JP4010585B2 - 陰イオン交換樹脂を含有する錠剤 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、コレステロール低下剤として有用な陰イオン交換樹脂、とりわけ、一般式(I)で示される非架橋型の陰イオン交換樹脂を含有する錠剤及びそれを素錠としたコーティング錠に関するものであり、更に詳しくは服用しやすいよう、少ない服用錠剤数となるよう主成分が高含有量となり、かつ、安定性の優れたコーティング錠剤に関するものである。
また、本発明は当該錠剤及びそのコーティング錠の製造方法にも関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のコレステロール低下剤として利用される架橋型コレスチラミンは患者の服用負担(1日8g〜16g)が大きく、更に、使用時に懸濁して服用する不便さから、陰イオン交換樹脂の錠剤化、コーティングに関して鋭意研究されている。例えば、含水率8〜14%のコレスチラミン樹脂の凝集物を圧縮して錠剤化した場合に口の中での膨張などを防止するために当該コレスチラミン錠剤を無溶媒でポリエチレングリコールとステアリン酸の加熱融解物でコーティングする方法(特開平3−236326号公報)が報告されている。
また、イミダゾール系の陰イオン交換樹脂(特開昭60−209523号公報)についても、一定量の水分を含有させて打錠する方法(特開平2−286621号公報)、一定量の水分を含有させて打錠した素錠をヒドロキシプロピルセルロースなどでコーティングする方法(特願平4−320155号公報(特開平6−157325号公報))、一定量の水分および二酸化ケイ素を含有させて打錠する方法(特開平7−97330号公報)などが報告されている。
また、水分を添加して陰イオン交換樹脂の吸湿性を抑え、素錠の相対湿度に対する直径の変化率を小さくしたものを、さらにセルロース類でコーティングすることにより、加湿下での安定性に優れた陰イオン交換樹脂錠剤を製造方法が知られている(特開平7−97330号、特開平6−157325号)。これらの方法はコアとなる素錠が一定量の水分を含有し、素錠の湿度に対する直径の変化率が小さくされているものをコーティングするためのものであった。
しかし、これらの従来の方法では、錠剤化のために吸湿性の陰イオン交換樹脂に予め一定量の水を加える必要があった。
【0003】
一方、本発明者らは、一般式(II)で示される、
【0004】
【化2】
(式中、R1は炭素数7〜10のアラルキル基又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、R2、R3はそれぞれ独立して同一又は異なって炭素数1〜4の低級アルキル基を示し、R4は水素原子又は炭素数1〜4の低級アルキル基を示し、Xは生理学的に許容される対イオンを示し、nは1〜3の整数を示し、pは平均重合度10〜10,000の重合度を示す。)
非架橋型の陰イオン交換樹脂がコレステロール低下剤として、極めて有用であることを既に報告してきた(WO93/13781)。この陰イオン交換樹脂は非架橋型で線状のポリマーであるため、コレスチラミン等の架橋型ポリマーでみられるような膨潤して体積膨張することもなく、それに伴う腹部膨満感や便秘などの副作用もない。また、単位重量あたりの胆汁酸有効吸着量が大きく、著しく高い有用性を示す陰イオン交換樹脂である。
【0005】
しかし、本剤は水溶性で、強い渋みを有し、非常に吸湿性が高く潮解性がある。このために、一般式(II)で示される化合物からなる新規非架橋型コレステロール低下剤は、打錠の際の混合過程において水を必要とする従来のイオン交換樹脂の錠剤化方法では粉体の流動性、打錠性が極めて悪くなり、錠剤として充分な強度、安定性を得ることができないという問題点があった。更に、水分を添加することなく調製された錠剤においても、一般式(II)で示される化合物で示される薬物本来の強い渋みのために、錠剤化しただけでは服用時に強い渋みを感じるという難点があった。一般式(II)で示される化合物の投与量は、患者やその病態によっても異なるが、通常は1日当たり0.1〜9g、好ましくは0.1〜5gと比較的投与量が多く、渋みを感じさせないために錠剤中に賦形剤などを多量に含有させると、1回当たりの投与錠剤数が多くなり過ぎるという問題点もあった。
