生する空気流を引き込む側にある空気流入端と、前記空気流が吐き出される側にある空気流出端と、ディスク外周側端とディスク内周側端に囲まれてなり、前記空気潤滑面は、前記空気流出端を開放した部分として形成された負圧発生凹部と、周囲を高い平面で囲まれて独立して形成された独立負圧発生凹部と、正圧発生面を有し、前記独立負圧発生凹部の形成位置が、前記負圧発生凹部よりも空気流入端側にあり、かつ、前記ディスク外周側端の側と前記ディスク内周側端の側にそれぞれ1つあり、前記空気潤滑面の反対面にサスペンションの先端部にあるピボットと接触するピボット位置があるヘッドスライダにおいて、記独立負圧発生凹部は前記ピボット位置よりも空気流入端側にあり、前記ディスク外周側端から前記ディスク内周側端までの前記空気流の圧力分布が、前記ディスク外周側端の独立負圧発生凹部によって負圧になり、前記正圧発生面によって正圧に変化し、そして前記ディスク内周側端の独立負圧発生凹部によって負圧に変化する経路をもつことを特徴としている。
【0022】
この発明によれば、押圧されるピボット位置のディスク内周側端側とディスク外周側端側で負圧のバランスをとり、ヘッドスライダ横軸方向の剛性を高め、ヘッドスライダ横軸方向の浮上姿勢の変動を抑制できるという優れた効果が得られる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に係るヘッドスライダは、ディスク媒体に対向する空気潤滑面が、前記ディスク媒体の回転に伴って発生する空気流を引き込む側にある空気流入端と、前記空気流が吐き出される側にある空気流出端と、ディスク外周側端とディスク内周側端に囲まれてなり、前記空気潤滑面は、前記空気流出端開放した部分として形成された負圧発生凹部と、周囲を高い平面で囲まれて独立して形成された独立負圧発生凹部と、正圧発生面を有するヘッドスライダにおいて、前記独立負圧発生凹部の形成位置が、前記負圧発生凹部よりも空気流入端側にあり、かつ、前記空気流入端から前記空気流出端までの前記空気流の圧力分布が、前記独立負圧発生凹部によって負圧になり、前記正圧発生面によって正圧に変化し、そして前記負圧発生凹部によって負圧に変化する経路をもつことを特徴としている。
【0024】
この構成を採用した際には、磁気ヘッド位置での浮上量変動をなんら悪化させることなく、空気流入端側と空気流出端側で負圧のバランスをとり、ヘッドスライダ縦軸方向の空気膜剛性を高め、ヘッドスライダ縦軸方向の浮上姿勢の変動を抑制できるという作用が確保される。
【0027】
本発明の請求項に係るヘッドスライダは、ディスク媒体に対向する空気潤滑面が、前記ディスク媒体の回転に伴って発生する空気流を引き込む側にある空気流入端と、前記空気流が吐き出される側にある空気流出端と、ディスク外周側端とディスク内周側端に囲まれてなり、前記空気潤滑面は、前記空気流出端を開放した部分として形成された負圧発生凹部と、周囲を高い平面で囲まれて独立して形成された独立負圧発生凹部と、正圧発生面を有し、前記独立負圧発生凹部の形成位置が、前記負圧発生凹部よりも空気流入端側にあり、かつ、前記ディスク外周側端の側と前記ディスク内周側端の側にそれぞれ1つあり、前記空気潤滑面の反対面にサスペンションの先端部にあるピボットと接触するピボット位置があるヘッドスライダにおいて、記独立負圧発生凹部は前記ピボット位置よりも空気流入端側にあり、前記ディスク外周側端から前記ディスク内周側端までの前記空気流の圧力分布が、前記ディスク外周側端の独立負圧発生凹部によって負圧になり、前記正圧発生面によって正圧に変化し、そして前記ディスク内周側端の独立負圧発生凹部によって負圧に変化する経路をもつことを特徴としている。
【0028】
この構成を採用した際には、押圧されるピボット位置のディスク内周側端側とディスク外周側端側で負圧のバランスをとり、ヘッドスライダ横軸方向の剛性を高め、ヘッドスライダ横軸方向の浮上姿勢の変動を抑制できるという作用が確保される。
【0029】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0030】
(実施の形態1)
