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JP4010472B2 - コンクリート構造物の補強パネル及び補強方法 - Google Patents
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JP4010472B2 - コンクリート構造物の補強パネル及び補強方法 - Google Patents

コンクリート構造物の補強パネル及び補強方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリート構造物を補強するための補強パネル及び補強方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンクリート構造物は、種々の材料的・構造的な要因により、経年劣化が生じて構造耐力が低下するので、必要に応じて補強をする必要がある。
特に寒冷地にあるトンネルにおいては、既設コンクリートにひび割れが発生すると、そのひび割れから生ずる漏水が、トンネル内の天井部で凍結してつらら状になって落下したり、トンネル内の道路の表面に落下し凍結して自動車のスリップの原因になったりと、大変危険な状態となるため、迅速かつ適切な補強をする必要がある。
【0003】
従来において、コンクリート構造物(既設コンクリート)の補強方法としては、以下のような方法がある。
(1)比較的小規模な補強の場合には、既設コンクリートのひび割れ部をVカットして導水工(導水パイプ)を設け、その表面に鉄筋コンクリートを20cm程度打ち増しする。
(2)比較的大規模な補強の場合には、既設コンクリートをハツリ取って漏水箇所に導水工(導水パイプ)を設け、吹付コンクリートを吹き付けて補強し、その表面にボードを取り付ける。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記の各方法においては、以下のような不都合がある。
(1)既設コンクリートをVカットした後に鉄筋コンクリートを打ち増ししたり、既設コンクリートをハツリ取った後に吹付コンクリートを吹き付けてボードを取り付けたり、という作業が必要であるため、工期が長くかかり、迅速かつ容易な補強には適さない。
(2)特に寒冷地に適用する場合、断熱性が考慮されていないため、既設コンクリートに形成される導水工が凍結し、円滑な排水が阻害されるおそれがある。
(3)特にトンネルに適用する場合、鉄筋コンクリートを20cm程度打ち増しするため、トンネルの内空断面が狭くなり、作業時に型枠及び支保工が必要なので車両の通行を妨げる。また、ボードを取り付けるため、トンネルの内空断面が狭くなる。
(4)既設コンクリートをVカットしたり、既設コンクリートをハツリ取ったり、という作業が必要であるため、作業時にセメント系のほこりが発生して作業環境が悪化し、除去した既設コンクリートの産業廃棄物処理を行う必要がある。
【0005】
そこで、本発明は、
▲1▼既設コンクリートの表面に薄く施工をするだけで、迅速かつ容易な補強(構造耐力の付加)が可能であり、
▲2▼特に寒冷地においても、既設コンクリートに形成される導水工が凍らないように、断熱性を維持でき、
▲3▼特にトンネルにおいても、内空断面や作業時の車両の通行を確保でき、
▲4▼既設コンクリートをVカットしたりハツリ取ったりすることなく、作業環境が良好であり、産業廃棄物処理の問題も生じないような、
コンクリート構造物の補強パネル及び補強方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決すべく提供されるものであり、その請求項1に係る発明は(例えば図1(a)参照)、『既設コンクリート1の表面に固定してコンクリート構造物(既設コンクリート1)の補強に用いるパネルであって、(1)炭素繊維シート12をパネル全体に亘ってモルタル13中に内蔵してなる複合型パネル11と、(2)ポリウレタンフォーム15と、(3)を接合し一体化したことを特徴とする、コンクリート構造物の補強パネル(一体化パネル10)』である。
【0007】