一般式(II)で示される化合物からなる薬剤の有する著しく高い有用性を生かした製品化を行うために、できるだけ少ない賦形剤で、かつ、強い渋みを感じさせず安定性の優れた製剤化が求められていた。
【0006】
本発明者らは上記問題に鑑み、一般式(II)で示される非架橋型の陰イオン交換樹脂がコレステロール低下剤に、水分を加えることなく、少なくとも二酸化ケイ素及び結晶セルロースを添加した混合物を打錠することにより、工業的な錠剤化ができることを見出し、更に、この錠剤を素錠としてこれにセルロース類を含むコーティング剤でコーティングを施すことにより、前記の問題点を克服できることを見出してきた(特願平8−235718号)。
【0007】
一般式(II)で示される非架橋型の陰イオン交換樹脂は平均重合度が10,000以下のものであったが、本発明者らはさらに研究を重ねた結果、下記の一般式(I)で示される平均重合度が10,000を超える非架橋型の陰イオン交換樹脂が、コレステロール低下剤として優れた薬理作用を有することを見い出した。
しかし、このものを製剤化に当たっては、前記一般式(II)で示される平均重合度が10〜10,000のものと同様な問題があることが判明した。特に、下記の一般式(I)で示される平均重合度が10,000を超える非架橋型の陰イオン交換樹脂も、強い吸湿性を有しており、公知の一定量の水分を添加する素錠の製錠方法をそのまま適用することは困難であった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の問題に鑑み、鋭意検討をした結果、次式一般式(I)、
【0009】
【化1】
【0010】
(式中、Xは生理学的に許容される対イオンを示し、pは平均重合度を示し、10,000を超える値である。)
で示される非架橋型の陰イオン交換樹脂に、水分を加えることなく、少なくとも二酸化ケイ素及び結晶セルロースを添加した混合物を打錠することにより、工業的な錠剤化ができること、更に、このようにして得られた錠剤を素錠としてこれにセルロース類を含むコーティング剤でコーティングを施すことにより、前記の問題点を克服できることを見出した。また、本発明者らは、吸湿性の強い素錠をセルロース類を含むコーティング剤でコーティングを施すことにより、一般式(I)で示される化合物の渋みを防止できるだけでなく、水分が添加されていない素錠の吸湿性をも防止することができ、長期間の貯蔵においても安定な錠剤となることを見出した。
【0011】
すなわち、本発明は一般式(I)で示される非架橋型の陰イオン交換樹脂に、少なくとも二酸化ケイ素及び結晶セルロースとを添加し、水分を添加していない混合物を打錠してなる陰イオン交換樹脂を含有する錠剤に関する。また、本発明は、一般式(I)で示される非架橋型の陰イオン交換樹脂に、少なくとも二酸化ケイ素及び結晶セルロースとを添加し、水分を添加していない混合物を打錠してなる陰イオン交換樹脂を含有する錠剤の製造方法に関する。
また、本発明は、前記の一般式(I)で示される非架橋型の陰イオン交換樹脂に、水分を添加することなく、少なくとも二酸化ケイ素及び結晶セルロースを添加した混合物を打錠してなる錠剤に、更に、セルロース類を含むコーティング剤でコーティングしてなる非架橋型の陰イオン交換樹脂を含有するコーティング錠剤、及び、それらの製造方法に関する。
【0012】
本発明の製剤は、賦形剤の含有量が極微量、即ち高薬物含有量の製剤化を可能としたことを特徴とするものでもある。また、本発明の製剤は、連続生産にも十分対応するものであり、工業生産にも対応できるものでもある。
本発明の錠剤において、二酸化ケイ素又は結晶セルロースのいずれかの成分を欠くと、打錠性が悪くなるばかりでなく、錠剤重量のばらつきが大きくなったり、錠剤表面のひび割れやエッジが欠けるなど、錠剤化の歩留まりが著しく悪化することになり好ましくない(比較例4及び5参照)。
【0013】
本発明の一般式(I)で示される非架橋型の陰イオン交換樹脂を詳細に説明する。