図1は磁気ディスク装置の内部の斜視図、図2は図1の磁気ディスク装置の断面図である。磁気ディスク装置はハウジングカバー(図示せず)により覆われている。アクチュエータ軸20に回転可能に取り付けられたアクチュエータ・アームの組5のそれぞれの先端には、サスペンション14が取り付けられている。それぞれのサスペンション14の先端には、磁気変換器あるいは読み取り書き込みヘッド13(図4参照)を運ぶヘッドスライダ3が取り付けられている。
【0031】
ハウジング7内には主軸1が装着されている。主軸1には、多数のディスク媒体2が回転可能に間隔をあけて取り付けられている。ディスク媒体2は、モーター8によって回転する主軸1とともに矢印Aで示す方向に回転する。ヘッドスライダ3の中にあって、アクチュエータ・アームの組5で位置決めされるヘッド13(図4参照)によって、情報がディスク媒体2上に書き込まれあるいはディスク媒体2から読み取られる。
【0032】
ディスク媒体2のそれぞれの表面と裏面の両方にヘッドスライダ3が設けられており、各ディスク媒体2の表面と裏面に情報が書き込まれあるいはディスク媒体2から読み取られる。
【0033】
ボイスコイルモータ6によって、アクチュエータ・アームの組5に動力があたえられ、アクチュエータ・アームの組5はアクチュエータ軸20の周りを回転する。
【0034】
ヘッドスライダ3とそれに一体化された磁気変換器(図示せず)は、データの磁気的表示をディスク媒体2上のどのトラックにでも記憶できるようにディスク媒体2の表面上を動く。磁気ディスク装置中では、この磁気変換器の動きは、アクチュエータ軸20の周りの回転によるものである。アクチュエータ・アームの組5を回転させることで、ヘッドスライダ3及びその中の磁気変換器は、ディスク媒体2の表面上のどのトラックの上にでも位置することができる。
【0035】
図3は図1,図2のディスク媒体2の中の1枚を上から見た詳細図である。磁気ディスク装置の技術としてよく知られているように、それぞれのディスク媒体2には、磁気情報が記録される同心状のトラックの列がある。内直径(ID)11は、データが記憶される最も内側の同心トラックである。外直径(OD)12は、データが記憶される最も外側の同心トラックである。ヘッドスライダ3の縦軸50(図5参照)に対するディスク媒体2表面の摺動方向はスキュー角と呼ばれており、ID11からOD12にいたるまでの間で大きく変化する。また、アクチュエータ軸20へのアクチュエータ・アームの組5の取り付け位置に依存する。スキュー角は、正にも負にもなる。摺動方向がヘッドスライダ3の外周側端44(図5参照)にあたるようにアクチュエータ・アームの組5が位置している場合には、スキュー角は正であるという。摺動方向がヘッドスライダ3の内周側端43(図5参照)にあたるようにアクチュエータ・アームの組5が位置している場合には、スキュー角は負であるという。本実施の形態1においては、回転型アクチュエータ・アームの組5は、OD12においてスキュー角が最大となり、ID11において最小となるように設置されている。なおOD12でのスキュー角は14度、ID11でのスキュー角は−9度である。
【0036】
図4はディスク媒体2が記録再生を行う定常回転している際の、ヘッドスライダ3の浮上姿勢を説明する模式側面図である。図4に示すように、ディスク媒体2の回転速度が記録再生を行う所定の回転速度、本実施の形態1では4200rpmで定常回転をしている際には、ヘッドスライダ3はディスク媒体2表面から浮上し、磁気変換器あるいは読み取り書き込みヘッド13を搭載した空気流出端42側の浮上量が小さくなる浮上姿勢をとる。このヘッドスライダ3の縦軸方向のヘッドスライダ3のディスク媒体2に対する傾きを一般にピッチ角Pθという。ピッチ角は空気流入端41側に比べ空気流出端42側の浮上量が小さい場合、正である。
【0037】
また、ヘッドスライダ3の横軸方向のヘッドスライダ3のディスク媒体2に対する傾きをロール角という(図示せず)。また、ヘッドスライダ3はサスペンション14の先端部にあるピボット15を介して接している。
【0038】
図5は本発明の実施の形態1におけるヘッドスライダ3の第1の空気潤滑面30の形状を示す正面図(1)、そのX−X断面図(2)である。ここで、50はヘッドスライダ3の縦軸、51は横軸を示す。第1の空気潤滑面30は、図4に示すようにヘッドスライダ3の下面に固定され、ディスク媒体2に対向している。第1の空気潤滑面30の形状は、型成形、エッチング、レーザ切削加工、イオン粉砕加工、汎用の機械加工、あるいは他の種々の方法によって形成される。第1の空気潤滑面30は上段面31、中段面32、下段面33の3段階のX−X断面図から明白なように互いに略平行な、平坦面で構成されている。図5において、上段面31は白抜きで示し、中段面32は間隔があらいハッチングで示し、下段面33は間隔が密なハッチングで示している。