ここで、▲1▼複合型パネルにおいて、その複合型パネルが炭素繊維シートを内蔵するのは、炭素繊維シートの特徴を利用し、薄膜で構造耐力を得るためであり、その炭素繊維シートをモルタル中に内蔵するのは、施工後に炭素繊維シートが剥がれて落下しないようにするためである。
また、▲2▼ポリウレタンフォームを用いるのは、ポリウレタンフォームの断熱性を利用し、寒冷地においても、既設コンクリートに形成される導水工が凍らないようにするためである。
さらに、▲3▼両者を接合し一体化するのは、複合型パネルをポリウレタンフォームの表面材として用いることにより、ポリウレタンフォームの経年による熱伝導率の劣化をなくすためであり、予め工場で一体化することにより、品質が均一であり、軽量で取扱いが容易なパネルとするためである。
【0008】
また、その請求項2に係る発明は(例えば図1(b)参照)、『(1)コンクリート構造物の補強に用いるパネルであって、炭素繊維シートをモルタル中に内蔵してなる複合型パネルと、ポリウレタンフォームと、を接合し一体化したことを特徴とする、コンクリート構造物の補強パネルを、既設コンクリートの表面から間隙をおいて、前記ポリウレタンフォーム側を該既設コンクリート側に向けた状態で配置し、(2)間隙Sに、モルタル又は繊維混入モルタル30を充填することを特徴とする、コンクリート構造物の補強方法』である。
【0009】
即ち、請求項2に係る発明は、請求項1に記載のコンクリート構造物の補強パネル(一体化パネル)を用いた、コンクリート構造物の補強方法である。
ここで、一体化パネルの各構成要素は、前記と同様の役割を担うものであるが、その一体化パネルは、ポリウレタンフォーム側を既設コンクリート側に向けた状態で配置されるので、寒冷地においても断熱性を維持でき、既設コンクリートに形成された導水工が凍ることはなく、しかも、複合型パネルがポリウレタンフォームの表面材となるので、ポリウレタンフォームの経年による熱伝導率の劣化がない。
なお、モルタル又は繊維混入モルタルを充填するのは、既設コンクリートと一体化パネルとを接続し、構造耐力を得るためである。
【0010】
また、その請求項3に係る発明は(例えば図1(c)参照)、『▲1▼既設コンクリート1の表面に、モルタル又は繊維混入モルタル31を塗布し、▲2▼塗布されたモルタル又は繊維混入モルタル31の表面に、ポリウレタン20を吹き付け、▲3▼吹き付けされたポリウレタン20の表面から間隙Sをおいて、炭素繊維シート12をモルタル13中に内蔵してなる複合型パネル11を配置し、▲4▼間隙Sに、モルタル又は繊維混入モルタル30を充填することを特徴とする、コンクリート構造物の補強方法』である。
【0011】
さらに、その請求項4に係る発明は(例えば図1(d)参照)、『▲1▼既設コンクリート1の表面に、ポリウレタン20を吹き付け、▲2▼吹き付けされたポリウレタン20の表面から間隙Sをおいて、炭素繊維シート12をモルタル13中に内蔵してなる複合型パネル11を配置し、▲3▼間隙Sに、モルタル又は繊維混入モルタル30を充填することを特徴とする、コンクリート構造物の補強方法』である。
【0012】
これらにおいて、複合型パネルの各構成要素は、前記と同様の役割を担うものである。また、ポリウレタンは、前記ポリウレタンフォームと同様の役割を担うものである。さらに、充填されたモルタル又は繊維混入モルタルは、吹き付けられたポリウレタンを介して既設コンクリートと複合型パネルとを接続し、構造耐力を得るものである。
即ち、請求項3又は請求項4に係る本発明は、複合型パネルを用いた現場施工による、コンクリート構造物の補強方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明に係るコンクリート構造物の補強パネル及び補強方法における好適な実施の形態に関し、図面を参照しつつ詳細に説明する。
なお、以下の説明においては、各構成要素に関する数値を参考のために記載する場合があるが、本発明は該数値に限定されるものではない。
【0014】
1.コンクリート構造物の補強パネル(図1(a)参照)
本発明に係る補強パネルは、その補強パネルを示す断面図である図1(a)に表すように、コンクリート構造物の補強に用いるパネルであって、複合型パネル11と、ポリウレタンフォーム15と、を接合し一体化した一体化パネル10である。