本発明の一般式(I)で示される非架橋型の陰イオン交換樹脂の、対イオンXとしては、生理学的に許容される対イオンであれば特に制限はないが、ハロゲン、硫酸塩、リン酸塩が好ましく、より好ましくは塩素イオン、臭素イオン、フッ素イオン、ヨードイオンなどのハロゲンが挙げられる。
また、本発明の一般式(I)で示される非架橋型の陰イオン交換樹脂の平均重合度pは、10,000を超える値であり、好ましくは、10,000を超えて50,000までの値であり、より好ましくは10,000を超えて30,000までの値であり、さらに好ましくは10,000を超えて15,000までの値である。より具体的には、平均重合度pは、10,001〜50,000であり、好ましくは10,001〜30,000であり、さらに好ましくは10,001〜15,000である。
本発明の一般式(I)で示される非架橋型の陰イオン交換樹脂のうち、好ましい化合物の例としては、平均重合度pが10,001〜30,000、より好ましくは10,001〜15,000である、ポリ(アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチル−N−ベンジルアンモニウムクロライド)が挙げられる。
【0014】
本発明の一般式(I)で示される非架橋型の陰イオン交換樹脂は、通常の方法で対応するモノマーを製造し、次いでこれを通常の方法で重合させて製造することができる。より具体的には、対応するモノマーの四級アンモニウム塩を調製し、これをラジカル重合剤などの重合開始剤の存在下に十分に重合させて製造することができる。重合反応の際に、重合条件を穏やかにすると平均重合度pが小さくなるので、重合反応を十分行うとよい。
【0015】
次に、本発明の製剤について説明する。
本発明の素錠における一般式(I)で示される化合物の含有量は、素錠の全重量に対して50〜95重量%、好ましくは70〜90重量%、より好ましくは75〜90重量%である。
【0016】
本発明で使用される二酸化ケイ素、結晶セルロースは経口的に摂取を認められているものであれば特に制限はないが、経口投与の医薬品として使用前例があるものが工業的には好ましい。
二酸化ケイ素としては、流動性の付与を目的とするものであり、例えば、含水二酸化ケイ素(別名:ホワイトカーボン)、二酸化ケイ素(別名:シリカゲルあるいは無水ケイ酸)などが使用され、その中でも含水系でない微粒子二酸化ケイ素または軽質無水ケイ酸が好ましい。尚、使用される二酸化ケイ素は、見掛け比重が70g/l〜20g/l、好ましくは50g/l〜20g/lであり、見掛け比重が小さい軽質無水ケイ酸が好ましい。その添加量は素錠の全重量の0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%、より好ましくは0.1〜1重量%である。
結晶セルロースとしては、微結晶セルロースが好ましく、平均粒径が5〜50ミクロン、好ましくは10〜50ミクロン、より好ましくは10〜30ミクロンの結晶セルロースが好ましい。その添加量は、素錠の全重量の0.1〜30重量%、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは10〜30重量%である。
【0017】
本発明で使用する二酸化ケイ素、とりわけ軽質無水ケイ酸に関しては、その含有量が増えるに従って、また、二酸化ケイ素の見掛け比重(カサ密度)が小さくなるに従って粉体流動性の向上がみられるが、他方打錠性(圧縮性)は低下してくるようである。したがって、二酸化ケイ素を一般式(I)で示される化合物に対して、5部以上添加すると打錠性が低下して出来上がりの錠剤にはひび割れが多く見られるようになる。
本発明で使用する結晶セルロースに関しては、その含有量が増えるに従って、また、結晶セルロースの平均粒度が小さくなるに従って打錠性(圧縮性)は向上してくるが、他方粉体流動性の低下がみられる。微結晶セルロースでは、その含有量が30部を超えると著しく錠剤重量のばらつきが大きくなってくる。結晶セルロースを一般式(I)で示される化合物に対し30部を超えて使用する格別の有用性はみられないので、さらに多量の賦形剤を必要とする場合には、ラクトースのような安価な賦形剤を加える方が望ましい。
【0018】