【0039】
第1の空気潤滑面30の構造を説明する。この第1の空気潤滑面30には、内周側端43、外周側端44から所定間隔隔てて形成した第1のクロスレール34、第2のクロスレール35と、空気流入端41、内周側端43から所定間隔隔てられ空気流出端42まで形成された内側のサイドレール36と、空気流入端41、外周側端44から所定間隔隔てられ空気流出端42まで形成された外側のサイドレール37とを相互につないで中段面32が構成されている。
【0040】
中段面32上に、内周側端43側の空気流入端41側に第1の正圧発生面38と、内周側端43側の空気流出端42側に第2の正圧発生面38’と、外周側端44側の空気流入端41側に第3の正圧発生面39と、外周側端44側の空気流出端42側に第4の正圧発生面39’が上段面31として形成されている。そして、中段面32に囲まれる形で負圧発生凹部48と独立した独立負圧発生凹部49が構成されている。
【0041】
空気流入端41はディスク媒体2の表面が回転する方向に向いている。回転するディスク媒体2は、粘性効果によって、ディスク媒体2の摺動方向の空気流を空気流入端41から第1の空気潤滑面30下に流入させる。空気流により第1の空気潤滑面30に発生する圧力でヘッドスライダ3をディスク媒体2から遠ざける方向に作用する圧力を正圧と呼び、ヘッドスライダ3をディスク媒体2に近づける方向に作用する圧力を負圧と呼ぶ。
【0042】
磁気変換器あるいは読み取り書き込みヘッド13は、通常、上段面31の空気流出端42近傍に位置している。
【0043】
本実施の形態1では、上段面31と中段面32との落差は0.2μmであり、中段面32と下段面33との落差は2.8μmである。
【0044】
次に本実施の形態1の第1の空気潤滑面30の作用効果を説明するため従来例の空気潤滑面との形状の違いを述べる。図14と図15に示す独立負圧発生凹部を形成しない従来例における空気潤滑面30B,空気潤滑面30Cについて、まず説明する。図14,図15に示す記号で図5と同じ部分には同じ記号で示す。空気潤滑面30Bは図14に示すように本実施の形態1の図5に示した第1の空気潤滑面30の第1のクロスレール34と第2のクロスレール35を連結し(粗いハッチングで表示)、独立した独立負圧発生凹部49を形成しない形状となっている。空気潤滑面30Cは図15に示すように本実施の形態1の図5に示した第1の空気潤滑面30の第2のクロスレール35を形成せず負圧発生凹部48Cが大きく形成されている。
【0045】
図6は図5に示す本実施の形態1における第1の空気潤滑面30に形成される圧力分布、図16は前記従来例の図14に示す空気潤滑面30Bに形成される圧力分布、図17は前記従来例の図15に示す空気潤滑面30Cに形成される圧力分布の各解析結果を示す図である。図16,図17では負圧の大きい領域は1つ形成(図16中C部、図17中D部)されているだけであるのに対し、図6の圧力分布図では、図5におけるでは負圧発生凹部48と独立した独立負圧発生凹部49との2つの負圧の大きい領域(図6中A部、B部)が形成されていることがわかる。また、本実施の形態1の第1の空気潤滑面30(図5)、空気潤滑面30B(図14)、空気潤滑面30C(図15)のピッチ角剛性、浮上量剛性の解析結果を(表1)に示す。
【0046】
【表1】
Figure 0004008642
【0047】
(表1)から図5に示した実施の形態1における独立した独立負圧発生凹部49を形成した第1の空気潤滑面30は、従来例の図14に示す空気潤滑面30Bと同程度の浮上量剛性を確保しつつ、従来例の図15に示す空気潤滑面30Cよりも大きなピッチ剛性を得ている。これは、本実施の形態1における第1の空気潤滑面30は、従来例の空気潤滑面30B(図14)と同形状の負圧発生凹部48を形成したことで浮上量剛性を確保し、独立した独立負圧発生凹部49を負圧発生凹部48の空気流入端41側に配設したことで、ピッチ角剛性を高め、さらに独立した独立負圧発生凹部49をピボット位置45よりも空気流入端41側に、負圧発生凹部48をピボット位置45よりも空気流出端42側に形成することで、独立した独立負圧発生凹部49を形成した効果だけでなく、ピボット位置45の空気流入端41側と空気流出端42側で負圧のバランスをとり、従来例の空気潤滑面30C(図15)よりも大きなピッチ角剛性を得ている。