【0015】
(1)複合型パネル11
複合型パネル11は、炭素繊維シート12をモルタル13中に内蔵してなるものである。
ここで、炭素繊維シート12は、その特徴(軽い、錆びない、引張強度が鋼材の7倍程度など)を利用し、薄膜で構造耐力を得るために用いるものである。
また、モルタル13は、工場において炭素繊維シート12をサンドイッチ状に挟み込むことにより、炭素繊維シート12をモルタル13中に内蔵し、施工後に炭素繊維シート12が剥がれて落下しないようにするために用いるものである。即ち、炭素繊維シート12を既設コンクリート1の表面に直接貼り付けた場合と比べて、炭素繊維シート12の剥離落下をより確実に防止するものである。
【0016】
(2)ポリウレタンフォーム15
ポリウレタンフォーム15は、ポリウレタンフォーム15の断熱性を利用し、寒冷地においても、既設コンクリート1に形成される導水パイプ40が凍らないようにするために用いるものである。
このポリウレタンフォーム15は、熱伝導率が0.017kcal/m・h・℃であり、熱伝導率が38.7kcal/m・h・℃である鋼材や、熱伝導率が1.8〜3.1kcal/m・h・℃であるコンクリートと比べて、断熱性能が極めて良い。
【0017】
ただし、このポリウレタンフォーム15は、経年により熱伝導率が劣化し、断熱性能が低下していくものである。これを防ぐためには、ポリウレタンフォーム15の表面を被覆する表面材を設置することが有効である。そこで、本発明に係る一体化パネル10では、複合型パネル11をポリウレタンフォーム15の表面材として用いている。
図2は、日数の経過に伴うポリウレタンフォームの熱伝導率の変化を示すグラフ及び表である。これによれば、表面材のないポリウレタンフォーム(比較例)の熱伝導率が、日数の経過と共に劣化しているのに対し、表面材として厚さ7mmの複合型パネル11を用いたポリウレタンフォーム15(本発明に係る一体化パネル10)の熱伝導率は、日数が経過しても劣化していないことが分かる。
従って、ポリウレタンフォーム15は、確実に断熱性能を発揮できるので、寒冷地においても、既設コンクリート1に形成される導水パイプ40が凍らないようにすることができる。
【0018】
また、このポリウレタンフォーム15は、軽量であり取扱いが容易なものでもある。
本発明では、ポリイソシアネートとポリオールとを攪拌・混合し、その密度が40kg/m3 、その厚さが25mmとなるように、予め工場でパネル状に成形されたポリウレタンフォーム15としている。
なお、後述する(吹付用)ポリウレタン20も、(貼付用)ポリウレタンフォーム15と同様の役割を担うものである。
【0019】
(3)一体化
複合型パネル11とポリウレタンフォーム15とを接合し一体化して一体化パネル10とするのは、前記の如く、複合型パネル11をポリウレタンフォーム15の表面材として用いることにより、ポリウレタンフォーム15の経年による熱伝導率の劣化をなくすためであり、また、予め工場で一体化することにより、品質が均一であり、軽量で取扱い(運搬や取り付け等)が容易なパネルとするためである。
【0020】
本発明では、厚さ7〜9mmの複合型パネル11と、厚さ25mmのポリウレタンフォーム15とを、接着剤14を介して接合し、合計の厚さが32〜34mmの一体化パネル10としている。
ここで、接着剤14としては、エポキシ樹脂及びウレタンプレポリマーが適している。その他の接着剤として、酢酸ビニル樹脂系、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂系、アクリル樹脂系等の樹脂系接着剤や、クロロプレンゴム系、スチレン・ブタジエンゴム系等のゴム系接着剤や、セメント系、石膏系等の水・気硬性接着剤を用いることも可能であるが、これらの接着剤は、接着の作業性や接着強度の点で、エポキシ樹脂及びウレタンプレポリマーよりも劣るものである。
【0021】
このようにして構成された一体化パネル10を用いて補強したコンクリート供試体の補強性状を、曲げ試験を例に説明する。