したがって、本発明をさらに詳細に述べれば、本発明は一般式(I)で示される非架橋型の陰イオン交換樹脂と、見掛け比重が70g/l〜20g/l、好ましくは50g/l〜20g/lで見掛け比重が小さい軽質無水ケイ酸、及び、平均粒径が50ミクロン〜10ミクロン、好ましくは30ミクロン〜10ミクロンの結晶セルロースを少なくとも含有し、水分を添加していない混合物を打錠してなる陰イオン交換樹脂を含有する錠剤、及び、その製造方法に関する。
さらに詳細には本発明は、一般式(I)で示される非架橋型の陰イオン交換樹脂と、見掛け比重が50g/l〜20g/l、好ましくは40g/l〜20g/lで見掛け比重が小さい二酸化ケイ素、及び、平均粒径が50ミクロン〜10ミクロン、好ましくは30ミクロン〜10ミクロンの結晶セルロースを少なくとも含有し、水分を添加していない混合物を打錠してなる、当該陰イオン交換樹脂が錠剤の全重量に対して50〜95重量%、好ましくは70〜90重量%、さらに好ましくは75〜90重量%を含有する錠剤、及び、その製造方法に関する。
さらに本発明は、前記錠剤に更に、セルロース類を含むコーティング剤でコーティングしてなる、非架橋型の陰イオン交換樹脂を含有するコーティング錠剤、及び、その製造方法に関する。
【0019】
本発明の素錠となるコーティング前の錠剤には、前記の二酸化ケイ素及び結晶セルロースのほかに従来から錠剤化において慣用されている成分を本発明の目的を阻害しない範囲において添加することもできる。例えば、ラクトース(乳糖)、ショ糖、ブドウ糖、マンニット、ソルビット等の二糖類又は単糖類や馬鈴薯でんぷん、小麦でんぷん、コーンスターチ、米でんぷん等のでんぷん類などの賦形剤、リン酸カルシウム及び硫酸カルシウム等の無機物質、高級脂肪酸及びその金属塩(例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム)、高級アルコール、タルク、合成ケイ酸アルミニウム等の滑沢剤、でんぷん、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩又はカルシウム塩、メチルセルロース、カルボキシメチルスターチ、アルギン酸ナトリウム等の崩壊剤、でんぷん、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリメチルピロリドン等の結合剤などを必要に応じて添加することもできる。
【0020】
本発明の素錠となるコーティング前の錠剤は、各成分を混合し、この混合物を打錠することにより製造することができる。各成分の添加順序は特に制限はないが、最初に結晶セルロースと二酸化ケイ素とを混合し、次いで一般式(I)で示される化合物を、好ましくは徐々に添加混合し、これらの混合物に必要に応じてその他の成分を添加混合するのが好ましい。
打錠の際の杵圧は、特に制限はないが、2トン以下で行うのが好ましい。
【0021】
本発明のコーティング工程で使用するコーティング剤に含有されるセルロース類としては、pH非依存性であり、かつ、水溶性であるセルロース類であれば、特に制限はない。具体的には、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース等が挙げられ、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが好ましい。
本発明においては、これらのセルロース類を単独で使用してもよいが、必要に応じて少量のワックス、酸化チタン、タルク、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチルなどを加えて使用することもできる。得られるコーティング膜の強度、経済性などの点から、ポリエチレングリコール(マクロゴール)を添加するのが好ましい。
コーティング液中のセルロース類の濃度は、濃度が高いとコーティングされるセルロース類の量が多くなり過ぎるので、高濃度での使用は好ましくなく、20重量%未満であることが好ましく、より好ましくは6〜15重量%程度である。ポリエチレングリコール(マクロゴール)を添加する場合には、その濃度はセルロース類に対し、1〜50重量%程度が好ましく、より好ましくは5ないし40重量%程度である。