【0048】
すなわち本実施の形態1によれば、独立した独立負圧発生凹部49を負圧発生凹部48の空気流入端41側に形成することにより、ヘッドスライダ3のピッチ角剛性を高めることが可能であり、スライダ縦軸方向の浮上姿勢の安定化を図ることが可能となる。さらに独立した独立負圧発生凹部49をピボット位置45の空気流入端41側に、負圧発生凹部48を空気流出端42側に形成したことにより、さらに大きなピッチ角剛性を確保し、ヘッドスライダ3の縦軸方向のより安定した浮上姿勢を得ることが可能となる。
【0049】
また、本実施の形態1では独立した独立負圧発生凹部49を下段面33を中段面32で囲むことで形成してあるので、正圧発生面である上段面31の配設位置に関係なく、独立した独立負圧発生凹部49を形成することが可能となっている。
【0050】
なお、図7〜図9は本実施の形態1における第2の空気潤滑面30D,第3の空気潤滑面30E、第4の空気潤滑面30Fの形状を示す正面図(1)とそのX−X断面図(2)である。これら各空気潤滑面30D,30E,30Fはいずれも、独立した独立負圧発生凹部49D,49E,49Fをそれぞれ空気流入端41側に形成したことで、浮上量剛性とピッチ角剛性の両立を図ることが可能である。
【0051】
(実施の形態2)
図10は本発明の実施の形態2におけるヘッドスライダ3の第1の空気潤滑面30Gの形状を示す正面図(1)とそのX−X断面図(2)である。その他の磁気ディスク装置の構造は実施の形態1と同様である。図10に示す第1の空気潤滑面30Gには、空気流入端41、内周側端43、外周側端44から所定の間隔隔てて形成した第1のクロスレール34G、第2のクロスレール35Gと空気流入端41、内周側端43から所定間隔隔てられ空気流出端42まで形成された内周側のサイドレール36Gと、空気流入端41、外周側端44から所定間隔隔てられ空気流出端42まで形成された外周側のサイドレール37Gとを相互につないで中段面32が構成されている。中段面32上にクロスレール38Gと内周側のサイドレール39Gと外周側のサイドレール40Gとで上段面31が構成されている。中段面32に囲まれる形で下段面33よりなる負圧発生凹部48Gと内周側の独立した独立負圧発生凹部49Gと外周側の独立した独立負圧発生凹部49’Gが構成されている。
【0052】
本実施の形態2では、上段面31と中段面32との落差は0.2μmであり、中段面32と下段面33との落差は2.8μmである。
【0053】
次に本実施の形態2の第1の空気潤滑面30Gの作用効果を説明するため、従来例の空気潤滑面との形状の違いを述べる。
【0054】
図18は独立した独立負圧発生凹部49G,49’Gを形成しない従来例における空気潤滑面30Hの形状を示す正面図(1)とそのX−X断面図(2)である。従来例の図18に示す空気潤滑面30Hは図10に示した第1の空気潤滑面30Gにある独立した独立負圧発生凹部49G,49’Gを形成している位置まで負圧発生凹部48Hを拡大形成している。
【0055】
図11は本実施の形態2における第1の空気潤滑面30G(図10)に形成される圧力分布、図19は従来例の空気潤滑面30H(図18)に形成される圧力分布の解析結果を示している。図11(a),図19(a)はID11における圧力分布でありスキュー角−9゜、図11(b),図19(b)はOD12における圧力分布でありスキュー角14゜の場合である。図11(a),図19(a)からID11では内周側端43側に負圧が偏って発生し、図11(b),図19(b)からOD12では外周側端44側に負圧が偏って発生していることがわかる。しかし、図11に示す第1の空気潤滑面30Gの場合、独立した独立負圧発生凹部49G,49’Gをピボット位置45の内周側端43側と外周側端44側にそれぞれ形成してあるので、独立した独立負圧発生凹部49G,49’G内での負圧の偏りはあるものの、第1の空気潤滑面30G全体での負圧の偏りは、空気潤滑面30Hに比べると小さくできる。
【0056】
スキュー角0゜における第1の空気潤滑面30Gと空気潤滑面30Hのロール角剛性を(表2)に示す。