図3は、曲げ試験用のコンクリート供試体を示す正面図である。コンクリート供試体NO.1〜NO.3は、基材鉄筋コンクリート51の下面に、本発明に係る一体化パネル10,10A,10Bを配置し、両者の間にモルタル53を充填して構成した。また比較例として、基材鉄筋コンクリート51のみからなる、無補強のコンクリート供試体NO.4を用意した。曲げ試験は、各コンクリート供試体の下面の両端を支持し、基材鉄筋コンクリート51の上面の中央から対称の2点に荷重Wを加え、中央変位量tを測定することにより行った。
ここで、コンクリート供試体NO.1に用いられる一体化パネル10は、継ぎ目のない一枚ものである。また、コンクリート供試体NO.2に用いられる一体化パネル10A,10Aは、中央に接続部55が設けられ、その部分に炭素繊維シート12を貼り付けて接続した二枚ものである。さらに、コンクリート供試体NO.3に用いられる一体化パネル10B,10Bは、中央に接続部55が設けられ、その部分に炭素繊維シート12を貼り付けて接続し、かつ基材鉄筋コンクリート51にアンカー52で固定した二枚ものである。
【0022】
図4は、コンクリート供試体の曲げ試験の結果を示すグラフ及び表である。これによれば、無補強のコンクリート供試体NO.4(比較例)が、約2トン以上の荷重には耐えられないのに対し、本発明に係る一体化パネル10,10A,10Bを用いて補強したコンクリート供試体NO.1〜NO.3(本発明)は、約4〜5トンの荷重にも耐えられることが分かる。
従って、炭素繊維シート12を有する一体化パネル10を用いたコンクリート供試体は、無補強のコンクリート供試体に比べて十分な強度を有する。換言すれば、炭素繊維シート12を有する一体化パネル10を用い、既設コンクリート1の表面に薄く施工をするだけで、迅速かつ容易な補強(構造耐力の付加)が可能である。
【0023】
2.コンクリート構造物の補強方法(図1(b)〜(d)参照)
本発明に係る補強方法は、その補強方法を用いて補強したコンクリート構造物を示す断面図である図1(b)〜(d)に表すように、既設コンクリート1の表面から間隙Sをおいてパネルを配置し、その間隙Sにモルタル又は繊維混入モルタル30を充填する方法である。該パネルとして、第一の施工形態では前記の一体化パネル10が用いられ、第二又は第三の施工形態では前記の複合型パネル11が用いられる。
【0024】
それらの施工形態にあたり、以下の前提作業が行われる。
まず、既設コンクリート1の表面の浮きや汚れを、高圧洗浄により除去する。また、既設コンクリート1の表面に導水工である導水パイプ40を設け、既設コンクリート1のひび割れからの漏水を下部の排水溝(図示外)に流すようにする。
【0025】
(1)第一の施工形態(図1(b)参照)
第一の施工形態は、一体化パネル10を用いたコンクリート構造物の補強方法であり、前記の前提作業の後に以下の作業が行われる。
▲1▼一体化パネル10(厚さ32〜34mm)を現場に運搬し、既設コンクリート1の表面から間隙S(15mm)をおいて、その一体化パネル10を、ポリウレタンフォーム15側を既設コンクリート1側に向けた状態で配置し、アンカー2で固定する。
ここで、一体化パネル10は軽量であるため、運搬や取り付けは容易である。
▲2▼間隙Sに、(充填用)モルタル又は繊維混入モルタル30を充填し、既設コンクリート1と一体化パネル10とを接続して、補強層H1を構築する。
これにより、既設コンクリート1の表面に薄く施工をするだけで、迅速かつ容易に補強がなされ、構造耐力を得ることができる。
【0026】
また、第一の施工形態では、一体化パネル10が、ポリウレタンフォーム15側を既設コンクリート1側に向けた状態で配置されるので、寒冷地においても断熱性を維持でき、既設コンクリート1に形成された導水工(導水パイプ40)が凍ることはなく、しかも、複合型パネル11がポリウレタンフォーム15の表面材となるので、ポリウレタンフォーム15の経年による熱伝導率の劣化がない。
【0027】
(2)第二の施工形態(図1(c)参照)
第二の施工形態は、複合型パネル11を用いた現場施工によるコンクリート構造物の補強方法であり、前記の前提作業の後に以下の作業が行われる。この施工形態は、既設コンクリート1の表面劣化が進んでいる場合に適用する。