【0022】
また、他にコーティング剤として、酸溶解性皮膜剤を用いることができる。例えば、ジエチルアミノメタクリレート、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート(AEA)、ジメチルアミノエチルメタクリレート−メチルメタクリレート共重合体(商品名:オイドラギットE(メタアクリル酸メチル・メタアクリル酸ブチル・メタアクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体))、セルロースアセテートN,N−ジ−n−ブチルヒドロキシプロピルエーテル(CABP)等の胃酸中において溶解するコーティング剤を用いることができる。
【0023】
コーティングの方法としては、特に制限はないが、スプレーコーティングが好ましい。
コーティングの量は、コーティング膜自体が錠剤(素錠)に対し1〜10重量%の量をコーティングするのが好ましい。渋みのマスキングを目的としたコーティングにおいては、1重量%以上でその効果を示すが10重量%以上のコーティングをしても格別の有用性はなく、3重量%前後のコーティングがもっとも好ましい。また、コーティングの際には素錠の水分含有量を計測し、水分増加が認められなくなるまでコーティングを継続することが好ましい。
【0024】
【実施例】
次に本発明を実施例において更に詳細に説明するが本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されないことは明らかである。
【0025】
実施例1
(1) 混合工程
各成分の混合には次の混合装置を使用した。
混合装置 パウレック V型混合機 FMV100
(1−1) 混合方法
以下の混合処方に示す結晶セルロース1000g、軽質無水ケイ酸50gを秤取し、混合機に入れ5分間混合する。
平均重合度が12,000のポリ(アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチル−N−ベンジルアンモニウムクロライド)(一般式(I)中、Xが塩素イオンである化合物。以下、「化合物1」という。)の総量を4分割しそれぞれ5分間ずつに分けて前記混合物中に添加し混合する。
その後、ステアリン酸マグネシウム50gを秤取し、混合機に入れ1分間混合する。
【0026】
(1−2) 混合処方(10kg)
化合物1 8900g
結晶セルロース
(商品名:アビセルPH-F20(平均粒径17ミクロン)) 1000g
ステアリン酸マグネシウム 50g
軽質無水ケイ酸(見掛け比重(カサ密度)30g/l) 50g
【0027】
(2) 打錠工程
打錠工程には次の打錠装置を使用した。
打錠装置 畑鉄工所 ロータリー式打錠機 HT−AP15SS
(2−1) 打錠条件
回転数 毎分35回転
厚み 5mm
硬度 7 以上
上下杵圧 2 トン以下
強制フィーダー 使用
【0028】
(3) コーティング工程
コーティング工程には、次のコーティング機を使用した。
コーティング機 パウレック ドリアコーター650
(3−1) コーティング方法
前記(2)で得られた錠剤7kgをパンに投入し、コーティングパン回転数を0rpm、吸気温度を80度に設定し、排気温度が一定になるまで待つ。この時、排気温度が50度以上であることを確認する。20錠取り錠剤重量を測定後、粉砕し水分量を測定する。回転数を7rpmにして、12g/minで以下に示す処方のコーティング液のスプレーを開始する。30分後から回転数を15rpmにして、約18g/minでスプレーする。適時、20錠をサンプリングし、錠剤重量、水分量を測定する。水分増加がなく錠剤重量が素錠に対して3%になったらスプレーを止め回転数を5rpmにし、約60分間乾燥する。
【0029】
(3−2) コーティング液処方
ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910 400g
マクロゴール6000 120g
イオン交換水 4600g
【0030】
実施例2
(1) 混合工程
各成分の混合には次の混合装置を使用した。
混合装置 パウレック V型混合機 FMV100
(1−1) 混合方法