【0057】
【表2】
Figure 0004008642
【0058】
(表2)から明らかなように、ピボット位置45の内周側端43側と外周側端44側にそれぞれ独立した独立負圧発生凹部49G,49’Gを形成した本実施の形態2の第1の空気潤滑面30G(図10)の方が、従来例の空気潤滑面30H(図18)に比べロール角剛性が高くなっている。
【0059】
図12は本実施の形態2における第1の空気潤滑面30G(図10)と従来例の空気潤滑面30H(図18)のロール角変動を示す図である。これはID11からOD12までの各トラック位置でのロール角の解析結果であり、図12から明らかなように、本実施の形態2における第1の空気潤滑面30G(図10)は従来例の空気潤滑面30H(図18)に比べロール角変動が小さいことがわかる。
【0060】
すなわち、本実施の形態2によれば、図10に示すように独立した独立負圧発生凹部49,49’Gをピボット位置45の内周側端43側と外周側端44側にそれぞれ形成することで、ヘッドスライダ3のロール角剛性を高め、ID11からOD12までのロール角変動を抑制することが可能であり、スライダ横軸方向の浮上姿勢の安定化を図ることが可能となる。
【0061】
さらに、本実施の形態2で示した第1の空気潤滑面30Gのように、中段面32で囲まれた下段面33で独立した独立負圧発生凹部49G,49’Gを形成すれば、正圧発生面である上段面31の配設位置に関係なく独立した独立負圧発生凹部49G,49’Gを形成することが可能である。
【0062】
なお、図13は本発明の実施の形態2における第2の空気潤滑面30Iの正面図(1)とそのX−X断面図(2)である。この第2の空気潤滑面30Iは、独立した独立負圧発生凹部49I,49’Iをピボット位置45よりも空気流入端41側で、かつ内周側端43側と外周側端44側にそれぞれ形成したことで、ロール角剛性を高めるだけでなく、ピッチ角剛性を高める効果も有する。
【0063】
なお本発明の実施の形態1と実施の形態2では、ヘッドは磁気ヘッドとしたが、例えば光ヘッドであってもよいことは勿論である。
【0064】
【発明の効果】
以上のように本発明は、空気潤滑面に空気流出端が開放された負圧発生凹部と別に独立した独立負圧発生凹部を空気流入端側に設ける形状とすることによりヘッドスライダの縦軸方向の浮上剛性を高め、ヘッドスライダ縦軸方向の安定した浮上姿勢が得られるという優れた効果を有する。
【0065】
また、ヘッドスライダの横軸方向の浮上剛性を高めることで、ヘッドスライダ横軸方向の安定した浮上姿勢が得られるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁気ディスク装置の内部斜視図
【図2】図1の磁気ディスク装置の断面図
【図3】図1,図2のディスク媒体2の中の1枚を上から見た詳細図
【図4】ヘッドスライダの浮上姿勢を説明する模式側面図
【図5】本発明の実施の形態1における第1の空気潤滑面30の形状を示す正面図(1)とそのX−X断面図(2)
【図6】図5に示す本実施の形態1における第1の空気潤滑面30の圧力分布図
【図7】本発明の実施の形態1における第2の空気潤滑面30Dの形状を示す正面図(1)とそのX−X断面図(2)
【図8】本発明の実施の形態1における第3の空気潤滑面30Eの形状を示す正面図(1)とそのX−X断面図(2)
【図9】本発明の実施の形態1における第4の空気潤滑面30Fの形状を示す正面図(1)とそのX−X断面図(2)
【図10】本発明の実施の形態2における第1の空気潤滑面30Gの形状を示す正面図(1)とそのX−X断面図(2)
【図11】本発明の実施の形態2における第1の空気潤滑面30Gの圧力分布図
【図12】本発明の実施の形態2における第1の空気潤滑面30Gと従来例の空気潤滑面30Hのロール角変動を示す図
【図13】本発明の実施の形態2における第2の空気潤滑面30Iの形状を示す正面図(1)とそのX−X断面図(2)
【図14】従来例における空気潤滑面30Bの形状を示す正面図(1)とそのX−X断面図(2)
【図15】従来例における空気潤滑面30Cの形状を示す正面図(1)とそのX−X断面図(2)
【図16】図14の従来例における空気潤滑面30Bの圧力分布図
【図17】図15の従来例における空気潤滑面30Cの圧力分布図