▲1▼既設コンクリート1の表面に、(塗布用)モルタル又は繊維混入モルタル31を塗布し(厚さ2〜5mm)、ポリウレタン20を吹き付けるための下地とする。
▲2▼塗布されたモルタル又は繊維混入モルタル31の表面に、ポリウレタン20を吹き付ける(厚さ25mm)。
▲3▼複合型パネル11(厚さ7〜9mm)を現場に運搬し、吹き付けされたポリウレタン20の表面から間隙S(15mm)をおいて、その複合型パネル11を配置し、アンカー2で固定する。
▲4▼間隙Sに、(充填用)モルタル又は繊維混入モルタル30を充填し、ポリウレタン20を介して既設コンクリート1と複合型パネル11とを接続して、補強層H2を構築する。
これにより、既設コンクリート1の表面に薄く施工をするだけで、迅速かつ容易に補強がなされ、構造耐力を得ることができる。
【0028】
また、第二の施工形態では、ポリウレタン20により既設コンクリート1の表面が被覆されるので、寒冷地においても断熱性を維持でき、既設コンクリート1に形成された導水工(導水パイプ40)が凍ることはなく、しかも、複合型パネル11がポリウレタン20の表面材となるので、ポリウレタン20の経年による熱伝導率の劣化がない。
【0029】
(3)第三の施工形態(図1(d)参照)
第三の施工形態も、複合型パネル11を用いた現場施工によるコンクリート構造物の補強方法であり、前記の前提作業の後に以下の作業が行われる。この施工形態は、既設コンクリート1の表面劣化がさほど進んでいない場合に適用する。即ち、下地となる(塗布用)モルタル又は繊維混入モルタル31の塗布が省略される点を除き、第二の施工形態と同様である。
▲1▼既設コンクリート1の表面に直接、ポリウレタン20を吹き付ける(厚さ25mm)。
▲2▼複合型パネル11(厚さ7〜9mm)を現場に運搬し、吹き付けされたポリウレタン20の表面から間隙S(15mm)をおいて、その複合型パネル11を配置し、アンカー2で固定する。
▲3▼間隙Sに、(充填用)モルタル又は繊維混入モルタル30を充填し、ポリウレタン20を介して既設コンクリート1と複合型パネル11とを接続して、補強層H3を構築する。
これにより、既設コンクリート1の表面に薄く施工をするだけで、迅速かつ容易に補強がなされ、構造耐力を得ることができる。
【0030】
また、第三の施工形態でも、ポリウレタン20により既設コンクリート1の表面が被覆されるので、寒冷地においても断熱性を維持でき、既設コンクリート1に形成された導水工(導水パイプ40)が凍ることはなく、しかも、複合型パネル11がポリウレタン20の表面材となるので、ポリウレタン20の経年による熱伝導率の劣化がない。
【0031】
これらの施工形態において用いられる(充填用)モルタル又は繊維混入モルタル30は、既設コンクリート1とパネルとの間隙に充填され、両者を接続して、構造耐力を得るためのものである。
このモルタル又は繊維混入モルタル30は、その種類は特に限定されず、従来の一般的なモルタルでもよい。ただし、パネルをアンカー2で設置した状態で充填するものであることから、ブリーディングの無い無収縮の、かつ早強性のモルタルが最適である。また、特に強度が求められる場合(例えば大きな荷重を受け持つ構造壁に適用する場合)には、繊維混入モルタルが好ましい。ここで繊維は、ポリプロピレン、ビニロン、アラミド、スチールファイバー、ガラスなど、いかなるものでもよい。
なお、(充填用)モルタル又は繊維混入モルタル31も、その種類は特に限定されない。
【0032】
これらの施工形態により構築される補強層H1,H2,H3は、例えば図5に表すように、内部に既設コンクリート1が巻き立てられてなるコンクリート構造物であるトンネルTにおいて、その既設コンクリート1を補強するために適用される。これらの補強層H1,H2,H3は、全体として薄く施工されるので、トンネルTの内空断面を確保でき、しかもパネルはアンカーにより設置するので、大がかりな型枠や支保工を必要とせず、作業時の車両の通行を確保できる。
【0033】
また、これらの施工形態は、いずれも現状の汎用機械・器具で施工することができるので、特殊な機械・器具を必要としない。