以下の混合処方に示す結晶セルロース2000g、軽質無水ケイ酸50gを秤取し、混合機に入れ5分間混合する。
化合物1の総量を4分割しそれぞれ5分間ずつに分けて前記混合物中に添加し混合する。
その後、ステアリン酸マグネシウム50gを秤取し、混合機に入れ1分間混合する。
(1−2) 混合処方(10kg)
化合物1 7900g
結晶セルロース
(商品名:アビセルPH−301(平均粒径40ミクロン)) 2000g
ステアリン酸マグネシウム 50g
軽質無水ケイ酸(見掛け比重(カサ密度)50g/l) 50g
(2) 打錠工程、コーティング工程
打錠工程及びコーティング工程は実施例1と同様に行った。
【0031】
実施例3
(1) 混合工程
各成分の混合には次の混合装置を使用した。
混合装置 パウレック V型混合機 FMV100
(1−1) 混合方法
以下の混合処方の結晶セルロース1000g、乳糖550g、軽質無水ケイ酸50gを秤取し、混合機に入れ5分間混合する。
化合物1の総量を4分割し、それぞれ5分間ずつに分けて前記混合物中添加し混合する。
その後、ステアリン酸マグネシウム50gを秤取し、混合機に入れ1分間混合する。
【0032】
(1−2) 混合処方(10kg)
化合物1 8350g
結晶セルロース
(商品名:アビセルPH−F20(平均粒径17ミクロン)) 1000g
乳糖 550g
ステアリン酸マグネシウム 50g
軽質無水ケイ酸(見掛け比重(カサ密度)50g/l) 50g
(2) 打錠工程、コーティング工程
打錠工程及びコーティング工程は実施例1と同様に行った。
【0033】
実施例4
(1) 混合工程、打錠工程
混合工程及び打錠工程は実施例1と同様に行った。
(2) コーティング工程
(2−1) コーティング方法
コーティング方法は乾燥まで実施例1と同様に行い、さらにカルナウバロウを5g添加し、回転数を5rpmにして5分間運転する。
(2−2) コーティング液処方
ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910 400g
マクロゴール6000 120g
酸化チタン 28g
イオン交換水 4000g
(2−3) 光沢化剤
粉末カルナウバロウ 5g
【0034】
実施例5
平均重合度が13,000のポリ(アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチル−N−ベンジルアンモニウムクロライド)(一般式(I)中、Xが塩素イオンである化合物。)を用いて実施例1(1)及び(2)と同様にして素錠を得る。次いで、これを実施例1(3)と同様にしてコーティングすることによりコーティング錠を得る。
【0035】
実施例6
平均重合度が15,000のポリ(アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチル−N−ベンジルアンモニウムクロライド)(一般式(I)中、Xが塩素イオンである化合物。)を用いて実施例1(1)及び(2)と同様にして素錠を得る。次いで、これを実施例1(3)と同様にしてコーティングすることによりコーティング錠を得る。
【0036】
比較例1
(1) 混合工程
各成分の混合には次の混合装置を使用した。
混合装置 パウレック V型混合機 FMV100
(1−1) 混合方法
以下に示す混合処方の結晶セルロース1000g、軽質無水ケイ酸50gを秤取し、混合機に入れ5分間混合する。
化合物1の総量を4分割しそれぞれ5分間ずつに分けて前記混合物中に添加し混合する。
その後、ステアリン酸マグネシウム50gを秤取し、混合機に入れ1分間混合する。
化合物1を水と混合することは困難であったため、水890gをスプレーしながら添加した。
(1−2) 混合処方(10kg)
化合物1 8010g
水 890g
結晶セルロース
(商品名:アビセルPH-F20(平均粒径17ミクロン)) 1000g
ステアリン酸マグネシウム 50g
軽質無水ケイ酸(見掛け比重(カサ密度)30g/l) 50g
【0037】
比較例2
(1) 混合工程
各成分の混合には次の混合装置を使用した。
混合装置 パウレック V型混合機 FMV100
(1−1) 混合方法