【図18】従来例における空気潤滑面30Hの形状を示す正面図(1)とそのX−X断面図(2)
【図19】図18の従来例における空気潤滑面30Hの圧力分布図
【符号の説明】
1 主軸
2 ディスク媒体
3 ヘッドスライダ
5 アクチュエータ・アームの組
6 ボイスコイルモータ
7 ハウジング
8 モーター
11 内直径(ID)
12 外直径(OD)
13 磁気変換器あるいは読み取り書き込みヘッド
14 サスペンション
15 ピボット
20 アクチュエータ軸
30 空気潤滑面
31 上段面
32 中段面
33 下段面
34 第1のクロスレール
35 第2のクロスレール
36 内側のサイドレール
37 外側のサイドレール
38 第1の正圧発生面
38’ 第2の正圧発生面
39 第3の正圧発生面
39’ 第4の正圧発生面
41 空気流入端
42 空気流出端
43 内周側端
44 外周側端
45 ピボット位置
48 負圧発生凹部
49 独立負圧発生凹部
50 ヘッドスライダの縦軸
51 ヘッドスライダの横軸

Claims (6)

  1. ィスク媒体に対向する空気潤滑面が、前記ディスク媒体の回転に伴って発生する空気流を引き込む側にある空気流入端と、前記空気流が吐き出される側にある空気流出端と、ディスク外周側端とディスク内周側端に囲まれてなり、
    前記空気潤滑面は、前記空気流出端開放した部分として形成された負圧発生凹部と、周囲を高い平面で囲まれて独立して形成された独立負圧発生凹部と、正圧発生面を有するヘッドスライダにおいて、
    前記独立負圧発生凹部の形成位置が、前記負圧発生凹部よりも空気流入端側にあり、かつ、前記空気流入端から前記空気流出端までの前記空気流の圧力分布が、前記独立負圧発生凹部によって負圧になり、前記正圧発生面によって正圧に変化し、そして前記負圧発生凹部によって負圧に変化する経路をもつことを特徴とするヘッドスライダ。
  2. 前記空気潤滑面は上段面、前記上段面より低い中段面、前記中段面より低い下段面によって形成され、独立した独立負圧発生凹部は下段面で構成され、前記独立した独立負圧発生凹部の空気流出端側は中段面であることを特徴とする請求項1記載のヘッドスライダ。
  3. 前記空気潤滑面は上段面、前記上段面より低い中段面、前記中段面より低い下段面によって形成され、独立した独立負圧発生凹部は下段面で構成され、前記独立した独立負圧発生凹部は中段面に囲まれることで形成されていることを特徴とする請求項2記載のヘッドスライダ。
  4. 前記空気潤滑面は上段面、前記上段面より低い中段面、前記中段面より低い下段面によって形成され、独立した独立負圧発生凹部は中段面で構成され、前記独立した独立負圧発生凹部は上段面に囲まれることで形成されていることを特徴とする請求項1記載のヘッドスライダ。
  5. ディスク媒体に対向する空気潤滑面が、前記ディスク媒体の回転に伴って発生する空気流を引き込む側にある空気流入端と、前記空気流が吐き出される側にある空気流出端と、ディスク外周側端とディスク内周側端に囲まれてなり、
    前記空気潤滑面は、前記空気流出端を開放した部分として形成された負圧発生凹部と、周囲を高い平面で囲まれて独立して形成された独立負圧発生凹部と、正圧発生面を有し、
    記独立負圧発生凹部の形成位置が、前記負圧発生凹部よりも空気流入端側にあり、かつ、前記ディスク外周側端の側と前記ディスク内周側端の側にそれぞれ1つあり、前記空気潤滑面の反対面にサスペンションの先端部にあるピボットと接触するピボット位置があるヘッドスライダにおいて、
    前記独立負圧発生凹部は前記ピボット位置よりも空気流入端側にあり、前記ディスク外周側端から前記ディスク内周側端までの前記空気流の圧力分布が、前記ディスク外周側端の独立負圧発生凹部によって負圧になり、前記正圧発生面によって正圧に変化し、そして前記ディスク内周側端の独立負圧発生凹部によって負圧に変化する経路をもつことを特徴とするヘッドスライダ。
  6. 前記空気潤滑面は上段面、前記上段面より低い中段面、前記中段面より低い下段面によって形成され、独立した独立負圧発生凹部は下段面で構成され、前記独立した独立負圧発生凹部は中段面に囲まれることで形成されていることを特徴とする請求項5記載のヘッドスライダ。
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