さらに、既設コンクリートをVカットしたりハツリ取ったりすることがないので、作業環境が良好であり、産業廃棄物処理の問題も生じない。
なお、本発明は、トンネルへの適用に限定されるものではなく、種々のコンクリート構造物の補強に適用できるものである。
【0034】
【発明の効果】
以上の説明のように構成される本発明に係るコンクリート構造物の補強パネル及び補強方法は、以下のような顕著な効果を奏する。
▲1▼炭素繊維シートを内蔵してなるパネルを用いるので、既設コンクリートの表面に薄く施工をするだけで、迅速かつ容易な補強(構造耐力の付加)が可能である。
▲2▼ポリウレタンフォーム又はポリウレタンを用いるので、特に寒冷地においても、既設コンクリートに形成される導水工が凍らないように、断熱性を維持できる。しかも、それらの表面材としてパネルを用いるので、それらの経年による熱伝導率の劣化を無くすことができる。
▲3▼薄く迅速に補強するので、特にトンネルにおいても、内空断面や作業時の車両の通行を確保できる。
▲4▼既設コンクリートをVカットしたりハツリ取ったりすることがないので、作業環境が良好であり、産業廃棄物処理の問題も生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明に係る補強パネルを示す断面図であり、(b)〜(d)は本発明に係る補強方法を用いて補強したコンクリート構造物を示す断面図である。
【図2】日数の経過に伴うポリウレタンフォームの熱伝導率の変化を示すグラフ及び表である。
【図3】本発明に係る補強パネルを用いて補強した曲げ試験用のコンクリート供試体を示す正面図である。
【図4】本発明に係る補強パネルを用いて補強したコンクリート供試体の曲げ試験の結果を示すグラフ及び表である。
【図5】本発明に係る補強方法を用いて補強したトンネルを示す断面図である。
【符号の説明】
1 既設コンクリート(コンクリート構造物)
2 アンカー
10 一体化パネル(補強パネル)
11 複合型パネル
12 炭素繊維シート
13 モルタル
14 接着剤
15 (貼付用)ポリウレタンフォーム
20 (吹付用)ポリウレタン
30 (充填用)モルタル又は繊維混入モルタル
31 (塗布用)モルタル又は繊維混入モルタル
40 導水パイプ(導水工)
51 基材鉄筋コンクリート
52 アンカー
53 モルタル
55 接続部
S 間隙
H1,H2,H3 補強層
W 荷重
t 中央変位量
T トンネル

Claims (4)

  1. 既設コンクリートの表面に固定してコンクリート構造物の補強に用いるパネルであって、
    炭素繊維シートをパネル全体に亘ってモルタル中に内蔵してなる複合型パネルと、ポリウレタンフォームと、を接合し一体化したことを特徴とする、コンクリート構造物の補強パネル。
  2. コンクリート構造物の補強に用いるパネルであって、炭素繊維シートをモルタル中に内蔵してなる複合型パネルと、ポリウレタンフォームと、を接合し一体化したことを特徴とするコンクリート構造物の補強パネルを、既設コンクリートの表面から間隙をおいて、前記ポリウレタンフォーム側を該既設コンクリート側に向けた状態で配置し、
    前記間隙に、モルタル又は繊維混入モルタルを充填することを特徴とする、コンクリート構造物の補強方法。
  3. 既設コンクリートの表面に、モルタル又は繊維混入モルタルを塗布し、
    塗布された前記モルタル又は繊維混入モルタルの表面に、ポリウレタンを吹き付け、
    吹き付けされた前記ポリウレタンの表面から間隙をおいて、炭素繊維シートをモルタル中に内蔵してなる複合型パネルを配置し、
    前記間隙に、モルタル又は繊維混入モルタルを充填することを特徴とする、コンクリート構造物の補強方法。
  4. 既設コンクリートの表面に、ポリウレタンを吹き付け、
    吹き付けされた前記ポリウレタンの表面から間隙をおいて、炭素繊維シートをモルタル中に内蔵してなる複合型パネルを配置し、
    前記間隙に、モルタル又は繊維混入モルタルを充填することを特徴とする、コンクリート構造物の補強方法。
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