以下の混合処方の結晶セルロース1000g、軽質無水ケイ酸50gを秤取し、混合機に入れ5分間混合する。
化合物1の総量を4分割しそれぞれ5分間ずつに分けて前記混合物中に添加し混合する。
その後、ステアリン酸マグネシウム50gを秤取し、混合機に入れ1分間混合する。
(1−2) 混合処方(10kg)
化合物1 8900g
結晶セルロース
(商品名:アビセルPH−301(平均粒径40ミクロン)) 1000g
ステアリン酸マグネシウム 50g
軽質無水ケイ酸(見掛け比重(カサ密度)30g/l) 50g
(2) 打錠工程、コーティング工程
打錠工程及びコーティング工程は実施例1と同様に行った。
【0038】
比較例3
(1) 混合工程
各成分の混合には次の混合装置を使用した。
混合装置 パウレック V型混合機 FMV100
(1−1) 混合方法
以下の混合処方の結晶セルロース1000g、軽質無水ケイ酸50gを秤取し、混合機に入れ5分間混合する。
化合物1の総量を4分割しそれぞれ5分間ずつに分けて前記混合物中に添加し混合する。
その後、ステアリン酸マグネシウム50gを秤取し、混合機に入れ1分間混合する。
(1−2) 混合処方(10kg)
化合物1 8900g
結晶セルロース
(商品名:アビセルPH−302(平均粒径120ミクロン))1000g
ステアリン酸マグネシウム 50g
軽質無水ケイ酸(見掛け比重(カサ密度)30g/l) 50g
(2) 打錠工程、コーティング工程
打錠工程及びコーティング工程は実施例1と同様に行った。
【0039】
比較例4
(1) 混合工程
各成分の混合には次の混合装置を使用した。
混合装置 パウレック V型混合機 FMV100
(1−1) 混合方法
以下の混合処方の軽質無水ケイ酸50gを秤取し、混合機に入れる。
化合物1の総量を4分割しそれぞれ5分間ずつに分けて混合機に入れ混合する。
その後、ステアリン酸マグネシウム50gを秤取し、混合機に入れ1分間混合する。
(1−2) 混合処方(10kg)
化合物1 9900g
ステアリン酸マグネシウム 50g
軽質無水ケイ酸(見掛け比重(カサ密度)30g/l) 50g
(2) 打錠工程、コーティング工程
打錠工程及びコーティング工程は実施例1と同様に行った。
【0040】
比較例5
(1) 混合工程
各成分の混合には次の混合装置を使用した。
混合装置 パウレック V型混合機 FMV100
(1−1) 混合方法
以下の混合処方の結晶セルロース1000gを秤取し、混合機に入れる。
化合物1の総量を4分割しそれぞれ5分間ずつに分けて前記混合物中に添加し混合する。
その後、ステアリン酸マグネシウム50gを秤取し、混合機に入れ1分間混合する。
(1−2) 混合処方(10kg)
化合物1 8950g
結晶セルロース
(商品名:アビセルPH-F20(粒径17ミクロン)) 1000g
ステアリン酸マグネシウム 50g
(2) 打錠工程、コーティング工程
打錠工程及びコーティング工程は実施例1と同様に行った。
【0041】
比較例6
(1) 混合工程
各成分の混合には次の混合装置を使用した。
混合装置 パウレック V型混合機 FMV100
(1−1) 混合方法
以下に示す混合処方の化合物1の9950g、ステアリン酸マグネシウム50gを秤取し、混合機に入れ1分間混合する。
(1−2) 混合処方(10kg)
化合物1 9950g
ステアリン酸マグネシウム 50g
(2) 打錠工程、コーティング工程
打錠工程及びコーティング工程は実施例1と同様に行った。
【0042】
比較例7
実施例1の打錠工程のみで得られるコーティングを施さない錠剤。
【0043】
試験例1
粉体流動性は素錠重量のばらつきで、圧縮性は2トン以下の打錠圧で得られる錠剤がコーティングに際し欠けやひび割れの生じる頻度で示した。本品は吸湿性が高く摩損性試験中に重量増加が観られるためこの外観試験で圧縮性を示した。
試験結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
水を加えた比較例1は水分による潮解、糸引きのため十分な混合ができず打錠さえも不可能であった。
水を用いない処方では、打錠及びコーティングはどの実施例、比較例でも可能であったが、粉体流動性及び圧縮性の点で実施例1、実施例2及び実施例3で問題のない錠剤が得られた。
一方、比較例4に結晶セルロースを添加しない処方、比較例5に軽質無水ケイ酸を添加しない処方、比較例6にはこれらの両者を添加しない処方を示した。結晶セルロースを添加しない場合、著しく打錠性(圧縮性)は低下し、錠剤表面にはひびが観られるようになる。軽質無水ケイ酸を添加しない処方では粉体流動性が低下し錠剤重量のばらつきが非常に大きくなる。両者を添加しない場合には、錠剤重量のばらつきも非常に大きいし、ひび割れ、欠けも多く、打錠性の悪いものとなる。
【0046】
また、比較例2には平均粒径40ミクロンの結晶セルロースを添加した処方、比較例3には平均粒径120ミクロンの結晶セルロースを添加した処方を示し、両者共、軽質無水ケイ酸としては見掛け比重(カサ密度)30g/lのものを処方した例を示した。添加する結晶セルロースの平均粒径が大きくなっても、軽質無水ケイ酸の見掛け比重(カサ密度)の大きなものを添加することにより錠剤化はできるが(実施例2)、軽質無水ケイ酸の見掛け比重(カサ密度)の小さなものを添加した場合にはひび割れや欠けが多くなると同時に打錠性も好ましくなくなることがこの比較例により示されている。さらに、実施例1で示されるように見掛け比重(カサ密度)の小さい軽質無水ケイ酸と平均粒径の小さい結晶セルロースを使用することで高薬物含有量の錠剤を製造することができ、製剤としての服用量を低く設定することに貢献した。本発明の錠剤処方は造粒工程なしで混合工程のみで安定した直接打錠が可能で連続生産にも十分対応するものである。
【0047】
試験例2
本錠剤は水分量7%を超えると形状変化を招き、更に吸湿すると潮解する。そこでコーティングによる安定性の増加を60℃、90%の相対湿度で20分保存した後の形状の変化で比較した。また、口腔内に30秒間含んだ時の渋みを比較した。
試験の結果を表2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】
コーティングにより安定性の増加、また渋みのマスキングが達成され服用しやすい製剤が得られたことがわかる。
【0050】
実施例5及び6で得られた錠剤を用いて前記の試験例1及び2を行うと、同様な結果が得られる。
本発明の一般式(I)で示される非架橋型の陰イオン交換樹脂は経口コレステロール低下剤として優れた薬理効果を有するものであり、本発明の製剤化方法により優れた薬理効果を有する一般式(I)で示される経口コレステロール低下剤を、服用のし易い医薬品として提供することができることが判明した。
【0051】
【発明の効果】
本発明はこれまでの陰イオン交換樹脂の経口コレステロール低下剤よりも服用量、服用方法の点で優れた錠剤を提供するもので、更には製造時においても造粒工程を必要としないなど大きな利点を有するものである。また、得られた錠剤をさらにセルロース類を用いてコーティングすることにより、薬剤の渋みを感じることのない服用のしやすい錠剤を得ることができる。
また、本発明は工業的に優れた製造方法を提供するものでもある。
Claims (7)
- 添加される二酸化ケイ素の割合が0.1〜5重量%であることを特徴とする請求項1に記載の錠剤。
- 添加される結晶セルロースの割合が1〜30重量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の錠剤。
- コーティングがセルロース類を含有するコーティング剤によることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコーティング錠剤。
- セルロース類がヒドロキシプロピルメチルセルロースである請求項4に記載のコーティング錠剤。
- 素錠に対し1〜10重量%のコーティング剤でコーティングを施したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のコーティング錠剤。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載されたコーティング錠剤の製造方法。
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